てんとう虫コミックス第18巻


のび太の部屋でロードショー   7頁 小三78年6月号(ただ見セット)
 スネ夫が新しい漫画を買ってきたが、例によってのび太にだけは見せないと言う。のび太から話を聞いてその漫画を読みたがったドラえもんは「ただ見セット」を出し、あらかじめ空き地にセットしておいた送信機から受信機を使ってスクリーンに投影し、スネ夫達が読んでいるマンガを一緒に読んで大笑いする2人。読み終わった後、スネ夫はマンガをジャイアンに取られてしまった。ドラえもんは更に、たくさんの送信機をあちこちの映画館や劇場につけて、只で映画や芝居を見ることを提案する。それに乗ったのび太は夜中に取り付けに行くことにし、しずかやジャイアンにチケットを売り付け、のび太の部屋で映画やプロ野球の試合を見せることを約束する。そして夜中、映画館や野球場に送信機を取り付ける二人。翌日、やって来たしずか達に映画を見せようとドラえもんは送信機のスイッチを入れるが、スクリーンには何も映らない。実は送信機と受信機を間違えてつけてしまったため、映画館では受信機によって、スクリーンにのび太の部屋が大写しになるのだった。  

 (解説)これも純粋にあったら良いなと思える道具ですが、道具の形そのものがオチと直接連鎖しているとは思いませんでした。このオチにつなげるために送信機と受信機の形状が同じなんですね。「ただ見セット」を使って商売をしようとするのび太の商魂も相変わらずですが、今話で一番好きなのはマンガを読んでいる時のドラの顔ですかね(笑)。
スリルブーメラン   12頁 てれびくん79年5月号
 部屋でのび太がカップラーメンが出来あがるのを待っていると、突然スネ夫からすぐに来るようにとの知らせを受ける。急いで裏山に行ってみると、そこでは頂上の一本杉にジャイアンが登っていた。今まで誰も上ったことのない一本杉を制覇したのでおべっかを言うスネ夫だが、のび太がつい本音を言ってしまったため、怒ったジャイアンはのび太に一本杉に上るよう強要し、のび太はラーメンの話をしていったん逃げることに成功する。部屋に戻ってきたのび太にすがりつかれたドラえもんは「スリルブーメラン」を出した。タイマーをセットしたブーメランを持ち、モニターで行きたいところを示すと、その時間だけその場所へ行くことが出来るのだ。試しに電信柱に登ってみたのび太は早速一本杉のてっぺんへ行くが、もうすでにジャイアンはおらず、すでに家に帰ってきていた。機械を使ってジャイアンの食べているおやつを取ってしまったのび太は高層ビルの屋上や動物園のライオン、ヘリコプターやヨットに行って楽しむ。そこへジャイアン達が催促にやって来たので、機械の操作をドラえもんに任せてのび太は裏山に向かうが、部屋に現れたネズミに驚いたドラえもんはタイムマシンの入り口に逃げてしまう。一本杉の前で焦るのび太。その時のび太のママが部屋に入ってきて、モニターに海が映っている状態でスイッチを押してしまったためにのび太は海中に飛んでしまい、ズボンに噛み付いたサメを連れて戻ってきたため、ジャイアンとスネ夫は仰天するのだった。  

 (解説)一見するとなんでもないように思える作品なのですが、今話の中にもドラ世界の真骨頂である「ナンセンス」は息づいています。そもそも、なんの意味もなく唐突にカップラーメンを食べようとしているのび太からして笑えます。その後道具を使っての楽しい様子が続いた後にやって来るオチ。サメがくっついてきているというその瞬間に、『どうだ。ぼくなんか、こんな大冒険してるんだぞ!!』と、妙に冷静に話すのび太は個人的に爆笑ものです。ネズミを見て『ウンギャ〜』と叫んで逃げるドラも面白いですね。
ひい木   7頁 小三78年8月号
 クラスのみんなのほとんどが宿題を忘れてしまい、怒った先生は全員を廊下に立たせようとする。だがその中にスネ夫を見かけ、理由を聞かれたスネ夫はウソをついて廊下に立たされずに済む。ひいきされたスネ夫を怒るみんな。のび太も以前スネ夫と遊んでいて、スネ夫が割ったガラスの事で自分だけ怒られてしまったり、ジャイアンもドブ掃除をしていた時に、スネ夫の母親の知り合いが見ている時だけスネ夫がドブ掃除をされてしまったりしていた。そのために大人にひいきされるスネ夫を何とか懲らしめたいと考えるのび太とジャイアン。話を聞いたドラえもんは「ひい木」というバッジを出し、のび太につける。と、そこへおやつのスイカを二個持ってきたママが、二つとものび太の物だと言い出した。このバッジをつけるとつけた人が誰からもえこひいきされるようになるのだ。早速ひい木をつけてスネ夫とボール遊びをするのび太は、わざとガラスを割ってスネ夫だけを叱らせる。話を聞いたジャイアンもひい木をつけ、スネ夫の周りでゴミバケツをひっくり返してスネ夫のせいにしてしまう。更に小さい子供をいじめたり女の子のスカートをめくるのも全部スネ夫のせいになり、嫌になったスネ夫は家に帰るが、スネ夫のママは上がりこんだジャイアンにご飯を全部上げてしまい、さすがにのび太も止めるようにジャイアンに言うのだった。  

 (解説)今話は個人的には大好きですねえ。やはりスネ夫はイヤミでずるい性格の時が一番キャラが光るヤツだということがよくわかる話です。しかしスネ夫って模範生だったのか(笑)?ひいきされるスネ夫へののび太達の仕返しもゴミバケツを散らかしたりと、やたら小規模なもので愉快ですね。あと注目すべきは、廊下に立たされそうになっている時のスネ夫の目。なんとタレ目になっているのです。恐らく今回一回限りのこの顔を要チェック(笑)!
スパイ衛星でさぐれ   11頁 てれびくん79年7月号(スパイ衛星)
 自分の周りを虫のようなものが飛んでいる感じがするスネ夫だが、構わずに持っていたバットを使ってピンポンダッシュを行う。まんまと逃げおおせたスネ夫だが、それをテレビモニターからのび太とドラえもんが見ていた。のび太はそのモニターで撮った写真をスネ夫につきつけ、いたずらをしないようスネ夫に忠告する。二人が使っていたのは「スパイ衛星」という道具で、衛星を各人の周囲に送り込み、モニターで見ることが出来るのだ。もっといろんな事に使いたがるのび太だがドラえもんは閉まってしまう。だがモニターに釣り糸をつけておいたのび太はセットを手に入れ、残りの衛星を友達につけてしまう。家でそれぞれの様子を見るのび太は財布を拾った友達を注意したり、体重を気にするしずかに電話をしたりしてしまう。続いてジャイアンの様子を見ると、何とジャイアンは極秘にリサイタルを行うことを計画していた。それを知ったのび太はみんなに話そうとするが、みんなはのび太が色々な事を知っていることを疑っており、相談できる状況ではなかった。ドラえもんにも相談できずに困るのび太だが、ジャイアンが母ちゃんにウソをついてチケットを配りに行くところを見かけ、それを写真に撮ってジャイアンを脅迫し、リサイタルを中止させる事に成功する。だがそれを知らないみんなは依然のび太を疑い、のび太は「恩知らず!」と怒るのだった。  

 (解説)今話の道具は他人の秘密を覗くことが出来るという、禁断の面白さがある道具ですね(笑)。こういった「神の視点」で見つめるというものもドラにはよく出てきますね。やはりそれはある意味、人間の願望だからでしょうか。それにしても人間を星に見たてて、衛星を使って監視するという発想はさすがです。しかしスネ夫もセコイいたずらするなあ(笑)。
ルームスイマー   8頁 小五78年7月号(ルーム・スイマー)
 人気のない海へ行って泳ぐ練習をしたいと言うのび太に、ドラえもんは「ルームスイマー」を出し、いきなり部屋に水を流す。だがこれは室内用の水だったので、濡れることはないのだ。早速入ろうとするのび太だが水にはじかれてしまう。専用のクリームをつけなければ入れないのだ。浮き輪をつかって泳ぐのび太とともに水も動いていき、その様子を見たドラえもんは出かけていく。だいぶ泳ぎになれたのび太は一緒に泳ごうとしずかを呼ぶが、落とした浮き輪を拾ったり、疲れたので座ろうと思っても、どうしても水の中から出ることができない。のび太に助けを求められたしずかは友達を呼ぶが、それでものび太は水の中から出ることは出来ず、ついに溺れ出してしまう。諦めるみんなのところにドラえもんが帰ってきて、慌ててのび太を助け出す。のび太は家の中でも溺れたと、またみんなに笑われてしまうのだった。  

 (解説)ドラ世界・夏の風物詩である「のび太が泳ぎの練習をする」シリーズの作品です(笑)。今回の道具は逆転の発想とでも言うべきか、室内で泳げるようになっている道具です。これは珍しいパターンですね。融通の利かないところはさすがですが(笑)。のび太が溺れているのを見て、「ナムアミダブツ」と呟く友達はすごい。よほど人間が出来ているのでしょうね(笑)。
大氷山の小さな家   10頁 小六78年9月号(巨大流氷で遊ぼう)
 かき氷を食べたのび太とドラえもんはおかわりを食べようとするが、既に氷はなく、出来あがるのを待たなければならなかった。暑いと騒ぐのび太だが、その時ドラえもんがある考えを思いついた。氷の山へ行ってかき氷を作ろうと言うのだ。南極に行くと思ったのび太は嫌がるが、ドラえもんが言っていたのは南極から流れ出して、今は大西洋にある巨大流氷のことだった。どこでもドアで流氷に向かった二人は流氷から氷を削ってかき氷を腹いっぱい食べる。こういう所で勉強したいと言うのび太にドラえもんは一応つっこんでおきながらも、「氷ざいくごて」を出して流氷の内部に部屋を作り始める。立派な部屋を作り、そこでくつろいだ二人は、友達も連れてこようと空き地へと向かう。やってきたみんなと一緒に野球や釣りをして遊び、楽しくかき氷を食べる。しかし先程からかき氷を食べていたのび太は、食べ過ぎでおなかを壊してしまう。急いでどこでもドアを使い、家のトイレの前へ移動するのび太。そこへ風呂あがりのパパがドアを見つけ、知らずにそこへ入って流氷のところへ行ってしまったため、パパは寒くて風邪を引いてしまうのであった。  

 (解説)全体が絵物語形式のようになっていて、読んでいて素直に楽しめる話になっています。子供の秘密基地願望を満たすようなテイストが含まれていることも見逃してはならないでしょう。普通なら楽しく遊んだだけで終わりそうなものなのですが、今回はラストのパパオチが入りました。僕としてはこのオチは唐突過ぎてあまり好きではないのですが、笑えるから良いや(笑)。
のび太が九州まで走った!!   8頁 小五78年4月号
 パパが買ってきたルームランナーを珍しがって、やってみようとして取り合う野比家の面々。しかし三日もするとすっかり飽きてしまった。それを見かねたドラえもんは「未来のルームマラソン」を出すが、のび太は興味を示さない。ドラえもんはその上で走り始め、玄関でのび太の靴が散らかっていると話すが、のび太にはわけがわからない。しかし本当に靴が散らかっていたためにママに叱られる。このルームランナーは走るごとに本当に進んでいるように景色が変わっていくのだ。それを知ったのび太は今度は自分がマラソンをはじめ、外でしずかを見つけたりしながらも九州へ向かってマラソンをしようとする。しかしどうやっても九州までは遠いとわかって再びやる気をなくしてしまう。仕方なくドラえもんはスピードを10倍あげ、調子に乗ったのび太はスピードを一気に100倍にしてしまう。すさまじいスピードで川に飛びこんだりしながらものび太は走り続け、遂に九州まで到達することに成功する。運動をした後の心地よい疲れと、目標を達成した時の達成感を手に入れ、更に自分に自信を持ったのび太はドラえもんと感謝の握手を交わす。しかし翌日の体育での競争で、のび太はルームランナーに乗っているようにその場で足踏みをしてしまい、先生に注意されてしまうのだった。  

 (解説)僕はよく知らないのですが、この話が掲載された頃はルームランナーが流行っていたそうですね。時事ネタを巧みに取り込む柔軟さもドラ世界の特徴です。でもって今回の話は、家の中にいるだけで走った気分になれるという意味では、まさに究極のルームランナーが登場しました。流行り物に夢中になってすぐに飽きてしまう野比家の姿には、何か皮肉めいた物も感じられます。その様子を冷静に観察するドラが良い味出してます。ラストのオチもストーリーとしっかり繋がっていて、個人的には好きですね。
テレパしい   8頁 小五78年10月号
 ドラえもんに何事かを頼もうとしているのび太だが、きちんと話さないのでドラえもんは理解できない。のび太は部屋の窓を閉めて欲しかったのだ。話さなくても考えていることがわかるような道具はないかとのび太が話すのを聞いて、ドラえもんは怒り出してしまう。ところが一計を案じたドラえもんはのび太に「テレパしい」という道具を渡す。これを食べると考えていることを相手に伝えることが出来るようになるのだ。これを使ってドラえもんやママををからかったのび太は外に出かけ、心の中でしずかを誉める。しかしその時に考えた本音までしずかに伝わってしまい、しずかを怒らせてしまう。スネ夫と道ですれ違っても考えていることが通じてしまい、以前借りた本をなくしてしまったことを知ってスネ夫も怒り出してしまう。さらに人の家の植木を壊してしまったことも、その家の主人にばれてしまい、考えを読まれたジャイアンによってメタメタにされてしまう。反省したことを知ったドラえもんは効果を消そうとするが、のび太の反省が表面上のものであることを見抜かれ、ドラえもんは再び怒り、治してやらないと言い出すのだった。  

 (解説)「テレパしい」。このダジャレはよほど藤子F先生が気に入っていたのかどうかはわかりませんが、先生はこの道具を使ったSF短編も描かれています。両作に共通しているテーマは「本音と建前」だと思います。ドラでは本音しか話せなくなる道具が幾度も登場しますが、先生は今話の中では「本音を言うことは必ずしもいい事ではない」という、一種冷めた視点からのテーマを扱っています。本音と建前を使い分けることこそが人間なのだという信念のような物が伝わってきます。それ故、今回ののび太の道具によるしっぺ返しも、結構ひどい物になっているのでしょう。しかしのび太はジャイアンに会った時、何を考えていたのでしょう?
ドライブはそうじ機に乗って   10頁 小四78年3月号(無生物さいみんメガフォン)
 スネ夫のいとこが買ったスーパーカーにみんなで乗せてもらおうとするが、人数が多すぎるということで、いつものようにのび太だけがあぶれてしまう。漫画を読もうと思っても、この間ママに漫画を捨てられたために読むものがなく、テレビの催眠術番組を見るが今度はテレビが壊れてしまい、遂にテレビに八つ当たりしてしまうのび太。話を聞いたドラえもんは「無生物さいみんメガフォン」を出し、家の鏡に催眠術をかけてテレビにしてしまう。無生物に催眠術をかけることが出来るのだ。他にも偉い人の本を漫画にしたり、バットや机を楽器にして楽しむ二人だが、あまりにうるさいのでママが二階に上がってくる。それに気付いた二人は二階の窓を一階にして逃げ出し、さらに家の中をアスレチックのようにしてしまい、ママを怒らせてしまう。逃げようとするのび太にドラえもんは、そうじ機に催眠をかけてスーパーカーにし、それに乗って逃げ出す。周りの人もそれをスーパーカーと認識し、ドライブを楽しむ二人。その時スネ夫のスーパーカーを見つけたのび太はスーパーカーにゴミ収集車になるよう催眠をかけ、スーパーカーは勝手にゴミを集め始めてしまうのだった。  

 (解説)作中でのびドラが言っている通り、無生物に催眠術をかけられるという時点で、既にナンセンスな世界になっています。色々な物があって今回も面白いのですが、やはり白眉は「掃除機のスーパーカー」でしょう。掃除機に乗ってドライブをすることそのものがナンセンスなら、それをスーパーカーだと思って「かっこいい」と言わせる世界がもっとナンセンスだ(笑)。スネ夫の従兄弟の多趣味ぶりも相変わらずのようで(笑)。
自動質屋機   8頁 小五79年4月号
 何かに向かって疾走するのび太。それと全く同じ行動をとる一人の男。二人は道に落ちていたお金に向かって飛び込んで行った。お金を取り合う二人だが、ご飯も食べていないという男に同情したのび太はお金を譲る。しかしお金も10円玉だったので、大した足しにはならない様子だった。のび太も欲しい漫画があるのだが、やはりお金が足りないのだ。こればかりはドラえもんにも相談できないと聞いて、聞き捨てならないと怒り出すドラえもんだが、お金のことと聞いてやはり困ってしまう。それでも意地になったドラえもんは「自動質屋機」を取り出した。これに品物を入れると、その品物の価値に見合った金額を貸してくれるのだ。3ヶ月以内に返さないと品物は消えてしまうが、取りあえず漫画を買えるだけのお金を手に入れて買いに行くのび太。だが居間でママが家計のやりくりに苦労しているのを見て、毛皮のコートと指輪を預かって質に入れるが、思ったよりもお金が出てこなかったため、そのことを正直に話すとママは怒り出してしまう。改めて本を買いに行ったのび太はその帰りに先程の男に出会う。男は売れない画家だったのだ。諦めて故郷に帰るという男の話を聞いて、のび太は絵を一枚持って帰ってみる。ドラえもんもその絵には悲観的だったが、試しに質屋機の中にいれてみると、なんと百万円ものお金が飛び出してきた。話を聞いて描いた当人も驚くが、そこへ画廊を経営しているという人が現れ、その男の絵を買いたいと言ってきた。喜ぶ男を見つめ、安心して帰っていく二人であった。  

 (解説)道具を使って(今回は間接的に?)訪れるハッピーエンド。これこそが中期以降のドラえもんのストーリーの根幹を成すものであり、ある意味強引とも取れるこの展開こそが、中期以降のドラの魅力を決定付けたと言っても過言ではないでしょう(何を力説してるんだ、僕は?)。でもやはりドラ本来の味はナンセンスギャグなので、今話にもそのエッセンスは十分に生かされています。個人的には冒頭の激走が好きなのですが、それ以外にも妙に未来のロボットであることを気にするドラや、お金のことで怒り出すママなど、面白い所は目白押しです。そもそもラストのオチが既にナンセンスなんですよね。笑えて優しい気分になれる。ドラ世界の真骨頂ですね。
ホームメイロ   8頁 小五79年1月号
 友達の家の中があまりに広すぎたため、トイレに行った帰りにのび太は迷ってしまって泣き出してしまう。家に帰ってきたのび太は自分の家も迷路のように広くしたいと言い出した。ドラえもんは仕方なく「ホームメイロ」を出し、それをまわすことで空間を捻じ曲げて、家の中を迷路のようにしてしまう。だが難なく家の外に出られたのび太は調子に乗ってホームメイロをたくさん回してしまい、家は大迷宮になってしまう。一つずつドアを開けて出口を探す二人だが、どうしても出口が見つからない。あきらめて元に戻そうとするが、今度は機械のある部屋に戻ることができなくなってしまう。ママまでも中で迷ってしまい、窓から外に出ることもできなくなり、どうしようもなくなってしまう二人。その時パパが家に帰ってくると、玄関がのび太の部屋につながっていた。何も知らずに置いてあったホームメイロを回すと、それが逆回しだったために家は元通りになり、無事に脱出した三人はパパに飛びついて喜ぶのだった。

 (解説)今回登場のやたら大きな家に住む友達は何者?という事はさておき(笑)、今回も遊び心あふれる話に仕上がっていますね。でも回しすぎるとやった自分自身も脱出不能になってしまうというところが、未来道具特有の危険さをかもし出しています(笑)。あのままだったら本当にどうするつもりだったのだろう?未来世界の安全基準が怪しいですね。
実感帽   8頁 小五77年6月号
 部屋でラジコン飛行機を操縦する真似をしているのび太。ドラえもんが話を聞くと、どうしても本物が買ってもらえないので、空想のラジコンを飛ばしていると言う。その行為にいじらしさを感じたドラえもんはのび太に「実感帽」を出してやる。これを被って物体をイメージすると、そのものが被っている当人にだけ、現実の物として実感できるようになるのだ。早速ラジコンを出してみるのび太だが、イメージの仕方が悪かったために変な形のものが出てきてしまう。資料を見て今度は正確にラジコンを出し、喜ぶのび太はお礼にドラやきをイメージするが、イメージしたものはのび太以外の人間には見えないため、結局のび太は一人でドラやきを食べてしまう。外でラジコンを飛ばすのび太だが、事情を知らないジャイアンとスネ夫に笑われ、怒ったのび太はイメージで出したジャイアン達を殴りだす。それを見ていたしずかにも帽子を貸してやり、しずかはそれで人形を出す。だがしずかから話を聞いたジャイアン達はのび太から無理やり帽子を奪ってしまう。いろんな物を出して喜ぶジャイアンはそれを被ったまま寝るが、その際夢に見た恐竜がイメージとして実体化してしまい、翌日になっても恐竜に追いかけまわされるのであった。  

 (解説)今回、イメージしたものが本物になって出てくるという道具を出す時、ドラはのび太に『考えがあまいよ。』と言っていますが、よく考えると、本人だけとは言っても実物同然のものが出てきてしまうのだから、これは結構お得な道具なのではないでしょうか。まあ、他人からすれば単に怪しいわけで、作中でもジャイアン達がのび太を「おかしくなった」と言っていますね。話としては平凡作ですが、ジャイアンが実感帽で出していたものは一体何なのか、気になる所ではありますね。
しあわせのお星さま   12頁 小四78年12月号(しあわせのお星さま?)
 あいも変わらず真っ昼間からごろごろするのび太。更に昼間が長いから眠くなる、地球に引力があるから階段から転げ落ちる、地球の冬は寒いから夢の中で幸せのお星さまを探そうなどと屁理屈を言って、また布団にもぐりこんでしまう。そんなのび太にドラえもんは、火星と木星の間にある小惑星帯(アステロイドベルト)の中の小惑星を一つ選び、そこに理想の星を造ろうと話す。「酸素ボンベ」と「宇宙クリーム」を体につけて、どこでもドアで出発する二人。やってきた小惑星に緑を作るため、家から水を巻いたり、引力の小さい星でもちゃんとたまる空気を放出して、青空を作り上げる。更に植物の種を蒔いたり火山を爆発させたりして星を活性化させてゆき、しかも引力が小さい為に、のび太が転んでも痛くない。そして海に「動物の素スープ」を溶かし、「顕微望遠鏡」で覗いてみると、もう生物が発生していた。自転周期が二時間のために夜になったので、一旦家に帰る二人。翌日、学校から帰ってきたのび太はドラえもんを置いて一人で向かうが、もう既にそこでは地球並みの文明にまで発展していた。そこで見つけたのび太そっくりの子は、外で転ぶとすぐに家に戻り、早く夜にならないかと愚痴をこぼしているのだった。  

 (解説)のび太という少年を一から作り直しても、結局のび太はのび太のままだと言う、考えようによっては壮大な話です(そうなのか?)。一つの星の生命を、まるでおもちゃを作るみたいに創り上げてしまう。この発想のナンセンスさと単純化が今話の見所ですね。小惑星帯や、生命存在の条件など、作者の持つ知識を違和感なくとりこんでいるところもやはりさすがです。
あの日あの時あのダルマ   10頁 小六78年3月号(なくし物とりよせ機)
 部屋で死んだように倒れているのび太。驚いたドラえもんが話を聞いてみると、のび太は明日のテストで0点を取らないように勉強をしなければならないが、ママが大事にしていたプラチナの指輪を、しずかに見せびらかしている時になくしてしまったと言うのだ。これからママにたっぷり叱られることを思うと、とても勉強できないと言うのび太にドラえもんは「なくし物とりよせ機」を出してやる。はっきりとなくしたものの形を思い出せば、それが中から出てくるのだ。これで指輪を取り返したのび太に勉強をするよう話すドラえもんだが、のび太は昨日なくしたと言う10円玉も取りだし、更になくしたのではなく使った千円札まで取り出そうとする。怒るドラえもんだが、どうせ良い点は取れないと開き直るのび太を前に呆れ返って部屋を飛び出してしまう。のび太は今までママに捨てられたマンガやジャイアンに取り上げられた模型飛行機、谷へ落としたムギワラ帽子などをはじめとして、様々なものを出していく。その中に、のび太が小さい頃使っていた哺乳ビンがあった。そのビンを使って牛乳を飲みながら、昔を懐かしむのび太。そんなのび太にドラえもんは過去を顧みるよりも、未来のことを考えるよう諭すが、のび太は自分のたどる未来に失望し、ずっと子供のままでいたいと言い出した。そんなのび太を前に言葉を失い、部屋を立ち去るドラえもん。その時のび太は取り出したものの中にあった小さなダルマを見つけた。それは晩年、床に伏せるおばあちゃんが幼いのび太にくれたものだった。庭で転んで泣いていたのび太を、そのダルマを使って慰めてくれたおばあちゃん。おばあちゃんはおきあがりこぼしのダルマに例えて、転んでも一人で立ち上がれる強い子になって欲しいとのび太に話し、のび太もそれを約束した。今は亡き祖母との最後の思い出に頬を濡らしたのび太はやがて立ちあがり、机に向かって勉強を始める。どんなに転んでも何度でも立ちあがるという、おばあちゃんとの最後の約束を果たすために。  

 (解説)未来には常に辛い面が付きまとう。それは現実世界だけではなく、ドラえもんの世界においても同様です。しかしその辛い未来から逃げているだけでは何も解決しない。何度失敗しても、何度くじけてもそれに挑戦していかなければならない。例えそれがどんなに辛い道のりでも。のび太にとっての優しさの象徴であるおばあちゃんが遺した最後のメッセージは、そのまま僕達読者に対する作者のメッセージとも取れます。辛い現実を避けてはならない。その先にはきっと良いことがあるから。人間の可能性を大事にし続けた藤子F先生らしい、厳しくも優しいメッセージです。
 最後に蛇足。「ムギワラ帽子」の所は、なんか映画のコマーシャルのパロディだそうですが、どんな映画なんでしょう?
コーモンじょう   8頁 小五78年6月号
 周りに注意しながら空き地へやってきたのび太は、土管の中にいる妙な男のところへ向かった。その男はのび太たち子供を脅して、金を巻き上げていたのだった。小遣いが無いためにお金を払えないのび太はやむを得ずママの財布からお金を取ろうとするが、現れたドラえもんに咎められる。話を聞いて怒ったドラえもんは「コーモンじょう」という薬を取り出した。これを飲んで名前を名乗ると、水戸黄門の名乗りのように相手を平伏させることが出来るのだ。これを飲んでママを平伏させたのび太は空き地へ向かい、途中でジャイアンとスネ夫も平伏させて自信をつけたのび太は空き地の男に向かって自分の名前を名乗り、男を町から追い出す事に成功する。しかしその途中で正気に戻った男はまた戻ってきて、のび太は再び名乗ってから追い出すが、名前の秘密に気づいた男は耳の穴に綿を詰めて戻ってきたため、名乗りの効力が無くなってしまう。慌ててのび太が名前を連呼すると、そばにいたお巡りさんが恐れ入ってしまい、お巡りさんに助けを求めるのび太であった。  

 (解説)今回は道具のインパクトが凄い!何がすごいって、薬のデザイン(笑)。それを食べたのび太の顔と「オエ〜ッ」は最高です。今話は「横暴な第三者」が出てくる話ですが、「世界平和安全協会」などに比べると少しインパクトに欠けていますね。個人的には今回はオチが不明瞭な感じがして、話としてはあまり出来の良いものではないと思います。
ガールフレンドカタログ   10頁 小六78年6月号
 スネ夫の家でポップコーンをご馳走になるのび太とジャイアン。スネ夫は二人におりいって頼みがあると言う。その頼みとは、学校一の美人と噂されている河井伊奈子と将来結婚するために、今から自分の良い噂をそれとなく流して欲しいというものだった。人生には計画性が必要だと言うスネ夫の言葉を聞いて、ジャイアンまでその気になってしまったのを見たのび太は、ポップコーンを食べ過ぎたために家でホットケーキが食べられなくなったということもあり、人生に計画性をつけるべく、ドラえもんにこれから将来出会う女の子を調べる「ガールフレンドカタログメーカー」を出してもらう。ドラえもんはしずかと結婚する運命ののび太がそのような事をする事に驚くが、のび太は構わずにデータを引き出す。その結果、好みのタイプを二人見つけたのび太は、やってきたしずかにも構わないでその子の家に向かう。一人目の花賀さき子の家に行き、部屋でピアノを弾いている彼女を一目見て好きになったのび太は思わず部屋の中へ土足で入ってしまう。そのために彼女の騒がれたのび太は慌てて飛び出し、二人目の月形まる代の家に向かう。家に着いて彼女を探すのび太を怪しんだ家人が飛び出してくるが、そこへやってきたまる代はなんとのび太の事を知っていると言う。しかしそれは遅刻や廊下に立たされるなどの、のび太としては嬉しくない噂によるものだった。のび太はジャイアン達に良い噂を流してくれるよう頼み込むが、逆にジャイアン達に、のび太はよりごのみ出来る身分ではないから、結婚してくれる女性がいれば、それで有り難がるべきだと言われてしまう。それを聞いたのび太はしずかに向かって土下座して浮気した事を誤るが、訳を知らないしずかはただ不思議がるだけであった。  

 (解説)さすが最高学年誌掲載作品、扱うテーマが違う(笑)。恋愛というものに翻弄されている(ような)のび太のコミカルな描写が見所ですが、それとなく作者の恋愛観も混ざっているような感じもします。まあ、「思いこんだら一直線」が一番だと言う事でしょうか(笑)。しかしドラの道具はご都合主義とか言われたりしますが、今回の道具はモロにご都合主義だ(笑)。結構好きなんですけどね。出てきた写真の中に佐倉魔美?がいたり、河井伊奈子の名前が出たりして、今話はやけに藤子ファンへのサービスがいっぱいの作品でもあります。
お金がわいて出た話   10頁 小四79年5月号(未来小切手帳)
 何かを熱心に話しているのび太とママ。だが結局のび太は怒られてしまった様子。ドラえもんが話を聞いてみると、のび太は欲しいマンガ雑誌があるのでお小遣いの前借りを頼んだが、ママに断られたと言う。ドラえもんは小遣いが入るまで待つように言うが、のび太はどうしても欲しがって譲らない。そこでドラえもんは「未来小切手帳」をのび太に貸した。これを使ってマンガを買うことを薦めるが、雑誌一冊でやめておけと言い残してドラえもんは出かけてしまう。ママに小切手の使い方を聞いたのび太は道具をインチキだと思うが、ジャイアン達が雑誌を買っているのを見て、試しに金額を書きこんで本屋で使ってみると、何と本を買う事が出来、しかも書き間違えて一ケタ多く書いてしまった分のお釣りまでもらってしまう。続いておもちゃ屋でプラモを買ったのび太は有頂天になり、世界一の金持ちになったと息巻く。ジャイアンやしずかたちにも小切手を渡し、家にやって来ていたセールスマンから車を買うことまで契約してしまう。そんなのび太の様子を見たママは小遣い欲しさのあまり気が変になったと思いこみ、のび太に小遣いを渡す。しかしその封筒の中にはお金が入っていなかった。さらにそこへやってきたのび郎おじさんから貰った小遣いも消えてしまっていた。戻ってきたドラえもんはのび太から話を聞いて仰天する。この小切手は、のび太が将来手にいれる予定の未来のお金を使っており、このままではのび太は43歳の夏のボーナスまで1円も手に入らない事になってしまうというので、ドラえもんは急いでのび太を小切手回収に向かわせるのだった。  

 (解説)やはりラストののび太のセリフ通り、『うまい話ってないもんだなあ。』ということなのでしょう。でも今話ではテーマとしての重要な扱いにはなっていません。むしろ今話はいかにもドラらしい世界に大いに笑うべきでしょう。上機嫌ののび太を見て真っ先に頭がおかしくなったと思ってしまうジャイアンやママの描写は、個人的には大ウケでした。小切手の仕組みをこの話で知った人も結構いるのでは?
ねむれぬ夜に砂男   8頁 小五78年12月号
 夜、珍しく目がさえて眠れないのび太。本人は物思いにふけって眠れないと言い張るが、ドラえもんには昼寝のし過ぎだと一蹴されてしまう。のび太は暇なので外へ出てみることにする。深閑とした夜の町を一人歩くのび太。空き地で暇をつぶすことにするが、どんな物思いにふけったら良いのかが分からずに困ってしまい、だんだん寒くなってきてしまう。その時のび太は空き地にもう一人誰かがいるのに気付く。その男はずっと不眠症で苦しんでいると言う。そこへやってきたドラえもんに何とかしてあげるようのび太は頼みこみ、ドラえもんは「さいみん機」を取り出す。しかしそれを使っても男は全然眠くならない。ドラえもんは次に「羊とび式さいみん機」を出し、羊の数を数えさせるが、男は逆に目がさえてきたと言い出してしまう。ドラえもんは遂にとっときの「砂男式さいみん機」を出した。これの発する砂を浴びると、死んだ人さえ眠らせてしまうと言う。だがやはり男にかけても全然効果がない。ドラえもんは男に砂をたくさんかけるがそれでも男は眠らず、逆に撒き散らされた砂をかぶったドラえもんとのび太が眠ってしまう。その時その男の知り合いらしい女性が現れた。何とその男は夢遊病者で、眠れなくて困っている夢を見ているのだと言う。それを聞いて幻滅し、大きなくしゃみを一発してしまうドラえもんであった。  

 (解説)なんとも言えぬバカバカしさを、読んだ後に味わえる怪作です(笑)。冒頭の眠れぬのび太とは何の関係もない男がいきなり登場し、その男にドラ達が振りまわされる内容になっています。次々に出されるさいみん機のバリエーションも面白いですが、オチがとてつもなくくだらなく、逆を言えばそれだけの話でもあります。
百苦タイマー   8頁 小三78年4月号
 部屋中にポケットの中の道具を出したドラえもん。百ヵ月ごとの定期検査をするのだと言う。未来からセワシもやってきて道具の検査を始めるが、相手にされないのび太はつまらなく、勝手にいじってしまうがそれは「遠くの人起こし用目覚まし」だったために二人に怒られ、部屋から追い出されてしまう。それでものび太は二人に内緒で時計のような道具を持ってきていた。使い方が分からないのび太はとりあえずスイッチをいれてみる。と、そこへドラえもん達が仰天した様子で飛び込んできた。のび太の持ってきた道具は「百苦タイマー」といって、セットすると百分間に百の苦しみに合うのだと言う。本来は修行者が「行」を行う際に使うものだったが、のび太が間違えて作動させてしまったのだ。一分後に早速ドラえもん達に殴られてしまったのび太は、部屋の隅でじっとするがそれでも飾ってあった絵の額に頭をぶつけてしまい、たまらず外へ逃げ出す。しかし世界の果てまで逃げてもその効力を発揮し、弱い人は10回目くらいで死んでしまう事もあるという道具の力はすさまじく、のび太はジャイアンに殴られたり、落ちてきた鉄骨や、突っ込んできた車にぶつかったりしてしまう。段々苦しみの度合いがひどくなってきたのでのび太も参ってしずかの所へ逃げようとするが、今度はしずかが包丁を持って追いかけてくる。逃げ出すのび太だが、しずかは急に落ち着きを取り戻して家に帰っていった。不思議がるのび太にドラえもんは、百苦タイマーをセワシに100年後の世界まで持っていってもらったので、次の苦しみは100年たってから起きるのだと説明するのだった。  

 (解説)ちょっとお話しておきますと、今話は雑誌連載が始まってからちょうど百作目に当たるという事で、当時の「小三」において大々的な特集が組まれ、さらに「100」にちなんだ道具という事で「百苦タイマー」という道具が創造された訳です。ドラが作品中で話す「百ヶ月ごとに道具を点検する」というセリフには、こんな意味合いもあったわけです。
 その記念すべき百話目の話は、比較的初期のドタバタ色が強い話になっています。ドラ世界の真骨頂たるナンセンス性をふんだんに盛りこんだ快作に仕上がっています。道具の影響で理由なくのび太を殴ってしまうドラやジャイアン達が面白いです。
タンポポ空を行く   16頁 てれびくん79年6月号(ファンタグラス)
 のび太の部屋に置きっぱなしだったガラスばちの中にタンポポが生えていた。どこからか舞い込んできた種が根付いたのだ。捨ててこようとするのび太にドラえもんは自然を愛する心を教えようと、「ファンタグラス」を出す。のび太がつけてみると、タンポポが人間のように泣いていた。これをつけると植物も動物も人間のように見えるのだ。のび太がタンポポを庭に移しかえると、今度は庭中の草木が水が欲しいと言い出した。仕方なく水撒きをするが、近くのネコにバカにされて止めてしまう。そんなのび太にドラえもんは、ファンタグラスで聞こえる事は、自分が心の底で思っていることなのだと言う。ふてくされるのび太だが、部屋にいたアリまでもがのび太をバカにしているのを聞き、勉強を始める。水をあげてタンポポと仲良くなったのび太だが、ジャイアン達に野球に誘われても居留守を使うのを見て、タンポポは自分から挑戦していくように諭す。のび太の手厚い世話のおかげでタンポポは見事な花を咲かせるが、のび太自身は段々タンポポとの世界に埋没していってしまい、ドラえもんの説得にも耳を貸さない。タンポポは種の子供達を持つようになり、種は風に乗って旅立っていくが、一つの種がタンポポと離れるのを嫌がって旅立とうとしない。夜、心配になったのび太が様子を見ると、タンポポは子供の種に、自分が今まで旅をしてきた事を優しく話して聞かせ、旅立つ事の大切さを説いていた。翌日、風に乗って子供は旅に出た。子供との別れを果たしたのび太は、野球をやっているみんなを見て、自分も入れてもらおうかと考えるのであった。  

 (解説)タンポポを擬人化することで、物事を克服するために必要な勇気を持つ事の大切さを、分かりやすく、そして優しく語っています。ファンタグラスを通じてタンポポが語った事は、実はのび太の深層意識化の思考でもあり、のび太も本当はこのままではいけないのだと思っているわけで、そうのび太に思わせている事が、「人間の可能性」を大事にしてきた作者らしい描写です。勇気を出して未知の世界の挑む。それはとても辛い事だけど、その勇気だけを失って欲しくない。藤子F先生からの純粋なメッセージとして、僕達も心に刻んでおくべきだと思います。



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