てんとう虫コミックス第27巻


四次元たてましブロック   9頁 小三82年3月号
 丸めた布団で殴りっこする「マット・フェンシング」を考えついたのび太とドラえもんは早速それで遊ぶが、ママに注意されてしまう。そこでドラえもんは「四次元たてましブロック」を出した。一階と二階の間にブロックを挟むことで、家を何階建てにでも変えることが出来るのだ。ブロックを一つ挟んで家を三階建てにした二人はマットフェンシングで思いっきり遊ぶが、ママはそれには気付かない。のび太はしずかも連れてこようとするが、外に出てみると家の様子が変わっていないことに気付いて驚く。四次元構造であるため、外見上の変化はないのだ。しずかは家で工事をしているために静かな勉強部屋が欲しいと言うので、のび太は新たに作った二階を貸すことにする。ドラえもんは用のために出かけるが、その時道具のことで注意されたため、意地になったのび太は道具を使って部屋の貸し出しを始めてしまう。早速スネ夫が入居してくるが、ジャイアンも四階に入居して歌の練習を始めたため、のび太は階を増やしてスネ夫としずかにそれぞれ七階と八階を貸すことにする。ところが部屋を借りたいという男が家を訪れたことからママの知るところとなり、ママはのび太の部屋に向かう。それに気付いたのび太はどんどん階を増やしていき、ママは疲れ切って倒れてしまう。最上階まで階を増やしたのび太はその景色に見とれるが、トイレに行きたくなったので急いで一番下の階まで向かう。それでも到底間に合うはずもなく、のび太は途中でおしっこを漏らしてしまうのであった。  

 (解説)冒頭の布団遊びは何故か非常に共感できますね。僕も小さい頃同じようなことをしようとして母親に注意された記憶があります。相変わらず商才のないくせに商売を始めてしまうのび太も面白いですが、疲れて気絶してしまうほど走ったママも違う意味ですごいですね(笑)。たてましブロックは最高で何階建てになるのでしょうか?
のび太の調教師   8頁 小六81年10月号(「天ばつムチ」でしつけを)
 またジャイアンにいじめられて帰ってきたのび太。ジャイアンを猛獣に例えるのび太にドラえもんは猛獣をおとなしくさせるにはムチを使うしかないと言い、「天ばつムチ」を取り出した。悪いことをした時にこれをならすと、その罪の重さに相当する罰が与えられるのだ。機嫌の悪そうなジャイアンの顔を見て逃げ出すみんなだが、運悪くスネ夫がつかまってしまい、顔面を殴られてしまう。そこでドラえもんがムチをならすと、大工が担いでいた木の柱がジャイアンの顔にぶつかってしまう。ムシャクシャするジャイアンは友達からマンガを取り上げ、更に一発殴ってしまう。そこでのび太がムチをならすと、マンガはジャイアンが転んだ弾みに持ち主の所に戻ってきて、更にジャイアンが蹴っ飛ばした小石が電柱によって跳ね返り、自分にぶつかってしまう。このままムチを使っていくことにする二人だがジャイアンが家に帰りだしたので、偶然転がってきた友達のサッカーボールをジャイアンにぶつけ、その友達をジャイアンに追いかけさせる。ある程度の所でムチをならすと今度はジャイアンは踏みつけたイヌに追いかけ回されてしまう。腹を立てたジャイアンは八つ当たりを始めるが、何をやってもムチのせいで自分に跳ね返ってきてしまう。疲れたジャイアンは模型飛行機が頭にぶつかっても持ち主に手を出さなくなった。これを見て安心したのび太はスネ夫やしずかを誘ってジャイアンをわざと怒らせるが、ジャイアンはのび太をボロボロにしてしまう。横たわるのび太を見ながらドラえもんは、『けっきょくジャイアンは、ライオンよりものおぼえが悪かったということか。』と冷静に呟くのであった。  

 (解説)いわゆる「こじつけギャグ」の世界ですが、人間は知性がある分、一般の動物のように単純に調教できるわけではないんですよね。街の平和のために友達を犠牲にしてしまうのび太も結構悪いヤツだ。ラストのオチはある意味「自業自得」だったのかも。オチも例によってドラえもんの冷静な一言がアクセントになっていますね。
恋するドラえもん   8頁 小六82年4月号(失恋しちゃった)
 最近グンニャリして、大好きなドラやきも喉を通らないというドラえもん。そんな様子を見て、ドラえもんに好きなメスネコが出来たのではないかと察するのび太。だがドラえもんはそのネコと話をしたことすらなく、のび太はドラえもんの案内でそのネコを見に行く。大きな家の一室にそのネコはおり、真っ白できれいなペルシャネコだった。自分のお嫁さんになって欲しいと希望を話すドラえもんは、ネコが偶然こちらを見た時の目にすっかり参ってしまい、屋根から転げ落ちてしまう。その時ペルシャネコのいる部屋の窓をじっと見つめる黒いネコを見かけ、不快感を持つドラえもん。ドラえもんはのび太のアドバイスで未来のネコ用品をプレゼントすることにし、どこでもドアで部屋まで行くことにするが、ドラえもんはそこでも躊躇してしまうので、のび太が突き飛ばして強引に部屋に送り込んでしまう。ドラえもんは緊張しながらも何とか会話をし、プレゼントも渡して相手に感謝され、幸せの絶頂に浸る。部屋の外に出てみたいというペルシャネコの願いを叶えるため、どこでもドアで外に連れ出したドラえもんは二人で屋根の上を散歩するが、そんな中で二人は先程の黒ネコと出会い、しかも二匹が今まで一言も話したことがないにも関わらず相思相愛の中であることを知ったドラえもんはライバルを倒そうと地球破壊爆弾まで取り出してしまうが、ペルシャネコに二匹で仲良く暮らしていけるようにして欲しいと頼まれ、ドラえもんは辛い心中を抑えて、てんコミ22巻で作った大昔のイヌとネコの国に二匹を連れていく。好きなネコの幸せのために敢えて身を引いたドラえもんは、それでも悲しみの涙を流すのだった。  

 (解説)久しぶりのドラ恋愛話ですが、ドラえもん男ですねえ(笑)。こういう話の常として、のびドラの立場がいつもと逆転してしまっているというのも見応えがあって面白いですね。てんコミ22巻に登場した「イチの国」に行ってしまった二匹は進化退化放射線源で進化したのでしょうか?黒ネコと相思相愛であることを知った時の大口を開けたドラの表情やお久しぶりの地球破壊爆弾、そしてラストのコマで強調されている影など、細かな部分の演出も光っています。
カッコータマゴ   8頁 小五82年7月号
 ママの日頃の厳しさをみんなに話すのび太。買い物からのび太が家に帰ってくると、ドラえもんは未来デパートから送られてきた品物に文句を言っていた。送られてきたのは、持っていると勝手によその家族になることが出来るという「カッコータマゴ」で、ドラえもんは頼んだ覚えのないものだった。それを見たのび太は一瞬使ってしまおうかとも考えるが、やはり思いとどまる。しかしそう思ったのもつかの間、些細なことでママに激しく叱られ、その反発でタマゴを持ち出してしまう。タマゴをポケットに入れたのび太はスネ夫の家に入り込んでスネ夫になりすましてしまう。豪華なおやつやスネ夫の遊び道具を楽しむのび太だが、そこへ本物のスネ夫が帰ってくる。だがスネ夫のママはスネ夫を追い返し、のび太を見つけてものび太をスネ夫と思いこんでいるママが止めに入ってしまう。空き地で泣いているスネ夫を見かけ、話を聞いたドラえもんはスネ夫と共に家に向かう。のび太はその頃お風呂に入っていたが、その時にのび太の服をいじっていたママがタマゴを見つけてしまい、窓から捨てた時にちょうど外に来ていたドラえもんがタマゴを飲み込んでしまう。タマゴの効力がなくなったのび太は家から出るが、スネ夫のママは今度はドラえもんをスネ夫と思いこみ、スネ夫もドラえもんも慌てふためいてしまうのであった。  

 (解説)こういった道具の場合、「道具によるしっぺ返し」がオチになりそうなものですが、今話では少し毛色が違っています。まあしっぺ返しの方のネタは「やどり木」がありますけどね。5ページ目の部分の絵が多少異なっていますが、これについては今更説明する必要もないでしょうね。
分身ハンマー   7頁 小二80年7月号(分しんハンマー)
 家の玄関前で一人ジャンケンをしているのび太。宿題がたくさんあるのだが、しずかから遊びに誘われたので、どちらの手が勝つかで決めようとしていたという。呆れたドラえもんは「分身ハンマー」を出した。心が二つに別れてしまった時、それぞれの心に従って体も二つに分身させることが出来るハンマーなのだ。早速のび太を叩いて宿題をする方の分身を出すが、宿題をしたいという気持ちが弱かったので少し色が薄くなってしまう。元に戻る方法も確かめたのび太は安心して分身に宿題をさせる。急いで家に上がった分身の音を聞いてママはのび太が遊びに行くのかと疑うが、真面目に勉強しているのを見て驚いてしまう。一方しずかの家に向かうのび太とドラえもんはジャイアン達から野球に誘われてしまい、再びハンマーを使うが野球したいという気持ちが弱すぎるために分身が発生せず、強く叩いてやっと分身が飛び出した。二人はしずかと仲良く遊ぶが、勉強の分身は元々勉強が出来ない頭のためにイライラし、野球の分身は下手くそのために苦労していた。そして夕暮れ、勉強の合間にトイレに向かう分身のび太は廊下を掃除しているママのバケツをひっくり返してしまう。さらに野球で負けてジャイアン達に追いかけられながら帰ってきたもう一人の分身は慌てて入ったために、バケツをまたひっくり返してしまう。そして本物ののび太が家に帰ってきて、またもバケツをひっくり返し、しかもバケツの水をママにかぶせてしまうのであった。  

 (解説)「分身」というと、何でも出来るオールマイティな能力だと考えられがちですが、今話の道具ではそれにうまく制限をかけて道具の魅力を引き出しています。更に分身がいるための連鎖的なオチもシンプルながらも面白く、オーソドックスな楽しさを醸し出しています。ラストのオチの後、のび太がどうなったのかが非常に興味をそそられる所ではあります(笑)。
コンチュウ飛行機にのろう   9頁 小三81年8月号(昆虫飛行機にのろう!)
 スネ夫からアメリカの知り合いが持っているという自家用飛行機のスライドを見せられたのび太は羨ましがるが、狭い日本では自家用機など利用できるはずがないと考える。その話を聞いたドラえもんは手軽に「自家用機」が作れると言って、「コンチュウ飛行機のりこみ用タラップ」と「操虫かん」を出した。学校の裏山に行って、近くを飛んでいたトンボに操虫かんを取り付けてそのまま小さくなったのび太はトンボに乗り、うまくコントロールしてトンボを乗りこなすようになった。ドラえもんもトンボに乗り込み、二人で付近を飛び回る。ジャイアン達をからかった二人はしずかも誘って改めて裏山へ行き、しずかはアゲハチョウに乗り込んで三人で楽しく遊ぶ。だがしずかのチョウが蜘蛛の巣に引っかかってしまい、ドラえもんは元の大きさに戻って慌ててしずかを助け出す。その頃のび太はジャイアン達につかまってしまい、ジャイアンは無理やり道具の使い方を聞き出してしまう。ジャイアンは虫を選ばなかったためにハエに乗り込むことになるが、とりあえず自宅へ行ってみる。家では母ちゃんがスイカを一人で食べていたため文句を言うが、ジャイアンが乗っているとは知らない母ちゃんはハエ叩きでハエをたたき落としてしまい、元の大きさに戻ったジャイアンを見て驚くのであった。  

 (解説)道具の基本コンセプトは既存の道具にも存在していますが、「昆虫を乗り物にする」という着眼点が目新しいですね。空を飛んでいる時の爽快感もF先生ならではのもので楽しいものになっています。オチは結構強烈になっていますね。タラップの各部名称で、操縦者が小さくなる箇所を「ガリバーユニット」という名前にしているところが、細かいながらも好感が持てます。
細く長い友だち   11頁 てれびくん81年9月号(せわやきロープ)
 従兄弟の結婚式で二日間家を留守にすることにしたパパとママは出かけてしまうが、ドラえもんも二、三日留守にすることにし、のび太は寂しがって泣き出してしまう。そこでドラえもんは「世話やきロープ」を出し、のび太の世話をこのロープに任せて出かけていく。更に泣きわめくのび太だが、ロープが人間の形になって慰めてきたので止めさせる。留守番をしているために遊びにも行けず退屈なのび太だが、ロープが留守番を変わりに努めると言いだし、のび太は一旦は任せて家を出るもののやはり心配で、陰からこっそり見守ることにする。だがロープはとても優秀で集金などはきちんと支払い、押し売りはすぐに追い払ってしまった。安心したのび太はしずかの家に向かうが途中でジャイアン達に野球に誘われ、仕方なく野球をすることにする。早速ホームラン並みのヒットを打たれてしまうが、家にカギをかけて出てきたロープのおかげでフライに終わり、しかもみんなには気付かれていないのでのび太のおかげになってしまった。打席でもロープが隠れてホームランを打ち、のび太は勝利の立て役者になってしまう。改めてしずかの家に向かったのび太だが、しずかは遠い家までお使いに行くと言う。のび太はロープに馬になってもらい、しずかも乗せて目的の家に急ぐ。お使いを追えた二人は裏山でロープにいろんな遊び道具になってもらい、途中からやって来た他のみんなと一緒に楽しく遊ぶ。家に帰ったのび太はロープに料理も作ってもらうが、そこにのび太のことが気がかりでドラえもんが予定を繰り上げて帰ってきた。だがのび太はロープとの遊びに夢中で、ドラえもんが帰ってきたことにさえも気がつかないのであった。  

 (解説)のび太とロープが仲良くなっていく過程と、道具を使っての楽しい遊びを両立させて描いている、読み応えのある楽しい作品です。特にしゃべることが出来ずにジェスチャー?でのび太と会話するロープが面白く、極めて人間的な性格を持たせているところが魅力的ですね。話の冒頭と終盤で見事に態度が変わってしまうのび太も良いですね。あれじゃ、せっかく帰ってきたドラえもんがかわいそうな気もしますが(笑)。
きりかえ式タイムスコープ   10頁 小四79年6月号(切りかえ式タイムスコープ)
 夜、のび太のせいでまた野球が負けてしまい、今まで絞られていたのび太がやっと帰ってきた。しかもこっそり抜け出して野球に行ったために、ご飯よりも先に宿題を優先するようママに言われてしまい、しかも小遣いをたくさんくれるおじさんが昼間来ていたことも知り、野球に行ったことを後悔してしまう。そんなのび太にドラえもんは「きりかえ式タイムスコープ」を出し、のび太が野球に行かなかった場合の展開を見せる。そこには勉強をしていたせいでママに誉められ、おじさんからは小遣いをもらい、そして野球が負けたためにみんなが怒られているところを見て安心するのび太が映し出されていた。更にのび太は宿題をやるかやらないかでの未来の様子を見るが、どちらにしても宿題が出来ないことを知って、同じ事ならばと宿題をしないで眠ってしまう。翌朝目覚めたのび太はご飯を食べに行く前にタイムスコープですぐ起きるべきかどうかを見始める。そちらの未来では良いムードになっているようだが、のび太は更に未来を見始めたために、ドラえもんは待ちきれずに階下に降りていってしまう。夕方に映画を見に行くことになったのび太はそれまでの時間をどう過ごしたらいいかで、ジャイアンとしずかどちらをとるかで迷うが、しずかの家に行くと色々な騒ぎを起こすことがわかり、ジャイアンが誘ってきた野球の方に行くと、攻守共にまぐれで大活躍し、夕方になって家族で一緒に映画を見に出かけ、楽しい一日を過ごすことになった。そこまでの未来をタイムスコープで見たのび太は早速起きて階下に降りるが、タイムスコープを見ているうちに時間は昼になってしまい、ママから叱られてしまう。そんな様子を見て、あらかじめタイムスコープでこの未来を予測するべきだったと考えるドラえもんであった。  

 (解説)別々の未来を見ることが出来るという点に於いては、話のテーマ性からか「コースチェッカー」の方が有名かとも思いますが、同じような機能を持つ道具を登場させながら、180度異なる物語を作りだしているところはさすがと言うべきですね。やはり未来のことを必要以上に気にせずに、今をしっかり生きるべきと言うことなんでしょうか。しかしよく考えると、前日に野球をしたのに翌日またすぐに野球を行うジャイアン達もすごいですね。これじゃ選手達のコンディションが悪くなると思うのですが(笑)。
キンシひょうしき   9頁 小三81年3月号
 「禁煙」と書かれた張り紙の下でタバコを吸うパパ。32回目の禁煙も失敗してママに注意されるパパではあるが、どうしてもやめられないと言う。パパを心配したのび太は何とか出来ないものかとドラえもんに相談するが、ドラえもんは躊躇しながらも「キンシひょうしき」を出した。これに禁止したいことを書いて刺し込むと、その空間内では絶対にそれが出来なくなってしまうのだ。早速「タバコ」と書いたひょうしきを居間に刺すと、パパはタバコが吸えなくなってしまう。それを見たのび太は「おこごと」と書いたひょうしきを部屋に刺し、部屋ではママが叱ることが出来ないようにしてしまう。のび太は安心して昼寝を始めるが、何故かどうしても寝ることが出来ない。部屋の隅を見ると「ひるね」と書かれたひょうしきが刺さっており、宿題が終わるまで抜かないと、ドラえもんはひょうしきを抜くことが出来るペンチを窓から放り出してしまう。のび太は勉強を始めドラえもんはドラやきを食べようとするが何故かドラやきを食べられない。のび太が「ドラやき」と書いたひょうしきを刺していたのだ。ドラえもんとのび太は先を争って庭にペンチを探しに行くが、しずかからの電話でのび太は中に戻る。遊びに誘われたのび太だったが、ドラえもんがひょうしきを刺したために電話で応対することが出来なくなり、しずかは電話を切ってしまう。怒ったのび太は部屋を立入禁止にし、対するドラえもんも階段を通れなくし、のび太は更に廊下を通れなくするがドラえもんはトイレをおしっこ禁止にしてしまい、のび太は困り果てる。家中の異変に困惑するママだが、そこへ家の中でタバコが吸えないために屋根の上に登って吸っていたパパが屋根から落ちてきた。二人に怒られたのび太とドラえもんはペンチを見つけて家中のひょうしきを抜くのであった。  

 (解説)ラストのドラのセリフ『どんなにいい道具でも、のび太が使うとろくなことにならないんだから。』は、今回に限っては少し違うような気も(笑)。ゲーム感覚の二人の戦い?もユニークですが、家で吸えないからといって屋根の上にまで上がってしまうパパの根性もすごいですね。頭が下がります(笑)。
ポラマップスコープとポラマップ地図   11頁 小四81年7月号
 気球による世界一周を目指し、ベイルートから出発した熱気球。のび太とドラえもんは気球がどこを飛んでいるか見るために「ポラマップスコープとポラマップ地図」を出し、東南アジア近辺の地図を出して気球の位置を確かめた。次に自分の家の近くをスコープで見るのび太は、裏山でジャイアンがたくさんの風船をくくりつけた箱に乗っているところを目撃する。これで気球のように浮かぶつもりらしいが、当然落下してしまう。二人の様子を見に行くとジャイアン達はしずかに気球旅行は失敗することを力説していた。そのことを笑うのび太達だが、そのせいで成功の成否でゲンコツ百発をかけることになってしまう。そして気球はパキスタン北部で行方不明になってしまった。二人はスコープと地図を使って気球を探すと、気球は巨大な山にぶつかる寸前であったが、空気が薄いために上昇することが出来ずにいた。ドラえもんは「地球消しゴム」で地図の山を消すことで高さを変え、気球が通り過ぎてから「地球エンピツ」でまた書き足した。気球が見つかって安心するのび太だが、気球はまたもチベット高原で行方不明になってしまった。急いで気球を探す二人だが、そこにジャイアン達がやって来るが、のび太はもう少し様子を見てもらう。そしてドラえもんは気球を発見したが、気球は破れておりガスが抜けているので墜落していた。ドラえもんはタイムふろしきをスコープに詰めて気球の所に発射し、何とか破損個所を修理しようとする。のび太達を百発殴ろうと家に向かうジャイアン達だが、そこに気球が見つかったというニュースが入る。中国大陸を抜けて気球は日本にまでやって来た。上空を舞って行く気球を笑顔で見上げるのび太達。そしてそれを見ながら、ゲンコツの数を十発にすることを申し出るジャイアン達であった。  

 (解説)現実問題として考えると、気球を使っての世界一周は困難極まりないものです。でもやはり人が空に憧れる限り、その夢を抱く人も後を絶たないでしょう。そんな「夢」を道具の力で叶えてくれる、まさに「夢物語」と呼ぶにふさわしい、ある種ファンタジックな世界が展開しています。気球が直面する困難を誰に気付かれることもなく陰から手助けするのびドラには、こんな夢が実現して欲しいという作者自身の希望も入っているのかも知れません。そして同時に「地球の形を変えてしまう」というナンセンス性バッチリの道具も登場、あくまで「ドラえもん」らしい話になっています。
人間ブックカバー   9頁 小三82年4月号(人間ブックカバーでモーレツ読書)
 マンガしか読まない子供が多いことを嘆く先生は、みんなをもっと活字に親しませるため、本を読んでの感想文を書くことを宿題に出した。字ばかりの本など持っていないのび太だがとりあえずしずかから本を借りてきていた。しかし拒否反応を示すのび太は1ページも読まずに眠りこけてしまい、ドラえもんに泣きついてしまう。ドラえもんは人間を本に変えてしまう「人間ブックカバー」を出した。本を「読む」よりも「聞く」方が楽だからである。試しにのび太が最近読んだ漫画本のタイトルを書いてのび太を本にしてしまうが、絵がないので声だけではわけがわからない。それでも道具の力を知ったのび太はしずかに本になってもらうよう頼みに行くが断られてしまい、のび太は出木杉の家に行く。宿題をとっくに終わらせていた出木杉から色々な本を薦められ、結局「十五少年漂流記」を借りることにするのび太。だがさすがの出木杉も本になることは拒む。困るのび太だが出木杉を未来の世界に連れていくことを条件に、本になることを約束させる。ドラミの案内で未来世界を探訪して満足した出木杉は仕方なく本になった。出木杉の読み上げる小説の内容にどんどん引き込まれていくのび太。途中でお使いを頼まれたり出木杉がトイレに行ったりしながらものび太は小説の世界に夢中になっていく。ところが声を出しすぎて出木杉は声が枯れてしまい、ブックカバーの使用を止めることにするが、続きが気になるのび太は出木杉から本を借りて一人で読み始めた。夜遅くになっても読むのを止めないのび太をママが注意するが、ほんの面白さがわかってきたのび太を放っておくよう、ドラえもんが諫めるのであった。

 (解説)マンガの中で「小説を読みなさい」と言うのも逆説っぽい気がするような感じもしますが、今話で言いたいことはやはり作者である藤子F先生自身が子供の頃に読んだ数々の本への「憧憬」だと思います。マンガには小説で描けないところがあるように、小説にはマンガでは表せない面があります。のび太が読んだ本が難しい本ではなく、子供なら誰でも憧れる冒険を描いた「十五少年漂流記」だったのも、その思いを表現したかったからかも知れません。それにしても「アンクルトムの小屋」なんて、出木杉は本当に中身を理解しているのか(笑)?ところで、今話が掲載されたのは82年の4月。それから18年経とうとしているのに、子供の活字離れについては一向に解決されていません。不思議なものです。
職業テスト腕章   10頁 小四81年4月号
 学校で将来の夢を話し合うみんなだが、のび太だけは特に何も答えられずに終わってしまう。下校中にのび太は突然、将来は先生になることを思いつく。その話を聞いたドラえもんは一応感心するが、のび太が本当に先生になったらどうなるのかをテストしようと、「職業テスト腕章」を出した。ここになりたい職業を書き込むとその職業になることが出来るのだ。翌日に教壇に立つのび太は、腕章をつけているために一応先生になるための勉強をしていることになったため、黒板で問題をスラスラ解いて自分で喜ぶがみんなの反応は冷たい。テストを面倒がって中止したのび太はしずかの質問には優しく答えるがスネ夫の質問を無視したためにジャイアンが文句を言い、のび太はジャイアンを廊下に立たせようとする。そして廊下に立たせない代わりにこっそり持ってきていたマンガを出させ、みんなに自習をさせて自分はそのマンガを校庭で読みふける。だが腕章の効き目が切れてしまったために先生に叱られてしまい、廊下に立たされる。帰ってきて先生を辞めると言い出すのび太を見て安心するドラえもんだが、のび太は懲りずに今度は本屋になってしまう。だが今度ものび太は本を読みふけって客への応対を怠り、やがてタイマーが切れて追い出されてしまう。仕事はそんなに甘くはないことを話そうとするドラえもんだが子供ののび太はそんなことを理解するはずもなく、のび太は次にまんが家になり、更にタイマーを三日間ほどにセットしてもらい、フニャ子フニャ夫の家に向かう。と、そこではフニャ子が逃げ出し、その代わりにのび太がつかまってしまう。のび太は昼寝をしてからゆっくりマンガを書くと話すが、締切に追われている編集者達は原稿が出来るまで寝させないと息巻き、のび太は強制的にマンガを描かされてしまう。たまらずドラえもんに助けを求めるのび太であった。  

 (解説)仕事に対して誤解を抱いているのは子供だからしょうがないよな(笑)。こればっかりは大人にならないとわからないことですからねえ(大笑)。と、個人的な感想はさておき、久々登場のフニャ子先生もやはりイイ味を出していました。しかし先生になったのび太はしずかに対して「きみかわいいね」などと言っていますが、今のご時世ではこんな事言うと「セクハラ」と言われてしまうぞ(笑)。
本物電子ゲーム   8頁 小五82年5月号
 のび太が三年間貯金して貯めたお金でやっと購入した電子ゲーム。みんなに見せびらかすのび太だがみんなが自分よりも高得点を出すのを見て、慌てて自分も練習を始める。ところがそこにジャイアンが現れ、ジャイアンがゲームをプレイするが、自分の出した得点がスネ夫やしずかよりも低いことに腹を立てて、ゲームを持っていってしまう。悔しがるのび太にドラえもんは「本物電子ゲーム」を出し、ジャイアンの下に向かう。ドラえもんはターゲットとフィールドをセットし、ジャイアンを使った本物のゲームを始めた。のび太の持っているゲームと同じく、上から槍や刀が振ってくるのだが、当たっても少し痛い程度だと言う。のび太は早速それを使って遊ぶがそこをスネ夫に見られてしまい、ばらさない代わりにスネ夫もゲームをやらせてもらう。ところがスネ夫は日頃の恨みを晴らすためにジャイアンにわざと槍や刀をぶつけていき、ジャイアンに気付かれてしまう。おこったジャイアンは石を投げつけるが石は神成さんの家の二階の窓ガラスを割り、怒った神成さんは二階からやかんや皿を投げ、ジャイアンはさながらゲームの時のようにそれをぶつけられてしまうのであった。  

 (解説)本物電子ゲームの内容がなんでのび太の電子ゲームと同じ内容なのかが、ずっと前からの謎なんですが(笑)、まあそこら辺はあまり突っ込まない方がいいのでしょう。日頃の恨みを晴らすというスネ夫がすごくイイ味を出していますね。やはりこれがこいつの本音だったと(笑)。でものび太は三年も貯金したと言っているけど、と言うことはあのゲームはかなり古いものなのでは?それとも三年間貯めて、その時になって欲しいものを買っていたのか、どうなんでしょうね?まあ、そんなことを考えるのはこのHPの主旨ではないので(笑)。
のび太は世界にただ一匹   10頁 小四81年3月号(国際保護動物スプレー)
 トキを保護したという新聞記事を読んで、何故こんな事をするのか疑問に思うのび太に、ドラえもんは時が現在絶滅の危機に瀕している動物であるために保護したということを説明した。そしてドラえもんはそんな動物を保護するための道具として「国際保護動物スプレー」を出した。これをかけると体に国際保護ガスが染みつき、国際保護匂いが出るので誰にもいじめられることがなくなると言う。早速これを借りて外へ出かけたのび太は飼い主にいじめられているイヌや捨てネコにかけることでそれらの動物を助けるが、やはり珍しい動物などが近所にいるはずもなく、さらには犬にかまれたりジャイアン達に転ばされたり、先生に叱られたりとろくなことがない。その時になってのび太はある重大な考えに到達した。野比のび太は世界中にただ一匹。もしのび太が死んでしまったら「野比のび太」は絶滅してしまうのだ。そこでのび太は何と自分にスプレーをかけてしまう。すると今までのび太をいじめていたジャイアン達も急にのび太を丁寧に扱うようになり、しずかの家に行くとしずかも珍しそうにのび太を見つめる。その時のび太の腹の虫が鳴ったので、餓死しては大変としずかはたくさんのおやつをのび太に与える。満足げに帰路につくのび太だが、道を歩いているとのび太見たさにどこからともなく大勢の人間が集まっていき、更にのび太を捕まえようとする人間まで出てくる始末。家に帰ったのび太はそのことをドラえもんに話すが、家にはのび太を見るために大勢の人間が押し掛けてきており、必死になってスプレーの効力を消す薬を探すドラえもんであった。  

 (解説)来ました!27巻中一番のバカ話であり、27巻中で僕が一番気に入っている話です。何が面白いって、自分を「動物」と考えて自分の死を「絶滅」という解釈でとらえてしまうところが最高にバカバカしいです。しかも、よく考えれば「自分」という人間は一人しかいないわけですから、のび太の言っていることも決して間違っているわけではないところが、この解釈に深みを与えています。他にもやけにみすぼらしい野良犬や「のび太ボーリング」など、笑いの要素が満載です。ただ、その後のトキの末路を思うと、少し考えるものがありますね。
○□恐怖症   9頁 小三82年1月号(きょうふのスタンプ)
 空き地でみんなにそれぞれ怖いものを聞くジャイアン。自分は怖いものなどないと言うが、「母ちゃんが怖い」と言うのび太のツッコミに腹を立て、のび太の一番怖いものを調べるためにみんなに恐がりそうなものを持ってこさせる。友達は毛虫やクモなどのび太の苦手なものを持ってきて、嫌になったのび太は逃げだそうとするがジャイアンの怒声一発で驚いてしまい、のび太の一番の苦手はジャイアンということになってしまう。話を聞いたドラえもんは妙なセリフを言いながらもみんなのその行為に怒り、ジャイアンの怖いものを調べるために「恐怖箱」の中から様々な怖いものの模型を出してみるが、ジャイアンは全く驚かない。諦めるドラえもんと悔しがるのび太。その時、屋根の上に上がって怖がっている人がいた。その人は見るからに屈強そうな人だったのだが、高所恐怖症のために高い所が苦手だったらしい。その時名案を思いついたドラえもんは「恐怖症スタンプ」を出した。ここに描いた図形のスタンプを誰かにくっつけると、その人はその図形に関して恐怖症になってしまうのだ。試しにスネ夫を「四角形恐怖症」にしてみた二人は、次にジャイアンを円形恐怖症にしてしまう。丸いキャンデーや自転車のタイヤ、子供の持っている風船を見ていちいち驚くジャイアン。それを見て大笑いした二人はジャイアンの後をつけるが、隠れていたジャイアンが二人の話を聞いたために二人に殴りかかろうとする。しかし何かに驚いてジャイアンは逃げ去ってしまった。ジャイアンはのび太の丸いメガネ、そしてドラえもんの丸い顔を見て怖がってしまったのであった。  

 (解説)「苦手つくり機」の方が効率がいいような気もしますが(笑)。恐怖の度合いをビックリしたときのジャンプの高さで測るとは、ジャイアンもこういう事については頭がいいようです。そう言う意味ではのび太と同類(笑)?ドラも怒りながらも何故かのび太の悪口めいたことを言ってしまったりと、思わず本音が見える部分もあったりして面白いです。
ジャイアンよい子だねんねしな   20頁 小三81年2月号(のび太の子育て)
 今日もジャイアンとスネ夫にいじめられるのび太。もっと良い友達が欲しいとドラえもんに愚痴をこぼすのび太だが、その時未来デパートからの宅配便が届いた。開けてみるとそこには「クローン培養基」が入っていた。生物の遺伝子を解析して、生物のコピーを作り出すことが出来る機械なのだが、ドラえもんはこの機械を注文してはおらず、間違って配送されたものだった。電話が繋がらないためにドラえもんは直接未来まで行くが、面白がったのび太は機械を押入に隠して未来デパートの係員とドラえもんをやり過ごす。ジャイアンとスネ夫の髪の毛を一本盗んできたのび太はドラえもんから「かべ紙ハウス」を借りてその中に培養基を入れ、髪の毛を使って二人のコピーを作ってしまう。だが生まれてきた二人のコピーは赤ん坊のように泣くばかりで話が通じない。この機械でクローンを作ると姿は細胞の持ち主と同じになるが、知性や運動神経は赤ん坊並みだから色々せわしなければならないらしい。のび太はとりあえず台所からご飯を持っていき、次に服を着せようとするがママに見つかってしまったため、ドラえもんに様々なかべ紙ハウスのシリーズを出してもらい、それを使って当座を凌ぎ、さらにかべ紙ハウスを庭に移して気付かれにくくした。子供を育てる大変さを実感したのび太はママの肩たたきを行う。翌日もハウスに向かうのび太だが、もうコピー達は話が出来るまでになっていた。学校で勉強やスポーツを教えるがすぐにのび太よりも二人の方が上手になってしまう。更に二人は外に出ようとするのでのび太はそれを必死で止め、ハウスの入り口に「ゴマロック」でカギをかける。
 その夜、コピーとはいえ一人の人間を作り育てることの責任の重さをドラえもんから聞いたのび太は困りだしてしまう。そして翌日、ジャイアン達に無理やり野球に誘われたのび太は負けてしまい、自分のせいにされてしまう。コピーの様子を見に行くと、コピーの二人はバッティングマシーンを使って野球をしようと言い出してきた。のび太はあやとりをすると怒鳴るがコピーにまでバカにされてしまったため、思わず二人を殴ってしまう。しかしのび太が叶うはずもなくのび太は外に逃げ、コピーはドアを破ろうと中で暴れ始める。その騒ぎを聞きつけたドラえもんは庭に来て、のび太からすべての事実を聞かされた。コピーの二人は部屋の中にある培養基に目を付け、あるスイッチを押していた。ドラえもんは二人に別の星にでも住んでもらうように交渉しようと中に入るが、中には誰もいなかった。機械の取り消しスイッチを押してしまったために二人は元の髪の毛に戻ってしまったのだ。ドラえもんは髪の毛を元通りに植え付け、勝手なことをしないようにとのび太を戒めるのであった。  

 (解説)「クローン人間」というのはSFチックであると同時に、技術的には不可能ではない領域にまで突入しています。そのためかわかりませんが、藤子F先生の短編作の中にも「クローン」を題材にした作品はちらほらと見受けられます。そのテーマをドラえもんの中で描いた本作は、クローンと言うよりはむしろ「人間を育てることの難しさ」を表現しているようにも思います。取り消すことでクローンの存在を簡単に消してしまったりと、「クローン」のテーマ自体は淡白に扱われていますね。のび太の怪しい行動を注意するママが「恐竜を飼っているのでは」と聞きますが、「のび太の恐竜」を踏まえたこのセリフは、地味ながらもファンには嬉しい一言となっています。
かがみのない世界   10頁 てれびくん81年3月号
 鏡で自分の顔を見るたびに、自分の顔の間抜けさにウンザリするのび太。ドラえもんは励まそうとするがかえってのび太は落ち込んでしまう。ドラえもんは鏡のない世界を試してみようと、もしもボックスを出して鏡のない世界を作り出してしまう。鏡がないために化粧に苦労しているママを見た二人は適当なことを言って物凄い化粧をさせてしまい、ヒゲを剃り切れていないパパと互いの顔を見合って驚いてしまう。外に出ると、スネ夫が女の子の似顔絵を美人に描いているために人気があったり、鏡を見たことがないために自分の顔を素晴らしいと思いこんでタレントになろうと言い出しているジャイアンがいたため、のび太は鏡のない世界の住人に鏡を見せてやろうと言い出し、ドラえもんは「箱入りかがみ」を出した。ジャイアンは鏡に映った自分の顔を見つめるが、やはりそれが自分の顔だとは思わず勝手に悪口を言い出す。やって来たスネ夫やしずかも鏡を見るが、それぞれ言うことが食い違うために言い合いになってしまい、その様子を見て笑う二人、ところがそこへ通りがかった男が鏡に映った自分を行方不明の双子の兄だと思いこみ、箱ごと警察へ持っていってしまう。鏡がなくなった二人は鏡を探し始める。交番の警官も鏡を見るがそこには男と一緒に自分の姿がもちろん映っている。それを誘拐犯人だと勘違いした警官は鏡に向かって発砲してしまい、それを見たドラえもんは大慌てで元の世界に戻す。自分の下行為を不思議がる二人を見て、鏡がなくなっても良いことはなかったと反省するのび太とドラえもんであった。  

 (解説)恒例のもしもボックスで作った「パラレルワールド」ものの話ですが、「あやとり世界」や「ねむりの天才のび太」に比べるとインパクトに欠けた、落ち着いた感じの世界になっています。ただ個人的な感想を言えば、僕はレギュラーキャラではないエキストラキャラが活躍する事自体は大変良いことだと思うのですが、そのエキストラキャラがオチまで持っていってしまう展開はあまり好きではないので、ちょっと今話に関しても良い印象は持っていません。
10分おくれのエスパー   9頁 小五82年2月号(E・S・P訓練ボックス)
 友達をボロボロに殴り倒してしまうジャイアン。だがそこに居合わせたのび太は怖がってジャイアンが悪いと言うことが出来ず、深い悔恨の念を持ってしまう。正義を貫くための力が欲しいと願うのび太にドラえもんは何かを出そうとするが、のび太には無理と判断して出すのを止める。だがのび太に説得されて仕方なく「E・S・P(エスパー)訓練ボックス」を出した。これを使って訓練すると念力、透視、瞬間移動の三つの超能力を修得できるのだが、毎日三時間ずつ練習して三年かけなければ一人前にはなれないため、のび太は始める前から嫌がってしまうが、それでも特訓を開始する。始めに念力の練習を行うが、ちっとも動かないためにのび太は透視の方の練習を始めてしまう。透視の練習をし始めるのび太だが、その時不意にボックスが動き始めた。10分前ののび太の念力が今になってボックスに届いたのだ。喜ぶのび太だがドラえもんに注意され、今度は瞬間移動をやってみる。すると今度は10分遅れで透視能力が発現するが、今度は瞬間移動が発現してボックスはどこかに消えてしまう。ドラえもんはのび太に絶対に超能力を使わないことを命じてボックスを探しに行かせる。だがのび太はしずかに見せに行こうと瞬間移動の力を使うが、ちょうどしずかと会ったときにその力が働いたためにのび太はしずかの家に行ってしまう。自分の力のなさを味わったのび太はボックスを探して真面目に練習することにするが、肝心のボックスが見つからない。ジャイアンに聞いてみると怪しい素振りを見せるのでポケットを透視しようとするがジャイアンに追い払われ、ちょうどしずかと会った時に透視能力が働いてしまう。ジャイアンはやはりボックスを拾っており、怒ったのび太は念力をかけて10粉末が、その間にジャイアンは移動し、念力をかけた場所にしずかがやってきたためにしずかが吹っ飛んでしまう。ドラえもんに叱られながらも吹っ飛んだしずかを追いかけるのび太であった。  

 (解説)同じ超能力でものび太が使うとやはりダメになってしまうようで(笑)。ですがよく考えると、地道に練習していけば本当に超能力を修得できるわけですから、すごい道具ではありますね。今回はやたらにひどい目にあってしまうしずかが面白いです。
しあわせトランプの恐怖   12頁 小六82年3月号(しあわせトランプ)
 部屋に於いてあるトランプのセットを見つけたのび太は、これを使ってしずかとババぬきをしたいと考えるが、そこへタイミング良くしずかが訪ねてきた。しずかはのび太の落としたお金を届けに来たのだが、ついでにのび太はしずかと一緒にババぬきを楽しむ。ところがなぜかスペードのエースがなくなっていた。しずかは帰るが、話を聞いたドラえもんは仰天してのび太に説明する。これは「しあわせトランプ」と言って、持ち主の願いを何でも叶えてくれるがその代わりに一枚ずつ減っていき、最後にジョーカーが残ると今までの幸運の埋め合わせで立て続けに不幸が起こると言うのだ。しかもどうやっても持ち主の元に戻って来るため、のび太にもどうすることもできない。その時ママがのび太を叱りに二階まで上がってくるが、ちょうどそこへママへの電話がかかってきたのでその間にのび太は脱出に成功するが、代わりにトランプは一枚減ってしまっていた。困り果てるのび太の所に現れたスネ夫は話を聞くとトランプをもらっていってしまう。喜ぶが同時にスネ夫の運命を気にする二人。スネ夫はパリに行きたいという願いを叶えてもらい、その後すぐにジャイアンにトランプをあげてしまう。自分の願いを叶えたらすぐに他人にあげてしまえばいいというアドバイスもして。そしてジャイアン以下、トランプを使っての望みの成就と友達への譲り合いが始まった。一方電話が終わって再びのび太を叱ろうとママが怒り始めたので、二人はまた外に逃げ出してしまう。そこでトランプを使って望みを叶えた友達と会ったのび太は家に戻れるようにするためにトランプを取りに行ってしまう。だが既にトランプは残り二枚になっており、のび太の元からも離れなくなってしまう。
 ゴミ捨て場の手持ち金庫の中に入れても自分の所に戻ってくるトランプを見てどうすることも出来ずに困るのび太だが、ちょうど隠れていた空き地の前の道でママが先生と会い、先生に諭されて叱るのを取りやめるとママが話すのを聞いたのび太はトランプを見ると、最後の一枚・ジョーカーだけになっていた。どうすることも出来ずに走り回るのび太だが、次の瞬間、ひったくりにトランプの入った手持ち金庫を持って行かれてしまった。とりあえず不幸は回避できたのび太だが、持ち去った人のことを心配する二人。するとテレビでは、運の悪いひったくり常習犯が捕まったというニュースが流れるのであった。  

 (解説)甘い汁だけ吸って、辛いところは他人に転嫁するという現代社会の恐ろしさを辛辣に描いた意欲作・・・・・・なんですかねえ(笑)?のび太は際どい所で幸運を持っていたということなんでしょうか。なぜかオバQキャラが登場しているのも謎ですが、これはファンサービスとして受け取っておきましょう。例によって「未来道具の恐ろしさ」を垣間見ることの出来る道具でもあります。



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