てんとう虫コミックス第38巻


夜空がギンギラギン   9頁 小五86年2月号(星取りあみとハンマー)
 登山をした時に山小屋から見た綺麗な星空のことをみんなに話すジャイアン。都会の空は明るいので星がパラパラ見えるだけと言うジャイアンにスネ夫も同調し、ハワイ沖でヨットから見た星空のことを話す。ジャイアンは都会の貧弱な星空しか見られないヤツはかわいそうだと言うが、それを聞いたのび太は素直に自分をかわいそうだと思いこみ、本当の星空を見たいと言いだした。ドラえもんは手近に星空を作ることにし、「星とりあみとハンマー」を出した。手始めにドラえもんはのび太にハンマーでブロックを叩いてもらい、その時に出た星をあみで素早く取る。すると星はだんだん丸くなり、「空間接着剤」でのび太の部屋につけてみると三つの星が綺麗に浮かび上がるが、部屋では星空を作るのには狭いので、空き地に星空を作ることにする。星をいっぱい集めて空き地へ行き、星座表を参考に接着剤で星をくっつけ始めた。しかし一等星の数が足りず、二人はまた星を集め始めるが、のび太の力では懸命に叩いても一等星の星を作れない。一旦休むことにしたのび太はしずかに会って今作っている星空の話をするが、その時にジャイアンの悪口を言ってしまったために通りがかったジャイアンに殴られてしまう。ところがその際に発生した大きな星をドラえもんは見逃さず、あみで残らずかき集める。そしてやっと星空を完成させた二人は夜になってみんなを呼び、みんなは綺麗な星空に見とれるが、それを見た怒ったジャイアンとスネ夫が竿で星を落とし始めてしまう。だが落ちてきた星に当たると二人は急に痛がり始めた。あの星はコンクリートを殴ったエネルギーの固まりなので、当たるとものすごい激痛を伴うのであった。  

 (解説)「殴ると星が出る」というマンガ上の表現を逆手にとって、本当に星を作り出してしまうという発想は、「コエカタマリン」と同様のものですね。のび太が殴られている横で星をかき集めるドラは非情だ(笑)。のび太が自分をかわいそうだと思いこんでいる時の、ドラの冷めた顔つきが何とも言えない味わいを出しています。
またもジャイアンコンサート   10頁 小四84年6月号(ジャイアンのめいわくコンサート)
 ジャイアンは自分のコンサートが今一つ人気のないことを気にし、その理由をドラえもんとのび太に聞いてくるが、まさか二人も「下手だから」とは言えず、うますぎるからと言ってジャイアンを納得させてしまう。コンサートを盛り上げる方法をジャイアンは相談するが二人は乗り気でなく、そんな二人にジャイアンは檄を飛ばし、翌日のコンサートを成功させるために良いアイデアを考えるよう二人に命令して、自分は友達の家を一回りしに行く。二人も知恵を絞って考えるがやはり良いアイデアは思いつかず、結局あれしかないとドラえもんは「腕ずくチケット」を出す。これを受け取ったらどんなことがあっても来る羽目になってしまうというチケットなのだが、いざ渡そうとするとやはり躊躇してしまうので、せめて見て楽しいステージにしようと二人は舞台衣装のデザインをスネ夫に依頼する。最初は断るスネ夫だがジャイアンの名前を出されて渋々承諾し、たくさんのデザイン画を執筆する。それらを「着せかえカメラ」で着せ替えることにした二人は、さらに「万能ぶたい装置」を使って様々な舞台を用意することにし、ジャイアンにも空き地でその具合を確かめてもらう。バックで踊るダンシングチームを催促されたドラえもんは「カラオケメイツ」を出し、そのダンスを見てジャイアンも納得する。これで観客が来なかった場合は二人の責任だとジャイアンに言われてしまったので、二人は必死になって翌日のコンサートにみんなを誘うが、やはり舞台が楽しくてもみんなは足を運びたがらず、明日はどこかに出かけようとする者まで出てくる始末。二人は困り果てるが、ある考えを思いついたドラえもんはのび太と共に腕ずくチケットを配り始める。みんなからの非難を一身に浴びてしまうのび太だがのび太にもドラえもんの考えていることは分からない。ドラえもんは高性能マイクと言ってジャイアンにあるマイクを渡し、小さな声で囁いてみるとドラえもんがひっくり返るほどの大きな声が返ってきた。気を良くするジャイアンだが、実はこのマイクは「アベコベマイク」で、小さな声は大きく、そして大きな声は小さく再生されるのだ。当日のコンサートではジャイアンの声は全く聞こえず、みんなは別の意味で歓声を上げるのであった。  

 (解説)ジャイアンのコンサートにここまで道具を使ってしまうと、未来道具の価値がどんどん薄れていってしまうような(笑)。オチ自体は今までにもあったものですが、今話は「ジャイアンコンサート」に振り回されるのびドラや他のみんなの描写が面白いですね。腕ずくチケットを渡されて本気でのび太を恨むしずか達や、スネ夫に衣装デザインを頼む時に無表情でジャイアンの名前を出して脅しをかけるのびドラ、アイデアを考えている時ののび太のとんちんかんなアイデアなどは最高です。
時計はタマゴからかえる   7頁 小二81年5月号(たまごうませとう)
 スネ夫から、パパのスイス土産だというミミズクの形をした時計を見せてもらうのび太は自分も欲しがるが、ママに言っても無駄だと分かっているのでドラえもんに相談してみる。するとドラえもんは「タマゴ産ませ燈」を出した。スネ夫に時計を見せてもらって、それに道具の光を当てると、なんと時計からタマゴが生まれてきた。布団にくるまってのび太はタマゴを暖め、そしてタマゴから小さな時計がかえった。「アットグングン」を食べさせて時計はすぐに大きくなり、大きくなった時計をのび太はみんなにあげ、それを見たスネ夫は驚いてしまう。タマゴ産ませ燈の話を聞いたしずかはペンギンのぬいぐるみに光を浴びせてもらい、子供のペンギンを作り出す。のび太達も小さかったおもちゃを増やすことにし、タマゴを産むことの出来る動物のおもちゃに光を浴びせて、カエルのタマゴを水槽に入れるとオタマジャクシになった。さらにタマゴを作る二人だが、ママからお使いに行くよう頼まれたので嫌がる二人は押し入れに隠れてしまう。ママはタマゴを買いに行ってもらおうとしていたが、のび太の部屋にタマゴがたくさん置いてあったのでそれを持っていってしまうが、台所で卵を割るとおもちゃの魚や鳥が出てきたので、ママは驚いてしまうのであった。  

 (解説)無機物にタマゴを産ませてしまうという発想が、単純ながらも面白いですね。タマゴを産める動物でしか効果がないと、細かい設定が決められているところも好感が持てます。派手な展開ではありませんが、ほのぼのとした雰囲気が読者の心まで和ませてくれる、良質の作品です。
ドリームプレイヤー   10頁 小五85年1月号
 お正月の夜、野比一家は家族でのんびりテレビを見るが、のび太は落ち着かないでいちいちチャンネルを変えてしまうため、とうとうパパ達に追い出されてしまう。もっとテレビを見たいというのび太にドラえもんは代わりに初夢を見ればいいと、「ドリームプレイヤー」を出した。いろんなカセットを入れればその通りの夢を見ることが出来るのだ。色々テープを出して何が良いかを考えるのび太だが、ドラえもんはあるカセットをのび太には関係ないと言って放り出した。それは「教訓」のカセットだったが、ドラえもんにバカにされたのび太はこの夢を見ることにしてしまう。枕に頭をつけるだけで眠れるのですぐに眠ってしまったのび太は早速夢を見るが、夢の中で突然誰かに起こされてしまう。のび太を起こしたのは模範的のび太で、彼はのび太を模範的な少年にするためにまず「早起きは三文の得」を実践させる。次に心と体を鍛えるためにジョギングを行い、さらには勉強までやらせられてウンザリしたのび太は目を覚まして夢を変えることにする。そんなのび太を模範的のび太は厳しく注意するが、のび太は構わずに目を覚ましてしまう。のび太は次に「西部劇」の夢を見て、夢の中でガンマンになって活躍するが、悪者を馬で追いかけることになってしまい、馬に乗れないのび太は振り落とされてしまい、また夢を途中で止めてしまう。今度はのび太は「青春ドラマ」を選び、しかもラストシーンだけを先に見ようとテープを早送りしてしまう。夢の中でのび太は友達と夕日に向かって走り出すが、のび太一人が遅れてしまったのでみんなに追いつけず、のび太はまた目を覚まそうとするがなぜか目が覚めない。そこへ突然現れたドラえもんは機械が壊れたのでのび太は永久に夢の中から抜け出せないと宣告して去っていった。あまりのことに泣き叫ぶのび太だが、すると突然セットが先程の西部劇のものになり、のび太は悪者に銃で攻撃されてしまい、必死に逃げているうちに高所から落下してしまう。その下には先程の模範的のび太がいた。模範的のび太は何事もしっかり目標を定めることが大事だと諭し、のび太が今まで「教訓」の夢を見続けていたことを話した。目を覚ましたのび太は感想を聞くドラえもんに、『このつぎはあんまりためにならない夢をみたい。』と呟くのであった。  

 (解説)機械を使って思い通りの夢を見るという道具もたくさんありますが、今話の道具は「カセット」という当時最先端のものを使用しており、どことなく後年の「夢幻三剣士」で登場した「気ままに夢見る機」の原型を思わせますね。ラストのオチはある意味「真の夢オチ」と呼べるようなもので、なかなか凝った展開になっていました。やはり青春ドラマというのは、夕日に向かって走っていくものなんですねえ(笑)。
じゃま者をねむらせろ!   7頁 小一81年11月号(ネムケスイトール)
 家に帰ってきたのび太は今日こそ宿題をすると宣言するが、しばらく経つとすぐに昼寝を始めてしまう。眠くて仕方がないと言うのび太にドラえもんは「ネムケスイトール」を出し、握りの部分をつかんで離すとのび太の鼻から風船のようなものが出てきて道具の中に入ってしまった。これで眠気を吸い取ることが出来るのだ。まだ眠気が残っているので完全に眠気を吸い取ってもらったのび太は、これでさらにピストルのように眠気を発射することも出来ることを聞いて、ドラえもんの目を盗んで遊びに行ってしまう。宿題のことを注意するママを眠らせて出かけると、ジャイアンがスネ夫をいじめていた。のび太はジャイアンを眠らせてしまい、それを見たスネ夫はママが眠れなくて困っているので何とかして欲しいとのび太に頼む。のび太はスネ夫のママを眠らせるが、家の庭でそのまま眠らせてしまったためにスネ夫は困ってしまう。寝付かない赤ん坊も眠らせたのび太は他にも使ってみようとボタンを押すが、眠気が空っぽになってしまっていた。そこへ目を覚ましたジャイアンが追いかけてきて、のび太はとりあえずしずかの家に避難する。だがしずかは全く眠くないらしいので眠気を集めることも出来ず、仕方なく外に出るがジャイアンはしずかの家の前で待ち伏せていた。必死に逃げて空き地の土管の陰に隠れたのび太は、ブロック塀の上で眠っているネコを見つけたのでそのネコの眠気を吸い取り、襲ってきたジャイアンに浴びせて何とか眠らせる。だが帰ってみるとママから宿題を終わらせるまで寝てはいけないと厳しく注意されてしまい、ドラえもんはのび太の眠気を吸い取りながらのび太に勉強させるのであった。  

 (解説)眠気を「はなちょうちん」のようにして取ってしまうというアイデアが、個人的にはヒットです(笑)。ネコから吸い取った眠気をジャイアンに当てた時、ネコのようにうずくまって眠ってしまうジャイアンの姿が笑えますね。
物体変換銃   8頁 小五85年4月号
 窓から遠くで飛んでいるラジコン飛行機を眺めるのび太はまたラジコンを欲しがり始めた。いつものことではあるがあまりにのび太が騒ぐので、仕方なくドラえもんは「物体変換銃」を出した。これは酸素に水素を結びつけて水を生成するように、ある物を別の物に変換してしまう機械なのだ。難しいことは分からないのび太でも感心するが、ドラえもんが持ってきたのはただのダイコンで、このダイコンから「ダイ」をとって「ラジ」を足せば「ラジコン」になるという説明を受けて拍子抜けする。しかし実際にその通りにやってみるとダイコンはラジコンに変身した。喜ぶのび太は早速空き地で乗り回すが、15分間で効き目が切れると言われて15分間だけ楽しむことにする。ところがそこにジャイアンがラジコンを貸すよう言ってきたのでのび太はラジコンをジャイアンにあげてしまう。やって来たみんなに自慢するジャイアンだが、時間切れで元のダイコンに戻ってしまったためにみんなは大笑いし、ジャイアンはみんなを殴り飛ばしてからのび太達に怒りを燃やす。のび太は「スズメ」を「スルメ」に変え、それを狙う「ネコ」を「ネッコ」に変えてしまう。さらに「ドカン」を「ヤカン」に変えたり、「ミズ」を「ミミズ」に変えたり、「パン」を「パンツ」に変えてしまったりといたずらばかりするので、ドラえもんは怒ってのび太を追いかけ始める。しかしそこに怒り狂うジャイアンが現れてドラえもんに殴りかかるが、のび太は間一髪で「ドラエモン」を「ドラムカン」に変えてジャイアンの手を痛めつけ、こっちに向かってくるジャイアンの「フク」を「フロ」に変えてしまう。身動きがとれなくなったジャイアンを置いて逃げようとするのび太とドラえもんだが、ドラム缶になっているためにドラえもんは転がされて移動し、目を回してしまうのであった。  

 (解説)冒頭は確かに科学的ですが、蓋を開ければ言葉遊びを具象化するという、とても楽しい道具が登場しました。「具象化鏡」もそうですが、僕はこの種のネタが大好きです。言葉遊びという時点で知的好奇心が刺激されると言うかなんというか。全然解説とは無関係だな(笑)。ストーリーはその言葉遊びの具象化が面白おかしく描かれており、例によってジャイアンの怒りっぷりも笑えますね。
しかえし伝票   8頁 小三85年3月号
 ドラえもんに未来デパートから注文していた品物が届いた。中身を確かめながらポケットにしまっていくドラえもんだが、ある道具を手にした時に突然怒り出す。それはまた間違えて送られてきた「しかえし伝票」という道具で、誰かにひどい目にあわされた時に仕返ししたい人物と内容を伝票に書き、それを道に捨てて置いて誰かに拾ってもらうと、その拾った人が代わりに仕返しをしてくれるのだ。だがドラえもんはこの他力本願で情けない道具を心底嫌っているらしく、すぐにデパートに送り返そうとする。しかしデートの約束を思いだしたドラえもんは伝票を置いたまま出かけてしまい、のび太はそれを使ってジャイアンに日頃の仕返しをすることにする。だがジャイアンはちょうど機嫌がいいのでのび太は殴られない。そこで殴られたことにして伝票に記入してみるが、それを拾ったスネ夫はなぜかのび太を殴ってしまった。それを見ていたドラえもんは、ウソを書くと書いた本人に返ってくると話し、使っているとろくなことがないと忠告するがのび太は聞く耳を持たない。しかしその時に蹴っ飛ばした石がジャイアンにぶつかってしまい、のび太はジャイアンに殴られてしまう。伝票に記入したのび太は先生に拾ってもらおうと先生の前に伝票を落とすが、逆に先生に注意されてしまったので自分で伝票を拾う羽目になってしまい、のび太はジャイアンに殴りかかるが再び殴り返されてしまう。また伝票に書き込んだのび太はジョギングをしている強そうな人の前に伝票を落とすが、その人は気付かずに走り去ってしまい、代わりにしずかがそれを拾ってしまう。仕返しに向かうしずかを必死で追うのび太は伝票を何とか取り上げるが、結局また自分がジャイアンの下に向かうことになってしまう。これから起きるであろう恐ろしいことを予測しながらも、のび太のためにと見過ごすドラえもんであった。  

 (解説)ウーン、なかなかに怖いクロージングですね。これから起きる恐ろしいことを描いていない状態で終わってしまうところが、逆に読者の想像力をかき立ててくれます。でも結局のび太が自分で仕返しをすると言うことは、結果的には良いことなのではないでしょうか。結末はどうあれ(笑)。ジャイアンに一回目に殴られる時のコマの、妙に勢いがある絵が好きです。
友だちの輪   10頁 小六84年8月号
 道でとても可愛い女の子とすれ違ったのび太達三人はどこの誰なのか気にするが、その子は神成さんの家に入っていった。親戚の子が遊びに来ているのだろうと考えた三人は家を覗き込むが、神成さんに追い返されてしまう。それでもあの女の子と友達になる方法を考えるのび太は、家に帰ってきてもしずかから電話があったと聞いても上の空で、のび太は話すきっかけをつかむために再び神成さんの家に向かう。ところが空き地には既にジャイアンとスネ夫がおり、二人は神成さんが出かけたところを見計らって持っていたボールやラジコンを庭に投げ込み、それを取らせてもらうふりをしながら女の子と話をしようと画策するが、神成さんが戻ってきたために二人は逃げ帰ってしまう。その様子を見てまた考えあぐねるのび太だが、その時屋根の上でドラえもんの声がした。見てみるとドラえもんはメスネコにアプローチをかけていたが断られているようで、ドラえもんは「友だちの輪」を出してうまくメスネコをその輪の上に誘導し、二人が輪の中に入ると二人は大の仲良しになってしまった。それを見たのび太はドラえもんから道具を借りて神成さんの家に向かうが、やはり神成さんがいるために近寄れない。そこでのび太はまず神成さんと仲良くなることにし、道具を使って仲良くなったのび太は家に上がらせてもらう。そこで目的の少女・ミズエを見つけるのび太だが、神成さんの方がしつこくのび太に絡んでくるのでのび太はミズエと話をする暇もない。そのうちミズエは出かけてしまい、いる必要がなくなったのび太もやっとの事で家を出る。だが途中で友だちの輪を忘れたことに気付き、ドラえもんは取ってくるように言うがのび太は神成さんにつかまりたくないので行きたくないと言う。その時ママが。しずかが今まで待っていたことを話すと、のび太はしずかという大切な存在に改めて気付き、急いでしずかの家に向かう。一方のび太の忘れた友だちの輪に気付いた神成さんはミズエに届けるように言いつけるが、ミズエが持っている時に風が吹いて輪が飛んでしまい、偶然歩いていたしずかがそれを踏んで押さえるが、その時二人は輪の中に入ってしまい、親友のミズエと遊ぶしずかは訪ねてきたのび太を追い返してしまうのであった。  

 (解説)例によって、することが全部裏目に出てしまうのび太の様子がおかしくもあるし悲しくもありますね(笑)。ラストのコマではのび太の顔は見ることが出来ませんが、どんな表情をしているのか想像するのも一興でしょう。仲良くなると途端になれなれしくなる神成さんや、光り輝いて登場するミズエ、仲良くなったネコと「ネコ」みたいにじゃれ合うドラえもんなども面白いですね。
どっちがウソか!アワセール   9頁 小五80年7月号(アワセール)
 セミ取りをしている子供たちに話しかけられたのび太は、自分はそんな子供っぽいことはしないと返事をするが、実はのび太もセミ取りをするつもり出来ていたのだが、一匹も取れなかったのだ。ところがそこでのび太は何を思ったか、空き箱にぼろ切れを敷き詰めて庭木の枝の間にそれを置く。ドラえもんが聞いてみると、なんとのび太はセミの巣箱を作ったのだという。のび太はセミがどのように成長していくかを全く知らなかったのだが、そこを偶然通りがかったスネ夫が話を聞いていて、のび太の間違いを指摘してからみんなに知らせて笑おうと走り出した。追いかけるのび太だがドラえもんが「あい手ストッパー」でスネ夫の動きを止めてくれた。その間に対策を考えることにしたドラえもんは「アワセール」を出した。ドラえもんは試しに、近くにいたイヌをネコだと言いだし始め、のび太は誰かに確認してもらうことにする。のび太はいろんな人に聞いてまわるが、ドラえもんがアワセールをから見えない光を発射するとみんなはドラえもんに合わせてイヌをネコだと言い始め、さらにそのイヌもネコのように鳴き始めた。アワセールから発射される見えない光に当たると、どんなひどいウソでもみんなこちらに合わせてくれるのだ。スネ夫を動かして後を追う二人は、スネ夫がしずかに話そうとしているのを見て早速しずかをアワセールで撃つ。するとしずかはのび太の方に合わせてくれて、慌てたスネ夫はジャイアンにも聞いてみるがジャイアンも同様の返事をし、さらに自分を嘘つき呼ばわりしたスネ夫を殴ってしまう。混乱したスネ夫はママに真偽を確かめに行くが、ママも同じ事を言いだしたのですっかり頭がこんがらがってしまう。それでも自分の方を信じるスネ夫は実際に巣箱をつくって確かめようとしたので、ドラえもんはアワセールをセミに発射し、セミに巣を作らせてしまう。それに仰天したスネ夫は、セミの観察ノートを夏休みの宿題にすることを決めるのだった。  

 (解説)のび太の間違いもバカらしいのなら、その間違いにみんなが合わせて(セミまでも!)行動してしまうというところがもっとバカバカしいですね。すっかり混乱しきってしまうスネ夫の様子は見ていて楽しいですが、ラストのセミの様子を観察ノートに記録するという、バカバカしい世界を引き継いだままのオチにも笑わされます。
ききめ一番やくよけシール   8頁 小三84年7月号(やくよけシール)
 今度の休みにトンガリ岳に登るという計画をのび太達に話すパパ。だがママはパパが山から落っこちてしまうのではないかと心配し、二人で口論を始めてしまう。そこでドラえもんは「やくよけシール」を出してみるが、ママはその効果を信用しないので、のび太に一日貼ってみることにする。翌日起きたのび太にシールを貼るドラえもん。ところがのび太は国語のテストがあることをすっかり忘れていてすっかり慌ててしまうが、シールの力を信じるように言ってドラえもんはのび太を送り出した。学校ではテストが始まるが、配られた答案用紙はなぜか白紙だった。先生が家から間違えて持ってきてしまったため、急遽テストは取りやめとなり、胸をなで下ろすのび太。帰ってきてその事を聞いたドラえもんは、さらにシールの効果を確かめるために先日ママのドライヤーをのび太が壊したことを告げ口してしまっていた。ママは二階に駆け上がってくるが、書留が届いたためにママは階下に降り、しかもその郵便の中によそ行きのものが紛れ込んでいたため、ママは郵便屋を追いかけていってしまったのでそのスキに二人は脱出する。さらにドラえもんはジャイアンをわざとバカにしてのび太のせいにし、怒ったジャイアンはのび太を追いかけるが、その様子に驚いたスネ夫はスケボーを道に置いたままで避けてしまい、それに乗っかったジャイアンは坂道を滑り落ちていってしまう。戻ってきたジャイアンは今度こそのび太を殴ろうとするが、殴った瞬間のび太の頭に工事人夫のヘルメットが落ちてきたので逆にジャイアンが手を痛めてしまった。家に帰ってきても結局ママはのび太を叱ることが出来ず、かくしてシールの効果を実践したドラえもんは、登山の当日にパパにシールをつけてあげる。ところがパパは家を出てすぐに腹の調子がおかしくなってしまい、登山を断念してしまう。だがテレビでは山の天気が荒れていて、登山者の遭難が心配されていると報じていた。シールの力がパパを守ってくれたのであった。  

 (解説)これはかなり便利な道具ですね。これがあれば他の物はいらないような気もしますが、まあそれを言ったらキリがないですね(笑)。パパには釣りという趣味がありますが、今話を見る限りでは、息子ののび太とは違って結構アウトドア派のようですね。しかしシールの効果を試すためとは言っても、今回のドラののび太に対する仕打ちはひどいよな(笑)。
ねながらケース   9頁 小三85年8月号
 なぜか夜中に目を覚ましてしまったのび太。のび太は宿題をしなければならなかったので一旦眠ってから宿題をするつもりだったのだが、宿題の多さにうんざりしてしまったので、結局寝ることにしてしまう。その時一階の方で物音がしたのでのび太はゆっくり降りてみると、誰かが玄関から飛び出していった。のび太は泥棒かと考えるが、起きてきたドラえもんはパパが寝ながらジョギングに行ったのだと話す。一月前、パパは太りすぎを気にしてジョギングをしなければならないと考えていたのだが、パパもどうしても長続きしないのでドラえもんが「ねながらケース」を出してやったのだ。このケースに寝ながらしたいことを書いた紙を入れて眠ると、眠っている間にそれをやってしまうのだ。それを聞いたのび太は宿題をしなければならないのでカードを貸して欲しいと頼み込み、ドラえもんは一回限りだと条件をつけてカードを貸してやる。カードに紙を入れたのび太は眠り、翌朝起きてみるとちゃんと宿題は終わっていた。パパも毎夜走っているためか体調が良いらしく、気を良くしたのび太はもっとカードを借りようとするがドラえもんに厳しく断られたので仕方なくマンガを読むことにする。しかし読みたいマンガがジャイアンに取られていることを思い出したのび太は取り返しに行くが、どうせ頼んでも返してもらえないと途中で諦めてしまう。そこに通りがかったスネ夫はファミコンの新しいソフトを買ったことを自慢するが、意地悪してのび太にはやらせようとしない。のび太はしずかの家に行くがしずかはスネ夫の家に誘われており、腹を立てたのび太は帰ってくると途端に宿題をはじめ、宿題を終わらせた上でドラえもんにカードを三枚借りる。それぞれのカードにそれぞれの事を書きこんだのび太はどこでもドアでジャイアン達の枕の下にカードを置きに行く。そして夜、ジャイアンはのび太のマンガ本を届けにきて、スネ夫はファミコンとソフトを寝ながら貸しにきた。寝ながら遊びにきたしずかとのび太はファミコンで楽しく遊ぶが、のび太は難しいのででたらめに操作していたら、ファミコンを壊してしまった。一応返しておいたものの後ろめたく感じてしまうのび太だが、謝れば謝ったでスネ夫にイヤミを言われるだろうと考えたのび太は、ドラえもんにもう一枚だけカードを借り、寝ながらスネ夫に謝ることにするが、事情がわからないスネ夫はペコペコしながら近づいてくるのび太を気味悪がるのであった。

 (解説)眠りながら何かをするという道具も古くは「小人ロボット」、新しいのでは「いねむりシール」なんかがありますが、今話ではのび太は道具によるとばっちりを受けてはいませんね。逆にドラえもんに厳しく言われてカードを使うのをやめ、カードを使うために宿題を終わらせてしまうという根性ぶりを見せています。こんな所からものび太の成長が感じられるかなと思ったりもしてしまいますね。「テレビゲーム」が「ファミコン」になっているあたりに時代を感じます。
冒険ゲームブック   12頁 小四85年7月号
 雨が降っているために外で遊べないのび太は家でゲームをしようとしずかを誘うが、居合わせた出木杉が簡単過ぎてゲームもすぐ飽きてしまうなどとかっこいいことを言ったので、のび太は何とかして出木杉をゲームでやり込めたいと考える。部屋に帰ってみると、部屋には大きな本のようなものが立てかけられており、その中からドラえもんの声がしたと思うと、その本のページがめくれて中からドラやきを持ったドラえもんが出てきた。この本は「ゲームブック」で、実際に本の中に入ってゲームの世界を体験できると言う。ドラえもんは最終ページに置く宝物にドラやきを設定して、今までゲームをやっていたのだ。下手をするとゲームの中から出ることさえ出来なくなってしまうということを聞いて、のび太は早速しずかを誘うことにするが、しずかの家には出木杉もいたので出木杉も一緒に来ることになる。のび太は出木杉に負けたくないので早あがりの方法を教えてくれるようドラえもんに頼むが、ズルはいけないとドラえもんは断る。だが家にやって来たしずか達をドラえもんが出迎えに行っている間に、のび太はドラえもんの寝床から何かを取ってしまう。やってきたしずか達に二人はゲームブックのことを話すがそれを聞いてしずかが怖がってしまったので、ドラえもんは「宝物」をしずかにすることを提案する。しずかを助けにゲームの世界へ出発するのび太と出木杉。暗闇の世界を抜けるとそこには平和そうな世界が広がっていた。二人は進み始めるが、小さな生き物が宝があると言ってきたのでのび太はすぐに行ってしまい、出木杉も道の方角を見失わないようにして宝の在り処へ向かう。ところが行ってみるとそこにあるのは石貨だったので、のび太は持っていくのをやめてしまうが、出木杉は二つ持っていくことにする。のび太は道の方角を間違えるが出木杉に教えてもらい、さらに進んでいく。そこに大きな咆哮が響き渡った。巨大な化け物が道をふさいでいるのだ。出木杉は持っていた石貨を使って怪物の注意をそらし、そのスキに二人は突破する。次に二人は大きな川に出たが、渡る方法がないので困り果ててしまう。と、そこに舟を漕いだ渡し守が現れ、渡し賃として先程の石貨を受け取った。しかし一人しか乗れないので出木杉が先に行ってしまい、のび太も石貨を取りに行くが怪物に追われてしまう。二人が本の中に入って一時間が経過し、ドラえもんは待ちくたびれたしずかを落ち着かせていた。のび太は怪物によって石貨のある木の中に追い詰められていたが、出木杉は順調に竜を倒すための剣と翼を手に入れ、竜の炎に対抗するための泉に入っていた。のび太はついに取っておきの作戦を行うことにし、先程ドラえもんの寝床から取ってきたスペアポケットからどこでもドアを出して一気にしずかの待つ最終ページまで行ってしまうが、そこに大きな石が落ちてきてのび太はつぶされてしまう。竜を倒した出木杉が駆けつけるが、のび太はつぶされてペラペラになってしまい、困るのび太にドラえもんは厳しく説教するのであった。  

 (解説)ゲームブックってのも一時期流行りましたね〜。「ゲームの世界を実際に体験する」という、子供でなくても憧れるような世界を舞台に、楽しい物語が展開していきます。今話も「たまごの中のしずちゃん」同様、出木杉の優等生ぶりが目立っており、のび太がひどい目にあっているのですが、出木杉の優等生ぶりがあるからこそ、間抜けなのび太の描写も際立っているのでしょう。この対比が今話一番の見所です。
バショー扇の使いみち   8頁 小三85年6月号(バショー扇)
 スネ夫の家で、部屋に流れてくる爽やかな風を楽しむのび太達。だがジャイアンとスネ夫はまたのび太に意地悪を言うのでのび太は帰ってしまうが、そんなのび太に同情してくれたしずかも一緒に帰ってくれる。のび太は張り合って自分の部屋でも爽やかな風を味わおうとするが、いろんな雑音が混じって聞こえてくるので思わず窓を閉めてしまう。話を聞いたドラえもんは少し呆れながらも「バショー扇」を出した。これを使うと様々な風を起こすことが出来、しかも握りの部分にあるマイクに命令することで、森の匂いなどのおまけも指定できるのだ。試しにドラえもんは森の爽やかな風を起こし、次にのび太に南極のブリザードを浴びせる。さらに南国の温かい風を作り出したりして、二人で楽しく遊ぶ。バショー扇を借りて出かけたのび太はまだスネ夫の家にいるジャイアンとスネ夫を一緒に懲らしめようと、熱帯のジメジメした風を送り出し、ジャイアンは思わずスネ夫の家から逃げ出してしまうが、スネ夫はジャイアンに居座られて迷惑だったようで、のび太はお礼を言われてしまう。しずかにバショー扇を見せたのび太はしずかの部屋に風を起こし、さらに空き地の木に引っかかっていたラジコン飛行機を風を使って取り、持ち主の男の子に感謝される。そこで良いアイデアを思いついたのび太は下から上へ風を吹き上げ、その風に乗るという遊びをしずかと共に楽しむ。だがドラえもんはバショー扇を借りたのび太が何かいたずらをするものだと決め込み、のび太からバショー扇を取り上げてしまう。のび太は文句を言うがドラえもんはどうにも信用しない。だが玄関から家にあがる時にドラえもんは転んでしまい、その時持っていたバショー扇を仰ぐ形になってしまったので家の中を台風が吹き荒れてしまい、のび太達は家にいられなくなってしまった。帰宅したパパに事情を説明するママ達の横で、バツの悪そうな顔を見せるドラえもんであった。  

 (解説)「強力うちわ『風神』」と同じような道具ですが、それぞれの道具が登場した話はなぜかオチまで一緒になっていますね(笑)。両者とも最後にドラが何か余計な騒ぎを起こすわけですが、ドラには悪気がないところが余計に笑いを誘っていますね。バリエーション豊かな風がたくさん登場し、楽しい雰囲気を作り出しています。
かるがるつりざお   6頁 小一82年4月号
 空き地に空き箱で大きな飛行機を作ったジャイアンとスネ夫は例によってのび太を乗せないと意地悪を言うが、空き箱を散らかしたことを怒られてしまったためにジャイアン達は逃げてしまい、関係ないのび太がその片づけをするよう言われてしまう。とても一人で片付けきれるものではなく、困り果てるのび太の所に駆けつけたやってきたドラえもんは話を聞いて、「かるがるつりざお」を取り出した。釣り針の部分をつけると何でも軽がると運べるようになるので、のび太はあっという間に空き箱を片付けてしまった。つりざおで遊ぼうとするのびただが、偶然針の部分がお尻にくっつくと、なんと自分自身を持ち上げてのび太は空を飛んでしまった。空を飛んで楽しく遊ぶ二人はしずかを見かけたのでしずかにもつりざおを渡そうとするが、それを見ていたジャイアン達も借りたがり、つりざおが三本しかないにも関わらずジャイアンとスネ夫はつりざおを持っていってしまう。のび太達は困ってしまうが、名案を思いついたドラえもんは三人で土管の上に乗り、つりざおで土管ごと釣り上げて空を飛ぶ。それを見てジャイアン達は羨ましがるが、こちらに見とれていたために二人は衝突してしまい、川に落っこちて必死に釣り人が垂らしている釣り糸にしがみつくのであった。  

 (解説)重い荷物を運ぶだけの道具かと思いきや、なんとそれを使って空を飛ぶことさえもできてしまうという、ある意味空前絶後の道具ですね(笑)。自分自身を釣り上げるというのは何とも不思議な感覚ですが、逆を言えばそういう感覚を味わえるのが「ドラえもん」なんでしょうね。
箱庭で松たけがり   8頁 小三84年11月号(箱庭シリーズ)
 今回は松たけ山に行ってたくさん松茸を取り、松茸料理をたくさん食べてきたことを自慢するスネ夫。そして例によってそれを羨ましがるのび太だが、さすがにドラえもんでも松たけ山を出すことは出来ないだろうと思い、相談しないことにしてしまう。昼寝をするのび太だがそこにパパが現れ、友達がイワナを釣ったということで愚痴を言いに来た。のび太は釣り堀を勧めるがイワナは山奥の渓流にしか住んでいないのでそう簡単に釣りに行くことは出来ないのだ。その時ドラえもんが「箱庭シリーズ急流山」を出した。スイッチを入れると水が循環されて谷川が出来、パパに釣り支度をさせたドラえもんはスモールライトでパパを小さくして山に連れていく。谷川にはイワナを始めとした魚がいっぱいいて、パパも喜ぶのだった。のび太はドラえもんが「シリーズ」と言ったことに注目し、松たけ山があるかどうか尋ねると、ドラえもんは即答で「ある」と答えた。松たけがり用「赤松山」を出して松たけの菌糸を蒔き、適当に太陽光と水を与えることで10分ほどで生えて来ると言う。のび太はしずかも呼んできてスモールライトで小さくなって山に入る。するとそこは辺り一面に大きな松たけが生えており、三人はたくさん松たけを取ってその場で料理を始める。その頃松たけを買いにいったものの高いので諦めたママが帰ってきたが、家の中で松たけの匂いがしていることに気付く。のび太達は松たけを焼いて食べ、その美味しさに舌鼓を打つ。松たけをたくさん持って帰った二人はパパの方に行ってみると、パパもたくさん魚を釣って大満足の様子だった。ところがママはたくさんのイワナや松たけがある事を信じられず、これは夢だと言いだしてしまうのであった。  

 (解説)ちょっと対象年齢が上になっている「こんなこといいな」の世界ですね。箱庭に入った時の各キャラの生き生きした様子が見ていて楽しいですが、ラストで現実逃避をしてしまうママもおかしいですね。確かにいきなり出されたら信じられないよな(笑)。他の箱庭シリーズも見てみたい気がします。
無人境ドリンク   11頁 小六85年12月号
 またいつもの如く、先生に怒られたり出木杉にヤキモチを焼いたり、ジャイアン達にいじめられたりママに叱られたりと辛い目にあってしまったのび太は疲れ果ててしまう。ドラえもんはそんなのび太に自分自身で注意すべきだと話そうとするが、ドラえもんに言葉にさえも耳を傾けないのび太は一人で勝手に騒ぎだし、人気のない場所に行きたいとまで言いだした。それを聞いたドラえもんは「無人境ドリンク」を出す。これを飲むと絶対に他人と顔を合わせることが出来なくなるのだが、ドラえもんは一人になっても後悔しないかと最後の質問をする。だが事の重大さを理解していないのび太はすぐにドリンクを飲んでしまい、するとドラえもんは部屋に現れたネズミを見たために逃げて行ってしまう。ドリンクの効果を確認したのび太だが、そこにママがお説教をするために近づいてきた。ところがママもスーパーの安売りチラシを見て大急ぎで買いに出かけてしまう。するとジャイアンから電話がかかってきて、先程の続きをするから空き地に来いと言われてしまう。のび太は顔を合わせることはないのだからと空き地へ向かい、空き地ではキャッチボールをしていた少年が隣家のガラスを割ってしまい、それがジャイアン達のせいだと勘違いされたので二人は慌てて逃げてしまい、のび太が到着した時にはいなくなっていた。喜ぶのび太だが今度は自分からしずかに会いに行ってみることにし、しずかの家に向かうが途中でマンホールの穴に落ちてしまい、その際にしずかはママと一緒に出かけてしまう。しずかの家に誰もいないことを知ったのび太は今度は本屋に行くが、なぜか本屋にも店の主人がいないので大っぴらに立ち読みを始める。しかしスリルがないと立ち読みもつまらないのでのび太は早々に引き上げ、それと行き違いになって万引きを追いかけていた主人が戻ってきた。誰かいるはずなのに誰もいない街をさまようのび太は近くの家を無作為に選んで訪ねるが、それぞれの家の事情でのび太は家の人に会うことが出来ず、次第に「孤独」というものに恐怖感を覚えてしまう。その様子を空からドラえもんがずっと観察していた。夕方になってのび太は家に帰ってみるが、ドラえもんもパパもママもおらず、食事の支度だけがしてあったのでのび太は寂しさに耐えきれず泣き出し、泣きながら眠りについてしまう。そこへ現れたドラえもんは寝ているのび太に薬の効力は切れていることを話しかけ、夫婦二人で映画を見に行っていたパパとママも帰ってきた。翌日、寝坊したのび太は大急ぎで学校に向かうが、教室にも誰もおらずのび太は泣き叫んでしまうが、家ではドラえもん達が、日曜日なのになぜのび太が学校に行ったのか不思議がっているのだった。  

 (解説)かつての名作「どくさいスイッチ」と同様、今話では「人が人と生きること」をテーマとしています。人は一人で生きていけるほど強くはない。人間の弱さを認めた上で、それでも誰かと一緒に生きることで強くなることが出来る。これは大長編における名作群にも込められているテーマで、人が強調して生きること、そのために自分自身も変わっていかなければならないことを提示しています。現実を見据えたシビアなテーマですが、人間の持つ可能性を信じているからこそ、作者はこのような問いかけを読者にしてくれたのでしょう。そしてそんな重いテーマを見事に突き崩すラストのオチを見て、これは紛れもなく「ドラえもん」であると読者は納得するわけです。
石器時代のホテル   23頁 小三82年10月号(昔はよかったなあ)
 のび太は机に向かいながら、「あれ」のために世界中の子供が苦しんでいると呟き始める。だがドラえもんが聞いてみると「あれ」とは宿題やら勉強やら学校やらと、大事なものばかりだった。しかしのび太は大昔の人間はそんなものなくても生きていたと、過去の世界に憧れ始めてしまう。その時家の前を通りがかったジャイアンとスネ夫が空き地で野球できなくなったことに文句を言い、空き地がたくさんあった昔に憧れ始めたのでのび太も我が意を得たりとばかりに賛同する。そこへピアノのレッスンから逃げてきたというしずかも現れ、4人は自由に暮らしていた石器時代への憧れを募らせる。その様子を見ていたドラえもんは行動に出た。のび太達がドラえもんに頼み込もうと部屋に来ると、ドラえもんは「タイム電話」で石器時代のホテルを予約していた。タイムマシンで旅行する人のために、いろんな時代のいろんな場所にホテルが造られていると言うのだ。4人は本物の原始人のように暮らしたいと話すがドラえもんに注意されたのでホテルで納得し、5人そろってタイムマシンで二万年前の世界に向かう。目的地に着いた5人は広々とした世界を満喫し、洞穴のホテルに入って原始人の服に着替え、スポンジ製の石槍や石斧を持って外に出かけていく。のび太は恐竜狩りがやりたいと話すが、そう言っているうちにマンモスがのび太達のそばに近づいてきた。のび太は長い鼻で巻き上げられてしまうが、そのマンモスはホテルが飼い慣らしているもので、5人はその背中に乗って遊ぶ。丸木船に乗った5人は綺麗な水に感動するが、のび太は水を飲もうとして落っこちてしまい、溺れて水をたくさん飲んでしまう。近くにある自動販売機でご飯を食べた5人は時を忘れてのんびり寝転がるが、その時マンモスが狂ったように走り去ったかと思うと、近くの火山が噴火を起こした。火山の麓にあるホテルやタイムマシンの出入り口にたどり着くために必死で走る5人だが、火山灰で前が見えずに手間取っているうちにホテルもタイムマシンの出入り口も溶岩で埋まってしまった。しかも本当の原始人のように暮らすためにドラえもんは道具を全部置いてきており、みんなは口論を始めてしまう。
 しずかの説得で何とか自力で生き抜くことを決意する5人だが、石器を作ろうとしても勝手が分からないのでうまく出来ず、腹が減ったので近くの木になっていた木の実を食べようとするが、毒かどうか分からないので食べることもできない。さらにこの時代は本来氷河期であるために、だんだん周りが冷えてきてしまった。向こうの山の麓へ洞穴を求めて走り出すが山に着くことすら出来ず、夜になって吹雪いてきてしまう。木を擦り合わせて何とか火をおこそうとするがそれもうまく行かない。そんな時、何かが5人の近くに忍び寄ってきた。それはサーベルタイガーで、狙われてしまったのび太は絶体絶命の窮地に追い込まれる。だが間一髪でタイムパトロールが駆けつけ、サーベルタイガーを追い払って5人を元の時代へと戻してくれた。のび太は今住んでいるこの時代を少しでも良くするために頑張っていかなければならないと理解するが、ママはいつものように宿題をするよう命令するのであった。  

 (解説)テーマ的には「昔はよかった」と全く同じですが、今話は前半部分で未来科学の力を借りた楽しい原始生活を描いて、後半でその現実を描いているという、巧い構成になっています。読者である子供たちに、過去を振り返るだけでなく未来に向かって生きるように声援を送っているのかも知れません。5人がタイムマシンに乗る時に以前壊れたこと(「のび太の恐竜」)を話題に出していて、ファンを喜ばせてくれます。個人的にはのび太が川に落っこちた時、『おいしかった?』と尋ねるしずかに『のみすぎた。』と答えるのび太がスキです。
カチンカチンライト   10頁 小四85年5月号
 部屋でテレビを見ているのび太とドラえもんだが、雨が降ってきたので洗濯物を入れるようママに頼まれてしまい、二人は嫌がってしまう。ドラえもんは「カチンカチンライト」を出して、洗濯物をライトで照らし始める。そのままにして再びテレビを見始めるがのび太は気になって仕方がない。しかしテレビが終わってから行ってみると洗濯物は全く濡れていない。ライトに当たると水や煙など形のないものを5分間固めることが出来るのだ。洗濯物を取り込んだ二人は他にもタバコの煙を固め、のび太はしずかに見せに行こうとどこでもドアで向かうが、珍しくしずかはお風呂に入っていなかった。それでもとのび太はライトを風呂のお湯に当てて固めてしまい、風呂に入ろうとしたしずかはお湯に乗れるので驚くが、効果が切れた途端にお湯の中に落ちてしまう。のび太達は固めるものを探していたがそれが見つからないまま裏山まで来てしまう。すると山から煙が上がっていた。ジャイアンがたまった0点の答案を燃やしていたのだが、それを見たのび太は火の煙を固めてジャイアンとスネ夫を押しつぶしてしまう。追いかけてきた二人に対しドラえもんは雲を固めて足止めし、川の水を固めてその上を通って逃げる。ジャイアン達は追おうとして川に落ちてしまい、裏山の火で乾かすことにする。だがさっきの火の事を心配するドラえもんはのび太と一緒に裏山に向かうが、のび太はライトをつけっぱなしで飛んでしまったために、そのライトが偶然しずかの浴槽に当たり、出ようとしていたしずかは出られなくなってしまうが、効き目が切れた際に勢い余って飛び出してしまう。山ではジャイアン達の火が燃え広がってしまっており、のび太はライトで火事を固めてその間に砕いて川に持っていき、全ての火を始末した。のび太はしずかにライトを見せようと持っていくが、そのライトの説明を聞いたしずかは先程の出来事の原因を知って怒り出してしまうが、理由が分からないのび太とドラえもんはただ戸惑ってしまうのであった。  

 (解説)本筋と関係していない部分で話が進行し、ラストで二つの話が集約するという、藤子F先生お得意のストーリーテリングを堪能することが出来ます。しずかの災難も男性読者には嬉しい事項ですが(笑)、ライトをつけっぱなしで飛ぶなよ、のび太…。
スネ夫の無敵砲台   12頁 小六85年10月号(無敵砲台)
 マンガを読んでいた少年達が、スネ夫の顔を見るとこそこそ逃げ出し始めた。それを見咎めたスネ夫は彼らが読んでいたマンガを取ってしまう。少年達はジャイアンに貸す約束があると言うが、なぜかスネ夫に脅かされて引き下がってしまう。話を聞いたジャイアンは怒ってスネ夫の下に向かうが、スネ夫は不敵な笑みを浮かべると同時に何かを発射して、ジャイアンは大爆発を食らってしまった。この二、三日のスネ夫の動向を不審がるドラえもんだが、のび太は後ろめたそうに話し始めた。のび太は三日前、いじめられてもやり返せるようにドラえもんの道具を譲ってくれとスネ夫に頼まれ、ちょうど部屋に来ていたカタログから「無敵砲台」という道具を選んで買ってしまったのだ。これはどこかにセットしておけば持ち主の思うままに砲撃することが出来、しかもそれから逃げる術はないのだ。ドラえもんはスネ夫に返してくれるよう頼むが調子に乗っているスネ夫が返すはずもなく、ドラえもんは砲台を破壊することを決意、スパイ衛星で探ることにする。スネ夫の家にはないのでスネ夫を観察することにし、スネ夫が砲撃する瞬間を調べた結果、砲台は裏山にあることが判明し、二人は破壊部隊を組織して裏山に向かう。発見した砲台に手榴弾を投げ込もうとするがレーダーによる自動砲撃装置があるために二人も狙われそうになってしまい、慌てて引き返す。だがスネ夫がまたどこかで砲撃をしたのを見て躊躇することは出来ず、「かくれマント」でこっそり近づくことにするが、のび太が物音を立ててしまったために結局砲撃されてしまう。砲台に近づけるのはスネ夫だけだと思い知らされる二人だが、その時ドラえもんに名案が浮かんだ。スネ夫は街ですっかり威張り散らすようになっていたが、ドラえもんは「入れかえロープ」でのび太とスネ夫の体を取り替えてしまい、スネ夫の体ののび太はのび太の体のスネ夫に思いっきり砲撃し、砲台を返すことを約束させる。砲台をデパートに送り返したドラえもんは二人の体を元に戻すが、のび太の体は砲撃を受けたためにボロボロになってしまっていたのだった。  

 (解説)ホントに何度も言うけど、未来道具には恐ろしいものがあるなあ(笑)。今回の一番の見所は「迷彩塗装ドラ」ですね。迷彩服を着ているのび太も珍しいと言えば珍しいですが、黄色と青以外に体の色を変えたという意味で、今話のドラは結構貴重かも(笑)?なぜか手榴弾を持っているドラも怖いですね。まあ地球破壊爆弾を持ってるんだからそれくらい持ってて当たり前か(笑)。



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