てんとう虫コミックス第40巻


おこのみ建国用品いろいろ   11頁 小五、六89年8月号
 出木杉がずっと文通を続けていた外国人のペンフレンドが日本に遊びにくると言う。しずかをはじめ女性陣は「外国人」と聞いてにわかに色めきたつが、外国人というだけで人気が出てしまうことにのび太は腹を立てながらも、自分も外人になりたいなどと言い出す。それを聞いてドラえもんは笑うが、のび太に「おこのみ建国用品いろいろ」を出してやる。まず「国旗」に好きなデザインを描いて建国を宣言するのだが、のび太は自分の国を「のび太国」と名づけた。次に「国境マーカー」で部屋を囲い、入り口に「国境ゲート」をつけたことで、のび太は完全にのび太国人になり、のび太はパスポートを持って出かけるが、なぜか釈然としない。空き地にいたしずかに自分が外国人になったことを話すのび太だが、しずかは特別何の反応も示さない。のび太はこういう「外国人」になりたかったわけではないので腹を立ててしまうが、同じく空き地にいたスネ夫から、のび太国人であるのび太は日本の法律に従う必要がないから学校に行くこともないと話し、それを聞いたのび太は喜んで家に帰るが、その時パスポートから何かを落とし、ジャイアンが拾ってしまう。宿題をしないことで怒るママに、もう学校に行かないことをのび太は話すが、部屋に入ろうとすると小さなロボットたちにパスポートの提示を求められた。これは「国境警備隊」で不法入国者を退治するためのものなのだ。警備隊は部屋に入ろうとしたママをやっつけてしまったのでドラえもんは片付けようとするがのび太はそれを止め、しかも当分外国人を続けるという。そのころジャイアンは出木杉から先程のび太が落としたものについて聞いていた。出木杉によるとこれは「亡命許可証」で、何かあった時にこれを提示すればこの国は自分をかくまってくれるというものなのだ。のび太は「外交官信任状」を持ってママにおやつをもらいにいくが、そこへ母ちゃんに追われていると言うジャイアンが亡命許可証を持って現れたので、仕方なくのび太は部屋にかくまうことになってしまう。おやつを食べてしまったジャイアンは退屈なのでテレビを見ようとするが、下に降りることは国境を超えることなのでジャイアンは怒りだし、仕方なくのび太はスネ夫からおもちゃを借りてくる。だが借りてきたものは部屋で遊べないものばかりだったので、ジャイアンは国の領土を増やすよう二人に命じ、二人は領土を空き地まで増やしてしまう。空き地で遊ぶジャイアンの所に母ちゃんが来たのでジャイアンは警備隊を出動させるが、その時マンホールの蓋に描いた国境線が蓋をどかされたために切れてしまい、ジャイアンは母ちゃんに追いかけられ、それを見て二人は安心するのであった。  

 (解説)のび太が国を作ってしまうという話自体は以前にもありますが、それらの多くが「有頂天になったのび太が最後には失敗する」という展開だったのに対し、今話は少し展開が異なっています。歴代の類似道具とは違ってかなり道具が細かく設定されているところが楽しいですね。「外人」の意味の受け取り方がのび太とドラの間で異なっているところが笑えます。でものび太が金髪で青い目になっても不気味なだけのような(笑)。
またまた先生がくる   10頁 小四88年9月号(セットメーカー)
 しずかからドイツにあるお城のホテルを見せられたのび太は、このホテルに泊まりたいというしずかの願いを叶えようとドラえもんに相談することにする。だがドラえもんにも連れて行くことはできても、ホテルに小学生の女の子を泊めることなどはできず、のび太は困ってしまう。その時階下でのび太のことを話しているママの声が聞こえたので行ってみると、ママは電話で先生と話しており、先生はまたのび太の家にやって来ると言う。先日「ゆうどう足あとスタンプ」でごまかしたばかりなのだが、まだ先生は諦めていなかったらしい。慌てて先生の下に行くが先生は何としてものび太の家に行くと言って聞かない。のび太にせがまれてドラえもんは仕方なく「セットメーカー」を出した。空き地に向かって機械を向けて、家のイメージを思い出しながらスイッチを押すと、何とのび太の家が空き地に出来上がった。だがこれは映画撮影のセットを作るための機械なので、裏から見ると張りぼてであることが簡単にわかった。のび太は玄関から廊下、そして居間までのセットを作り、どこでもドアを使って先生をそっちに誘導する。とりあえず先生を居間に上げたのび太はこの道具を使って裏山にお城を作り、しずかを招待しようと考え出してしまう。不真面目なのび太に怒るドラえもんだがのび太は無視して城のセットを作ってしまう。早速しずかをつれてきて中を見て回る二人だが、しずかが外の景色を見たいというのでのび太に頼まれたドラえもんは霧のホリゾントに景色を映して何とかごまかす。だがそれからものび太はジュースを持ってくるように頼んだり、待っている先生にお茶を出してくれとドラえもんに注文ばかりして、ドラえもんはくたびれ果ててしまう。ところがその騒ぎを聞きつけたママがどこでもドアに入り、空き地のセットの方に行ってしまう。湖でボートに乗りたいとしずかが言い出したのでのび太はドラえもんを探すがなぜか見つからない。空き地のセットの方に行ってみると、そこではドラえもんが先生とママに事の次第を激しく詰問されている所であった。  

 (解説)今話のドラえもんは注意しながらものび太のわがままを聞いてしまって、ずいぶん甘いですね。僕としてはあまりに甘すぎるのは好きではないのですが、これくらいは許容範囲でしょうか。なお「ゆうどう足あとスタンプ」についてはいずれ未収録の方で紹介すると思いますので、しばらくお待ちください。
あとはおまかせタッチてぶくろ   10頁 小六83年9月号(タッチてぶくろ)
 学校はとっくに終わった時間なのに、なぜかのび太の帰りが遅い。居残りをさせられているのかとママがイライラし始めたのでドラえもんが様子を見に行くと、のび太は一人で教室の掃除をしていた。ジャイアン達は野球があるからと言って掃除をサボってしまい、戦力にならないのび太に押し付けてしまったのだと言う。それを聞いて怒ったドラえもんは「タッチてぶくろ」を出し、のび太と共にジャイアン達の下へ行く。てぶくろをつけたのび太がジャイアン達にタッチすると、ジャイアン達は学校へ掃除しに向かった。これをつけてタッチすると、これまでの状況を交換することが出来るのだ。だがこれを見て面白がったのび太はもう少し借りておくと言いだしたのでドラえもんは注意するが、それを聞いたのび太は絶対返さないと怒り出してしまう。追いかけるドラえもんをかわすためにのび太は近くのおばさんにタッチして、その人がつけていたゴム手袋を渡してしまう。家に帰ってママに叱られるのび太だが、そこにやって来た集金人にタッチしてごまかしてしまい、さらに戻ってきたドラえもんにタッチして宿題をやらせてしまう。反省する素振りを見せながらも手袋を返そうとしないのび太は、お使いを頼みに来たママにタッチして自分で行かせてしまい、しずかの家に出かける。そこへ先程のことでスネ夫とジャイアンがやってくるが、のび太にタッチされたスネ夫がジャイアンに殴られてしまう。しずかの家に行くのび太だがしずかは草むしりをやっており、さらにその後出木杉と図書館に行く約束だと言う。やって来た出木杉と、重い荷物を担いでいる老人を見かけたのび太は自分が荷物を持つことにした時点で出木杉にタッチし、出木杉に荷物を持たせてから、近くの野良犬にタッチして草むしりをさせてしまう。のび太はしずかと楽しく遊ぶがそのために家に帰るのが遅くなってしまい、ドラえもん達はのび太を厳しく叱ることにする。のび太は家に戻ってくるが、玄関先になぜかあった野球ボールの製で転んでしまい、その時通りがかった男に助け起こされるが、男はのび太が手袋をしている方の手を握ってしまったためにタッチと同じ状態になってしまい、男はのび太の代わりに家に帰ってしまう。のび太が帰ってきたと思いこむドラえもん達は戸締まりして寝ることにし、のび太は家に入れてくれるよう叫ぶのだった。  

 (解説)以前に登場していた道具ではありますが、話の展開が全く異なっているところはさすがですね。こういう話ではエキストラキャラの魅力も十分に発揮されており、物語世界を豊かにしていますね。でも一番面白いのは、ラストのコマに出てくるドラえもんによく似たネコですかね。「カムカムキャットフード」からの友情出演でしょうか(笑)?
恐怖のたたりチンキ   8頁 小五85年8月号(たたりチンキ)
 夜、なぜか寝苦しいジャイアンが目を覚ますと、障子に大きなネコの影が映っていた。助けを呼ぼうとするが声のでないジャイアンにそのネコが飛びかかってきた。叫び声を聞いて母ちゃんがやって来るもその時には何もおらず、母ちゃんは怒って眠ってしまうがまたネコが現れて騒いだため、ジャイアンは庭に追い出されてしまった。翌日、その事をジャイアンがみんなに話すと、ドラえもんはいつもいじめられているネコにたたられたのだと説明する。その話をバカにするスネ夫だが、そんなスネ夫を一発殴ってジャイアンはどうすればいいのかドラえもんに尋ね、ジャイアンはネコに魚をあげて、もう二度といじめないことを誓った。ジャイアンの話を不思議がるのび太だが、実はこれはドラえもんが「たたりチンキ」を使って行ったものだった。その時空き地に捨てられているイヌを見つけたドラえもんは、このイヌにたたりチンキをかけてみることにする。薬をかけるとイヌの頭から煙のようなものが出て、あれが今晩飼い主の元に現れると言う。タイムテレビで見てみると確かに飼い主の元にイヌのオバケが出ており、飼い主はイヌを連れ戻しに来ていた。安心して二人が家に帰ると、ママは庭で何かを燃やしていた。なんとそれはのび太のマンガの本だと言う。先生から電話があったために、勉強させるためにマンガを焼いてしまったのだと言う。文句を言っても聞いてもらえるはずもなく、泣き崩れるのび太にさすがに同情するドラえもん。のび太はたたりチンキを使って本の恨みを晴らすことを考え、燃えた本の灰に薬をかけて怨みの念を出すが、のび太は今夜まで待てないので今すぐ出て欲しいとわがままを言いだし、昼間に出ても迫力がないのではと言いながらも、何とか頑張ってくれるようドラえもんは頼み込む。怨みの念はそれに応えてママを驚かし、ママは二度と本を焼かないと話す。ところがさらにのび太は先生まで逆恨みしだして自分に薬をかけ、怨みの念を先生の下に飛ばしてしまう。だが夜にのび太そっくりの念を見た先生は、それが念だとは気付かずに説教を初めてしまい、散々叱られた念は逆にのび太本人に怨みを持ってしまい、のび太に怨みの念を向けてしまうのであった。  

 (解説)化け猫や化けイヌは許容範囲としても、化けマンガも出てきてあげくに化けのび太とは(笑)。やはり今話は全く怖くない(笑)オバケマンガ本が一番の見所でしょうね。自分で作ったオバケに、最後は自分自身が恨まれてしまうという展開は「ウラメシズキン」と同一のものですね。それにしても、ホントにジャイアンを庭にはっ倒してしまう母ちゃんは相変わらずすごい人だ(笑)。ドラ世界の母親はすごい人が多いです。
架空人物たまご   10頁 小四85年8月号
 のび太がついにけん玉の玉を皿の上に乗せることに成功した。幼稚園の頃に買って以来の悲願がついに達成されたのだ。のび太はそのままみんなに見せに行こうとするが、ママからタンスの裏にはんこを落としてしまったのでタンスを一緒にどかして欲しいと言われ、二人がそれぞれ嫌がったのでママは怒り出してしまい、ドラえもんが逃げ遅れてしまう。ドラえもんは仕方なく「架空人物たまご」を出してその中から「おやゆびトム」の卵を割ると、中から本物のおやゆびトムが出てきて、隙間に入り込んではんこを取ってきてくれた。物語の中の登場人物がこの卵の中に入っているのだ。一方のび太はみんなにけん玉のことを自慢するが、ジャイアン達にバカにされたあげくにけん玉を持っていかれてしまう。泣いて帰ってくるのび太だがその時家から孫悟空が飛び出して買い物に行くのを見て驚き、さらに家ではシンデレラが家の掃除をしているのを見てさらに驚く。先程のことですっかり味をしめたママが卵を使ってしまっているのだ。その話を聞いたのび太も早速卵を使いたがり、嫌がるドラえもんを抑えて「怪盗ルパン」を出してしまう。ルパンはけん玉を取り返して欲しいと言う頼みを憤慨しながらも了承し、ご丁寧に予告状を書いてジャイアン達に渡す。怒るジャイアンだがスネ夫のアドバイスを受けてけん玉をお巡りさんに預かってもらうことにする。だがそのお巡りさんこそルパンの変装であり、ルパンはまんまとけん玉を取り返した。のび太は今度はけん玉をしずかに見せに行こうとするがジャイアン達に仕返しされそうになってしまったので、今度はたまごの中から「マイティマン」を出してけん玉を成功させるまでの護衛をつとめてもらう。ジャイアン達をやっつけてもらってからしずかにけん玉を見せようとするのび太だが、先程と違ってうまくいかない。仕方なくまた今度見せるということにしたが、それをマイティマンが止める。卵から出てきたものは役目を終えるまで消えることは出来ないので、マイティマンはのび太にけん玉を成功させることを強要し、夜になってママ達が呼びに来ても帰そうとしないのであった。  

 (解説)便利な道具を見て味をしめるという癖は、やはり血筋だったということでしょうか(笑)。いろんな物語の登場人物が実際に登場するというところはユニークですが、なんでマイティマンだけは「スーパーマン」ではダメだったんでしょうか?まあ、枝葉末節だとは思いますが。しかし幼稚園の頃からずっと出来ないとは、のび太はやはりのび太だなあ(笑)。…全然解説になってないな。
顔か力かIQか   10頁 小四88年12月号(いいとこ選たくしボード)
 学校が終わり、のび太はしずかと一緒に宿題をしようとするが、今日の宿題は自分も分からないとしずかは話し、しずかは出木杉に教えてもらおうとするが出木杉はサッカーに出かけたので夕方ごろに来てくれるようにと話していた。その様子を見て腹を立てたのび太はドラえもんに、人物名を仮名にして愚痴をこぼすが、ドラえもんが名前をいちいち当てるので怒り出してしまい、同じ人間なのに不公平だと泣き出してしまう。仕方なくドラえもんは「いいとこ選択しボード」を出した。これを使うと知能指数、体力指数、かっこよさ指数のどれか一つを上げることが出来るのだが、どれか一つを上げるとその分他のものが下がってしまうのだ。のび太は知能指数を上げ、ルックスを平常にして体力を下げてから機械をポケットに入れて宿題を始めると、すぐに宿題を終わらせてしまった。早速しずかに見せに行こうとするのび太だが、のび太は知能指数を元に戻してかっこよさ指数を上げてしまう。劇的な変化はないものののび太はいくらかカッコ良くなったその顔でしずかに会いに行く。体力が落ちているのですぐにばててしまうがどうにかしずかに会う。自分のことが分からないしずかにのび太だと説明するが、それを信じないしずかは立ち去ってしまい、追いかけたのび太はイヌに因縁を付けられて追いかけられてしまう。そこをジャイ子に助けられるのび太だが、のび太をのび太と認識していないジャイ子は急に色目使いになってきたので、のび太は早々に立ち去るが、のび太の落としたノートからジャイ子はあれがのび太だと分かって怒り出す。顔と体力を戻したのび太はしずかに追いついて宿題を見せようとするが、ノートを落としたことに気付いて探しに行く。ジャイ子から話を聞いたジャイアンは怒り狂ってみんなにのび太を捜すよう厳命し、みんなはノートを探しているのび太を強引に空き地へと連れてくる。追いつめられたのび太は顔や頭のことを無視して体力を全開にしてしまい、なんとかジャイアン達はやっつけた。夜になっても帰ってこないのび太を心配したドラえもんはしずかの家に行ってみるがそこにものび太は来ていない。ドラえもんはのび太を捜すが、その横で顔も頭も最低レベルになったのび太が呆けた様子で歩いていた。のび太は頭のレベルが下がったために家は愚か自分のことすら分からなくなってしまい、さらに顔のレベルも下がったので「のび太」と認識することが出来なくなっているのだった。  

 (解説)今回は何と言ってもラストのオチが強烈ですね。「顔も頭もバカになる」というのは初期の作品にありそうな展開で、それ自体は別に珍しいものではないのですが、今話が掲載された時期は「差別語狩り」も始まった時期で、かなり表現に規制がかかり始めていた頃だと記憶しています。そんな時期にこんな強烈なオチが使われたということが、僕としてはこの上なく嬉しいです。話の中では、「カッコ良く」なったのび太とか、のび太の顔を「面白い」と認識していたしずかなどが面白いですね。
ふつうの男の子にもどらない   8頁 小五85年5月号(ふつうの男の子?にもどれなかったジャイアン)
 突然のび太とドラえもんに、芸能界を引退して普通の男の子に戻ることを話すジャイアン。ジャイアンは最近のコンサート不人気を受けて、引退することを決意したのだと言う。それを聞いて喜んだ二人はスネ夫に話しに行くが、その事にスネ夫は疑念を抱いたので、ドラえもんは真相を探るために「ホンネ吸いだしポンプ」でジャイアンの本音を吸い出す。ジャイアンの本心はわざと引退を宣言することで逆にみんなを慌てさせ、その上でカムバックするというものだった。それを知った三人は各自別れてみんなに知らせに行き、そしてコンサートが始まる前に練習をするため、会場である空き地に集合させる。だがジャイアンを恐れるみんなはどうしても拍手を盛大にしてしまうので、ドラえもんは「拍手水ましマイク」を出した。本来はこのマイクをセットしておくとどんなまばらな拍手も嵐のように轟かせるという道具なのだが、今回はこれをマイナススイッチに入れておくことで、拍手のレベルを下げることにし、花をさした空き缶の中にマイクを仕込んだ。やって来たジャイアンは開場前から全員揃っていることに感動し、支離滅裂なドラえもんの開場挨拶のあと、ジャイアンはみんなに向けて話し始めるが、みんなは目を伏せてジャイアンと目を合わせない。ジャイアンは2時間半歌いまくるが、みんなはこれが最後だと信じて必死に耐え抜いた。そして全てが終わるが、ジャイアンは雨だれのような静かな拍手を聞いて内心慌て出す。ジャイアンはアンコールをすると言いだしたのでスネ夫やドラえもんは説得を始めるが、その様子を見て怒ったジャイアンは弾みで花をさした空き缶を踏んでしまい、その中に隠してあったマイクのスイッチがプラスになってしまったために、嵐のような拍手が巻き起こってしまう。それを聞いて嬉しがったジャイアンは予定通りにカムバック宣言をしてしまう。それからかなり長い期間、のび太とドラえもんはみんなの冷たい視線に耐えることになってしまうのであった。  

 (解説)元ネタはやっぱり「キャンディーズ」なんでしょうかね?本音と建て前をさまようドラの開場挨拶や、アンコールをすると言いだした時のスネ夫やドラのあわてっぷりが楽しいですね。でも、ラストではのびドラの二人がみんなに恨まれてしまいますが、よく考えると今話ではのび太は何も悪いことをしていないような気が…(笑)。
レポーターロボット   10頁 小六85年4月号
 町内の様々なうわさ話をしずかやのび太に話すスネ夫は、川口さんの息子が38回目のお見合いをしたことを二人に話す。話題豊富なスネ夫を誉めるしずかだが、それに一人で嫉妬したのび太は自分も噂を知りたいなどと言い出し、ドラえもんに注意されてしまう。一応「レポーターロボット」はあるものの貸さないことにしたドラえもんは出かけていってしまうが、のび太はスペアポケットからロボットとモニターテレビを出し、ロボットに川口さんのお見合いがどうなったのかを調べてもらうことにする。ロボットが川口さんに取材に行くと、川口さんはお見合い相手に好印象を持ったらしい。のび太は急いでしずかに知らせに行くが、まだそれでも詳しいことが分かっていないので、のび太はロボットにもっと掘り下げて取材してもらうことにする。だが次にロボットが取材に行くと、お見合いの話は断られたと言う。その事を聞いたしずかは自分もテレビを見たいと言いだしたのでのび太はテレビを空き地に持ち出すことにするが、それを知ったドラえもんはロボットを何とか止めようとする。しかしドラえもんはロボットに電撃を食らって真っ黒焦げになってしまい、のび太に厳しく説教することを心に決める。ロボットはお見合い相手の空野さんへインタビューするが、その様子を空き地のテレビで知った川口さんは急いで空野さんの下へ向かう。ロボットがあまりにしつこいので空野さんは怒って家に入ってしまうが、それでもロボットがしつこく追ってくるので逃げ出してしまう。止めさせようと駆けつけてきた川口さんも電撃で黒焦げにしてしまうが、それでも川口さんは食い下がってついにロボットのスイッチを切ってしまう。その事件をきっかけにして二人は交際を始め、とうとう婚約までしたことを喜ぶのび太だが、お説教するチャンスを逃してしまったドラえもんは複雑な心境であった。  

 (解説)他人のうわさ話には興味津々になる現代社会の暗喩…と言うこともできますが、そんなに難しいテーマが隠されているわけではないでしょうね。まあ、自分が当事者にならない限りはうわさ話を面白がることはやめないだろうから、のび太達の心理も分からなくはないんですが。今話は何と言っても久々の「黒焦げ」が楽しいですね。ドラもそうだし、ゲストキャラまで炭化してしまうその描写は爆笑ものです。「イモい」という言葉も、今となっては懐かしいですね。
フリーサイズぬいぐるみカメラ   10頁 小三89年4月号
 焼いたクッキーを食べに来て欲しいと、出木杉と一緒にしずかから誘われたのび太は喜んで家に帰るが、家の草むしりをする約束だったことを思いだし、タケコプターで部屋の窓から入り、ママに気付かれないようにして出かけることにする。ところが何故かママは押入の中に隠れており、のび太に無理やり宿題をさせ始める。ところがいきなりママは笑い出すと、ママの中からドラえもんが出てきた。ドラえもんはママのぬいぐるみを着ていたのだ。怒ったのび太は出かけようとするが本物のママに気付かれてしまって草むしりをするように言われてしまう。のび太は自分のいない間にしずかと出木杉が仲良くなって、ついには結婚までしてしまうと杞憂を展開するが、泣いてわめくのび太にドラえもんは「フリーサイズぬいぐるみカメラ」を出してやる。これを使ってしずかを写すとしずかのぬいぐるみが出来てしまった。これを着てしずかになりすまし、のび太は出木杉を一旦家に帰らせることに成功する。家に戻ったのび太は先程のカメラで今度は自分を写してもらい、さらにフリーサイズということを確かめるために、ドラえもんに入ってもらう。そしてママにばれないことを証明しようとドラえもんはママに姿を見せ、その場のノリで草むしりまで始めてしまった。作戦を成功させたのび太は安心してしずかの家に向かうが、その様子をスネ夫に見られ、慌てて去っていくのび太を見てスネ夫は不思議がる。しずかは出木杉がまだ来ていないことを気にしていた。ドラえもんはようやくのび太に騙されたことに気付き、ぬいぐるみを捨ててのび太を追いかけるが、道に放り出されたぬいぐるみをスネ夫が拾ってしまい、それを着てしまう。しずかは出木杉が来てからクッキーを食べると言うので、のび太は仕方なく出木杉を呼びに行く。何とか出木杉をしずかの家に向かわせるのび太だが、そこになぜかタケコプターをつけたママがやってきて、のび太に草むしりを命じてしまう。出木杉の所にはのび太のぬいぐるみを着たスネ夫が現れ、それがスネ夫と気付かない出木杉は一緒にしずかの家に行ってしまう。草むしりを終わらせるのび太だが、そのママもやはりドラえもんの変装で、のび太は怒り出してしまう。さらにクッキーは出木杉とのび太に扮装したスネ夫が食べてしまっており、間に合わなかったのび太は大泣きしてしまうのであった。  

 (解説)結果的に自分で余計なことをしてしまったためにクッキーを食べ損ねたのび太が、哀れと言うかバカと言うか(笑)。一人で勝手に取り越し苦労をしてしまうのび太や、自分が騙されていることにも気付かずに草むしりをやり続けてしまうドラなんかが面白いですね。「身代わり紙人形」も同じようなオチで、同時期に類似したオチが重なるのも珍しいです。
台風トラップと風蔵庫   10頁 小四83年10月号
 台風が上陸し、家のきしむ音を聞いて怖がるのび太だが、ドラえもんは外に「台風トラップ」を仕掛けに行こうとする。核爆弾以上という台風のエネルギーを少しでも蓄えるために、外に出て「台風トラップと風蔵庫」を出し、これで台風の一部を掴まえておくのだ。翌朝、台風一過の庭へ仕掛けた道具を見に行くと、風蔵庫の中身は満タンになっていた。ここから少しずつ台風を取り出して色々使うことにしたドラえもんは、最初に割り箸に小さな台風を乗せて庭の草むしりを行うが、すぐに台風は小さくなってしまった。次に壊れてしまったという洗濯機の洗濯槽の中に台風を入れて水に流れを起こす。のび太はパパからドライヤーが動かないことを聞いて、自分も台風を使ってみようとするが、台風の力が強すぎたためにパパの髪の毛はムチャクチャになってしまう。ドラえもんから説教を受けるのび太だが、あまりにしつこいのでドラえもんの悪口を言ってしまい、怒ったドラえもんは台風を少し飛ばしてのび太を吹き飛ばしてしまう。のび太は自分もやり返そうとするがバルブを開きすぎたために自分の体に台風をまとってしまい、ちょうど鎧のようになってしまう。それを見て調子に乗ったのび太はジャイアン達をやっつけに行こうとし、ドラえもんは先回りしてスネ夫に知らせるがスネ夫は全く意に介さず、逆に自分の方から勝負を挑むが、台風に吹き飛ばされてしまう。ジャイアンも最初は強気だったがスネ夫から話を聞いて考えを変え、ドラえもんから「台風チャート」を借りてのび太から逃げることにする。ジャイアンは空き地の土管に隠れるが、それを見越したのび太も空き地に向かい、隠れている土管を壊してジャイアンを追い出してしまう。逃げるジャイアンを余裕で追いかけるのび太は途中でしずかに会い、しずかに本を借りようとするがのび太の周りに台風があるためにしずかのスカートはめくれてしまい、さらに本がどんどん飛んでいってしまう。のび太が近づくから本が飛んでいくと言うので追うのを止めるのび太だが、その時のび太は周りの台風が弱まっていることに気付き、急いで家に帰ろうとするがそのあとをジャイアンがしっかり追いかけているのであった。  

 (解説)冒頭では核爆弾とも比べられているほどの台風のエネルギーをどんなことに使うかと思えば、結局はジャイスネに仕返しするのがメインとなりました。この日常感はやはりドラえもんならではのものですね。「ジャイアン台風接近中」では怒りエネルギーを台風になぞらえたチャートが登場しましたが、今話では本物の「台風チャート」が登場しています。
環境スクリーンで勉強バリバリ   10頁 小五、六89年4月号(環境スクリーンとプロジェクター)
 スネ夫から山奥の風景を写しているビデオを見せられるのび太とジャイアン。これは「環境ビデオ」と言って、これを見れば気分だけでも都会を離れ、勉強もはかどるというスネ夫の言葉を聞いて、のび太は自分にも環境ビデオが必要だと思いこみ、ドラえもんに懇願する。ドラえもんは「環境スクリーンとプロジェクター」を出し、部屋いっぱいにスクリーンを広げてプロジェクターの地球儀にピンを刺すと突然スクリーンいっぱいに滝が映し出された。見る視点を調節するとナイアガラの滝であることが判明し、のび太はこれを見ながら宿題を始めるがあまりにも滝の音がうるさいので集中できないと言うので、次にカナダの原生林を映す。だが今度は静かすぎてのび太は眠ってしまい、今度はしずかと一緒ならいいとわがままを言い出す。しずかを呼びに行ったドラえもんだが、部屋に戻ってみるとのび太はどこでもドアでカナダに行って遊んでいた。ドラえもんは改めて海を映しだし、二人も宿題を始めるがのび太はイルカの群れを見つけてはしゃいでしまう。注意されたのび太はその後は真面目に勉強するが、偶然漂流者を見つけてしまったために三人はこれを助けるが、くたびれてしまったためにしずかは家に帰ってしまう。ドラえもんは日本の雪山を映しだし、のび太は今度こそ宿題に専念するが、今度は遭難者を見つけてしまったので二人は救助に向かい、何とか遭難者を助けるものの、のび太の宿題はもはや絶望的だった。だが助けた遭難者が灯大生であることを聞いたのび太は、今度だけと言うことでこの人に宿題をやってもらい、ドラえもんは呆れてしまうのであった。

 (解説)結局勉強をすると言うことは環境云々ではなく、本人のやる気次第と言うことでしょうね。なぜか漂流者や遭難者を見つけてしまうのび太も面白いですが、出てくる漂流者もいかにも「漂流者」という感じでおかしいですね。個人的には「灯大生」という、妙に弱そうなネーミングがスキです(笑)。
モーテン星   10頁 小四85年6月号
 週刊誌の占いページで、今日一日が悪運の日だと紹介されていたと言ってしずかは家に閉じこもってしまった。のび太は迷信だと言うがしずかはそれでも怖がってしまう。ドラえもんに相談しようとするのび太だが部屋にドラえもんはおらず、仕方がないので昼寝しようとするがなぜかどこからかドラえもんの声が聞こえ、不思議に思って部屋を歩き回るとのび太は何かとぶつかって転んでしまい、その時ようやくドラえもんの姿が見え始めた。ドラえもんは「モーテン星」をつけていたので姿を消していたが、効き目が切れたので見えるようになったと言う。これをつけると、網膜の部分に存在する、像を映さない一点・盲点にしか自分の姿が届かなくなると言うのだ。ドラえもんは理解不能ののび太に二つの星を並べた絵を見せて実践させ、のび太はこれを使ってしずかを一日守ろうとするが、ドラえもんはのび太がジャイアンを殴ったり、しずかのスカートをめくったりお風呂を覗いたりするものと勘違いして注意してきたので、のび太は怒り出してしまう。のび太はしずかに安心して出かけるように連絡してからモーテン星をつけてしずかの下へ向かう。しずかの後を追いかけるのび太だが、途中でいつものび太に噛みつくイヌに出くわしてしまう。ところがイヌにも見えていないことを知って気を良くしたのび太は石をぶつけてしまったので、しずかがイヌに追いかけられてしまい、のび太はイヌを必死に止める。ボロボロになりながらも監視を続けるのび太は空き地に置いてあったバットを見つけ、これを使おうと考えながら素振りをしてみるが、その時バットがすっぽ抜けて空き地にいたジャイアンに当たってしまう。誰が自分を殴ったのか不思議がるジャイアン。しずかは急いで目的地に向かうが、その目的地が出木杉の家だと気付いたのび太は行かせまいと思わずスカートをつかんでしまい、慌てて離すもその時の勢いでしずかは工事中の穴に落ちてしまう。泥だらけになったしずかは家に帰ることにするがのび太は家の中にも入り込んで監視する。だがしずかがお風呂に入ることを知ったので急いでお風呂場の外に出て、そこでしずかが上がるのを待つことにする。ドラえもんはそろそろモーテン星の効き目が切れる頃なので様子を見に行くが、着替えを取りに行こうとしたしずかは効き目が切れてしまったのび太に驚いて思わず叫んでしまい、さらに今までのび太がしたことが全部悪意によるものだとドラえもんにまで誤解されてしまい、のび太は必死に弁解するのであった。  

 (解説)言葉上の表現で「盲点」とよく使いますが、今話を読んで初めて「盲点」の真の意味を知った人も多いのではないでしょうか。もちろん初めて読んだ人はみんな、二つの星の絵の所で自分も試してみたことでしょう(笑)。のび太のしたことが結局はドラの想像したことと同じように思われてしまうというところは巧い構成です。占いのことを気にするしずかは、やはり普通の女の子ですね。
タイム・ルーム昔のカキの物語   10頁 小四88年7月号(タイム・ルーム)
 人気マンガ「タンキくん」の第8巻を買ってきたのび太はドラえもんと一緒に読み始めるが、その様子を見たママはパパに厳しく叱るよう頼む。パパはのび太の部屋に入って注意するが、のび太からマンガを見せられて驚いてしまう。小さい頃に良く読んでいたマンガだというのだが、今日発売されたばかりのマンガなのでそんなことはあるわけないと二人は話す。パパも夢中になってそのマンガの話を始めたのでママが怒ってしまい、のび太は仕方なく宿題をすることにする。そこへしずかが自宅の庭で採れたビワを持ってきてくれた。のび太はママを説得して今食べることにし、二人は取れたてのビワの美味しさに舌鼓を打つ。のび太は昔は自分の家にもカキの木があったことを思いだし、しずかにプレゼントするためにタイムマシンで過去へ向かおうとするがタイムマシンは修理中だと聞いて駄々をこね始め、仕方なくドラえもんは「タイム・ルーム」を取り出した。これをつけた部屋を丸ごとタイムスリップさせてしまうのだ。30年前に移動してカキの木を見つけるのび太だが、時期がずれていたので三ヶ月ほど進んでみると、立派なカキが木に生っていた。二人は30年前の家族に見つからないように注意しながら外に出るが、のび太は庭で若い頃のおばあちゃんを見かけて思わず会いに飛び出そうとしてしまい、ドラえもんに止められる。おばあちゃんがいなくなったところを見計らって二人はカキを採ろうとするが、子供の頃のパパが二人をカキドロボーだと思いこんで二人を追い出してしまう。しかもカキの木の前で見張り始めたので二人は仕方なく帰ろうとするが、パパはおじいちゃんに勉強するように言われたため部屋に戻ってきてしまい、二人は慌てて部屋を飛び出すが、パパは部屋の中が全く違っているのを見て慌ててしまう。パパは本棚の中から「タンキくん」を取り出して読み始め、夕食の時間になってパパはマンガを読んだままで部屋を出ていってしまった。しかしこれ以上部屋を変えておく訳にもいかず、ドラえもんは部屋を元に戻すが、カキは採れずマンガは持っていかれると、のび太にとっては散々な結果になってしまった。だが現代に戻ってみると、パパが昔読んだという「タンキくん」を物置の中から探して持ってくるのであった。  

 (解説)ドラ世界十八番のタイムパラドックスをメインに据えた良作です。よく考えると「部屋ごと時間移動」という設定はものすごいですね(笑)。これもある意味ナンセンスな道具かも知れません。久々におじいちゃんとおばあちゃんが登場していることも、ファンにとってはトピックス事項ですね。
スネ夫は理想のお兄さん   11頁 小四84年9月号(イメージライト)
 道で、以前どこかで見たような顔の少年を見かけるのび太とドラえもん。するとその少年は親しげに二人に話しかけてきた。その子はスネ夫に連れられて立ち去るが、その時に英語を話したことと、自分達のことを知っていたことに興味を持った二人は後をつけることにする。スネ夫は先生を見かけたのでなぜか進む道を帰るが、そちらではしずかに会い、しずかはスネ夫の連れている少年をスネツグと呼んだ。その時になってようやく二人も思いだした。スネツグはスネ夫の実の弟なのだが、ニューヨークに住んでいるおじさんに子供がいなかったため、小さい頃に養子となってもらわれていったのだ。だがなぜかスネ夫はスネツグとみんなを会わせたくない様子で、そそくさと家に帰ってしまう。その様子を不思議がるのび太達。スネ夫の家ではスネツグに外に出ないようにと固く言い聞かせてから、スネ夫がのび太の家に向かっていた。スネ夫は二人に相談があって来たというのだが、来た早々にスネツグの住むニューヨークのおじさんの家の自慢話を始め、二人に飽きられてしまう。話を元に戻したスネ夫は、スネツグとずっと手紙のやりとりをしているうちに、いつしかウソばかりついてかっこいいことを書き続けてしまい、スネツグはスネ夫のことを世界一素晴らしい兄だと信じ込んでいるのだと言う。ウソがばれると困るのでスネ夫はみんなに会わせたがらなかったのだ。スネ夫は弟のイメージを壊さないように、弟が日本にいるだけでもそれらしく振る舞ってもらえないかと二人に頼むが、あまりと言えばあまりにも図々しいその願いを二人は断り、スネ夫は他のみんなの所もまわるがことごとく断られ、あげくにジャイアンには怒られてしまう。しかも先生がこれから成績のことで家に行こうとしていることを知って困り果ててしまう。その様子を衛星テレビで見ていた二人だが、そこへスネツグが今夜行われる歓迎パーティの招待にやって来た。スネツグにスネ夫のことを聞いて、本気でスネ夫のことを信頼していることに心を痛めたドラえもんは「イメージライトキャップ」を出し、それをスネツグにかぶせる。このライトを浴びると、つけている人間のイメージどおりになるのだ。スネ夫は先生が家に行くのを防ごうとするが、買い物帰りのママと偶然出会ってしまい、しかもそこに偶然スネツグまでやってきてしまう。だがスネツグのイメージライトを浴びた先生は急にスネ夫をべた褒めし、さらにスネ夫は道行く女の子からもちやほやされ、先程の事で怒ってきたジャイアンまでも謝りだしてしまう。それを見て、スネ夫は自分が思っているよりも素晴らしい人間なのではないかと勘違いするが、スネツグがいなくなると女の子は離れて行き、ジャイアンには殴られてしまう。のび太達から事情を聞いたスネ夫は、アメリカに帰らずにずっと日本にいるようにスネツグを誘い、テレビで見ていたのび太達は呆れてしまうのであった。  

 (解説)連載最初期にのみ登場していたスネ夫の弟が、名前を持って復活しました(笑)。スネツグ復活の経緯はここでは割愛させて頂きますが、今話は自分と違って素直な子供になった(笑)弟を想ってのスネ夫なりの兄貴らしい優しい行動が描かれています。スネツグも昔は兄に良く似ていたのですが、変われば変わるもんです。一回限りの再登場が惜しまれるキャラクターですね。
ミニ熱気球   10頁 小五、六89年5月号(ドラミちゃんのミニ熱気球)
 窓からのんびり飛行船を眺めるのび太。しかしそれはなんとラジコンで、部屋に飛び込んできたのでのび太は驚いて外に出てみると、やはりスネ夫のラジコンであった。例によってそれを羨ましがったのび太はドラえもんに頼み込もうとするが、それを先読みしていたドラえもんは人のものを羨んでばかりいてはいけないと諭す。しかしそれでも欲しがるのび太のために、もう既に手配しておいたと言うが、飛行船ではないらしい。そこへやって来たのはドラミで、ドラミは自分と同じ形をした「ミニ熱気球」を出した。線香一本だけで浮き上がることが出来るこの気球は、ラジコンのように操縦できない代わりに「ジェット気流発生機と着地ポイント」を使い、気流に乗せて着地ポイントにまで進ませることが出来ると言う。大事に使うよう言い残してドラミは帰り、のび太はこれで太平洋を横断しようなどと言い出すが、そこへしずかから、昨日帰る時にのび太の家に落としたブローチの事を聞かされ、のび太は気球を使って届けることにし、一旦しずかの家に行って着地ポイントを置いていく。ブローチを乗せた気球はしずかの家に向かって進み始め、二人はモニターテレビでその様子を観察する。のび太は気流の高度を下げてみるが、その気球を見たジャイアンとスネ夫は待ちかまえていたように行動をとり始めた。のび太がドラえもんに何か出してもらうであろう事は予想していたので、ジャイアンは釣り竿を使って気球を取ってしまい、気球に何か起こったことを知った二人は困ってしまい、さらにしずかからも催促の電話がかかって余計に慌ててしまう。ドラえもんは「どこかなまど」を使って居場所を探し、スモールライトを使って小さくなってから窓を通って気球の下に行く。幸い火が消えただけでどこも壊れてはいなかったので、二人は火をつけて再び出発する。ジャイアン達は気球を土管の中に隠していたが、気球が飛び始めたのを見て石を投げつけてしまい、それによって線香は落とされ、ガラスを割ってしまったためにジャイアン達は逃げたものの、気球はゴミ捨て場の中に落ちてしまった。使いかけの蚊取り線香を見つけた二人はこれに火をつけて再び飛行するが、線香が煙をたくさん出すので、二人は煙にまみれながらもようやくしずかの家に到着するのであった。  

 (解説)よくこの話で話題になるのは、「のび太は黒電話、しずかはコードレス」というやつですね(笑)。まあそれはいいのですが、今話はストーリー自体は至って普通です。のび太の行動を予測してしまっているドラやスネ夫、ドラミがドラミ型の気球を出すという、なかなかシュールな光景がおかしいですね。
人間貯金箱製造機   10頁 小四89年4月号
 何やら急いで家に帰るスネ夫。のび太はジャイアンにでも追いかけられているのかと尋ねるが、スネ夫は新しいゲームソフトを買いに行くために急いでいるのだと言う。それを聞いてのび太も急いで家に帰り、貯金箱を探し始める。その様子を見たドラえもんはお正月のことを思い出す。その頃のび太はもらったお年玉を何とか無駄遣いしないでおく方法はないか悩んでおり、のび太のためにドラえもんは、順番に崩していかないとお金を取ることが出来ない「パズル貯金箱」、取ろうとする人に催眠術をかける「さいみん貯金箱」、取ろうとする人を襲う「番犬貯金箱」の三つを出し、そこにお金を入れさせていたのだ。ドラえもんは「万能オープナーひらけゴマ」を使って貯金箱を開けるが、中にはなぜか一円も入っていなかった。のび太はドラえもんがいない間に、機転を働かせてそれぞれの貯金箱を以前に開けてしまっていたのだ。自分のふがいなさを悔しがるのび太を見てドラえもんはもう一度だけチャンスを与えることにし、「人間貯金箱製造機」を出した。タイムマシンでのび太が無駄遣いする前の時間に戻ってお金を取り出し、「4444」という暗証番号を設定して機械を作動させると、ママが貯金箱になってしまった。その中にお金を入れた二人は現代に戻り、改めてお金を取り出そうとするがなぜかママからお金が出てこない。タイムテレビで調べてみると、貯金をして10日後、ママがドロボーネコを追い払う時に「シッシッシッシ」と叫んだため、それが暗証番号として認識されてしまい、お金が飛び出てそれを見たママは自分のものにしてしまっていたのだ。事実を知った二人は互いに責任をなすりつけ合って大喧嘩してしまうのであった。  

 (解説)まずはやはり、「人間を貯金箱にしてしまう」というナンセンスさに驚かされます。往年の数々の「人体いじり系」機械に比べるとインパクトは少ないですが、それでも人間の体にお金を突っ込むというアイデアは最後期の中では突出していると思います。スネ夫を見てジャイアンに追いかけられているのかと聞いたのび太が、今度はドラに同じように言われているところも芸コマですね。
空とぶマンガ本   10頁 小四89年6月号(無生物さいみんメガフォン)
 部屋で寝そべりながらマンガを読み、しあわせを満喫するのび太。しかしドラえもんは幸せもここまでと不吉なことを言う。ママがスネ夫のママと電話しており、二人は子供たちに勉強させるためにマンガを全部捨ててしまおうという話をしていたのだ。困り果てたのび太はスネ夫に連絡を取ろうとするが、電話はママが使っているので電話もかけられずに大慌てしてしまう。そこでドラえもんはカレンダーと電気カミソリを持ってきた上で「無生物さいみんメガホン」を出し、この二つを電話に変える。0の番号を自分で書き足してのび太はスネ夫の部屋にまで電話をかけ、話を聞いたスネ夫も仰天する。のび太はママが来る前に本を持ち出すことにしたが、全てが終わる前にママが部屋に近づいてきた。ドラえもんはメガホンでドアを壁に変えてしまうが、ママは諦めずにはしごを掛けて窓から侵入しようとする。ドラえもんは今度はメガホンではしごと東京タワーに変えてしまい、ママは下を向いた途端に仰天してしまう。その間に二人は本を持ちだすが、どこに隠したらいいのか見当もつかない。偶然現れたジャイアンをうまくごまかして、とりあえず空き地の土管の陰に隠すことにする。ドラえもんはママと交渉することにしたが、のび太はメガホンを置いていってもらってスネ夫の家に向かう。スネ夫のマンガは段ボールで三つ分だったが、既にママはちり紙交換を呼びに行ってしまったらしく、二人だけではとても運び出せない。そこでのび太はメガホンを使って段ボールを風船に変えて持ち運ぶことにするが、一個だけ自信がないようで少し持ち運びに苦労してしまう。これも空き地へ持っていく二人だが、空き地では間の悪いことにジャイアンがキャッチボールをしていたため、のび太はボールをウサギに変えてジャイアンを誘導してもらう。土管も危険と考えたスネ夫は本に暗示をかけ、白鳥のような鳥にしてしまう。ドラえもんはようやくママと交渉を終わらせ、マンガを捨てないで済むようにしたが、そこへ慌ててのび太とスネ夫がやってくる。マンガは白鳥のような渡り鳥になってしまって、北の空を目指して飛んでいってしまったのだった。  

 (解説)スネ夫の家では電話線を二回線以上は繋いでいるわけですね。さすが金持ち(笑)。今話の道具自体は以前にも登場しているのですが、今話はより面白い展開になっています。はしごを東京タワーにしたり、自信のない段ボール箱をのび太が励ますところなんかは、本人達が真面目にやっている分、余計に笑いを誘いますね。ちょくちょく顔を出すジャイアンもいい味を出しています。
泣くなジャイ子よ   10頁 小四89年5月号(身がわりマイク)
 暖かい陽射しを浴びながら、空き地の土管の上でのんびり昼寝をするのび太だが、そこにジャイアンとジャイ子の声が聞こえてきた。二人は何やら口げんかをしているようで、話しかけたのび太にジャイアンは相談を持ちかけることにした。ジャイアンはのび太の部屋で改めて話を始める。近頃ジャイ子の様子がおかしいのでジャイアンが無理やり理由を聞いてみると、何とジャイ子に好きな男の子が出来たと言う。それを聞いたのび太とドラえもんは大笑いしてしまうが、ジャイアンに脅かされてそれを抑える。相手は隣町に住んでいる「茂手もて夫」という子で、ものすごく女の子に人気があるのだという。ジャイアンは気にくわないもののジャイ子が好きになったのなら仕方ないと納得したらしいが、ジャイ子はその茂手と話をしたことがなく、恥ずかしいので話すこともできないと言うので、その事でジャイアンは悩んでいたのだ。力ずくでジャイ子と付き合わせようかとも考えたがジャイ子に止められたので思い留まったというジャイアンは、何とかして欲しいとドラえもんに懇願する。ドラえもんはそれに応えて「身がわりマイク」を出した。矢印を相手に向けてマイクにしゃべると、矢印を向けた相手が同じ事を話してくれるのだ。ジャイ子と茂手を会わせ、その時にジャイ子の気持ちを自分達が代わりに行ってやればいいと言うのだ。のび太がその役割を担うことにし、三人は茂手を誘い出すために茂手の家に向かう。ドラえもんは庭にいた母親を使って茂手を公園に行かせようとするが、茂手が嫌がるのを見て苛ついたジャイアンが代わりにしゃべってしまったため、驚いた茂手は公園へ向かっていく。場所を指定したのでジャイアンはジャイ子を公園に連れていくことにする。一方の茂手は公園に行く途中でいろんな女の子に誘われてしまうので、ドラえもんは苦労しながらも女の子を追い払って、何とか茂手を公園まで連れていく。やって来たジャイ子と茂手が二人きりになったところを見計らって、のび太がマイクで話し始めるが、のび太はふざけたことを言いだした上に矢印の向きがずれたために茂手が話してしまい、さらにロマンのかけらもない会話をジャイ子にさせてしまったために、恥ずかしがったジャイ子は逃げてしまう。その事を知って怒ったジャイアンは二人を追いかけ回すが、その頃茂手はジャイ子が落としたスケッチブックを頼りにジャイ子の家までやって来ていた。実は趣味でマンガを描いているという茂手はジャイ子のスケッチに感心し、二人で同人雑誌を出すことを持ちかけ、その仲良さそうな様子を見てジャイアンも一安心するのであった。  

 (解説)連載初期から比べると、ジャイ子というキャラクターも変わったものだとつくづく実感させられます。ジャイ子のために奔走するジャイアンの姿もこの時期になるともう定番ですが、見ているとやはり微笑ましいですね。ラスト近くでジャイアンに追いかけられるのび太が『ぼくらのせいじゃないよ。』と言いますが、どう見てものび太のせいですよねえ(笑)。あとは茂手にまで「ウ〜ワンワン」をやらせてしまったところもおかしいです。
しずちゃんをとりもどせ   10頁 小五、六89年6月号(タイムテレビと家庭科エプロン)
 雲の上で昼寝をしてきたのび太は部屋に戻ってからしずかの家に行こうとするが、部屋に置かれていたタイムテレビを見つけたので、のび太はゆっくりと自分の未来の奥さんである、大人のしずかを見ることにする。大人になったしずかを見て自分のママと比べるのび太だが、そこへやって来たママから家事を手伝うように言われ、後で行くことにする。のび太はそれからもテレビを見続けるが、なぜかしずかか自分の子供を「ヒデヨ」と呼んでいるのを聞いて不思議がる。しかしその時に、出かけるママから掃除と皿洗いを頼まれてしまい、仕方なくやることにする。家に帰ってきたドラえもんは皿洗いをしているのび太を見て驚くが、その雑な洗い方を指摘するとのび太は怒り出してしまい、さらに掃除をしてもやり方が雑なので文句を言うと、のび太はさらに怒り出してしまう。そこでドラえもんは家事が上手に出来るようになる「家庭科エプロン」を出すが、のび太は未来の奥さんであるしずかにやってもらうからそんなものは上手になりたくないと言い、改めてタイムテレビを見に行く。すると画面に映ったのは出木杉にそっくりな「ヒデヨ」だった。仰天するのび太だが、未来は変わることもあるというドラえもんの言葉を聞いて、慌ててしずかの家に向かう。しかししずかは出木杉の家に行っており、のび太は怖がりながらもドラえもんに連れられて出木杉の家に行く。そこでは出木杉が料理を作っており、しずかはその試食に来ていたのだが、二人も試食させてもらうことにする。美味しい料理に満足する三人だが、男が料理をするということにのび太が意見すると、出木杉はこれからの時代は男も家事が出来なければいけないと話し、それを聞いたしずかは「出木杉のお嫁さんになる人は幸せ」などと言ってしまったために、ショックを受けたのび太はひっくり返ってしまう。落ち込むのび太にドラえもんは家庭科エプロンを渡し、出木杉に負けない家事の名人になって、努力を積み重ねて歴史を築いていくことを諭す。帰ってきたママは、のび太が皿洗いも掃除も完璧にこなしたのを見て驚くが、のび太はまだ沈んでいる。その頃ドラえもんは再びタイムテレビを見ていたが、するとそこには未来ののび太と子供であるノビスケが映し出されていた。そこに火星基地への出張から帰ってきたという出木杉夫妻が現れ、のび太は二人を家に連れていく。ヒデヨは出木杉の子供で、出木杉夫婦が出張している間、のび太の家で預かっていたのだ。ようやく理解したドラえもんだったが、これからもお手伝いをさせてくれと頼み込むのび太、それを不思議がるママを見て、もう少しだけこのことを内緒にしておくことにするのであった。  

 (解説)テレビを見ながら一喜一憂するのび太の様子が笑えますが、話のテーマとしてはやはりドラえもんが言った言葉にもあるとおり、「小さな努力の積み重ねが歴史を作る」ということでしょう。自分のペースで、でも諦めないで努力すれば、きっと願いは叶うという、とても大切なメッセージが込められていると思います。時代性を巧みに取り入れていたり、「藤子不二雄」時代の初期名作「すすめロボケット」に登場のロボケットをゲスト出演させているという遊びも見受けられたりします。



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