てんとう虫コミックス第43巻


ネコののび太いりませんか   11頁 小三90年4月号(動物生まれかわりタマゴ)
 また空き地で捨てネコを見つけてしまったのび太達。しかし四人の家にはそれぞれの事情があるので拾うことが出来ず、ネコを放って立ち去ろうとするが、のび太はネコを家に連れて帰る決心をする。ドラえもんにも怒られてしまうのび太だが、のび太は極端に動物がきらいなママに動物のかわいさを教えようと考えたのだ。それを聞いて感心するドラえもんだが、結局のび太はドラえもんの道具に頼ってきたのでドラえもんは呆れてしまう。そんな二人の会話を聞きつけてママが二階に上がってきたので、のび太はネコをドラえもんの口に突っ込んで何とかごまかす。ドラえもんはこのネコが利口で役に立つことをママに見せるために「動物生まれかわりタマゴ」を出した。この中に入って動物の姿を思い浮かべると、その動物そっくりに変身することが出来、これを使ってのび太がネコに変身していいところを見せようというのだ。本物を物置に隠してネコに変身したのび太は早速郵便受けの中の手紙をとりに行くが、ネコを見たママが仰天して追い出し始めたためにのび太は慌てて外に逃げるが、ママは物置を調べて本物のネコを見つけてしまう。あきらめて逃げ出す二人だが、ネコは家にまで上がりこんでしまっていた。二人は家で飼うことは出来ないと判断し、難しいことではあるが飼い主を探すことにする。変身した姿ののび太を見本にして飼い主を探すが、案の定なかなか見つからない。家の中に入ってしまったネコを探すママだが、アイロンがつけっぱなしだったために服が焦げ始めていたところをネコが教えてくれたので、仕方なくミルクを飲ませることにする。おいしそうにミルクを飲むネコの様子を見てつい仏心を出してしまうママだが、そこにパパの会社の部長の奥さんが訪ねてきた。ママに擦り寄るネコを見て奥さんはママがネコ好きなものと勘違いし、ママも話をあわせることにする。一方どうしても飼い主を見つけられないのび太達は困り果ててしまうが、その時のび太の姿を見て声を上げる老人がいた。老人はネコを飼っていた家の人間で、自分の鉢植えを壊されたのでカッとなって捨ててしまったが、孫が悲しむので探していたのだと言う。その頃のび太の家では部長の奥さんは帰っていき、ママはネコに愛情を抱くようになり、家で飼うことにしてキャットフードを買いに行く。その間に帰ってきたのび太達はネコを飼い主の家に連れて行き、のび太は元の姿に戻った。ところが戻ってきて話を聞いたママはがっかりして寝込んでしまい、その様子を見かねた二人は仕方なくのび太を代役にすることにするが、夜になってものび太が帰ってこないのでママは怒り始め、それを聞いて困り果ててしまうのび太とドラえもんであった。  

 (解説)動物に対する考え方がこうも違う親子も珍しいですね(笑)。今話はメインキャラがママという珍しいパターンの話で、文字通りママの行動に振り回されるのびドラの姿が面白いものになっています。ママからネコを隠す時に、ネコを口の中に入れられてしまうドラ。さすが洗面器がすっぽり入るだけのことはあります(笑)。
万能プリンター   10頁 小四90年9月号
 何やら怒った様子でスネ夫がのび太を訪ねてきて、部屋に上がるやいなやたくさんの写真をばら撒いた。先日みんなで行ってきたハイキングの時に撮った写真で、スネ夫のカメラをのび太が借りて撮ったのだ。しかしのび太が写したために被写体になっているのはしずかばかりで、ジャイアンやスネ夫はほとんど写っていなかった。ジャイアンが先程から写真を催促してきており、スネ夫は写真をのび太に任せて家に帰ってしまう。早速ジャイアンから写真の催促を受けたのび太はドラえもんに頼み込もうとするが、ドラえもんは既に「万能プリンター」を出していた。これを使えば写真を自由に修正することが出来るのだ。これを使って二人は様々な写真を修整し、のび太はジャイアン達に写真を見せてジャイアンは素直に喜ぶが、スネ夫はジャイアンが木の枝の上で逆立ちして、その状態を保てずに落っこちてしまった時の写真を見つけ出し、あと30秒早く撮っていれば良かったとジャイアンに話してジャイアンを怒らせてしまう。また頼まれたドラえもんはその写真も修整し、修整された写真を見てジャイアンは何とか機嫌を戻す。一安心するのび太だが、これだけの写真の中に自分がまったく写っていないことで文句を言い出してしまう。仕方なくドラえもんは一部の写真を修正してのび太を写し出す事にする。さらにドラえもんは適当な写真を選んで音声再生が出来るように加工し、虫を写すつもりで写らなかった写真からたくさんの虫の音が聞こえるようにする。しずかにも写真を持っていきがてら、その写真も渡したのび太はしずかから喜ばれるが、それを見ていたスネ夫に音の出る写真をたくさん作るように頼まれ、しかも断ればこれからどこにも連れて行かないと脅されてしまう。夜になってのび太は30枚ほどの音声写真をスネ夫に届け、スネ夫は庭中に写真をまいて外に出て親子で虫の音を聞くが、その時ジャイアンの歌声が響き渡った。のび太達は一枚だけジャイアンリサイタルの写真を混ぜており、慌てふためいて写真を探すスネ夫たちを見て満足げに笑うのび太とドラえもんであった。  

 (解説)写真の修整という話自体は「念写カメラマン」でも描かれていましたが、その時に比べるとのび太も撮影の腕前が上がったようで(笑)。「写真から音が出る」というアイデアも「サウンドバカチョン」で使用済みですが、今話はそういった既登場の道具の設定を生かして、違った話を展開させている点が興味深いです。扉ページでのび太との慎重差を気にしている?ドラがおかしいですね。
上げ下げくり   11頁 小四85年3月号
 朝、学校に行く時間になっても布団から出ようとしないのび太。今日宿題を忘れたら許さないと厳しく先生に注意されたにも関わらず、宿題を忘れてしまっているからである。もう一日あれば宿題をやれると言うのび太にドラえもんは「上げ下げくり」を出した。これに頼むと予定を繰り上げたり繰り下げたりすることが出来るのだ。これを使って宿題を提出する日を一日繰り下げたドラえもんはのび太を学校に行かせ、提出が翌日になったことを知ってのび太は喜ぶ。家に帰って宿題をしようとするのび太だが、部屋に置きっぱなしの上げ下げくりを見つけて、これを使って遊ぶことにしてしまい、ドラえもんに返すのを一日繰り下げて遊びに行ってしまう。話の筋を読んだドラえもんは、一日遊び歩いたあとにのび太がまた一日宿題を繰り下げると予測するが、あの道具は同じ予定を二度変更することは出来ず、その時になっても絶対助けてやらないことを誓うのであった。のび太は外に遊びに行くが早速犬にかみつかれそうになったりボールにぶつかりそうになってしまうので、それを一日繰り下げたが、一日後にはその災難が降りかかってくるので何とかできないものかと考えたのび太は、家の中に入ってやり過ごすことにし、しずかの部屋に上がってから先程の繰り下げを取り消す。すると庭で洗濯物を干しているしずかのママのところに野球ボールが飛び込み、それと同時にしずかのベッドから犬の声が聞こえ始めた。ボールを持ったままで部屋に入ったママはその時滑ってしまい、弾みで離したボールがのび太にぶつかり、布団の下にしずかが隠していた犬も飛び出てきてのび太に噛み付いてしまう。それでものび太はあきらめず、今度はしっかりと対策を立てることにして、わざとジャイアンを怒らせ殴られるのを15分遅らせ、その上で先生の家へ行く。先生の前では殴れないと踏んだためだが、期限の時間になると先生はタバコを買いに行ってしまい、その間にジャイアンに殴られてしまった。ドラえもんは嫌なことを先送りしても所詮一時凌ぎに過ぎないことを話すが、のび太はそれでも道具を返そうとせず、小遣いを繰り上げて貰ったり、テレビ番組の予定を繰り上げて先の回まで見てしまう。だが結局のび太は宿題をしなかった。してやったりのドラえもんだが、のび太は冷静に「明日」が来るのを一日繰り下げてしまう。安心するのび太を見ながら、複雑な思いにかられるドラえもんであった。  

 (解説)道具がまんま「栗」の形をしているところがユーモラスでいいですね。「明日」を繰り下げるなんてところはタイムパラドックス的な要素も含まれているように思いますが、そんなに複雑に考えない方がいいでしょうね。まあ一日先送りしたとしても、おそらくのび太は宿題をしないでしょうけど(笑)。話としては道具の実験ばかり行っていて、道具の効能を生かした展開になっていないところがちょっと不満ですかね。
かしきり電話   9頁 小三80年11月号(貸し切り電話)
 ジャイアンがリサイタルを始める寸前、雨が降ってきたので中止になると喜ぶのび太だが、まだ一曲も歌っていないのでジャイアンは止めないと宣言し、さらにのび太とドラえもんに会場探しを命じてくる。一旦解散になるが、二人はジャイアンからの無理難題で困り果てていた。ところが家に帰るとパパも何か慌てていた。会社の仕事で九州に行かなければならなかったのに、飛行機に乗り遅れてしまったのだと言う。そこでドラえもんは「かしきり電話」を出し、ママから借りた10円を使って航空会社に電話をかけて飛行機を一台借りてしまう。しかしパパはそのことを信じないので無理に空港に連れて行くために、また10円を借りたドラえもんは今度はパトカーを借りてパパを空港まで連れて行く。テレビで見てみると、貸切のジャンボジェットにパパが乗っている様子が映し出されていた。これを使ってリサイタルの会場を借りることにした二人は会場を選定し、スネ夫の家を会場にすることにする。もちろん断るスネ夫だが二人は電話をかけてスネ夫のママに了解を取ってしまう。しかしスネ夫がひどく嫌がるので仕方なく二人は取り消してもらい、また困ってしまう。しかもジャイアンはあと30分以内に会場を見つけないと空き地で強行するなどと無茶なことを言い出し、ほとほと困り果ててしまう二人だが、ついに理想的な会場を見つけた。それはなんとジャイアンの家だったのだ。だが会場が決まったと知るやみんなは勝手な理由をつけてリサイタルに行くのを断ってしまい、二人はまたも困ってしまう。そこで二人は強い味方を借りることにした。二人は大きなプロレスラーと一緒にジャイアンの家を訪ね、みんなが都合が悪いので来れないということをジャイアンに無理やり承知させる。客が来ないのでリサイタルを中止にすることにしたジャイアンだが、会場を一回貸したために予定を変えることは出来ないと母ちゃんは言うので、ジャイアンは仕方なく母ちゃんとジャイ子相手に歌を歌い始め、歌を聞いて苦しむ二人を見て、道具の融通のなさに呆れてしまうのび太とドラえもんであった。  

 (解説)10円で何でも借りると言うのは「10円なんでもストア」みたいなものですが、10円で飛行機やパトカーを借りると言うところが絵的にナンセンスな図式を生み出していて、笑いを誘いますね。ただ、この時期のコミックスになると収録年代にばらつきが出てしまい、中期と後期の絵柄の違いによるギャップが出てしまうのは否めません。まあこれはコミックスの構成上の問題であって、作品のイメージを変えてしまうほどのものではないのですが(じゃあ書くな)。
コピー頭脳でラクしよう   10頁 小六82年2月号(「コピー頭脳」でラクをしよう)
 学校帰りに本屋で立ち読みしていると、突然二本足で歩く猫から注意されてしまうのび太。急いでのび太を家に帰すネコの口調がドラえもんそっくりだったので怒り出してしまうのび太だが、そのネコは自分はドラえもんだと言う。ドラえもんは手が離せない用事があったので、「コピー頭脳」をネコにつけて生体ロボットにしていたのだ。のび太には貸さないことにして道具をしまうドラえもんだが、のび太はママからお使いを頼まれてしまい、宿題があるというので仕方なくドラえもんはコピー頭脳を貸してやり、近くにいたノラネコと交渉してロボットになってもらうことにした。しかし頭脳をつけるとすぐにネコは昼寝を始めてしまい、のび太が心の中でお使いに行くことを決心するとネコはしぶしぶ出かけていった。だがのび太は面白がってついて行き、ネコがお使いを済ませるところを見届ける。ドラえもんはすぐに取り返そうとするが、のび太の返したくないという気持ちがネコに伝わって、ドラえもんはネコにやっつけられてしまうが、やり続けていると後悔すると意味深な言葉を言う。のび太はネコを連れて空き地の土管の上で昼寝するが、ジャイアン達に追い出され、さらにネコは一目散に逃げてしまう。のび太はもっと強い動物に頭脳を付け替えることにし、大きなイヌに頭脳をつけてジャイアン達を追い出してしまう。さらに宿題をさせるために出木杉のノートを見に行かせ、イヌは答えを覚えてのび太本人のように喜び始めた。空き地で昼寝するのび太のところに駆けつけたドラえもんは話を聞いて驚く。頭脳をつけたままで動物を放っておくと、コントロールを失って本人になりきってしまう恐れがあると言うのだ。イヌの足取りを追う二人は出木杉の家に行くが、既に家を出た後であり、そのあと本屋やしずかの家を巡って結局家に帰り着く。家ではイヌがすっかりのび太になりきってしまっており、のび太が頭脳を取り返そうと思っても近づくことすら出来ない。イヌは夕食まで食べ始めてしまい、家に入れないのび太に、隙を見て頭脳を取り返すと話すドラえもんであった。  

 (解説)道具の危険性については往年の「かげがり」とまったく同じものですが、未来道具はホントに危険ですね(笑)。それでも「かげがり」の時よりは不気味な感じがしないのはその作風と、取って代わろうとするのが「イヌ」だからなのでしょう。ところで、のび太の家の近くには立ち読みOKな別の本屋があるんですね。
男は決心!   10頁 小六83年1月号
 何やら引き締まった表情で家に帰ってきたのび太。のび太は再び真面目になることを決心し、早速勉強をするために机に向かい始めたが、その様子を見てドラえもんが茶化したためにのび太は気分を壊してふてくされてしまう。さすがに反省したドラえもんはお詫びに「ケッシンコンクリート」を出す。どんなに意志薄弱な人間でも、決心したいことを考えながらこれを飲むと、決心を貫き通すことが出来ると言う。のび太は「宿題を終わらせるまでは机の上を離れない」と決心してから薬を飲み、机に向かって勉強を始めるがすぐに飽きてしまい、机を離れようとするが離れることが出来ない。しずかが訪ねて来たので応対しようとするのび太だが、コンクリートを壊す薬はないと言ってドラえもんはしずかの誘いを断ってしまう。さらにジャイアンがのび太を野球に誘いに来たが、出ることは出来ないのでドラえもんはこれも断る。しかし今度はのび太がおしっこに行きたくなってしまい、のび太は大急ぎで宿題を終わらせてどうにかトイレに駆け込む。決心を貫いたことで清々しい気分になれたことをドラえもんに感謝するのび太だが、ジャイアン達は結局人数がそろわなかったので野球の試合に負けてしまい、のび太に恨み言を言ってくる。それを聞いてびくつくのび太にドラえもんは「あいこグローブ」を出し、これを使ってさらに「ジャイアンに勝つ」と固く決心して立ち向かうよう話す。のび太は「ジャイアンを倒すまでは家に帰らない」と決意してケッシンコンクリートを飲み、勇んで出かけていく。しかしジャイアンは買い物に出かけたりしてなかなかつかまらず、空き地にいるみんなにジャイアンと決闘をすることを宣言し、のび太は調子づいて土管を相手に殴る練習を始めてしまう。スネ夫から話を聞いたジャイアンは怒ってのび太の下に向かっていた。一方土管を殴りすぎてグローブを壊してしまったのび太は家に帰ろうとするが、「ジャイアンを倒すまでは家に帰らない」と決心したために、家に入ることが出来ない。二人はジャイアンから逃げ、土管の中に隠れてグローブを修理するが、修理が終わった頃にはもう夜遅くになっており、ジャイアンも既に家で眠ってしまったあとだった。勝負が出来ないので明日まで家に入ることが出来ず、二人は家の前で、のび太がグローブをつけているためにまったく同じ力になっているために勝負のつかないケンカを続けるのであった。  

 (解説)よく考えるとドラは家に入れるんだから入っちゃえばいいのに(笑)。今話はやっぱり道具のネーミングがまず面白いですね。個人的には全ての道具を見回しても屈指の名前だと思います。話のほうも年中行事ののび太の決心から始まって、「決心の仕方」を伏線にしたラストのオチまで面白いものになっています。のび太が家を出る時のやりすぎ演出がまたおかしいですね。
まわりのお天気集めよう   11頁 小四90年2月号(気候集中装置)
 ある日の日中、雨が降り出してきたことも構わずにテレビを見るのび太とドラえもんだが、そこに電話がかかってくる。二人はなかなか出ようとしないがジャンケンをやってドラえもんが負けてしまったので仕方なく電話に出ると、それは出かけているママからの電話で、雨が降ってきたので洗濯物を取り込み、さらにカサを持って迎えに来てほしいというものだった。それらの用事をのび太は全部ドラえもんに押し付けてしまったのでドラえもんは困ってしまう。しかし居間を出たドラえもんはすぐに戻ってきてテレビを見始めたので今度はのび太が慌ててしまうが、ママからの電話で雨が止んだと聞かされて不思議がったのび太が庭に出てみると、庭の一所にだけ雨が降り、それ以外の所は晴れていた。テレビを見終えたドラえもんにそのことを聞いてみると、ドラえもんは「気候集中装置」を使って1キロ四方の雨を一箇所に集めたのだと言う。雨が止んだので道具をしまうが、帰ってきたママは洗濯物が全然乾いていないことを気にしたので、ドラえもんは再び道具を出して今度は日光を集めて洗濯物に浴びせ、適当なところで切り上げて洗濯物を乾かしてしまう。天気予報で夜の間に雪が降ることを聞いたのび太は、先程の道具を使って自分の家に雪を集めることを計画し、ホースを伸ばして家の敷地を囲んでしまう。のび太は友達にそのことを話すが、ジャイアン達には大笑いされたので二人だけ呼ばないことにする。夜、のび太の家にだけ雪が降り、翌日の朝には雪がたくさん積もったので家が埋もれてしまい、日の光が届かないまでになってしまっていた。二人は積もった雪を手入れして遊び場に作り直し、たくさんの友達を呼んで楽しく遊ぶ。だがそのあと、呼ばれなかったジャイアンとスネ夫がやってきて、屁理屈をつけて道具を持っていって、スネ夫の家の敷地をホースで囲ってしまう。するとその日の夜に雨が降り、スネ夫の家は雨水で沈没してしまうのであった。  

 (解説)積もった雪の中を改造して遊び場にするという発想は「大氷原の小さな家」にも通じるものがあり、秘密基地願望を満たす楽しい話になっていますね。テレビ番組の西部劇がなぜか細かく描かれているところも面白いところではあります。ただ、「雪の殿堂」で遊ぶシーンが少ないのが少々残念ではありますが、ラストのオチはおかしいものになっていました。雨と雪だけでこんなにも変わるものかという感じで(笑)。
仙人らくらくコース   11頁 小四90年6月号
 連休前だと言うのに先生にみっちりお説教されてしまったのび太は、宿題もたくさん出されてしまう。空き地で何かを話しているみんなの所に行ってみると、みんなはスネ夫の従兄弟に連れられてキャンプに行く予定だと言う。のび太も行きたがるが宿題がたくさんあるというのでみんなは宿題を優先するよう話し、さらに家に帰ってからは帰りが遅かったことでママに叱られ、のび太はつくづく嫌になってしまう。のび太は遠い山奥に一人で住みたいなどと言い、それをドラえもんが「仙人」に例えるが、のび太は仙人を知らなかったのでドラえもんは仙人の絵が描かれているケースを取り出して仙人の説明をする。のび太は仙人になりたいと言い出し、ドラえもんの取り出したケースに注目する。それは「仙人らくらくコース」という道具で、仙人になった気分を味わうための道具なのだが、それでものび太はその道具を使いたがり、仕方なくドラえもんは道具を貸すことにする。のび太はどこでもドアで仙人の修業向きの山へ行き、早速仙人の家を組み立て、さらに仙人ロボットを動かして神通力を教えてもらおうとするが、仙人は師である自分に失礼な口をきいたとしてのび太を殴りつけ、怒ったのび太は仙人を追いかけるが、仙人によって作られた雷雲から発した雷を受けて参ってしまう。やっと弟子入りしたのび太は雲に乗る術を教えてもらうことにするが、心に雑念があるというので雲に乗ることが出来ず、のび太は心の修業を受けることになるがすぐに眠ってしまったので雷を落とされてしまう。だがのび太は無念無想の境地に入ることは出来ず、腹が減ったので家に帰ろうとするがどこでもドアはどこかに運ばれており、しかも寄ってきた雷雲にまた雷を落とされてしまう。空腹の事を聞いた仙人は谷底までのび太を連れて行って、仙人食である「霞」を食べさせる。しかし当然のび太は食べた気がせず、のび太はさらに滝行を受けることになってしまう。嫌になったのび太は何とか抜け出そうとするが、雷雲が見回っているのでどうしても逃げ出すことが出来ず、のび太は滝に打たれているうちに頭の中が真っ白になってしまう。夜、一応雲の上に乗ることが出来るようになったものの、まだ頭の中が真っ白なのび太を連れて仙人は空を飛び回るが、その時キャンプをしているスネ夫たちを見つけた。スネ夫たちのほうでも空を飛んでいるのび太を見つけ、しずかがのび太を呼ぶが、その時地面に落ちていたバナナの皮を踏んでしずかは転んでしまい、その際に丸見えになったスカートの中を見て仙人はたちまち心を乱し、神通力を失って雲から落っこち地面に激突してしまう。なぜ落ちてきたのかみんなは不思議がり、仙人から解放されたことをのび太は喜ぶのであった。  

 (解説)仙人になりきるというところでは、「銀河超特急」でのドリーマーズランドの惑星みたいな感じですね。「ニンニン修業セット」でもそうですが、やはり修業には人並み外れた精神力が必要なのでしょう。のび太には絶対無理だな(笑)。しかし、しずかのパンツを見たくらいで平常心を失ってしまうなんて、仙人ロボットもたいしたことないですね(笑)。
タイムコピー   9頁 小三82年2月号(タイム・コピー)
 空き地で売り出されたばかりの新作ゲームウォッチをみんなに自慢するスネ夫。みんなはこぞって借りたがるがそこに現れたジャイアンがゲームを取り上げてしまったので、みんなは諦めて帰ってしまう。のび太はママに買ってもらうことにしてママに頼み込むが、なぜかいつも以上に厳しく怒られてしまう。ママの様子がおかしいので近づかないようにと家を出るのび太とドラえもん。そんな時、スネ夫から借りたマンガを帰しに行こうとしていたしずかに会った二人は、次にスネ夫から借りることにするが、またもジャイアンにマンガを取り上げられてしまう。マンガやゲームをほしがるのび太を見かねたドラえもんは、タイムテレビと立体コピーの機能をあわせた「タイムコピー」を出し、それで7分前のしずかを映し出し、手に持っているマンガをコピーしてしまった。ゲームウォッチもコピーすることにした二人は早速一個コピーするが、どっちが先にやるかで二人は取り合いを始めてしまい、二人はもう一個コピーすることにして、さらにみんなの分までコピーしようと家に帰ったジャイアンの足取りを追うが、タイミングがずれてしまったために、立ちションしているジャイアンをコピーしてしまった。のび太からゲームを受け取って遊ぶみんなを見てつまらなく思うジャイアンだが、なぜかみんなが自分を見て笑うのを不思議がり、さらに立ちションしている自分のコピーを見つけて仰天する。慌ててそれを自分の家に持っていくジャイアンだが、今度は母ちゃんに見つかってしまったのでこっぴどく叱られてしまう。家に帰ると、どうやらママは何かを探しているようで、二人が話を聞いてみるとママは結婚十周年に買ってもらった真珠のネックレスを探しているのだと言う。コピーをとることにした二人は早速一週間前のネックレスをコピーするが、なぜか糸が切れていたために糸が切れる前のネックレスをコピーしようとじゃんじゃんコピーしてしまう。そこへ帰ってきたパパがママにネックレスを渡した。糸が切れていたので修理に出していたのだと言う。しかし居間に散乱しているネックレスのコピーを見てパパは怒り出し、その様子を見て困ってしまうのび太とドラえもんであった。  

 (解説)今回の道具も大変便利な道具ですね。これさえあれば何もいらないんじゃないかという感じの。便利すぎて少しつまらない気がしてしまうのは、ひねくれたマニアの性というものでしょうか(笑)。今話は突き抜けておかしなシーンはありませんが、ジャイアンのコピーを見るのがみんな女子学生だったり、コピーを家に持っていった時に母ちゃんがおしっこをかぶってしまうところなんかがインパクトありますね。
人間リモコン   9頁 小三87年3月号
 また宿題をしないで昼寝しているのび太を叱るドラえもんだが、のび太は宿題が多すぎるのでどうしても時間がかかってしまい、それを考えるとやる気がおきないのだと言う。そこでドラえもんは「人間リモコン」を取り出してセンサーをのび太につけ、改めて宿題をやらせる。渋々始めるのび太だが、ドラえもんがリモコンの早送りボタンを押すとのび太はビデオの早送りのようにすばやく動き始め、あっという間に宿題を終わらせてしまった。喜ぶのび太はおやつをもらおうと一階へ降りるが、階段で転げ落ちてしまう。間一髪でドラえもんが停止ボタンを押したのでのび太は動きが止まり、床に下ろしてからプレイボタンを押して元に戻す。ところがおやつを食べようとすると、一個のプリンを半分こしなければいけないと言う。まったく食べた気がしないと文句を言うのび太にドラえもんは巻き戻しボタンを押すと、のび太の行動が巻き戻されてプリンが再び半分戻ってきた。それをもう一度食べれば一個食べた分になるのである。便利な道具に感心したのび太はしずかに見せに行こうとするが、行く寸前にママからお使いを頼まれてしまったのですぐ帰ってくることを条件にのび太は出かける。のび太は早送りボタンを使ってあっという間にしずかの家に到着するが、今出かけたところだと言うのでしずかを追いかけるが、しずかを見かけたと同時にジャイアンが現れ、いきなり殴られてしまう。さすがに文句を言いに行ったのび太にまたジャイアンが襲い掛かるが、のび太は早送りで素早く移動してジャイアンの攻撃をかわす。ジャイアンから話を聞くと、ジャイアンがゴミバケツに捨てた0点の答案をのび太が壁に張り出したとスネ夫が言っていたと言うのだ。のび太は誤解を解くためにスネ夫にセンサーをつけて巻き戻しさせ、スネ夫がバケツから答案を取り出すところを再現し、それを見たジャイアンはスネ夫を殴り飛ばす。のび太は再びしずかを探そうと早送りボタンを押すが、間違えて停止ボタンを押してしまったためにその場で止まってしまい、そんなのび太を見てしずかは不思議がる。夜になってのび太を探しに行ったドラえもんはのび太を見つけて動かすが、ママが怒っていることを聞いてのび太は嫌がるが、のび太はママにセンサーをつけて早送りでお説教を進ませてしまい、それを見たドラえもんは呆れてしまうのであった。  

 (解説)「ビデオリモコン」をモチーフにした道具はこの時期結構登場しており、当時「ビデオ」という機械がいかに衝撃的なものだったかが窺い知れると言うものです。オチで言えばそんなに目新しいものは使われていませんが、早送りと停止ボタンを間違えて押してしまうというところがのび太らしいバカらしさで笑えますね。
合成鉱山の素   10頁 小六84年5月号
 のび太は近頃たくさんドラやきを食べているドラえもんに不審を抱き、小遣いを値上げしてもらったのかと疑うが、ドラえもんは一笑に付す。釈然としない気持ちでのび太は出かけ、空き地へ行ってみるとジャイアンがスネ夫のラジコンを使って遊んでいた。しかし電池切れになってしまったので動かすことが出来なくなってしまい、ジャイアンは家に帰ってスネ夫もラジコンで遊ぶことを止めにする。のび太はスネ夫に、もし電池を山ほど上げたらラジコンを貸してくれるかと聞くが、もちろんのび太も電池を持っているわけではなく、ドラえもんも持ってはいなかった。そして夜、誰かがのび太の部屋から出て行き、庭の方で土を掘る音が聞こえてきた。行ってみると何とドラえもんが庭の穴の中で何かを掘っていた。ドラえもんは「合成鉱脈の素」を使ってドラやきの鉱脈を作り、ドラやきを掘り出していたのだ。この溶液は世界に存在するあらゆる元素の混合液で、これを使えばどんなものでも鉱脈を作ることが出来ると言う。のび太はこれで電池の鉱脈を作る事にし、裏山に行って「モグラロボット」に縦穴を掘らせ、そこに溶液を流し込んで電池を一個だけ入れた。翌日の午後には電池が掘りだせると言うので、翌日の午後、急いで下校してきたのび太はドラえもんと一緒に裏山に向かい、「パワーつるはし」を使って崖の中腹から掘り始める。鉱脈でたくさんの電池を回収した二人はスネ夫の所に電池を持っていくが、スネ夫は電池だけもらってさっさと家に引き込んでしまい、二人は怒り出してしまう。スネ夫は裏山でラジコン遊びをすることにするが、そこに運悪くまたジャイアンが現れて遊び始めてしまう。だが操縦を誤ったジャイアンが、昨日溶液を流し込んだ縦穴にラジコンを落としてしまい、取ることが出来ないのでプロポまでそこに入れてさっさと逃げ帰ってしまう。その後、のび太の鉱脈からはたくさんのラジコンが掘り出され、二人は大喜びするのであった。

 (解説)久々に科学的考証が細かく設定されている道具が登場しました。ドラやきという食べ物が土の中から掘り出されるという構図はナンセンスの極みですね。ラジコンの電池問題でも「感情エネルギーボンベ」で登場していますが、両方の話でスネ夫は得をしようと動き回りますが、結局は損をしていますね。まあ自業自得ってヤツですか。スネ夫らしいと言えばらしいですけどね。
強〜いイシ   11頁 小六85年5月号(のび太の決心)
 のんびり昼寝するのび太にドラえもんは、新学期になった時にのび太が体を鍛えるために毎日ジョギングする決意をしたことを話し、それを実行させようとするが、のび太は面倒がってしないことにしてしまう。それを聞いたドラえもんはのび太の意志薄弱さを嘆き、のび太も自分の意志の弱さを省みて、強い意志がほしいと言い出す。そこでドラえもんは「強いイシ」を出した。しかしその名前から冗談だと思ったのび太は怒って部屋を出て行ってしまう。そんなのび太をドラえもんは止めようとするが、その時居間からママの声が聞こえた。パパが禁煙を誓っていながら三日と経たないうちにそれを断念してしまったからだ。パパで実験することにしたドラえもんはイシに禁煙を誓わせ、時間を10分に設定した。試しにパパがタバコを吸ってみると突然イシはパパを問答無用で殴り始め、パパはタバコを捨ててようやく解放される。その様子を見て道具の恐ろしさを知ったのび太だが、それでもジョギングをやる決心をし、しかも一時間行うことにしてしまう。だが雨が降ってきたのでのび太はジョギングを止めようとするが、イシはキャンセルできないのでのび太をどつきまわし、のび太は仕方なく雨の中を走り始める。だがすぐに疲れてしまったのび太は歩き始めるが再び石に殴られてしまい、ドラえもんがさすがに止めようとするがドラえもんも敗れてしまい、結局のび太に一時間頑張ってもらうことにする。そして信じられないことではあるが、のび太は一時間走り通した。しかしなぜかイシはまだのび太を殴ってくる。のび太が目盛りを間違えて「一年間」にセットしてしまったのだ。のび太はマンホールの穴に落ちて一旦はやり過ごすが、また戻ってきたのでジャイアンに助けを求め、ジャイアンがイシと戦っているうちに逃げ出す。しかしジャイアンもイシに敗れ、のび太はどこでもドアで適当な場所に逃げることにするが、習慣からかしずかの家の風呂場に出てしまった。そこでのび太はしずかの服を借りて返送することでやり過ごすことにするが、結局最後にはイシにばれてしまい、窮地に陥ってしまう。その寸前にドラえもんが駆けつけてイシをタイムふろしきで包み、その中で一年間経ったためにイシは活動を停止した。ドラえもんは強い意志は自分の力で育てるべきだと説くが、のび太は「強すぎるイシは身を滅ぼす」などと言ってドラえもんを呆れさせてしまうのであった。  

 (解説)こりゃまたすごい道具が登場しました。あまりにも平凡なその見た目と、それに釣りあわない怖い面とのギャップがいい味を出していますね。「人間リモコン」と同様に操作の間違いでさらにひどい目にあってしまうのび太の姿も滑稽で面白いです。ラストののび太の教訓にはちょっと共感できるところもあったりして(笑)。
へたうまスプレー   10頁 小四85年4月号
 先程から宿題の絵を描いているのび太だが、うまく描けないのでのび太は思わず紙を破ろうとしてしまい、ドラえもんに止められる。だがその絵を見たドラえもんも「幼稚園児みたい」と大笑いしてしまったため、のび太は怒って飛び出して行ってしまう。のび太は宿題のことでいろいろ考えるが、そのうち面倒くさくなってきたので何もかも忘れて遊ぼうとするが、なぜか町には誰もおらず、仕方なく土管の上で昼寝することにするが、土管には何か張り紙がしてあった。読んでみるとジャイアンが音楽学校を開いたので生徒を募集しているという主旨のことが書かれており、のび太は家に帰ることにするが既に家にはジャイアンが訪ねてきており、仕方なくしずかの家に行くが、家ではしずかがバイオリンをかき鳴らしていたので仕方なく逃げ出し、さらにはジャイアンに見つかってしまう。ジャイアンは音楽学校のことをのび太に話し、のび太を学校に誘うがのび太はもちろん乗り気でない。しかしジャイアンの圧力に圧されて結局入ることになってしまう。裏山で指導を受けることになったのび太だが、どう頑張ってもジャイアンとそっくりに歌うことなど出来ないのでジャイアンに怒鳴られまくってしまい、その様子をテレビで観察していたドラえもんは裏山へ向かう。ジャイアンは根性が足りないとのび太にうさぎ跳びをするよう命じ、やってきたドラえもんにのび太はすがりつく。そこでドラえもんは「へたうまスプレー」をのび太にかける。これをかければ何でもうまく見えてしまうのだ。のび太は早速ジャイアンの前で歌うとジャイアンは偉く感動し、のび太を卒業させてくれた。安心して家に帰る二人だが、その途中で家を追い出されたしずかに出会った。二人はしずかにスプレーをかけてバイオリンを弾かせると、二人ともそれを聞いて感動し、それを見たしずかも涙を流して喜んでしまう。家に帰ったのび太は自分の描いた絵にスプレーをかけることにし、試しにママたちに見せるとものすごく感心された。気分を良くしたのび太は明日もこの絵を持って学校に行くことにしたが、翌日の学校ではのび太の絵が大笑いされてしまった。一晩経ったらスプレーの効き目が切れることをドラえもんはすっかり忘れていたのであった。  

 (解説)道具的には「ひょうろんロボット」と同じではありますが、僕としてはこっちの方が面白く感じますね。むしろラストのオチよりは、ジャイアンの音楽学校のほうが面白いです。のび太を勧誘する時のA先生チックなジャイアンの目が印象的です(笑)。バイオリンを誉められて涙を流して喜ぶしずかもすごいな。今話はストーリーよりも、そのシチュエーションで笑いましょう。
ラジ難チュー難の相?   10頁 小四90年5月号(品物運勢鏡)
 公園でスケッチする約束をしているしずかと出木杉を見たのび太は自分も一緒に行くと言い出すが、しずかから以前約束をすっぽかしたことを指摘され、今度こそちゃんと行くと言ってのび太は家に帰る。のび太はママに見つからないようにこっそり家に上がりこむが、ドラえもんが大声を出したためにママに見つかってしまう。だがママはこれから出かけるというので様子を見に階下に下りると、ママはどちらの服を着ていったらいいかで迷っていた。早くママに出かけてほしいのび太に頼まれたドラえもんは虫メガネのようなものを出して服を見比べ、片方の服に水難の相が出ていると忠告する。しかしママはそれを聞かないで水難の相が出たほうの服を着ていってしまう。ドラえもんが出した道具は「品物運勢鏡」と言って、人間以外の品物の運勢を占うのだと言う。品物の運勢を占うことの意味を疑問に思うのび太だが、品物の運勢はそのまま持ち主にも関係してくるのだ。案の定、道にまいていた水をかけられてずぶぬれになったママが帰ってきた。ママは着替えた状態で再びドラえもんに見てもらうと、イヤリングに金運の相が出ており、ママは居間に落ちていた五百円玉を拾ってしまう。のび太も出かける前に運勢を見てもらうことにするが、靴下に犬運の相が出ているのでどんなものなのか不思議がるが、のび太はイヌがお金を持ってくるのだと都合の良いことを考えて出かけようとするが、服にジャイ難の相が出ていたので慌てて服を取り替える。さらにメガネにスネ難の相、ズボンにチュー難の相が出ているのでドラえもんは忠告するが、のび太はいいかげんに怒ってしまう。しずかから先に行くという連絡を受けたのび太はタケコプターで出かけようとするが、タケコプターにラジ難の相が出ていると言う言葉を無視して出かけていく。のび太はラジ難と言うのがラジコンのことだと考えてラジコンを避けていくが、突然家の窓から飛んできたラジカセにぶつかって落っこちてしまう。タケコプターとメガネが飛んでしまい、さらに偶然現れたスネ夫にメガネのレンズを踏まれてしまう。それでものび太は急いで公園に向かい、公園にたくさん散歩にきているイヌを見て犬運を期待してベンチに座り込むが、ベンチについていたチューインガムがズボンにくっついてしまった。しずか達を見かけて急いで駆けつけるのび太だが、その時にイヌのウンコを踏んでしまった。イヌのウンコでケンウンというわけだったのだが、しずか達は嫌がって逃げてしまうのであった。  

 (解説)今話ののび太は踏んだり蹴ったりですね。オチが汚れ系なのも随分久々のことだと思います。のび太が出かけるまでのところにもページ数を割いているためか、のび太が矢継ぎ早にいろんな災難にあうというスピーディーな展開になっていて、テンポよく見ていくことが出来る話です。
宇宙戦艦のび太を襲う   11頁 小四90年4月号(予知夢で、地球を救え!)
 自分のおばさんが三日連続で飛行機が墜落する夢を見たので海外旅行の予定を延期したら、自分が乗るはずの飛行機が墜落してしまったという話をするしずか。ただの偶然だと笑うのび太だが、出木杉は「予知夢」のことを話してみんなはそのことを話し始めたので、のび太は一人で家に帰ってドラえもんにそのことを聞くが、ドラえもんもそれはホントだと言って「予知夢アメ」を取り出した。これを飲んで夢を見ると、危険が迫っている時はそれを夢に見せてくれるのだという。早速飲んで眠るのび太だが、のび太の夢には宇宙を飛ぶ戦艦と、それに乗る宇宙人が登場し、その宇宙人が侵略対象を地球に決めているところだった。飛び起きたのび太はそのことをドラえもんにも話して慌てるが、いくらなんでも突飛過ぎるのでもう一度予知夢を見ることにすると、なんと宇宙戦艦は日本に到達しようとしていた。二人は警察や防衛庁に連絡を取ろうとするが、誰もまともに取り合ってはくれず、ママに話すのは無駄なのでジャイアン達に話すことにするが彼らも信じてはくれない。二人は出木杉に話すことにするが、出木杉は二人の話を信じ、さらに自分もいざという時のためにミサイルを研究していたという。その話を聞いたジャイアン達も仲間に入ることにし、4人は地球を守るための作戦会議を始めるが、一つも意見がまとまらないうちに夜になってしまった。ジャイアン達は出木杉の様子を見に行くが、出木杉は今日がエイプリルフールだったので、のび太たちがウソをついているのだと思い込んで話をあわせているだけだったのだ。それを聞いて激怒したジャイアンはのび太を殴り飛ばして帰ってしまう。のび太は気絶してしまうが、その際に見た予知夢で宇宙戦艦が攻撃対象をのび太に定めているところを見て、のび太は慌てて飛び起きるが、その時のび太の口の中に何かが飛び込んできた。それと同時にのび太は風邪に似た症状を出してしまい、ドラえもんはのび太を連れて帰って「お医者さんカバン」で調べてみると、胃の中に見たこともない大量のばい菌が紛れ込んでいた。これが宇宙戦艦の正体だったのだ。ドラえもんは「ウルトラスーパーオールマイティワクチン」を注入し、宇宙病原菌を追い出すことに成功する。ばい菌の地球征服であることを知ったのび太はがっかりするが、妙な伝染病が地球に広まらずに済んだので、やはり自分達は地球を守ったのだと慰めるドラえもん。翌日、風邪気味のしずかを見て宇宙病原菌のことを心配したのび太はお医者さんカバンで治療しようとし、その様子を「まだやってる」と言って見つめるジャイアン達であった。  

 (解説)宇宙の細菌が地球を侵略しにくるという、SFマインドあふれる設定が嬉しいですね。「銀河超特急」の元ネタとも取れるこの設定は、藤子F先生が病気で倒れてしまったこととも無関係ではないでしょう。そういう話に強引に「4月1日」ネタを混ぜ込むあたり、これはドラ世界なのだなと実感させられます。出木杉の態度は妥当だと思いますが、「鉄人兵団」ではあっさり信じたジャイスネが今回は信じないというのは、ちょっと矛盾を感じてしまいますね。
食べて歌ってバイオ花見   10頁 小三90年5月号
 今年も花見に行けなかった事を悔やむのび太。登下校中に毎回花を見ていると話すドラえもんだが、のび太はきちんとした「花見」をしたいというので、ドラえもんは「バイオ植木カン」を出し、裏山の桜の木へ行って葉っぱを一枚取ってきた。それを植木カンに入れて遺伝子情報を元にそっくりの木を再生し、さらに大きさや季節も調整して花が満開の桜を作り出した。もっと植木カンを出して桜の木を増やした二人は楽しく花見をしようとするが、家には食べ物も飲み物もないので、ドラえもんはある計画を思いついて動き出した。のび太はその間にしずかを呼びに行き、途中でジャイアン達も誘うが笑われたので二人は無視してしずかだけを家に連れて行く。部屋に入って満開の桜を見て驚くしずか。三人はカラオケを始め、盛り上がっているその様子を聞いてジャイアン達は不思議がる。ドラえもんは居間で世界中からフルーツの遺伝子を集め、それを植物カンに入れて木を作っていたのだ。ヤシの実やフルーツ、とうもろこしやサツマイモなどがあるが、同じくあったマツタケだけは原寸大で食べたいというので、三人は松を庭に出して原寸大にサイズを戻し、大きくなったマツタケを部屋で食べる。その匂いをかぎつけてさすがにたまらなくなったジャイアン達はのび太に仲間に入れてくれるよう頼むが、のび太は先程のことを持ち出してそっけない。だがドラえもんが仲裁に入ったのでジャイアン達も仲間に入ることになる。5人で楽しいひと時を過ごすが、ジャイアンがカラオケを見つけてしまったために歌を歌いだし、4人は困り果ててしまう。そこへママが都合よく帰ってきたので花見を終わらせることにしたが、スネ夫はしばらく植木カンを貸してほしいとドラえもんに頼み込む。ジャイアン達はスネ夫の家の庭に植木カンを置き、大きさを2倍、3倍にするつもりだったが、あまりに大きくしすぎたので庭がジャングルのようになってしまうのであった。  

 (解説)家の中で花見をするというテーマの話も結構ありますが、今話では遺伝子技術を用いた道具が登場したりと、道具もより最先端なものになっています。「花さか灰」とはえらい違い(笑)。しずかの好物がイモだという設定が久々に登場したり、しずかがカラオケ好きという一面が新たに判明したりと、なぜかしずかの側面的な部分が描かれているのも特徴ですかね。
のび太が消えちゃう?   13頁 小六81年2月号(のび太が消えちゃう!?)
 いつも部屋でゴロゴロしているのび太を見かねたパパはのび太の将来について尋ねるが、そんなことをまったく考えていないのび太は適当に答えてパパを失望させてしまう。パパはのび太を自分の書斎に連れて行き、大家画伯という人の画集を見せる。その人はずっと昔のパパと友人だったという。パパは若かりし頃の思い出を話し始めた。父親の反対で美術学校には入れなかったものの、まだ画家になるという夢を捨てきれていなかったパパの前に、本式に絵を勉強するための資金援助をしようという人が現れたのだという。かなり迷ったようだがパパは結局グズグズしているうちにチャンスを逃してしまったのだと話し、だからこそのび太には思い通りの道を進ませてやりたいという親心も話す。しかしのび太はそんな人生訓は聞く耳を持たず、パパが有名になるチャンスを逸したことをひたすら悔やむ。そこでのび太はドラえもんと一緒に20年前の世界へタイムマシンで行き、運命を変えることにしてしまう。20年前のその当日、両親が静観を決め込む中、若き日のパパは一人迷っていた。挙句に一人ジャンケンを始めてしまったりと息子ののび太そっくりなことまで始めてしまう。援助を申し出ている金満の所には3時までに行く約束なのだが、グズグズしているうちに刻限が迫ってきてしまったのでドラえもんは「ヤリトゲ」を出す。これで刺されると思ったことを何が何でもやり通すようになるのだ。それを刺されたパパは一目散に金満の家に向かう。輝かしい未来を喜ぶ二人だが、そこへ派手な服を着た女性がやってきた。その人は金満の娘で、パパが援助を受けると引き受けた時、一緒に結婚する予定なのだと言う。それを聞いたドラえもんは仰天した。パパがあの人と結婚してしまっては運命が変わってのび太が生まれなくなってしまうのだ。急いで後を追いかける二人はパパを発見するが、パパは犬にかまれたりドブにはまりながらもめげずに走っていく。二人は止めようとするがヤリトゲの効果でパパを止めることが出来ない。二人はそれでも諦めずに追いかけるが、のび太はパパの将来のことを思って邪魔をするのをやめようと言い出してしまい、ドラえもんに連れられて何とか屋敷の前にまでは到着する。だがパパが金満の家に行ったのは承諾ではなく、援助を断るためだった。「金をかければ画家になれるわけではない」という自分の信念を話すパパの言葉を聞いて感心するのび太。パパは金満の家から追い出されてしまうが、パパは自分の人生を自分自身の力で切り開くことを誓って走り出した。だがそんなパパは二人には無理をしているようにも思えた。そんな時、パパは一人の女子学生とぶつかってしまう。別れたあとにその人の定期券を拾ったパパは、「片岡玉子」というその女性に定期券を届けに走っていった。事の顛末を知った二人は安心して現代に帰っていく。家ではパパが庭で久しぶりに絵を描いているところであった。  

 (解説)この作品は初出の年こそ古いもののコミックス収録の際に一部を加筆されているので、パパの若き日の苦悩だけでなく、パパとママの恋愛ストーリーとしても増補補完されています。誰でも夢を持ち、その夢に向かって突っ走っていた時がある。ドラ世界にはおよそ似つかわしくない「青春」のテーマをストレートに描いている秀作です。「自分の信念を貫く」というパパの姿勢も、そのまま読者に訴えている部分かもしれません。
ジャックとベティとジャニー   10頁 小五、六90年9月号(人形自動化音波)
 しずかから人形のジャニーを見せられたのび太は、その人形の表情が悲しそうだと言われるが、のび太にはそんな違いはわかるはずもない。しずかはジャニーと愛し合っていた人形のジャックが行方不明になってしまったことをのび太に話すが、のび太は適当なことを言ってしまったので、しずかに怒られて追い出されてしまう。人形遊びに夢中になる女の子の心理に悩むのび太だが、帰り道の途中で出木杉に会う。出木杉もしずかに呼ばれたらしく、出木杉でも困るだろうと考えるのび太だが、万一のことを考えてドラえもんに相談することにすると、部屋ではなんとタイヤキが空中を泳いでいた。しかもそれがドラえもんの出していた釣り糸で釣れてしまったのだ。ドラえもんは「人形自動化音波」を使って一時的に動物の形をした物に生命を与えていたのだ。これを使って問題解決が出来ないものかと考えたのび太は道具を持ってしずかの家に向かう。一方の出木杉やしずかはとりあえず張り紙をして人形を探すことにしていた。二人が出かけている間に家に着いたのび太は部屋に上がって待つことにするが、のび太はジャニーに音波を浴びせて手がかりを聞くことにして音波を浴びせてしまうが、ジャニーは泣き出すと同時に部屋を飛び出して行ってしまう。とりあえず張り紙を張り終え、一旦家に戻ることにしたしずかだったが、のび太から話を聞いてカンカンに怒り出してしまう。困ったのび太はドラえもんに助けを求め、ドラえもんはノラネコと話して情報を集めると、ノラネコのクロが加えていったと言う。クロがガラクタを集めている場所に行ってみた二人だが、そこには人形がなく、人形の靴が落ちているだけだった。そばにいたクロに聞いてみると留守中に誰かに盗まれてしまったと言う。その時イヌのぬいぐるみを見つけたのび太は音波を浴びせてイヌを動かし、先程の靴の匂いを嗅がせて追跡するよう命令する。そしてとある家に到達した二人はその家の少女に聞いてみると確かにジャックを拾ったというが、自分の家のベティという人形と愛し合ってしまったので返す事が出来ないなどと言い出してしまう。その時どこからか現れたジャニーが家の中に飛び込んでいった。愛する者の直感というやつで探し当てたらしいが、それでも少女はジャックを返そうとしない。そこでのび太は他の二体も音波で動くようにして、人形達に決めさせることにするが、ジャニーとベティはジャックを取り合い始め、ジャックはボロボロになって逃げ出してしまう。それを見て三角関係の怖さを実感するのび太とドラえもんであった。  

 (解説)…ラブコメなのか、これは(笑)?のび太も「カップルテストバッジ」で三角関係の恐ろしさを知っているだけに、他人事ではないでしょう(笑)。今話では女の子のお遊びレベルで話を済ませていますが、「架空のものに必要以上に肩入れする」ということについては、我々ファンにおいても相通ずるものがあるかもしれないので、その過剰な思い入れを皮肉っている…というのは考えすぎでしょうか。我々のしていることも他人から見れば滑稽そのものなのか…なんてことまで考えちゃったりもしますが、とりあえずはドラ世界独特の「人形劇」を楽しみましょう。



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