未収録作品あ行


愛妻ジャイ子!?   FFランドスペシャル 17頁 小三70年2月号
 勉強しているのび太を見て、科学の発達した22世紀でもバカにつける薬はないなどと、他愛のない話をするセワシとドラえもん。そこへやってきたしずかから遊びに誘われるのび太だが、ドラえもんに止められてしまったので仕方なくやめる事にする。セワシに「おじいさん」と呼ばれることに腹を立てるのび太だが、その時ふと、自分の将来のお嫁さんのことに考えが及んだ。だがその相手がジャイ子だと聞かされて仰天し、さらに証拠のアルバムまで見せられたのび太は怒り出してしまう。
 ドラえもんはタイムテレビで20年後ののび太とジャイ子の姿を映し出すと、そこにはジャイ子の尻に敷かれて何とも情けなくなってしまった未来ののび太が映されていた。ドラえもんはこの運命を避けるために頑張っていかなければならないことをのび太に諭す。
 セワシはママに呼ばれたので未来に帰るが、のび太は具体的にどうすればいいのか見当もつかない。そこでドラえもんの助言に従ってジャイ子に嫌われようとするが、逆にバカにされてしまい、悪口を言うと殴られてしまった。それでもドラえもんに言われるままにやり返そうとするが、そこにジャイアンが現れたため、咄嗟にジャイ子のほこりをはらうと嘘をつき、そのせいでジャイ子に気に入られてしまう。あきらめないドラえもんはジャイ子に軽蔑される事を提案するが、のび太はウンザリして帰ろうとするので、タイムテレビで今度は35年後の姿を見せてのび太を再び発奮させる。
 のび太はとりあえずジャイ子の所に行くが、ジャイ子にバカにされたために自分の方が逆ギレしてしまい、ジャイアンとケンカする羽目になってしまう。何とかドラえもんに助けられるのび太だが、のび太は意地を張ってドラえもんの言う事もきかない。そのせいでドブに落ちてしまうが、のび太はどんな困難があっても力いっぱいぶつかっていくと宣言し、それを聞いたジャイ子がのび太を尊敬してしまった。
 慌てたドラえもんはセワシの下に向かうが、今までにない「強さ」を得たとセワシはむしろ喜ぶ。しかしのび太はママに優しい言葉をかけられてすぐに泣き出してしまい、結局元に戻ってしまったのび太を見て2人もウンザリしてしまうのであった。  

 (解説)最初期の作品はページ数が多い割に物語としては薄味なのが特徴ですね(笑)。今回は読めばわかる通り、今話で初めてのび太のお嫁さんやアルバムの存在が明らかになっています。つまり「小三」での第1回ではその要素は登場していないんですね(これもレビューを読めばわかりますが)。ストーリーとしても起伏に乏しく、盛り上がりに欠ける展開ではありますが、初期ならではの大らかさを感じる事ができると思います。タイムトンネルとタイムマシンなしで「ネコかき」で移動するドラや、最初期の設定通りに甘やかしすぎるママの存在も要チェックですかね。
アクト・コーダー   FF5巻 8頁 小五76年3月号
 野球の試合で打順が回ってきたのび太は意気揚揚と打席に入るが、敵はおろか味方からもバカにされたのび太は怒って勢いよくスイングし、何とそれにボールが当たってホームランになってしまった。結局それが決勝点になってチームは勝利し、のび太は家族全員にしつこく自慢する。だがあまりしつこいのでボクシングのテレビ中継を見ているドラえもんが注意すると、その間に相手がK・Oした時のシーンを見損なってしまう。しかしそのシーンをビデオ、さらにスロービデオで再生したのでドラえもんは見ることが出来たが、のび太は自分にもあんなふうに出来るものを貸して欲しかったとせがむ。そこでドラえもんは「アクト・コーダー」を出した。これは実際の動きを記録して何度でも再生することが出来るのだ。実験で繰り返し回数を5回に設定してからドラえもんはドラやきを食べ始めると、再生が始まってドラやきを延々と食べることが出来た。これを次の試合の時にセットしておくことをドラえもんは提案し、のび太もそれを聞いて喜ぶ。のび太も試してみることにし、繰り返し回数を30回にしてからドラえもんをネズミのびっくり箱で驚かし、その様子を繰り返す。しかし騒がしいのでママ達に叱られてしまった。
 そして次の試合、のび太の打順が巡ってきたので2人は繰り返しを50回、そのうち終わりの10回をスローに設定する。のび太は打席に立つが前回のはやはりまぐれだったようで、いつものように空振りしてしまう。ところが既に機械をセットしてしまったために打席から出ることが出来ず、のび太は延々と空振りを繰り返す羽目になってしまうのであった。  

 (解説)結論から言えば凡作になってしまいますね。珍しくのび太がホームランを打つシーンや、ドラがネズミに驚いて暴れまわる所などは面白いのですが、全体的に見るとちょっと物足りないですね。何より今回の道具が出てきた時点でオチが読めてしまうのが最大の難点でしょう。しかしこの頃からスネ夫だけはユニフォームを着ているんですね(笑)。
あげられたこ   TCS2巻 7頁 小一83年2月号
 パパがドラえもんにそっくりのたこを作ってくれたので、早速のび太とドラえもんはたこを上げに行くが、のび太は下手なのでたこを上げる事が出来ず、ドラえもんにまで当り散らすのでドラえもんは帰ってしまう。しかしそれからものび太は上げる事が出来ず、あげくにジャイアン達にバカにされたのでのび太も帰ってきてしまう。こっそり練習したいというのび太のためにドラえもんは「ミニだこ」を出した。小さいが本物のたこのように飛ばす事が出来るのだ。部屋の隅に扇風機を置き、それを風に見立ててうまく操作する事でたこは上がった。しかし、元々ヘタクソなのび太がうまくたこを上げる事など出来るはずもなく、糸をドラえもんに絡ませてしまう。結局ミニだこも出来ないのび太は、それでもたこあげをしたいと騒ぎ出すが、仕方なくドラえもんは「あげられたこ」をだした。たこを地面に置くと、持っている人を空中に浮かばせる事が出来るのだ。のび太は自分の体に糸を結びつけ、空に浮かんで楽しく遊ぶ。その時ジャイアンとスネ夫のたこがぶつかり合って絡んでしまったのを見たので、のび太は二人のたこを取ってやり、さらにやってきたしずかも加えてみんなで遊ぶ事を提案する。しかし遊び始めると、またジャイアンとスネ夫の糸が絡み合ってしまい、二人は脱出できなくなってしまうのであった。  

 (解説)逆転の発想をうまく生かした道具が登場してきますが、話自体はその道具を中心に据えてはおらず、どちらかと言うとのび太本人をメインに持ってきています。ドラそっくりのたこというのも、可愛らしくて面白いアイテムですね。
アタールガン   8頁 小一70年2月号
 おもちゃのピストルを使ってその腕前を披露するスネ夫。できないだろうと言われて腹を立てたのび太は早速やってみるがまったく的に当たらない。のび太は自宅へ自分のピストルを取りに戻るがなかなか見つからない。そこへやってきたドラえもんはピストルを知らないと言うのでのび太が絵に描いてやるが、絵が下手だったのでドラえもんは間違えて三角定規を持ってきてしまう。
 スネ夫が意地悪にも催促に来るが、その時にピストルを見たドラえもんは紙とはさみとノリで手作りのピストル「アタールガン」を制作する。これは弾に目がついているのでホーミング機能を持っているのだ。のび太は早速空き地へ行って的をすべて倒すが、悔しがったスネ夫が決闘しようとピストルを撃ち始めた。
 2人を抑えたドラえもんは西部劇のように決闘させる事にし、アタールガンの弾はスネ夫のピストルの弾をはじいてスネ夫を果てしなく追いかけ始めた。だが結局弾は逃がしてしまい、弾はスネ夫の顔を投影して近くのお巡りさんに行方を聞くが、教えた後でお巡りさんは仰天してしまう。スネ夫はまだのび太を狙っていたが、弾もスネ夫を見つけて服の中に潜り込み、スネ夫をくすぐって笑わせてしまうのであった。  

 (解説)連載当初ののび太は銃の腕前も決してよくなかったことがわかる貴重なエピソードですが、これはあくまで今の視点から見たことですので、話自体を見てみると取り立てて特徴のある部分は見られません。ドラも無知ぶりを発揮しているもののおとなしめで、最初期ならではの味が必ずしも出ているわけではないですね。スネ夫の意地悪ぶりは楽しいですが(笑)。
アニメスプレー   CC6巻 9頁 小二81年11月号
 精巧な鉄道模型をみんなに自慢するスネ夫。例によって羨ましがったのび太はドラえもんに頼み込もうとするが、ドラえもんは部屋にはおらず、代わりに描きかけの車の絵が置いてあった。絵につられてのび太も車を描いてみるが、そこへ戻ってきたドラえもんが2台の車を競争させてみようと、紙にコースを書いて長くつなげ、そして「アニメスプレー」を出した。
 スプレーを車にかけると、車が本物のように動き出し、コースの上を走り出した。このスプレーをかけると、紙の上だけならば絵に描いたものが自在に動くようになるのだ。試しに自分の描いた船を動かしてみたのび太は、これを使って鉄道を作ることを思いつく。
 模型鉄道を作ったと言われて、のび太に連れてこられたしずかとスネ夫は、家の中に敷かれた紙のレールを走る列車を見て驚くが、スネ夫は意地を張って驚かない素振りを見せる。
 しずかは2人と一緒に部屋いっぱいに町を書き始めるが、羨ましがったスネ夫は紙に書いたたくさんの動物にスプレーをかけて動かしてしまう。ドラえもんは急いで檻を書いて動物たちを閉じ込め、紙の町に動物園を作ってしまった。結局仲間外れにされてしまったスネ夫は怒って返ってしまうのであった。  

 (解説)車や船といった簡単なものから、大きな町まで紙の上でアニメとして動かしてしまうと言う拡がりは、道具に対する読者の想像力を書きたてるには十分な展開ですね。冒頭のNゲージ模型もそれほど登場するわけではないにもかかわらず、書き込みが多いのはさすがのこだわりです。それほど悪いことをしていないスネ夫が結局仲間に入れないと言うのが、ちょっと残念な展開ではありましたが。
あべこべ世界ミラー   TCS1巻 7頁 小一83年10月号(あべこべせかいミラー)
 今日もいじめられたのび太は『強くなってジャイアンを、やっつけたい。』というが、ドラえもんにまで無理と言われ落ち込んでしまう。そこでドラえもんは「あべこべ世界ミラー」を取りだし、鏡の中のあべこべの強いのび太をつれてこようとする。あべこべののび太は話を聞くとすぐにやっつけに外の世界へ向かったが、中ののび太は鏡の中ではよほど嫌われ者らしい。案の定あべこべのび太はジャイアンとスネ夫をコテンパンにしていた。帰そうとしても二人ではかなわない。二人は作戦を立てて、何とかあべこべのび太を鏡の世界へ戻す。だがジャイアン達はあべこべのび太を本物と思っているので、のび太を見て逃げ出した。当分いじめられずにすむ、とドラえもんは笑うのだった。  

 (解説)けんか、勉強、その他色んなことで「弱い」部分を持つ人は大勢いると思うし、いつか強くなりたいと思う人もほとんどだと思います。けれど、人間に本当に必要なものは強さではない。どんなに弱くても、優しい心を持ち、たくさんの人に好かれることこそ本当に大切な事なんだよ、と、この作品からは藤子F先生のそんなメッセージを感じずにはいられません。隠れた名作です。
アメダスペン   8頁 小二86年3月号
 学校帰り、ジャイアンから野球の練習に誘われてしまうのび太。今日のような寒い日に練習したくないのび太はサボることにして帰宅するが、なんと家のストーブが故障しており、部屋も寒いままだった。
 震えるドラえもんはのび太からのアドバイスを受け、「アメダスペン」を取り出す。表示された地図の好きな場所を様々な色のペンで囲むことで、その色に応じた天候に変えることが出来るのだ。試しにのび太の家の箇所を赤色のペンで囲むと、赤色は気温を上げる作用があるため、段々と暖かくなってきた。
 のび太は赤色のペンで空地を囲い、暖かくしてから練習を行おうとするが、エラーするたびにげんこつ一発というジャイアンの言葉を聞いて取って返し、青色のペンを使って空地に雨を降らせてしまう。練習は中止となり、のび太は喜んで雨を止ませ、今度は空地を白いペンで囲ってみる。すると雪が降ってきたので、積もるまでしずかの家で遊ぶことにした。
 2人は様々な色のペンを使って遊び、しばらくしてから雪が積もったであろう空地へ急ぐ。しかしそこには既にジャイアンとスネ夫が到着しており、のび太達を空地へ入れようとしない。話を聞いて怒ったドラえもんは地図にジャイアン達の姿を映し出し、2人を黒色のペンで囲む。それは竜巻を発生させる色であり、ジャイアンとスネ夫は竜巻に巻き込まれたまま、移動する竜巻に乗って運び去られてしまうのであった。  

 (解説)様々な色と天候との相関関係が面白い一編ですね。もう少しページ数が多ければ、色ごとの天候をもっとストーリーに絡められたのかもと考えると、少々残念な気もします。ラストのオチ、竜巻に巻き込まれるジャイスネの姿が笑えますが、アニメ版での終盤の展開もなかなかの壊れっぷりで印象的でした。
あめんぼう   TCS3巻 7頁 小一80年4月号
 道路でローラースケートに乗るジャイアンとスネ夫は、通りかかったのび太に無理やりスケートをやらせるが、滑る事が出来ないのび太は壁に激突してしまい、二人に笑われてしまう。のび太は転ばないローラースケートを出してくれとドラえもんに頼むが、そんなものはないとむげに断られてしまう。気分転換にとドラえもんは散歩に誘い、途中で出会ったしずかと一緒に三人で川辺に向かう。
 そこで三人はアメンボを見つけ、のび太は水の上を滑る事が出来るアメンボをうらやましがる。そこでドラえもんは「あめんぼう」という道具を出した。これを食べると水の上に浮かぶ事が出来るのだ。あめんぼうを食べた三人は水の上を自由に滑って楽しく遊ぶ。
 その頃、道路でスケートで遊んでいたために叱られてしまったジャイアン達は、川の上で遊んでいるのび太たちを見つけ、あめんぼうをドラえもんからもらう。しかし二人は調子に乗って大量にあめんぼうを食べてしまい、食べ過ぎると効き目が一ヶ月も続いてしまうと言うドラえもんの忠告を無視して川で遊ぶ。家に戻ったのび太とドラえもんは風呂に入ろうとするが、まだ道具の効果が残っていたので、少しの間だけ風呂に入ることが出来なかった。
 それから一ヶ月、道具の効力が未だに消えないジャイアンとスネ夫は風呂に入ることが出来ず、垢だらけでハエが寄ってくるほどに汚い体になってしまうのであった。  

 (解説)今話の見所は今更言うまでもないですが、やはりラストのお下劣オチに尽きるでしょう。垢がたまって皮膚の色が変わっている様子が彩色原稿でリアル?に再現されているだけでなく、そんなジャイスネの周囲にしっかりとハエが飛んでいるという念の入りよう。F先生の作品に対するイメージがこれでもかとほとばしっている快作と呼ぶ事が出来るでしょう(笑)。こういった下品ネタを違和感なく織り込む事が出来る事もドラ世界の魅力である事は間違いないですね。
生き物しいくジオラマブック   TCS1巻 7頁 小一85年8月号(生きものしいくジオラマブック)
 しずかからチョウの卵、スネ夫からカエルの卵、ジャイアンからセミの幼虫をもらったのび太だったが、ママに捨ててこいと言われ困り果てる。そこでドラえもんは「生き物しいくジオラマブック」の中からチョウとカエルとセミを育てるジオラマを作り始める。そして青いボタンを押して時間を早く流し、カエルとチョウの卵はかえった。観察日記をつけるのび太。そしてチョウとカエルは立派に成長し、赤いボタンで年単位で時間を進め、セミも成虫となった。翌日、1日で観察日記をつけたと自慢するのび太に驚く一同だった。  

 (解説)子供の頃、僕が欲しかった道具の一つです。子供の頃は誰でも一度は生き物に興味を持ったと思うのですが、育てるのは面倒くさい。そんな僕の願いをかなえてくれる道具に思えました。「ジオラマ」というのも当時の子供の気持ちをひきつけるのに良い題材ですね。ママに捨ててこいと言われて、『いますてたら死んじゃうよ。』と、優しいのび太をさりげなく描いている所はさすがです。
いすかいりょう機   8頁 小二84年3月号
 真面目に宿題をやると言う、のび太決心の日が久々にやってきた。しかしすぐさま飽きて昼寝を始めてしまい、ドラえもんに怒られても逆にイスが固くて座りづらいから悪いと言い出す始末。ドラえもんは仕方なく「いすかいりょう機」を出した。これをイスにつけてマイクに命令すると、命じたとおりのイスに変化するのだ。
 のび太は早速座席をやわらかくして再び宿題に取り掛かるが、今度は逆に気持ちよすぎて座ったまま眠ってしまう。さらにおやつを食べに行こうとするのび太を見かねたドラえもんはイスに命令して、宿題が終わるまでイスから離れられないようにする。しかしそれでものび太はおやつを食べたいと騒ぐので、仕方なくイスに命令しておやつを出してもらう。
 さらに今度はトイレに行きたいと言い出したので、イスに命じて自動操縦できるようにし、トイレへと向かわせるドラえもん。しかしそれに気をよくしたのび太は、宿題のことをころっと忘れて外に遊びに行ってしまった。
 イスを取り上げようとするジャイアン達をイスの力でやっつけたのび太は、今度はイスにプロペラを装備させて、のんびりと飛行しながら昼寝を始めてしまう。
 結局宿題はまったく出来ず、夜になってドラえもんに泣きつくのび太。それを見たドラえもんは、イスをさらに改良し、のび太がよそ見をしたり手を止めたり答えを間違えた時、自動的に殴るようセットしてしまうのであった。  

 (解説)普段何気なく使っているイスを、ここまで面白い道具に変えてしまうと言うセンスにまずは脱帽です。今話での秘密道具はまぎれもなく「イス」なのでしょう。序盤の「イスから離れられない」シーンは、「男は決心!」にも似た描写はありますが、こちらの方が穏やかな印象になっていますね。
痛みはね返りミラー   FF11巻、CC2巻 8頁 小二76年9月号(いたみはねかえりミラー)
 また今日もジャイアンにいじめられたのび太。その様子を見かねたしずかはジャイアンに乱暴するのは悪いことだと諭し始める。一方ののび太は例によってドラえもんに泣きつき、「わが身をつねって人の痛さを知れ」という諺を引き合いに出して「痛みはね返りミラー」を出した。これを持っている人を殴ると、殴った人に殴った時の二倍の痛みがはね返り、殴られた方は痛みを感じないのだ。
 のび太は早速これを持って殴られに向かう。その頃しずかに諭されたジャイアンは二度と乱暴をしないことを誓っていた。ジャイアンに出会ったのび太は何とか殴られようとするが、ジャイアンは二度と殴らないと宣言してしまい、試しに自分を殴らせてみる。のび太が殴ってみるとなぜか自分の方が痛くなってしまった。ところがそれを見ていたスネ夫達は調子に乗ってジャイアンをからかい始めた。一方、ミラーを持っている人間が誰かを殴った場合にも同様の事が起きることを知ったのび太は怒ってミラーを捨ててしまう。通りかかったしずかは偶然ミラーを拾うが、そのしずかに野球ボールが当たったために、逆に投げた男の子のほうが痛がってしまう。
 その頃しつこいスネ夫たちに遂に怒り出したジャイアンは難癖をつけてのび太を殴りまくり、のび太は慌ててミラーを探すことにする。話を聞いたドラえもんは怒るが、その時大きな悲鳴が聞こえてきた。それはしずかの歯の治療をしていた歯科医のものであり、痛がった歯科医は窓から飛び出して逃げていってしまうのであった。  

 (解説)ジャイアンを優しく諭すしずか。うーん、良い女の子ですなあ。低学年誌にしては珍しく大人のしずかと子供ののび太を対比させているような作品になっています。「悪運ダイヤ」と同じコンセプトの道具を使っていながらまったく違う話に仕上げている所もさすがですね。
糸なし糸でんわ   TCS1巻 7頁 小一85年12月号(いとなしいとでんわ)
 面白い話を思い出したのび太はしずかに教えようとするが、ママとパパが交代で電話を使っているため、直接家へ行こうとする。そんなのび太にドラは「糸なし糸でんわ」を渡す。喜んで出かけるのび太だが、ジャイアン達に会い、何とか逃げて静かに電話を渡し、これを使って面白い話をするという。しかし帰り道でジャイアン達が待ち伏せしていたので遠回りをしていたら迷子になってしまう。しずかは待ちきれなくなりお風呂に入ってしまう。
 ようやく帰ってきたのび太は電話をかけるがしずかは出られない。家にも誰もいないようで、仕方なくタオル1枚であがって電話に出る。しかしのび太は面白い話を忘れてしまったため、その場で考え始めてしまう。そんなのび太にしずかは『早くしてーっ。』と叫ぶのだった。  

 (解説)今回の道具、形だけ除けばもう「携帯電話」という形で実現しているんですよね〜。時代の流れを感じます。わざわざ家に行ったのに話をしないで電話で話そうとするのび太には、いつもの事ながら笑えます。面白い話とは一体なんだったのか?今話唯一の難点はオチがすぐに分かってしまうという所でしょうか。
いぬになりたい   8頁 小一70年8月号
 勉強をしているのび太は屋根の上で寝ているネコを見て、気楽に生きているネコをうらやましがる。そこへドラえもんがネコにしてやると言って「どうぶつガス」を出した。玉を割って中のガスを浴びると動物に変身する事が出来るのだ。ネコになったのび太は外に遊びに行くが、途中で出会ったしずかにネズミ退治をさせられる羽目になってしまい、逃げ帰って今度は犬に変身する。
 犬になったのび太は再びしずかの家に行くが、犬が人間の声で笑うので怖がったしずかはのび太を追い出してしまう。さらにジャイアン達にいじめられたのび太は今度は猛獣になろうと戻ってくるがドラえもんはおらず、さらに玉を持っているところをママに見られ、犬が爆弾を持っていると勘違いしたママは全部の玉ごとのび太を外に放り出してしまう。するとその際に玉が全部割れて近くにいた人すべてが動物になってしまい、動物になってしまったみんなを見て驚くドラえもんであった。  

 (解説)極めて平和的な話なので、驚くような展開とかギャグはないんですが、強いてあげるとすれば家のネズミを退治させようとのび太ネコを天井裏に放り投げてしまう、いつにも増して強引なしずかですかね(笑)。さり気なく登場しているしずかのパパも現在知られている姿とは異なっており、最初期ならではの時代を感じさせてくれます。
いねむりシール   TCS2巻 7頁 小一85年4月号
 今日も授業中に居眠りしてしまって先生に怒られるのび太。家に帰ってゆっくり眠ろうとするが、帰ってみるとママからお使いを頼まれてしまい、宿題をやるとその場凌ぎで言ってしまい、しかも宿題のあとにもお使いに行くよう言われてしまう。のび太が部屋に入るとドラえもんが道具の手入れをしていたが、どうも様子がおかしい。すると突然ドラえもんの目の部分からベルが鳴り響き、ドラえもんはまぶたに貼っていたシールを剥がした。これは「いねむりシール」と言って、予定を言いつけてからまぶたに貼って眠ると、寝ている間にその予定をこなしてくれると言うのだ。早速のび太はシールを借りて予定を吹き込み、さっさと眠ってしまう。
 するとのび太は眠ったままで起き上がり、宿題を始めるが、起きていても出来ないのび太が眠りながら出来るはずもなく、落書きだらけになってしまった。続いてお使いに行くが、心配になったドラえもんもついていくことにする。案の定、寝ているのび太はまともに話すことも出来ず、仕方なくドラえもんが代わりにお使いを済ませてしまう。さらにのび太はその帰り道でジャイアンにぶつかってしまい、怒ったジャイアンを慌ててドラえもんがとりなす。ところがドラえもんが帰ってみると、のび太はおやつのドラやきをドラえもんの分まで食べてしまい、怒ったドラはもう面倒を見ないことにしてしまう。それからのび太はしずかの家に行く事にするが、途中で雨が降ってきてずぶ濡れになってしまい、さらに工事中の穴に落ちて、まるでボロボロのお化けのようになってしまったのび太を見て、しずかは驚くのであった。  

 (解説)眠りながら何かをするというところでは「人間用タイムスイッチ」とか「タイマー」とかがありますが、それらに比べると今回の道具は随分使い勝手が悪いですね。寝ながら仕事をしてメチャクチャな事をしてしまうのび太の姿が笑えますし、最後のオバケのようなのび太の姿は少し不気味に見えます。しかし、あそこまで痛い目にあって目を覚まさないのび太もすごい(笑)。
イメージ灯   FF14巻、TCS4巻 7頁 小二78年5月号(イメージとう)
 急いで家に駆け込んできたドラえもん。ドラえもんはテレビ番組の「スターマン」を見るために急いでいたのだが、到着した時にはもう番組は終わってしまっていた。番組を観ていたのび太に話を聞くことにするが、のび太は話すのがヘタなので全然中身が伝わらない。そこでドラえもんは「イメージ灯」を出してのび太に持たせる。そしてさっきの番組を思い出させると、その機械からのび太の観たテレビ画面が投影された。頭にあることをそのまま投影することが出来るのだ。ドラえもんは番組を観て楽しんだが、のび太は調子に乗ってネズミの映像を映し出してしまったために、仰天したドラえもんは窓を破って逃げてしまう。
 怒ったママから逃げるために自分も外に出たのび太は、しずか達が集まっているのを見て、お化けの映像を映して驚かす。のび太の仕業だと知ったジャイアン達は怒り出すが、お詫びにとのび太はある映像を見せた。しかしそれはのび太がヒーロー、しずかがヒロイン、ジャイアンとスネ夫が悪役というものだったので二人は余計に怒り出し、のび太はやっとのことで逃げることに成功する。現れたドラえもんはイメージ灯を取り返すが、そこにママがガラスを割ったのは誰かと問いただしてきた。ドラえもんはそ知らぬ不利をするが、手に持っているイメージ灯から後ろの壁に自分が窓ガラスを割った時の映像が投影されてしまうのであった。  

 (解説)道具自体は極めて単純なのですが、それでも結構面白い作品になっているのはやはりインパクトのある作画のおかげでしょう。ガラスを破って逃げると言うナンセンスな構図、そしてそれをオチに持ってくるところは思いっきり笑えます。それ以外にもドラの驚きっぷりが面白い一編ですね。
イメージベレーぼう   TCS4巻 7頁 小二83年2月号
 しずかをモデルにして絵の宿題をしているのび太だが、のび太は口うるさく注意しては描き上げることが出来ないので、ウンザリしたしずかは帰ってしまった。困るのび太にドラえもんは「イメージベレーぼう」を出してやる。これをかぶって物の姿を思い浮かべると、それが虚像になって出てくるのだ。試しにドラえもんがドラやきのことを考えてみると、帽子からドラやきが出てきた。早速のび太もしずかの姿をイメージして虚像を作り出し、それをモデルにして絵を描き始める。しかしモデル云々よりものび太の絵が下手くそだったので、大した違いなく絵描きを終える。それでも一応宿題は終わったのでのび太は昼寝しようとするが、そばにしずかの虚像があるので気になって眠れず、仕方なくしずかの家に持っていくことにする。
 一緒に帽子を持ってきたのび太は、これを使ってしりとりをすることを思いつき、早速しずかとしりとりを始めるが、のび太はパンツだのウンコだのと下品なものばかり考えてしまい、さらにはクジラを考えてしまったために、でっかいクジラがそのまま飛び出てきてしまう。その場を逃げたのび太が空き地のそばを通りかかると空き地にジャイアンがいたので、怪物のイメージを出していたずらしてしまう。しかしすぐにジャイアンに気づかれ、帽子を取り上げられてしまった。
 帽子を取ったジャイアンは喜んで家に帰るが、帰ってみると早速母ちゃんに叱られてしまい、ジャイアンは部屋に入って母ちゃんの事を鬼婆だのゴリラだのブタだのと悪口を言う。だがその時も帽子をかぶっていたためにイメージが実体化してしまい、鬼婆とゴリラとブタの母ちゃんが出てきてしまった。それを見た母ちゃんは余計に怒り出してしまうのであった。  

 (解説)やはりまずをもって紹介しなければならないのはウンコですかねえ(笑)。あそこまで見事な巻きグソが出てくるのは、ドラの中では今話と「ロボットねん土」くらいなので、非常に珍しいものがあります。なかなかにリアルな色もまた良ろし(笑)。後はオチに出てくるいろんな母ちゃんでしょうかね。何故か仏頂面のブタ母ちゃんが個人的にお気に入りです。
いんちき薬   FF6巻 9頁 小二71年9月号(いんちきぐすり)
 朝、ママがのび太を起こしに行くとのび太は頭が痛いので学校を休むと言う。しかしママにはすぐにウソだとばれてしまった。のび太は休みたがる理由をドラえもんに話そうとするが、ろくでもない理由だろうとドラえもんは聞く耳を持たない。のび太は夏休みの宿題がまだ残っており、今日一日あればどうにかなるというが、ずる休みに手を貸すことは出来ないとドラえもんはキッパリはねつける。のび太は絶望のどん底に陥り、さすがにその姿に同情したドラえもんは仕方なく「病気ごっこに使う薬」を出してやる。
 早速のび太が飲んでみると見る見るうちに顔が熱を帯びてきた。それを見たママも学校を休むように言う。のび太は調子に乗って勉強をサボろうとするがドラえもんに叱られて勉強を始める。そこへママが水袋を持ってくるが、まったく効果がないので救急車を呼ぶことにしてしまう。のび太は病院へ行くのを嫌がるので、ドラえもんは別の薬を飲ませてのび太の体を風船のように膨らませてしまう。それを見たママはさらに慌てだし、医者を呼ぶことにする。だが医者は来てくれないのでママは呼びに行ってしまい、そのオロオロする様子を見て自分の行為に罪悪感を感じ始めるのび太。
 やってきた医者にも病気のことはまったくわからず、とりあえず注射をうつことにするがのび太は嫌がって家中を逃げ回ってしまう。そこでドラえもんは今度は葬式ごっこの薬を飲ませ、のび太が死亡した状態になったことを知ったママはショックのあまり卒倒してしまう。仕方なく真実を話し二人はママに叱られるが、のび太は学校に行くことにする。先生に薬を飲ませることをドラえもんは提案するが、叱られた方がさっぱりするというのび太の言葉を聞いてドラえもんも感心し、元気よくのび太を送り出すのであった。  

 (解説)大筋は初期作らしいドタバタギャグの話として展開していきますが、その中に後の「タマシイムマシン」でもテーマになる「親の愛情」をチラッと混ぜている辺り、作者の巧みな手腕が窺えます。と言っても骨子はギャグなので、今話はやはり各キャラのドタバタする様子を見て笑うのが一番良いでしょう。ママが部屋に来ると布団にもぐりこむ、という下りは往年のドリフコントのようにも見えて面白いですね。
引力ねじ曲げ機   FF1巻、CC2巻 9頁 小二70年10月号
 スネ夫やしずかと一緒にハイキングに向かったのび太とドラえもん。行く前に、どんなに苦しくても頑張るようにとドラえもんから言われたのび太は、ヘトヘトに疲れながらもみんなに遅れまいと必死で山道を登る。だが逆にドラえもんの方がへばってしまい、ドラえもんはポケットから何か道具を取り出した。みんなは休憩することにするが、後ろの方からドラえもんが変な姿勢で歩きながらやってきた。やけに元気に歩くドラえもんだが、そのうちスピードに乗ってしまって止まることが出来なくなり、なぜか木の枝に浮いているかのように引っかかってしまう。
 ドラえもんはのび太にだけ「引力ねじ曲げ機」の秘密を話す。針の向いた方に引力を向けさせることで、上下の方向を自由に変えることが出来るのだ。これによって上り坂を下り坂にしてしまった二人は揃って走り出すが、のび太が転んで転がってしまい、草むらに突っ込んでしまう。2人の様子を怪しむスネ夫は気絶しているのび太と機械を見つけ、機械を奪って走り出してしまう。スネ夫は1人で崖まで登ってしまうが、おしっこをしたらおしっこが上に落ちてしまい、さらにそれが雨のように降ってきた。慌てたスネ夫は池に落ちてしまい、水ごと空の方に落ちていってしまう。ドラえもんが矢印を戻すと、水やスネ夫と一緒に池の魚まで降ってきた。
 2人はその魚をお土産に持って帰ってくるが、2人は機械を使って天井に座り込んでしまったので、パパ達は落ち着かないのであった。  

 (解説)「重力の方向を変える機械」と言うのはいかにもドラえもんらしい道具ですが、今話は後年の同種の話に比べるとちょっと物足りないですね。メインの話とあまり関係のないオチがついているところが、個人的にはマイナスです。今話ののび太は山登りを結構頑張っているのに、ドラやスネ夫が先にへばってしまう所が珍しいですね。


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