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海水コントローラー   TCS1巻 7頁 小一80年9月号(かい水コントローラー)
 スネ夫が、いとこがサーフィンの名人であると自慢を始めた。自分も練習すると言ってバカにされたのび太はどんなへたくそでもすぐに泳げるようになる機械を出してくれとドラえもんにせがむ。そんなのび太を一喝したドラえもんは海へつれていって練習させようとする。波が怖いと言うのび太に「海水コントローラー」を出し、かこいの中の海の波を静める。しかし今度はのび太は水が冷たいと騒ぎ、水を温かくする。調子に乗ったのび太は温度を上げすぎてのぼせてしまう。ドラえもんが出かけた間にのび太は機械をいじり始める。流れるプールにしたが早くしすぎて目を回し、サーフィンで遊ぼうとするが勢いに乗ってどこでもドアに突っ込み、のび太の部屋にいたママとドラえもんを水浸しにしてしまうのだった。  

 (解説)典型的な「道具からのしっぺ返し」の話です。勝手にいじってひどい目に会うのび太が何度も描かれていて楽しいです。のび太がサーフィンを練習すると言った時、大口をあけて笑う3人(しずかまで!)がおかしいですね。
怪物くんぼうし   7頁 小一82年2月号
 空き地で野球をしていたのび太達は、また神成さんの家の窓ガラスを割ってしまった。ジャイアンはのび太に取りに行かせようとするが、神成さんは既に待ち構えていたのでのび太も逃げ帰り、さらにジャイアン達にも追いまわされてしまう。ドラえもんに相談するのび太だが、ドラえもんはマンガの怪物くんに夢中になって、話を聞いてくれない。何気なくのび太が覗き込むと、マンガの中で怪物くんが自由に手足を伸ばしているのを見て、こんな風に出来ればいいと独り言をもらす。するとドラえもんは「怪物くんぼうし」を取り出した。これをかぶると怪物くんのように、体をゴムのように伸ばす事ができるのだ。ドラえもんは早速空き地へ行って、神成さんの家の庭に落ちているボールを、腕を伸ばして取ってしまう。
 ぼうしを借りたのび太はジャイアン達に出会い、2人にボールをぶつけたので怒ったジャイアンが殴りかかるが、のび太の体はゴムのようになっているのでまったく殴れない。つかまえようとしても腕がずるずると伸びてしまい、さらにのび太は伸びによる反動を使って2人に体当たりし、2人は完全に参ってしまった。
 のび太はそれからもしずかが木の枝に引っかけてしまったボールを取ったり、子供が手を離してしまった風船を取ったりするが、その際にぼうしの秘密を話したことがジャイアンに聞こえてしまい、ジャイアンはぼうしを奪ってしまう。その時また神成さん家にボールが入ったというので、ジャイアンは腕を伸ばして取ろうとするが、神成さんも今度は待ち構えており、腕を捕まえて木の幹に縛り付けてしまうのであった。  

 (解説)ある意味この作品が一番日の目を見る可能性の少ない作品ですね(笑)。それはともかく、体が伸びるという怪物くんの設定を生かして、それを無理なくドラの世界に織り込んでいます。ラストのオチも笑いとナンセンス性を同時に提供してくれていて、いい感じです。罠をはって伸びる腕を待ち構えていた神成さんはなかなかのものです(笑)。
カキどろぼう   FF11巻 4頁 小三74年11月号
 他人の家のカキの木に予約の札を貼っておいたジャイアンとスネ夫は食べごろのカキをたくさん食べ、それを見てうらやましがったのび太はジャイアンが予約している分のカキを10円で食べさせてもらう。しかしのび太が取ろうとすると家の人が現れて追い出されてしまう。予約札もジャイアン達が勝手につけたものだったのだ。怒ったのび太は家の庭にカキの種を蒔いて育てることにし、成長してからたっぷりとカキを食べることにした。と言ってもそんな簡単に成長するわけはないのでドラえもんはのび太の考えを笑うが、のび太はタイムマシンを利用することを念頭に置いていたのだ。二人は8年後の世界へ行ってカキを食べようとするが、なぜかカキは一つもなかった。ドロボウにあったと考えた二人はさらに3日ほど前に行ってようやくカキを食べるが、今度はそこに現れた8年後ののび太にドロボウ扱いされ、二人はやはり追い出されてしまうのであった。  

 (解説)やはり何にしても自分で苦労しなければいけないということでしょうね(そうなのか?)。変にカキにこだわるのび太や、木に登っている所を棒でぶたれてまっ逆さまに落っこちるのびドラの姿などが笑えます。やはりページ数の都合で少し物足りないですが、少ないページ数でよくまとめられていると思います。
架空通話アダプター   FF5巻 10頁 小六77年11月号
 電話の前で何やら考え事をしているのび太は、電話をかけようとするが出来ずに受話器を置くという行為を繰り返していた。ドラえもんが聞いてみるとジャイアンに貸した漫画を返してもらうために電話をしようとしているのだが、失敗すると永遠に返してもらえないので対応の仕方に困っていると言う。そこでドラえもんは「架空通話アダプター」を出した。機械が相手の代わりをして本物そっくりに応対してくれるのだ。早速ジャイアンにかけると機械相手なのにも関わらずのび太は緊張するが、ジャイアンがマンガを返しに家へ向かっているということを聞いて安心する。ところがやってきた本物のジャイアンに余計なことをベラベラと言ってしまったためにジャイアンを怒らせてしまい、マンガを取り上げられてしまう。ドラえもんは諦めずに何度も挑戦しろと説得し、のび太は泣き落としやおだてなどいろんな作戦で機械のジャイアンと話し、結局のび太がケンカ腰でせめるとジャイアンはマンガを返すことにしてくれた。早速本物のジャイアンにも同じ方法を使うことにするが、テストの時とセリフが違ったためにジャイアンは余計怒ってしまう。マンガが返ってこないことに絶望して泣きわめくのび太を元気づけるため、ドラえもんはアダプターを使って歌手の河合可愛と話をすることを勧める。急いで家に帰る二人だが、家ではママがアダプターがついたままの電話を使って小学校時代の友人と会話をしていたので電話が使えなかった。しかしそこに本物の友人が訪ねてきたので、のび太は電話を使って河合可愛とたっぷり話をする。しずかも呼んで3人でいろんな人と話し、その様子をしずかはジャイアン達に話す。のび太は更に機械のジャイアンに対してケンカを吹っかけるが、そこに本物のジャイアンがやって来たので仰天してしまう。しかしジャイアンはマンガを返す代わりに河合可愛と話をさせて欲しいと言ってきたのであった。  

 (解説)マンガを取り返すためだけにのびドラが奮闘するという、いかにもドラ世界らしいミニマムな設定の下に発展している話です。例によってマンガを取り返そうとするのび太のオーバーアクションが面白いですね。難点と言えば中途でママが電話をしているシーンは展開上どのシーンとも連鎖していないので、単なるページ稼ぎのように見えてしまうところです。なおFFランド版はラスト1ページが丸々描きかえられているので、もしかしたら初出時と展開が多少異なっているかもしれません。
かげえ   4頁 小一71年6月号
 影絵遊びをして楽しむのび太やしずか達。次はドラえもんが影絵をすることになり、ドラえもんの手では影絵は出来ないとからかうのび太だが、やってみるとライオンや車などすごい影絵がたくさん出てきた。ドラえもんは「かげえライト」という、頭で考えた事を影にすることが出来るライトを使っていたのだ。これを使って3人は影絵の芝居をして遊び、のび太達はだいぶ遅くなってから帰宅するが、家で待っていたママをライトで照らしてみるとその影は握りこぶしになっていたので、ママが怒っている事に気づいた2人は仰天して逃げ出すのであった。  

 (解説)低学年誌の掲載作品は子供の夢をストレートに具現化した話が多いのが特徴で、今話も影絵と言う親しみやすい題材を用いてキャラを遊ばせています。それでもちゃんとギャグマンガとしてのオチを守るところはさすがですね。影絵の中にオバQがいるのも嬉しいサービスです。
影ふみオイル   TCS3巻 7頁 小一83年9月号(かげふみオイル)
 空き地でジャイアンに向かって殴りかかるのび太。しかし実際にはジャイアンはそこにはおらず、のび太はさっきまでここにいたジャイアンに対して怒っていたのだ。それを見たドラえもんは大笑いするが、のび太は悔しがるので仕方なく「影ふみオイル」を出してやる。これを相手の影に染み込ませて相手の影をぶつと、その通りの痛みが本人にも伝わるのだ。早速のび太はジャイアンの影にオイルをかけようとするが、近づきすぎたのでジャイアンに気づかれてしまい、陽が傾いて影が伸びてくるまで待つ事にする。影はだいぶ伸びてきたものの、それでも近づくのをこわがるのび太に代わってドラえもんがオイルをかける。のび太は早速影を踏もうとするが、まだ怖がって近くに寄らないので影を踏むことが出来ず、仕方なくドラえもんが遠くから石を投げつける。するとジャイアンには石がぶつかった時と同じ痛みが伝わった。次にのび太も同じことをして見るが、勢い余ってジャイアンに直接石が当たってしまう。今度はドラえもんは長い竹ざおを使う事にし、それを使ってドラえもんはうまくジャイアンを殴り、ジャイアンは一緒に歩いていたスネ夫のせいにしてしまう。しかしのび太が殴った時にはジャイアンに気づかれてしまい、追いかけるジャイアンに二人は空き地にまで追い詰められてしまう。しかしその時、道路にまで伸びていたジャイアンの影が自動車に轢かれてしまい、ジャイアンが痛がっているうちに二人は逃げ出すのであった。  

 (解説)影とは言え車に轢かれたというのに、何でジャイアンは無事なんだ?という、読んだ瞬間に浮かびそうなツッコミはさておいて(笑)、今話も後期作品ながら、このオチのせいで前期作のようなドタバタナンセンス作品のテイストを持つようになっていますね。「影を踏む」という、第三者から見れば下らない行為を行うために奔走するのびドラの姿が笑いを誘います。ラストのコマのアングルもまたイイ感じかな(笑)。
「影ぶんちん」と「影実体化液」   10頁 小四89年1月号
 今度はクラシックプレーンのラジコンを自慢するスネ夫。例によって貸してもらえないのび太はドラえもんに頼もうとするが、望遠鏡で一部始終を見ていたドラえもんは、のび太から話を聞くより先に「影ぶんちん」と「影実体化液」を出した。ドラえもんはラジコンと太陽の位置を見て、とある家の屋根に登り、ラジコンの影が通ったところにぶんちんを置いた。すると影がそのままその場に止められてしまい、そこに実体化液をかけると本物そっくりに実体化した。
 続いてドラえもんはプロポの方も実体化させ、それを使ってラジコンを操縦する。早速のび太も動かしてみるがうまく行かず、木にぶつかりそうになってしまうが、影なのですり抜けるだけで済んだ。一方スネ夫はジャイアンにラジコンを取られてしまい、のび太のラジコンを見たジャイアンは対抗してくるが、ある家のガラスを破って中に落ちてしまう。さすがにスネ夫に同情した2人はスネ夫の影を実体化してラジコンを取ってきてもらった。
 感謝するスネ夫はさらにもう一度道具を借り、今度はジャイアンの影を実体化して日頃の恨みを晴らそうとする。殴られるショックを感じたジャイアンはふらついてドブに落ちてしまうが、やってきたスネ夫はドブ水で真っ黒になったジャイアンを影と勘違いして殴りつけてしまい、逆に追いかけられる羽目になってしまうのであった。  

 (解説)既存の話のいいとこ取りと言った感じの話ですね。もちろんただの焼き直しになっているわけではなく、新たな道具の面白味を見出していると思います。道具に「文鎮」という庶民的なものを使うあたりが、ドラ世界らしくていいですね。あとはやはりいつも通りのスネ夫にも注目でしょうか(笑)。
影ぼうしフラッシュ   TCS2巻 7頁 小一85年9月号(かげぼうしフラッシュ)
 またまたジャイアン達に追いかけられて逃げ帰ってきたのび太はドラえもんに助けを求めるが、部屋に入るとドラえもんに良く似た形の青っぽいものが座っており、しかもすぐに消えてしまった。オバケだとのび太は騒ぐが、これはドラえもんが「影ぼうしフラッシュ」を使って作り出した分身だった。道具を光らせて生み出された自分の影が実体化し、消えるまでの30分間は何でも言う事を聞いてくれるのだ。そこでのび太は影ぼうしにジャイアン達をやっつけてもらう事を思いつくが、やはり影とは言ってものび太はのび太なので、影もコテンパンにやっつけられてしまい、あげくには本人を残して逃げ出してしまう始末。そこで今度はたくさんの影ぼうしを使う事を思いつくが、ドラえもんはそんな無駄遣いを止めようとする。のび太は影ぼうしを使ってドラえもんを足止めし、さらにお使いを頼むママの影ぼうしを作って、自分の影に買い物に行かせることを勧める。のび太は影ぼうしを5個作って空き地に向かうが、空き地にジャイアン達はいなかった。しずかから二人は裏山に行ったと聞いたのび太は急いで裏山に向かうが、その間に影ぼうしは全部消えてしまう。そんな時になってのび太はジャイアン達に見つかってしまい、のび太は慌てて学校に逃げ込んで最後のフラッシュを使ってみる。すると影が校舎の壁に大写しにされ、巨大な影ぼうしが生まれた。巨大な影ぼうしはジャイアン達を簡単にやっつけ、のび太はその事をドラえもん達に自慢するのであった。  

 (解説)同じ影でも「かげがり」とは偉い違いですねえ(笑)。影を「黒」ではなく「青」色系統で表現している所はさすがカラー原稿と言った所でしょうか。ラストのオチも影の特性をうまく利用したものになっており、道具の特性を十分に発揮することが出来た一編だと思います。
カサイラズ   TCS2巻 7頁 小一86年7月号
 雨が降っている中、出かけようとするのび太だったが、傘を持って出かけると必ず忘れてきてしまうという理由でママに止められてしまう。残念がるのび太が窓の外をぼんやり見つめると、なんと雨の降る中、ドラえもんが傘もささずにネコとおしゃべりしていた。戻ってきたドラえもんに聞いてみると、ドラえもんは「カサイラズ」という道具を使って水を弾いたのだと言う。効果は一日続くというのでのび太も早速薬を浴びてしずかの家に向かう。ところが途中で雨宿りをしているジャイアンにつかまってしまい、仕方なく家まで戻ってジャイアンにもカサイラズを浴びせてやる。のび太は今度はカサイラズを持ったままで出かけると、ラジコンを飛ばせなくてふてくされているスネ夫に出会った。そこでのび太はスネ夫とラジコンにカサイラズを吹き付け、雨の中でも遊べるようにしてやる。ところがラジコンを借りたのび太は操縦を誤ってしまい、川の中にラジコンを落としてしまう。怒るスネ夫だがカサイラズの効力で川の水も弾かれていたため、ラジコンは濡れることなくのび太が回収する事が出来た。やっとしずかの家に到着したのび太はカサイラズを自慢するが、もう既に雨は止んでしまっていた。それでもとしずかにカサイラズを吹き付けるのび太だったが、後になって道具の効果のためにお風呂に入る事が出来ない事を知って、怒っているであろうしずかのことを考えるのび太であった。  

 (解説)「あめんぼう」と同様の効果をもつ道具ではありますが、オチは少し異なっていますね。オチでしずかの様子を直接描くのではなく、のび太に語らせるだけにとどめているところが構成の巧みさを感じさせます。冒頭のママの手厳しい一言も、本当なら息子に言うようなせりふではないのでしょうが、やはり笑えます。
かぜぶくろ   FF2巻 9頁 小二71年2月号
 パパが苦戦しながら料理を作っているのを見て仰天したのび太とドラえもんはママに文句を言いに行くが、ママは風邪を引いて寝込んでしまったので、パパが代わりに料理を作っているのだった。変な冗談を言い合ってケンカしてしまう2人だが、やはりママのことが心配なので治してやろうとドラえもんは「かぜぶくろ」を出した。これに咳を吹き込むと風邪がコロッと治ってしまうのだ。風邪は治ったものの、一日ゆっくり休めると思っていたママは機嫌を悪くしてしまったので、2人はもっとひどい風邪を集めてママに風邪を引いてもらおうと考える。だが友達に聞いてまわっても誰も風邪を引いておらず、ジャイアンに至っては上半身裸にまでなってしまう。その時風邪を引いている人を見かけた2人は早速治療しようとするが、病院じゃないと言われたので適当に看板を作ってその人を連れてくる。しかしかぜぶくろのことを話すと信用せずに怒って帰ってしまい、次に来た人は顔を見ただけでおたふく風邪だと決め付けてしまったので、また怒らせてしまう。次に来た人を強引に脱がせてしまうが、その人は道を聞きに来ただけだった。だがそのままでいれば風邪を引くなどと2人が言い出したので、またまた怒って帰ってしまう。そこへ友達が連れ立ってやってきた。ジャイアンが風邪を引いてしまい、みんな移されたのだと言う。さっそくかぜぶくろを使ってみんなは風邪を治し、その噂が広まって大繁盛になった。ふくろが一杯になったので2人は終わらせようとするが、そこにジャイアンが駆け込んできて無理やり咳き込んだためにふくろが破れてしまい、ジャイアンはものすごい風邪を引いてしまった。背の丈ほどの鼻水を噴出すジャイアンを見て、あの風邪を自分に移すつもりだったのかとママは2人を叱るのであった。  

 (解説)まんまドタバタギャグの世界で、ストーリーなどあってないようなもんです(笑)。中盤の客相手の騒ぎからオチに至るまでの流れはさすがという感じですね。客に対して『水をぶっかけよう。』などと言うドラの姿は、今見ると返って新鮮に見えて面白いです。
ガチャ子登場   8頁 小一70年5月号
 算数の宿題を見ているのび太だが計算がうまく出来ず、教えようとするドラえもんも間違った答えを教えてしまうので2人は混乱してしまう。そこへ笑いながらガチャ子が現れた。ドラえもんが頼りにならないからやってきたと言うガチャ子にライバル心を持ったドラえもんはどちらがのび太の役に立てるか勝負する事にし、のび太は宿題をやってくれるように頼むが2人はどちらが宿題をするかで揉め始めてしまい、その騒ぎでノートがボロボロになってしまう。
 のび太は次におやつを食べたいと言うが、2人はそれぞれ持ってきたおやつを強引にのび太の口に押し込み、苦しくて涙を流すのび太を見て「ないてよろこんでる」と勘違いしてしまう。ウンザリしたのび太は昼寝をするから邪魔をするなと言うが、それを聞いたドラえもんは「暗くなる電球」を使って部屋を暗くし、ガチャ子は階下にいたママとお客さんの口をふさいでしまい、さらに2人揃ってやかましい子守唄を歌うのでのび太は全然眠れない。挙句にはうるさいとママに叱られてしまう。
 のび太が部屋を出ようとしたので2人はすぐにのび太にお出かけの服を着せてしまうが、のび太はトイレに行くだけだったのだ。だがそれでもそれを聞いた2人は喜んで、今度はなんと便器を丸々持ってきてしまった。さすがに困り果てたのび太は現れたセワシに何とかしてくれと頼み込むのであった。  

 (解説)数少ないガチャ子の登場編ですが、最初期作品ならではのドタバタギャグが全編を占めており、中期以降のドラを知っているとやはり多少の違和感を感じてしまいますが、これはこれで理屈抜きに笑える楽しい作品になっています。この話を読むと「サイバえもん対加賀えもん」を思い出すのは僕だけか(僕だけだって)?
カッカホカホカ   FF22巻 8頁 小五77年12月号
 寒い中で家路を急ぐのび太は、道に突っ立っているオドオドくんに出会った。怒りんぼのおじいさんの機嫌が悪いので家に戻れないと言う。のび太が家に戻ると、家では様々な理由で一切の暖房器具が使えなくなっていた。あまりのことに怒りだしたのび太を見て、ドラえもんは「カッカホカホカ」を取り出してのび太につける。すると怒りのエネルギーが吸い取られ、それが熱エネルギーとなって暖房のように暖かくなってきた。だがエネルギーはすぐになくなったので、ドラえもんはわざとママを怒らせて、そのエネルギーを吸い取った。だがそれでもエネルギーの残量を気にするドラえもんを見て、のび太はオドオドくんの家に向かう。彼と共におじいさんに道具を取り付け、いちいち怒らせてはエネルギーをためるのび太。だがオドオドくんの頼みで、のび太はカッカホカホカを貸してしまう。おかげでのび太達は寒いままで過ごすことになるが、おじいさんを気にする必要がなくなり、明るくなったオドオドくんを見て、二人は喜ぶのであった。  

 (解説)道具を使って誰かを助けるという構図もパターンですが、今話では、のび太は始めからそれを意識しないで行動していたにも関わらず、結果的に助けることになったという点で、若干異なった作風になっています。それにしても、のび太の友人には面白い名前の人が多いですね、ホント(笑)。
かべぬけき   8頁 小一70年12月号
 しずかと遊ぼうと家に向かったのび太だが、なぜか吼えかかってくる犬がいるので入ることが出来ない。助けを聞いてやってきたドラえもんは殴ってやるなどと息巻くが、のび太は犬に見つからないように壁のある場所から入れないかと相談した。そこでドラえもんは「かべぬけき」を出してみた。今まで一度も使ったことがないのでドラえもんが試してみると、簡単に壁をすり抜ける事が出来た。のび太はすぐに借りたがるがドラえもんはもっとテストが必要だと言ってどこかへ行ってしまう。
 板塀で試すドラえもんだが塀の向こうにいた老人を驚かせてしまい、ポストをすり抜けたドラえもんはお巡りさんに注意されるが、今度はドラえもんがそのお巡りさんの体をすり抜けたのでお巡りさんは仰天してしまう。さらにドラえもんはジャイアン達をからかい、家へのお客を案内する時も道具を使ってしまって塀に激突させてしまったためにママに叱られてしまう。ちゃぶ台の下に隠れるドラえもんだがお菓子があると聞いてちゃぶ台をすり抜けて顔を出し、仰天したママと客は気絶してしまった。
 ここでようやくのび太のことを思い出したドラえもんは近道する事にしていろんな家を通り抜け、さらに寝ていた人の腹に落書きまでしてしまって、みんなは怒ってママに抗議する。ドラえもんはママたちに追いかけられて壁の向こうに逃げるがそこはトイレで、ドラえもんは便器の中に落ちてしまった。
 家でおとなしくするよう言われたドラえもんは家に戻って夕食も食べるが、そこに至ってのび太のことをやっと思い出し、しずかの家の前に行くとずっと待っていたのび太が怒り出してしまうのであった。  

 (解説)うーん、「夢中機を探せ」とかの原型と言えばそれまでなんですが、今話のドラはかなり暴れん坊ですね。低学年誌の初期作ではドラも比較的おとなしいのですが、今話では傍若無人に暴れまわっています。さらにドラがこないのでのび太も律儀に夜になってもドラを待ち続けていたりと、なんだか不思議な世界が展開しています。エキストラキャラの様々なリアクションを見るのは楽しいですね。石ノ森先生似のキャラが出ているのはご愛嬌でしょうか。
かみなりだいこ   FF11巻、CC4巻 7頁 小一78年8月号
 空き地でのび太たちが遊んでいると突然黒雲が広がり、雷が鳴り出した。怖がったのび太は土管の中に逃げ込もうとして「頭隠して尻隠さず」の態勢をとってしまったためにみんなに笑われてしまい、さらにジャイアンに驚かされて逃げ回ったあげくにドブに落っこちてしまう。あまりの情けなさに呆れたドラえもんはのび太を雷に慣れさせようと「かみなりだいこ」を出した。これを叩くと雷がなるのだ。大きな音だと怖いのでのび太は始めは小さな雷を出し、次第に雷に慣れていった。のび太はさっき自分をバカにしたジャイアン達を今度はたいこを使って驚かすが、ジャイアンに気づかれたためにたいこを取り上げられてしまう。ジャイアンは家でたいこを鳴らしまくるが、その音があまりにうるさいので母ちゃんが怒り出してしまい、二人はその様子を見て、そちらの「かみなり」の方が怖いと話すのであった。  

 (解説)これは「カミナリになれよう」とほとんど同じ構成で、オチも母親がのび太のママかジャイアンの母ちゃんかの違いしかありません。怖がってドブに落ちてしまうようなのび太の情けなさは笑えますが、絵的にインパクトのあるものが多かった「カミナリに〜」に比べるとちょっと見劣りしてしまいますね。ドラは「雷はただの電気だから怖くない」と言ってますが、雷は電気量が膨大ですから、落ちた時のことを考えるとやっぱり怖いでしょう(笑)。
カメレオン茶   TCS1巻 7頁 小一86年1月号(カメレオンちゃ)
 今日もジャイアン達にいじめられるのび太。『すばやくにげられる道具をだして』と頼んだのび太にドラえもんは「カメレオン茶」を出す。これを飲むと、カメレオンのように色が変わるだけでなく、その物質そのものに、例えば石にくっつけば石になる事が15分間なら出来るのだ。早速ママのお使いをきり抜けたのび太は外へ出て、ジャイアン達をごまかす事に成功する。その時、子犬がおぼれているから助けて欲しいとしずかがやってきた。泳げないのび太は木にくっついて体を木に変えて子犬を助けた。ポストにくっついて真っ赤になったのび太はまたジャイアン達に追われるが、土管にくっついている時にくしゃみをして見つかってしまう。しかし体はコンクリートのままなので、ジャイアン達はのび太を殴って痛がる。のび太はここぞとばかりに自分の体を使って仕返しするのだった。  

 (解説)「周りの色と同化する」という道具は結構ありますが、今回はそれに「その物質そのものになれる」という付加価値までついていて、余計便利な道具になっています。恐らくこれを読んで初めて「木は水に浮かぶ」という事を知った人もいるのではないでしょうか。
「からだねん土」でスマートになろう!   8頁 小五81年6月号
 自分の力こぶを自慢するジャイアンにバカにされたのび太は泣いて家に帰るが、部屋には何故かドラえもんがいない。と思うと、足だけが異様に長くなったドラえもんがいた。ドラえもんは「からだねん土」を使って長い足を作ったのだが、のび太にもからかわれたのですぐに外してしまう。ある考えを思いついたのび太は粘土でいたずらをしてドラえもんをタヌキのようにしてしまい、ドラえもんが鏡を見に行ったスキに、自分の体にもねん土をつけてしまう。自分の姿を見て怒ったドラえもんは、出かけていったのび太を追いかけていく。のび太はねん土で筋肉をつけた体をジャイアン達に自慢するが、スネ夫としずかは後からきたドラえもんに話を聞いて、それぞれのび太にねん土を借り、スネ夫は長い足を手に入れ、しずかは鼻を高くしてしまう。のび太は体につけたねん土を取ろうとするが何故か取る事が出来ず、すぐに転んでしまうスネ夫や鼻をからかわれたしずかも取ってもらおうとするが、のび太にはどうしようもなかった。その様子を見ていたジャイアンはねん土を使ってのび太にある細工を施してしまう。のび太はねん土を外してもらおうとドラえもんを呼ぶが、のび太はジャイアンによってネズミの姿に変えられてしまっていたので、それを見たドラえもんは仰天して気絶してしまうのであった。  

 (解説)「人体改造」系の話にしては大人しめの展開ですが、それぞれが粘土をくっつけた状態の姿はなかなかに笑えます。やはりドラダヌキとのび太ネズミが最高ですかね。特にネズミの方はなかなか上手に出来ており、意外とジャイアンは芸術肌のようです(笑)。あとは、しずかにやたらと豊胸を勧めるのび太も笑えますね。
空手ドリンク   FF12巻 6頁 小一76年8月号(からてドリンク)
 空手家がいくつも重ねたレンガを一気に砕く様子がテレビで放送されていた。テレビ司会者は視聴者に真似しないようにと注意するが、早速真似をしてみたいと考えたのび太はドラえもんに懇願し、ドラえもんは飲むと体が鉄のようになる「空手ドリンク」を出した。早速飲んでみたのび太は試しにパパの日曜大工の手伝いをして、金づちの代わりに手で釘を打ち付けてしまう。これならジャイアンにも負けないと考えるのび太だが、当のジャイアンは空き地でみんなを相手に暴れまわっていた。そこにやってきたのび太はジャイアンをからかってさらに怒らせ、ジャイアンは怒り狂ってのび太を殴りつけるが、鉄のように硬い今ののび太にはまったく通じず、のび太が腕試しにと土管を粉々に砕くのを見て、ジャイアンは逃げ出してしまう。のび太はそれを見ていたみんなにいじめっ子がいたら助けてあげると宣言するが、みんなは特にそんな相手はいないのにのび太はしつこく聞いてくる。そんな時のらイヌに出会ったのび太はわざと犬に自分の腕をかませようとするが、薬の効き目が切れていたためにかまれたのび太は腕を怪我してしまい、そんなのび太を見てドラえもんは『あぶないからみんなはこんなまねやめようね』と、マンガを読んでいる読者に呼びかけるのであった。  

 (解説)短いページながら面白い要素がたくさんあって、個人的に好きな作品です。何より最初の司会者のセリフが伏線になっているという意外な展開が良いですね。読者に呼びかけるというラストも全作品中でも極めて珍しく、それが今話の独自性を引き出しています。「すごい味」と言われた空手ドリンクを一度飲んでみたいもんです(笑)。
カワイソメダル   10頁 小四83年11月号
 空き地で捨てネコを見つけてしまったのび太。しかし家ではどうしても飼うことが出来ないので一旦は走り去るものの、やはりどうしても気になって帰ることが出来ない。悲しそうに鳴く子ネコを見て思わず涙ぐんでしまったのび太は、誰かが拾ってくれるまで待つことにするが誰も拾ってくれず、挙句にのび太が捨てたものだと勘違いされてしまう。そこへ帰りが遅いので様子を見にやって来たドラえもんと出会ったのび太は事情を話し、ドラえもんは「カワイソメダル」をネコにつける。これを身に付けたものを見ると、誰でもかわいそうでたまらなくなってしまうのだ。そこへ突然凶暴なイヌが現れるが、道具の力でネコをかわいそうに思い始め、イヌはネコをあやして去っていった。すると今度はなんとのび太のママが通りかかり、ネコを見つけてそのまま家に連れ帰り、飼うことにしてしまう。喜ぶのび太だがママは帰りの遅かったのび太を叱り、ネコばかりを可愛がる。しかたなく買い物に行ったのび太はしずかに出会い、いっしょに宿題をしようとするが断られ、さらに帰りにジャイアンに殴られてしまい、買い物の卵を割ってしまう。ウンザリしたのび太はネコにつけたメダルを自分につけてしまった。それによってのび太はママに叱られることもなく、しずかやジャイアンにも可愛がられるが、二人があまりにもしつこいのでのび太は思わずメダルを捨ててしまう。ドラえもんも手伝うがどうしてもメダルは見つからず、もうネコは捨てられてしまったのではと落胆する二人。しかし家に帰ってみると、ネコの元の飼い主である少女とその親が、少女が悲しむのでネコを引き取らせてもらえないかと訪ねてきていたのだった。  

 (解説)「のび太は世界にただ一匹」と同じく、メダルをつけたのび太が人間ではなく「動物」として可愛がられてしまう所がおかしいですね。大声で「かわいがる」と宣言するジャイアンには違和感感じまくりです(笑)。オチはいかにもなハートウォーミングエンドでしたが、序盤でネコに同情して涙を流すのび太の姿を描いていて、これがさり気ない伏線になっていると取れなくもありません。



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