未収録作品か行 その2


かわり絵ミラー   FF8巻 8頁 小二76年3月号
 見る位置を変えると見える絵が変化するという絵がくっついている帽子をみんなに自慢するジャイアン。ところがのび太はそんなことで今更喜んでいるジャイアンをバカにしてしまったために、狙われる羽目になってしまう。公園に隠れたままドラえもんを呼んだのび太は助けを求め、ドラえもんは「かわり絵ミラー」を出した。鏡に相手の姿を映しながらスプレーをかけると、自分の姿が相手の姿に変わるのだ。向きを変えることで自分の姿と相手の姿とを入れ替えることが出来るのである。のび太はしずかの姿をもらうことにして帰路につくが、早速のび太を見つけたジャイアンが追いかけてきたので、のび太はしずかの姿になって何とかジャイアンをごまかす。安心するのび太だがそこに先生が通りかかってお説教を始めたので、ここもしずかの姿になって切り抜ける。さらにのび太は今度は先生の姿をもらい、ジャイアンは先生の姿に仰天して教えに来たスネ夫を逆に殴り飛ばしてしまう。スネ夫はのび太を探り始め、道具の秘密に気づいてしまった。先生が実はのび太だと告げられたジャイアンは歩いている先生をバットで殴るが、その先生は本物だったのでジャイアンはきついお叱りを頂戴してしまい、その様子を見たのび太とドラえもんはさっさと家に帰るのであった。  

 (解説)あの「変わり絵」の正式名称というのは一体何なんでしょうね?それはともかく、当時流行ったのかどうかはわかりませんが子供に馴染み深いものを道具の題材にしている点は好感が持てます。先生を殴るというラストのオチも強烈でいいですね。ドラが公園にまで来たのなら、そこからどこでもドアで帰れば良かったじゃないかというツッコミは野暮なので控えるように(笑)。
カンゲキドリンク   11頁 てれびくん82年3月号
 玉夫おじさんからためになる本をもらったのび太だが、本人はマンガの方が良かったと言ってあまり感謝していない様子。しずかが親切心から、のび太の忘れたノートをわざわざ家まで届けてくれても、感謝するどころかおかげで宿題を思い出したと文句を言う始末。その態度に呆れたドラえもんは「カンゲキドリンク」を取り出し、嫌がるのび太に強引に飲ませる。
 するとのび太は本をくれたおじさんへの感謝の念が段々と沸いてきて、たまらず1階にいたおじさんにお礼を言いに行く。のび太のお礼におじさんもママも喜び、のび太はさらにもう一度ドリンクを飲んでからしずかの家に向かう。
 しずかにもお礼を言うのび太だったが、しずかの様子がどことなくおかしいことに気づく。しずかは飼っていた金魚が一匹死んでしまい、落ち込んでいたのだが、それを聞いたのび太は我が事のように悲しんで泣き出し、それをみたしずかものび太の優しさに感激する。
 2人は続けて宿題を始めるが、のび太は何かにつけてオーバーに感動するので、さすがにしずかもやりにくくなってしまう。一時ドリンクの効き目が消えてしまうが、もう一度ドリンクをのみなおしてから宿題を終わらせ、さらにおやつまでもらったためにのび太は大喜びし、道の真ん中でその嬉しさを大声でわめきたてる。そのためのび太の友達は、普段からろくに食べていないから、おやつをもらっただけであそこまで喜んでいると話し出し、それを聞いたママは怒ってドラえもんに相談する。
 ドラえもんはのび太を連れて帰ろうとするが、のび太は道で10円拾っただけで大喜びし、さらにスネ夫から以前落とした自分の100円を受け取ると、あまりの嬉しさに気絶してしまう。結局のび太を抱きかかえながら帰宅したドラえもんだが、家にはインドへ行っていたのび郎おじさんが来訪しており、正月に来れなかったからとしてお年玉を1万円渡そうとしたので、ドラえもんはそれを必死に拒み、止むを得ずのび太を空地へ連れて行く。
 ところが空地で休んでいる2人の所に偶然ジャイアンが現れ、ドリンクを持っていってしまった。やっと目を覚ましたのび太はもう一度ドリンクを飲もうとし、ジャイアンが持っていったことを聞いて、急ぎジャイアンの下へ向かう。
 しかしジャイアンは既にドリンクを全部飲んでしまっており、のび太が返すようせがむと、烈火のごとく怒り出した。感情の変化を何十倍にも感じるようになっているため、怒りの感情も普段の何十倍にもなっていたのだ。2人を追い掛け回すジャイアンだが、その時ふとした弾みで転んでしまい、その痛みも普段の何十倍にも感じたため、ジャイアンは子供のように泣き出してしまうのであった。  

 (解説)大筋は「しあわせカイロでにっこにこ」とほぼ同じですが、ラストのオチの違いからもわかるように、今話はドリンクを飲んだのび太のおかしさ、面白さを中心に据えています。どちらが好みかは個人の判断に委ねるところですが、両作とも存分に笑える佳作であることは言うまでもありませんね。
かんこうりょこうまど   8頁 小二83年11月号
 家族でオランダ旅行へ行ってきた時の録画ビデオを、みんなに見せて自慢するスネ夫。しかしビデオにはスネ夫の顔ばかりが映っていて、肝心の背景がほとんど見えない。
 その頃ドラえもんは、留守番を放って遊びに行ってしまったのび太を探すため、「かんこうりょこうまど」を取り出した。コンピューターが記憶した場所ならば、任意の場所を窓に映し出すことが出来るのだ。ドラえもんはスネ夫の家にいるのび太を見つけ、のび太は空間に突然表示された窓を見て驚き、慌てて帰宅する。
 帰宅したのび太はドラえもんに道具の性能を教えてもらい、早速自慢するためにみんなのところに戻る。一方スネ夫宅での上映会は、ビデオカメラが盗まれてしまい、それ以上の録画が出来なかったとのことでお開きになっていた。そこへのび太が駆けつけ、オランダの風景を見せると言ってみんなを家に招待する。
 ドラえもんは道具を使ってオランダの様々な観光名所を映し出す。それを見てしずかやジャイアンは喜ぶが、横のスネ夫は渋い顔だ。と、観光を続けているうちに、偶然盗まれたスネ夫のビデオカメラが映し出されたため、スネ夫は慌てて窓に飛びついてしまう。当然窓は破れてしまい、それを見たのび太は『もういちどとりにいってくる?』と、にこやかに話しかけるのだった。  

 (解説)この話が掲載された同じ年に、藤子先生はヨーロッパ旅行に出かけており(10月13日にはその旅行についての特番を放送)、その影響が色濃く出ている一編になっています。マドローダムのシーンで、どこかで見たような2人組が登場しているのはご愛嬌と言うものでしょう(笑)。道具の楽しさもさることながら、ラストののび太の洒落たセリフも心地よい佳作です。
がんじょうぐすり   9頁 小二70年12月号
 ある日突然、きらわれよさぶろうと名乗る隣町の中学生が空き地に現れ、のび太達を子分にすると言い出した。もちろんみんなは嫌がるが、柔道や空手などを使ってジャイアンまでも痛めつけてしまうよさぶろうの姿を見て、みんなもすぐに言いなりになってしまう。脅されて大人に知らせることも出来ず、困ったのび太はドラえもんに相談する。ドラえもんはのび太がやっつければいいと言って「がんじょう」という薬を出した。これを飲むと体が鉄のように硬くなるのだ。
 のび太はなおも強権を振るうよさぶろうの前に現れて勝負を挑もうとするが、薬を飲んでいるにも関わらず、相手の迫力に圧されてのび太は逃げ出してしまう。その後をドラえもんが慌てて追いかける。薬の効き目は10分しか持たないのだ。よさぶろうはみんなにのび太を探すよう命じ、のび太もやがて落ち着きを取り戻し、よさぶろうの元へもどるが、そうとは知らないドラえもんは必死にのび太を探していた。みんなは向かってくるのび太を逃がそうとするが、スネ夫はよさぶろうに取り入るためにのび太のことを教えてしまう。
 効力が切れていると走らないのび太は、チョップを一発食らって倒れてしまうが、そこへ間一髪駆けつけたドラえもんが口の中へ薬を投げ込み、何とかのび太の体を硬くすることに成功した。何をやってものび太にダメージを与えられず、自分が痛くなるだけになってしまったよさぶろうはついに降参して退散して行った。と、スネ夫は掌を返したようにのび太を賞賛して胴上げしようとするが、のび太の体が鉄になっているために重く、スネ夫はのび太の体に潰されてしまうのであった。  

 (解説)同様のパターンの話は本当にいくつも存在していますが、今話はそれら類似系作品の原点となっている話です。共通しているのは、本来の日常にとってはイレギュラーな悪人が現れて世界が乱され、それを「ダメなやつ」で通っている少年が対峙するという構図です。決して本人が悪いわけではないですが、世間にはどうしてもヒーローになれない子供がいることも事実であり、そういった子供たちがヒーロー願望を持つのは、いつの時代にも共通した夢なのかも知れません。その夢を叶えるという点から、何度も同一コンセプトの話を作ったのかもしれませんね。
かんせいウェーブ   7頁 小二80年11月号
 珍しく机に向かって勉強をしているのび太。しかし算数の問題をたった一問解いただけで、くたびれたと言い止めてしまう。続いて写生を行うがこれもすぐに止めてしまい、本棚の整理を始めてもすぐに飽き、外へ遊びに行こうとする始末。呆れたドラえもんがのび太を取り押さえた時、ママの困惑した声が聞こえてきた。
 パパから忘れ物を会社に持ってきて欲しいと電話が来たのだが、ママは夕食を作っている途中だったのだ。それを聞いたドラえもんは自分に任せろと言ってママを出かけさせ、それから「かんせいウェーブ」を出した。この道具を使うと、やりかけていたことを最後まで自動的にやってくれるのだ。これを使ってドラえもんは途中だった夕食の準備をやり終え、のび太も早速道具を借りて部屋の片付けや写生をすませてしまった。さすがにドラえもんも宿題にまでは道具を使わせなかったが、結局道具は借りたままでのび太は出かけていってしまう。
 のび太は庭掃除をしているしずかを、道具を使って手助けしてやる。続いて空地へ行くと、スネ夫がジャイアンの悪口を言っているところだったが、そこへ当のジャイアンが現れたので、スネ夫は途中で話を止めてしまったが、のび太が道具を使ったためにスネ夫は最後までジャイアンの悪口をしゃべってしまい、影で見ていたのび太も慌てて逃げ出してしまった。
 家に帰ったのび太はドラえもんの目を盗んで、道具を使って宿題を完成させてしまうが、完成した宿題は答えが全部間違っていた。やりかけの分が間違っていたため、最後まで間違えたままで完成してしまったので、のび太は結局すべて書き直す羽目になってしまうのであった。  

 (解説)てんコミ収録分で言えば「つづきをヨロシク」のような話と言ったところでしょうか。こちらではページ数の都合もあって、道具による騒動が細かく描かれているわけではないのですが、話の締め方ももちろん、なぜか土管の中にスタンバっていたジャイアンなど、要所でツボを押さえた笑いの演出が冴えていますね。
完全しゅうせいき   TCS4巻 7頁 小二82年7月号(かんぜんしゅうせいき)
 部屋で昼寝をしていたのび太は、ママから宿題をするようにときついおしかりを受けてしまう。しかし今日の宿題は算数に作文に図画と、いつにも増してたくさんあるので、のび太はまったくやる気を出さない。それでもドラえもんに無理やり起こされてまずは算数からやり始めるが間違えてばかりではかどらず、作文を書いても何を書くかで悩み、決まったら決まったで二行ほどで終わってしまう。図画の宿題は友達を描いてこいというものだったので、のび太はドラえもんで間に合わせる事にするが、出来上がった作品はとんでもなく不細工だったのでドラえもんは怒り、「完全しゅうせいき」を出した。この中になおしたいものを入れて3分待つと、どんなものでも綺麗に直してくれるのだ。のび太の絵を直してみると、今度はやけに美化されたドラえもんの絵が出てくるが、当人はそれで満足する。面白がったのび太は道具を持ってしずかの家に行ってしまい、怒ったドラえもんはあとで宿題の事で泣きついて来ても助けてやらないと決めてしまう。のび太はしずかを絵に描こうとするが、しずかの家に先に来ていたスネ夫がのび太をバカにするので、のび太は道具を使ってしずかの綺麗な似顔絵を完成させる。だがスネ夫は納得できず、ジャイアンにその事を話して、ジャイアンをモデルに絵を描いてもらう事にする。しかしジャイアンの絵も綺麗に出来上がったので、逆にジャイアンはのび太の味方になってスネ夫をぶっ飛ばしてしまった。その噂は広がって、のび太の周りには自分を可愛く描いて欲しい女の子達が集まってくる。結局のび太が帰ってきたのは夜になり、宿題が終わっていないとドラえもんは慌てるが、のび太は算数と作文の宿題も機械にかけ、綺麗に修正してしまうのであった。  

 (解説)今話の見所はやはり修正された似顔絵のドラ、しずか、ジャイアンですかね。しずかは予測の範疇とは言え、異常なほどにカッコよくリニューされてしまったジャイアンは、かの名作「木こりの泉」みたいで爆笑です。ドラも足は長いわ鼻は高いわと、まるでどこかの宇宙人みたいな風体になっていて、こちらも笑える事必至ですね。作文と図画の宿題に苦労するのび太には、少しだけ僕もシンパシーを感じてしまったりして(笑)。なお、今話はラスト1ページのほとんどのペン入れをたかや健二氏が行っています。…って、見りゃわかるか。
記憶とり出しレンズ   10頁 小五、六90年10月号
 先生が、今学期の宿題の中からだけ問題を出すテストを行うと話した。今までの宿題を覚えるだけなので、のび太も喜んで覚えはじめるが、記憶力が悪いためか、なかなか覚えられない。ドラえもんに頼もうと思っても、それを見越したドラえもんは部屋を出ていってしまう。仕方なく一人で勉強を始めるが、今度は色々な客が来て集中することが出来ない。のび太は客を全て追い返してしまうが、帰ってきたママに誰が来たのかを聞かれ、困り果ててしまう。そこへ戻ってきたドラえもんは「記憶とり出しレンズ」を出し、のび太の目につけさせる。のび太が思い出したいことに集中すると、お客の顔が次々とレンズに映り始め、最後にやってきた婦人を壁に投影してママに教えた。一計を案じたのび太はドラえもんをドラやきの特売に行かせ、そのスキにレンズを使って宿題や本屋のマンガを覚えてしまう。ドラえもんにマンガを見せることでレンズの事をごまかしたのび太だったが、翌日のテストは何故か0点だった。覚えていった宿題が間違いだらけだったのである。  

 (解説)のび太って、そんなに宿題してたのかしら(笑)?それはともかく、最後のオチももちろん、野比家に現れる変な客(『あなたは神を信じますか?』の人は最高!)や、孤独をかみしめて陰影が強調されたり、例によってイヌのように吼えるのび太など、全編に笑いが溢れている楽しい作品です。
逆重力ベルト   10頁 小六86年2月号
 木登りがどれだけ早いかを比べるのび太達。しかし木登りの出来ないのび太は理由をつけて家に戻り、ドラえもんに助けを求める。ドラえもんは「逆重力ベルト」を出した。ダイヤルの矢印の向きを変えると、かかる重力の方向を変えられることが出来るのだ。なんとか木に登れるように練習を繰り返し、うまく出来るようになったのび太は早速ジャイアン達に披露して二人を驚かせる。のび太はもう一つのベルトをしずかに貸して楽しく遊ぶが、それを見つけたジャイアン達に取り上げられてしまう。ベルトをつけたジャイアンは降り方も聞かずに飛び上がってしまい、それを聞いたドラえもんは仰天し、そのままでは宇宙の果てまで飛んでいってしまうと叫ぶ。だがそれはドラえもんの冗談で、実際は安全装置のおかげで、高度千メートルの地点で止まっているのだった。  

 (解説)空を「飛ぶ」のではなく「跳ねる」という感覚で飛び回るのは、結構新鮮な感覚ですね。最高学年誌らしく、のび太が木登りを成功させるためのプロセスやベルトの操作方法などが、わかりやすく解説されています。宇宙に飛び出たジャイアンの想像図がマヌケで笑えます。
キャンプ   7頁 小一73年8月号
 スネ夫にキャンプに行ったという話を聞かされたのび太は、自分たちも空き地でキャンプをしてみようとジャイアン達に提案するが、それぞれ子供だけでは危ないと親に注意されてしまい、とてもキャンプができる状況ではない。相談を受けたドラえもんは「テントハンカチ」をポケットから取り出した。引っ張って大きくなったものを畳むとテントになるのだ。
 ドラえもんは他にも熱くない「あんぜんはな火」や「あんぜんたき火」、周囲を暗くしてしまう「よるランプ」を出して、本物のキャンプの雰囲気を出してくれた。さらに「火にかけなくてもにえるおなべ」でご飯を作り、花火で楽しく遊んだみんなは一休みして眠る。しかし目が覚めてみると本当の夜になってしまっていたので、みんなはドラえもんの出した「ひるランプ」で周りを明るくして遊ぶ事にするのであった。  

 (解説)低学年誌の掲載作品の方が、道具中心に展開していくという物語構造を早い時期から見出していたという良い例ですね。道具を使ってキャンプをどんどん便利に、そして楽しくしていくという展開は、子供の願望にストレートに応える形になっていて気持ちいいですね。
九かんマイク   6頁 小一81年4月号
 新しく飼い始めた九官鳥をみんなに見せるスネ夫。しかし九官鳥はスネ夫を褒める内容の言葉しか話さないので、のび太達も呆れてしまう。
 のび太がそのことを話しても、当然ママは生き物を飼うことは許さず、話を聞いたドラえもんは「九かんマイク」を出してみた。それを使えばどんな動物にも言葉を覚えさせることが出来るのだが、のび太の家には飼っている動物が何もいない。2人が悩んでいる時、どこからか2人の話した言葉と同じ言葉が聞こえてきた。近くにいたゴキブリが言葉を覚えてしまったのだ。
 困った2人はしずかに相談し、しずかは何かを思いついたようで、菜の花畑へ向かう。そこでしずかはチョウに向かって「ちょうちょ」の歌を教え、町のみんなも歌を歌うチョウを見て驚く。
 それを見たジャイアンはのび太からマイクを取り上げ、飼っている犬に言葉を覚えさせようとするが、ちょうどその時に母ちゃんに叱られてしまい、その際の謝っている言葉を犬が覚えてしまい、犬はその言葉ばかり言うようになってしまったので、ジャイアンも恥ずかしがってしまうのであった。  

 (解説)個人的にはなかなか面白い道具だと思うのですが、話としては別段ひねりのある部分もなく、オーソドックスにまとめられています。従って可もなく不可もない内容になってしまっていると言うのが、正直なところですね。ジャイアンの飼っている犬はムクと言う名前で、今回登場している飼い犬もムクの顔なのですが、なぜか名前を呼ばれないのには、何か理由があるのでしょうか?
恐竜がやってきた   8頁 小一70年6月号
 本に載っている恐竜を実際に見てみたいと憧れるのび太。それを聞いたガチャ子はタイムマシンでどこかへ行ってしまうが、気にしないドラえもんは自分がタイムマシンで恐竜を見てきたことをのび太に話す。するとそこにガチャ子がなんと本物の恐竜を連れてきてしまった。だが慌てたドラえもんにバカと言われて怒ったガチャ子は未来へ帰ってしまい、2人は恐竜を置いて外へ逃げようとするが、恐竜もあとをついてきてさらに腹が減ったのかどんどん機嫌が悪くなっていく。
 のび太は急いでパンを買いに行くが、そこに現れたスネ夫は恐竜をぬいぐるみと勘違いして蹴っ飛ばしてしまい、怒った恐竜はスネ夫をつかまえて食べようとするが、パンを持ったのび太が駆けつけたので事なきを得る。しかしパンは恐竜には到底足らず、しかし2人はもうお金を持っていなかったので怒った恐竜は2人を追いかけ始めてしまう。その時スモールライトの存在を思い出した2人は恐竜を小さくして、なんとか元の時代へ戻す事に成功した。
 その後、テレビで幽霊を見ていた2人が幽霊は本当にいるのか話をしていると、それを聞いたガチャ子が幽霊を探しに行こうとしだしたので、大慌てでガチャ子を止めるのび太とドラえもんであった。  

 (解説)ページ数のためかどうかはわかりませんが、いまいち恐竜が脅威として描かれていないので迫力に欠けてしまいますね。ラストはドラ作品にしては珍しいタイプの終わり方ですが、ちょっと締めとしては弱いかなと言う感じもします。しかしガチャ子の相変わらずの傍若無人ぶりや意外に無鉄砲な行動をとるスネ夫などは見所ですかね。
きりがみクレヨン   7頁 小一準備号78年春の号
 紙相撲の人形を作ろうとするのび太だが、なかなかうまく型どおりに切ることができない。そこでドラえもんは「きりがみクレヨン」を取り出した。これを使って紙に絵を描くと、勝手に絵が飛び出してきて、しかも動き出すのだ。
 早速クレヨンで人形の絵を描いてみると、人形は紙から飛び出して相撲をとり始めた。さらに小鳥を書くと本物そっくりに飛び出してさえずり始める。
 喜ぶのび太はみんなにクレヨンを見せに行こうとするが、運悪く雨が降り出してしまった。そこで今度は太陽を紙に書き、それを宙に浮かべることで、自分たちの周りだけ晴天の状態にして外に出かける。雨の上がった空地でみんなにクレヨンを見せたのび太は、花や馬、ヘリコプターなどを自在に描いて楽しく遊ぶ。
 しかしそれを目撃したジャイアンが強引にクレヨンを奪い、塀に大きくゾウの絵を描いてしまう。すると当然ゾウは塀に穴をあけて抜け出し、ジャイアンを鼻で持ち上げてしまい、さらに穴を開けられた家のおじさんが出てきて怒り出してしまうのであった。  

 (解説)道具の効能をメインにした、明快でほのぼのとした雰囲気の話ですね。こういった話の場合、最後まで楽しい雰囲気のままで終わるのがほとんどなのですが、今回は乱入したジャイアンがひどい目にあうという、小一掲載作にしてはちょっと違った終わり方になっています。ちなみに今回、のび太の絵が上手なのはクレヨンの効力によるものです(笑)。
きんとフード   FF29巻、CC6巻、TCS4巻 9頁 小二80年4月号
 夜、テレビを見ていたのび太は遅刻するから早く寝るようにとママに叱られてしまう。のび太はテレビ番組に出ていた孫悟空が乗っているきんと雲のようなものがあれば遅刻しないと言い出すが、ドラえもんはきんと雲に乗るのは難しいと言い返す。ドラえもんが言うにはきんと雲は高山に住んでいる珍しい生き物だというのだ。それを聞いたのび太は早速きんと雲を捕まえることにし、どこでもドアで高山に向かう。早速雲に乗ろうとするが、それは普通の雲だったのでのび太は危うく落ちそうになってしまい、ドラえもんはきんと雲のえさとなる「きんとフード」を取り出した。これを置いてからはきんと雲が来るまで待つしかないというのだ。のび太も待つことにするが雲の変わりにクモが現れたので思わず大声を出してしまう。そのうち待つのにも飽きたのび太は眠ってしまうが、その時ようやくたくさんのきんと雲がえさの周りにやって来た。二人は苦労してようやく一匹を捕まえて家に帰る。そして翌日、早速寝坊してしまったのび太はきんと雲で学校に行こうとするが、まだ乗りなれていないのでうまく乗りこなす事が出来ず、結局学校には昼頃に着いてしまった。のび太はそれからも練習を重ねてようやく乗りこなす事が出来るようになったが、今度はジャイアンにうまく騙されてきんと雲を取られてしまう。しかし親の雲がジャイアンの家に現れ、子供を連れて行ってしまうのであった。  

 (解説)かつての作品ではオバケやツチノコを現実の動物として存在させた事がありましたが、まさかきんと雲までも実在の動物にしてしまうとは驚きです(笑)。雲を待っていてクモが出てきたり、きんと雲を捕まえる時にのび太が間違えてドラに投げ縄をかけてしまったりと、細かい笑いどころもきちんと設定されていますね。
キングコング   FF13巻、CC4巻 6頁 小一76年11月号(キングコングだぞ)
 ジャイアンやしずかとハイキングに出かけたのび太とドラえもん。ジャイアンは荷物が重いので悪戦苦闘するが、のび太達は荷物を持っていないにも関わらず、たくさんの荷物を持ってきたとわけのわからないことを言う。二人はサルと競争しながら進むがジャイアンがダウンしてしまったのでそこで昼食をとることにする。のび太はポケットから小さな袋のような物を取り出した。これはスモールライトで小さくした二人の荷物で、二人は荷物を元の大きさに戻してご飯を食べようとする。ところがそれを見たジャイアンが自分の弁当も大きくしようとしてライトを浴びせるが、ちょうどつまみ食いしようとしていたサルに照射されてしまい、サルはまるでキングコングのように巨大化してしまう。4人は必死に逃げるがジャイアンが掴まってしまい、舌で舐められて体中がベトベトになってしまう。だがサルが落としたのでとりあえず逃げることが出来たが、草むらに落ちてしまったので体中に草がついてしまった。ジャイアンはドラえもんのアドバイスで、ライトを使ってサルを元の大きさに戻そうとするが、サルにライトを取上げられてしまう。しかし偶然ライトの光を浴びたジャイアンは巨大化してしまった。サルを退治するジャイアンだが、後日その様子を撮った写真を見せられたスネ夫はキングコングが二匹も出たのかと驚き、いつの間に写真を撮ったのかとジャイアンは怒ってしまうのであった。  

 (解説)今話に登場したスモールライトは現在とはちょっと設定が異なっており、もしかしたらそれが未収録になった原因かもしれません。大きなジャイアンやサルが出てくる関係上、構図が自然と立体的なものになるので見ていて楽しい作品になっています。サルの顔がジャイアンに似ているのはラストのオチへと繋げるためでしょうね(笑)。
空気クレヨン   TCS4巻 7頁 小一81年6月号(くうきクレヨン)
 空き地の木に苦労して展望台を作ったのび太とドラえもんは早速そこに上がって眺めを楽しむが、それを取り上げようとジャイアン達が木を揺らしてきたので、二人は仕方なく展望台を降りてしまった。のび太は自分の家の木で展望台を作ろうと考えるが、庭にある木ではとても展望台を作れそうもない。そんな時、のび太は立てかけてあったハシゴにぶつかってしまい、ハシゴは倒れて折れ曲がってしまった。ハシゴは屋根に上がっていたパパが使っていたもので、パパは降りられなくなってしまう。そこでドラえもんは「空気クレヨン」を出し、空気中にハシゴの絵を描く。するとそれが実体化して本物のハシゴのようになり、パパはそれを使って降りてくる事が出来た。のび太も早速クレヨンを借りて描き始めるが、描いてみた太陽が風で飛ばされてママにぶつかり、ママを熱がらせてしまう。それからものび太はクレヨンで色々描くが、絵の下手なのび太が描いているので思い通りの絵にならず、イヌを描いたつもりでもネコになってしまい、本当にネコを描こうとしてみたらなんとトラになってしまった。トラに追いかけられる二人は空き地にまで逃げ込み、そこでドラえもんが「空気消しゴム」を出してトラを消す事に成功した。そこへ通りがかったしずかにのび太はクレヨンの事を説明すると、しずかは空気中に階段を描き始め、三人は空気の階段を使って空高く上っていく。それを驚いて見つめるジャイアン達。三人はさらに空中にお城のような展望台を作るが、ジャイアン達は今度はその展望台を奪い取ろうと階段を上っていく。しかし展望台についてみると三人は既におらず、三人はクレヨンで描いた飛行機に乗って、ジャイアン達が上ってきた階段を消そうとしていたのであった。  

 (解説)今話の道具自体は結構最初の頃から登場している道具ですが、今話ではさらに「描いたものを実体化させられる」という付加価値をつけて、新たな魅力を引き出しています。そのために、ただ絵を描いて楽しむという単調なストーリーではなく、メリハリの利いた動きある話になっていますね。しかし、野比家に置かれているハシゴはのび太にぶつかったくらいで「くにゃ」と曲がってしまって、かなりヤワですね(笑)。
空気手ぶくろ   CC5巻 7頁 小一79年7月号(空気ベッド)
 部屋の中で宙に浮かんでいるドラえもんを見て驚くのび太。しかしそれはドラえもんが自分で作った空気ベッドに乗っていただけであり、特別なメガネをかけて見ると、空気でできたベッドをはっきりと見ることが出来た。これは「空気手ぶくろ」で作られたもので、これを使うと空気を粘土のように使って、色々な物を作る事ができるのである。
 のび太は早速滑り台を作って遊び、さらに棚の上のものを取ろうとするママに踏み台を作ってやる。今度は空き地に遊び場を作る事にし、しずかにもメガネを貸して、出来上がった空中の遊び場で3人で楽しく遊ぶ。しかしそこへジャイアンが現れておどかしてきたので、ドラえもんもメガネを渡さず、ジャイアンは登る事もできず、空気の壁に当たってたんこぶをたくさん作ってしまうのであった。  

 (解説)空気を材料にしている点では「空気ブロックせいぞうき」に近いのですが、ニュアンスとしては「水加工用ふりかけ」により近いですね。粘土のように作ったものをどうやって固めているのかについては、あまりつっこまない方がいいでしょう(笑)。低学年誌作品には「粘土」が出てくることが結構あり、読者である子供に親近感を持たせることにも貢献していますね。
空気ブロックせいぞう機   7頁 小三79年3月号
 のび太が部屋に戻ると、ママが机の引出しを勝手にいじっていた。ママはガラクタいっぱいの引出しを見てきちんとするようのび太に注意するが、のび太はママが0点の答案を探していた事を見抜いていた。話を聞いたドラえもんは隠すのが悪いと注意しながらも、部屋の中に壁を作るために「空気ブロックせいぞう機」を出した。使って見せると機械だけが作業音を出すが、何が出来ているのかまったくわからない。言われた通りにのび太がドラえもんに近づくと、目に見えない何かにぶつかってしまった。道具で作った目に見えない空気のブロックがあるのだ。
 これを使って壁を作ったのび太はわざとママを呼びつけるが、ママは壁にぶつかって机に近づく事が出来ない。そこでママは部屋の外で待ち伏せする事にしたが、のび太はブロックを使って窓から脱出する。それからも自分をバカにしたスネ夫やジャイアンをブロックでやっつけ、のび太はさらにブロックの階段を作って高く上り始める。
 ものすごい高さにまで上ったのび太はそこからの景色を満喫するが、トイレに行きたくなったので降りる事にする。しかしブロックは見えないのでゆっくりと位置を確認しながらおりなければならず、30分経っても半分しか降りる事が出来ない。結局のび太は我慢できずにもらしてしまい、それを遠くから眺めるしずかは、雨を降らせる実験をしているのかと勘違いしてしまうのであった。  

 (解説)ぬう、まさかこの種の話で下ネタをオチに持ってくるとは、F先生恐るべし(笑)。階下に降りられなくてもらしてしまうと言うオチ自体は「四次元たてましブロック」と同じで、なおかつこちらの方が少し地味なのが未収録になった原因でしょうか。それでもブロックを使って空を「歩く」のび太の姿は、F先生ならではの図だと思います。スネ夫が「長い長いお正月」で使われた「町一番のダメ男」というフレーズを使ってくれるところはマニア泣かせですね(笑)。
空想レンズ   FF10巻、CC1巻 7頁 小二77年10月号(空そうレンズ)
 小さな子供をバカにしているスネ夫。その子は月にはウサギがいると信じているのだが、それを否定するスネ夫と口論になっていたのだ。のび太が優しく諭しても信じない子供の態度に怒ったスネ夫は望遠鏡で確認することにし、ウサギがいなかったらゲンコツ三つという約束を取り付けてしまう。子供は家に帰って祖母に問いただすが、祖母からそれはおとぎ話だということを聞かされてショックを受ける。のび太の話を聞いたドラえもんはスネ夫のやり方に怒り、「空想レンズ」を出した。昔の人が空想したものを、このレンズを通して見ることができるのだ。のび太の望遠鏡にくっつけて雷雲を見てみると、雲の中に雷様が見え、虹を見てみると虹の橋を見ることが出来た。早速のび太はスネ夫たちの所に向かう。子供は真実を知ってもウサギはいると言い張るが、そのスキにのび太がレンズを望遠鏡にくっつける。望遠鏡で月を覗いてみると本当にウサギがいたので、スネ夫のほうが仰天してしまった。翌日ジャイアンやしずかにその事を話すが信じてもらえないスネ夫はのび太に同意を求めるが、のび太もその事を否定したのでスネ夫はジャイアン達にバカにされ、その場を笑いながら立ち去るのび太とドラえもんであった。  

 (解説)ある意味「具象化鏡」にも通じる、「非現実の具象化」というテーマを扱った道具ですね。子供に夢を与えるという点では秘密道具の真髄を行っている道具だと思います。話としては子供相手にやたらムキになるスネ夫や、のび太の望遠鏡を『あの安物のぼろっちいやつ』と酷評するドラがいい味を出してますね。
空中つりセット   7頁 小一82年12月号
 のび太が出かけようとしていた時、家にお客さんがやって来た。お客の履いていた靴は素敵だとママはほめるが、のび太はさして興味を示さずに遊びに行く。しかししばらくして戻ってくると、お客の靴が片方なくなっていた。のび太が開けっ放しで出て行ったため、イヌが持っていってしまったのだ。
 のび太のだらしなさを注意するドラえもんだが、放っておくわけにも行かないので、「空中つりセット」を出し、その中の「くもボート」を出して空へ上がる。「空中つりざお」の針であり、くっついたら離れない「なんでもじしゃく」にもう片方の靴をつけ、糸を垂らして靴を持って行ったイヌが現れるのを待つ。しばらく経って大物が引っかかったが、それは偶然通りがかったジャイアンだった。怒るジャイアンだがそれはとりあえず放っておき、ドラえもんはお客が帰らないように家に戻る事にする。
 のび太はそれからも釣りを続けるが、まったく関係ない人ばかりが連れてしまう。家ではお客が帰ろうとしていたので、ドラえもんは慌ててジグソーパズルを勧め、何とか事なきを得る。しかしのび太が昼寝をしていたスキに糸が切れてしまい、もう片方の靴もなくなってしまった。さすがにドラえもんも怒ってどこかへ行ってしまい、さらにそこにジャイアンが現れるが、ジャイアンはお客の靴を両方とも持っていた。なんと靴を持って行ったのはジャイアンの家のイヌで、それを聞いたのび太は安堵するのであった。  

 (解説)今話は扉ページ以外は、当時のチーフアシスタントだったたかや健二氏がペン入れを行っています。さてお話の方ですが、道具の使用法にちょっと無理がありますね。靴をエサにして釣りをしても、目当てのものが釣れるとは限らないので、不確実性が高すぎます。もっともそれを生かしてジャイアンを話に絡ませ、オチへの伏線を張っているわけですから、決して無意味と言うわけではないんですけどね。
空中フック   CC6巻 10頁 小二81年7月号
 部屋でのんびり昼寝をするのび太だが、ドラえもんがドタドタ出入りしたり、外で遊ぶようママに注意されたり、その他色々な騒音が飛び込んでくるので、ゆっくり眠ることが出来ない。
 うんざりして外に出たのび太は、自宅の庭にハンモックを吊って寝ているスネ夫を見かけ、自分もハンモックで寝ることを思いつくが、のび太の家ではハンモックを吊るせるだけの太い木がない。そこでドラえもんは「空中フック」を出した。空中のどこにでも固定することが出来るフックで、のび太はこれにハンモックを吊るして寝ようとするが、それでも騒がしいのでやはり寝ることが出来ない。
 いい場所を求めてしずかの家へ2人が行ってみると、しずかはカナリヤを狙っているネコを追い払っていた。そこで2人は空中フックを使ってネコの飛びつけない高さに鳥かごを吊るし、ついでに洗濯物がいっぱいと言うので、フックで簡単な物干しも作ってやる。
 名案を思いついたドラえもんはのび太と一緒に学校の校庭へ出向き、そこで「空地じゅうたん」を広げ、じゅうたんをフックにつないでフックを高い場所にくくりつけ、じゅうたんごと高所に引き上げて、ちょっとした空中の空地を作り上げた。
 やっとのことでのんびりと寝られるようになったのび太だが、ドラえもんがフックと「自動ブランコ」で遊んでいるのを見て遊びたがり、さらにドラえもんは「空中ふみだい」とフックを用いてターザンごっこまで始め、一緒に遊び始めたのび太だが、弾みで落ちそうになってしまい、「あんぜんネット」で助けてもらう。
 トイレに行きたくなったのび太はドラえもんに、地上と行き来できる階段を作ってもらうが、階段を使ってたくさんの子供達が上がってきて遊び始めてしまったので、のび太はまたもや静かに寝ることが出来なくなってしまうのであった。  

 (解説)「空中フック」という1つの道具をキーとして、様々な遊びを生き生きと描いているのが印象的ですね。常に寝場所を求めているのび太の態度がオチへの伏線になっているわけですが、ラストのコマにつながる過程がさっぱり省かれているために、オチが若干唐突な印象を受けるのが残念でした。
空中を泳がせるくすり   2頁 小一72年12月号
 パパがたくさんの魚を釣ってきたので魚を飼いたいと頼むのび太だが、のび太の家には魚を飼うだけの池も水槽もないのでどうしようもない。そこでドラえもんは「空中を泳がせるくすり」を出した。これを魚に塗ると空中を泳げるようになるのだ。のび太に懐いたたくさんの魚たちを連れてのび太は散歩に出かけ、それを見てみんなは驚くのであった。  

 (解説)内容的には「空飛ぶさかな」とほぼ同じなのですが、こちらは明確なギャグオチをつけるのを避けて道具の効能だけをストレートに描いています。のび太が魚に「ポチ」とか「ペス」といった名前を付けているのも楽しいですね。
クエーヌパン   FF10巻 4頁 小三75年4月号
 揚げたてのソーセージをうまそうに食べるのび太だが、どこからかやってきたジャイアンに食べられてしまう。ジャイアンはその後もスネ夫が食べようとしていたケーキを食べてしまい、そんなジャイアンの迷惑行為にみんなも怒り出す。話を聞いたドラえもんは「クエーヌパン」を出してみた。のび太は思わず食べてしまおうとするが、これは太りすぎの人のためのパンで、これを食べるとしばらくは口が食べ物を跳ね返してしまうのだ。早速パンを食べたジャイアンは友達からマメやトウモロコシを奪おうとするが、食べようとすると食べ物が勝手に飛んでいってしまう。家に帰ったジャイアンがご飯を食べようとすると食事が逃げていってしまうので、ジャイアンは食器ごと抱え込んでイヌのように食べだすが、ご飯が口の中から飛び出していってしまい、一緒にいたジャイアンの両親がそのご飯を顔中に浴びてしまうのであった。  

 (解説)ジャイアンに「食いしんぼ」という設定を与えた稀な作品ですが、今話のジャイアンの食欲はものすごいものがありますね。匂いをかぎつけて友達の食べ物を食べ歩いていくなんて、まるでどこかのオバケのようです(笑)。それに対するクエーヌパン効果も面白く、飛び出したご飯まみれになるジャイアンの両親などはその最たるものと言えるでしょう。
くすぐりノミ   FF2巻 9頁 小二70年9月号(くすぐりのみ)
 のび太の家の近くにはものすごく顔が怖いおじさんが住んでおり、そのおじさんが子供を捕まえて外国の人に売りさばいているという噂まで立っていた。しずかからその事を聞かされたドラえもんは一笑に付すが、そのおじさんにのび太が捕まってしまったというので放っておくわけにも行かず、ドラえもんはそのおじさんの敷地内に潜入する。しかしおじさんのものすごく怖い顔を見て仰天してしまい、慌てて逃げ帰ってしまう。あの怖い顔を何とかしようとドラえもんは、たかるとどんな人でも笑わせられる「くすぐりノミ」を出すが、取り出した途端にドラえもんにたかったために大笑いしてしまい、しかも小さいのですぐに逃げてしまった。ドラえもんはノミを追いかけるが、ノミは知り合いの悲しい話を聞いていたママにたかって笑わせたため、知り合いは泣き出してしまう。それからもノミは出前中の蕎麦屋やイヌにたかって手当たり次第に笑わせていき、ドラえもん達は笑っている人を見かけてノミを取り戻そうと掴みかかるが、その人はラジオを聞いて笑っていただけだった。それでもやっとノミを見つけたドラえもんは、ノミが取り付いたネコごと持っていくことにする。一方のび太は例のおじさんから悲しい秘密を聞かされていた。おじさんは本当は心の優しい人だが寂しがり屋で、子供達にも自分の家の庭で遊んでもらいたかったのだが、みんな自分の怖い顔を見てすぐに逃げてしまったと言うのだ。のび太は腰を抜かして逃げられなくなったのでおじさんの話を聞くことが出来たわけである。さて、事情を知らないドラえもんはおじさんにノミをたからせようとするが、くすぐりノミと一緒にネコについていた本物のノミも大量にたかってしまい、ノミをとることが出来なくなってしまう。その際あまりに笑いすぎたのでおじさんの顔が怖くなくなってしまい、おじさんの素顔を知った子供達はおじさんと一緒に仲良く遊ぶのであった。  

 (解説)途中まではくすぐりノミによるドタバタ劇を描いていてさすが初期作だと思わされますが、ラストにはなんともハートウォーミングな結末が待っていました。この時期の低学年誌に掲載された作品は、こういうほのぼのとしたオチを迎える作品も結構あり、そういう意味ではドラの持つ可能性の一端を早くから描いていたと言えるでしょう。後に同じような骨子でリメイクされますが、そちらは純然なギャグ作品として完成しており、比べてみるのも一興だと思います。
くすぐりノミ   FF9巻 6頁 小二76年6月号(くすぐりのみ)
 パパと一緒に映画に行く約束がパパの都合でダメになってしまったため、のび太はひどく落ち込んでしまう。ドラえもんが元気づけてもまったく効果なく、そこでドラえもんは「くすぐりノミ」を出す。これにたかられるとくすぐったくて笑い転げてしまうのだが、ノミがドラえもんにたかったのでドラえもんは笑い転げてしまい、事情のわからないのび太は家を出てしまう。不機嫌な表情で歩くのび太だが同じく不機嫌なジャイアンに因縁をつけられてしまう。しかしそこに現れたドラえもんから移ったノミがジャイアンにたかり、ジャイアンはひとしきり笑うと気分良く帰っていった。それを見てのび太も使ってみる気になったのでノミを探す。と、そこに笑いながら歩いてきた人がいるので身ぐるみはいでみるが、その人はラジオで落語を聞いていただけだった。ようやくイヌにたかっているノミを見つけ、のび太は自分にたからせると思いっきり笑い始めた。しかし笑い始めた所にしずかがやってきて飼っていた金魚が死んでしまったことを話すが、のび太は内容に関係なく笑っているので怒って帰ってしまう。さらに通りがかりのおじいさんにもハゲを笑ったと誤解されて起こられてしまい、そこにパパが映画に行こうと言ってくるが、笑いすぎてのび太はまともな返事が出来ず、怒ったパパは一人で出かけてしまう。話を聞いたドラえもんは笑いすぎて歩けなくなったのび太にノミにジャンプさせればいいとアドバイスし、のび太はノミと一緒に高くジャンプしながら移動してパパを追いかけるのであった。  

 (解説)上に掲載されているものとまったく同じ題名ですね。話の内容は上の「くすぐりノミ」、そして「わらってくらそう」とを織り交ぜたものになっています。恐らく展開がほとんど同じなので重複を避けるためにてんコミには収録されなかったのでしょう。ラストに出てくるノミの特殊能力はちょっと余計な気がしなくもないですが、全編に「笑い」が溢れていますので、読んでいて自然に楽しくなってくる話です。
薬製造機   FF16巻、CC3巻 7頁 小二73年1月号(ふしぎなくすり)
 お正月早々に風邪を引いてしまったパパ。しかし当然医者は休みだし薬もないのでママも困ってしまう。その時ドラえもんが薬を作ると言って「薬製造機」を取り出した。どんなものでも薬にすることが出来るのだ。風邪を治すためにうちわを使って薬を作ったドラえもんは早速パパに飲ませてみると、すぐに風邪が治ってしまった。それを見たのび太は痛い虫歯を治してくれるよう頼み、虫取り網から作った薬を飲むと虫歯が取れた。二人はこの機械と家にあるガラクタを使って薬屋を開くことにし、早速食べすぎで苦しいというジャイアンがやってきた。出された薬をジャイアンが飲むと、急にお腹が痛くなってジャイアンは急いで帰った。パチンコの玉で薬を作ったのだ。今度はしずかがなにやら困った様子でやってきた。羽根突きの羽根が電線に引っかかったと言うので、ドラえもんはしずかの羽子板から薬を作ってしずかにそれを飲ませると、なんとしずかに羽が生えた。これを使って羽根を取ったしずかだが、今度は羽子板を返してほしいと言うのでドラえもんはすごろくの一部を使って薬を作り、「ふりだしにもど」した。すると今度は顔色の悪い人が歩いてきたので二人は薬をあげようとするが、その人は病気ではなく、未来に悲観しているために気分が沈んでいるのであった。見かねたドラえもんは明るくしようと電球から薬を作るが、それは人をハゲ頭にしてしまう薬だった。タワシの薬で元に戻したが男は立ち去ってしまい、二人はさらに作った薬を男に飲ませる。すると男は急に笑い出し、未来に希望を持つようになった。二人はゲタとクツから薬を作ったので、その男は「ゲタゲタゲタ」「クツクツクツ」と笑うようになったのであった。  

 (解説)何とも荒唐無稽な道具ではありますが、お得意の「こじつけギャグ」をここでも存分に発揮していますね。様々な薬とその材料に関するギャグが今話のメインですが、さりげなくドラに『明るい気持ちでいればいいことがあるよ』と言わせるあたり、「しあわせカイロでにっこにこ」と同じようなテーマが隠れているような気がしなくもないですね。
くものねん土   7頁 小一73年4月号
 雲を見るたびに、その形から食べ物を連想してしまうのび太は、食いしん坊だとみんなにバカにされてしまい、その話を聞いたドラえもんは「くものねん土」を出して、ねん土を食べ物の形に作る。するとねん土は本物の雲のように空に浮かび上がった。それを見たジャイアンは驚いて母ちゃんに知らせるが、逆に意地汚いと怒られてしまう。
 のび太はしずかも誘って色々な形の雲を作り、さらにねじを巻くことでその雲を動かして遊ぶ。それを見て羨んだジャイアンも雲を作る事にし、のび太達がいないのを見計らって、残っていた黒いねん土で自分そっくりの形にこねる。しかしそのねん土は雨雲になるものだったので雨を降らしながら空に浮かび上がり、ちょうどそれがおもらしをしているように見えてしまうので、恥ずかしがったジャイアンは慌ててつかまえようとするのであった。  

 (解説)雲で遊ぶという構図も比較的早い時期から登場している、道具テーマの一つですね。この種の話の場合はほのぼのとした終わり方になるのがほとんどなのですが、今回は下ネタ全開のオチがついて、少し違った雰囲気を出していますね。
クモノイトン   FF24巻 7頁 小二78年2月号
 みんなで塀の上を歩きっこするが、一人だけそれが出来ないのび太はまたみんなにバカにされてしまう。話を聞いたドラえもんはのび太に「クモノイトン」を出した。これをお尻にくっつけてお腹に力を入れると、クモの糸のような糸が出てきた。風に乗せて糸を飛ばし、向こうの木の枝に糸を結びつけたドラえもんはのび太を誘って糸の上を渡ろうとするが、のび太はもちろん嫌がる。ドラえもんは無理やりのび太を糸の上に乗せるが、何故かのび太は糸から落ちなかった。この上からは絶対に落ちることがないのだ。のび太は糸を使って空を走り回り、空中に大きなクモの巣を張ってみんなの遊び場にすることを思いつく。巣を完成させたのび太は友達を連れてきて仲良く遊び、みんなはのび太に感謝する。しかしのび太が感謝されることを快く思わないスネ夫はクモノイトンをのび太から奪ってしまい、木の枝にぶら下がって降りようとするが、枝が折れたので落っこちてしまう。そこへのび太たちがやってきたのでスネ夫は糸を張ってみんなを転ばせようとするが、先に自動車が道を通ったために糸を張っていたスネ夫の方が引っ張られ、さらにズボンごとクモノイトンが引っ張られて行ってしまい、下半身が丸裸になったスネ夫は慌てて追いかけるのであった。  

 (解説)道具の発想は単純ですが、それを活かしてさらに一捻り加えた面白い作品になっています。ラストのオチも品がないですが、クモノイトンの使い方もなかなかどうして下品ですねえ(笑)。そこらへんが今話の隠し味になっています。
雲やきなべ   6頁 小二82年5月号
 雲の上でのんびり昼寝することを夢想するのび太。とその時、小さな雲の上で昼寝をしているドラえもんを見かける。驚きながらも自分も乗りたいとのび太は騒ぎ出し、ドラえもんは仕方なくその雲を貸してやるが、風が止まり、ちょうど高い木のそばで雲が止まってしまったところをジャイアン達に狙われ、雲を奪い取られてしまう。
 話を聞いたドラえもんは新しい雲を作るため、「雲やきなべ」を取り出した。水を材料とすることで、小さな雲を作り出すことが出来るのだ。しずかも呼んでのんびりと空の散歩をするのび太とドラえもん。
 そんなのび太達を見かけたジャイアンとスネ夫は、雲をさらに奪おうとしてくるが、ドラえもんは雲の中に電池を入れて雷雲を作り出し、ジャイアン達を追い払う。さらに雨雲を作る道具をくっつけ、空からジャイアン達に水を吹きかけて撃退するのであった。  

 (解説)歴代の雲を作る道具、及び話と見比べると、どうしても見劣りしてしまう点があるのは否めません。それでも浮遊する雲に乗ってのんびりと遊ぶのびドラたちの姿は、描写としては少ないながらも魅力たっぷりに描かれており、読んでいるこちらも素直に楽しむことができると思います。
ヒミツゲンシュ犬   FF29巻、CC6巻 10頁 小四80年5月号
 またテストで0点を取ってしまったのび太。先生もこれで新記録だと言って呆れ果て、叱りもしない。落ち込んで帰宅するのび太だが、その途中で話を聞いていたスネ夫に絡まれてしまい、慌てて逃げ帰る。
 とりあえずママはテストの事を忘れているようだが、ドラえもんもいないのでどうする事も出来ず、仕方がないのでパパの万年筆を使って10点に書き直すことにする。しかしインクが出ないので振っていたら手から万年筆がすっぽ抜けてしまい、ペン先を潰してしまった。さらに電話をかけてきたスネ夫が0点を取ったことをママに告げ口しようと言い出し、のび太は大ピンチに陥ってしまう。
 そこに帰ってきたドラえもんは相談を受け、今度だけと言う条件で「ヒミツゲンシュ犬」を出した。これに秘密にしたいことを書いた紙を飲み込ませると、絶対にその秘密を守る事が出来ると言うのだ。0点と万年筆の事を書いて飲み込ませると同時にスネ夫が家にやってきたが、ママは庭で洗濯物を直していたので出ることが出来ず、その間にスネ夫はジャイアンに誘われて強引に野球へ連れて行かれてしまう。テストの事を聞こうとしたママも他の用事をするうちにテストの事を忘れてしまった。
 安心したのび太に勉強をさせようとするドラえもんだが、先ほどまでのことをコロッと忘れたのび太は構わずに遊びに出かけ、外で走っているスネ夫に出会う。野球でなぜかヘマばかりしてしまったので町内を走らされているのだと言うことを聞いて、さらに気を良くしたのび太は友達の秘密も守ってあげようと道具の事を大々的に宣伝してしまう。
 それを聞いたジャイアンは秘密を書いた紙をダンボール箱いっぱいに持ってきたので、のび太は何とか無理してヒミツゲンシュ犬に飲み込んでもらう。しかし夜中になってついにはちきれてしまい、紙が全部吐き出されてしまった。同時にのび太の秘密もばれ、パパやママに叱られる姿を見て、これで良かったのかもしれないとドラえもんは納得するのであった。  

 (解説)話とは関係ないですが、今回の道具はデザイン的に面白い格好をしていますね。顔の部分が異様に大きいので笑えます。で、話の方はスネ夫大活躍といった感じなんですが、わざわざのび太の家に出向いてまで嫌がらせしようとするその根性には脱帽です。そんなスネ夫を野球に連れて行くジャイアンの強引さも、メインではないのですがおかしいですね。



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