未収録作品さ行


サーカスぐつ   7頁 小一77年6月号
 縦に並べた土管を綱に見立て、綱渡りと称して遊ぶのび太達。しかしのび太だけが土管の高さを怖がって渡れずに落っこちてしまい、ジャイアン達にバカにされたのび太はドラえもんに泣きつく。ドラえもんは練習のために、のび太に畳の上に置いた紐の上を歩かせてみるが、のび太はこの紐が高いところにあると思い込んだだけで倒れてしまう始末だ。仕方なくドラえもんは「サーカスぐつ」を出してやる。これを履くとどんなところでも歩くことが出来るようになるのだ。
 その頃ジャイアンは塀の上を歩いてみんなに自慢していたが、そこにやって来たのび太は軽く塀の上を歩いてみんなを驚かせ、さらに電柱や電線の上まで歩いてみんなを感心させる。しかしのび太はくつのことをばらしてしまったため、ジャイアンにくつを取られてしまい、ジャイアンは風船に繋いだ糸を伝って高所まで登っていってしまう。
 しかし地面に繋いでいた方の糸が切れてしまったので、ジャイアンは糸に乗っかったまま、風船と一緒に飛んでいってしまう。どんどん高く上っていって悲鳴をあげるジャイアンを見て、空のマラソンと言ってからかうのび太とドラえもんであった。  

 (解説)道具の効能からオチまで「どこでもだれでもローラースケート」に似てますんで、「どこでも〜」のプロトタイプと言えなくもないですね。低学年誌作品ののび太は自分で道具のネタバレをしてしまう傾向があり、その点ではちょっと間抜けにも見えてしまいますが、これは恐らくページ数の都合で話を円滑に進めるための措置も含まれていると思うので、妙なツッコミは野暮ってもんです(笑)。
最終回第1回   14頁 小四71年3月号
 ある晩、のび太の部屋の壁から大勢の人間が現れ、壁に消えていった。仰天したのび太は翌日ドラえもんにその事を話すが、ドラえもんはボーっとして聞いていない様子。だがそれだけではなく、野比家ではパパのライターがなくなったり、壁に落書きがしてあったりと不可解な事が起こっていた。ドラえもんは何かを知っている様子だが、それでもまだのび太には話してくれない。
 しかたなくおやつを食べる事にするのび太だが、なんと壁の中から子供が飛び出てきたかと思うと、あっという間におやつを取って壁の中に消えてしまった。またも驚くのび太だがなぜかドラえもんは無反応だ。かと思うと突然ドラえもんはのび太の手を握り、もしも自分が未来に帰っても一人でやっていく事ができるかと真顔で問いただしてきた。のび太はドラえもんがいなければダメだと情けない返事を返すが、ドラえもんが話をきりだそうとした時、今度は壁からたくさんの人が出てきた。ドラえもんによると、この人達は未来から来た時間観光旅行者だと言う。彼らは壁に落書きしたり服を奪おうとしたりと好き勝手にのび太の家を見て回り、荒らし始めた。しまいには全世界指名手配の殺し屋までやってきて、皆殺しにすると騒ぐ。寸出のところでタイムパトロールが来て殺し屋は捕まり、観光客も帰っていった。
 迷惑だから何とかしろと言うのび太の所にセワシがやってきた。セワシによると、自由に時間旅行ができるようになるにつれて、過去の世界に影響を与えるような出来事が増えてきてしまったので、過去の人々に迷惑をかけないために今後一切の時間旅行を禁止する法律が出来たというのだ。それは勿論、20世紀の世界に来ているドラえもんとの別れも意味していた。あまりにも唐突な知らせにのび太は大声で叫びながらドラえもんとの別れを拒む。しかしドラえもんは逆に『男だろ!これからは一人でやっていくんだ。きみならやれる!!』とのび太を叱咤激励した。しかしそれでものび太は寂しさを隠す事が出来ない。その時ついに迎えがやってきた。ガッチリと最後の握手を交わすのび太とドラえもん。だがドラえもんは机の引き出しに入った途端、今まで抑えていた感情を爆発させて別れたくないと泣き出した。それでもそのままドラえもんとセワシは帰っていき、引き出しを見つめながら『ドラえもん…』と寂しく呟くのび太。
 『机の引き出しはただの引き出しに戻りました。でも・・・・・・、ぼくは開けるたびにドラえもんを思い出すのです。』  

 (解説)「ドラえもん」が迎えた1回目の最終回です。この頃は連載が始まってまだ2年ほどという事もあって、かなり初期のドタバタ色が残っています。未来から来た理由でもある、「のび太を立派な男の子にする」という目的も達成されたのかどうか不明であり、ドラえもんが未来に帰る理由も、「法律が決まったため」という受動的なもので、あまり説得力を感じられません。やはりまだこの時点ではドラ世界が確立しきっていなかった事もあって、このような中途半端な終わり方になってしまったのでしょう。でもこれは本来の最終回ではないので、このくらいの水準でも結構だと思います。
最終回第2回   10頁 小四72年3月号
 今日もドラえもんに道具を出してもらおうと家に帰ってくるのび太。そんなのび太が部屋に入ると、そこではドラえもんが未来から来ていたセワシと何事か話していた。のび太に何か話そうとするセワシをドラえもんは制し、セワシは『きっとだぜ』と言い残して帰っていった。早速のび太は、翌日サイクリングにいく事になったが自転車に乗れないので乗れるようになる道具を出してくれるよう頼んだが、ドラえもんは自分で何とかしろといつになく激しい口調で断る。だがそれでものび太はドラえもんを当てにしきったままで、そんなのび太の姿を見たドラえもんは意を決して何かを話そうとするが、のび太がドラやきを持ってきたために思わずよだれをたらし、その場で中断になってしまった。その時の『きみがいなかったら、ぼくは生きていけないな。』という言葉を聞き、一人涙を流すドラえもん。このままドラえもんがいてはのび太に頼り癖がついてしまい、前よりもダメな人間になってしまう。そのためドラえもんは未来に帰ることを決意していたのだ。しかし本人を目の前にするとどうしてもその事を告げることが出来ず、ドラえもんはセワシと相談して、壊れそうだとウソをついてそのまま未来へ帰ろうという作戦を練る。
 作戦は実行され、素直にドラえもんのことを心配するのび太はすぐに未来へ帰って治療する事を勧めるが、それでもドラえもんは『ぼくがいなくなったら困るんじゃない?』とのび太に問いただす。だが自分が困る事以上にドラえもんのことを真剣に案じてくれるのび太の姿を見て、ドラえもんは耐え切れずに泣き出してしまい、真実をのび太に話す。ウソをつかれたことに怒るのび太だが、自分一人で何でも出来る強い人になってほしいとドラえもんに説得され、のび太も自信はないものの一人で頑張る事を決心する。『きみのことわすれないよ』『ぼ、ぼくだって・・・・・・ククク』。ドラえもんは未来に帰っていった。
 すぐに自転車の練習を始めるのび太。と言ってもすぐに上手になれるはずもなく、何度も転んでアザだらけになるのを見てママが止めるが、のび太は断る。『ドラえもんと約束したんだ。』。その様子を未来からドラえもんはタイムテレビで見ていた。『がんばれ、がんばれ!タイムテレビで応援してるぞ!!』。  

 (解説)2回目の最終回は、正直言って泣けます。僕らが描いていた最終回、そして恐らく藤子F先生が生前に描いていた真の最終回に近いのではないでしょうか。のび太を立派にするために来たドラえもんが、これ以上いてはのび太がさらにだめになってしまうと思ったために帰るというのは、本末転倒のような気がしなくもないですが、そのようなチンケな疑問が消えてしまうくらいの感動作です。この時期既にドラとのび太は親友関係になっていただけに、この別れは辛かったでしょう。そしてラスト、のび太が転びながらも「約束したから」といって自転車の練習を続け、そんなのび太をタイムテレビで応援するドラえもん。そばで応援する事が出来ないという事が、二人の別離を明確に表現しており、二人の友情ともう会えないが故の悲しみを同時に表現しています。この作品があったからこそ、「さようならドラえもん」という傑作が誕生したのでしょうね。
さいみんふりこ   7頁 小二73年7月号
 テレビの催眠術番組を見て、早速真似てみようと思ったのび太はドラえもんにかけてみるが、ロボットには催眠術はかからないというので、外へ出かけて出会ったスネ夫にかけてみようとする。しかしスネ夫も番組を見ていたので、2人で掛け合いを始めてしまった。そこへやって来たジャイアンものび太に催眠術をかけて眠らせようとするが、当然かからないので怒ったジャイアンはのび太を殴って強引に気絶させてしまう。
 やってきたドラえもんはのび太から話を聞き、本当に催眠術をかけられる道具として、「さいみんふりこ」を出した。このふりこを相手に見せながら催眠術をかけると、相手は簡単に術にかかってしまうのだ。早速ジャイアンにかけようとするのび太だが、道端ではジャイアンの催眠術にかかった振りをしているスネ夫たちがいた。かかった振りをしないと殴られるからだという。そこで今度はのび太が友達に催眠術をかけ、友達は本当に海で泳いでいるつもりになったり、丸太のつもりになってしまった。
 それを見て怒ったジャイアンはのび太と術の掛け合いをしようとするが、のび太は道具を使ってジャイアンを犬のようにしてしまう。しかしジャイアンを始め術をかけられたみんなはのび太の予想以上に術に深くかかってしまっており、ジャイアンはおしっこをしたり、スネ夫は裸にまでなってしまう始末。駆けつけたドラえもんが目を覚まさせるが、今度は術をかけられた友達が怒り出し、怯えるのび太は慌てて自分が透明人間になったと、自分に催眠術をかけようとするのであった。  

 (解説)催眠術に関する話もドラの中にはちょくちょく登場しますが、この場合は催眠術という題材を使っていながらも、話の筋が1作ごとに違っている点が面白いですね。今話は中盤までは割とオーソドックスなのですが、道具による効果がそのままラストのオチにつながっていないという点で、一捻りある話になっています。
さかさカメラ   10頁 小四81年12月号
 ジャイアンは自分の悪戯を母ちゃんに言いつけた犯人を探していた。それを知ったスネ夫がのび太のせいにしてしまったために、のび太はジャイアンから追いまわされる羽目になってしまう。逃げ延びたのび太は家に戻ってドラえもんに助けを求めるが、ドラえもんはピクリとも動かない。しかも触ろうとするとすり抜けてしまった。そこへ帰ってきた本物のドラえもんが部屋の隅に置いていた機械のスイッチを切ると、今まであったドラえもんが消えていった。この機械は「さかさカメラ」と言い、普通のカメラと違って写真をカメラの中に入れ、外に虚像を映し出すのだ。改めてのびたから話を聞いたドラえもんはこのカメラを使って仕返しをすることにし、のび太と星野スミレの写真を使って虚像を作り出し、ジャイアンとスネ夫を誘い出す。慌ててスミレを探す二人だが、しずかからスミレは日本にいない事を聞かされ、のび太の仕業と気づいたジャイアンはスネ夫を探しに行かせる。とある家の中にのび太を見つけたスネ夫はジャイアンに知らせるが、それは虚像だったので乗り込んだジャイアンは家人にぶん殴られてしまった。さらにスネ夫は空き地の木のてっぺんにのび太を見つけるが、これも虚像だったのでジャイアンにぶっ飛ばされてしまう。次にのび太達は虚像を使ってジャイアンをからかい、それにつられてジャイアンはドブに落ち、さらに先生を殴ってしまう。先生に叱られるジャイアンをみて、満足するのび太とドラえもんであった。  

 (解説)ヤバイ。読んだのが随分前だから、あまり残照が残ってないぞ(笑)。それはともかく、今話はネームのみF先生が担当され、ペン入れは当時のチーフアシスタントだったたかや健二氏が行っています。もちろんストーリーそのものはF先生のそれなので、あまり違和感を感じることはないと思います。ただ、ジャイアンの悪戯を告げ口した犯人が最後まで不明なままなのは残念でした。流れで行けばスネ夫だと思うんですが、展開の都合上仕方がないんでしょうね。
さかなつり   FF15巻、CC2巻 7頁 小一76年6月号(CC時『さかな取り船』)
 近くの池で釣りをするのび太たちだが、ジャイアンやスネ夫は連れるのにのび太だけは一向に釣れない。ドラえもんからストレートに「ヘタだ」と言われたためにのび太はすねてしまうが、ドラえもんは「捕鯨船」を出した。スモールライトで小さくなって実際に乗り込んでから魚を捕るのだ。魚が食べるとだんだん軽くなって浮き上がってくるエサをドラえもんはまき、しばらく経つと魚が浮いてきた。早速吸盤つきの銛を撃って魚を捕まえるが、ジャイアンが網で捕まえてしまったのでどちらが捕るかで引っ張り合いになってしまう。しかしその弾みでジャイアンが池に落ちてしまい、どんどん流されていってしまうのでドラえもんは吸盤をジャイアンのお尻にくっつけ、スネ夫にそのロープを引っ張らせるのであった。  

 (解説)のんびりした雰囲気が何とも言えず良いですね。極めて単純な話ではありますが、冒頭で仲良く釣りをしているシーンなどを見ると、ほのぼのとした平和的な気分にさせられます。そうかと思えばスネ夫に引っ張られるジャイアンの姿がやけに間抜けだったりと、笑いの要素もきちんと織り交ぜています。
サンキューバッジ   FF5巻 5頁 小三76年12月号
 朝、目を覚ましたのび太はクリスマスプレゼントが枕下においてあるのを見て喜ぶが、中身は自分の期待していたものとは違っていたので一気に興醒めしてしまう。それを見たパパは残念がり、今は物がありすぎるから物がない故の不自由さがわからないと考え、のび太の小遣いを減らすことをママと相談する。その話をドラえもんから聞いたのび太は仰天するが、ドラえもんも前々からのび太には他人に対する感謝の気持ちがないことを感じており、開き直るのび太のために「サンキューバッジ」を出してやる。これをつけるとどんな小さなことでも嬉しくなって心の底から「ありがとう」と言えるのだ。のび太がつけると早速自分に道具を出してくれたドラえもんに礼を言い、次にママやパパにも感謝の言葉を言って、ジャイアンに殴られてもお礼を言ってしまう。人柄が良くなったのび太は自然にみんなと仲良くするようになり、それを見たドラえもんは自分もバッジをつけて誰からも好かれるロボットになろうとする。しかしママから団子をもらってもなぜか礼どころか文句ばかり言ってしまう。戻って来たのび太はドラえもんがつけているバッジが裏返しになっていることを指摘するのであった。  

 (解説)「しあわせカイロでにっこにこ」もそうですが、この種の話にはさりげなくF先生からのメッセージが込められているような気がします。常に相手を尊重し感謝の気持ちを持っていれば、いつか周りも自分のそばに来てくれる。人間の善性を信じたF先生ならではの良作と言えるでしょう。でも感謝しないのび太ものび太ですが、クリスマスプレゼントに「ゲームをしながら成績が上がる」なんてものをプレゼントするパパの考えもちょっと変な気が…(笑)。
しあわせカイロでにっこにこ   FF10巻 8頁 小四73年11月号
 なにやら元気のない様子ののび太。ドラえもんが話しかけても応答がないので、心配したドラえもんが原因を聞いてみると、のび太はいつもろくなことがないので何もかもがつまらないのだと言う。のび太のそんなネガティブな考え方に反発したドラえもんはもっと笑顔を作れば楽しくなると言って「しあわせカイロ」を出した。これを胸に当てると自然と心の中が楽しくなって笑顔になってしまうのだ。するとすぐにのび太はママから成績のことで叱られてしまうが、それでものび太は嬉しいと言って笑うのでますますママを怒らせてしまう。しかしのび太はママや先生が自分のことを心配して怒ってくれることがうれしいのだと言う。外に出たのび太はすぐにドブに落ちてしまうが、今度は川に落ちたら溺れるところだったなどと言い出したので、ドラえもんはカイロの温度を下げようとするがふらつきながら歩くのび太に追いつけず、自分が逆に電柱にぶつかってしまったので怒って家に帰ってしまう。次にのび太はジャイアン達の野球ボールにぶつかってしまうが、それでも嬉しがる姿を見て二人も不思議がる。のび太はどんな時でも笑顔でいることにしたと話し、みんなはこぞってのび太を怒らせようと色々ないたずらをし始めた。やはり様子を見に来たドラえもんはのび太を連れ帰ってカイロを取る。我に返ったのび太は詳しくは覚えていなかったが、楽しいことがたくさんあったという事だけは記憶に残っていた。笑顔を作れば楽しくなるということを信じることにしたのび太はこれからも笑顔で暮らすことにし、その様子を見たジャイアン達は、のび太は本当にすごい人間なのではないかと考えるのであった。  

 (解説)「笑顔を見せれば自分も周りも楽しくなる」。これは理想論であり、現実に考えてその通りにはならないことも多く、実行するにはとても難しいことです。しかしそれでも笑顔を作っていればいつかきっといいことが訪れる。それを信じて生きていこう。と、今話からはそんな作者からの優しいメッセージを感じずにはいられません。現実の非情さを熟知していながらも理想に希望を持ち続けたF先生ならではのメッセージが存分に発揮されています。まさしく隠れた名作と言って差し支えないでしょう。
しあわせ保険機   8頁 小五83年3月号
 ママがうっかりのび太のプラモデルを壊してしまい、のび太は怒って文句を言うが逆に言い返され、のび太は絶望してしまう。そんなのび太にドラえもんは「しあわせ保険機」を出した。保険機は品物一つにつき10円で、万一のための保険に入ることを勧めるが、保険の有用性を理解できないのび太は断ってしまい、仕方なく保険機は他の家に勧誘に向かう。しばらくして戻ってきた保険機からスネ夫としずかが保険に入ったことを聞かされるが、それでも逆にしずか達の事をバカにするのび太。しかしそこへバイオリンを壊したというしずかがやってきて保険金をもらっていき、さらにスネ夫が古いおもちゃをわざとジャイアンに取らせて保険金をもらうのを見て、のび太もいらないおもちゃの保険に入ることにする。ドラえもんからお金を借りて保険に入るのび太だが、ママは忙しくておもちゃを捨ててくれず、ジャイアンもおもちゃがあまりにボロなので取り上げてくれないので、のび太は思わず自分で捨ててしまう。しかし自分で捨てたものにはもちろん保険金は支払われず、しかも先ほどののび太の話を覚えていたママは、保険をかけていない方ののび太のマンガをすべて捨ててしまうのであった。  

 (解説)やはりズルをして金儲けをしてはいけないということでしょうかね(笑)?それにしても今話ののび太、結構悲惨な目にあっていますね。同時に「ポカリ=百円」や「税金鳥」の時と同様に、お金に関しては天才的な発想をするスネ夫のしたたかさにも注目です。保険の仕組みそのものが子供に理解しにくいものだった事が、未収録になった原因でしょうか?
ジークフリート   FF10巻 8頁 小五77年10月号
 隣町の子とジャイアンがケンカをし、ジャイアンが負けてしまった。隣町の子はこの町のガキ大将になって取り仕切ろうというのだ。話を聞いたドラえもんは、のび太にその子を倒させてのび太が英雄になろうと持ちかける。もちろんのび太は怖がるがドラえもんは絶対に負けないようになるために浴剤「ジークフリート」を出した。これをお風呂に入れて5分間暖まるだけでのび太は不死身になるのだ。効果を疑うのび太の頭をドラえもんは巨大なハンマーで叩いて実証し、のび太は安心してその子の下へ向かう。ガキ大将はスネ夫に絡んでいたがそこにのび太が駆けつける。ドラえもんから道具を借りたと考えた皆はのび太を応援するが、のび太があっけなくやられてしまったので一目散に退散する。しかしまったくダメージを受けていないのび太は簡単に起き上がり、相手が疲れ果てるまで絡み続ける。しかしドラえもんからそろそろ効力が切れるということを聞かされたので、のび太は一旦家に戻る。疲れ果てたガキ大将はフラフラで歩き回り、ジャイアンの前に現れる。ジャイアンは恐れをなすが彼はジャイアンの目の前で倒れてしまい、そこに現れたみんなは倒したのがジャイアンだと思い込んでしまったので、当てが外れたのび太はがっかりするのであった。  

 (解説)少しいつもと雰囲気が違っている感じですね。自分が倒したわけでもないのにみんながやってくるとガッツポーズを取るジャイアンはお調子者です。ストーリー的にはちょっと盛り上がりに欠けますが、不死身になったからと言って容赦なくでかいハンマーでのび太の頭をぶっ叩くドラの姿がなんかいいですね(笑)。
次元ローラー   10頁 小六84年12月号
 ジャイアンから野球の誘いがあるが、居留守を使って断るのび太。野球が好きなのにとドラえもんは不思議がるが、打たれたホームランボールが空き地のそばの家に入ってガラスを割り、そのたびにのび太がボールを取りに行かされるので、ウンザリしていると言うのだ。そこでドラえもんは問題解決のために「次元ローラー」を出し、試しにのび太の部屋を四次元的に広げてみる。これで空き地を広くした二人は安心して野球に参加するが、今度はあまりにも広すぎるためにのび太は転がるボールに追いつくことができず、結局大敗を喫してしまう。怒るジャイアンだが、取りなしたドラえもんはお詫びにジャイアンの家の庭を広くした。のび太も家の中を広げるが、あまりにも広くしすぎたので何をするにも苦労してしまい、ジャイアンからも草むしりが終わらないと苦情が来る。仕方なくドラえもんはローラーのキャンセルボタンを押してすべてを元に戻すが、その反動で一定期間だけ、以前よりも空間が縮んでしまうのであった。  

 (解説)骨子としては「ひろびろ日本」と同じような感じですが、そちらよりはおとなしく、ミニマムな雰囲気の話ですね。でもオチは結構ひねりが利いていて好きです。
自信ヘルメット   FF6巻、CC2巻 7頁 小三73年6月号
 下校途中、周りの子供たちの笑い声をなぜか気にするのび太。しずかの笑い声にも過敏に反応し、遂には家に帰ってきてもドラえもんがテレビの漫才を見て笑っているのを見て、なぜか怒り出してしまう。のび太はまたテストで0点を取ったのですっかり自信をなくしてしまい、みんなが自分のことを笑っているのではないかと考えてしまっているのだ。ドラえもんはひがみっぽいところをなくして自分に自信を持つようにと説得するが、それでものび太は自信を持つことが出来ない。そこでドラえもんは、かぶると人のいうことが全て自分に都合のいいように聞こえるようになる「自信ヘルメット」を出す。レベルを「強」にあわせてのび太にかぶせると、のび太は急に自信たっぷりになって宿題もさっさと終わらせてしまう。そこに運ばれてきたおやつのドラやきを見て、ドラえもんは自信をつけさせたお礼に二つとももらえないかと聞くが、のび太には「二つともあげる」と聞こえたようで両方平らげてしまう。遊びに行ったのび太は早速ジャイアン達にバカにされるが、本人には褒め言葉にしか聞こえていないので尊大な態度を取り、それを見たジャイアン達は訝しがる。さらにのび太はしずかの家に黙って上がりこんだばかりか、しずかの描いている絵に余計な口出しをして自分が手を加えてしまう。絵はメチャメチャになってしまったのでしずかも怒るがのび太には通じず、しずかの家を自分のものにするとまで言い出す始末。知らせを受けたドラえもんは急いで駆けつけヘルメットを外す。我に返ったのび太はおとなしく家に帰るが、宿題を見てみるとまるっきりでたらめだったので大慌てで直す羽目になり、自信だけあってもダメなのかと心中複雑なドラえもんであった。  

 (解説)冒頭の自信喪失したのび太には非常に共感できるものがありますが(笑)、あまり過剰に自信を持ってもまた悪しということなのでしょう。自信というのは努力とか経験などに裏打ちされるものですからね。後々の「ションボリ、ドラえもん」では上手く利用されていますから、恐らく今回はドラの道具使用法にミスがあったのでしょう(笑)。
実物ジオラマ   TCS3巻 7頁 小一86年5月号(じつぶつジオラマ)
 ジャイアン達にランドセルを取り上げられてしまったのび太は取り返そうとするが、ランドセルの置いてある空き地には二人が待ち構えているので近づく事が出来ない。ドラえもんに泣きつくのび太だが、逆にドラえもんは自分で取り返すようにと激励し、のび太が出かけた後でドラえもんは「実物ジオラマ」という道具を出す。大丈夫だと言うドラえもんの言葉を信じてのび太が再び空き地へ向かうと、襲ってきたジャイアン達はなぜか空を富んでどこかへ行ってしまった。不思議に思いながらもランドセルを取り戻したのび太だが、果たしてそれはドラえもんの仕業だった。あの道具はどんな景色でもジオラマにすることが出来、しかも専用のスティックを使うことで、ジオラマ上の物を自由に動かす事も出来るのである。不思議がるジャイアン達をのび太は再びスティックで持ち上げ、今度は二人を池に落としてしまう。ダイヤルを回して世界中のいろんな場所をジオラマにして見てまわるのび太は、次にしずかの家を見て、一計を思いつく。その事をドラえもんに話してからのび太はしずかの家に行き、タケコプターなしで空を飛ぶと宣言する。スティックで持ち上げられる事で空を飛んでいるように見せ、しずかを驚かせるが、突然現れたネズミに仰天したドラえもんはスティックを放り出して逃げてしまい、落っこちたのび太は電信柱にしがみついて助けを求めるのであった。  

 (解説)小さい頃はアニメで見て、この道具も欲しいと思った時がありましたね。子供に親しみやすい「ジオラマ」を元にして作られた道具は、ミニチュアの町という世界を作る事が出来ると言う、言わば変則的な「秘密基地願望」の表現と取る事も出来るでしょう。ストーリー紹介では省きましたが、のび太の吹いた息のせいでしずかのスカートがめくれてしまう所も、ファンは要チェックですかね。
実物射的で狙い撃ち   FF14巻 8頁 小五77年9月号
 ドラえもんが戸棚の奥に隠していたドラやきを見つけたのび太はこっそり食べてしまおうとするが、不意に腕を何者かに撃たれたような激痛が走った。落としたドラやきを拾おうとすると今度は何度も痛みを感じてしまうため、周りを見てみるとふすまの所にカメラのようなものが仕掛けてあった。ドラえもんの所に行くと、ドラえもんはのび太がドラやきを取ったので「実物射的」で攻撃していたのだ。テレビに映ったものを狙って撃つと、本当に当てることが出来るのだ。しかしその際にママが使う生け花の花を撃ってしまったため、その事をのび太に問われて仕方なくのび太に射的を貸してしまう。のび太は的になる人物がたくさんいる空き地へカメラをセットして早速撃とうとするが、なぜか誰にも当たらない。のび太は何を思ったかカメラの前から動かないようにと言いに行ってしまい、逆に怒られたのび太はみんなも射的で遊ばせることにしてしまう。他人に迷惑をかけないようにみんなが順番に的になったり撃ったりするようにとドラえもんが提案し、結局のび太はビリになってしまった。ジャイアンやスネ夫を始め他のみんなは揃ってのび太を狙い撃ちし、やっとのび太の番がまわってきたものの、今度は銃の電池が切れてしまって何もすることが出来なくなってしまうのであった。  

 (解説)いくらゲームとは言え最初から人に当てることを前提にしてゲームを行おうとするのび太の態度は結構怖いものがありますね。しかしこの時期ののび太は射撃の腕もヘタだったようで、誰にも当てることが出来ませんでした。全体的に見ても今話はのび太の間抜けぶりを見て笑うための作品のようです(笑)。
実物はさみ   TCS2巻 7頁 小一84年10月号(じつぶつはさみ)
 おもちゃのカタログや広告を見て物思いにふけるのび太。のび太はいろんなおもちゃが欲しいのだが、お金がないので買う事が出来ず、たくさんおもちゃを持っているスネ夫をうらやましがる。そんなのび太を注意するドラえもんだが、スネ夫がラジコン飛行機やラジコンカーを操縦しているのを見てドラえもんもうらやましがり、ドラえもんは自分で作ると言い出して「実物はさみ」を出した。カタログのおもちゃを切り抜くと、大きさはそのままで本物のようになるのだ。ロボットやラジコンカーを切り抜いたのび太は早速遊ぶが、ラジコンは小さいながらも力が強いので、部屋のイスを弾き飛ばしてしまう。空き地で遊んでいるジャイアンとスネ夫の所に行ってラジコンを見せびらかすのび太だが、腹を立てたジャイアン達はのび太のラジコンを石で潰してしまう。それでも既にドラえもんがたくさんのおもちゃを切り抜いていたので、二人はラジコン飛行機を操縦して遊び始める。それを見たジャイアン達はラジコンを捕まえようとするが、ラジコンのパワーの方が上だったので、つかんできたジャイアン達を引きずったままラジコンは飛び回ってしまうのであった。  

 (解説)例によって今回ののび太の悩みは非常に共感できますね(笑)。誰でも共感できる悩みだからこそ、道具に対する憧れの気持ちを素直に抱かせる事が出来るのかもしれません。スネ夫のおもちゃを見て態度をコロッとかえるドラもいつもの事ではありますが、やはり面白いですね。
実物ベニヤ   CC6巻 7頁 小二82年2月号(じつぶつベニヤ)
 季節は冬。寒がりののび太は冬よりも夏がいいと言う話をしながら、しずか達と下校するが、帰ってみると部屋のストーブが壊れてしまっていた。人一倍寒がりのドラえもんも何とかしようと「実物ベニヤ」を取り出す。これは芝居の舞台装置や小道具を作るためのベニヤで、暖炉の絵を描いて切り抜いてみると、本物の暖炉のように部屋が暖かくなってきたのだ。
 のび太もベニヤを使って小さな夏の太陽を作り、部屋が暑くなってきたのでドラえもんは暖炉を消す。さらにのび太は夏の海を作るために波や雲を作ろうとするが、のび太の絵が下手だったため、波はドラえもんには山と勘違いされてしまい、雲はそのまま雷雲になってしまう。ドラえもんが改めて雲を描き、どうにか夏の海が完成した。
 のび太は早速しずかも誘おうとするが、しずかはちょうど留守であり、間が悪くジャイアン達に聞かれてしまっていたため、2人が上がりこんでしまう。
 お芝居の海なのだがジャイアン達は服を脱いで泳ぎだし、のび太も泳ごうとするが、お芝居の海でものび太は溺れてしまった。そこで2人はベニヤで船を作るが、スネ夫に穴を描かれてしまい、船は沈没してしまう。
 いたずらに怒ったドラえもんが波のベニヤから海の青色だけを消してしまうと、今度はベニヤが氷山となり、南極の海になってしまい、ちょうどしずかが現れたにもかかわらず、ジャイアン達はあまりの寒さに素っ裸で飛び出すのであった。  

 (解説)のび太の部屋と言う限られた空間を使って、まったく異質な空間に作り変えてしまうと言うのも、ドラえもんという作品の大きな特徴です。今話では「山に見える」波のベニヤをラストで本当に山に変えてしまうという、伏線が巧妙に働いた話になっていますね。残念なのはラストで少しだけ登場するしずかがあまりにもノーリアクションだったと言うことでしょうか。


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