未収録作品さ行 その2


自動人形劇   FF29巻 9頁 小二80年3月号(自どう人形げき)
 指人形を使って白雪姫の人形劇をすることに決めたのび太達は早速準備をすすめ、毒りんごをのび太のおやつのカキで代用することでようやく完成した。みんなは空き地で劇を披露しようとするが、そこにジャイアンが現れて強引に仲間に入ってしまう。みんなは劇を始めるがジャイアンは好き勝手な事ばかりして劇をメチャクチャにしてしまい、お客はみんな帰ってしまった。ジャイアンも興味がなくなるとさっさと抜けてしまい、失敗した事をのび太達は残念がる。そこでドラえもんは「自動人形劇」を使って人形を動かし、自分達が観客になる事にする。機械にシナリオを入れると人形がそのとおりに動くのだ。シナリオどおりに順調に劇は進行していくが、姫がりんごを食べるシーンになってジャイアンが再び現れ、カキを勝手に食べてしまう。タネだけをのび太達に返すその横暴さにドラえもんもさすがに怒り出し、「さるかにがっせん」の人形劇で仕返しをすることにする。人形がないのだが、セットすればその場に応じて適当な物が代役を務めてくれると言う。シナリオを入れると何故かジャイアンはサルのようになってしまった。ジャイアンが家に入ると「はち」みつの空き瓶につまづいて転んでしまい、母ちゃんから「うす」を物置にしまうよう頼まれる。二人でうすを運ぶが、母ちゃんが「くり」ごはんを火にかけっぱなしだったことを思い出して台所に行ってしまい、ジャイアンは重さに耐え切れずうすに押しつぶされてしまうのであった。  

 (解説)今話はF先生お得意のこじつけギャグが全開ですね。いつもよりもかなり強引な感じのこじつけが逆にいい味を出している気がします。途中までは人形劇を中心としてのんびりと話が進行していくので、このオチのバカバカしさが余計に際立っていると言えるでしょう。
自動ぶんなぐりガス   TCS4巻 7頁 小二82年1月号
 ドラえもんから借りた道具でジャイアンに仕返しを果たすのび太。しかしジャイアンはのび太に負けたのではなく、道具に負けたのだと言って引き下がらなかった。ドラえもんに道具を返したのび太は遊びに出かけるが、道具を持っていないのび太を見つけたスネ夫がいち早くジャイアンに知らせてしまい、のび太は再びジャイアンに殴られてしまう。話を聞いたドラえもんは仕返しにキリがないことを話し、それよりものび太自身がしっかりすることだと諭すが、のび太はこのままでは気がすまないと言うので、仕方なく「自動ぶんなぐりガス」を出してやる。何かにガスを吹き付け、殴りたい相手の名前を命令すると、その相手が勝手に動き出して、自分からガスをかけられたものに激突してしまうのだ。試しにのび太自身がバットにぶつかるが、効果を確かめたのび太は道の電柱にガスを吹き付けることにする。早速ジャイアンを呼びつけると、ジャイアンは引き寄せられて電柱に激突してしまった。その様子を見て笑うのび太だが、スネ夫も自分に意地悪した事を思い出したので仕返ししたいと言い出し、ドラえもんはマイクを取り出した。これに命令すると誰でもぶん殴る事が出来るのだ。それを使って今度はスネ夫を電柱に激突させたのび太は調子に乗って、気に入らないヤツを片っ端からこれで殴る事にしてしまい、ノライヌや乱暴運転の車を電柱に激突させてしまう。有頂天になって帰るのび太だが、その時マイクを道に落としてしまった。そのマイクを拾ったしずかは、これがのび太の物だと予想してマイクに向かってのび太の名前を連呼してしまう。するとのび太は電柱に引き寄せられ、しずかが呼ぶたびに何度も何度も電柱に激突してしまうのであった。  

 (解説)最初の道具が出てからの後日談のような始まり方をする導入部もそれなりに異色ですが、やはりなんと言っても今話の魅力は、道具の持つインパクトに尽きるでしょう。名前からして物騒な名前ですが、名前を呼ぶたびに問答無用で電柱に激突してしまう様はなかなかに怖いものがありますね。久々に未来道具の恐ろしさを見せつけられました(笑)。それだけにラストののび太には少し同情してしまいますね。
シャーロック・ホームズ・セット   9頁 小三83年3月号
 珍しくこづかいを残しておいたのび太。翌日に「小学三年生」を買うために残しておいたのだ。のび太は貯金箱を引き出しに入れてカギをかけ、さらにカギを天井裏にしまった。安心して外に遊びに行くのび太だが、スネ夫から新製品のジュースを見せられてうらやましがり、さっきのお金を使うことにしてしまう。しかし寸出のところでしずかがマンガを返してもらいに来たので、のび太はあちこち探すが待ちくたびれたしずかは一旦帰ってしまう。
 その後でトイレに持ち込んだことを思い出したのび太はトイレからマンガを持ってきて、後を追いかけしずかに渡す。ところが家に帰ってくると、部屋にボールが入り込んだと言うのでジャイアンとスネ夫が上がりこんでいた。改めて貯金を使おうとするのび太は2人が出ていってから取り出すが、なんと貯金箱にはお金が入っていなかった。
 のび太はすぐに盗まれたと思い込み、ドラえもんまで疑い始めたのでドラえもんは以前使った「シャーロックホームズ・セット」を出して探す事にする。のび太は早速部屋に入った4人を呼んでステッキやパイプで調べるが、なぜか両方とも犯人はのび太だと示す。そこでのび太が帽子を使って推理すると、このまま翌日になるとお金がないので、タイムマシンでのび太がお金の取られる前の時間に戻ってお金を取ってくるという答えが出る。つまり結局のところ、のび太が犯人なのであった。  

 (解説)うーん、何から何まで「連想式推理虫メガネ」と展開が一緒ですねえ。おまけにこちらは既存の道具をもう一度使っているわけですから、未収録になってしまった理由もわかる気がします。「連想式〜」の方を知らなければオチも楽しめると思いますが、今話は盗まれるまでの過程に内容を費やしすぎてしまっており、そのために道具を出してからのことが若干おざなりになっている印象があります。俯瞰して見ると水準作ではありますけどね。
ジャイアン乗っとり   FF3巻 8頁 小六74年11月号
 空き地でジャイアンと言い争いをするのび太だが、ジャイアンの気迫に圧されて自分が悪いと認めてしまい、見物しているみんなの前で土下座をさせられてしまう。みんなが去った後でただ1人残ったしずかに強がりを言うのび太だが、逆にしずかは力に屈服するのび太の不甲斐なさを厳しく非難する。話を聞いたドラえもんも同じことを言うが、のび太は自分勝手な理屈を言ってむくれてしまうので、しかたなくドラえもんはジャイアンに謝らせることにし、のび太を空き地に連れて行って「魂が抜け出す機械」を出した。この機械で煙をたき、のび太がその煙を吸ってくしゃみをすると、なんとのび太の魂が飛び出した。この状態でジャイアンの体に入るとジャイアンの魂が眠ってしまうので、体を自由に操ることが出来るようになると言う。早速ジャイアンの家に向かったのび太は昼寝しているジャイアンの鼻の中から体に入り込み、ジャイアンの体を乗っ取ることに成功する。のび太は手始めにスネ夫たちの前でバカなことをしてみんなを笑わせ、更にみんなをのび太の体がある空き地に行くよう勧める。空き地に集まったみんなの前でジャイアンののび太はのび太の体に向かって土下座して謝り始め、タイミングを見計らって魂を自分の体に戻した。だが逆に自分の非を素直に認めて謝った「ジャイアン」の潔さにみんなは感動し、当てが外れたのび太はがっかりするのであった。  

 (解説)あくまで個人的な感想を言えば、今話で一番悪いのは道具に頼ってすぐに逃げてしまうのび太だと思うので、「ジャイアンの体を乗っ取る」という卑怯な行為が完全に正当化されなかったラストのオチは非常に納得できます。やはり自分のほうが弱いからといってずるい事をしてはいけないという事ですね。ジャイアンの頭の中にクモの巣が張っているという、いかにもマンガチックな描写もユニークです。
シャシンシャベール   TCS2巻 7頁 小一84年2月号
 週刊誌に川井さゆりと月見しんごが結婚すると書かれているのを見たのび太は、早速しずかにその事を話すが、スネ夫は川井さゆりは田之木ひこ彦と結婚すると言う。タレントの噂をたくさん知っているスネ夫の言う事をしずかも信じてしまい、負けたのび太は悔しがって家に帰る。すると部屋ではドラえもんが、もらってきた川井さゆりのブロマイドを部屋に貼っていた。そこでのび太はドラえもんに例の事を相談し、ドラえもんは本人に聞いてみようと「シャシンシャベール」を出す。これを写真に塗ると写真の人物がしゃべるようになるのだ。早速川井さゆりの写真に聞いてみるが、田之木ひこ彦とは友達であるというところまで話したものの、肝心な所になると恥ずかしがって話そうとしない。そこでドラえもんはママから週刊誌を借り、月見しんごのブロマイドにも薬を塗って聞いてみる。すると月見しんごの写真は、今日婚約発表を行う事を話した。二人は早速スネ夫に知らせに行くが、スネ夫は家にいないので探し始める。道に貼ってあるポスターに薬を塗って居場所を教えてもらい、やっと二人はスネ夫を見つける。もちろん信じないスネ夫だが、スネ夫の家でテレビを見るとちょうど婚約発表の記者会見が行われていたので、スネ夫も仰天してしまう。理由を知りたがるしずかを家に連れて行った二人だが、そこにママが週刊誌を返してもらおうとやってきて、薬の存在を知って借りることにする。ママは自分の写真に薬を塗ってのび太の部屋に貼り、のび太は口やかましいママの写真にずっと注意されながら勉強をする羽目になるのであった。  

 (解説)個人的には田之木ひこ彦の写真が出てこなかったのが残念ですね。どんな顔か見てみたかったのに(笑)。それはともかく、本人の代弁者に質問するという形式の道具としては「反応テストロボット」を始めとしていろんなものがありますが、写真そのものを使うという発想は今までなかったものなので新鮮ですね。スネ夫の居所を探す時に、ドラが「竜の騎士」同様にスネ夫の顔を真似るシーンも爆笑ものです。
写真入りこみスコープ   FF30巻、TCS2巻 7頁 小一81年5月号(しゃしんはいりこみスコープ)
 去年家族で行って来たハイキングの写真をパパが持って帰ってきた。4人で写真を見ながら想い出話をするが、写真の中に写っていた双眼鏡がなくなっていることに気づき、なくしてしまったのび太は二人に怒られてしまう。ションボリするのび太のためにドラえもんは「写真入りこみスコープ」を出し、機械の中に写真を入れた。するとスクリーンに写真が映し出され、しかも機械を操作する事で映っている画面も動き出した。しかも画面の中に入ることが出来ると言う。中に入ってみるとそこでは去年のハイキング当時ののび太がトンボに夢中になって双眼鏡を放り投げてしまっていた。家に遊びに来たしずかも写真の中に誘い、三人は「モーターたらい」を使って湖で楽しく遊ぶ。たっぷり遊んだのでドラえもんやしずかは帰ろうとするが、のび太だけは夢中になってやめようとしない。だがママに催促されたので慌てて部屋に戻る際に、先ほど拾っておいた双眼鏡をまた放り出してしまい、結局双眼鏡をなくしてしまったのであった。  

 (解説)次元を超越した世界こそがドラ世界の魅力の一つですが、今話もそれが十二分に発揮されており、写真の中に入って楽しく遊ぶという構図は使い古された感があるものの、心躍るテーマである事に違いありませんね。中盤が楽しい分、脱力必至のオチのおかしさも倍増します。しかし、なんで「たらい」なんだ(笑)?
ジャック豆   TCS1巻 7頁 小一85年11月号(ジャックまめ)
 「ジャックと豆の木」を読んだのび太はドラえもんに頼んで「ジャック豆」を出してもらう。だがとてものび太では豆の木を上って雲の上まで行くことは出来ず、途中でへばってしまう。しかし、ジャック豆が伸びたり縮んだりする事を知ったのび太は、伸びていく豆につかまって一緒に上る事を思いつく。途中でしずかも誘い、雲の上まで来た3人。「雲かためガス」で雲を固めてドラえもんは先に帰り、のび太達は雲の上で遊ぶ。そこに突然大男の城のような大きな建物が見えてきた。風で雲が流され豆の木で降りる事も出来ず、泣きわめくのび太。そこにやってきたドラえもんは建物が山の上にあるホテルだと説明するのだった。  

 (解説)これ以前の作品でも登場済みの「ジャック豆」ですが、今回は見事主役の座?を射止めました。そのためか「伸びたり戻ったりする」とか、「命令した方向に自由に伸びる事が出来る」とか、便利な機能がついています。ほのぼのとしたラストのオチも、中期以降の「ハートフル路線」らしいラストでした。
しょうげき波ピストル   CC5巻 8頁 小一79年4月号
 気分良く歌を歌いながらのび太が道を歩いていると、突然どこからかおもちゃのピストルの弾が飛んできた。弾を撃ったジャイアンに抗議するのび太だが、どうやらジャイアンは西部劇ごっこをしているらしく、のび太が6発すべて避けてしまったのでのび太を6回殴り飛ばしてしまう。それを見ていた友達はジャイアンにわざと撃たれて誉めそやし、呆れたのび太は家に帰る。
 射撃の腕前には自信のあるのび太だったが、ジャイアンのげんこつにはさすがにかなわない。話を聞いたドラえもんはジャイアンの乱暴な行動を止めるため、「しょうげき波ピストル」を取り出した。実弾の代わりに空気の塊を打ち出すピストルで、ボール程度なら簡単に穴を開けられるほどの威力だ。
 のび太はこれをもってスネ夫を追い掛け回していたジャイアンに決闘を申し込むが、ジャイアンが互いが持っている武器に差がありすぎると文句を言ってきたので、ドラえもんは仕方なく同じピストルをジャイアンに貸してやる。2人は背中合わせに立ち、互いに10歩歩いてから振り向いて銃を撃つというスタイルで決闘を開始するが、ジャイアンは10歩歩き終えずに銃を撃ち、不意打ちを受けたのび太はピストルを草むらに落としてしまう。
 逃げ回るものの結局のび太は壁際に追い詰められてしまい、ジャイアンも勝ち誇って最後の一発を放つが、慌ててのび太がしゃがんだ際に衝撃波が壁にぶつかり、跳ね返った衝撃波がそのままジャイアンにぶつかり、ジャイアンを倒してしまった。結果としてジャイアンに勝利したのび太だったが、1発も撃っていないのに決着がついてしまったことに不満ののび太は、再び決闘をするために、ガンマンはもう止めたと言うジャイアンをしつこく追い掛け回すのであった。  

 (解説)終盤の決闘シーンはなかなか緊迫感に満ちていて、十分な読み応えのある佳作です。のび太の活躍が描かれなかったのは残念ではありますが、こういった「銃での決闘」をコンセプトにした話でも、「けん銃王コンテスト」のような王道パターンとは違ったアプローチの仕方があるという一例なのでしょうね。ところで冒頭でのび太が歌っている歌は何なのでしょうか?
ショージキデンパ   FF1巻 9頁 小二71年10月号(びっくりデンパ)
 スネ夫から借りたスイス製の高級双眼鏡をなくしてしまったのび太。のび太は友人の本山君に貸したのだが、本山君は既にのび太に返したと言う。あらぬ濡れ衣を着せられてしまったのび太はドラえもんにすがるが、ドラえもんまで疑ったので泣き叫んでしまう。そこでドラえもんはどんな人にも本当のことを言わせる「ショージキデンパ」を出し、試しにのび太が使ってみるとドラえもんはのび太の勘違いだという本音を暴露してしまった。怒りながらも本山君の家に向かう2人だったが、本山君は居留守を使ったので会うことが出来ず、スネ夫にしつこく催促されるが、リサイタルを開いているジャイアン達に聞いても居所がわからない。しずかの話から居留守を使っていたことに気づいた二人は再び本山君の家に向かい、玄関で立ち話をしている母親にデンパを浴びせて本当のことを言わせる。家に上がりこんだ2人は早速デンパを浴びせるが、本山君は必死にこらえて本音を話そうとしない。しかしデンパを強く放射されてついに自分が壊したことを白状する。安心するのび太だが、今度は近くにいたスネ夫が双眼鏡は本当は屋台の売れ残りのおもちゃであると話し始め、玄関では本山君の母親達が口ゲンカを始め、リサイタルに参加していたみんなは口々にジャイアンの歌の悪口を言い出した。デンパが町中に散らばってしまい、みんな本当のことだけを話すようになってしまったのだった。  

 (解説)本音を言わせる道具の元祖、なんでしょうかね?現在の視点から見ると極めてオーソドックスな展開の話ですが、それでもラストのオチなんかは今読んでも十分面白いですね。ドラののび太に対する本音がなんか笑えます。
植物歩かせえき   CC6巻、TCS4巻 7頁 小一81年8月号(しょくぶつあるかせえき)
 学校の庭に立っている一本の木を、物置を作るために切ってしまう相談を先生達はしていた。その話を聞いてショックを受けるのび太。その木はのび太が唯一木登りをすることが出来る木だったのだ。何とかして助けたいと考えたのび太はドラえもんに相談する事にするが、その帰り道にジャイアンに捕まり、ジャイアンの家の草むしりを押し付けられてしまう。木の方を優先してその場を逃げ出すのび太だが、家に帰っても家の庭の草むしりをママに言いつけられ、のび太はどうしようもなくなってしまう。そこへ戻ってきたドラえもんはのび太から話を聞き、「植物歩かせえき」を出した。これをかけられた植物は足が生えて動く事が出来るようになるのだ。早速ドラえもんは庭の草にえきをかけ、草を逃がしてしまった。二人は急いで学校に向かうが、ジャイアンに見つかって追いまわされてしまう。しずかにかくまってもらって何とかやり過ごした二人はしずかにも事情を話し、しずかはジャイアンにもえきを分けることを提案した。えきを受け取ったジャイアンは早速庭に撒くが、雑草だけでなくすべての植物にかけてしまったので、みんな逃げてしまってまた母ちゃんに叱られてしまった。三人は学校の木にえきをかけ、動けるようにして木を裏山に連れて行く。裏山に到着して喜ぶ三人だが、そこに逆恨みしたジャイアンがやってきてのび太達を殴ろうとする。するとのび太達が助けた木が動き出してジャイアンをやっつけ、二人を助けてくれるのであった。  

 (解説)切られそうになっている気を助けるという話の骨子だけ見ると、後期の自然保護話のように思われますが、今話はそう言った大義名分があるわけではなく、あくまでのび太の純粋な優しさが発端になっています。殊更にのび太の優しさを強調しているわけではないですが、こういう演出の仕方も良いですね。ジャイアンの庭の草木がいっぺんに逃げ出してしまうシーンの間は、さすがF先生と言うべき絶妙なものですね。
植物ペン   CC2巻 7頁 小二78年6月号(しょくぶつペン)
 自分が育てていたと言う花をしずかにプレゼントするスネ夫。歯の浮くようなキザなセリフを使うスネ夫を見て、のび太も花を育てたいとママに話すが、ママはのび太が以前アサガオを枯らしてしまったことを持ち出し、軽くあしらってしまった。
 のび太から話を聞いたドラえもんだが、ポケットから出したのは花ではなく、1本のペンだった。がっかりするのび太を横目に、ドラえもんはそのペンを使って花の絵を描き、それを丸めて植木鉢の土に埋め、水をかける。するとなんと土から芽が出てきた。このペンは「植物ペン」と言い、このペンで植物の絵を描いた紙を植えると、描いたとおりに生えてくるのだ。
 今ドラえもんが植えた花は、急に描いたために見栄えが悪かったが、今度はのび太が図鑑を見ながら丁寧に描いたので、見事な花を咲かせることが出来た。その花を早速しずかにプレゼントしたのび太は、さらにしずかを自宅に連れてきてペンの存在を教えてやる。しずかは様々な花を描いて庭を花で一杯にし、のび太も負けじと色々なフルーツがなる木を育てた。
 2人の作った植物を見ていたドラえもんも面白い木を作ろうとするが、紙がなくなってしまったので、広告の裏で代用することにする。やがて立派な木の家ができ、その中でくつろぐ3人だが、なぜか急に寒くなってきて、3人は耐え切れずに外に飛び出す。ドラえもんが使った紙は冷蔵庫の広告だったために、急激に寒くなってしまったのだった。  

 (解説)全体としては可もなく不可もなくと言ったところですが、やはりオチが少し唐突なのがマイナス点ですかね。冒頭の小二掲載作とは思えないスネ夫のキザったらしいセリフは、ある意味必見かも(笑)。図鑑を見ながらならばものすごく上手に描けるのび太もすごいですが、そういった図鑑の類がきちんと家にそろっているのも、よく考えるとすごいことですね。
しんじゅせいぞうロボット   7頁 小二74年1月号
 ある物の作り方を聞いたというのび太は、出来上がったらそれをあげるとしずかに話す。しかしのび太は自分の作っている物についてはドラえもんにも話そうとせず、ドラえもんも興味を持つがのび太は部屋にも入れようとしない。何を作っているのか気になって仕方がないドラえもんだが、のび太はこれだけは自分の力でやりたいと言って一向に話そうとしなかった。
 諦めたドラえもんにママが貝のアサリがどこにあるか知らないかと尋ねてきた。なくなってしまったと言うので2人はのび太の部屋に入ろうとするが、そんな2人をのび太が制する。果たしてアサリはのび太の部屋にあったのだが、のび太はなぜか返したがらない。よくよくわけを聞いてみると、のび太はなんとアサリを使って真珠を作ろうとしていたのだ。しかし当然アサリなどで真珠ができるはずもなく、それを聞かされたのび太はすっかり落ち込んでしまった。しずかはのび太から真珠をあげると言われていたのだが、それを聞いたスネ夫達はできるはずがないとみんなに話し、聞いていたのび太は出るに出られなくなってしまう。そこへやってきたドラえもんはのび太を助けるために、「しんじゅせいぞうロボット」を使うことを提案し、それを聞いたのび太はすぐに真珠ができるとみんなに宣言した。
 ドラえもんの出した大きな貝の形をした道具は、どんな物でも入れればすぐに真珠にすることができる機械なのだ。のび太は早速材料の小石を集めてきたが、予想より早くみんなが着てしまったので、慌てたのび太は小石入れを放り出してみんなの元へ向かうが、それにぶつかったドラえもんは弾みで機械の中に落ちてしまう。みんなを連れてのび太が部屋に来るとドラえもんの姿が見えないので、のび太は慌てて機械を動かすと、中からドラえもんの形をした真珠が転がり出てきたのであった。  

 (解説)今話の真骨頂はやはりラストでのしずか達のリアクションでしょう。どっからどう見てもドラの形をしている真珠を見て、「まあ、きれい」と嬉しそうに話す姿はある意味怖いです(笑)。が、実にドラらしい締め方とも言えるでしょう。真珠の作り方についてわかりやすく説明しているという、読者にとってためになるシーンもありますね。こういう薀蓄をさり気なく盛り込んでいるのがドラのみならず、F作品の長所だと思います。
新聞社ごっこセット   FF23巻 10頁 小四78年6月号
 のび太が道を歩いていると野球ボールが転がってきたのでのび太は普通によける。するとジャイアンが現れて、ボールにつまづいて転ぶようのび太に無茶を言い出し、ついには自分でのび太を突き飛ばしてしまう。不思議がるのび太だが家に帰ってのんびり昼寝する。するとドラえもんが何かを読んで笑いながら部屋に入ってきた。それはスネ夫が新しく買ったコピー機を使って作った新聞だったのだが、そこには先程のび太が突き飛ばされた時の写真が、のび太がボールで転んだというデタラメの記事の中に使われていた。怒ったのび太は笑っていたドラえもんを非難し、話を聞いたドラえもんはこっちも新聞を作ろうと「新聞社ごっこセット」を出した。記者カバンからアンテナを伸ばすと事件が起きている方向を指し示し、旗を頭につけるとあっという間に現場に到着することが出来るのだ。早速ドラえもんはママがゴキブリを口の中に入れてしまった所をシャッターに取ると、カメラから写真と記事が同時に出てきた。しかしこんなものを新聞に載せるわけにもいかないので、のび太は自分で記事を探すことにした。しかし見つかる事件はネコが六つ子を産んだとか、飛行機のラジコンが墜落したとか小規模なものばかり。アンテナはいろんな方向を指し示すのでのび太も混乱してしまうが、そのうちのび太自身を指し示したのでのび太は思わず放り出してしまう。するとそこに先生がやってきて例の如くのび太を叱るが、先程のカメラを拾った友達がボタンを押してみると、その事に関する写真と記事が出てきてしまった。一応持って返った記事を新聞にしてみるものの、面白い出来にはなっておらず、ドラえもんはよい記事を探すようのび太にハッパをかける。そこでのび太は事件を起こしそうなジャイアンを尾行することにするが、そういう時に限ってジャイアンは何も悪いことをしないのでのび太は思わず文句を言ってしまい、誰かに写真を撮ってもらいたいと思いながら、のび太はジャイアンにぶん殴られてしまうのであった。  

 (解説)子供が自分達で新聞を作るというのは結構あることなので、そういう意味では子供の夢を叶える「こんなこといいな」の世界を素直に描いています。ラストのオチは面白いのですが、中盤に注目すべき所がないのが難点ですかね。しかしママはゴキブリを口の中に入れてしまったようだけど、腹は大丈夫なのだろうか(笑)?
水ぞくかんガス   CC1巻 6頁 小一77年7月号
 今度は水族館に行ってきたことを自慢するスネ夫。水族館に行ったことのないのび太はママに頼んでみるが、どうにも期待薄だ。そこでドラえもんは「水ぞくかんガス」を出してやる。これをガラスに吹き付けると、そこから海が見えるようになるのだ。試しにのび太の部屋の窓に吹き付けてみると、どこかの浅い海の中に繋がったようで、そこにはたくさんの魚がいた。もちろん窓を開けても魚などはいないのでのび太も驚く。
 のび太は面白がって家の鏡にガスを吹き付け、ちょうどママが鏡を覗き込んだ時にタコの姿が映ったので、ママは驚いてしまう。さらにのび太が居間の額や窓に吹き付けた所でお客が来たので、パパが居間で客と話をすることになる。しかし額には深海魚が、客の持ったコップにはタツノオトシゴ、窓には大きなサメが映ったので2人は仰天してしまい、その横でみんなが喜んでくれない事を残念がるのび太とドラえもんであった。  

 (解説)今話の面白さは脱力すること必至のラストのオチに尽きるでしょうね。家の中が大騒ぎになっているのに、『あまりよろこんでくれないみたい』と言ってのんびりその様子を見つめるのびドラの姿は、ある意味シュールにも見えます。窓に本当の海底の景色が見えるという、三次元空間を超越した世界観を作っているところもドラ世界ならではですね。
スーパーパワーゲン   7頁 小二73年11月号
 今日のおやつについてママに尋ねるのび太。しかし普段なら喜びそうなケーキを出されても、なぜかのび太は喜ばない。ドラえもんが理由を聞くと、腕相撲大会の商品にするとのことで、おやつをジャイアンの家に持っていかなければならないというのだ。ジャイアンが優勝することがわかっているにも関わらず、ジャイアン本人がそういう提案をしたというので、腹を立てたドラえもんは「強力スーパーパワーゲン」を出した。これを飲めば飲んだ数の分だけ、自分の力が自乗倍強くなるのだ。早速大量に飲み込んだのび太だが、30分経たないと効力が発揮されないらしい。
 のび太は薬が効き始める頃にジャイアンの家に辿り着くよう、のんびり歩いてジャイアンの家に向かうが、あまり遅いので怒ったジャイアンが迎えに来てしまったので、まだ時間が20分あるにも関わらずのび太は到着してしまう。それでものび太は何とか一番最後の番にしてもらうが、みんなは次々ジャイアンに負けていき、とうとうのび太の番になってしまった。のび太はトイレに行って時間を稼ごうとするがジャイアンに無理やり引っ張り出され、とうとう勝負をする羽目になってしまった。しかし勝負の最中に薬の効き目が効いてきたので、のび太は容易くジャイアンをやっつけてしまい、さらに友達4人と一斉に勝負しても勝ってしまった。
 喜んで帰ってきたのび太はドラえもんに礼を言うが、薬の飲みすぎでものすごい力を身につけているために、ちょっと叩かれただけでドラえもんは地面にめり込んでしまい、それからも床を踏み抜いたりママの服の袖を破いたり、くしゃみだけでパパを吹き飛ばしたりしてしまう。ドラえもんはパワーゲンの効果を消す薬を出そうとするが、なかなかその薬が見つからず、薬が見つかるまで家の外で待っているのび太は早くしてくれとせがむのであった。  

 (解説)道具を使った暴れっぷりを描写する類の話ではないので、全体的におとなしい感じがする話ですが、それだけに終盤の急展開?は目まぐるしく展開して面白いですね。自分が優勝すると確信しているからか、やたらとのび太を急かすジャイアンがいい味を出しています。
すなおなロボットがほし〜い!! FF31巻 8頁 小五80年11月号(すなおなロボットがほし〜い!)
 相変わらず宿題を忘れるのび太は、今度忘れたらぶっ飛ばすとまで先生に言われてしまうが、それでも例によってドラえもんに頼ろうとし、あげくにはのび太のためを思って道具を出さないドラえもんを「ロボットのくせに」と言って非難してしまう。素直なロボットが欲しいと考えるのび太は、おもちゃのロボットを引っ張り出していじり始めるが、もちろんのび太に改造など出来るはずもなく、窓から放り捨ててしまう。ところが、落ちてきたそのロボットに驚いた人がハンドルを切り損ねて、運転していた車を壁にぶつけてしまう。弁償も出来ずに困り果てるのび太を見たドラえもんは、その人にミニカーと「キカイソダテール」を渡す。ミニカーに薬を一時間につき一滴ずつ垂らしていけば、成長してそのうち本物の車になると言う。それを見たのび太は男から液を半分もらい、おもちゃのロボットにかけ始める。ロボットの成長を心待ちにするのび太だが、夜になって宿題をしていなかった事を思い出し、慌ててロボットに大量に液をふりかけてしまう。そのためにロボットは巨大化して暴走し、助けにきたドラえもんも吹っ飛ばされてどうしようもなくなってしまう。しかしその時、ロボットが何かにぶつかって吹っ飛ばされた。ロボットにぶつかったものは、やはり液をかけすぎて巨大になった、昼間の男の車であった。  

 (解説)うーむ、窓からポイ捨てというのは結構ファンの間でもネタになる話題ですが、まさかそれで実際に交通事故が起きてしまうとは、のび太も罪な事をしたものだ(笑)。今話はのび太のわがままによって騒ぎが大きくなってしまうという典型的なパターンなのですが、肝心の道具に今一つ存在感が希薄だったのが残念でした。それにしても今話の先生は怖いですな(笑)。


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