未収録作品さ行 その3


スベールガス   TCS4巻 7頁 小一81年9月号
 空き箱にキャスターをくっつけて、車を作る事に成功したのび太達。早速坂道を使って乗ってみる事にし、ジャイアンが最初に乗るが、ブレーキをかけられないので壁にぶつかってしまい、さらに急に道に飛び出したので自動車の運転手に怒られてしまう。白けてしまった三人は別れる事にし、のび太も家に帰るが、家ではママがすべりの悪いガラス戸と格闘していた。それを見たドラえもんは「スベールガス」を出し、ガスを戸に吹き付ける。すると戸は簡単に開くようになった。これは何でも滑らせることが出来るガスなのだ。のび太も足にガスをかけられ、ドラえもんに少し押されただけで滑って壁に激突してしまう。それでも面白がったのび太はドラえもんと一緒にすべり、外に出て楽しく遊ぶ。さらにしずかの運んでいたゴミを滑るようにしたり、ガソリン切れで動かない車を滑るようにしてガソリンスタンドにまで運んだりする。その時のび太は名案を思いつき、裏山へ向かって空き箱や板を準備し、それにガスを吹き付けて滑るようにしてから、上に乗って坂道を一気に駆け下り始めた。楽しく遊ぶ三人だが、それを見てうらやましがったジャイアンとスネ夫はドラえもんを捕まえてガスの事を聞き出し、自分達の足にもガスをかけてもらう。早速2人も山の上に上って滑り降りようとするが、足にガスをかけてしまったために滑って坂を登ることが出来ず、2人が苦しむ横で楽しく坂道遊びをするのび太達であった。  

 (解説)ラストのオチはそれなりに面白いのですが、それじゃあ最初に足にガスを吹き付けたのびドラはどうなんだ、という意地悪な突っ込みも頭に浮かんできてしまい、ちょっと素直に楽しめないかな、という感じもします。まあこれは個人レベルの話なんで、客観的に見れば定石にのっとった良作になっています。あと、冒頭でのび太とジャイスネが仲良く車を作っていますが、この三人の仲の良い描写が描かれるのは低学年誌に多い傾向で、普段の三人が普段なだけに、不思議とほのぼのした気分にさせてくれますね。
スモールライト   8頁 小一70年4月号
 壊れた戦車のおもちゃをドラえもんに直してもらおうとするのび太。理由を聞くと、ネズミが棚から落としてしまったのだと言う。ドラえもんは元通りに修理するが、のび太がこの戦車に乗れたらいいと言ってきたので、ドラえもんは「スモールライト」を出してのび太を小さくし、のび太を戦車に乗せる。のび太は楽しく遊ぶが突然階下からママの叫び声が聞こえてきた。
 ドロボウかと心配するのび太をよそに自身満々のドラえもんは早速ママを助けに行くが、ママが驚いていた相手の正体がネズミと知って、ネズミの嫌いなドラえもんはママ以上に大声で騒いでしまう。ネズミはのび太のおやつを食べてしまったので、怒ったのび太は小さい体のままで家の穴にマッチをもって入り込んで退治に行ってしまう。しかしドラえもんは怖くて後を追う事が出来ない。
 のび太はマッチをつけて辺りを見回すとそこは既にたくさんのネズミが取り囲んでおり、のび太は慌てて逃げるがついに追い詰められてしまう。ところがそこに戦車に乗ったドラえもんが駆けつけ、ネズミたちを何とか撃退する事に成功する。
 ネズミを退治したドラえもんはネズミなんか怖くないといばるが、パパが買ってきたネズミのおもちゃを見てやはり怖がってしまうのであった。  

 (解説)最近では「ドラえ本3」なんかに収録されて一気に有名になった、「ドラがネズミ嫌いであることが初めて判明する話」です。それ以外には目立つ点はあまりないのですが、伏線のうまい張り方やドラのオーバーすぎる驚き方など、随所にF先生らしい作劇が窺えて、素直に楽しめる作品になっています。
すること入れかえ機   TCS1巻 7頁 小二79年11月号(することいれかえき)
 ある夜、ドラえもんがタバコ屋の角で100円落としたから拾ってきてくれとのび太に頼む。ドブネズミがいたために近づけないという。面倒がって行かないのび太にドラえもんは「すること入れかえ機」を使ってのび太に取りに行ってもらう。自分と他人のしていることを移し変える事が出来るのだ。翌日しずかに自慢するのび太は逃げた鳥とそれを追いかける飼い主を入れ替えて鳥を捕まえる。それを見たスネ夫はのび太と入れ替わってしまう。留守番しなければならなかったので交換したのだ。しかし留守番をする必要はなくなり、のび太はおやつと小遣いまでもらう。一方スネ夫はのび太の家でママに0点をとったと叱られ、勉強させられる。ドラえもんの助言でもとに戻った2人。ところがのび太は、厳しく怒りすぎたとして、ママからおやつをもらうのだった。  

 (解説)ただで甘い汁は吸えない、と言った所でしょうか。この道具の能力の定義は少々難しいのですが、変形版の「トッカエバー」とか「入れかえロープ」といった所でしょうか。僕もたまにはこういういい思いをしたいなあ…(切実)。
世界平和安全協会   FF3巻 10頁 小六74年8月号(世界平和安全協会?)
 なにやら揉めているのび太とママ。ドラえもんが話を聞いてみると、のび太は一年分の小遣いを前借りしたいなどと言っているのだが、理由を聞かれると逃げ出してしまう。ドラえもんが聞こうとしても話してくれない。
 町ではのび太以外の子供達が妙なバッジをつけており、のび太も早くバッジをつけろと宣告される。ところがドラえもんが聞こうとしてもみんなすぐに逃げ出してしまうので、ドラえもんはのび太を追いかけることにするが、のび太はネズミと言ってドラえもんを追い返してしまった。
 ドラえもんから逃れたのび太は、古びたアパートの一室に入った。そこには2人の男がおり、「世界平和安全協会」への入会を勧めていた。だが実際は小学生から金を取れるだけ取り、金を払わなかったり大人に告げ口したような子供には陰で仕返しして怪我を負わせるという悪辣な連中なのだ。のび太は何とか金を払うと約束したものの、まるっきり当てがないので途方にくれる。
 そんなのび太にドラえもんは「白状ガス」をかけて真相を聞き出す。全てを聞いて怒ったドラえもんは「安全カバー」を取り出してのび太にかぶせ、そのままのび太に土管を投げつける。しかしのび太は無傷で土管の方が壊れてしまった。このカバーをつけていれば原爆が落ちてもキズ一つ負うことはないのだ。
 男達の所に向かったのび太は金の支払いをきっぱりと断わり、逆上した男たちは殴りかかるが逆に自分たちが痛い目にあってしまう。男達は諦めるがのび太は更に友達の分の金を返してもらおうとし、男達は無視することにするがのび太は様々ないたずらをして2人をどんどん追い込んでいき、結局男達は町を立ち去ることにして、金をみんなに返すのであった。  

 (解説)子供世界に乱入してきた悪い大人という構図は「コーモンじょう」や「トロリン」などで描かれていますが、今話に登場した2人組は悪辣さではトップクラスですね。お金を取るという視点では「コーモンじょう」に近いのですが、あちらが終始ギャグ調で展開するのに比べると、今話の方が少しダークな色彩も混じっています。こういった悪人に対抗しうる力を子供が持つというのも、ある意味子供の願望を描いていると言えるのかもしれません。
ぜったい安全がさ   TCS2巻 6頁 小一82年7月号(ぜったいあんぜんがさ)
 今日もまたノライヌやジャイアン達に追いかけ回されたのび太は、もう外に出ないことを宣言するが、早速ママに買い物に行くよう言われ、困り果ててしまう。そこでドラえもんは「ぜったい安全がさ」を出し、これを持っていくように勧めるが、雨が降っているわけでもないのにと、のび太は断ってしまう。だが歩き始めるとすぐにジャイアンやイヌを見かけ、のび太は身動きが取れなくなってしまった。そこへ駆けつけたドラえもんはかさを渡し、言われるままに傘をさしてみると、のび太の下に向かってきたイヌがかさによって吹き飛ばされてしまった。この傘をさしていればどんな危険からも持ち主を守ってくれるのだ。早速しずかに見せびらかす事にしたのび太は、しずかも誘って空き地にいるジャイアン達の下に行き、襲いかかってくるジャイアン達をかさで吹き飛ばしてしまう。それからもかさはぶつかりそうな野球ボールを打ち返したり、車にぶつかりそうになると空高く舞い上がったりしてのび太を守り、のび太は上機嫌で家に帰ってきた。しかしのび太は買い物の事をすっかり忘れていたのでママに叱られ、もう一度かさを借りようとしてドラえもんにも怒られてしまうのであった。  

 (解説)短いページ数でよくまとめられていると思います。道具もその効力を如何なく発揮しており、オチも含めて平板ではありますが楽しい作品と言えるでしょう。カラフルな道具のデザインもカラー原稿ならではの物ですね。
セルフアラーム   10頁 小三89年5月号
 眠くてあくびをしながら下校するのび太はジャイアン達から野球に誘われても行く気がしない。しかししずかからクッキーを食べて欲しいと誘われると途端に喜び、4時に行くと約束する。しかしそれでも眠いのび太は昼寝をして寝過ごさないようにとドラえもんに頼み込み、ドラえもんは「セルフアラーム」を出した。時間を設定する事で出てくる薬を飲むと、自分自身がアラームになってしまうのだ。のび太は試しに宿題とジョギングを夜中に行うと想定して、タイムふろしきを腹にかけてそこだけ時間を進めると、宿題の時間には先生の声でのび太がしゃべり、ジョギングの時間になると足が勝手に動き出した。
 ドラえもんはミーちゃんとの約束があるので出かけ、のび太はもう少し実験する事にしてママでテストする。ママは8時から放送される泣ける映画を見たいとのことなので、ママに薬を飲ませてタイムふろしきで時間を進めると、その時間にママは泣き出してしまった。
 のび太もようやく寝ることにするが今までの騒ぎですっかり目がさめてしまい、外で時間をつぶす事にする。だがジャイアン達につかまってしまい、野球をする羽目になってしまう。約束の4時になるとのび太はしずかの声で叫んだので急いでしずかの家に向かうが、それを怪しんだジャイアンとスネ夫は後をつける。ところがその途中でのび太はママから、20分後に風呂のガスを止めるように言われてしまい、思わずクッキーの事を叫んでしまったのでジャイアン達にばれてしまった。
 とりあえずアラームをセットしてしずかの家に向かうが、しずかの家には出木杉も来ており、のび太はあまりいい気分がしない。そこへしずかがクッキーを持ってくるがその時20分が過ぎてしまい、時間を知らせるアラームである特大のオナラをのび太がかましてしまったので、あまりの臭さにみんなが苦しむ中でのび太は家に向かうのであった。  

 (解説)自分自身を目覚ましに、しかも目的の事に関連した物を発するというのは結構新鮮で楽しいアイデアですね。終盤までその道具による騒ぎが続きますが、ラストのオチがいきなり下ネタになってしまうとは度肝を抜かれました。最後期の作品でここまでの下ネタオチも珍しいのでは?最後のガスの表現といい、かの珍作「メロディーガス」に匹敵するような下品さ(笑)がいい味を出しています。
戦車ズボン   TCS1巻 6頁 小一82年6月号
 ジャイアン達とサッカーで遊んでいて、ズボンを汚してしまったのび太は、『もう、ズボンはありません。』とママに言われ困り果てる。そんなのび太にドラえもんは「戦車ズボン」を出す。心で思ったとおりに壁も天井も走れ、ポケットもおしっこする所もついているのだ。遊びに行ったのび太はジャイアンをからかい、今度はジャイアンの服を汚してしまう。ドライブして楽しんでいたのび太だったが、トイレに行きたくなってしまう。結局もらしてしまったのび太にドラえもんは『もうズボンなんかないよ!!』と叫ぶのだった。  

 (解説)この話の面白さは道具そのものよりも、ラストのオチに尽きるでしょう。『ドラえも〜ん。』と呼ばれ『?』と走りよるドラえもんの次のコマで、おしっこをもらすのび太に『よるな、よるな。』と逃げるドラえもんのこのギャップには大笑いです。しかしおしっこを戦車の砲身部分から出すなんて、機能性に問題があるのでは(笑)?汚れた戦車ズボンを、嫌な顔をしながら持つママも笑えます。服が汚れ、『かあちゃんに、しかられる』と言って泣いてしまうジャイアンには、さすが「小一」と思わされます。
潜地服   FF3巻、CC3巻 7頁 小三72年6月号(せん地服)
 協力して戦艦の模型を作り上げるのび太たちだが、そこへやってきたジャイアンに取り上げられてしまう。のび太は何とか取り戻そうとするが逆に殴られてしまい、話を聞いたドラえもんも怒って「潜地服」を出した。これをつけると地面の中を水のように潜ることが出来るのだ。部屋のタタミの中で泳ぎの練習をしたのび太は模型を取り戻しにジャイアンの家に向かうが、その際に一階を突っ切って地面に潜ったためにママたちが驚いてしまう。ジャイアンの家を目指すのび太は間違えてしずかの風呂場に闖入してしまうが、それでも何とかジャイアンの家に到着し、庭の木をつたって部屋に侵入する。ジャイアンの隙をついて手始めにおやつの大福を盗んだのび太は次に模型を奪い取る。混乱したジャイアンはタタミをシャベルで掘り出したので母ちゃんに驚かれてしまう。家に帰ってきたのび太はドラえもんに服を脱がせてもらおうとするが、なんとジッパーが壊れたために服が脱げなくなってしまい、他に脱ぐ方法を考えるドラえもんの傍らで、泳ぎ疲れたのび太は溺れそうになってしまうのであった。  

 (解説)地面を海に見立てて泳ぐ道具というのは「ドンブラ粉」を始めとしてたくさんのものがありますが、今話ではその元祖的な道具が登場しています。道具以外にも大福のことでジャイアンが母ちゃんに叱られたりして、細かい描写が光っています。あと今話ではのび太は「泳げる」というのが前提になっているようですね。
そくせき海つくり機   8頁 小二83年9月号
 夏が終わってしまい、今年も泳げるようになれなかったことを悔やむのび太。もっと練習させようとドラえもんは「そくせき海つくり機」を出す。深さを設定し、特殊なメガネをかけると水が感じられるようになるのだ。結局浮き輪なしでは泳げないものの、部屋の外に出て楽しく泳ぐ2人。それを見たジャイアンとスネ夫はうらやましがる。しずかに会った2人はしずかにもメガネを貸し、のび太と2人で水面に浮かんで遊ぶ。そこを捕まえたジャイアン達はのび太達からメガネを奪って遊んでしまう。しかしその頃、部屋のそくせき海つくり機をママが倒してしまった。そのためにだんだん水が減っていき、ちょうど公園の池の上にいた2人は、本当の水に驚いて溺れてしまうのであった。  

 (解説)空を泳ぐように飛ぶ。これは藤子Fマンガに共通する世界であり、作者の夢とも思われます。それを実現する「架空の海」という設定は初期から何度も出てきますが、完全なものとしたのはこれが始めてではないでしょうか。「ソーナルじょう」ほどのアクの強さはありませんが、素直に楽しめる一編です。
そくせきおとしあな   3頁 小一71年4月号
 ドラえもんは輪のように結んだひもを出した。そこにのび太を来させてみると、のび太は輪の中に出来た穴に落ちてしまう。これは「そくせきおとしあな」なのだ。ママを落とし穴に落として楽しんだ2人は表に出かけるが、現れたジャイアンとスネ夫がひもを奪い取って電車ごっこを始めてしまい。そのまま2人は出来た穴に落ちてしまうのであった。  

 (解説)「鉄人兵団」で一気に名を上げた道具の初登場ですが、短いページの中に良くまとまっている内容になっています。オチも想像はつくのですがやはり笑ってしまいますね。
そっくりかかし   7頁 小二81年4月号
 家の前で2本のつくしを見つけたのび太。のび太とドラえもんはこのつくしをそのままにしておくことにするが、つくしを摘んでしまおうとする子供がやってくるため、のび太は玄関でつくしを見張る。しかしママから宿題をするように言われてしまい、それならとドラえもんはゴム風船のような「そっくりかかし」を取り出した。これに空気を吹き込むと、吹き込んだ人とそっくりになって見張ってくれると言うのだ。
 早速のび太が吹いてみると本当にのび太そっくりとなり、つくしを取ろうとする子供たちを追い返した。かかしのことを気にしながら宿題を始めるのび太だが、ちょうどそこにスネ夫がやってきた。のび太のかかしをまったく怖がらないスネ夫は、逆にかかしをやっつけてしまい、つくしを1本持ち去ってしまう。
 ドラえもんはもっと頼れるかかしを作るために、ジャイアンをだまして息を吹き込ませ、ジャイアンのかかしを作り上げる。ジャイアンかかしは本物同様に力も強いので、再び取りにやってきたスネ夫を簡単に退治してしまった。
 これを面白がったのび太は調子に乗って、つくしのことを言いふらしては取りに来た子供達をジャイアンかかしに退治させてしまう。しかし今度は間違えて本物のジャイアンにそのことを伝えてしまい、本物とかかしのジャイアンは大ゲンカを始めてしまう。
 ケンカはかかしの空気を抜くことで解決したが、いつまでたっても宿題をしないのび太にママが怒り出し、ママは自分のかかしを作ってのび太を見晴らせてしまう。ママのかかしに絶えず見張られ困り果ててしまうのび太であった。  

 (解説)導入部につくしを持ってきたりして、始まりは穏やかなのですが、それだけに中盤からの大騒ぎのギャップがすごいですね。叫び声しか上げないかかしのエキセントリックぶりがなかなか面白い一方、空き地で座っているジャイアンに歌を歌わせていたりと、細かい部分での遊びも良い味を出しています。
そっくりペットフード   10頁 小四90年10月号
 未来道具のチラシに人面犬が載っているのを見て仰天するのび太。これは、動物に食べさせると食べさせた人そっくりの顔になるという「そっくりペットフード」の宣伝チラシだった。興味のないドラえもんはチラシを捨ててしまうが、のび太はこっそり道具をタイムメールで注文してしまう。
 早速しずかのカナリヤに食べさせてみると、カナリヤはしずかそっくりの顔になったが、しずかは気味悪がって元に戻すよう騒ぎ、その拍子で鳥かごを倒してしまったためにカナリヤは逃げてしまった。
 探しに行ったのび太は、途中で出会ったスネ夫に事の次第を話すと、スネ夫は強引にのび太を家に連れて行ってしまう。池のコイを人面魚にしてマスコミを呼ぼうと考えたのだ。脅されてのび太は仕方なくペットフードを渡し、成功して喜ぶスネ夫はテレビ局に電話する。
 のび太が再びカナリヤを探しに行く一方、のび太の家にペットフードの代金受取人が現れ、何も知らなかったドラえもんは仰天する。ドラえもんはのび太と合流し、ペットフードの効果を消す「復元フード」を持ってカナリヤを探しに行く。しかしその際、知らないうちにドラえもんが持っていたペットフードが空からばら撒かれ、それを食べたイヌやネコ、果てはジャイアンまでもがドラえもんの顔になってしまった。
 ようやくカナリヤを捕まえて元に戻した2人。スネ夫は取材がこないことを不思議がっていたが、マスコミはドラえもんの顔をした「変面動物」の取材に駆け回っており、ニュースでその事を知った2人は責任を擦り付け合ってケンカしてしまうのであった。  

 (解説)動物がそっくりそのまま、しずかやドラの顔になってしまうところが、初期作に匹敵するくらいのナンセンス性をかもし出しています。今話は作劇云々よりも、ドラの顔になってしまったイヌやネコやゾウ、ジャイアンの姿を見て、大いに笑いましょう。セリフ上ではワニ、ゴリラ、カラス、ゴキブリもドラ顔になってしまったようで、それも見てみたかったですね。鳥の姿をした受取人は「チンプイ」の影響か(笑)?
空高くたこを落とせ   FF7巻 7頁 小三78年1月号(ドラえもん式たこあげ術)
 お正月、たこを作ったドラえもんは遊びに行こうとのび太を誘うが、のび太は行きたがらない。たこあげが出来ないからだとドラえもんに言われ、図星ののび太だが躍起になって否定する。そこへおばさんがやってきたのでのび太はお年玉をもらいに行くと、おばさんの子供と遊ぶことになってしまう。その子はたこあげがいいと言うのでのび太は遊びに行く羽目になるが、やはりたこは上がらない。ジャイアン達にはバカにされ、子供には泣かれてしまってふんだり蹴ったりののび太だが、そんなのび太にドラえもんは「どこでも落っこち機」を渡す。これをつけてスイッチを押すと、矢印の向いている方向に重力が働いて「下」になるのだ。早速矢印を上向きにしてたこにつけると勢い良く上がった。そこでのび太はもっと道具を出してもらって自分がそれで空を飛んでしまう。子供を放って遊ぶのび太の姿を見て呆れるドラえもん。のび太は羽つきをしているしずかに悪戯をしたりするが、飛んでいる最中にポケットに入れていた他の道具が落ちてしまった。おかげで道具をくっつけてしまった色々な物が飛び交うようになってしまい、のび太は後始末でへとへとになりながら家に帰ってくる。おばさんはとっくに帰ってしまっていたが、ドラえもんがお年玉を預かっていたので、それをポケットに入れてのび太は出かけようとするが、偶然ポケットに残っていた道具がお年玉袋にくっついた上にスイッチを押してしまい、移動するお年玉をのび太は追いかける羽目になってしまい、ドラえもんはいい運動になると静観するのであった。  

 (解説)重力の方向を変える道具としては、今話の道具が一番使い勝手がいい感じがしますね。いろんなものが空を飛び交うコマは見ていて笑えます。ラストのオチものび太らしい間抜けさを出していて楽しめるものになっていますね。自分そっくりのたこを作るドラも自意識過剰と言うか何と言うか(笑)。
空飛ぶ荷ふだ   FF8巻 5頁 小一76年1月号(そらとぶにふだ)
 小包を送るために荷ふだをつけているママ。ドラえもんはもっといいものがあると言って「空飛ぶ荷ふだ」を出した。宛先を書いて荷物につけると、なんと荷ふだが回転して飛んでいってしまった。ママは慌てるが少し経つと送り先である田舎のおばあちゃんから無事に届いたと電話が来た。ドラえもんはさらにいろいろなものをいろいろな所に送り、それを見たのび太は自分もやってみたいと言い出すが、もう送るものはないとママは言う。ママがスーパーへ買い物に行くことを聞いたのび太はスーパー行きの荷ふだをママにつけてしまい、ママは悲鳴をあげながら飛んでいくが、のび太にはそれが悲鳴だとわからない。のび太はさらに空き地ではしごに板をつけた飛行機を作り、それに荷ふだをつけてふたご山まで行くことにする。いつものメンバーで山に向かい楽しく遊ぶが、帰る時になって荷ふだがなくなっていたことに気づき、5人は歩いて帰る羽目になるのであった。  

 (解説)後年の「どこでも風船」と同じ発想の道具で、オチもまったく同じですね。ですが話の流れ自体は異なっていますので、まったく別の話として楽しむことが可能です。のび太がママに荷札をつけてしまうのがすごいですが、ママの悲鳴を喜んでいるものと勘違いするあたりは初期ののんびりとした性格ののび太を彷彿とさせますね。比較的素直に楽しめる一編です。
空まです通しフレーム   10頁 小四91年1月号
 なぜかのび太の友達のマナブに対してツンツンした態度を取る倉井くん。それを見かけたのび太が理由を聞いてもマナブにもわからないという。のび太も疑問に思うが冷え込んできたのでそれ以上は考えずに家に戻る。しかし帰るとすぐにママから庭の落ち葉掃除をするように言われてしまい、のび太は先に掃除していたドラえもんの所に向かうが、なぜか庭は暖かかった。ドラえもんは空気層や雲を素通しして宇宙空間がそのまま見えるようにする「空まです通しフレーム」を使っていたのだ。掃除を終えた2人は部屋に入るが外よりも部屋の中のほうが寒いので、部屋の天井にもフレームを張って陽の光を取り入れる。ママにお使いを頼まれたのび太はドラえもんから傘状にしてもらったフレームをもらって出かけるが、途中でしずかに出会ったのでそれを渡してしまい、ドラえもんからもう一個フレームをもらうが今度は噂を聞いたジャイアンやスネ夫もやってきてしまったので、のび太はドラえもんからフレームを全部もらって、欲しがるみんなに空き地でフレームを配っていく。上機嫌で家に帰るのび太だが買い物をすっかり忘れてしまっており、空き地に忘れた買い物かごは倉井くんが届けてくれたことを聞いて、のび太はお礼を言いに彼の家に向かう。彼の家はマナブがすんでいる超高層マンションの裏に建っており、ちょうどマンションの影に入ってしまっているために日光が届かず、家中が暗くなっていた。そのために倉井くんはマナブにツンツンした態度を取っていたのだ。のび太は自分の部屋に使っていたフレームを倉井くんにあげるが、そのせいでフレームは全部なくなってしまう。しかしその夜、おもらしをしてしまったのび太は布団を乾かすためにまたフレームを出してくれとドラえもんに頼むのであった。  

 (解説)F先生の後期のお気に入り?マナブが三度目の登場を果たしてます。それはともかく、話自体は「カッカホカホカ」とほぼ同じ流れですね。もっともこちらの方がオチに一捻り加えてありますが。どっちの話も道具を使ってゲストの友だちの窮状を救うと言う、心優しいのび太ならではの好エピソードで好感が持てます。しかしあのマンション、建てる前に日照権の問題を解決しておかなかったのだろうか(笑)?


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