未収録作品た行


ターザンパンツ   32頁 てれびくん77年8月号
 スネ夫からサファリパークの自慢話を聞かされたのび太は、本物のアフリカ園を作ると言いだし、ドラえもんに提案する。早速どこでもドアでアフリカに行くが、あまりに広いので動物を見つけられない。それでもと頼み込まれたドラえもんは「桃太郎印のきびだんご」を出し、のび太はそれを平原にばらまいた。そこへやって来たみんなをアフリカに連れて行くが、やって来た動物はきびだんごを全部食べてしまったゾウ一匹だけだった。とりあえずみんなを遊ばせて、もっと動物を集めるためにきびだんごの代わりに「ターザンパンツ」を出すドラえもん。これをはくとターザンのように力が強くなり、動物とも話せるようになるのだ。動物を集めに行くのび太達だが、飽きてしまった他の三人はジャングルへ行ってしまう。一方ののび太は動物集めに苦戦しており、動物語を話してもうまくいかない。その時ジャングルの方から不気味な音が聞こえ、土人がしずか達をさらっていったことを鳥から聞いたのび太はゾウを引き連れて救出に向かう。しかしゾウは食べ過ぎで走れないと言うので、「ターザンロープ」を使って枝を渡るが、その時のドラえもんを突き落としてしまう。土人の村へやって来たのび太は多勢に無勢と諦めようとするが、静香が食べられそうになるのを見て発起し、突入する。しかしパンツが木の枝に引っかかって脱げてしまい、鍋の中に落ちてしまう。パンツをはいたしずかは叫び声をあげるが、その声が「動物たちみんなこい。ターザンといっしょにたたかえ」という意味だったので、動物たちは土人の村に突入し、何とか全員助かった。パンツを返してもらおうとするのび太から逃げるしずかを見て、『女ターザンだ、かっこいい。』と呟くジャイアンであった。  

 (解説)全体的に間延びした印象で、32ページという総ページ数を持て余している気がしなくもないですが、てんコミ収録版の「ターザンパンツ」と同じようなネタを散りばめながら、ほぼ別の話に仕上げているのはさすがと言うべきですね。恐らく余程のことがない限りは復刻されないでしょうから、貴重な作品でもあります。何故か動物たちと一緒に突入するドラが面白い(笑)。
 なお、文中に登場する「土人」という言葉は、現在では差別用語に適用されておりますが、ここではオリジナルの原作を尊重するという筆者のコンセプトに基づき、原文のまま使用させて頂きました。あらかじめご了承ください。
台風遊び   CC4巻、TCS4巻 7頁 小一79年9月号(たいふうあそび、CC時『たいふうと遊ぼう』)
 今夜上陸するという台風を怖がるしずか達を見て、自分も怖くなってしまったのび太は急いで家に帰るが、なぜかドラえもんは嬉しそうな顔だ。ドラえもんは「台風ネット」を出し、町全体を目に見えない特殊なバリヤーで覆って、台風による実害を防ぐ事にする。そして夜、台風が上陸して、そのすさまじい音が怖くてのび太は寝付くことも出来ないが、その時ドラえもんが起きてきて、遊びに行こうと言い出した。服を着替えたのび太に「安全ガス」を吹き付けたドラえもんはしずかも誘う事にし、三人で強風の吹き荒れる台風の中に飛び出した。ガスの力で何とも感じない三人は空き地へ行き、ドラえもんの出した「風乗りヨット」に乗って、大風の中を飛び始める。さらに三人はイカリを降ろしてヨットを止め、空中を泳ぎ始める。吹き荒れる風に身を任せて空を楽しく泳ぐ三人。三人は風に乗って雲の上にまで飛び出て、日の出を拝む。夜明けと共に風が弱くなってきたので三人は地上に帰ることにした。そして朝、怖くて眠れなかったというジャイアンとスネ夫に対し、楽しくて眠れなかったと話すのび太としずかであった。  

 (解説)脅威の対象である台風を使って楽しく遊ぶ。なんという逆転の発想でしょうか。ある意味ナンセンスの世界と言えなくもないですが、今話は台風の中で楽しく遊ぶという夢をストレートに作品内に投影しており、何とも清々しい出来栄えになっています。風に乗って空を飛ぶのびドラの楽しそうな姿がこの上なく魅力的な一編です。
タイム手ぶくろとめがね   8頁 小三85年11月号
 またジャイアンにマンガを取られてしまったのび太。相変わらずの情けなさを嘆くドラえもんだがそれでも「タイム手ぶくろとめがね」を出してやる。めがねで覗いた過去や未来の空間のものに手ぶくろで触ることができるのだ。試しに5分後の世界から、ママが買ってきたドラやきを取ってみるドラえもん。5分後に帰ってきたママはドラやきが消えたので驚いてしまった。
 ジャイアンはスネ夫に例のマンガを貸していたが、それを見ていたのび太は先回りして3分後の世界からスネ夫の持つマンガを奪い取る。3分経ってスネ夫の驚く様子を見とどけたのび太はジャイアンに仕返しすることにし、釣りに出かけた姿を見たのび太は池で15分後の姿をめがねで見て、ジャイアンを散々殴って池に落としてしまう。すると15分後にジャイアンはその通りになってしまった。
 喜んでめがねを覗きながらのび太が歩いていると、目の前で自分が空き缶につまずいて転ぶ姿が映った。今のうちに空き缶を捨てておく事にするのび太だが近くにごみ箱がないので、仕方なく近くの家に投げ捨てる事にしてしまう。しかし家の人がすぐに外に捨て、通りかかった子供が空き缶を蹴飛ばしてしまったために、しずかに道具を見せようと走っていたのび太はかっきり15分後に転んでしまうのであった。  

 (解説)オチだけ見ると「タイムふしあな」と同じですが、そこに至るまでの過程は当たり前ですがまったく異なっているので、新鮮な気持ちで楽しむ事が出来ます。ジャイアンが勝手に殴られて池に落ちてしまうところなんかは何度見ても笑えますね。通行人の中に「チンプイ」のエリっぽい人がいるのはご愛嬌でしょうか。さり気なくゴミ問題について触れているのもさすがですね。
タイムテレビ   8頁 小一70年3月号
 道を歩いていたのび太は突然後ろから「22世紀のマジックハンド」でドラえもんに掴まれてしまう。ドラえもんはそちらに進むとのび太が犬にかまれると警告し、何故それがわかるのか不思議がるのび太に「タイムテレビ」を出した。未来の出来事を映すこのテレビには、のび太が犬にかまれている姿が映し出されていた。のび太は慌てて反対の道を行くが、そこで再びドラえもんは方向転換を勧め、今度はお金を拾う場面をテレビに映した。すると本当にのび太はお金を拾ってしまった。
 のび太は友だちの未来も調べる事にし、みんなを呼んでからテレビを見てみると、ジャイアンは2時50分頃に怪獣に食べられ、スネ夫は3時ごろ家にドロボウに入られ、しずかがそのドロボウをつかまえると出た。さすがに3人ともにわかには信じないが、ドラえもんはウソだったら百万円出すだの針千本飲むだのと言ってしまったので、スネ夫とジャイアンは喜んでお巡りさんを呼んでから家に帰る。
 お巡りさんがいるせいか3時になってもドロボウは来ず、2人はのび太達を追いかけ始める。しかし2人が避けた弾みで、ジャイアンは立てかけられた怪獣映画の看板のちょうど怪獣の口の部分に突っ込んでしまい、ちょうど怪獣に食べられた形になってしまう。さらにスネ夫の家の時計は進んでおり、今がちょうど3時だったのだ。既にドロボウは入ったあとでスネ夫も追いかけるが、偶然現れたしずかの縄飛びの縄がドロボウの首を絞める形に絡み付いてしまい、ドロボウはそれが元で捕まった。結局すべてタイムテレビのとおりになったので、3人も降参するのであった。  

 (解説)骨子としては「ドラえもんの大予言」とほぼ同じなのですが、ページ数が少ない分、こちらの方が展開がテンポよく進んで読みやすいですね。「ドラえもん〜」のように立て続けにギャグの応酬があるわけではないですが、こじつけギャグ全開のこちらの話も小品ではありますが楽しい作品です。
タイムドリーマー   10頁 小四88年10月号
 軽々とジャイアンをぶっ飛ばすのび太。それを見てスネ夫は逃げ出し、しずかはのび太を見直すが、その時のび太は自分が「ノビターマン」であると正体を明かす。だがこれはもちろんのび太の夢で、昼寝している所をドラえもんに起こされてしまったのび太は怒り出してしまう。あまりにうるさいので仕方なくドラえもんは「タイムドリーマー」を出した。これを使うと前に見た夢をもう一度見直す事が出来るのだ。タイマーをセットしたのび太はまた夢を見始め、ドラえもんは「モニターめがね」でその夢を覗いてみる。上機嫌で目を覚ましたのび太に、ドラえもんは夢をテープに記録しておいた事を話す。のび太はドラえもんが今までに記録した夢をいくつか見せてもらう事にするが、ドラやきのなる木を作ったり、財布を届けたお礼にドラやきをもらったりとドラやきの夢ばかりなので飽きてしまう。しかしのび太は、財布を届けた夢と同じ事がつい最近起こった事を不思議に思って聞いてみると、この機械を使えば夢を正夢にすることが出来るのだと言う。早速のび太はノビターマンの夢を正夢にしてもらおうと考えるが、もっと現実的なものでないと正夢には出来ないとドラえもんは話す。それでもとやってみると、なんと正夢になってしまった。気を良くしたのび太はみんなを空き地に呼び出してジャイアンに勝負を挑むが、夢とは逆にぶっ飛ばされてしまう。しかしのび太は奮起してついにジャイアンをぶっ飛ばし、ノビターマンになったのび太は現実になった事を喜ぶが、実はこれはのび太が最初に殴られて気絶した時に見ている夢だった。気絶している間に見た夢も一つの「現実」なのだ。釈然としないのび太は家に帰る時もブツブツと愚痴を言いまくるのであった。  

 (解説)よく最後期作はパワーダウンしていると言われていますが、なんのなんの、こういう話を読むとまだまだドラの持つ底力と言うべきものは失われていなかったんですね。そう考えてしまうくらいの快作です。つまり夢の中の出来事を現実にしたのではなく、同じ夢をもう一度見ると言う事を現実にしてしまったわけですね。ここにも「うつつまくら」で打ち出されたドリームパラドックスの雰囲気が十分に生きていて、面白いものになっていますね。
タイムふろしき   7頁 小二78年11月号
 木の葉を拾ってテレビゲームを買うと言う男の子に出会ったのび太は慌てて自分も買いに行く。しかしそれは子供達のお店やさんごっこだった。子供に八つあたりするのび太をバカにするジャイアンとスネ夫。帰りに壊れたテレビゲームを拾ったのび太はドラえもんに「タイムふろしき」を借りて新品に戻し、子供達に自分が買いに来たらこれを売るように頼む。再び木の葉で買いに行き、本物を変えたことでジャイアンたちは驚く。自分たちも買えなければ殴ると言われたのび太はタイムふろしきでゴミ捨て場のゴミを新しくして子供たちの店に置く。その噂を聞いて客が大勢来たため、ドラえもんは埋立地ゴミ捨て場からたくさんのものを持ってきて売り始めた。しかしそのために本当の店の品物が売れなくなってしまったと苦情が来たのでやめることに。その時、空き地の隣に住む人から集まった枯葉を捨ててこいと怒鳴られるのだった。  

 (解説)既存の道具を使って全く新しい話になっていますが、「タイムふろしきで新しくしたものを売る」という考えは以前(てんコミ2巻)と変わっていませんね。リサイクル問題をテーマにしているような気もします。しかし、空き地の隣に住んでいる人はなんでこわいおじさんばっかりなんだ(笑)?
タイムマシン   FF5巻 7頁 小三72年8月号
 これから江ノ島へ海水浴に行くというので表で浮かれるのび太。ところが友達もみんな同じ場所に行くと聞いて、のび太は海水浴行きを取りやめてしまう。のび太は泳げないのでみんなの前で恥をかきたくなかったのだ。夏の暑さを疎んじるのび太は「冬がいい」などと言い出すが、自分勝手な行動を取るのび太をドラえもんも相手にしない。ところが一旦部屋を出てからまた出会ったのび太は「夏はいい」と言い出し、スイカを食べた後再び海水浴に行こうと言い出す。パパ達は準備をするが、そこにまたやって来たのび太はなぜかスイカを食べていないと言い、さらにまたもや海水浴には行かないと言い出すので、口論を起こしてしまう。ドラえもんにもわけがわからない。暑さにウンザリしたのび太はタイムマシンで半年後の冬の世界へ行くことにし、ドラえもんの制止を振り切って向かう。そこに行ったのび太は冬の寒さを感じて喜び、お餅を食べた後にスキーに行こうと言い出す。ところが未来のドラえもんは今ののび太が過去の夏に行っていることを告げた。過去から戻って来たのび太はお持ちがなくなっていることに文句をつけ、さらにスキーに行こうとしているパパ達に怒り始めた。このときののび太も夏と同様の理由でスキー行きをキャンセルしており、同じことを繰り返す自分の間抜けさにのび太は幻滅してしまうのであった。  

 (解説)タイムパラドックスとはちょっと違った趣向の話ですが、半年経ってもまったく行動パターンが変わらないのび太の間抜けさをユーモラスに描いています。自分同士が同一時間上で入り乱れることによって発生するドタバタというのはドラならではのものですね。
宝さがし   FF2巻 13頁 小五74年1月号
 正月早々、とある山のてっぺんで宝物を見つけるのび太とドラえもん。だがそれはもちろんのび太の夢で、のび太は金を借りに来た親戚のムナシおじさんに起こされてしまう。もう一度寝ようとするのび太の下に、ドラえもんが慌てた様子で未来から戻って来た。未来の会社でアルバイトをしていた時に現在の日記を見つけ、それに宝物を埋めたことが書かれている事を発見したのだ。早速書かれている山中峠に向かう2人だが、どこを掘り返しても見つからない。諦めて家に帰る2人だが、夜になってもう一度見返すと宝を埋めた日づけは、ちょうど翌日のものであることがわかる。日記に書かれた文章を手がかりに六角ビルに向かう2人だが、警官に見つかったりして夜まで待つことが出来ないので、「実景プラネタリウム」を使って朝の景色を映し出し、ビルの影の先端部分にあるアパートに向かう。日記ではそのアパートに宝を埋める住人が住んでいるはずだが、「宝さがし機」で調べても反応がない。そこへムナシおじさんが現れる。おじさんはここのアパートの住人だったのだが、もちろんおじさんにも一笑に付される。しかし2人は部屋で同じ日記を見つけたのでようやくおじさんも信じる気になり、もしかしたらお金が手に入るのかもしれないと色めき立つ。ところがずっと待ってみても何も起きない。そこへおじさんに電話がかかってきて、仕事を頼まれたおじさんは急いで山中峠に向かう。映画俳優のおじさんは山中峠に宝物を埋めるギャングの役を演じることになり、それを見て意気消沈するのび太とドラえもんであった。  

 (解説)現在の視点で見ると「いつでも日記」や「ツチノコさがそう」などの展開を織り交ぜて作った話と見ることも出来ますが、日記に書かれた文章から持ち主の所在を突き止めるまでの展開は推理小説のように描かれており、見ていて楽しいものになっています。なお初出時、及びFFランド収録時では「百年後の世界」とドラが言っていますが、これは当時の設定を考えると仕方ないことですね。それにしてもパパに親戚は何人いるんだ(笑)?
たからさがしに行こう!   7頁 小二78年1月号
 家の中でゴロゴロしながら餅をほおばるのび太とドラえもん。そんな姿を見たパパは、自分が子供の頃はマラソンや寒中水泳で体を鍛えた思い出を話し、のび太を外で遊ばせようとするが、出不精ののび太はまったく動こうとしない。
 パパの話を聞いたドラえもんは何とかのび太を外で遊ばせようと、「たからの地図さがしき」を出した。文字通りこれを使って宝の地図を探し出すことができるのだが、のび太はそれさえも面倒がって地図を探そうとしない。しかしドラえもんもその程度のことは見越しており、あらかじめ見つけておいた地図を幾枚か取り出し、宝探しに行こうとする。しかしのび太はここでも面倒がって、結局どこでもドアで宝のある場所へ行くことになった。
 2人は宝が埋まっているという「みだが原」へ向かうが、寂しい野原であったという当時の面影などまったくなく、現在は団地がそびえ立っていた。さらに「たからさがしカウンター」を用いても宝は発見できない。既に宝は掘り出されていたと近所の人に聞き、2人は仕方なく帰宅する。
 続いて南の島へ向かう2人だが、今度は宝があまりにも地下深くに埋められていたため、最初こそやる気のあったのび太も早々に飽きてしまい、その態度にさすがのドラえもんも怒って立ち去ってしまった。
 のび太は改めて、黄金を積んだまま沈んだ船の宝を見つけるため、深く考えずにどこでもドアで向かおうとするが、船が沈んでいるのはもちろん海の底であるため、ドアを開けた瞬間に海水が大量に流れ込み、のび太だけでなくパパやママも水をかぶってしまった。怒って追いかけてくる2人から逃げるため、必至に走り回るのび太を見て、結局マラソンと寒中水泳をやる羽目になったと呟くドラえもんであった。  

 (解説)冒頭とラストのオチがぴったり結びついている、ドラ作品のお手本のような展開の話ですね。それ故に展開そのものに新味が感じられないのは残念ではありますが、宝を見つける苦労を思いっきり省いたり、残り2メートルまで掘っておいて宝を諦めたり(つまり宝は目の前にあるのに!)と、通常ならありえないような細かい描出が光っています。
たつまきストロー   8頁 小二83年8月号
 空き地でボール遊びをしていたのび太達4人だったが、弾みでしずかのボールが隣の家の庭に落ちてしまう。困ったのび太はドラえもんに相談し、ドラえもんは「たつまきストロー」を使って小さな竜巻を作り、それでボールを取り戻した。他にも重い荷物を持っている人や、はしごがなくて屋根に上がれない人を助けたり、掃除まで行うドラえもん。竜巻にのって遊ぼうと考えたのび太達は小さな竜巻を作り、水たまりの水を巻き上げたりしながらも楽しく遊ぶ。それを見たジャイアンとスネ夫は自分達も遊ぼうとストローを借りるが、大きな竜巻を作ってしまい、乗れずに吹き飛ばされるのだった。  

 (解説)低学年誌に多い、「道具を使っての遊び」の話に近い内容です。ほとんどがたつまきストローの効用に当てられているため、少し物足りないと言えば物足りないのですが、それでもラストのオチはきちんとしめています。道具のデザインは個人的に好きです。
タヌキさいふ   FF2巻 11頁 小三73年10月号
 のび太に白髪抜きのアルバイトを勧めるパパ。しかし面倒がるのび太は小遣いの値上げを申し込んできたので、パパはママに抜いてもらうことにする。外に出たのび太はスネ夫から買ったばかりのおもちゃを自慢されたので、自分も欲しがるがお金がない。のび太が自分に頼んでくると察したドラえもんはお金を作る道具はないと言い張るが、ウソをついていることを見抜かれ仕方なく「タヌキさいふ」を出す。これは葉っぱを中に入れると千円札になるのだが、ドラえもんの話が終わらないうちにのび太は持っていってしまい、財布に葉っぱを入れておもちゃ屋に行くが、お金に変わらないのでのび太は怒ってしまう。ドラえもんに聞いてみるとこれは柿の葉でないとダメなのだというが、更に話そうとするドラえもんを尻目にのび太はまた飛び出してしまい、近くで柿の木がある家に向かう。ところが家のおじいさんに柿どろぼうと勘違いされたために葉を取ることが出来ず、それでも風で飛んできた葉っぱを一枚財布に入れると、本当に千円札になった。喜ぶのび太はしずか達を雇って柿の葉を集めさせようとするが、ジャイアン達はどろぼうと勘違いされ、しずかが柿の葉を掃除するふりをして葉っぱを集めた。のび太はお礼に先程の千円をしずかに渡し、柿の葉を財布に入れておもちゃ屋に向かうが、その後をジャイアン達がつけ、葉っぱがお金に変わることを知ってしまう。ジャイアン達は急いで葉っぱを取りに行くが、そこへしずかとおもちゃ屋の主人が、お金が葉っぱになったと文句を言ってきた。この道具は未来の子供が銀行ごっこに使う道具で、30分経つと元に戻ってしまうのだ。のび太は真面目に働くことにしてパパの白髪を抜こうとするが、ママが全部抜いてしまったので他の人の白髪を抜くことにし、さっきの柿の木がある家に行くが、そこのおじいさんはハゲ頭だったので怒り出してしまうのであった。  

 (解説)話自体はドラの話をよく聞かずに突っ走りすぎて失敗するのび太を描いているオーソドックスなものなのですが、最大のマイナスポイントは今話のオチが中盤の展開とまったくリンクしていないということでしょう。一応序盤で「白髪抜き」という伏線があるものの、オチにいささか唐突な印象を持ってしまうことは否めません。ちょっと個人的には「凡作」の位置付けになってしまいますね。
たねのないてじな   6頁 小三71年5月号
 みんなに手品を披露するスネ夫にバカにされたのび太は、すごい手品を見せるとみんなに嘘をついてしまう。しかしそれは当然ドラえもんを当てにしての発言で、ドラえもんは一応「手品に使うハンカチ」を出すが、なぜか貸すのを渋る。それでも強引に借りたのび太がハンカチを使ってみると、何もないのにハンカチの中から花やハンカチが自然に出てきた。
 のび太は早速みんなに見せに行き、ハトや花、さらにはお菓子まで出してしまう。その時しずかが、テレビに映っているお姫様のような服を着てみたいと言うので、のび太がハンカチをしずかにかぶせてみると、しずかがお姫様の服を着た代わりにテレビの中の人がしずかの服を着てしまった。怪しんだスネ夫がハンカチを奪おうとするが、のび太によってサルにかえられてしまい、動物園からスネ夫がサル山にいるという連絡まで来てしまった。このハンカチは他のところからいろいろなものを持ってきたり、または交換する事ができるのだ。
 スネ夫を戻して家に帰ったのび太は千円ほどのお菓子を出したことを喜ぶが、ママの財布から千円ほど消えているという事を聞いて震えだしてしまうのであった。  

 (解説)後の「タネなしマジックハンカチ」や「物体交換クロス」の原型と取る事も出来ますが、ちょっとわかりにくい効能ではありますね。実際作中でどういう機能なのかが明言されていませんし。話自体もオチが少しわかりにくく、そのためか若干面白味に欠けてしまっています。なぜかのび太のママの顔がいつもの顔と違っているのが不思議ですね。なお、この時期はしずかはまだ「しず子」と呼ばれていたようです。
ダルマさん、ころんだ帽   10頁 小三90年8月号
 人気のマンガが特別に買えたので学校で自慢するスネ夫。しかしすぐにジャイアンに取り上げられてしまい、しかもそれが先生に見つかったので取り上げられてしまった。怒ったスネ夫は取り返さないとジャイアンの0点の答案を母ちゃんに見せると脅し、ジャイアンはのび太を使ってドラに頼むよう命じる。のび太に泣きつかれたドラえもんは「ダルマさんころんだ帽」を取り出した。同じ遊びのようにこれをかぶって相手が振り向いた瞬間に動きを止めれば、相手に自分の姿が見えなくなるのだ。
 早速のび太は教員室に行ってみるが、先に先生に見つかってしまったので近づけない。そのときのび太はしずかのカナリヤをみかけ、すぐに逃げたカナリヤを追いかけているしずかと出会った。そこでのび太はしずかに帽子を貸し、その機能をうまく使ってしずかはカナリヤを捕まえる。
 改めてのび太は先生に近づくが、突然現れたハチに驚いて結局動いてしまった。先生はジャイアンにマンガを返す代わりに母ちゃんに報告するというので、ジャイアンはマンガはスネ夫のものだとばらしてしまう。のび太からこのことを聞いたスネ夫は怒り、仕返しをするために帽子をかぶって出発する。
 のび太もドラえもんをつれて後を追うが、既に先生はスネ夫の家に到着していた。だがスネ夫はもうマンガをとりかえており、先生の持っていたマンガにはジャイアンの名前が書かれており、さらに0点の答案も挟まれていたので、先生はジャイアンの家に向かい、それを見てほくそ笑むスネ夫であった。  

 (解説)スネ夫節が全開になっている一編ですね。ラストの表情は後期屈指の絶品もの(笑)。しかものびドラはいいところが一切なく、実際に道具を使いこなしたのはしずかとスネ夫だけという点も珍しいといえば珍しいところです。ちなみにスネ夫の持ってきていたマンガは他の話でも登場していた「ギャグラくん」です。
たんぽぽくし   CC3巻、TCS3巻 7頁 小一79年6月号
 タンポポの種を吹いてみるのび太。すると種はどこまでも高く飛んでいき、そしていつしか地面に落ちた。そこが新しいタンポポの生える場所となるのだ。風に乗って空を飛ぶタンポポの種に憧れるのび太のために、ドラえもんは「たんぽぽくし」を出した。これで髪の毛をとかすとタンポポの種のように広がり、風に乗って空を飛ぶ事が出来るようになるのだ。のび太も髪をといてから風に乗って飛び上がり、やがて地面に着地した。すると今度は強い風が吹いてきたのでのび太はさらに高く舞い上がり、家にぶつかりそうになっても、風の力でさらに上昇する事でやり過ごした。遊んでいた友達はのび太が空を飛んでいる事に驚き、ドラえもんはみんなにもくしを貸す事にする。ドラえもん一人だけがくしを使わないのだが、髪の毛がないので使えないという理由をジャイアンに突っ込まれて機嫌を悪くしてしまう。みんなはそれぞれ風に乗って空高く舞い上がるが、一番高くに上がったジャイアンがつむじ風に巻き込まれ、そのままドブ川に墜落してしまう。それを見たドラえもんは『あのままにしておくと、新しいジャイアンがはえてくる。』と冗談を言うのであった。  

 (解説)絵ばっかりでストーリーがほとんどない話の紹介は難しいな(笑)。それでも今話は子供の頃から個人的に好きな話です。タンポポという馴染み深い花をモチーフにして出来上がったこの道具は、まさに「こんなこといいな」の世界をストレートに描いていると言えるでしょう。同時にオチではしっかりと笑いを取っており、バランスの取れた一編になっていますね。
力をためる力電池   CC6巻 10頁 小四81年8月号
 知り合いの子供が忘れていった絵本を読んでいたく感動したのび太。それは水力発電について描かれていたものだったが、のび太はそれを自分に当てはめ、力をためておいてまとめて使えば強くなるのではと考えた。話を聞いたドラえもんは「力電池」を出し、電池をケースに入れて電線をのび太の両腕に繋いだ。動かずに力がたまるのを待ち、メーターが満タンになるとプロレスラーよりも強くなれると言う。だがたまるスピードが遅いのでのび太は苛立ち、4分の1たまったところでドラえもんで力を試してしまい、メーターは0に戻ってしまう。それでも気を良くしたのび太は早速ジャイアンに挑戦状を書いて、ドラえもんに運ばせてしまった。それを読んで激怒したジャイアンは空き地で勝負する事に決める。一方のび太はメーター半分ほどの力をためたが、ママに物置の掃除を頼まれ、それによって力を使い切ってしまった。二人は物置に隠れて力をためるが、待ちくたびれたスネ夫が家にやってきたので仕方なく出ようとする。しかしいつの間にか鍵がかかっていて出ることが出来ず、さらにスネ夫がバカにしたので逆上したのび太はドアをぶち破ってしまい、またパワーを減らしてしまう。再び力をためるのび太はドラえもんにもう少し待ってもらうよう説得に行ってもらうが、ジャイアンは聞き入れない。仕方なく力を抑えながらのび太は空き地に向かい、ようやくメーターが満タンになった。ところが空き地の前の道路で車に轢かれそうになったネコを見かけたのび太は、その力で車を持ち上げてネコを救うが、その代わりに力を使い果たしてしまう。さすがにどうしようもなくなって空き地の中に入っていくが、ジャイアンは今ののび太の力を見て、ぶったまげて逃げてしまっていたのだった。  

 (解説)力をためてもいろんな騒動が起きて、結局は逆戻り。このパターンの繰り返しの本話ではありますが、なかなかどうして面白いものになっていますね。それは繰り返すたびに違ったリアクションをみせるのびドラの魅力に他ならないでしょう。他にもどう見てもプロレスラーレベルじゃない、マックスパワー状態ののび太や、挑戦状でのび太がきちんと「ジャイアソ」と書き間違えていたりと、細かい部分でも笑いにこだわっていて好印象ですね。なお、なぜか冒頭の親戚の子供として懐かしのキイちゃんが登場してます(笑)。
チクタクボンワッペン   FF8巻 7頁 小四76年10月号
 パパのしゃっくりを止めようと大声を出して驚かすのび太とドラえもん。しかし一向に止まらないのでパパはむげに断わってしまう。その言い方に腹を立てたドラえもんは一発でしゃっくりを止めようと「チクタクボンワッペン」を出す。針を書き込むとそれが動き、予定の時間に爆発するのだ。5分後にセットしてパパにワッペンをくっつけると、5分後になってワッペンは爆発し、パパはしゃっくりが止まった代わりに真っ黒焦げになってしまった。二人はこのワッペンを使ってさらにジャイアンを驚かそうと考え、30分後に設定したワッペンをジャイアンの背中に貼り付けるが、ワッペンをもらったことを知ったジャイアンはお礼にとのび太にいろいろ渡そうとするので、やりづらくなったのび太はワッペンを取り返してしまうが、今度はジャイアンがそれに怒って二人を追いかけてしまう。逃げ延びた二人だがその時突然かんしゃく玉が鳴ったので二人は仰天してしまう。その様子を見て笑うスネ夫だが、二人は仕返しにとスネ夫にワッペンをあげることにする。一旦離れてから二人はスネ夫の爆発シーンを見に行くが、なんとスネ夫にもらったと言ってしずかがワッペンをつけていた。爆発時間が刻一刻と迫る中、なんとしてもワッペンを剥がそうとする二人を見て怖がったしずかは逃げるが、それをジャイアンが強引に奪い取った。安心する二人だがジャイアンが珍しく反省したためにワッペンをのび太に返してしまう。タイムリミットが来てワッペンは爆発、黒焦げになって戻って来た二人を見てママは二人を叱り、『こっちの爆発のほうがさらにおそろしい』と呟くのび太であった。  

 (解説)のびドラは笑顔で使用していますが、大変危険な道具ですねえ。パパが黒焦げになっているのに、「しゃっくり止まった?」と聞く所などはブラックユーモアの味わいがありますね(笑)。ジャイアンのお人よしの一面も見られて好印象です。ところでジャイアンがしずかからワッペンを奪う時、しずかは胸にワッペンをつけていました。もしかして…触ったのか(笑)?
「チリつもらせ機」で幸せいっぱい?   10頁 小五、六90年12月号
 部屋で大声を上げて騒ぐドラえもん。今日食べる分のドラやきを買っておくのを忘れたと言う。どうしても我慢できないドラえもんは「チリつもらせ機」を出すが、何故か罪悪感にとらわれてすぐに閉まってしまう。階下へ降りたのび太は庭でゴルフ練習をしていたパパが窓ガラスを割ってしまったところを見る。外に出ると、空き地でジャイアン達が神成さんの家の窓ガラスを割ってしまい、広い土地を出すようドラえもんに頼めと強要されてしまう。慌てて帰るのび太だが、部屋ではドラえもんが大きなドラやきを食べていた。ドラえもんは先程の機械で日本中のドラやきの小さなかけらを集め、このドラやきを作ったのだ。のび太は早速使いたがるがドラえもんに反対される。それでも家の前を通りかかった丸坊主のおじさんに髪の毛をプレゼントしようと、機械を使って髪の毛を生やす。のび太はさらにドラえもんを脅し、日本中から土地を集めて、家の庭を広くしてしまう。野球場とゴルフ場を建設しようと計画を練るが、ママに庭の草むしりを頼まれ、とんでもなく広い庭を前に疲れ果ててしまう。さらに税務署から固定資産税の取り立てに来たり、住民から反対運動が起きたりして、ママの知る所となり、怒られたのび太は助けてくれるようドラえもんに懇願するのであった。  

 (解説)原作最後期の作品であるにもかかわらず、土地問題に絡んだ話を作ってしまうとは、連載初期の頃から日本の土地問題は変わっていないと言うことなんでしょうか(笑)?で、今回も今までの話と同様、完全に問題を解決できなかったあたり、その問題の深刻さも伺わせています。人が生きる以上、必ず起きる土地問題。それを円満に解決するにはどうすればいいのか。それを鋭くえぐった問題作かも知れません。・・・・こんな解説でいいのか(笑)?個人的には大ドラやきを貪るドラが好きです。


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