未収録作品た行 その2


チューシン倉でかたきうち…   FF33巻 10頁 小六80年3月号
 スネ夫にピコタンハンマーでさんざん殴られ、怒ったのび太は思わずやり返してしまうが、そこへスネ夫のママが現れ、誤解してのび太のママにまで連絡してしまう。ママものび太を信じようとせず、そんなのび太の悔しさを理解したドラえもんは「チューシン倉」を出した。憎い相手の名前を書いた紙を入れ、出てくる赤い紙を誰かに渡すと、その人間が恨みを晴らしてくれると言う。紙をジャイアンに渡そうとするのび太だが、ジャイアンはスネ夫に買収されてしまっていた。それでも紙を渡すと、ジャイアンはスネ夫を痛めつけ、のび太は復讐を完遂する。しかし今度は自分を信じなかったママへの恨みを晴らすため、復讐をドラえもんに押しつけてしまう。いい気分ののび太だがジャイアンに殴られたため、今度は恨みをスネ夫に託す。しかしやはり怖がって近づこうとしないため、のび太は他の友人にも協力してもらう。だがチューシン倉を見つけたスネ夫は中身を「のび太」と書いた紙に交換し、みんなはのび太を追いかけ始める。誰もいない自分の家の中で、押入れに隠れながら助けを待つのび太であった。  

 (解説)冒頭ののび太の悔しさは非常によくわかりますが、やはり弱者が強者に転じると失敗してしまうという、因果応報を描いています。まんま「忠臣蔵」をパロったラストのオチも、ネタがわかっていれば更に面白さが湧きますね。ママも相変わらず息子を信じない性質のようで。各キャラの「毒」の部分が大きく表出している話でもあります。
チョーダイハンド   7頁 小二85年9月号
 1500円もする本をようやく購入したのび太。貯金するために半年間苦労してきたことを思い、思わず涙まで流しつつ、みんなに自慢しに出かけるが、すぐさまジャイアンに奪い取られてしまう。
 怒ったドラえもんは「チョーダイハンド」を取り出し、ジャイアンの家へ向かう。そしてジャイアンに向けて道具を見せつつ本を「ちょうだい」と話すと、ジャイアンは断ることなく本を返してくれた。道具を使っている状態なら、断ることが出来ないのだ。面白がったのび太は道具を借りようとするが、ドラえもんは貸さずに出かけてしまい、諦めないのび太はスペアポケットから道具を取り出して、再びジャイアンの家に向かう。
 のび太はジャイアンが宝物としているアクションスター・千葉県一のサイン色紙を、道具の力で強引にもらい、さらにスネ夫のファミコンを始め友達の持っている様々な「大事なもの」を、どんどんもらっていってしまう。
 帰宅したドラえもんはのび太の行為と戦利品を見て怒りに震えるが、悪びれることもないのび太の態度を見て、注意することもなくその場を立ち去っていく。
 のび太は友達から受け取ったおもちゃやゲームで遊ぶが、なぜだかちっとも楽しくなれず、自発的に全て返すことにする。その時ドラえもんがやってきた。ドラえもんはのび太が自分から返す気になってくれると信じていたからこそ、あの時何も言わずに立ち去ったのだ。2人は互いに微笑みながら品物を返しに出かけるのであった。  

 (解説)正直感動系のオチに繋がるとは思っていなかったので、初見時は驚きました。のび太の善性を信じるドラの姿は、人間の善性を信じ続けた作者の姿勢そのものなのでしょう。ちなみにのび太が1500円もの大金をはたいて購入したのは「怪物全百科」。値段から言ってもとても子供向けの本には思えないのですが(笑)。「小遣いを貯めて欲しい本を買う」と言う描写も、作者の少年時代と重なるものがあるのかもしれませんね。
ついせきアロー   8頁 小三85年10月号
 放課後、のび太になぜか会えないことを不思議がるジャイアン。スネ夫に聞いて空き地に向かうが、のび太は既にそこにもいなかった。ジャイアンは代わりにスネ夫を殴ろうとするので慌てたスネ夫は協力を申し出る。するとスネ夫は、ジャイアンの後ろを大きな矢印が追いかけていることに気づいた。これはドラえもんの道具で、これによってジャイアンの位置を探っているのだと推理するスネ夫。
 スネ夫の推理どおりこれは「ついせきアロー」で、狙いを定めた標的が30メートル以内に近づくと、のび太の持っているブザーが鳴る仕組みになっているのだ。ジャイアンはアローから逃げようと必死に走り回るが逃げ切る事が出来ず、スネ夫が抑えることも出来ない。ドラえもんを見かけたジャイアンは激しく詰問するが、のび太の持つコントローラーの命令しかきかないという。
 そこでスネ夫は逆にのび太にもアローをつけることを思いつくが、母ちゃんが現れたのでジャイアンは逃げていってしまう。秘密がばれた事を知ったのび太は怖がるが、その時ジャイアンの母ちゃんを見かけたドラえもんは「入れかえロープ」で2人の体を入れ替える。
 のび太の体になっている母ちゃんはジャイアンに呼ばれ、ジャイアンはのび太ではなく母ちゃんにアローをつける計画を話してしまったので母ちゃんに殴られてしまい、逆にジャイアンがアローをつける羽目になってしまう。コントローラーを持った母ちゃんに追われるジャイアンを見て同情するのび太とドラえもんであった。  

 (解説)主役格の1人であるのび太が終盤までまったく姿を見せないと言う、ちょっとミステリアスな雰囲気を持っている話です。導入部のジャイスネの会話がより一層謎めいた感じを引き立てていますね。しかしあんなでかい矢印に気づかなかったとはジャイアンもさすがと言うべきでしょうか(笑)?冒頭の「一日一回のび太を殴らないと飯がまずい」というジャイアンのセリフはけだし名言(?)ですね。
つきぬけざぶとん   FF17巻 8頁 小二76年12月号
 何かを話し合っているスネ夫やジャイアン達。それを見たのび太は自分も仲間に入れてもらおうとするが、みんなはスネ夫がお葬式に行った時に正座をしていたら足がしびれたということを聞いて、正座の我慢会をしようと話し合っていたのだ。一等の人間はビリの人間を殴ってもいいという事まで言い出され、青ざめるのび太。絶対ビリになる自信があるというのび太に呆れながらもドラえもんは「つきぬけざぶとん」を出してやった。このざぶとんを敷いてから椅子に座るように足を下ろすと、ざぶとんが床を突き抜けて足が下に出て、見た目にはきちんと正座をしているように見えるのだ。4人はジャイアンの家で一時間の我慢会を始め、他の三人はそれぞれ辛くなってくるが、道具を使っているのび太はまったく平気だ。一時間が経つと三人はまともに立つことも出来ないが、のび太だけが普通に歩けるのを見て驚く三人。そしてのび太は約束通り、ビリのジャイアンを殴ってしまった。面白がったのび太はもっと使ってみようとママに葬式はないかと聞いてしまったので怒られてしまう。その時棚の上に荷物を置いているパパを見たのび太は、壁の反対側に回って座布団を使って腕を通り抜けさせ、パパをくすぐって倒れさせてしまう。怒ったパパに追いかけられるのび太だが、のび太はざぶとんを通り抜けフープのように使って壁をすり抜けたので、パパは壁に激突してしまう。お客を案内していたママはそのざぶとんを見つけ、その上にお客を座らせようとするが、お客はすり抜けて床の下に落っこちてしまった。パパとママはのび太を正座させてじっくり叱ることにし、のび太はざぶとんを貸してくれるようドラえもんに頼むが、のび太が無茶な使い方をしたためにざぶとんはぶかぶかになっており、ざぶとんの上に座ることが出来なくなってしまっているのであった。  

 (解説)今回の道具は応用性がちょっと低いので、地味な印象を与えてしまっていますね。道具自体よりは我慢会で足がしびれて苦しむジャイアン達三人の様子など、人物描写が面白く描かれています。相変わらずひどい目にあってしまう野比家のお客もまたいい味を出していますね。
机からとび出したドラえもん   FF1巻 15頁 小三70年1月号
 パパとママからお年玉をもらって喜ぶ少年・野比のび太。のび太はお年玉を机の引き出しにしまうが、引出しの中からギョロ目が覗いていた。さらに引出しの中から少年が飛び出してきて、自分のお年玉が50円だの、しっかりしてくれだのと変なことばかり言い出し、そしてまた引き出しに戻っていった。不思議がるのび太は引出しを調べてみるが何の変哲もない。ところが今度は引出しから別の生き物が飛び出し、ドラえもんという自分の名前を名乗って部屋を飛び出していってしまう。のび太はパパ達に部屋にきてもらうがやはり変化はない。さらに不思議がるのび太だがまた引出しから先程の少年・セワシが顔を出し、ドラえもんも部屋に戻ってきた。セワシは自分がのび太の孫の孫であることを話し、未来の世界からやってきたことを説明する。よく理解できないのび太だが、セワシがのび太の不幸な面を話したために怒り出して2人を追い払ってしまう。のび太は階段から転げ落ちながら外に飛び出るが、その後をドラえもんがついてきていた。のび太はしずかの家に行くことにするが、ドブに落ちてしまう。その時のび太は道の反対側にいる人が自分と同じ事をしていることに気づいた。それはドラえもんのタイムテレビによって映し出された9年後ののび太の姿であり、大学受験に失敗して落ち込んでいるところだったという。それを聞いてさらに怒ったのび太は二人を追い返してしずかの家に行くが、そこではみんなが集まってトランプをやっていた。のび太は早速負けてしまうが、そこに誰か訪ねてきたのでのび太が応対にでる。そこに立っていたのは気弱そうな押し売りだったが、それもタイムテレビで映し出された15年後ののび太だった。ドラえもんはさらに20年後の姿を映すと、宝くじに当たって小さな会社の社長になったのび太が映し出された。だがそれも1年後に潰れ、その際の借金が大きすぎてセワシの代になっても返済しきれていないのだと言う。自分の未来に絶望してしまうのび太だが、セワシはそんな未来を変えるためにドラえもんを連れてきたことを話す。セワシはこの事は他言無用と言い残して未来に帰り、トランプのことで弱気になるのび太にドラえもんはポケットから取り出したメガネを渡す。すると相手のトランプが透けて見えるようになり、のび太は圧勝することが出来た。帰り道、喜ぶのび太に自分の力を自慢するドラえもんだが、そう言っているうちにドブに落ちてしまい、のび太は自分と似たようなものだと感じるのであった。  

 (解説)これは「小学三年生」版の第一回で、冒頭に登場人物紹介も書いてあるなど、親切な構成が面白いです(もっともドラの紹介に「できそこないロボット」なんて書かれてたりしますが)。話の展開としては小四版とほぼ同じで、ラストでのび太がドラの力を疑うところもそっくりです。明確な違いとしてはのび太の結婚相手に関する話題が出ていないというところでしょうか。第一回としての情報量は十分に持っていると思います。
ツチノコさがそう   FF4巻 8頁 小五74年7月号
 なにやら問答をしているのび太とドラえもん。のび太は友達同士で珍しい体験を話し合った時に、虚勢を張って「ツチノコを見た」と言ってしまい、信じてもらえるようにおもちゃのツチノコを出してもらおうとドラえもんに頼んでいたのだ。しかしいつも勝手な約束ばかりしてくるのび太の態度に怒ったドラえもんはそれを断わる。それでもきっと助けてくれると信じきったのび太はこれ見よがしにツチノコを探しに山へ向かってしまう。山の中を探してもツチノコは見つかるはずもないが、ドラえもんが来ていることに気づいたのび太は腹が減ったと言い出し、仕方なくドラえもんは食べ物をこっそりと置く。この調子でドラえもんがツチノコを出してくれることを期待するのび太だが、それ以来ドラえもんはまったく助けてくれない。同情してくれるまで山を歩くことにしたのび太だが、そこに木の上から何かが落ちてきた。ドラえもんがツチノコを落としたのだと喜ぶのび太だが、そこにあるのはどう見てもツチノコには見えない不細工な生き物だった。それでも我慢して持って帰ったのび太はみんなに見せるが、みんなもドラえもんが出したのだと言って相手にせず、落胆したのび太は生き物を空き地に捨ててしまう。家でのび太が文句を言ってきたのでドラえもんも不思議がる。実はドラえもんは食べ物を渡した後、すぐに帰ってしまっていたのだ。のび太の見付けたものが本物のツチノコだと察したドラえもんは大慌てで探しに行くのであった。  

 (解説)絶版になっている単行本の話で申し訳ないのですが、FFランド4巻の未収録作は、他力本願なのび太を描いた話が多いですね。その度合いがちょっと過ぎたものになっているのが未収録になった原因なんでしょうか?話としてはオチに一捻りあるものの、全体で見るとおとなしめになっていますね。ツチノコの独創的なデザインが楽しいです。
手足につけるミニ頭   FF13巻 8頁 小二75年2月号
 テレビを見ながら宿題をしていたためにママに叱られてしまうのび太。のび太は手足がそれぞれ別に動けばいろんなことを一度にできると力説し、そうなれるような道具を貸してくれるようドラえもんに頼み込む。ドラえもんは渋りながらもとりあえず「ミニ頭」を出した。手足につけるとその頭となって勝手に動いてくれるのだが、ドラえもんの注意も聞かずにのび太はさっさと手足につけてしまう。早速腕に宿題をやらせるが、頭には脳みそを少ししか入れていないので答えはどれもデタラメだった。のび太がもっと脳みそを入れるよう言うので、ドラえもんは仕方なく脳みそを入れる。のび太は手に宿題、足にケン玉をやらせながら昼寝するが、宿題が終わったので手に無理やり起こされる。しかも手足は次第に生意気なことを言い出し、のび太のおやつまで勝手に平らげてしまう。怒ったのび太は外そうとするが手足が自由にならないのでどうすることも出来ず、どうにか頼み込んでトイレに行かせてもらうが、トイレを嫌がった手足はのび太を無視して勝手に動き出し、しずかやジャイアンにいたずらをしてから電線の上によじ登ってしまう。のび太は恐怖のあまり気絶し、その際におしっこまで漏らしてしまった。手足に引っ張られるように戻ってきたのび太を見て、ドラえもんは少し後悔するのであった。  

 (解説)SF短編の「考える足」みたいな話ですね。やはり物臭をしてはいけないと言うことなのでしょう。のび太が頭上から漏らしたおしっこを見て「雨かな?」と呟くジャイアンとしずかの図は、ありきたりではありますが面白いですね。
デカチンキ   FF21巻、TCS3巻 7頁 小二79年5月号
 ジャイアンズがまた負けてしまい、ジャイアンは例によってのび太のせいにして、ぶん殴ろうと追いかけ回す。ところがそこに現れたドラえもんは、足が以上に長くなっていた。それを見たジャイアンは仰天して逃げ出してしまい、いなくなった後でドラえもんの足は元の長さに戻った。「デカチンキ」という、塗ると塗ったものが30分間だけ大きく見えるようになる薬を足に塗っていたのだ。ドラえもんは試しに小石に塗ってみてのび太を驚かせるが、そこにまたジャイアンがやってきた。二人は空き地の草に薬を塗って大きくし、そこに隠れてジャイアンをやり過ごす。さらに今度はのび太が自分の手に薬を塗って、大きな握り拳を作ってジャイアンを驚かした。それからものび太は、マンガの取り合いをしている友達のために、マンガに薬を塗って読みやすくしたり、ぶつかってきたゴム式飛行機に薬を塗って、持ち主のスネ夫を驚かした。さらに小さな子供のラジコンカーも大きくして喜ばれるが、薬の存在に気づいたジャイアンとスネ夫がのび太から薬を奪い取ってしまう。ところが逃げる際に転んだ弾みで薬をこぼし、それを浴びたアリが巨大に見えるようになってしまい、本当は元の大きさのままだという事がわかっていても、怖くて震え上がってしまうジャイアンとスネ夫であった。  

 (解説)今話はやはり冒頭の足の長いドラと、ラストの巨大アリがすべてのような気がします(笑)。それ以外の部分は可もなく不可もなくの水準点というところでしょうか。ドラの足が出てきた時のジャイアンの芽が面白いですね。しかし、本や模型飛行機に塗ったデカチンキは、どうやって洗い落とすのでしょうか?
てじなふろしき   4頁 小一71年9月号
 ふろしきの中からハトを出す手品をドラえもんに見せられて感心するのび太だが、これは「てじなふろしき」と言う道具で、名前を呼ぶだけでなんでも出てくると言うのだ。早速リンゴや自転車を出してみたのび太はみんなにも自慢する事にして空き地で手品を披露する。ところがやってきたドラえもんがタイミング良くのび太の名を呼んでしまったために、ふろしきからのび太がもう1人出てきてしまった。さらにのび太が名前を言ったためにドラえもんももう1人出てきてしまい、のび太同士、ドラえもん同士で口論が始まってしまう。その時吹いた風でふろしきが飛んでいってしまい、偶然通りかかったドロボウが盗んだ金庫を包んでしまう。しかしその時に「お巡り」と言ってしまったために、ふろしきからお巡りさんが出てきてしまうのであった。  

 (解説)手品に関する道具も結構多く出ていますが、今回は何より2人ののび太とドラえもんの姿がすべてでしょうね。同じキャラが2人いるだけなのにどうしてこんなにおかしいのでしょうか。オチへの展開は唐突ですが、オチ自体はセオリーどおりですね。
手作りおもちゃ   10頁 小三90年11月号
 ラジコン飛行機で遊ぶジャイアンとスネ夫だが、さすがに古くなったためか調子が悪い。そのとき通りかかったのび太を見つけた2人はある悪戯を思いつく。のび太は2人がラジコンを貸してくれるというので喜んで遊ぶが、すぐに墜落してしまったので探しに行くよう言われてしまう。慌てて探しに行くのび太を見て笑う2人。
 ラジコンが見つからずに落ち込むのび太だが、そこに偶然老人が通りかかり、老人は自分で作ればよいと昔の工作の本を渡してくれた。さすがにのび太は嫌がるがそれを見たドラえもんは面白がって、材料を22世紀に注文する。届いた材料からドラえもんは「きよう手袋」を使っておもちゃを作り始め、最初にきびがら細工を作る。するとなんとそれが本物のように動き始めた。
 次に紙でっぽうを作ってみると、その威力は絶大で野球ボールを一撃で粉々にしてしまった。のび太も面白がって参加し、2人は自動紙ずもうで遊び、次にいよいよ飛行機を作る事にする。マッハ3ものスピードが出せる飛行機が完成したが、スネ夫の態度を心配するのび太は電話を作ってスネ夫の声を聞いてみる。そこで始めて2人の意地悪を知って怒った2人は飛行機に取り付けた紙でっぽうで新しいラジコンを打ち落とし、怒って襲いかかるジャイアンも紙ずもうの力士にぶっ飛ばされてしまうのであった。  

 (解説)なんとも郷愁をそそられるというか、不思議な感じにさせられる話ですね。出てくる道具自体がノスタルジックなものであるためか、全体の雰囲気も極めて静かなものになっています。最初に作ったきびがら細工でドラは犬のつもりで作り、それを見たのび太はキリンだといい、でも実際は馬になってしまっていたという一連のシーンは、のほほんとした2人の雰囲気もあって余計に笑ってしまいます。
出入りかがみ   TCS2巻 7頁 小一82年5月号(ではいりかがみ)
 しずかと一緒に空き地で遊ぼうとするのび太とドラえもんだが、空き地ではジャイアン達が野球をしていたので遊ぶ事が出来ず、ガッカリして帰る事にする。その時名案を思いついたドラえもんは、ポケットから「出入りかがみ」を出した。このかがみの中に入ると、鏡の中の世界に行く事が出来るようになるのだ。鏡の世界には左右反対の景色があるが、人は誰もいない。その代わり、本当の世界で何かを動かすとこちらの世界でもそれが動き出してしまい、その逆も起こるのだ。のび太は今までジャイアンにとられたマンガを全て取り返し、家の玄関に置いておくが、本物の世界にいるママは突然マンガが出てきたので驚いてしまう。もっと遊ぼうと歩き回っていると、しずかの家でボールがひとりでに動いていた。どうやらしずかが一人でまりつきをしているらしい。そこで二人はしずかも鏡の世界につれてきて、三人で仲良く遊ぶ。ところがのび太はボールを取り損ねて、空き地の隣にある神成さんの家の窓ガラスを割ってしまう。するとかがみから怒鳴り声が聞こえてきたので覗いてみると、現実世界でもガラスが割れてしまっており、偶然空き地にいたジャイアン達が神成さんに犯人扱いされてしまっているのであった。  

 (解説)有名な「鏡の中の世界」は、ちょうどこの話の翌月の「小三」に掲載されているので、今話は「鏡の〜」のプロトタイプと言える話ですね。そのためか「入りこみミラー」とは若干性能が異なっていますが、鏡の中の世界という不思議な世界を想像力豊かに作りあげ、その中でのび太達を生き生きと描いているという点では遜色ありませんね。今回ジャイスネは何もしてないのでラストのオチはちょっとかわいそうかとも思いますが、面白いので良しとしましょう(笑)。
テレパスロボット   FF14巻 7頁 小三78年5月号
 風邪で寝込んでいるのび太は調子に乗っていろんな用事をママに頼もうとするが、さすがにママも怒ってしまう。のび太から文句を聞かされたドラえもんは「テレパスロボット」を出した。これは重病の人のためのロボットで、アンテナをつけて何か考えると何でも用事をしてくれるのだ。水を飲みたいと思うとロボットが水を持ってきてくれたので、のび太はこれからもずっと寝たままでいられるなどと言い出し、ドラえもんは怒り出してしまう。するとドラえもんが邪魔だと思ったのび太の意志に反応して、ロボットがドラえもんを追い出してしまう。さらにのび太がおやつを欲しいと思うとドラえもんのドラやきを取ってしまい、ホットケーキが欲しいと考えるとスネ夫のおやつを盗んできてしまった。さらにのび太はしずかと遊びたいと考えたのでロボットはしずかを連れてきてしまうが、家にジャイアンが遊びに来ているというのでしずかは家に帰る。それをジャイアンのせいにして逆恨みしたのび太はぶん殴ってやりたいと考えたので、ロボットはしずかの家にいるジャイアンをぶん殴ってしまう。次にのび太がトイレに行きたくなるとロボットは代わりにおしっこをしようとし、のび太がしようとしても変に手伝うので結局パジャマを濡らしてしまう。着替えたのび太は風邪が良くなったようなので外に出かけ、珍しく自分の怠け癖を反省して一度ひどい目にあったほうがいいと自戒する。するとロボットはとある方向へとのび太を押して歩き始めた。その先にはさっきのロボットの行為をのび太の仕業と睨んだジャイアンとスネ夫がのび太を殴ろうと待ち構えているのであった。  

 (解説)「チューケンパー」のような感じの話ですかね。こういう類のロボットはいつも気が効きすぎて結局のび太がひどい目にあうというパターンが多いですが、それにはやはり自分の都合いいように動く物はないのだという、作者の冷静な視点があるように思います。もしかしたらこういった短編作の発展系が「ブリキの迷宮」なのかもしれませんね。…考えすぎか(笑)。
デンコーセッカ   7頁 小二84年9月号
 野球の試合で珍しく出塁したのび太。次のバッターのジャイアンが大きなヒットを打つが、前を走るのび太のスピードが遅かったため、結局ダブルプレイになってしまう。自分なりに懸命に頑張ったにもかかわらず、そのことでジャイアン達に殴られたのび太は悔し涙を流し、かわいそうに思ったドラえもんは、人より早く動けるようになりたいというのび太の要望に応え、「デンコーセッカ」を取り出す。これを飲むことで、目にも止まらぬ速さで動けるようになるのだ。
 その時会社のパパから、会議に使う書類を届けて欲しいと電話がかかってきた。のび太は早速そのスピードを生かして、パパの会社まで書類を無事に届ける。電話口でそのことを伝えるのび太に、ママは驚くばかり。
 帰ってきたのび太は自転車に乗っているスネ夫を見かけ、自転車よりも早く走ってスネ夫をからかいだす。負けじとスピードを出したスネ夫は、逆に塀にぶつかってしまった。のび太はジャイアンにもちょっかいを出し、襲い掛かってくるジャイアンをことごとくかわし、ついにジャイアンをやっつけてしまう。
 とりあえず目的を果たしたのび太だが、これでもっと面白いことができないかと考え始め、近くの子供が遊んでいた竹とんぼをヒントに、自分自身の両腕を竹とんぼの羽のように構え、高速回転することで飛行するというアイデアを思いつく。
 早速しずかやドラえもんと一緒に空を飛ぶのび太だが、唯一ドラえもんだけが、腕が短いためにいくら回っても飛ぶことができないのであった。  

 (解説)今話の見所はやっぱりのび太の高速移動の描写に尽きるでしょう。スピードが上がるにつれて線の描き方にも微妙な差をつけており、「速さ」をわかりやすく表現しています。「ジャイスネへの仕返し」と「道具を使っての遊び」をうまく織り交ぜた構成も巧みで、ページ数の割りにお得な内容の一本です。ラストのコマでバッチリパンモロしてるしずかも要チェックですかね(笑)。
動物指キャップ   TCS3巻 7頁 小一86年4月号(どうぶつゆびキャップ)
 ジャイアン達に無理やり相撲をとらされたのび太は、結局痛めつけられてしまい、泣いて帰る。その情けない姿に幻滅したドラえもんは「動物指キャップ」を出した。動物の一部分を模しているキャップを指にはめると、その動物と同じ力を出す事が出来るのだ。ドラえもんは指がないのでキャップをつけられず、のび太がゾウの鼻のキャップを指につけてみると、ドラえもんも軽々と持ち上げられるくらいの力が身についた。早速これを使ってジャイアンとスネ夫に仕返しをするのび太だが、その最中にキャップが取れてしまい、しかもそれをジャイアンに取られてしまう。急いで逃げ帰ったのび太はゾウのキャップを取り返すために、残りのキャップを使う事にする。しかしキャップのセットにはゴリラの手、鳥の羽の他にもう一つあるのだが、それがどんな効力を発揮するのかはドラえもんも知らなかった。既に空き地からはいなくなっていたジャイアン達を、鳥キャップを使って空から探すのび太。川のそばを歩いていた二人を見つけたのび太は、ゴリラのキャップをつけてジャイアンに挑むが、ゴリラの力ではゾウに叶わないようで、簡単にやられてしまう。迫りくる二人に最後のキャップを使ってみると、なんとそれはタコの口のキャップで、そこから吐き出されたスミで二人は真っ黒になってしまう。さらにのび太は怒る二人を、空を飛んで軽くかわし、二人を川に落としてしまった。助けを求める二人にのび太はゾウの鼻のキャップを返す事を要求するのであった。  

 (解説)ゴリラとゾウのどっちが強いかと言う事については、はるか昔のパーゴリラとパーゾウのバトルで証明済みですね(笑)。それはともかく今話については、それぞれの道具がもっている効力をうまく発揮させている点も去ることながら、最後の一つの効果を謎にしているところが、読者の興味を引くポイントになっていますね。そんなに重要なファクターではないですが、うまく作られていると思います。
とうめいハンド   TCS1巻 7頁 小一84年8月号
 突然雨が降ってきたが、両手に荷物を持っていて傘がさせないというママ。そんなママにドラえもんは自分の腕と同じように動かせ、10メートルほど伸ばせる「とうめいハンド」を貸してあげる。ドラえもんからそれを聞いたのび太はとうめいハンドで傘を持って自慢しようとするが、雨がやんでしまい、ジャイアン達にバカにされたのび太はいたずらをしようとする。止めようとするドラえもんを跳ね飛ばし、ジャイアンに石をぶつけたり、しずかのスカートをめくって出木杉のせいにしたり、ラジコンカーや野球ボールを持ち上げたりと、やりたい放題。ドラえもん達もとうめいハンドのために近づけない。しかし同じとうめいハンドを持つママがのび太を捕まえるのだった。  

 (解説)「マジックハンド」っぽい、というより、まんまの構成でしたが、正味6ページの中で良くまとまっています。のび太につきとばされ先生とぶつかるドラ、生徒でもないのにドラをしかる先生、スネ夫を疑っているときのジャイアンの顔など、ギャグマンガとしての見所は盛りだくさんです。
とうめいボディガードプラモ   8頁 小二83年7月号
 またジャイアンたちにいじめられたのび太。そんなのび太のためにドラえもんは「とうめいボディガードプラモ」を未来から買ってきた。ドラえもんは帰ってきたら作ってやると言って出かけてしまうが、待ちきれないのび太はロボットに手加減させるための部品であるブレーキポンプを余らせてしまうが完成させる。帰ってきたドラえもんが「勝手に作った」と怒り始めるが、そのドラえもんをロボットが殴りつける。早速のび太はジャイアンとスネ夫を怒らせてロボットの餌食にしてしまう。すっきりしてしずかとバレーボールで遊ぶのび太。その時しずかの打ったボールが顔面を直撃し、それを勘違いしたロボットはしずかを殴ってしまう。さらに先生やママも殴ってしまい、ドラえもんに何とかしてもらおうとするが、ロボットに敵だと思われないようにニコニコしているドラえもんは、壊れない限りロボットは止められないと告げた。『つくったのがのび太だから、そのうちこわれるとおもうけど。』『こわれたら・・・・・・・・・ おぼえてらっしゃい。』。二人の圧力の前に困り果てるのび太であった。  

 (解説)この種の話は大抵未完のままで、オチがつかないのが相場なのですが、この話もそういう展開になっています。ですが他の話と決定的に違うのは、何と言ってもラストのドラとママ。笑いながらのび太に話すセリフは本当に怖くなってきます。かなりシュールな終わり方になっていますね。ドラのニコニコ顔がブキミです(笑)。


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