未収録作品な行その2


人間カメラはそれなりに写る FF32巻 8頁 小五81年3月号(「人間カメラシャッター」はそれなりにうつる!)
 何やら嬉しそうな様子で、寝ているパパの下にやってくるのび太とママとドラえもん。何とのび太がテストで65点もの高得点を取ったというので報告に来たのだ。早速記念写真を撮ることにした4人だが、パパはカメラを友人の家に忘れてきてしまっていた。その事で怒ったママは終いには新婚旅行の時にもカメラを忘れたという事まで持ち出してきて、口ゲンカが始まってしまう。そこでドラえもんは「人間カメラシャッター」を取り出して頭にくっつけ、3人を並べてからシャッターを押した。するとドラえもんの見ていた通りの視界が写真になって口の中から飛び出してきたのだ。面白がったのび太は早速自分も撮影したがり、一眼レフのカメラを自慢するスネ夫を撮影して、ジャイアン達の興味を自分の方に持ってきてしまう。ジャイアンは自分の強い所を撮ってもらおうとスネ夫に殴りかかり、二人は追いかけっこをしながらどこかへ行ってしまう。その間にのび太はしずかを撮影しようとするが、やたらと芸術家ぶっていろいろ注文し出したので、次第にしずかもイライラしてきてしまい、さらに撮影しようとして穴に落ちたのび太がそこから写真をとると、穴を覗いていたしずかのスカートの仲間でバッチリ写ってしまったので、しずかは怒って帰ってしまう。さらにジャイアンが自分を撮影しなかったと文句を言いに来たので、のび太は先程ジャイアンがスネ夫を追いかけているシーンを思い出して、その様子を撮影する。このシャッターは心の中で思い描いた風景も撮影する事が出来るのだ。家に帰るとパパとママはまだケンカを続けていたので、のび太はパパに新婚旅行の頃を思い出させて写真を撮らせる。しかしそれを見たママは、今度は写っている自分の姿が若くない事に文句を言い出してしまうのであった。  

 (解説)道具の設定としては面白い内容になってますね。口から写真が出てくるというところが、さり気ないながらもナンセンスの味わいを出しています。冒頭、家族揃って65点の答案を見て喜ぶ野比一家の姿も微笑ましいですが、あまり大した点数ではない事を考えると、少し複雑な気分にさせられます(笑)。ラストのオチが読者の予想範囲内で、少しインパクトに欠けているのが残念でした。
人間磁石   FF12巻 6頁 小二74年3月号(人間じ石)
 たくさんの釘を磁石にくっつけて遊んでいるのび太。そんな時ママがのび太を呼ぶが、どうせお使いを頼むのだろうと考えたのび太は返事をしないので、ママはドラえもんに頼もうとする。そこでドラえもんは「人間磁石」を取り出した。のび太の方に向けてスイッチを入れるとのび太がちょうど磁石に吸い寄せられる釘のように、人間磁石に吸い寄せられてしまった。のび太は結局お使いをする羽目になってしまうが、のび太は適当な理屈をつけて磁石も借りてしまう。早速のび太は急いでいる様子のスネ夫を磁石でつかまえるが、トイレに行きたいと言うので磁石を外そうとしても、磁石部分を持ってしまったためにのび太もくっついてしまい、スイッチを切ることが出来ない。そこにやってきたジャイアンが引っ張ってみるが二人は離れることが出来ず、さらにジャイアンまでくっついてしまう。のび太はスネ夫の用事を優先しようとするがジャイアンも用事があるというのでどうすれば良いか困り果ててしまう。さらに連鎖的にどんどんいろんな人がくっついてしまい、ドラえもんが駆けつけた頃には行列が出来上がってしまっていたのだった。  

 (解説)冒頭ののび太の遊びがオチへの伏線になっているわけですが、ちょっと今回の伏線はあからさますぎるので、すぐに展開が読めてしまいますね。ですが相変わらずののび太の間抜けさや、ラストのコマで応酬しているエキストラキャラのセリフの数々は笑えます。
人間磁石ベルト   8頁 小三84年4月号
 野球に行くというのに元気が無いのび太。またジャイアンに失敗するなと脅されたのだ。必ず失敗すると妙な自信を見せるのび太に呆れながらもドラえもんは「人間磁石ベルト」を出した。これを身につけてボタンを押すと、自分自身が磁石になる事ができるのだ。
 野球に行ったのび太はツーアウトフルベースと言う大事な場面で打席に立った。のび太は磁石になっているのでとりあえずボールを当てることができる状態になっており、ファウルばかり打ち続けるもののやっとの事でホームランを打った。守備もうまく行ってジャイアンから感謝されたのび太は喜び、偶然見かけたしずかに自慢しようとするが、しずかは急いでいると言うので磁石で引き寄せてしまう。だがバスに遅れそうとのことなのでのび太もあきらめる事にした。
 のび太はしばらくベルトを借りることにし、寝ながら遠くにある物を自由に取り始めて怠けるので、ドラえもんは怒って部屋を出て行ってしまう。すると下からおやつに呼ばれたのでおやつを取ろうとどんどん磁力を上げていくと、おやつより先に部屋中の物がのび太にくっついてしまい、慌てて助けを求めるが、近づくと自分も吸いつけられてしまうのでドラえもんも近づく事が出来ないのであった。  

 (解説)今話を読んで、恐らくほとんどの人間は「鉄でもないものが磁石に引き付けられるのか?」と考える事でしょう。これについては研究の必要ありかと思いますが、とりあえずここでは置いておきましょう(じゃあ言うな)。ラストのオチは大体予測できるものの、それでも面白く思えるのは演出力の勝利でしょう。同様の終わり方をしている「人間磁石」とは違った味わいがありますね。
「ぬいぐるみカメラ」と「クルーム」   8頁 小三85年2月号
 スネ夫のコネで怪獣映画の撮影現場に行って撮ってきた写真を見せびらかすスネ夫とジャイアン。のび太はドラえもんに相談しようとするが、部屋に入ると天井からネズミが逃げていったと思ったら、なんと巨大なネコが下りてきた。仰天するのび太だがそれはドラえもんが着ていたぬいぐるみで、「ぬいぐるみカメラ」と「クルーム」で作ったものだった。作りたいものの写真を撮り、全身にクルームを塗ってからカメラのコードを繋いでスイッチを押すと、ぬいぐるみが出来上がるのだ。
 そこで2人はさっきのスネ夫が見せたような写真を撮る事にし、「インスタントミニチュア製造カメラ」でミニチュアを作り、ぬいぐるみカメラで怪獣のぬいぐるみも作って撮影を始めるが、のび太は着ているぬいぐるみから火を吹いてしまってふすまが焦げてしまったので、2人は外に逃げてしまう。
 改めて空き地にセットを作った2人はみんなも呼んで写真を撮るが、うらやましがったジャイアン達が邪魔をしてしまう。そこでドラえもんはジャイアン達のぬいぐるみを作ってそれぞれのママに悪戯し、本物のジャイアンとスネ夫を叱らせてしまうのであった。  

 (解説)今話もストレートに読者の夢を叶える話なので、その作りには好感が持てます。ぬいぐるみカメラにおなじみのミニチュア製造カメラも登場し、新旧2つのカメラが登場しているところも道具マニア?には要チェックですね。ぬいぐるみの内部機構が細かく設定されているところにも注目ですか。最後に蛇足。いくら子供の見学者とは言え、映画の大事な「小道具」である着ぐるみに子供を抱きつかせるような真似は普通しません(笑)。
ぬいぐるみせいぞうカメラ   8頁 小二85年11月号
 スネ夫に呼びつけられ、空地へと急ぐのび太。ところが空地には誰もおらず、のび太が不思議がっていると、うなり声と共に突然怪獣が姿を現した。仰天したのび太は慌てて逃げようとするが、蹴つまづいてうまく逃げられない。すると物陰から笑い声と共にジャイアン達が現れた。実はこの怪獣はスネ夫のかぶっていた着ぐるみだったのだ。
 臆病だとみんなに笑われたのび太は悔しがってドラえもんに報告し、仕返ししたいと言うのび太のためにドラえもんは「ぬいぐるみせいぞうカメラ」を出してやる。その名のとおり、絵や写真を写すとそのままぬいぐるみを作ることが出来るのだ。試しにプテラノドンの着ぐるみを作り、のび太が入ってみると、なんと本物のように空を飛ぶことができるようになった。早速のび太はスネ夫達の元へ向かう。
 空地ではスネ夫達が今度はしずかを驚かせていたが、そこへ上空からプテラノドンが現れ、逆にスネ夫達が驚いて逃げ出してしまう。しずかの前で種を明かしたのび太は意気揚々と帰宅するが、その途中でプテラノドンを本物と信じ込んでいるジャイアン達が、恐竜調査のために裏山へ行こうとしていくことを聞き、のび太はしずかやドラえもんも誘って、首長竜の着ぐるみで2人を驚かそうとする。
 裏山へ乗り込んだジャイアン達は、現れた首長竜を見て仰天するが、そこにネズミが現れたために、中に入っていたドラえもんが暴れだし、ジャイアン達に気づかれてしまう。
 逃げる3人だが、ちょうど通りがかった先生を見つけて一計を案じたのび太は、先生のぬいぐるみを作成してかぶり、本物の先生の振りをしてジャイアン達を叱りつけてしまうのであった。  

 (解説)「ぬいぐるみカメラとクルーム」ではジャイスネのママの着ぐるみをかぶっていますが、今話のオチでは先生の着ぐるみをかぶっており、オチ自体は大同小異という感じですが、学校の廊下でもないのにその場に立たせてしまうと言うシチュエーションが、前者とは違う笑いを提供していますね。スネ夫は映画会社から着ぐるみを借りてきたようですが、恐らくは撮影用ではないアトラクション用の物なんでしょうね。
ねがいたなばたロケット   7頁 小二86年7月号
 今日は七夕。笹を見かけたのび太は、願い事が叶うように自分も短冊を書くことにするが、それをジャイアン達に笑われてしまう。バカにされたのび太はそのことをドラえもんに話すが、ドラえもんは「ねがいたなばたロケット」を使えば本当に願い事がかなうと言う。早速出して欲しいとのび太にせがまれるが、どうもドラえもんは自分が出した道具に自信がない様子。テスト用短冊に小遣いが欲しいと書き、のび太は町内を一回りしてくることにする。
 しかしお金を手に入れることが出来なかったばかりか、自分の小遣いである10円さえも落としてしまった。そこに至ってドラえもんもようやく自分の間違いに気づく。ドラえもんが出したロケットは「うらたなばたロケット」であり、これに書いた願い事はあべこべに叶ってしまうのだ。当然のび太は怒り出して口論になってしまい、ドラえもんはタイムマシンでどこかへ行ってしまう。
 頭の冷えたのび太は、逆にうらたなばたロケットに、かなえたい願いと逆の願いを書くことで自分の願いをかなえると言う作戦を思いついた。試しに小遣いをいらないと書いてみると、洗濯しようとしたズボンから100円が見つかったとママから言われ、のび太は改めて何を願うか思案する。しかしその最中、ジャイアン達に道具のことを知られてしまった。
 一方のび太の部屋では、タイムマシンでどこかへ行っていたドラえもんが帰ってきていた。ドラえもんはデパートに文句を言い、ちゃんとした「ねがいたなばたロケット」と交換してもらってきたのだ。
 そうとは知らないジャイアン達は自分たちの願いをあべこべに書き、のび太の分として「幸せになりたい」と書いてロケットを打ち上げてしまう。しかしその時になってようやくドラえもんからロケットが入れ替わっていることを聞き、何とかしてくれと頼むジャイアン達に、ロケットは天の川まで飛んでいってしまったからどうしようもないと応えるドラえもんであった。  

 (解説)初見時はねがいたなばたとうらたなばたのロケットの違いがわからなかったんですが、色が違うんですね(笑)。今話はオチの逆転劇がほぼ全てという感じで、展開そのものに新鮮味がないのが残念ですね。のびドラの口ゲンカのシーンが、短いながらもかなり迫力あるものになっているのと、表紙の凶悪な面構えののびドラが特筆点でしょうか。
ネンドロン   FF2巻 9頁 小二71年1月号(へんなくすりネンドロン)
 以前にのび太が強くなった秘密をつかんだスネ夫はのび太に鉄の棒を曲げるよう言い、のび太はドラえもんに頼みに行くが、以前使った「がんじょうぐすり」はもうないと言う。困るのび太にドラえもんは今度は「ネンドロン」を出した。この粉末をかけるとしばらくの間、なんでも粘土のように柔らかくなるのだ。空を飛んでいるドラえもんに上から粉をかけてもらってのび太は鉄棒を曲げ、驚くみんなを尻目に更にいろいろなものを変形させていってしまうのび太。調子に乗ったのび太は犬を豚のように変えてしまうが飼い主に怒られたので、もう一度粉をかけて元に戻す。しかしその様子をスネ夫に見られてしまい、今まで変形させたものを直しに向かったドラえもんを突き飛ばしてネンドロンを奪い、その時に粉をかぶったドラえもんは転がった弾みで丸まってしまう。ネンドロンを手に入れたスネ夫はそれを使っていろんないたずらをし、更に家の中のものにまでいたずらをしたのでママが怒ってしまう。しかしスネ夫からネンドロンを使って顔を美しくするという考えを聞いたママは先に自分の顔を変えてもらうことにするが、スネ夫が失敗したためにお化けのような無茶苦茶な顔になってしまう。激怒したママがスネ夫に掴みかかった拍子に瓶が割れてネンドロンが部屋中にまき散らされ、その中で2人はもみ合う。のび太たちが駆けつけると、そこではネンドロンのせいで底なし沼のようになった床に溺れて苦しんでいる、変な顔のスネ夫とママがいるのであった。  

 (解説)これです!この無茶苦茶なフリークス系の話こそ最初期ドラの醍醐味です!今話の見所はなんと言っても変な顔になったスネ夫とママなのですが、それ以外にも人間の腕を伸ばしてしまったり、柔らかくして土管の中に落としてしまったりとアナーキーな描写が目立ちます。是非一度手にとって読んでほしい作品ですね。
念力目薬   FF4巻、CC2巻 7頁 小三73年4月号(ねん力目ぐすり)
 昼寝をしているのび太は鼻をかむのも面倒がって、足でちり紙を取ったり捨てたりするのでママに叱られてしまう。のび太は見つめるだけで何でも動かせるようになれる道具はないかとドラえもんに聞くが、使うと余計怠け者になるからとドラえもんは冷たく突き放す。そこで一計を案じたのび太は自分は念力が使えるとみんなに宣言し、出来なかったら殴られるという約束を取り付けてしまう。その約束を盾に道具を借りようとするのび太と貸すのを渋るドラえもんは口ゲンカを展開するが、結局ドラえもんが折れて「念力目薬」を出してやる。これを差して物を見つめると念力が使えるようになるのだ。ちり紙やママの花を使って実験したのび太はみんなの前で念力を披露して驚かれる。しかし信じないジャイアンは自分を動かしてみろと言い出すが、のび太がじっと見つめてもピクリとも動かない。重い物を動かす時はもっと薬を差さなければいけないのだ。だがのび太は薬を差しすぎたために見たものは何でも吹っ飛んでしまうくらいの念力を発揮してしまう。のび太に目を閉じさせて手を引っ張りながら家に連れて帰るドラえもんだが、のび太が怖がってチラチラ目を開けるたびに車や人間が吹っ飛んでいく。さらにパパが本を買ってきたりママに宿題をするよう言われても目を開けることが出来ないので、困り果ててドラえもんに助けを求めるのび太であった。  

 (解説)今話もまた因果応報的なオチになっていますね。しかし道具を出させるためにわざと約束を先にしてきてしまうとは、のび太も意外と計算高い奴だ(笑)。展開で言えば「テレパしい」と同じようなものと言うべきでしょうか。ちなみに今話の道具は6巻の「ドラえもん大百科」にも登場していますね。
のぞきお化け   FF3巻 15頁 小四70年8月号
 今日ものんびり昼寝するのび太だが、そんなのび太を見て密かに笑う声が聞こえる。目を覚ましたのび太は最初こそドラえもんの仕業だと思うが、天井に謎の目玉が見えたので仰天してドラえもんを呼ぶ。しかし信じてもらえない上にドラえもんはタイムマシンでどこかへ行ってしまう。のび太は夏休みの宿題のことで相談したかったのだ。ところがそれからもどこからか誰かに見られているような気分が拭えず、更にまた壁に目玉を見つけたので慌ててママに知らせるが、これも信じてもらえず、逆に宿題をしろと言われる。仕方なくドラえもんを呼んで相談しようとするが、ドラえもんは早々に戻ろうとしてしまう。未来の世界でセワシの宿題を手伝っているためだ。それでも5分だけ自由研究のことで相談するが、結局何も決まらずにドラえもんは未来に行ってしまう。のび太は1人で考え始めるがすぐに眠ってしまう。その時天井からノートが突然落ちてきて、しかもそれにはのび太の一日ごとの行動が細かく書かれていた。のび太の行動を調べている者がいるのだ。事情を聞いたドラえもんも対応することにし、「のぞきお化け」と名づけた犯人を捕まえるために警報やカメラ、足跡を取るスプレーなどをセットする。だがそんな二人をどこからか嘲笑する声が聞こえたかと思うと警報が鳴り響いた。それはママに反応したのだが、カメラでも足跡でも敵の正体をつかめない。ドラえもんはのび太を一旦外に避難させることにするが、目玉はのび太の後を追ってきていた。のび太はこれでは宿題が出来ないとぼやくが、それを聞いた何物かがアサガオの種をまき始めた。のび太は友達の家に行くが、みんなはプランクトンを調べたりジャガイモとトマトを接木したりと様々なことを行っており、のび太はそれに張り合う形でアサガオにナスをならせているなどとウソをついてしまう。ところがみんなを家に連れてくると、なんとアサガオにナスがなっており、しかも記録ノートまで出来上がっていた。驚くのび太はドラえもんに相談し、ドラえもんは「宿題お化け」だと断ずる。気を良くした2人は他の宿題も頼もうとするが、のび太の家からは一つのUFOが飛び去った。実はのび太のそばにいたのは宇宙人で、自由研究で地球人の生活を記録し、そのお礼にのび太の自由研究を完成させていたのであった。  

 (解説)今話のオチはどっちかと言うとSF短編で描かれるようなオチに近いですね。何の脈絡もなく最後に突然宇宙人が登場するあたりは、初期作らしい無茶苦茶なナンセンス世界と言えるでしょう。冒頭2ページのコマ割り構成もちょっと異色なものになっているので、一見の価値はあると思います。しずかによく似た謎の女の子も要チェックですかね。しかし自分の宿題のためにドラえもんを呼び戻すとは、セワシも自分勝手なヤツだな(笑)。
ノゾミルじゅう   CC2巻、TCS4巻 7頁 小二78年12月号
 のび太達は大人に内緒で捨てイヌをこっそり育てていたのだが、今日はのび太がエサをやる当番になってしまった。以前にエサを持っていった時はこっぴどくママに叱られてしまったので、困りながらも家に帰るのび太。すると家ではママがしつこいセールスマンの相手をしている所だったので、これ幸いとのび太は台所に向かうが、運悪くゴミバケツにぶつかってママに気づかれてしまい、やむを得ず逃げ出してしまう。イヌを前に困り果てるのび太は、やはり何とかして飼い主を見つけなければならないと考え始める。しかし前に尋ねて回っても誰も引き取ってくれなかったので、のび太は再び悩みだしてしまう。するとちょうど空き地にはのび太と同じように悩んでいる人がいた。その人は先ほどのセールスマンで自動車のセールスマンなのだが、今まで一台も売っていないのだと言う。のび太はドラえもんに相談する事にし、話を聞いたドラえもんは「ノゾミルじゅう」を出した。これで撃つとその人のほしがっているものが見えるのだ。早速二人はいろんな人を撃ちまくって欲しいものを調べるが、誰もイヌを欲しがっていない。ところがその中に自動車をほしがっている人がいたので、のび太はセールスマンにその人を紹介してやる。その後も二人は求める人探しを続け、とある男の欲しいものを調べる。するとその男はピストルを欲しがっており、男はのび太から強引に道具を奪い取ってしまった。その男は強盗で、道具を使って追ってきた警官を脅すが、のび太にそれは銃ではないと指摘され、結局警官に捕まってしまった。二人は強盗の被害にあった人にお礼を言われるが、のび太がその人を道具で調べてみるとその人はイヌをほしがっていることがわかり、野良イヌはその人が引き取る事になった。喜ぶイヌの姿を見て、安堵の笑顔を見せながらのび太とドラえもんは帰路につくのであった。  

 (解説)「ほしい人探知機」とまったく同じような感じの話なので目新しさは感じませんが、確かこの時期にはSF短編でも同種の話があったような…。F先生の好きなテーマだったのでしょうか?典型的なハッピーエンドストーリーですが、奇をてらうことなくまっすぐに話を展開させているので、読んでいると和やかな気分に慣れる一編です。みんなと一緒に捨てイヌを飼うスネ夫の意外な一面も知ることが出来ますね。
のび太王国誕生…   10頁 小六81年3月号
 今日ものび太をぶっ飛ばしたジャイアンは、自分をこの界隈の帝王などと言って自慢しだしてしまう。それを聞いたのび太は自分が王様だったら何でも思い通りになるとやけに子供じみた事を言い出し、それを聞いたドラえもんも半ば呆れながらも「王国シールセット」を出した。チョークの中で囲った領土の中でだけなら、貼ったシールそれぞれの役になりきる事が出来るのだ。早速のび太は女王をしずか、大臣を出木杉、騎士をジャイアン、平民をスネ夫に貼り付け、チョークで領土を書き始めた。その様子を見たジャイアン達はまたのび太をからかいだすが、のび太がチョークの線を繋げると同時に道具の効力が発揮され、のび太はジャイアンに命じて無礼を働いたスネ夫をやっつけてもらう。スッとしたのび太は領土の外に出ないように気をつけながら歩き、図書館に行こうとしていたしずかと出木杉を強引に家に連れて行ってしまう。ところが家に帰るとママからお使いを言いつけられてしまい、のび太は大臣の出木杉に行かせてしまう。のび太はだんだん威張りだしてドラえもんにまでおやつを持ってくるように命じるが、家にはおやつがなかったので、のび太は出木杉から税金の話を聞きだし、ジャイアンに命じてスネ夫が食べかけていたメロンを取ってきてもらう。だが今度はママに宿題をするよう言われてしまい、これも出木杉に押し付けてしまう。あまりにも行きすぎなのび太の態度を見てさすがにドラえもんもたしなめるが、のび太はドラえもんまでも追い出してしまい、さらにジャイアンに命じて再びスネ夫の家からゲームを取ってきてもらう。悔しがるスネ夫を見かけたドラえもんは、こっそりと領地の事についてスネ夫にもらした。スネ夫はのび太にラジコン飛行機を渡して外で遊ぶように仕向け、コントロールがうまく出来ないのび太は飛行機を追いかけているうちに領地の外へ出てしまった。道具から解放されたみんなはのび太を追いかけまわし、その様子をドラえもんは屋根の上から静観するのであった。  

 (解説)テーマ的には「階級ワッペン」や「のび太の地底国」と同じようなものですが、「地底国」に比べるとこちらの方がパワーダウンしてしまっている感は否めません。ただ、こちらは逆にシールというお手軽なものですんでいる点、より日常に近い世界観が作られていると思います。領地に関する設定については後の「おこのみ建国用品いろいろ」に引き継がれていますね。
のび太が強くなる   FFランドスペシャル 16頁 小三70年3月号
 遅刻しそうなのび太にタケコプターを貸そうとするドラえもんだが、さらに宿題を忘れた事に気づいたのび太は学校を休むとまで言い出してしまう。ママは優しくのび太を学校に行かせようとするが、そんな甘やかしぶりを否定したドラえもんは今回限りと「でん子ずのうつきボールペン」を出して、それに宿題をやらせてしまう。とりあえず学校に向かったのび太だが、それからの事も心配なドラえもんは学校までついていくことにしてしまう。
 のび太はそれでも結局遅刻をしてしまうが、ドラえもんは姿を消して学校に入り、道具を使って先生を足止めしてその間にのび太を教室に向かわせる。それからも姿を消したドラえもんのおかげで、のび太は体育を始めとして大活躍し、みんなにほめられる。ところがそれを見てのび太は調子に乗ってしまい、つっこんで来る車に飛び込んだりとムチャなことをし始めてしまい、疲れ果てたドラえもんは気絶してしまう。
 しかしそうとは知らないのび太は自分を転ばした不良中学生とケンカをすることになってしまい、ドラえもんがいると思い込んでいるのび太は意気揚揚とケンカに臨むが、ドラえもんがいない事に気づいて急いで逃げ出す。一方のドラえもんは透明のままで先生にぶつかってしまい、その時に先生にヒゲを抜かれてしまったために力を失ってしまった。
 そこへタイムテレビで様子を見ていたセワシが現れ、のび太に化けて不良の下へ急ぐ。セワシは不良を簡単にやっつけてしまい、事情を知らない本物ののび太はジャイアン達に無理やり不良のところへ連れて行かれてしまう。ところがのび太が軽くぶつかるだけで不良達は倒れてしまった。既にやっつけていた不良をセワシが立たせていたのであった。  

 (解説)うーむ、話というよりはビジュアル重視の話であるために、文章にして解説するのは難しいですね、と、ちょっと言い訳(笑)。話自体は中期以降の作品にも多く見られる「調子に乗ったのび太と道具のしっぺ返し」に近いのですが、何の伏線もなしに解決をセワシに委ねてしまうところが残念ですね。そういう意味でも今話のドラはいいところがまったくありませんでした(笑)。注目するところと言えば、今話と「愛妻ジャイ子!?」限りのドラの「『ラ』言葉」や、「ヒゲを抜かれると力がなくなる」という今話限りの設定ですかね。
のび太放送協会   FF8巻 14頁 小四75年10月号(テレビ局セット)
 空き地に集まってみんなで話をする中、ジャイアンはタレントに、スネ夫はテレビのディレクターになるという夢を話す。それを受けてのび太は自分がテレビ局の社長になるなどと言い出してしまい、みんなは呆れて声も出ない。しかしその話を聞いて早速乗ってきたドラえもんは「テレビ局セット」を出して今すぐテレビ局を始めることにする。「チャンネル割り込みスイッチ」をテレビにつけると、カメラで映したものがテレビに映し出されるのだ。早速みんなにスイッチを配り「NHK(のび太放送協会)」と名づけて活動を開始する。しかしアイデアこそたくさん出るものの結局資金がまったくないので何をすることも出来ない。そこで二人はスポンサーを募集することにするが、商店街を回っても誰も相手にしてくれない。それでもやっと潰れそうなパン屋をスポンサーにするが、もらえた金は500円だけだった。そのうち放送していないとみんなから文句がきたので二人も慌てるが、パン屋の主人が自作の映画を放送しようと言い出す。しかしその映画はパン屋の主人の顔をただ延々と映し続けるだけの代物だったので、視聴率は0パーセントにまで下がってしまう。パン屋の主人は腹を立てるが、そこにスネ夫が「ビックリカメラ」のアイデアを持ってきた。要するにいろんな人を驚かして、その様子を放送しようというのだ。それをやってみると徐々に視聴率も盛り返してきたが、それでジャイアンを驚かしたためにのび太とスネ夫はジャイアンに殴られ、そのシーンが放送されたためにどんどん視聴率が上がる。だがジャイアンをなだめるためにのび太は出演料をジャイアンに払ってしまい、ジャイアンはテレビでリサイタルを始めてしまう。そのために視聴率はまたも0パーセントに下がり、主人は金を返せと言い出す。そこへテレビを見ていたみんなが、ジャイアンが出ているなら自分達も出演させてほしいと言ってきた。そこでのび太は出演料100円ずつもらおうとし、みんなからひんしゅくを買ってしまうのであった。  

 (解説)うーむ、「テレビ局をはじめたよ」でもそうですが、どうもこの種の話は歯切れが悪いですねえ。オチにきっちりとした簡潔感がないというか、舞台転換があまりないので動きが少なく見栄えがしないという感じがします。もしかしたらヘタにページ数が多かったために冗長になってしまったのかもしれませんね。パン屋の主人がなんとなくF先生に似ているのはご愛嬌でしょうか?
のびちぢみスコープ   6頁 小一75年12月号
 おやつを食べているのび太とドラえもんだが、なぜかその姿を見てママが怒り出す。ママはダイエットのために食事を減らしており、そのためにイライラしてのび太達に八つ当たりをしていたのだ。とばっちりを受けないようにするためにもと、ドラえもんは「のびちぢみスコープ」を出した。スコープで覗いている物の重さを、スコープの筒を回すことで自由に変えることができるのだ。早速ママを軽くする事にしたが、間違えてスコープを左に回してしまったのでママは逆に重くなってしまう。さらに2人がもめているうちにママは出かけてしまった。
 外に出てようやくママを見つけるが、今度はのび太が狙いをつけているところにドラえもんが触ってしまったために、狙いがずれてしまう。さらに現れたジャイアンにスコープをとられてしまうが、偶然ジャイアンがスコープを使ってのび太を太らせてしまったので、のび太は重さを生かしてジャイアンをやっつけてスコープを取り戻し、さらにスコープでジャイアンをやせ細くしてしまう。やっとママを見つけたのび太はママの体重を軽くするが、しかし今度は回しすぎたので、ママは風で舞ってしまうほどに軽くなってしまうのであった。  

 (解説)こんな時期からもうダイエットの話題があったんですねえ。ダイエット関連の話題としては後年の「おもかるとう」や「ふんわりズッシリメーター」がありますが、今話では万事解決ではなく、道具のせいでさらにメチャメチャな展開になり、さらにそれが収拾つかないままで終わってしまうという、同種の話としては異例の終わり方を迎えています。同一コンセプトの道具を使っていても、話の展開には種々のバリエーションを付けることが出来るという好例ではないでしょうか。
乗り物アクセサリー   FF25巻、CC2巻、TCS4巻 7頁 小二79年2月号(のりものアクセサリー)
 のび太が部屋にいると、突然部屋に何かが飛び込んできた。それは両腕部分に飛行機の翼をつけたドラえもんで、ドラえもんは「乗り物アクセサリー」の一部をつけて試験飛行をしていたのだ。他にもキャタピラや潜水ヘルメットなどを見せるが、のび太が借りようとしても買ったばかりだといってドラえもんは貸そうとしない。そこでのび太は表をドラやきが通ったなどとウソをついてドラえもんを部屋から追い出し、そのスキにアクセサリーを全部体につけてみる。その姿を「ノビターロボ」と名づけたのび太は早速友達に連絡する。そこにドラえもんが戻ってくるが、しずかから呼び出しの電話がかかってきたのでのび太は飛行機のアクセサリーを借りてしずかの家に向かう。ところがしずかの頼みはドロボウネコを捕まえてほしいというものだったので、仕方なくのび太は猫を捕まえる。しかし次のスネ夫の頼みもママに荷物を届けてほしいというものだったので、怪獣などを相手に華々しく活躍したかったのび太は欲求不満になってしまう。と、そこへジャイアンが『怪獣だ』と言いながら現れた。喜ぶのび太だがドブ川の中にいると言うので嫌がりながらも潜行して調べることにする。しかし怪獣などどこにもおらず、あるのは買い物かごだけだった。実はジャイアンの探していたものはその買い物かごであり、のび太はウソをついたのかと怒るが、買い物かごに入っているのは10個の貝であり、「貝」が「十」個だから「怪獣」と言ったのである。それを聞いたのび太はガックリして大きなくしゃみをするのであった。  

 (解説)全体を通してみると普通の水準作なのですが、今話はオチがダジャレで終わっているところが通常と異なっていて面白いですね。「こじつけギャグ」の変則版ということも出来ますが、ここまではっきりとしたセリフ上のダジャレでオチをしめるのは、全作品を見ても珍しいのではないでしょうか。すぐにわかるウソに騙されて外に飛び出すドラもかわいらしいと言うかバカと言うか(笑)。


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