未収録作品は行 その2


びっくりばこ   7頁 小二73年9月号
 空き地でそれぞれの怖い物について話すのび太たち。しかしのび太は毛虫が怖いと言ったためにみんなにバカにされ、挙句にはたくさんの毛虫を使ってからかわれてしまう。
 話を聞いて怒ったドラえもんは仕返ししようと「びっくりばこ」を取り出した。見た目が普通の箱だったのでのび太はガッカリしてしまうが、開けるとなんとたくさんの毛虫が飛び出してきたので、のび太は仰天してしまった。この箱は開けた人にとって一番怖い物が飛び出してくるのだ。試しにドラえもんが開けてみると中からはネズミが飛び出してきた。
 のび太は早速ジャイアンに開けさせようとするが、ちょうど通りがかったしずかが開けようとしたので、のび太は何とか逃げ出してジャイアンを見つける。しかしジャイアンはバカにして箱を開けようとせず、殴られたのび太は気絶してしまった。
 そこへやってきたスネ夫や他の友達が箱を開けてみると、それぞれの怖い物が箱から飛び出してきたので、みんなはその場で気絶してしまい、そこへちょうどやってきたしずかが箱を持ち去ってしまう。素敵な物が入ってるかもしれないと言うしずかの言葉を偶然聞いたジャイアンは、嘘をついて箱を手に入れてしまうが、開けてみるとジャイアンの一番怖い物である母ちゃんが飛び出してきたので、ジャイアンもさすがに仰天してしまうのであった。  

 (解説)この種の話は怖い物を見た時の各人の反応で笑うのが常道なんですが、この話でのリアクションはみんな一様に弱いので、その点での物足りなさは否めません。ですがこの時期はまだジャイアンの苦手なものが母ちゃんだと言う常識もなかったので、そのオチを見せるための話だったのかもしれませんね。他人様の箱を勝手に持ち去るしずかの行動がナイスです。
日づけ変こうチョーク   TCS2巻 7頁 小一85年1月号(日づけへんこうチョーク)
 スクラップしたい記事があると言って、パパは昨日の新聞を探していたが、どこにも見当たらない。そこでのび太はタイムマシンを使って昨日へ行って持ってこようとするが、タイムマシンは修理中で、明日まで使う事は出来ないと言う。そこでドラえもんは「日づけ変こうチョーク」を出した。このチョークの細い方で円を書いて中に入ると昨日、太い方で書いて中に入ると明日の世界に行く事が出来るのだ。早速昨日に向かった二人は新聞を取ってくるが、昨日のこの時間はのび太達はしずかの家に行っていたので、ママに驚かれてしまう。円の中に入って円を消すと元の時代に戻ってきた。パパに新聞を渡したのび太は、今度は自分一人で明日の世界へ行ってしまう。ところが明日ののび太は家にいないので外に探しに行き、ジャイアン達に尋ねるが怒られてしまう。明日ののび太は空き地でしずかと遊んでおり、混乱するから元の時代に戻るよう言ってくる。のび太は帰ろうとするが、なんとママにチョークの輪を消されてしまっていた。のび太は元の時代に戻れなくなったので、明日の世界ののび太と一緒に暮らす事になったが、なんと明日ののび太は出て行けなどと非情なことを言い出す。それを聞いて泣き出すのび太だが、もちろんそれは冗談で、一日経って修理されたタイムマシンに乗ってドラえもんが迎えに来てくれたのであった。  

 (解説)よくチョークを使って道に落書きを書いたりしましたが、こういった道具はその遊びの延長上にあるものなんでしょうね。今回もメインではないもののタイムパラドックスの要素が用いられており、ビジュアル的に面白いシーンが多いです。明日ののび太に出ていけと言われた時の、のび太のショッキングな表情が笑えます。
引っ越しひも   FF6巻、CC2巻 5頁 小三74年10月号(ひっこしひも)
 水の入っているコップと入っていないコップの間に紐をかけ、布をかぶせた間に水がコップを移動するという手品を披露するスネ夫。みんながタネを聞きたがるのでスネ夫は仕方なく教えることにするが、のび太に教えるとみんなに言いふらしてしまうと言って、のび太だけ仲間外れにされてしまう。のび太はドラえもんに手品を教えてもらおうとするが、ドラえもんは手品の代わりに「引っ越しひも」を出した。ひもの両端に何かを置き、「ワン、ツー、スリー」と言うだけで中身が入れ替わるのだ。早速ジャイアンにみせようとするのび太だがジャイアンはまったく相手にしないので、のび太はジャイアンが持っているポップコーンをひもで入れかえ、全部口の中に入れて食べてしまう。車で出かけようとしているスネ夫にもバカにされたのび太は車と近くの空き箱をひもで入れ替えてしまい、気分を晴らす。のび太はひもをポケットに入れるが全部入りきらずに片方の端だけが外に出たままだった。その端が偶然近くのおばさんが置いたゴミバケツの下敷きになってしまい、さらにのび太はイヌに「ワン」と吠えられ、驚いて飛びのいた拍子にバナナの皮を踏んで「ツー」と滑ってしまい、「スリー」と転んでしまう。するとポケットの中一杯にゴミバケツの中のゴミが入ってしまうのであった。  

 (解説)なんと言っても最後のオチが壮絶ですね。擬音を使ったオチとしては「チョージャワラシベ」がありますが、今話のオチはその話を遥かに上回るものすごい強引さです(笑)。でも個人的にこういうオチは好きですね。吠えかかるイヌが珍しくコリー犬のようなイヌになっているのも特筆点ですかね。
ひょう本さいしゅう箱   FF34巻、CC6巻 8頁 小二81年10月号
 それぞれが作った標本を見せ合うのび太たち。しずかは植物、スネ夫は昆虫の標本だったが、スネ夫はデパートで標本を買ってきたのだった。しかしのび太の標本は食事に出たお汁に入っている貝殻を集めたものだったので、二人に笑われてしまう。もっといい標本を欲しがったのび太はドラえもんに相談し、とりあえず「ひょう本さいしゅう箱」を出す。欲しい虫や動物の写真に針を刺すと、箱の中にその虫が現れるのだ。しかも中の動物は生きており、箱の中にいる間は動かないのである。だがドラえもんはこんな道具に頼らず自分で集めるように説教を始めたので、のび太はネズミの標本を呼び出してドラえもんを追い出してしまう。のび太は早速、スネ夫にバカにされながらも裏山に向かっていろいろな昆虫を集める。その頃スネ夫に会ったジャイアンは、スネ夫の標本から目ぼしい標本を取ってしまい、続いてやってきたのび太の標本を見てみるが、あまりに立派な昆虫が集まっていたので、驚いたジャイアンは箱を落としてしまう。そのために箱から飛び出た虫がみんな飛び去ってしまい、のび太からはこの秘密を聞いたジャイアンはさいしゅう箱を奪い取ってしまう。そこでドラえもんは使い方がわからないジャイアンの下に行き、ジャイアンの写真に針を刺すと、ジャイアンが標本になってしまった。二人はジャイアンの標本を空き地に飾り、みんなに見せるのであった。  

 (解説)これもまたオーソドックスな展開だと思って読んでいくと、最後でとんでもないオチが待っていました。ジャイアンを標本にしてしまうという強引過ぎる展開(笑)もすごいのですが、それをさらに飾ってしまう辺りがナンセンスの極みですね。しかし、デパートで標本を買ってきたスネ夫より、例えお汁の残りであっても自分で全部標本を集めたのび太の方が偉いと思うのは僕だけでしょうか(笑)?
ヒラリくつ下   6頁 小二74年2月号
 スネ夫に誘われて遊びに行こうとするのび太だが、なぜかいつもと違って絶えず周囲を警戒している。それでもスネ夫と一緒に出かけるが、すぐにある物を見かけたのび太は仰天して家の中に逃げ込んでしまった。ママに買い物を頼まれても外へ出ようとしないのび太を見てドラえもんが不思議がるが、話を聞くと昨日道を歩いていた時に昼寝をしていた犬の尻尾を踏んづけてしまい、それからずっと顔を合わせるたびに追いかけられていると言うのだ。スネ夫はそのことを承知の上でわざとのび太を外へ連れ出そうとしており、今もジャイアン達と相談してのび太を誘い出そうとしていた。
 スネ夫達が来てももちろんのび太は出たがらないので、ドラえもんは「ヒラリくつ下」を出してやる。これを履いていると、何が飛びかかってきてもくつ下が履いている人間ごと飛びのけてくれるのだ。安心して出かけたのび太はスネ夫達に誘われるまま例の犬と対面するが、道具の力でのび太は犬の攻撃をことごとく避け、勢い余った犬にスネ夫たちが次々ぶつかる形になってしまった。安心したのび太は1人で立ち去るが、工事現場に差しかかった時に頭上から鉄骨が落ちてきたので、のび太はそれもヒラリとかわす。
 やがて日が暮れて夜になったが、のび太は一向に帰ってこない。あのくつ下で失敗するはずはないと思いながらも、気になったドラえもんはのび太を探しに外に出てみる。するとのび太は鉄骨を避けた弾みで高い電柱のてっぺんに上ってしまい、そのまま降りることができずに泣き喚いているのであった。  

 (解説)ドラが言っている通り普通なら失敗の使用がないはずの道具ですが、それをいかにものび太らしい失敗で失敗させているあたり、構成の妙を感じさせます。のび太が理由を説明している時に『きのうだけじゃないだろ。きみはいつだってぼんやりしてるんだ。』と茶々を入れるドラもさすがですね(笑)。話自体は地味なのですが、のび太をからかおうと集まるジャイアン達も含め愉快な場面が随所に配置されている好編です。
フエールうえ木ばち   CC1巻 7頁 小一78年7月号
 一つしかないケーキを巡ってケンカするのび太とドラえもん。だが2人とも疲れてしまったので、ドラえもんはある考えを思いついて「フエールうえ木ばち」を出した。どんなものでもこの中に植えると、その数を増やす事ができるのだ。早速ケーキを植えて水をやると目が出て花が咲き、やがて成った実の中からケーキが出てきた。計10個のケーキを平らげた2人は、今度はミニカーを増やして外で遊ぶ。
 集まってきた友達にうえ木ばちのことを話すのび太だが、現れたジャイアンに取られてしまい、ジャイアンはお金を増やそうと千円札を植えてしまう。しかしできた実はなぜかしなびており、中から出てきた千円札はミニサイズでとても使えるものではなかった。これは水をやらなかったために木がうまく育たなかったからで、ジャイアンはそれにも気づかず泣き叫ぶのであった。  

 (解説)何気ない展開の中にラストへのオチを含ませていると言う、F先生のストーリーテリングの巧みさが遺憾なく発揮されている佳編です。オチでのジャイアンの末路から、読者である子供たちに「木には水を上げないといけないよ」と優しく教えているような気もしますが、さすがにこれは考えすぎでしょうか?全体の展開としては「サンタえんとつ」に似ていますね。
ふくわらい石けん   FF19巻 4頁 小一72年1月号
 突然ノッペラボーのドラえもんが現れたので仰天するのび太。しかしドラえもんは慌てずにバラバラになっている目や口を取り出し、自分の顔を使って福笑いのようにくっつけ始めた。変な顔になってしまったのでのび太は笑うが、ドラえもんは「ふくわらい石けん」を使ってもう一度顔のパーツを洗い流す。面白がったのび太は自分もやってみることにするが、のび太の片方の目がネコに持っていかれてしまった。すばしこいので捕まえることが出来ず、怒ったドラえもんはふくわらい石けんで作った石けん水を水鉄砲で吹き付け、のび太の目を取り返す。次に友達に石けんを見せる二人は試しにドラえもんの顔のパーツを外して見せるが、みんながいっぺんに顔を洗ってしまったので、顔のパーツがごっちゃになってしまうのであった。  

 (解説)こういう突拍子もない話が登場する所に、低学年誌掲載作の魅力があります(笑)。人間の顔のパーツをバラバラにするという発想自体は他の道具でも利用されていますが、それを使ってふくわらいをしてしまおうという発想が、ナンセンスに拍車をかけています。オチも予測がつく分、実際に5人の顔がメチャクチャになっている図はなんとも形容しがたいものがあり、何度見ても笑えること請け合いです。
ふしぎな海水浴   FF1巻 9頁 小二70年8月号(ふしぎな海水よく)
 海水浴に行くことにしたのび太だが、スネ夫は電車で行くのび太達と車で行く自分とを比べて自慢する。これに腹を立てたドラえもんはみんなを家に戻して「電車ごっこ」を出し、そこに「うみゆき」と書いてふすまに貼り付けた。だがふすまを開けると海水がそのまま流れ込んできたため、一旦閉じてから今度は「かいがんゆき」と書き直してもう一度貼り付ける。するとふすまを開けたら海岸についてしまった。早速泳ごうとする二人だが、のび太は泳げないので砂遊びを始めてしまう。そこでドラえもんは「水をつかめる手ぶくろ」を出して海水をつかみ、2人で水の城を作り上げる。さらに水合戦も行い、パパやママも泳ぎ始めたのでドラえもんは再び泳ごうとするが、のび太が泳げないという話を聞いて「カメ型水着」を出した。これをつけるとカメのように泳ぐことが出来るのだ。そこへしずかが訪ねてきたのでしずかも誘って楽しく遊ぶが、その時ボートが転覆して助けを求めているスネ夫を見つける。スネ夫を送って海水浴場に行ってみると、スネ夫の車が盗まれてしまったと言う。2人は骨川一家を沖のほうへ連れて行って自宅に招き入れるのであった。  

 (解説)これも最初期作品ではありますが、道具を中心とした話になっているので比較的違和感なく読むことが出来ると思います。「行けない旅行の記念写真」に出てくる「電車ごっこ」、6巻の「ドラえもん大百科」に出てくる「水をつかめる手ぶくろ」の初出が今話だという点も見逃せませんね。車まで盗まれてしまう骨川一家はさすがにかわいそうな気も(笑)。
ふしぎな「かみのいえ」   6頁 小一78年6月号
 空き地で何かを組み立てているスネ夫。組み上げた骨組みにビニールのカバーをかぶせ、小さなおもちゃの家を作っていたのだ。空き地に来たジャイアンやのび太も入ろうとするが、のび太はまたも仲間はずれにされてしまう。
 それを聞いて腹を立てたドラえもんは、一枚の大きな紙を取り出し、そこに家を描き始めた。意外な行動にガッカリするのび太だが、なんと紙に書かれた家に実際に入ることが出来るのだ。中で十分くつろいだ2人は、家を空き地へ持っていく。空き地ではスネ夫がしずかと遊ぼうと誘っていたが、やってきたのび太もしずかを誘ったので、紙の家に興味を持ったしずかはのび太の家へ行ってしまう。
 悔しがるスネ夫はこちらにはおやつが一杯あると負け惜しみを言い、それを聞いたドラえもんは新しい紙にレストランを描き、3人はそこでおいしい料理を食べ始める。そんな様子をジャイアンとスネ夫はさらに悔しがって見つめるのであった。  

 (解説)この種の道具も「かべ紙ハウス」を始めとして、類似道具がたくさん登場していますが、やはり絵に描いたものが本物になると言うのは、子供なら誰でも描く夢の風景なのでしょうね。そういう視点から見るとオーソドックスな話と言えなくもないですが、イスに座るドラに足を組ませたりして、さりげないところで楽しい要素を織り交ぜているのはさすがです。紙の家を「薄っぺらな家」と表現するスネ夫がイカス(笑)。
ふしぎなさいころフリダシニモドル   7頁 小三73年1月号
 廊下でのび太とすれ違ったドラえもんはポケットから一つのサイコロを取り出すが、それを落としてしまった。そのサイコロが「1」を示すと、なんと時間が1分逆戻りしてしまった。これは「フリダシニモドル」という道具で、出た目の数だけ時間を戻す事ができるのだ。
 面白がったのび太はドラえもんの警告を無視して道具を借りるが、ママが寝ているパパを起こしている横を歩いている時、廊下に落ちていたボールにけつまずいて転んでしまう。のび太が早速時間を戻すと転ぶ事はなくなったものの、パパはまた布団に入ってしまった。
 その後のび太はお雑煮をこぼしてしまった時もサイコロを使ったので、またパパは布団に入ってしまう。さらに遊びに行ったのび太はしずかと一緒に羽根つきで遊ぶが、失敗するたびに時間を戻すので、今度はパパは何度もご飯を食べなおす羽目になってしまった。
 いいかげんあきらめたのび太は、何でもやり直せるという甘えが失敗を生むからとサイコロをドラに返すが、その後スネ夫たちと一緒にやり始めたすごろくで、いつまでも「ふりだしにもど」ってばかりになってしまい、上がれなくなってしまうのであった。  

 (解説)ほとんど家の中だけで話が展開していくと言うミニマムな設定の話なので、ちょっと面白みがない気がします。道具の被害にあうのがのびドラではなくパパだけと言うところもそれに拍車をかけていますね。時間を戻す時がテープの巻き戻しのように表現されているのは、同じ演出が使用されている道具が少ないだけにかえって新鮮な気がします。道具名に引っかけたオチは秀逸ですね。
ふしぎなじどうしゃ   8頁 小一76年5月号
 のび太に新聞を持ってくるようパパが頼むと、トラックのラジコンのようなものが新聞を運んできた。不思議に思ったパパが後を追うと、車はのび太の部屋に作られた小さな駐車場に戻って行った。これはドラえもんの出した「じどうしゃセット」で、働く時が来たら様々な種類の自動車が勝手に動き出すのだ。続いて消防車が動き出し、つけっぱなしのアイロンのせいで焦げてしまった服に水をかける。
 2人はF1カーに乗って町内一周の競争をし、それを見た友達も競争をやりたがるが、ジャイアンが自動車を勝手に取っていってしまい、さらに反対したのび太は殴られ、駆けつけた救急車に治してもらう。車に乗って楽しむジャイアンだが、そこにパトカーが駆けつけてジャイアンをやっつけてしまい、その間にみんなは車に乗って遊ぶ事にするのであった。  

 (解説)これまた道具を使っての遊びだけを丁寧に描写した、低学年誌らしい作品です。同時にジャイアンの横暴と、それに伴うしっぺ返しをきちんと描いており、ドラ世界のセオリーをうまく消化している点も好印象です。道具自体には際立った個性が見られないのが残念と言えば残念ですかね。
ふしぎな戦車   FF9巻 5頁 小一76年2月号(ふしぎなせんしゃ)
 お年玉を貯めて買った戦車のおもちゃを自慢するのび太。しかしそこにやってきたジャイアンに取り上げられてしまった。話を聞いたドラえもんは未来の学年誌のフロクを取り出した。紙細工のようだがそれを作り上げるとのび太がスッポリ入ることが出来るほどの戦車になった。本物のように使うことが出来るのだと言う。早速のび太はジャイアンの所に向かい、ジャイアンは戦車を殴りつけるが逆に自分の手を痛めてしまい、バットで殴るとバットが折れてしまった。さらに戦車の砲撃を受けたジャイアンは土管置き場に逃げ込むが、戦車は土管を壊しながら進んできた。そこでジャイアンは家に逃げ帰るが、のび太は戦車を使って壁を移動してジャイアンの部屋に入り込み、さすがにジャイアンも困り果てて戦車を返すのであった。  

 (解説)おもちゃの戦車よりもドラの出した戦車の方がいいんじゃないかと思うのは僕だけか(笑)?今話は秘密道具ではなく「未来の学年誌のフロク」というところがいい味を出していますね。オーソドックスな仕返し話ですので、比較的素直に楽しめる一編です。
ふしぎなめがね   6頁 小一73年11月号
 なぜかスネ夫をギロリと睨みつけているジャイアン。するとスネ夫は勝手に転んでしまった。テレビで相手を睨むだけで倒す事ができるというパフォーマンスを見たジャイアンが、早速それを真似ていたのだ。通りかかったのび太は足を蹴られて強引に倒されてしまい、話を聞いて怒ったドラえもんは、相手を見るだけで動かす事ができるという「ふしぎなめがね」を出した。早速これを使ってジャイアンをやっつけようとするのび太だが、相手を少し見ただけでも相手を動かしてしまうので、チラッと見たママも倒してしまった。
 下を向いて歩く事にしたのび太だが、呼び止めたしずかを見てしまったのでしずかも倒れてしまい、仕方なく目隠しをして歩く事にするが、今度はそのせいでうまく歩けなくなってしまう。それを見かけたジャイアン達はのび太をからかいだし、のび太の体を回しだしてしまう。目が回ったのび太は倒れてしまうがその拍子に目隠しが取れ、目が回っている状態でジャイアン達を見たために、ジャイアン達は空に浮かべられてグルグルと回りだしてしまうのであった。  

 (解説)雰囲気としては「念力目薬」とほとんど同じように見えますが、「目薬」の方では道具のデメリットを描いているのに対し、こちらは純粋にジャイアン達をやっつける事に終始しているので、明快でわかりやすい物語になっています。念力がどうのという導入部分も時代を感じさせてくれますね。
不思議なめがね   FF7巻 4頁 小一73年10月号
 部屋に入ってきたドラえもんを見てのび太は慌てて何かを隠す。ドラえもんが聞いてみてものび太はとぼけるのでドラえもんはポケットから小さなめがねを取り出した。それで覗くとのび太の顔の部分にケーキが見えたので、のび太がケーキを隠していることがわかる。これは覗いた人の考えていることが形になって見える「読心ルーペ」なのだ。のび太が早速買い物に行こうとするママを見てみるとカレーライスが映ったので、夕食にカレーを作ろうとしていることがわかった。その頃母ちゃんに叱られてムシャクシャしているジャイアンはその鬱憤を晴らそうとスネ夫を呼びつけるが、のび太がルーペでジャイアンの心を見たために考えていることがバレ、スネ夫は危ない所で逃げる。次にのび太が小さなイヌを見てみると、なぜか女の子の顔が映しだされた。しばらく歩くとその女の子が歩いていたので覗いてみると、さっきのイヌが映しだされた。少女はイヌの飼い主だったのだ。その事を尋ねた二人は少女が探しているイヌの居場所を教えてやり、感謝されるのであった。  

 (解説)道具の特徴を捉えて簡潔に話を展開させており、短いながらも好感が持てます。ほのぼのとしたオチで終わるので、気分よく読み終わることが出来ますね。
物体瞬間移動機   FF4巻 8頁 小三72年3月号(物体しゅん間い動機)
 今日もまたマンガをジャイアンに取られてしまったのび太。のび太だけでなく他のみんなもモデルガンや顕微鏡などを取り上げられており、みんなは何とか取り返す方法はないものかと策を練る。一方家で昼ご飯を待っているドラえもんだが、のび太が帰って来ないのでまだご飯を食べることが出来ず、のび太を連れ戻そうと大きな機械を取り出し、機械を操作するとモニターにのび太が映し出された。のび太はまだ友達と議論を続けていたが、その最中、唐突にのび太が消えていったのでみんなは仰天する。のび太はドラえもんの出した道具・「物体瞬間移動機」によって瞬時に家にまで連れて来られたのだ。ご飯をせかすドラえもんに道具を貸してくれるよう頼むのび太だが、「ドロボー機」という別名を持つこの機械を簡単に貸すことは出来ないとドラえもんは返す。しかし空腹には逆らえないので、ドラえもんがご飯を食べている間にのび太は機械を使ってジャイアンに取られた物を取り返すことにする。ジャイアンの部屋を映し出すとジャイアンがのび太のマンガを読んでいたので、のび太は機械を使ってマンガを取り戻す。さらにモデルガンや顕微鏡も取り返すが、面白くなったのび太は歯止めが利かなくなってしまい、ジャイアンの家中の物を持ってきてしまう。その様子を見てドラえもんは仰天してしまうのであった。  

 (解説)今回ののび太は極悪ですねえ。いくら面白いからと言っても何でもかんでも取っていってしまっては泥棒でしょう(笑)。と言うか、「ドロボー機」とまで呼ばれるような道具を何故ドラえもんが持っているのかも大いに気になります(大笑)。ラストのこのシーンこそが物語の核なのですが、他にもやたらと昼ご飯のことを気にするドラが、いつもと違った感じがして面白いですね。
ふわりねんど    7頁 小一79年4月号
 スネ夫が持っていた大きな風船を持ちたがるのび太だが、持つのに失敗して風船は空に飛んでいってしまい、スネ夫に激しく怒られてしまう。困ったのび太に泣きつかれたドラえもんは風船の代わりに「ふわりねんど」を出した。ねんどなのに空に浮かばせる事ができるのだ。これで2人は風船を作ってスネ夫に渡し、スネ夫やしずかと共に鳥やUFO、オバケやペンギンなどをねんどで作り、空に浮かべて楽しく遊ぶ。
 そこへ通りがかったジャイアンは自分も遊びたがり、たくさんのねんどを使って大きな飛行機を作ってしまう。みんなが手を離すと同時に飛行機は空に浮かびだし、乗っていたジャイアンはご満悦だが、このままでは降りる事ができないことに気づき、慌てるジャイアンを助けるために4人はタケコプターで追いかけ、5人で乗る事でようやく飛行機は下降していくのであった。  

 (解説)これまた低学年誌作品らしい、道具を使っての遊びだけを単純に描いている話ですね。それでもラストにちょっとした起伏を織り込んでいるところはさすがです。ドラが粘土でデザインしたオバケがQ太郎に似ているのは、ご愛嬌と言うものでしょう(笑)。この時期には珍しく、タケコプターを「ヘリトンボ」と呼んでおり、ここらへんの経緯はちょっと不明ですね。


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