未収録作品ま行


マジックボックス   FF3巻 9頁 小四74年6月号(マジック・ボディー)
 のび太は以前ジャイアンに貸したマンガを返してもらおうとするが、ジャイアンは返したとウソを言い、さらに逆に自分が怒り出してしまう。更にその場に現れたスネ夫にも言いくるめられ、のび太は結局マンガを取り戻すことが出来なかった。泣いて悔しがるのび太のためにドラえもんは小さな筒と人が入れる大きな箱とでワンセットになっている「マジックボックス」を出した。箱の中にある三つの穴から腕や足を出すと、筒の方からそれが出てくるのだ。ドラえもんは試しにママのメガネを取ることで実践して見せ、のび太もそれを使ってジャイアンの家まで急ぐ。誰にも気づかれずにジャイアンの部屋に侵入したのび太の筒は本棚の中から目的のマンガを見つけ、取り戻すことに成功する。更にのび太は仕返ししようとジャイアンを蹴っ飛ばし、筒を見つけたジャイアンは窓から放り捨てる。そこへ今度はスネ夫が以前貸した本を返してくれるよう頼みに来たので、のび太は本棚から目的の本を取ってきてスネ夫の手に持たせてしまい、それを見たジャイアンは言いがかりをつけたとしてスネ夫を殴ってしまう。だがそれを見ていた母ちゃんに叱られてしまい、そこをのび太がくすぐって笑わせたために余計怒られてしまう。筒の秘密に気づいたジャイアンはのび太の家に向かうが、その途中でのび太は犬を蹴っ飛ばしたのでジャイアンは犬に追いかけられる羽目になってしまい、のび太とドラえもんは追いかけられるジャイアンにそ知らぬ振りをするのであった。  

 (解説)手品に出てくるような箱をそのままモチーフにしている道具が面白いですね。話自体は典型的な仕返し話ですが、例によって調子のいいスネ夫や怒りまくるジャイアンの母ちゃんなど、キャラクターの個性を十分に発揮させている水準作だと思います。FFランド版ではのび太のマンガは「海の王子」でしたが、オリジナルは何だったんでしょうね?
まじんのいないまほうのランプ   TCS3巻 7頁 小一86年3月号
 宿題の多さに閉口するのび太は、アラビアンナイトに出てくるまじんのランプがあれば便利だろうと空想をめぐらすが、話を聞いたドラえもんが「まじんのいないまほうのランプ」を出した。だがのび太がランプをこすってみても何もでてこない。ところがドラえもんがランプをのび太に向けて名前を叫ぶと、途端にのび太がランプの中に吸い込まれてしまった。ランプを向けて名前を呼ぶと、その人が魔神になって何でも一つだけ命令を聞いてくれるのだ。のび太の魔神はドラえもんの命令通りに宿題をやり、終わると同時に元に戻った。話を聞いたのび太はしずかに見せるために出かけようとするが、ママからまたお使いを頼まれてしまったので、ママを魔神にしてお使いに行かせてしまう。ところが今度はマンガを10冊も買った事をスネ夫に自慢され、腹を立てたのび太はスネ夫を魔神にしてマンガを持ってこさせてしまう。続いてジャイアンに出会ったのび太はジャイアンを魔神にし、庭掃除をしていたしずかの代わりに掃除をやらせて、二人は部屋でマンガを読んで楽しむ。満足して帰宅するのび太だが、待ち伏せていたジャイアンとスネ夫に追いかけられてしまい、追い詰められたのび太は自分を魔神に設定してランプの中に隠れ、二人がのび太を探す中、ドラえもんがランプを取りにやってくるのであった。  

 (解説)魔神になるのがいつものキャラだけなんで、少し不満と言えば不満ですが、魔神になった時のそれぞれの表情が間抜けで笑えるので、まあいいでしょうかね(笑)。自分自身に呼びかけてランプの中に入ってしまうのび太の知恵には素直に感心しますが、オチ的にはちょっと尻切れトンボな感じもします。ページ数が多ければ、もう一捻りあったかも知れませんね。
まほうのかがみ   8頁 小一70年7月号
 一つしかないおやつをガチャ子が取ろうとするので困ったのび太がドラえもんに相談すると、ドラえもんは「まほうのかがみ」を出しておやつを増やしてしまった。鏡に映ったものを何個でもコピーする事が出来るのだ。どんどんおやつを増やす2人だが、突然現れたおもちゃのクレーン車がお菓子を持ち去ってしまう。それはスネ夫のおもちゃで自慢しに来たのだが、2人はこれも鏡で増やしてスネ夫を驚かしてしまう。
 次に2人はママたちに欲しいものを聞いて、自動車と言うリクエストに答えて鏡で自動車をコピーしてしまう。早速ドライブに行く事にするが、そこでまたガチャ子が今度は自分が運転すると言い出し、困ったみんなはガチャ子が支度をしている間に身代わりのコピーを作って後を任せることにした。
 ガチャ子はコピーのみんながドライブを止めたと言うので残念がるが、その時に落ちていた鏡を拾って自分のコピーを作り出してしまい、本物のドラえもんたちが帰ってくると、家中がガチャ子だらけになってしまっていたのであった。  

 (解説)読めばわかるとおり「フエルミラー」の原型である道具が登場する話ですが、人物が簡単にコピーできてしまうと言うあたり、この時代のほうがまだまだ大らかな設定ですね。ただ肝心の物語についてはオチが「これだ!」という強みを持っているものではないので、ちょっと中途半端な感じを抱いてしまいます。ガチャ子にもあまり良いイメージは持たれないのではないかと。ところで今回は自動車をドラが運転してますが、やはりこの頃から既にパパは運転できないと言う事だったのでしょうか(笑)?
まほうのとけい   8頁 小一71年3月号
 今日も遅刻しそうになってしまうのび太。そこでドラえもんは「まほうのとけい」を出し、時計の針を8時前に戻すと時間が本当にその時刻に戻ってしまった。だが調子に乗って夜にまで戻してしまったので、出かけようとしていたパパは再び寝てしまうが、ドラえもんが7時30分に戻したので混乱しながら会社に向かう。ところがドラえもんは今度は下校時間に合わせてしまったため、のび太はすぐに帰ることになり、さらに3時に合わせておやつもすぐにもらってしまう。だがもっとおやつを食べようと何度も3時に時間をあわせるので、さすがにママも不思議がってしまった。
 夜、テレビの「ウラトルマン」を見終えた2人は時間を戻してもう一度見ようとするが、そのためにテレビニュースのキャスターは混乱してしまい、何度も戦ったウラトルマン達も疲れ果ててしまう。そこへパパが模型飛行機のお土産を持ってきてくれたが、もう夜になっていたので2人は時間を戻して昼間にし、明るくなったところで外で楽しく遊ぶ。本当の時間に戻してから二人は眠るが、今度は朝になってものび太が起きないのでドラは仕方なく時間を戻してしまい、パパ達は朝になっていい頃なのに一向に暗いままの空を見上げて不思議がるのであった。  

 (解説)展開としては「ふしぎなさいころフリダシニモドル」に似ていますね。両者共通の弱点としては、あまりにも展開が単調でずば抜けて面白いシーンがないために、面白さには欠けてしまうというところでしょうか。空間的にも野比家に限定されてしまっているので全体的にもおとなしい雰囲気になってしまっていますね。
まほうのひも   7頁 小二73年2月号
 ママからお使いを頼まれるのび太だが、のび太は怖い犬やいじめっ子がいると言って行こうとしない。ママに叱られたのでのび太もしぶしぶ引き受けたものの、今度はついてきて欲しいとドラえもんに頼み込み、説教されると逆に泣き出してしまう始末。ドラえもんは仕方なく小さな筒のようなものを出し、ヘビ使いのように笛を吹き始めた。すると中からヘビのように「まほうのひも」が出てきたのだ。
 のび太はひもをお供にして出かけるが、やはり見た目がカッコ悪いのでどうしても気になってしまう。するとすぐに雨が降り出してきたので、のび太は言い訳ができたとして喜んで家に帰ろうとするが、そんなのび太を止めたひもは自分の体で傘の姿を形作る。おかげで濡れずに済んだのび太だが、続いて犬につかまってしまう。しかし今度もひもが大きな犬の形になって本物の犬を追い返し、そこに至ってようやくひもの力を認めたのび太は、ひもに自動車になってもらい、急いでお使い先へ向かった。
 途中の川も船の形になったひもに乗って渡り、もう少しで辿り着くという所まで来たが、通り道である公園にはよくいじめっ子がいるので、のび太はひもに様子を見てきてもらう。果たしていじめっ子は誰か来ないかと公園で待ち構えており、それを知ったのび太は逃げようとするがひもに無理やり連れて行かれてしまった。ところがひもはいじめっ子を簡単にやっつけてしまい、のび太は無事にお使いを済ませてお土産のドラやきまでもらってしまった。ドラえもんは戻ってきたのび太からドラやきをもらおうとするが、のび太はまず最初に自分をずっと助けてくれたひもに食べさせてやるのであった。  

 (解説)「細く長い友だち」と骨子はほぼ同じですが、少ないページ数でのび太とひもの「交流」をうまく描いている点はさすがですね(ひもがドラやきを食べられるかという野暮なツッコミはなし)。こういう話で出てくるいじめっ子と言えば普通はジャイスネなんですが、今話では今話限りのいじめっ子連中が登場し、一風変わった雰囲気を出してますね。
マリオネッター   TCS3巻 7頁 小一84年9月号
 一日の授業を終えて家に帰ろうとするのび太だが、宿題をきちんとやるようにと先生から念を押されてしまい、仕方なく宿題をやることにするが、家に帰るとママから庭の草むしりとお使いを頼まれてしまい、さすがに困り果ててしまう。泣きつかれたドラえもんものび太のためにとあえて厳しく突き放し、仕方なくのび太は順番に終わらせていく事にするがどれも長続きせず、結局あきらめて昼寝を始めてしまう。仕方なくドラえもんは、くっつける事でマリオネットのように人を操る事が出来る「マリオネッター」をのび太につけ、空からのび太を動かして無理やり勉強をさせ始める。疲れながらものび太は何とか宿題を終わらせるが、休む暇なく今度は草むしりとお使いをする羽目になり、のび太はくたびれて眠りそうになってしまうが、動かしているドラえもんも疲れ果てながらも何とかのび太を動かして、全部の用事を終わらせる。のび太は安心して昼寝をし、ドラえもんはドラやきを買いに行こうとするが、疲労の限界がきて倒れてしまう。自分のために苦労したドラえもんのために今度はのび太がマリオネッターでドラえもんを動かそうとするが、なかなかうまく動かせずに、逆にドラえもんに迷惑をかけてしまうのであった。  

 (解説)典型的な「のび太の用事かたづけ話」なんですが、ラストでさり気なくのびドラの友情に触れている点に好感が持てます。友情と言う感情はそんな大仰なものではなく、今話ののびドラのようなあくまで自然なもの、という作者のメッセージが込められている、と思うのは考えすぎでしょうか(笑)?疲れきったドラの表情がユニークですね。
まるいものじ石   7頁 小二75年6月号
 のび太達は空き地でキックベースで遊んでいたが、ボールをキャッチするのが苦手なのび太はどうしてもボールを取ることが出来ず、終いにはボールから逃げ出す始末なので、みんなからバカにされたのび太は家に帰ってきてしまった。練習して上手になるべきと諭すドラえもんだが、のび太は嫌がって逃げようとするので、すかさずドラえもんはポケットから取り出した丸い輪っかのようなものをのび太の頭にくっつける。すると廊下を歩いていたのび太の元に灰皿が飛んできて、のび太に激突してしまう。
 ドラえもんがくっつけた輪っかは「まるいものじ石」と言って、丸いものなら何でも吸い寄せてしまうのだ。嫌がるのび太だが嫌がる間もなくレコードが飛んできたので台所へ逃げ出すが、台所にある様々な丸い物が次々に飛んでくる。のび太も最初は避けるだけだったが、次第に飛んでくる物をつかめるようになってきた。様子を見に来たドラえもんだが、ドラえもんの顔も体も丸いので思わず吸い寄せられてしまう。しかしのび太は飛んできたドラえもんもしっかりと受け止めた。
 のび太は再びキックベースに参加するが、今度は前と違ってボールをきちんとキャッチし、さらにジャイアンにボールをぶつけてアウトにしてしまうほどの活躍ぶりを見せた。のび太はみんなに磁石を見せるが、悔しがったジャイアンは磁石を持ち去ってしまった。早速つけてみるジャイアンだが、すると八百屋さんの前を取ったために、数々の丸い野菜や果物、ついでに丸顔の店の主人まで飛んできてしまい、大慌てで逃げるジャイアンであった。  

 (解説)道具自体は単純ではありますが、よくこんな性能の道具を思いついたものです。その設定を生かして話もうまく展開させていますが、話と直接は連鎖しないビジュアル面でも見所が目白押しです。勝手に飛んでいってしまうドラや八百屋の主人の姿なんかは、個人的にツボにハマりました(笑)。ビジュアル面で笑えるにも関わらず、ストーリーも無理なくまとめられており、派手な話ではないですが、作者の力量を知ることができる良質の話だと思います。
まんがか   15頁 小三70年4月号
 三年生になったのび太はドラえもんと一緒に将来何になりたいかを考え、先生やタレント、医者や警察官などいろいろ考えるが、タイムテレビで見てみるとそのどれもがうまくいっていなかった。そこで今度はのび太に向いた仕事を探す事にするが、のび太は丸っきりのダメ人間だと言う事に思い当たってドラえもんがバカ笑いしてしまい、怒ったのび太は近くのマンガをドラえもんの口の中に放り込んでしまう。ドラえもんは慌ててレントゲンで中を見てみると、それはフニャ子フニャ雄のギャグマンガだった。それを読んで大笑いしたドラえもんはのび太に漫画家を目指す事を勧める。
 ドラえもんは早速のび太にマンガを描かせ、その間にもいらぬ心配をしてママにあれこれ注文したり、集金人のメモ帳にのび太のサインを書いてしまったりしてしまう。ところがのび太の方は全然マンガを描けずにいた。
 マンガの描き方がわからないというのでドラえもんはフニャ子フニャ雄の家に聞きに行くが、フニャ子の方も締め切りに追われているのでドラえもんは原稿作りを手伝う事にした。しかしドラえもんは仕事を忘れてマンガの描き方を覚えたりマンガを読んで笑い出したりし、挙句にはベタに使うインクを原稿の上にこぼしてしまい、フニャ子や編集者に追い出されてしまう。それでもマンガの描き方を覚えたドラえもんはすぐのび太にマンガを描かせ始め、ついでにみんなにのび太がマンガ家になった事を宣伝する。
 さらにドラえもんはフニャ子の家にいた編集者を強引に家まで連れてきてのび太の原稿を見せる。しかし当然のび太の描いたマンガなど受け取るはずもなく、編集者は帰ってしまう。そこでドラえもんは「わらいガス」を原稿に吹き付け、改めて編集者に見せると大笑いを始めてしまい、原稿を雑誌に載せる事を約束してしまう。しかし意外に早くガスの効果は切れてしまったので編集者はすぐに原稿を返してしまった。
 そこへ話を聞いたスネ夫たちが家にやってきたので、ドラえもんはのび太の描いた落書きにガスを吹き付けてみんなを笑わせ、これで満足する事にするのであった。  

 (解説)これもまたどういう評価をすればいいのか(笑)。1人で先走ってあれこれ走り回るドラがおかしいと言えばおかしいのですが、その割にはやはりオチが弱いと言うか、ドタバタギャグにしてはオチがこじんまりとしてしまっているのが残念ですね。冒頭のタイムテレビのシーンもなかなか笑えるシーンになっています。
みかたゆびわ   8頁 小三86年7月号
 買ってきたばかりの本をジャイアンに狙われてしまうのび太だが、隠れてもスネ夫がばらしてしまい、友達が通りかかっても助けてはくれず、結局のび太は本を取られてしまう。のび太はドラえもんに助けを求めるがドラえもんも出かけるというので、自分には味方がいないと泣き出してしまう。そこでドラえもんは「みかたゆびわ」をのび太に渡した。これをはめて手を握ると出てくる光線を誰かに当てると、10分間だけ自分の味方になってくれると言うのだ。
 とりあえずこれを持って本を取り返しに行くのび太だが、先生が来るというので出かけてはならないとママに止められてしまう。のび太はそこにやってきた集金のおじさんを味方にして、そのスキに家を出る。しかし今度は当の先生に見つかってしまい、水撒きをしていたおばさんに味方してもらって何とか逃げのびる。だが次は犬に追いかけられてしまい、空き地にいた友達を味方にして、彼らに犬を引き受けてもらう。
 やっとジャイアンの家に到着したのび太だがジャイアンはいなかったのでスネ夫に居場所を聞く。ところがスネ夫は答えようとしないのでのび太は近くのお巡りさんに味方になってもらい、スネ夫が預かっていたのび太の本を返してもらう事に成功した。しかしスネ夫はジャイアンにその事を話し、一計を案じた2人は再び本を奪ってのび太を裏山に誘い出す。ここまで来ればのび太の味方になってくれるような第三者が1人もいないと考えての事だったが、のび太は逆に2人に光を当て、2人をそれぞれ自分の味方にしてケンカさせてしまい、そのスキに本を持って立ち去るのであった。  

 (解説)今回もエキストラキャラが大活躍で、見ていて自然と楽しくなってくる一編ですね。のび太に味方する時もセリフがわざとっぽく、これもある種のパロディと言えなくもありません。のび太を巡ってジャイスネがケンカをするというオチはあの怪作「百万ボルトひとみ」のワンシーンみたいで、これも爆笑ものですね。
身がわりバー   FF34巻 10頁 小六79年3月号(しずちゃんと身がわり)
 のび太が学校から帰ってくると、自分の鈴がなくなったとドラえもんが騒いでいた。天井裏までネズミが持っていってしまったようなので、のび太に取りに行ってくれるよう頼むが、のび太も汚い天井裏にあがるのをいやがる。そこでドラえもんは「身がわりバー」を出して二人の体を交換し、ドラえもんの体ののび太に取りに行ってもらう。元に戻ったのび太は困っている人の役に立とうと、バーを持って外に出る。空き地へ行くと沈んだ様子でしずかが土管に座っていた。家庭教師の先生がいやなのだと聞いたのび太は早速体を交換し、しずかの家へ向かう。家庭教師に問題を解くように言われるが、もちろんのび太に出来るはずもなく、休憩を取ることに。だが昼寝をしようとしたり、あぐらをかいたりして外にいるしずかに注意され、思わず反論してしまったためにしずかは家庭教師に追い出されてしまう。家庭教師が「のび太」の悪口を言ったためにのび太も怒ってしまうが、家庭教師が何かをプレゼントすると聞いてたくさんのものを頼み込み、しつこく追い回してしまう。それを見たしずかは恥ずかしくて元に戻れないと叫ぶのだった。  

 (解説)俗に言う「トッカエバー」系の話ですが、今回もその慣例に倣って(?)、体を交換したのび太が騒ぎを起こすという話になりました。「男女いれかえ物語」と比較すると、多分にドタバタ色が強まっていますが、後は可もなく不可もなくといったところでしょうか。それにしても、あの家庭教師はブキミだ(笑)。しずかのママもあんなヤツを雇うなよ。
みがわりペンダント   FF17巻 7頁 小二73年8月号
 電話でパパと話をしているママ。パパは忘れ物を会社に届けて欲しいそうなのだが、家にはもうすぐお客がやってくるのだとママは言う。そこでドラえもんは「身代わりペンダント」を出してのび太にかけさせ、ペンダントの鏡にママを映しながらスイッチを押すと、のび太の姿がママそっくりになった。これで家に来るお客をごまかそうというのだ。心配そうなママだが仕方なくのび太に任せることにして会社へと出かける。そこへしずかが何やら慌てた様子で駆け込んできた。しずかはママの姿になっているのび太を見て驚くが、好奇心で自分の姿が鏡に映った状態でスイッチを押してしまい、のび太はしずかの姿に変身してしまう。急いでママを追いかけようとするがもうお客はやって来てしまい、仕方なく家にあげることにするが、お客は家に女の子がいることに驚き、その女の子が二人いることにさらに驚く。しずかは家に帰ってのび太はママを追いかけることにするが、しずかの姿ののび太はしずかのママにつかまってしまった。しずかのママはしずかを歯医者に行かせようとしていたのだ。のび太は通りすがりの男に変身して何とか逃げ出し、一向にのび太が戻ってこないのでドラえもんも様子を見に行く。合流した二人だったが既にママは電車に乗ってしまったようで、どうすることも出来なかった。そこで二人はアルバムにあるママの写真を使って変身することを思いつく。二人は家でアルバムを探すが、その間に途中でパパと会って早く用事を済ませたママが家に戻ってきた。だがそれに気づかない二人は見つけ出したママの白黒写真を使って変身し、色がついていない状態のままでお客の前に姿を現してしまう。しかしお客はママが二人現れ、さらに色がついていないのを見て仰天し、気絶してしまった。ママは怒るが二人は「カラー写真のほうがよかった」などとのんびりしたことを言うのであった。  

 (解説)例によってひどい目にあわされてしまう野比家のお客がいい味を出していますね。途中までが大した見所もなく展開していくだけに、ラストのオチはのびドラらしさが出ていて面白いです。事態の重大さを把握していないようなのんびりしたのびドラのやり取りは何度見ても笑えますね。
道すじカード   CC3巻、TCS3巻 7頁 小一80年2月号(みちすじカード)
 おもちゃのロケットで遊ぶのび太とドラえもん。しかしのび太はうまくロケットをドラえもんの所に向けて進ませる事が出来ず、そこでドラえもんは「道すじカード」を出した。カードに道すじを書いて貼り付けると、それが道すじ通りに勝手に進んでくれるのだ。ロケットだけでなく、おもちゃの機関車も出したのび太は、カードを使って家を一周させ、さらにトラックのおもちゃを使ってしずかに贈り物をすることを思いつく。しずかの部屋までの道のりをカードに順に書いていって順番に貼り付け、トラックはしずかの家に向かって進み始めた。ひとりでに動いているおもちゃのトラックを見て不審がるジャイアンとスネ夫。しずかは部屋にやってきたトラックにつまれていたキャンデーをもらい、同封されていたのび太の手紙にある通り、しずかの大きなクマのぬいぐるみにマンガを持たせてカードを貼り付け、クマはのび太の家に向かって歩き出した。そのクマをさらに目撃したジャイアン達は、ドラえもんの道具の仕業であると見抜く。やがてクマはのび太の部屋に到着するが、持っていたふろしきにはマンガではなく紙くずが入っていた。しずかに連絡をとってもちゃんとマンガを入れたと言うので、空き地へ行ってみるとやはりジャイアン達がマンガを取り上げていた。二人は仕返しにとカードでおもちゃの戦車を動かし、戦車の打ち出したおもちゃの弾の大砲でジャイアン達をやっつけてしまうのであった。  

 (解説)全体的にのんびりとした雰囲気が漂っており、安心感溢れる作品になっています。冒頭ののびドラの「地球と火星ごっこ」も微笑ましくて、低学年誌らしい雰囲気に満ちています。しずかの持っているクマのぬいぐるみも可愛らしいですが、後ろ姿はどう見てもドラそっくりという通好みな一面を備えていたりもします(笑)。
ミニカーガレージ   7頁 小一78年5月号
 ジャイアンとスネ夫が遊んでいるスーパーカーのミニカーをうらやましがったのび太はドラえもんに頼み込み、ドラえもんはそれに応えて「ミニカーガレージ」を出した。ここからスーパーカーを始め、様々なミニカーを出す事ができるのだ。喜ぶのび太だが、間の悪い事にママに手紙を出すよう頼まれてしまい、そこでドラえもんはガレージから郵便車を出して、手紙を郵便局に届けてもらう。
 早速のび太がガレージをしずかに見せに行くと、しずかの家では、しずかのパパが庭に池を作るための穴掘りに悪戦苦闘していた。そこでのび太はショベルカーを出して穴を掘ってしまう。
 それからレースマシンを出し、それに乗って2人は遊ぶが、そこにジャイアンが通りがかり、無理やりガレージから大きいトラックを出して、上に乗っかってしまう。しかしジャイアンはトラックに振り落とされて気絶してしまい、のび太はクレーン車を出してジャイアンを吊り上げて運ぶのであった。  

 (解説)オチにインパクトがないと言えばそうなのですが、なんとものんびりした雰囲気と、ミニカーが人間を吊り上げているというミスマッチ感覚が、なんとも言えない余韻を残している事も確かです。今回登場のしずかパパはメガネをしてませんが、土木作業をしてたからでしょうかね(笑)。ただ一つの難点を言えば、ストーリーが「ふしぎなじどうしゃ」とほぼ同じ…。
ミニたいふう   6頁 小一76年10月号
 ものすごい台風が町を襲った翌日、ドラえもんは庭に置いておいた「かぜをためるきかい」のところへ行く。タンクの中には台風の強烈な風がたまっており、これを風船の中に入れることで、扇風機代わりにしたり、おもちゃの車につけて進ませたりして遊ぶ。買い物に行こうとするママの背中にも風船をつけてやるが、あまりにも早いスピードなのでママは怖がっているにも関わらず、2人は喜んでいると勘違いして笑い合う。
 その風船を見たジャイアンは2人から風船を奪おうとするが、吹き出された強風に吹き飛ばされてしまった。それを見ていたしずか達の提案で、風の力を使って空を飛ぶ事にし、4人は空を自在に飛んで遊ぶ。それを見たジャイアンはうらやましがって、タンクに入っている残りの風をいっぺんに噴出してしまい、そのために猛スピードで飛んでいってしまった。結局風がなくなるまで一晩中ジャイアンは飛び続け、おかげで「風邪」を引いてしまうのであった。  

 (解説)台風の「風」とオチに出てくる「風邪」とをうまく絡めた、低学年誌ならではの言葉の語呂合わせが楽しいですね。本来は脅威であるはずの台風を子供の遊び道具にしてしまうという、愉快で魅力的な発想はこれ以降の作品にも随所に見られ、作者の柔軟な着想にもただただ敬服するばかりです。
ミニテレビ局   TCS3巻 7頁 小一84年1月号(ミニテレビきょく)
 テレビの前に座って何かを嘆いているのび太。ドラえもんが聞いてみると、のび太はテレビのチャンネルが全部で12個あるにも関わらず、何も映らないチャンネルが一杯あるのでつまらないと言う。そこでドラえもんは何かを映そうと「ミニテレビ局」を出した。試しにアンテナをドラえもんがつけてみて、のび太が空いてるチャンネルをつけてみると、ドラえもんの視界がテレビに映し出された。早速のび太はイヌやネコ、スズメにアンテナをつけ、それぞれの見ている画面をテレビで見ることにする。最初にネコの画面を見ると、ネコは眠っているようで何も映らないので、イヌの画面を見ることにした。ところがそっちもジャイアンに追いかけられたりゴミ箱をあさったりと、ろくな画面が映し出されないので、今度はスズメの画面に切り替えた。すると空を飛んでいるスズメの視界が映され、のび太の家の屋根に洗濯物が引っかかっているのを見つけた。洗濯物を渡したのび太はママに喜ばれる。中に戻るとネコが起きて歩き出していた。そこにはスネ夫としずかが映し出されていたので話を聞いてみると、スネ夫は超人気で見ることさえも大変な映画を見に行くらしく、その事をしずかに自慢していた。それを聞いて腹を立てたのび太は、映画館に向かうスネ夫にアンテナをくっつけ、しずかも家に呼んで、スネ夫の視界に映し出される映画の画面を家のテレビで見る。帰ってきたスネ夫は映画の事を自慢しようとするが、それより先にのび太やしずかが映画の内容を話し始めたので、逆にスネ夫が驚いてしまうのであった。  

 (解説)相手の見ているものやしていることを体感する道具と言うのも、初期の頃から登場しているテーマの一つですが、今回はページ数が少ない分、ストレートに道具の効能のみで全編を消化している点が面白いですね。際立った演出もなし、小気味良いセリフの応酬もなしと激しい動きはありませんが、低学年誌掲載作品らしいのほほんとした雰囲気に包まれた作品です。


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