未収録作品ま行その2


未来から来たドラえもん   FF1巻 11頁 小二70年1月号
 部屋でなにやら唸り声を上げている少年・野比のび太。慌ててママが駆けつけるが、のび太は今夜のかくし芸大会に向けて歌を練習していたのだった。歌を諦めたのび太は面白いかくし芸はないかと考えるが、何気なく机の引出しを開けるとその中から1人の少年と妙な生き物が出てきた。セワシ、ドラえもんと名乗るその2人は勝手にのび太の顔を品定めし、通知表を見つけて成績まで調べてしまう。力の弱いのび太にはどうすることも出来ず、のび太はママを呼んでくるがママが来た時には2人は姿を消していた。机の引出しに隠れていた2人は再び現れ、ろくな運命を辿らない先祖ののび太を助けるために未来からやってきたことを話す。ロボットのドラえもんが20世紀に残ってのび太の世話をすることにしたが、怒ったのび太は2人を追い返してしまう。気を取り直してかくし芸のことを考えるのび太は、先程の2人のように机の引き出しに入ろうとするが入ることが出来ず、大きい机を買ってくれとママに頼み込んでしまう。その様子を見て呆れるドラえもん達だが、セワシはドラえもんに後を任せることに不安を抱きながらも未来に変える。しずかからの催促を受けたのび太は急いでしずかの家に向かうが、ドラえもんに強引にタケコプターをつけられ、驚きながら家に到着する。それでものび太はドラえもんを追い返してしまい、ドラえもんは尻尾を引っ張って体を透明にして家の中に侵入する。かくし芸はのび太の版になってしまったが、のび太は何もすることが出来ない。そこでドラえもんがのび太を前に連れて行き、透明だった自分の姿を見えるようにすることで手品を成功させた。一応ドラえもんに助けられたのび太だが、ドラえもんを家に住まわせることを両親にどう説明すればいいのか悩む。そこでのび太はドラえもんを今よりも可愛くすることにし、四つんばいにさせてネコの耳をくっつけてみるが、それを見たパパ達は「ばけねこ」と叫んで気絶してしまうのであった。  

 (解説)こちらは「小学二年生」版の第一回です。展開としては公式版での道具の扱いがタケコプターの効果を見せるだけで終わっているのに対し、今話はかくし芸大会という場を利用して、ドラえもんの力を具体的にのび太以外の人間にも見せているところですね。小一版と比べてみると、ドラが過去にやってきた具体的な理由がかかれて至りと、より公式版に近いものになっています。あとは、公式版以外ではタケコプターが第一回に登場しているのはこの小二版のみであるということも記憶しておくべきかもしれません。
虫になる虫めがね   2頁 小一72年5月号
 ドラえもんの出した「虫になる虫めがね」を覗いて、トンボに変身してしまうのび太。反対側のレンズから覗くと元に戻る事ができるのだ。これを使って虫になって空を飛ぶ事にしたみんなだが、ジャイアンがめがねを横取りしてしまう。しかしジャイアンが自分に使うと「ちゃわんむし」になってしまい、みんなはそれを尻目に虫になって空を飛ぶのであった。  

 (解説)ちなみにドラはてんとう虫、スネ夫はハチ、しずかはチョウに変身しています。今話はやはりダジャレによるオチが秀逸ですね。かなり強引ではありますが、このこじつけギャグもまたドラの味ですから、あまり気にすることではないでしょう。
虫の声を聞こう   FF6巻 6頁 小五74年9月号
 夜、みんなに耳をすますように言うパパ。耳をすまして聞いてみるとかすかにすず虫の声が聞こえてきた。珍しがったのび太とドラえもんは取りに出かけるが、空き地へ行ってみると既にたくさんの人が虫を捕まえに来ており、人がいなくなった頃には虫は一匹も残っていなかった。帰り際にそのことで愚痴を言う二人だが、そこに虫を空き地に放した老人が現れる。老人の家に行った二人は、虫や花といった自然の物を自然の物として楽しむことが出来ない、貧しい心しか持たない人々の事を聞かされ、自身に振り返って身がちぢむ思いになる。二人はもう一度やってみることを提案し、残っているわずかな幼虫を育てるべくドラえもんは栄養剤の「アットグングン」を振り掛ける。二人は空き地に虫を話すが早くも虫を狙っている人間の視線を感じ、これ以上荒らされないためにと大量にアットグングンを振り掛ける。二人がいなくなるとすぐにジャイアン達が現れて虫を取ろうとするが、現れた虫は人間サイズの大きさにまで巨大化しており、仰天した二人は「安全地帯」と書かれた所へ逃げ込む。今度はなかなか虫の声がやまない。虫を捕まえに行った人たちは虫かごのような「安全地帯」に入って、ゆっくりと虫の声を聞く羽目になっていたのであった。  

 (解説)前半と後半でこのギャップは何(笑)?前半は「自然を大切にしよう」みたいな話だったのに、後半になって突然登場した巨大すず虫。虫を巨大化させた作品は数あれど、すず虫を巨大化させたのはドラが史上初ではないか(笑)?虫かごのような物の中で虫の声を聞くというオチがシュールでいいですね。あんなにでかいと音がうるさくてしょうがないだろ、という野暮な突っ込みはしないで下さいね。
虫めがね   8頁 小一71年2月号
 メモ帳の字が小さいので読むのに苦労しているパパ。そこでドラがポケットから取り出した虫めがねを渡すが、それを使って見るとなんとメモ帳がどんどん大きくなってしまった。これは見た物を実際に大きくする事が出来る虫めがねなのだ。面白がったのび太はいろいろなものを大きくし、おもちゃの車を大きくしてドライブに向かう。途中で時計のネジを無くしてしまったという人に出会った2人は、周りの小石や砂ごと地面を大きくしてネジを見つけ、その後でもう一つのめがねを使って元の大きさに戻す。ところがそれを見ていたスネ夫は2人を小さくして大きくなる方の虫めがねを持ち去ってしまった。
 スネ夫はいろんな人の鼻やら足やらと言った一部分を大きくして遊んでしまい、さすがにみんな怒り出したので、スネ夫は鏡に映った自分自身の姿をめがねで見つめる事で自分を大きくしてしまう。調子に乗ってさらに威張りだすスネ夫だが、そこへのび太達が小さくなるほうのめがねでスネ夫を小人にしてしまい、スネ夫をおもちゃで遊ばせてしまうのであった。  

 (解説)今回の虫めがねは後年に出た同種の道具と少し違って、小さくする虫めがねとセットになっています。レンズの色が赤と青とで区別されているところはさすがカラー原稿ですね。話としてはコミックスに収録されてもいいようなレベルなので残念ですね。
無生物しきぼう   TCS3巻 7頁 小一85年3月号(むせいぶつしきぼう)
 冷たい風の吹く寒い日、のび太もドラえもんも外に出たがらないが、ママから庭の落ち葉掃除を言いつけられてしまう。渋々外に出る二人だが、やはり寒いので二人はさっさと家の中に戻ってしまう。そこでドラえもんは「無生物しきぼう」を出した。これを使って指揮者のように動かすと、生きていない物をまとめて動かす事が出来るのだ。これでドラえもんは落ち葉をすべて掃除するが、今度はママからお使いを言いつけられてしまい、ある事を思いついたのび太は、膨らませた風船に自分の顔を書き、服や靴を準備して、しきぼうを使って自分そっくりに動かしてお使いに行かせる。ところが二人は心配だからついていくことにし、無生物のび太は本物のように転んだりしながらも何とかお使いを無事に済ませた。そこにラジコンカーを持って現れたスネ夫を見たのび太は、しきぼうを使ってカーレースを開く事にし、無生物のび太を先に家に帰らせてからみんなにおもちゃの車を持ってこさせ、空き地でレースを始める。のび太の作った粘土細工の車が一着となり、たっぷり遊んだ二人は家に買えるが、ママから無生物のび太がまだ帰ってきていない事を聞かされる。急いで二人が探しに行くと、無生物のび太はこれまた本物と同様に、イヌに追いかけられて電信柱に登り、降りられなくなっているのであった。  

 (解説)無生物を操作する道具としては、「無生物さいみんメガフォン」が有名ですが、今回の道具もなかなかどうして、面白い道具になっていますね。「指揮棒」を選んだ着眼点にまず驚かされます。いつものメンバーが勢ぞろいして空き地で遊んでいるシーンは微笑ましく、ラストのオチも予測範囲内だと思いますが、やはり面白いですね。
むりやり貯金箱   FF11巻、CC1巻 7頁 小一77年5月号(むりやりちょ金ばこ)
 500円のプラモデルが欲しいのび太はママにお金を催促するが、ついこの間に小遣いをあげたばかりのママは逆にのび太の無駄遣いを注意する。そこでドラえもんはいい貯金箱として「むりやり貯金箱」を出した。金額を設定すると、のび太が持っていたお金を強制的に貯めこんでしまい、目的の額に達するまで絶対に出さないのだ。額を500円に設定したのび太だが家の中に50円が落ちているのを見つけると、すぐに無駄遣いをしようとしてしまう。だがそこに現れた貯金箱が無理やりにお金を取って貯金してしまった。のび太はパパからタバコを買ってくるよう頼まれるが貯金箱はそのお金まで奪い取ってしまい、二人は取り返そうとするが逆にスミをかけられてしまう。困る二人だがそこに通りかかったしずかが財布を落としたのでのび太が拾うと、貯金箱はそれまで取っていってしまった。あと50円入れれば貯金箱は開くのだが二人にはどうしようもない。その時ちょうど50円を持っていたジャイアンが通りかかったので、のび太はジャイアンに一旦借りることにするが、誤解したジャイアンに殴られてしまう。それでも貯金箱にお金を入れるとやっと貯金箱は開き、その様子を見ながらもうこの貯金箱は使わないと呟くのび太であった。  

 (解説)融通の利かない機械という点では「スケジュールどけい」の系譜に連なる道具ですね。オチに意外性がないのでちょっと面白みがないのが残念ですが、全編極めて平和的に進行していく展開は好ましいですね。冒頭で椅子に座って足を組むドラの姿が絵的に面白いです(笑)。
メンコプリンター・無敵メンコレータム   8頁 小二82年10月号
 ジャイアンとスネ夫からメンコ遊びに誘われるのび太だが、のび太は既に持っていたメンコ全て取られてしまっていたので、メンコは一枚も持っていない。それでも強引に誘われたので仕方なく少ない小遣いをはたいてメンコを購入するものの、結局全部取られてしまう。泣いて悔しがるのび太のためにドラえもんは「メンコプリンター」を出してやった。これを使えば好きな写真や絵から様々な形のメンコを作り出すことが出来るのだ。自分の写真を含め、色々なメンコを作ったのび太は、今度は泣いて喜びだす。
 そこへ再びジャイアン達がメンコ遊びに誘ってきた。また取られてしまうと泣き出すのび太に対し、ドラえもんは「無敵メンコレータム」を出す。これをほんの少しメンコに塗るだけで、強い風を引き起こすことができるようになるのだ。
 これを塗ったメンコを使うのび太は今度は逆に勝ちまくり、ついに2人のメンコをそっくり頂いてしまう。しかし逆ギレした2人にのび太は追いかけられてしまい、のび太は止むを得ずしずかの家に避難する。
 しずかに理由を話すため、のび太が何気なく薬を塗ったメンコを放ると、そのメンコは爆発的な風を引き起こした。それを見て名案を思いついたのび太は、メンコに薬をたっぷり塗りつけ、外にいるジャイアンとスネ夫をメンコの力で吹き飛ばしてしまうのであった。  

 (解説)断言しましょう、これこそ正に「隠れた名作」です。まずをもって「メンコレータム」というこのネーミングが秀逸ですが、様々な理由で泣きまくる序盤から、一転して勝ちまくって「ムハハ」と笑うのび太を始め、今話は各キャラの表情が実に豊かに描かれています。のび太のメンコを指して「かっこよくないのもあるけど」と呟いたり(このセリフの吹き出しがちょうどのび太の写真のメンコにかぶさっているのもグッド)、ラストで『ひっくりかえしたからのび太の勝ち』と話すドラの冷静なツッコミも例によって鋭すぎて面白いし、他にもジャイスネがメンコの枚数を比較し、スネ夫のメンコは店で買ったものばかりとつっこむジャイアンと、本筋と全然関係ない部分も丁寧に描いています。さらにはメンコの起こした風でスカートがめくれ、慌ててスカートを押さえるしずかのその押さえ方が個人的にヒットしたり(笑)と、全編楽しさに満ち溢れた快作に仕上がっています。機会があればぜひ一度読んでみてください。
猛獣ならし手ぶくろ   FF23巻 8頁 小五78年2月号
 お使いに行くのを何故か異様に嫌がるのび太。ママも何とかして行かせようとするが、のび太の殺気立った気迫に負けて引き下がってしまう。ドラえもんはその原因がジャイアンによるものだと見抜いていたが、今回はかなり重症なようで、のび太はジャイアンの名前を聞くだけで怖がって押入れに閉じこもってしまう。仕方なくドラえもんは「猛獣ならし手ぶくろ」を出した。これであごの下をなでるとどんな猛獣でもおとなしくさせることが出来るのだ。試しに再びやって来たママのあごをなでるととたんにおとなしくなり、部屋を出て行かせることに成功する。のび太は早速使うことにし、効果は5分間だけだというドラえもんの注意を受けて出かけていく。しかしジャイアンの姿を見るとどうにも怖くて近寄ることが出来ず、友達が「ジャイアンツ」の話をしていただけで怖がって、しずかのスカートの中にもぐりこんでしまう始末だ。のび太はドラえもんのアドバイスを受けてジャイアンの注意を真上にそらすことにし、そのスキにあごをなでる。するとジャイアンは本当におとなしくなったので、調子に乗ったのび太はみんなを呼んでジャイアンを使ったショーを始めてしまう。そのうちジャイアンはドブに落ちてしまうが、5分間が経ったので二人はいち早くその場を去る。のび太は手ぶくろがあるのでもう心配いらないと自信満々だが、ジャイアンはドブに落ちた時の寒さでおたふく風邪を引いてしまい、首周りに包帯を巻きつけたのであごをなでることが出来なくなり、のび太は困り果ててしまうのであった。  

 (解説)ジャイアンを猛獣扱いする時の話というのは、ジャイアンに人格を与えていないようなシーンが続くので、そんなところも話のバカバカしさを引き立てるのに一役買っていますね。冒頭でのび太がイヌのように吠えまくったり、ジャイアンのショーを拍手して見つめるスネ夫やしずか達の冷徹さ?なんかも今話の見所ですかね。
モクモクマン   TCS1巻 7頁 小一87年5月号
 しずかのママがケーキを焼いたので食べに来るよう誘われたのび太。喜んで向かうがその途中、ジャイアン達に呼びとめられ、ジャイアンの家の用事を押しつけられてしまう。事情を聞いたドラえもんは「モクモクマンせいぞうびん」を出して銭湯の煙突から煙を集めて、モクモクマンを作り出した。一つだけ仕事をやってくれるというのでのび太は仕事を頼むが煙が無くなってしまった。通行人の煙草の煙でも足りないが、その時ジャイアン達に見つかってしまう。たき火の煙を集めたのび太はモクモクマンに二人をやっつけてもらい、モクモクマンに乗って無事しずかの家に到着するのだった。  

 (解説)なんか「じゃま者をねむらせろ」(ネムケスイトール)と展開がほとんど同じですね。昔同じようなやつで「ランプのけむりオバケ」があったけど、あっちは命令遂行に手段を選ばないという厄介なやつだったので、一回ごとに消えてしまい、そして(おそらく)使用主に従順なモクモクマンが製造されたのでしょう。
もぐら手ぶくろ   2頁 小一72年7月号
 お風呂に入るようママに言われたのび太だが、風呂に入るのが嫌いなのび太は逃がして欲しいとドラえもんに頼み込み、仕方なくドラえもんは「もぐら手ぶくろ」を出してやる。地中を自由に掘り進む事のできるこの道具でのび太は地面の中を逃げるが、だいぶ遠くまで逃げて地上に出てみると、そこはちょうど銭湯の湯船の中だったので、結局ずぶ濡れになってしまうのであった。  

 (解説)今回の道具も有名ではありますが、5本の指で数えられる程度しか登場していないんですよね。で、今話はなぜか銭湯で風呂に入っているジャイスネがなぜか笑えます。「ドロン巻き物」でもそうですが、のび太が風呂嫌いというのは当時の設定だったんですかね?
もしもボックスでひるふかし?   21頁 てれびくん(付録)76年12月号(もしもボックス)
 朝。ママに何度起こされても、のび太は例によってなかなか目を覚まさない。ママが怒り出したのでようやく起きたのび太だが、それでも毎朝早く起きることへの不満を漏らし、ドラえもんは早寝をすればいいと当たり前の理屈で諭すが、夜はテレビやマンガで忙しいのび太にとって、それは無理な相談だった。
 朝の準備で忙しいのび太は、しずかが迎えに来てもすぐに出発できず、最初は待っていたしずかもだんだん苛立ってきてしまう。ウンザリしたのび太は、昼と夜が逆になれば昼間寝ていて夜に夜更かしが出来ると変なことを言い出し、それを聞いたドラえもんは試しにやってみればいいと、「もしもボックス」を出した。これで昼と夜をあべこべにしてしまうが、見たところ様子は何も変わっていない。しかししずかは昼間に学校へ行くことを勘違いと言って、慌てて帰って行ってしまった。ママも昼間学校に行くわけがないと言い出し、それを聞いたのび太は喜ぶ。
 早速のび太は遊ぶことにしてテレビを見るが、ママ達からすぐ寝るように注意されてしまう。のび太は明るいから眠れないなどと勝手なことを言って、ドラえもんと共に遊びに出かけた。しかししずかはもちろん外には出ず、ジャイアンやスネ夫も誘えなかったため、結局のび太は誰とも遊ぶことが出来ない。
 ドラえもんは早々に諦め、帰って自分たちも寝ることを提案するが、のび太はこういう時に限って眠くならない。ドラえもんはさっさと帰ってしまい、のび太は意地になって遊ぼうとするが、1人では大したことも出来ず、犬が遠吠えしパトカーが通る中であやとりをするくらいだった。
 当てもなく歩くのび太はようやく出歩いている人間を見つけるが、それは単なる酔っ払いで、酔っ払いは昼間に子供が出歩いているのはおかしいと、のび太を捕まえようとする。そこへやってきたパトカーがのび太を保護してしまった。のび太は昼間に出かけてしまったため、ママたちが捜索願を出していたのだ。
 のび太はママにこっぴどくしかられるが、それでもまだ当分はこの状態を続けると意地を張る。しかし今度は夜になり、のび太は眠いのに学校へ行かなければならず、結局学校では眠ってばかりなので先生に散々叱られてしまった。ドラえもんは元に戻すことを進めるが、のび太はもっとあべこべにすると言い出し、夜を明るくして昼を暗くし、その昼を夜と呼んで夜を昼と呼ぶ世界にしてしまった。
 だがこれは結局元通りになったのと同じこと。眠そうな顔で登校するのび太を見送りながら、半ば呆れているようにそう呟くドラえもんであった。  

 (解説)「てれびくん」版のもしもボックスですが、のび太が勝手なわがままを押し通しているだけと言うイメージが強いので、あまり良い読後感は抱けないかもしれませんね。もしもボックスで作り出した世界も、他の様々な話で作り出した世界に比べると、ちょっと物足りなさを感じます。ただ、のび太お得意の無理やりな屁理屈で「新しい」パラレルワールドを作ってしまうラストのオチは、捻りが利いていて結構良いのではないでしょうか。
持ち主あて機   FF14巻 10頁 小四77年11月号
 出かけようとしたのび太は靴が片方しかないことに気づくが、ママはなぜかピリピリしていてまともに答えてくれず、逆に宿題をしろと怒られてしまう。買ったばかりのバッグを縁側に置いていたらなくなってしまったためだ。隣の家でも傘がなくなってしまったようで、二人はこれはどこかのイヌが盗んでいくのだと推理する。しかし近所で飼われているイヌはたくさんいるので、どのイヌが犯人か見当もつかない。そこでドラえもんは「持ち主あて機」を出した。品物にこの機械から出る放射線を浴びせると、持ち主の癖を品物が実行してくれるのだ。二人は早速近所中のイヌの食器を集めることにし、一通りの食器を集める。靴をそばに置いてから食器に放射線を当てると一斉にケンカを始めてしまい、二人はそれを止めるのに四苦八苦するが、そんな中で靴を持ち去ろうとしている食器があった。それは秀才で通っているカズくんの飼っているイヌだったのだが、カズくんの父親は厳しいのでこのことがばれたらイヌは保健所に連れて行かれてしまうと言う。そこで二人は今まで盗んできたものに放射線を浴びせて持ち主を調べ、こっそり返そうと考える。ようやくすべての品物を返した二人はママのカバンを持ちながら家に帰るが、その時になってのび太は宿題をやっていないことを思い出した。そこでのび太はカズくんから使い古しの鉛筆を一本もらい、それに放射線を浴びせて宿題をやらせるのであった。  

 (解説)「犯人探し」という命題が設定されているためか、その解決のためにのびドラが奔走することで自然と動きのある展開になっています。いつものキャラはもちろん、今話限りのゲストキャラもそれなりにいい味を出していて好感が持てます。ラスト、道具の力を使って宿題をしている姿は普通だったらドラえもんが怒りそうなものですが、今話に限っては一仕事終えたご褒美と言うことで見逃すべきでしょう。ラストの二人の笑顔にはそんな意味もあるように思います。
持ちぬしシール   CC5巻、TCS4巻 7頁 小一80年10月号(もちぬしシール)
 なにやらママに激しく怒られているのび太。のび太は出かける場所に傘を持っていくたびに傘を忘れてきてしまうので、その事でママに怒られていたのだ。ドラえもんにも呆れられてこれから気をつけることにするのび太だが、早速居間に傘を置きっぱなしにしてきてしまい、すぐに不安になってしまう。そこでドラえもんは「持ちぬしシール」を出した。これを貼って「戻れ」と言えば、どこにあってもその持ち物が持ち主の手元に返ってくるのだ。傘で試してみたのび太は早速自分の荷物全部にシールを貼り付けるが、部屋の中を見ているうちに、しずかから借りていた本がたくさん出てきた。返すのが面倒なのび太はそれにもシールを貼って、一気にしずかの所に送り返してしまう。突然やってきたたくさんの本にしずかは潰されてしまうが、のび太から話を聞いて、迷子のイヌにシールを貼ってみる事にする。するとイヌは持ち主のところにまで飛んでいった。その帰り道、ジャイアンにラジコンを取られようとしているスネ夫を見かけたのび太は、ラジコンにシールを貼ってからジャイアンに貸してしまい、スネ夫は怒るがのび太は後で取り返すと宣言する。今度は帰り道の途中で、空き缶をポイ捨てしている男を見かけるが、ポイ捨てされていた家の主人にのび太が犯人と疑われてしまい、のび太は空き缶全部にシールを貼って持ち主を調べると、犯人は先程の男だった。しばらく経ってスネ夫がのび太の家にやってきた。やはりジャイアンがラジコンを返してくれないと言う。そこでのび太が戻れと叫ぶと、ラジコンがしまわれていた箱ごと戻ってきてしまい、箱の中には今までジャイアンに取り上げられたおもちゃや本がたくさん入っていたので、のび太達も喜ぶのであった。  

 (解説)今話に登場したような設定の道具も結構多く出ていますが、その割には今回は平和的なオチを迎えていますね(笑)。全体としては起伏がなく、平板な印象を受けてしまいますが、それが今話の持っている味なのでしょう。あと、久々登場のしずかのペット・ペロ(シロ?)が登場している事も要チェックでしょうか(笑)?
ももたろう印のきびだんご   FF7巻、CC4巻 7頁 小二75年4月号(ももたろうのきびだんご)
 また今回もジャイアンとスネ夫に追われているのび太。困るのび太にドラえもんは「ももたろう印のきびだんご」を出してやる。そこへママがやってきてのび太を叱り始めたのでドラえもんはだんごをママに食べさせる。するとママはドラえもんの言うことを何でも聞くようになってしまった。このだんごは猛獣に食べさせるもので、食べさせた人の命令通りに動かせるようになるのだ。早速のび太はジャイアン達にだんごを食べさせようとするが、襲い来るジャイアン達を前にそんな暇もなく、仕方なくのび太はしずかの家に逃げる。しかしそれでもジャイアン達は待ち伏せし、のび太も慌ててしまうが、のび太の知らない間にしずかはだんごをお土産だと勘違いして食べてしまう。それを知ったのび太はしずかを使って二人にだんごを食べさせることにし、だんごを食べた二人に命令して追いかけるのを止めさせる。しかしすぐに追ってきたので今度は二人でケンカをするよう命令し、互いに殴りあう二人を見て安心するのび太とドラえもんであった。  

 (解説)大長編で一気に男を上げた道具の初登場話です。よく「きびだんごは人間には効かない」と言われていますが、実際は人間にも非常に良く効きますね。だんごを食べさせたからと言ってなぜかママを動物のように扱うドラが笑えます。しずかも断わりもなしにだんごを食べてしまったりして、いつもと違う図々しさが見られますね(笑)。


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