未収録作品や行


やきゅうそうどう   11頁 小二70年2月号
 家でドラえもんを呼ぶのび太。のび太は少年野球のチームに入りたいのだが、そのためのテストに受かる自信がないので、ドラえもんに一緒に来て欲しいと言う。しかし寒がるドラえもんは出かけるのにコタツまで持っていこうとするので、呆れたのび太は結局1人で行くことにする。
 のび太はテストへ行く途中でスネ夫に会うが、テストを受けることをスネ夫や通りかかったジャイ子にバカにされ、のび太は意気消沈してやめようとするが、続いて出会ったしずかに励まされたので、それに後押しされる形でテストを受けることになった。しかし野球チームのメンバーは、上手な人しかチームへは入れないと言うので、のび太はまたも引き返そうとしてしまうが、スネ夫に止められる。言われるままにテストを受けるのび太だが、キャッチボールもバッティングもうまく出来ず、結局追い返されてしまった。
 その頃のび太の様子を見に来たセワシだが、ドラえもんからのび太が1人で野球のテストに行ったことを聞き、急いでドラえもんに後を追わせようとする。ポケットにストーブを入れて外に出たドラえもんだが、追い出されたのび太はふてくされて帰ってくるところだった。話を聞いたドラえもんは怒ってのび太を連れて行き、もう一度テストを受けさせることを強引に承諾させてしまう。
 ドラえもんは姿を消してのび太をサポートを行い、キャッチボールも難無くこなし、バッティングでものび太が空振りしたバットがポケットの中のストーブに当たって燃え出し、熱がったドラえもんはボールを持ったままロケットのように飛び出し、それがそのままホームランのように見えたので、チームの面々も驚いてのび太をチームに入れることを承認してくれた。
 満足して帰ったドラえもんは部屋に戻ってすぐにコタツに飛び込むが、自分の力でチームに入れたわけではないのび太は納得できず、本当に上手になるために練習することを決意する。感心したドラえもんだが、練習に付き合うために外へ出たくはないので、「ひきのばしローラー」を出して部屋の中を広げてしまう。おやつを持ってきたママは、のび太の部屋が広くなっているのを見て、驚くのであった。  

 (解説)形態としてはドタバタギャグの部類に入るのでしょうが、低学年誌の掲載作ということもあってか、それほどどぎつい描写は登場せず、おとなしい感じすら受けられます。それでもドラの無軌道な行動には初期らしさと言うものを感じられますね。ストーブ関連の伏線の貼り方もさすがと唸らされますし、のび太が自分で練習を始めるというのも、この話の掲載時点ではまだよくわかっていないのび太というキャラクターの肉付けに一役買っています。一番の難点はオチが物の見事にメインの話に連鎖していないことですかね。
役立つもの販売機   FF6巻 9頁 小二71年6月号(ふしぎなきかい)
 先程からママは便せんを探しているが見つからないのでのび太に聞こうとすると、部屋の方から便せんで作った紙飛行機が飛んできた。のび太は便せんで紙飛行機を使って遊んでいたが、そのために全部使ってしまったのだ。当然ママは怒り出してしまったのでドラえもんは「役立つもの販売機」を出す。ママが10円を入れてスイッチを押すと便せんが出てきた。スイッチを押すとその時その人に必要なものが出てくるのだ。早速のび太も使おうとするがお金がないのでドラえもんから借りてしまう。するとたくさんの10円玉が出てきた。これで何度でも使うことができるというわけだ。自分の欲しいものをいろいろ出すのび太だが、なぜか女の子向けの人形が出てきたので不思議がる。するとママが、のび太が知り合いの女の子の人形を壊したことを聞いてきたので、のび太はその人形を女の子に返す。2人は欲張りなスネ夫たちには内緒にしておこうとするが、スネ夫達はすぐにかぎつけて販売機を借りていってしまう。だが2人ともお金を出し惜しみしてビンの蓋でごまかそうとする。しかしガムを出そうとしたらガムのカスが大量に出てきたので、仕方なくスネ夫が10円出資することにする。その時スネ夫のママから宿題のことを言われたので2人は宿題の答えを出そうとするが、出てきたのはなんと先生だった。先生は宿題を2人にやらせ、全部間違っていると廊下に立たせてしまい、さらに成績のことでスネ夫のママと話まで始めてしまう。そこで2人は先生を戻そうと糸の先にガムをくっつけて投入口に突っ込み、10円を戻すことに成功し、同時に先生も機械の中に戻っていった。今度こそいいものを出そうとする2人だが、出てきたのは洗濯バサミと石けんだった。怒った2人は機械をドブへ捨てようとするが、バナナの皮で足を滑らせ2人揃ってドブに落っこちてしまう。そして2人はさっきの石けんで体を洗い、さっきの洗濯バサミで洗った服を干す羽目になるのであった。  

 (解説)初期作らしいと言えばそれまでですが、やはり今話はのびドラ以上にジャイスネがいい味を出していますね。ガムのカスにまみれるシーンや先生が登場した時の2人の慌てぶりなどは、とても現在では想像できないくらいなので見ていて自然に笑えます。どこかから販売機の事を聞きつけた2人の情報網にも驚きですね(笑)。
山びこ山   FF7巻 6頁 小三74年4月号(ビックリ山びこ山)
 のび太に買い物を頼もうとするママだが、のび太はテレビに熱中していて上の空。思わずママは怒鳴るがのび太はきちんと聞いていると返す。テレビが終わって買い物に行こうとするのび太だが、今になって買い物の内容を忘れてしまい、えらそうに言ってしまった立場上ママに聞きに行くことも出来ず、困り果ててしまう。そこでドラえもんは「山びこ山」を出した。これを使うと過去の音声を聞くことができるのだと言う。これを使って買い物の内容を聞いたのび太は面白がって買い物に山びこ山も持っていってしまう。早速歩きながら1分前の声を聞いてみると近所のおばさんの夫婦ゲンカの話が聞こえてきた。面白がったのび太は立ち話をしているおばさんに話しかけるが怒られてしまう。空き地を通りかかったのび太は昨日ここでしずかやスネ夫と面白い話をしたことを思い出し、山びこ山で聞いてみる。するとそこにジャイアン達が寄ってきた。みんなの話を聞いて4人は笑うが、のび太の話が出てきた所でのび太は慌てて消そうとするが、ジャイアンは構わずに聞き続ける。のび太が話したのはジャイアンの恥ずかしい話だったので、ジャイアンは激怒してのび太をギタギタにしてしまう。フラフラになって家に帰るのび太だが、玄関先ではママが立って何かブツブツ話していた。ママが中に入った所を見計らって近づき、山びこ山で何を言っていたのか聞いてみると、のび太の帰りが遅いので帰ってきたら叱ってやろうという内容だった。のび太の帰りをママたちが家で待っている一方、怖くて家に入れずウロウロ歩き回るのび太であった。  

 (解説)てんコミ収録版の山びこ山とは機能が異なっている所が面白いですね。やっぱりスネ夫やしずかが話した面白い話というのが気になりますね。のび太のジャイアン話も何気に下ネタになっているのが楽しいです(笑)。
ヤメサセロボット   8頁 小二82年12月号
 またまた宿題を忘れて廊下に立たされたのび太は、今日こそ昼寝せずに宿題をすることを誓うが、やはり決心を守りきれず、すぐに昼寝しようとしてしまう。そこでドラえもんは「ヤメサセロボット」を取り出し、ロボットに先程ののび太の決意を聞かせる。するとロボットは昼寝しようとするのび太の頭を激しく叩き始めた。決意を破ろうとすると、このロボットがハンマーで制裁を加えるのだ。
 しかし機械であるために融通が利かないロボットは、のび太が考え込んで目をつぶっただけで殴り、さらにはお腹が空いて鳴った音をいびきと勘違いしてしまう始末。このロボットはその決心を完遂するまで誰にも止めることが出来ないが、例外として他に新しい仕事があれば、それを優先すると言うので、2人はパパが禁煙したがっていることを知り、ロボットをパパにつかせる。
 ところがロボットがいなくなるや否やのび太はまた居眠りをしてしまい、さらにパパもロボットの乱暴な攻勢に困り果てて助けを求めてきたので、パパを含めた3人は新しい仕事を見つけるために外へ出かけてみる。
 空地を通りがかると、母ちゃんに叱られていたジャイアンがもう二度と乱暴しないと約束しているところだった。これ幸いとロボットをジャイアンにつかせるドラえもん。早速ロボットは乱暴しようとするジャイアンを殴りつけ、当分ジャイアンは乱暴することが出来ないと、のび太とドラえもんは喜ぶのであった。  

 (解説)今話も全体のペン入れは当時のチーフアシスタントだったたかや健二氏(当時)が行っています。全体の構成としては「男は決心!」とほぼ同じなのですが、向こうが薬品だったのに対し、こちらはロボットが登場して、結構暴力的な雰囲気になっています(笑)。風の子バンドにも匹敵する融通のなさがおかしいですね。
ゆうどう足あとスタンプ   10頁 小四88年8月号
 なぜかしきりにママを外出させたがるのび太。あまりにもあからさまなその態度を怪しんだママは、逆にのび太をお使いに行かせてしまう。ドラえもんももちろんのび太の魂胆を見抜いており、事実その通りでのび太は先生が成績の事で家にくる事になっていたので、ママを家から追い出そうとしていたのだ。のび太にせがまれたドラえもんはしかたなく「ゆうどう足あとスタンプ」を出し、まず先生を探しに行く。先生はもうのび太の家に向かって歩いていたが、ドラえもんは先生の通った跡から「足あと採取パウダー」を使って先生の足あとを浮かび上がらせ、それをスタンプにくっつけて足型のスタンプを作る。そしてのび太の家の前から足あとをつけ始めた。そこに先生がやってきて足あとの上に足を置くと、なんとつけられた足あとに従って先生はどんどん歩いていってしまった。先生は自分の家にまで帰り着いてしまったので、のび太の家に行く事を止めてしまう。安心したのび太は早速お使いも無視して、道具を持って遊びに出かけてしまう。空き地に行くとスネ夫がビクついた様子で立っていた。新しいラジコンヘリを持ってきているのだが、ジャイアンに取られたくないのだと言う。そこでのび太は成功したら自分にラジコンを貸してくれる事を条件に、スタンプを使ってジャイアンを追い払う準備をする。ラジコンを飛ばすと早速ジャイアンがやってくるが、足あとの力でそのまま家に戻ってしまい、店番をサボったとして母ちゃんに叱られてしまう。その様子を見て怒ったドラえもんはのび太を徹底的に懲らしめる事を決めた。のび太は結局ラジコンを貸してもらえず、仕方がないので空き地を立ち去るが、そこにのび太の足あとがつけられていたためにのび太は勝手に歩き始めてしまい、水たまりにはまったりイヌに噛みつかれたりした挙句に先生の家に到着してしまう。先生から連絡を受けたママが急いで先生の家に行く事になり、それを聞きながらスタンプを持って一人ほくそ笑むドラえもんであった。  

 (解説)「またまた先生がくる」でのセリフに登場しておきながら、なぜか単行本に収録されていない幻の作品です。ただ今話で非常に残念なのは、結局のび太が悪戯をした相手がジャイアン一人なので、ラストのドラのお仕置にあまりカタルシスが湧かないと言う所でしょうか。そのジャイアンに対しても単なる悪戯ではなく、スネ夫のラジコンを守るための行為であるので、ドラの罰にはいまいち納得しづらいものがありますね。足あとに乗ってしまったジャイアンが「レレレのレ?」と言うシーンはおかしいですけど。
ゆきぐも   2頁 小一72年8月号
 小さい「ゆきぐも」を出してかき氷を作るのび太とドラえもん。それを見ていたジャイアンは雲を盗んで、雪だるまを作るために空き地に雪をたくさん降らせようとする。しかし雪は全然足りず苛ついたジャイアンがゆきぐもを叩いたので、怒った雲はジャイアンの上に大量の雪を降らせ、ジャイアンごと雪だるまにしてしまうのであった。  

 (解説)雪雲を出してかき氷を作ると言うセンスがいかにもドラ世界の日常と言う感じでいいですね。人間のように怒り出してしまう雲も見ていて楽しいものになっています。
雪雲ベース   TCS4巻 7頁 小一81年2月号(ゆきぐもベース)
 雪が降ってきたので喜ぶのび太とドラえもんだが、雪雲がすぐにその場を離れてしまったようで、雪はすぐに止んでしまった。そこでドラえもんは雪をもってくることにして「雪雲ベース」を出した。まず2人はタケコプターで雪雲を追いかけ、追いついたところで降っている雪の中に機械を浮かべると、機械を中心として周りに雪が集まり始めた。やがて雪で出来た広場が完成し、二人は飛行機のように広場を操縦して町まで戻り、しずかも誘って遊ぶ事にする。のび太としずかは雪だるまと滑り台、どちらを作って遊ぶかで揉めてしまうが、ドラえもんは二つ一緒に作る事にして、書いた設計図を機械の中に入れると勝手に雪が盛り上がって、雪だるまとその周りに張り巡らした滑り台を作り上げた。三人は雪の中で楽しく遊ぶが、ママからおやつに呼ばれたので三人は一旦雪を空き地におろす事にする。しかしそこをジャイアン達に見られてしまい、いなくなったスキに取られてしまう可能性を考慮したドラえもんは、ある設計図を書き込んで機械にセットした。早速ジャイアン達は雪の広場に上がりこむが、すると突然雪が盛り上がって、二人の周りである物を形作り始めた。おやつを食べて三人は再び空き地に戻るが、そこではジャイアンとスネ夫が雪で出来たカゴに閉じ込められており、三人はしばらくジャイアン達をそのままにしておいて、もう一度大空に飛び立つのであった。  

 (解説)「精霊よびだしうでわ」「ロボット雪だるま」と並んで、「原作のアニメ化」がうまく成功している例だと個人的に思っている作品です。アニメではクリスマスが舞台となっており、しかも原作にはまったく登場しないドラミまで登場させておきながら、まったく展開に破綻のない、上質な物語に昇華させています。原作の方にはたいして個性はないのですが、それをうまく料理する事でアニメ版では際立った個性を持った作品となりました。原作とアニメとの関係を見直してみる際には、今話のような作品が必要になるかもしれません。
雪だるまのぬいぐるみを作ろう!   7頁 小二81年2月号
 ある朝、いつものようにのんびり寝ているのび太をドラえもんが起こす。雪が積もっているとの言葉にのび太も跳ね起き、空き地で雪だるまを作ることにして、すぐさまご飯を食べて出かけていく。
 誰も来ていない空き地で早速雪だるま作りを始める2人だが、次第に疲れてきたのかのび太がすぐに根を上げてしまった。そこでドラえもんは雪の冷気や重さを感じなくなる「雪だるま手ぶくろ」を出し、2人はこれをつけてようやく大きな雪だるまを完成させる。ところがそこへやってきたジャイアンとスネ夫が、スキーをやるために雪だるまを壊すと言い出したので、2人がいなくなったスキにドラえもんは「雪のぬいぐるみスプレー」をかけ、雪だるまをぬいぐるみにしてしまう。
 のび太が中に入って雪だるまを運ぶが、のび太は雪だるまをしずかに見せることにする。最初は現れた雪だるまに驚いたしずかだったが、話を聞いてのび太達と一緒にウサギやイヌの雪ぬいぐるみを作り、3人で楽しく遊ぶ。
 一方ジャイアン達はスキーで遊ぶために、空き地で遊んでいた他の友達を追い出してしまっており、話を聞いたのび太はみんなで大きな恐竜の雪ぬいぐるみを作り、それを使ってジャイアン達を空き地から追い出してしまう。雪ぬいぐるみで楽しく遊ぶのび太達を、ジャイアンとスネ夫は遠くからうらやましそうに見つめるのであった。  

 (解説)雪だるまをぬいぐるみにしてしまうと言う奇抜な設定の道具ではありますが、それによって全編にわたって様々な雪だるまが登場し、その可愛らしさもあって非常にほのぼのとした読後感を与えてくれる一編になっています。ラストでのジャイスネの寂しそうな言葉もそれに拍車をかけており、ゆったりとした気分を味わうには最適な作品でしょう。
ゆきふらし   7頁 小一79年3月号
 寒い冬。寒さが苦手なので外へ出ようとしないのび太とドラえもん。だがその時、外では雪が降ってきたので、雪は好きなのび太は嬉しそうに外に飛び出すが、雪はすぐに止んでしまった。そこでドラえもんは「ゆきふらし」という、人工雪を作り出す道具を取り出した。この人工雪は冷たくない上に溶けないのだ。
 2人は家の中に雪を降らせ、雪だるまを作って遊ぶ。ドラえもんはさらに家中に降らせることを提案し、出かけているママが帰ってきた時のことをのび太は心配するが、ドラえもんの「クリーナー」なら5分で綺麗にすることができると言うので、早速2人は家全体を雪で包み、雪御殿を作り上げた。
 のび太はしずか達も呼びだし、廊下に作ったゲレンデやのび太の部屋での雪合戦などで楽しく遊び、さらに屋上に高い搭を作ることにした。しかしいつの間にかスネ夫が道具を勝手に持ち去ってしまっており、スネ夫は広い自宅に雪を降らせようとするが、怒ったジャイアンやのび太が駆けつけた頃には、止め方がわからなかったために大量の雪が積もり、家も骨川一家も雪に埋もれてしまっているのであった。  

 (解説)似たような話としては「大氷山の小さな家」などがありますが、こちらはやはりページ数の問題でしょうか、雪御殿で遊ぶシーンは比較的さらっと流されてしまっていますね。それでも冒頭の珍妙なのびドラ問答を始め、ラストで珍しく息子に罵声を浴びせているスネ夫のママなど、随所に見所は用意されています。ジャイアンがのび太達と仲良く遊んでいる姿は、考えている以上に平和的に見えていいですね(笑)。
雪山遭難を助けろ   FF6巻 8頁 小四73年8月号
 何かを必死にドラえもんに懇願しているのび太。のび太は白雪山で遭難した2人を助けるためにどこでもドアを使おうと頼んでいたのだが、未来の秘密が漏洩することを恐れるドラえもんはそれを断わる。しかし遭難から丸5日経っても一向に救助される気配はなく、のび太はドラえもんにイヤミを言う。そこで仕方なく様子を見に行くことにするが、山は吹雪いているのでのび太はオーバーを出してもらって白雪山に向かう。のび太は遭難者の1人と出会うが、慌てて隠れたので遭難者は幻だと思い込む。2人がラーメンを食べたいと言い出したのでのび太達は家に帰ってラーメンを作って持ってくる。ラーメンを食べて元気が出てきた二人を見て、とりあえず家に帰るのび太たち。ところが翌日のニュースで悪天候のために捜索が打ち切られたことを聞いた2人は助けに行くことにする。しかし昨日の洞窟には二人はいなかった。自力で山を降り始めたらしい。案の定二人は行き倒れになってしまっており、ドラえもんは何とか自分達の力で助かってもらおうと「ムユウボウ」を出した。これで触ると眠っている人を操ることが出来るのだ。片方の人にもう片方の人を背負わせ、さらに雪を掘り進む小さな機械に牽引させて何とか二人を歩かせる。その途中背負われている方の人がおぼろげながらに目を開け、パートナーが自分を背負っているのを知る。ところが背負っている方もくたびれてしまったため、交代させて再び前進させる。その際背負われている方はパートナーが自分を背負っているということを感じた。ようやく山小屋にたどり着いた二人。二人はテレビのインタビューで、互いが互いを背負ってくれたと話し、その様子を見て安堵の笑顔を見せるのび太とドラえもんであった。  

 (解説)まだまだこの当時は未来の世界に関することは秘密主義だったのですね。後の「環境スクリーンで勉強バリバリ」と比べると隔世の感があります(笑)。しかし未来の道具を使って陰ながら人助けをするというパターン自体は数多く存在しており、その点からみても今作は及第点の出来栄えですね。見も知らぬ遭難者を心配し続けるのび太はやはりいいヤツです。
ゆめ   8頁 小一70年10月号
 とても大きなケーキを目の前にして舌なめずりをするのび太。早速食べようとするがその時になってドラえもんに起こされ、夢から覚めてしまう。起こるのび太から話を聞いたドラえもんは2人で食べようと言い出してのび太を再び眠らせて夢の続きを見させる。さらにドラえもんは「夢が見えるめがね」を使ってのび太の夢の中のケーキを見つけ、「夢の中のものをつかめる投げなわ」を使ってケーキを現実世界に引っ張り出した。2人はその後ものび太の夢から欲しいものをどんどん取り出すが、それを見たしずかがうらやましがる。しずかは怖い夢ばかり見ると言うので、ドラえもんは助けてあげる事にした。
 夜になってしずかの部屋にいった2人はめがねでしずかの夢を見てみると、夢の中のしずかはお化けに追いかけまわされていた。2人は投げなわでお化けを引っ張り出し、思いっきり痛めつけて降参させる。しずかは二人に感謝するが、夢の中でしか生きられないお化けの方は行き場を失って途方にくれてしまう。処遇に困ってしまう2人だが、その時笑顔で眠っているスネ夫に気づいたので夢を見てみると、スネ夫はスーパーヒーローになって2人をやっつけていた。怒った2人はお化けをスネ夫の夢の中に入れてしまうが、スネ夫は自分の夢の中なのでお化けを水に弱い事にしてしまい、お化けごと海に飛び込んでお化けを退治してしまう。さすがにウンザリして家に帰る2人。
 ところが翌朝、海の夢を見たためかスネ夫はおねしょをしてしまい、濡れた布団を干すスネ夫を見て笑うのび太とドラえもんであった。  

 (解説)夢と現実の境界を越えてキャラが縦横に活躍する、ドラ世界の面目躍如たる話ですね。こういう話はのび太がオチに直接絡んでくる場合が多いのですが、そういう点では珍しいオチになっています。この種の話は導入部が最初期も最後期もほぼ同じと言うところが興味深いですね。
ユメ完結チップ   10頁 小六86年5月号
 何故か人っ子一人いなくなってしまった町を歩くのび太。そこへしずかがやってくる。のび太は二人だけで生きていかなければならないことを話し、しずかに頼られていい気分になるが、その時急におしっこがしたくなり、目を覚ましてしまう。先程の事は夢だったのだ。残念がるのび太はドラえもんが良い夢を見ていると察し、腹いせに起こしてしまう。ドラやきを食べ損ねたと叫ぶドラえもんだが、ドラえもんは後頭部に「ユメ完結チップ」をつけており、道具の力で見ていた夢の続きを現実に実現させることが出来ると言う。果たして翌日、福引きの一等賞で山のようなドラやきを食べるドラえもん。のび太もチップをつけて昼寝するが、見た夢はジャイアンに追いかけられる夢だった。仕方なくスネ夫にチップをつけて代わりになってもらう。その夜、チップを取り戻しにスネ夫の家に行くと、スネ夫はしずかと二人きりになる夢を見ていたので、のび太は慌ててチップを取り戻す。しかし明日が待ちきれないのび太は、しずかと共にタイムマシンで翌日に向かうと、本当に誰もいなくなっていた。喜ぶのび太だが、しずかに説得されるうちに次第に自分が怖くなっていき、しずかに抱きついてしまう。だがそこへドラえもんが現れ、空き地で発見された不発弾の処理がすむまで、みんな学校に避難していると話すのだった。  

 (解説)「夢の途中で起こされて…」という話の導入部はもはや定番ですが、今話は夢の続きを現実にするという意味で、かの「うつつまくら」を思わせる作品になっています。もっとも現実は夢の通りには行かず、夢と現実でののび太としずかの立場が逆になってしまうところが、わかりやすくて面白いオチになっています。
夢ホール   TCS3巻 7頁 小一84年3月号(ゆめホール)
 道を歩いていて札束を拾ってしまうのび太。早速何かを買おうと考えるが、やはり悪い事だと思い直して警察に届ける事にする。しかしこれはのび太の夢で、のび太は寝ていた土管の上から落っこちると目を覚ましてしまう。夢ならさっさと使っておけば良かったと後悔するのび太が家に帰ってくると、部屋ではドラえもんが昼寝をしていた。よだれを垂らしているのでドラやきの夢を見ていると考えるのび太だが、その時ドラえもんの持っていた輪っかの中からドラやきが数個飛び出してきた。その輪っかは「夢ホール」と言う道具で、夢の中のものをこれを通して現実世界に持ってくることが出来るのだ。ドラえもんはこれを使って、夢に見たドラやきのいくつかを現実世界に持ってきたのである。早速のび太もホールを持ったままで昼寝をし、夢の中でお金を探し回るがなかなか見つからず、夢の中で疲れてしまう。そこでドラえもんがホールを介してタケコプターを送り、のび太は空からお金を探してやっと千円札を見つけるが、現れたジャイアンに横取りされたあげくに、文句を言ったためにぶん殴られてしまう。続いて五百円もスネ夫に取られ、最後の最後でしずかを説得してやっとお金を拾うが、拾ったお金は一円玉だった。ドラえもんに注意されたのび太は「百万円拾う」と宣言して再び眠り、なんと百万円を見つける。しかし出てきたのは「百万円札」という、まったく架空のものであった。  

 (解説)ガキの頃アニメで見て、未だに欲しいな〜、と思っている道具の一つです。夢と現実の境をなくす道具としては、「ゆめはしご」や「ユメかんとくいす」よりもよっぽど完成度と実用性が高いと思うのですが、どうか(笑)?ストーリーも夢の中でののび太のお間抜けぶりが楽しくて笑えます。五百円札が出ているのは時代ゆえですし、百万円札にドラの顔が描かれているというご愛嬌も嬉しいですね。
ゆめまくら   7頁 小一73年6月号
 ミニカーがたくさん落ちている夢を見て喜ぶのび太だが、いいところでドラえもんに起こされてしまう。その事で文句を言われたドラえもんは「ゆめまくら」を出した。これで夢を見ると、見た夢が正夢になるというのだ。早速のび太が眠ってみるとなんとお金を拾う夢を見たので、すぐに飛び起きてお金を拾いに行く。程なく本当にお金を拾う事が出来たが、すぐにお金の落とし主が現れて持ち去ってしまった。夢を最後まで見なかったために中途半端になってしまったのだ。
 気を取り直してもう一度夢を見てみると、今度は怪獣に追いかけられる夢を見てしまった。不安になった2人は鍵を閉めようと玄関に向かうが、そこへ本当に人間大の怪獣が現れ、2人は追いかけられてしまう。しかしそれはテレビ撮影用の着ぐるみで、中に入っている人がトイレを貸して欲しかっただけであり、胸をなでおろすのび太とドラえもんであった。  

 (解説)同様のコンセプトとか展開とかのストーリーは数多くありますが、なんと道具名まで後年(すぐ下参照)発表の作品と同じとは。これもいわゆるリメイクなんでしょうか?それはともかく元祖である今話は、良くも悪くもセオリー通りの展開になっています。オチも容易に予測できる範囲内のものではありますが、のんびりした雰囲気ののびドラを見ていると、読んでいるこちらまでのんびりしてきてしまう、不思議な話です。
夢まくら   FF12巻、CC3巻 7頁 小一77年9月号(おばけのたまご)
 森の中でお菓子の家を発見したのび太は早速食べようとするが、もちろんこれはのび太の夢であり、食べ始める寸前でドラえもんに起こされる。ドラえもんは学校に遅れるというので起こしたのだが、今日は日曜だったのでのび太は食べられなかったと泣き出してしまう。そこでドラえもんは「夢まくら」を出した。これを使って眠ると、見た夢が実現するのだと言う。試しに眠ってみたドラえもんは湖で赤や青などの綺麗な魚を釣り上げる夢を見た。早速釣りに行こうとするのび太を制したドラえもんは、何もしなくても実現すると説明する。するとしずかがドラえもんのために作ったモビールを持ってきてくれた。吊ってみると色とりどりの魚が夢で見たとおりに輝いていた。のび太も早速眠ってみるが、やってきたのは墓石のある不気味な森だった。帰ろうとするのび太は大きな卵につまづいてしまい、その中から出てきたお化けに追いまわされてしまう。このまくらで見た夢はどんな夢でも実現するので、話を聞いたドラえもんは逃げ出してしまい、慌ててのび太は追いかけるが偶然ジャイアンに出会ったので、頼れる存在ということでジャイアンと行動を共にすることにする。二人はセミ取りに裏山へ行くが、するとなぜかそこには墓石が置いてあった。のび太は慌てて帰ろうとするが、その際に何かを踏みつけてしまう。それはゆで卵で、それを見ていた幽霊の格好をした人が怒ってのび太を追いかけ始めた。ここではお化け映画のロケーションをやっており、そのために墓石のセットや幽霊の格好をした人がいたのであった。  

 (解説)伝統のこじつけギャグは未収録作でも健在ですね。幽霊に襲われるなんて夢をどうやって実現させるのかと思ったら、実に巧みな展開でそれを消化してしまいました。「お化けが卵から生まれる」なんて、往年のファンを喜ばせる要素もちらりと混ぜたりして、F先生の芸コマぶりも窺えます。
ヨット大ぼうけん   CC1巻 7頁 小一78年9月号(CC時『ヨット大冒険』)
 大きいボール紙の箱をママからもらったのび太とドラえもんは、それをヨットに見立てて庭で遊ぶが、本物のヨットに乗ったことのあるジャイアンやスネ夫にバカにされてしまう。怒ったドラえもんは箱をヨットらしく組み立てて、底に「ドンブラコ」を塗りつける。すると塗った部分に触れている地面だけが水のようになるので、ヨットは本当に水に浮いているような状態になった。
 マストも立てて本格的に町へ飛び出した2人は楽しく遊び、通りがかったジャイアン達もからかう。追いかけるジャイアン達だが、追い風に乗ったヨットには追いつけず、悔しがりながらもどんなことをしてもヨットを手に入れることを誓った。
 道路は危ないので空き地で遊んでいるのび太とドラえもんだったが、木の上に隠れていたジャイアンとスネ夫にヨットを奪われてしまった。ジャイアン達は再び町に出るが、ヨットが本物の水たまりを通ったために紙が破れてヨットが沈みだし、動揺した2人は自分達は沈まないにも関わらず溺れると騒ぎ出し、その様子を通りがかったしずかが不思議そうに見つめるのであった。  

 (解説)粗筋だけ読むとかなり単純な構成の話のように思えますが(実際そうなんですけど)、今回は話と直接連鎖しない部分でのギャグ要素が光っていますね。ほぼ同一の絵柄を用いたコマの連続によるのびドラ問答はもちろん、カラスをかもめ、ネコのくわえた魚を海の魚に見立てて、町の「海」をヨットが進むシーンや(2人の言葉にカラスが「アホカ」となく描写がグッド)、ジャイアンをフグ、スネ夫をサンマに例えたりと、言葉遊びとも取れるギャグが目白押しです。独特のセリフ回しやコマ運びなどで笑いを取る中期以降のドラ世界を象徴している話、と言えなくもない気がします。


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