未収録作品ら行


らくらくとざんぼう   8頁 小三86年8月号
 ハイキングに行く約束をするスネ夫たちだが、すぐにへばってしまうという理由でのび太は断られてしまい、のび太は絶対にダウンしないとまた大見得を切ってしまう。それを聞いたジャイアン達も、どうせまたドラえもんに道具を出してもらうのだろうと考える。案の定のび太に頼み込まれたドラえもんは「らくらくとざんぼう」を出した。帽子についている羽根の向きを変えることで引力の向きを変え、上り坂を下り坂のような感覚にすることができるのだ。2人は実験として急な上り坂を登ることにし、羽根を少し後ろに傾ける。すると引力の向きが変わって、のび太には坂が下り坂のように感じられるようになった。坂道を楽に駆け抜けるのび太だが、その様子をジャイアン達は見逃さなかった。
 喜ぶのび太はもっと練習してみる事にするが、途中でジャイアンとスネ夫に襲われてしまい、のび太は羽根の向きを調節して電柱を駆け上り、何とか2人をやり過ごす。しかしその時に吹いた風で帽子が飛んでいってしまい、その帽子は偶然にもジャイアン達の足元に落ちてしまった。悔しがるのび太を見て呆れながらも、やはりハイキングは自力でやるべきだと諭すドラえもん。
 その頃ジャイアン達は帽子の力を試そうとしていたが、間違えて羽根を前向きに倒してしまったため、上り坂がより急な上り坂になってしまい、さらにスネ夫が羽根をもっと曲げてしまったので、2人はまっ逆さまに落ちていってしまった。コリゴリした2人は帽子をドラえもんに返すのであった。  

 (解説)この時期の作品では「リフトストック」と同じような感じですが、この種の道具自体は「引力ひんまげ機」の時代からたくさん出ているんですよね。坂道を楽に登りたいというのは単純でありながら永遠の人間の欲求なのかも(笑)。で、今回は展開の方も「リフト〜」に近いのですが、オチはジャイスネが騒ぎまくっている分、こちらの方が楽しいですね。
ラジコンアンテナ   8頁 小二86年2月号
 いとこが作ったラジコン船の進水式を行うため、スネ夫が車で出かけると言うので、のび太達もついていこうとするが、いつものスネ夫の意地悪のため、例によってのび太だけ仲間はずれにされてしまう。
 怒ったのび太はドラえもんにラジコンを出してもらおうとするが、さすがにドラえもんも普通のラジコンは持っていない。泣いて騒ぐのび太に仕方なくドラえもんは「ラジコンアンテナ」を出した。これを動くものにつければ何でもラジコンになると言う。のび太は試しにミニカーにつけてみると、本物のラジコンカーのように操作することが出来るようになったので、のび太はしばらくラジコンで楽しく遊ぶ。
 しかしすぐにもっと大きいラジコンを動かしたいと言い出し、のび太は物置から、小さい頃使っていたおもちゃの新幹線の乗り物を引っ張り出してくる。確かにラジコンとして操作することは出来たが、乗っている物が物であるために近所の子供たちから変な目で見られてしまい、恥ずかしがったのび太は乗るのをやめてしまう。
 その時のび太は空地に駐車しっぱなしの古い自動車が置いてあるのを思い出し、それをラジコンにしてドライブを始める。偶然それを見ていたお巡りさんは慌てて2人を止めるが、ラジコンだと説明されて困惑してしまった。
 2人は事故を避けるために自動車を降り、今度は捨てられていたおもちゃの飛行機を使って空を飛び始める。そのままスネ夫達の向かった湖へ到着する2人だが、そこではスネ夫のラジコンが壊れて操縦不能になってしまっていた。のび太はスネ夫のラジコンにアンテナを取り付け、ドラえもんと一緒に2人で仲良く遊ぶのであった。  

 (解説)定番の導入部を読むだけでなんか笑えてきてしまいますね(笑)。今話は話自体は極めてオーソドックスなんですが、それを佳作・良作の部類までグレードアップさせることに貢献しているのが、各シーンでの演出ですね。冒頭でスネ夫達が意気揚々と自動車で去っていく図、新幹線のおもちゃに載っているのび太が近所の子供たちに変な目で見られている図、どれをとっても必要以上にセリフや擬音は入っておらず、それが返って例えようのないおかしさを醸し出しています。
ラジコンテレビ   TCS4巻 7頁 小一81年1月号
 ラジコンのボートで遊ぼうとするスネ夫だが、寒い日に水遊びをしてはいけないとママに止められてしまう。スネ夫から相談を受けたドラえもんはラジコンに「ドンブラ粉」をかけて、地面にボートを浮かべて遊ぶが、今度は雨が降り出してきてしまったので、仕方なく三人は家の中に入る。残念がる二人を見てドラえもんは「ラジコンテレビ」を出した。カメラをボートにつけてテレビで見ると、カメラの写しているものがテレビに映し出された。これを使ってボートを操縦する事が出来るのだ。早速三人は変わりばんこにボートを動かし、いつの間にか雨もやんだが、ボートが車にぶつかってしまい、ボートはひっくり返ってしまう。そこにしずかが通りがかったので、カメラについていたマイクでしずかに呼びかけ、ボートを元に戻してもらった。ところが今度はジャイアンに見つかってしまい、ボートを取られてしまう。怒ったドラえもんは「ほげい船」を出してジャイアンの下に向かわせ、クジラを捕まえるようにジャイアンを捕まえて引きずりまわしてしまうのであった。  

 (解説)低学年誌特有の静的な空気が世界全体を支配していて、のんびりとした気持ちになって楽しめる話です。難点を言えば、道具やその使用法に新鮮味がないところでしょうか。もしかしたらそのために未収録になったのかもしれません。
ラジコンねん土   7頁 小一78年10月号
 いとこの作ったラジコンカーを自慢するスネ夫。例によって貸してもらえなかったのび太は泣きながら家に帰るが、部屋にはドラえもんはいなかった。しかしそこへなんとも奇妙な風貌のドラえもんが現れ、気味悪がったのび太が突き飛ばすと、ドラえもんはなんと崩れてしまう。これはドラえもんが「ラジコンねん土」で作ったもので、どんな形にしてもコントローラーで動かす事ができるのだ。早速のび太は自動車のラジコンを作り、形はいびつであるものの、ラジコンを動かして楽しく遊ぶ。
 さらにドラえもんはもっとねん土を出して、人が乗れるサイズの車を作り、外へ出てみんなに自慢する。みんなもそっちに夢中になってしまったので、怒ったスネ夫は土管を転がしてねん土をつぶしてしまう。そこでドラえもんはさらにねん土を出して飛行機を作り、みんなが飛行機で飛ぶ様子を見て、スネ夫は怒りつつも悔しがるのであった。  

 (解説)ラストでのスネ夫の態度が「クルリンじどうしゃ」とは偉い違いですね(笑)。鼻水まで出して悔しがる様は、毎度の事とは言えインパクトがあります。あとは目が互い違いになってたりする、妙なラジコンドラが笑えますね。
ラジコンのもと   FF24巻、TCS3巻 7頁 小一79年8月号
 おもちゃの車を動かして遊ぶのび太だが、スネ夫にラジコンの車を自慢され、悔しがって家に帰り、ドラえもんにラジコンを出して欲しいと頼み込む。ラジコンの代わりにとドラえもんが出したのは「ラジコンのもと」だった。これをつけると何でもラジコンのように動かす事が出来るのだ。試しに車をラジコンにしてみたのび太は、面白がって他のおもちゃや文房具など、いろんな物をラジコンにして遊ぶ。廊下掃除をしているママを見かけたのび太は、雑巾に道具をつけて操作するが、コントロールに失敗してパパに雑巾をぶつけて怒られてしまう。外に出た二人は空き地にいたしずかと一緒に、ラジコンにした土管に乗って楽しく遊ぶ。すると3人は、車の故障で動けなくなっていたスネ夫のパパに出会った。そこでのび太は車に道具を取り付け、本物の車をラジコンのように動かして、スネ夫を仰天させるのであった。  

 (解説)ものすごく単純な道具が登場しているだけに、話の展開もものすごく単調ではありますが、やはりラジコンの車の事で自慢されたスネ夫の所に、のび太が「ラジコンの車」を持って現れるというオチはよく出来たものになっています。おもちゃの車を紐で引っ張りながら「ブウブウ」と言って遊ぶのび太の姿が微笑ましいですね。
ラジコンのもと(小二版)   7頁 小二78年4月号
 空地で紙飛行機を飛ばすのび太。上々な飛行に気を良くしたのび太だったが、紙飛行機は突然現れたラジコンヘリにぶつかり、物の見事に壊れてしまう。おじさんに作ってもらったラジコンヘリの試運転をしていたスネ夫の仕業だった。
 家に逃げ帰ったのび太は新しいラジコンが欲しいとドラえもんに頼み込み、ドラえもんは「ラジコンのもと」を出した。歩行タイプや飛行タイプなど様々な形の「もと」を何かの中に入れることで、思い通りに操縦することが出来るようになるのだ。試しにのび太が作った折鶴の中に入れ、コントローラーで動かしてみると、折鶴は本物の鶴のように羽ばたきながら飛び始めた。
 折鶴で遊ぶのび太の周りにしずかや友達も集まり、ドラえもんはみんなにもラジコンのもとを貸して楽しく遊ぶ。しかしそれらラジコンは、みんなスネ夫のラジコンヘリによって壊されてしまった。怒ったのび太は空き箱や木材などで丈夫な飛行機を作り、逆にスネ夫のラジコンヘリを落としてしまう。
 腹を立てたスネ夫はジャイアンを引き連れてのび太の元へ向かおうとするが、そのことを聞いたのび太達はしずかのアドバイスから、たくさんのラジコン紙人形を作り、2人を追い返してしまうのであった。  

 (解説)「小一」掲載の同名道具とは似て非なる道具が登場しており、話の展開も細部が若干異なる内容になっています。しかし今話は話の筋よりは、みんなのラジコンを壊しまくるスネ夫や、その雪辱戦で反対にスネ夫のラジコンをバラバラにしてしまうのび太など、低学年誌掲載作に似合わないバイオレンスな描写を楽しむべきでしょう(笑)。
陸上ボート   TCS2巻 7頁 小一83年1月号(りく上ボート)
 ボートがこげると自慢するスネ夫をうらやましがるしずかを見たのび太は、自分もこげるからと言ってしずかをボートに誘う。しかし危ないからとの理由でママに禁止されてしまい、ドラえもんに助けを求める。ドラえもんは空き地でボートに乗るのなら構わないとママに言うが、空き地でどうやってボートに乗るのかママは不思議がる。ドラえもんは陸の上でも水上と同じようにこぐ事が出来る「陸上ボート」を取り出し、ゆっくりと空き地の中をこぎ始めた。ドラえもんは帰ってのび太がこぐ事になるが、やはり上手にこぐ事が出来ず、しかもすぐに疲れてしまったのでボートは土管にぶつかってしまう。のび太は再びドラえもんに頼みに行き、ドラえもんは仕方なく「陸上モーターボート」を渡す。今度は疲れる事もないので、気分を良くしたのび太は、道路に出てはいけないというドラえもんの忠告を無視して道路に飛び出してしまう。快調に進むモーターボートだが、ジャイアン達に見つかってしまい、赤信号に引っかかったために逃げ切る事が出来ず、モーターボートをジャイアン達に取上げられてしまう。ジャイアン達は注意されたので裏山へ行って乗り回す事にした。一方のび太からの知らせを聞いたドラえもんは、さらに仕方なく「陸上せん水かん」を出し、それに乗って地中を潜航して裏山へ向かう。魚雷を発射されてボートを壊されたジャイアンとスネ夫は、ボートが沈んでいくのを見て自分たちも溺れると勘違いし、慌てて助けを呼ぶのであった。  

 (解説)地面を海のように見立てるという話も「ドンブラ粉」を始めとして数えきれないほどに存在しており、今話もそんな話の一つです。同系統の道具がたくさん登場するというサービス精神に溢れた話になっており、自然と起伏に富んだ構成になっています。ボートに乗っている時、何故か土管の上にネコがいるのがご愛嬌ですね。
リニアモーターチョーク   TCS1巻 6頁 小一82年8月号(リニアモーターカーチョーク)
 はんこをたんすの裏に落としてしまい、たんすをどかそうとするが、どうしようもないのび太とママ。そんな二人にドラえもんは「リニアモーターチョーク」を出す。これでレールを書くと、その上を物体がリニアモーターカーのように宙に浮いて移動するのだ。はんこをとったのび太はこれで遊ぼうとするが、家の中に落書きをすることを注意されてしまい、町にひとまわりレールを書いて、空き箱に乗って遊ぶ。それを見たジャイアンとスネ夫は箱を奪ってしまう。怒ったドラはコースを変え、二人を川に落としてしまう。ドラえもんとのび太はしずかも誘い、空き地で楽しく遊ぶのだった。  

 (解説)チョークでレールを書いて遊ぶ古典的な電車ごっこと、当時(今でも)最新の技術であるリニアモーターカーを掛け合わせて作った、ユニークな道具です。「道具を使っての楽しい遊び」という、いかにも「小一」らしいほのぼのとした展開ですが、この味こそが「ドラえもん」という作品の真骨頂だと思います。
旅行窓セット   8頁 小三87年5月号
 今度の連休にそれぞれ旅行に行く話をするみんなだが、のび太は例によってどこにも行く事が出来ないので、その事でまたママとケンカになってしまう。そんなのび太にドラえもんは、その時になれば旅行する事ができるようになると思わせぶりな事を言う。
 そして連休になり、ドラえもんは「旅行窓セット」を出した。「電車」のスクリーンを壁に貼ってスイッチを入れると、そこに電車の窓から見た景色が映り、しかも窓を開ければ実際にその場所に行く事ができるようになるのだ。2人は電車やバス、ロープウェーを乗り継いで箱根に行ったジャイアンを追いかけ、目的地についた2人は現地に行って記念写真を撮り、ついでに坂道でへばっているジャイアンも写真に撮る。
 2人はそれから飛行機の窓を使って九州に行ったしずかを追い、ゆっくりと景色を堪能する。さらに夜になってからはスネ夫のいるハワイへパパ達と一緒に行って遊ぶ。
 連休が終わり、帰ってきたみんなにのび太は撮影した写真を見せ、みんなはそれを見て驚くのであった。  

 (解説)シンプルな道具ですが「旅行気分を手軽に味わえる」というコンセプトは十分に生かされていると思います。さすがにどこでもドアではこんな雰囲気は出ないでしょうからね。「ブルートレインセット」みたいに仰天設定がないのが残念と言えば残念ですが(笑)。ジャイアンの父ちゃんの顔が変わっていたのはしょうがない部分でしょう。ハワイ旅行を「平凡」とおっしゃるスネ夫はさすがです(笑)。
ルームガードセット   8頁 小五84年3月号
 いつものように下校してきたのび太だが、玄関先で殺気を感じたために鍵穴から中を覗いてみると、ものすごい形相でママが待ち構えていた。タケコプターで部屋に入り、ドラえもんから事情を聞くと、机に隠しておいた0点の答案をママが見つけてしまったのだと言う。人のいない間に勝手に部屋を覗くというママの態度に怒ったのび太は、ドラえもんから強引に「ルームガードセット」を借りてしまう。レーダー、X線探知機、パスワード識別ロックと電撃銃を仕掛け、「ひらけドア」というパスワードをセットする。二階の様子に気づいたママがドアを開けようとするがドアは開かず、10分以内にパスワードを言わなかったためにママは電撃を浴びてしまった。だがすっかり気を良くしたのび太は勉強せずに昼寝を始め、ジャイアン達をわざと呼び寄せて電撃を浴びせ、さらにはドラえもんが部屋を出て行ったスキにパスワードを変えてドラえもんまでも追い出してしまう。しかしトイレに行きたくなったのび太は仕方なく公園のトイレに行くが、帰ってきた時に早口言葉のパスワードをうまく言うことが出来ず、時間切れになって電撃を浴びてしまうのであった。  

 (解説)話の筋としては今までにも何度も登場した単純なパターンなのですが、今回はやけに「ハイテク」という言葉がぴったり来る道具が登場しているのが特徴ですね。自分の部屋を守るのにそこまでしなくてはいけないのか(笑)?勝手に部屋を覗いたママはともかく、何もしていないジャイアン達を呼び寄せて電撃を浴びせてしまうなんて、のび太もひどいことをしていますが、その分しっぺ返しもきちんと受けているわけで、オチにもカタルシスが感じられます。
ロケットガム   2頁 小一72年3月号
 寝坊して遅刻寸前ののび太にドラえもんは「ロケットガム」を出してやる。これを食べるとおならの強烈な噴射で空を飛べるようになるのだが、食べたらすぐに作用してしまうので、のび太は支度もしていないのに飛んでいってしまうのであった。  

 (解説)うーむ、何ともお下劣なお話ですねえ(笑)。しかしこういう話に一種の夢を感じてしまうのもまた事実であり、一度でいいからおならで空を飛んでみたいと思ってしまったりもしますねえ(笑)。見せ場はやはりその飛行シーンに尽きるでしょう。
ロッカー・カッター   8頁 小三84年2月号
 たまったマンガをママに整理しろと言われたのび太だが、何も捨てるものがない。その時部屋に入ってきたドラえもんは押入れのふすまの一部をめくって、中の穴にしまってあるドラやきを取り出した。これは「ロッカー・カッター」で作り出した超空間なのだ。試しにドラえもんはカッターを使って畳にロッカーを作ったので、のび太はそこにマンガをしまう。
 次にのび太は窓の所に作ったロッカーに0点の答案を隠すがもっと使いたがり、ママに捨ててくるよう頼まれたゴミを床に作った超空間に捨ててしまう。怒ったドラえもんはカッターを取り返そうとするが、すぐにのび太はいなくなってしまう。道の真ん中に作った超空間に隠れたのだ。
 のび太はさらに通りかかったジャイアンに石をぶつけたり、しずかの足を掴んで驚かせてしまう。3人からそれを聞いたドラえもんは場所を聞き出してある計画を立てる。
 超空間の中で昼寝していたのび太は外に出ようとするが、なぜか出口が開かない。すると上から、このすぐ上にビルを建てるという声が聞こえてきたので、のび太は慌てて出ようとするがどうしても出口が開かない。のび太は泣いて暴れだすがこれはドラえもんたちの作戦で、実際には出口の上にドラえもんやジャイアン達が乗っかっているのであった。  

 (解説)今話の道具は大人になった現在でも欲しいと思う道具ですね(笑)。自在にロッカーを作る事ができるという設定だけで読者の想像力を膨らませ、さらにドラ世界魅力のキーワード・「超空間」がさらに道具の魅力を倍加させています。ストーリーそのものはあまり新味はないのですが、道具の魅力に免じて大目に見たいところです。ラストのドラ達の顔がいい味を出してますね。
ロボットねんど   8頁 小二83年6月号
 コンコルドのおもちゃをスネ夫に自慢されて欲しがるのび太。そこでドラは「ロボットねん土」を出し、これで好きなものを作るように言う。しかしのび太が作ったコンコルドはねん土が勘違いしてカラスになってしまい、さらに犬を作ったつもりがネコになり、ヘビを作ったつもりがウンチになってしまったりと、ちっとも目的のものが完成しない。仕方がないのでしずかに頼むことにし、しずかはウサギをはじめ色々な動物を作る。そして大きなゾウを作り3人で乗って散歩する。一方、家の手伝いから逃げてきたジャイアンはゾウに乗っている3人に会い、粘土の話を聞いたスネ夫のアイデアでもう一人の自分を作ろうとする。しかしスネ夫が作ったジャイアンはゴリラになってしまい、二人は追い掛け回されてしまうのであった。  

 (解説)この時期のマンガは作中に読者からのイラストが掲載されており、それで計1ページほど費やされているため、コミックス収録ができなかったのでしょう。なんと言っても不細工なのび太の粘土細工が笑えます。まさかウンコ(しかもまきグソ!)まで出るとは。ネコが『ニャーゴ』と言って走り去る姿を見つめるドラのび、次のコマで「我関せず」のように目をつぶっているドラが最高です。
ロボット服   FF26巻、CC6巻、TCS3巻 7頁 小一80年6月号(ロボットふく)
 とっくに下校の時間なのに、まだのび太が家に帰ってこない事を心配するドラえもん。だがしばらくするとのび太は疲れ果てた様子で帰ってきた。のび太は今朝も遅刻したので、残されて叱られていたのだ。起こしてくれなかった事でドラえもんに文句を言うのび太だが、起こしても起きなかったと反論されて、さすがに落ち込んでしまう。そこでドラえもんは「ロボット服」を出した。スイッチを入れると服が命令通りに動いてくれるので、これを着ていれば寝たままでも勝手に学校に行く事が出来ると言うのだ。今から着ておくことにしたのび太は早速ママから手紙を出してくるよう言われ、服に命じて勝手にポストにまで向かう。その帰り道、のび太は空き地でみんなが幅跳びの競争をしている所を見かけるが、のび太も強引に参加させられてしまう。ビリだと殴られるという事を聞いて、のび太は服の力で幅跳びを難無くこなした。これに腹を立てたジャイアンがのび太に殴りかかるが、のび太は服の力を使ってジャイアンを倒してしまう。喜んで帰ってきたのび太は、服にちょっと汚れがついていたものの、気にせずに来たままで寝る事にした。しかし翌朝、のび太がまだ起きる前に部屋に入ってきたママは服を脱がして洗濯してしまい、ドラえもんが学校に行かせようとすると、物干し竿に干されている服が勝手に動き出したので、洗濯物を干していたママが仰天してしまうのであった。  

 (解説)道具も単純なら話もオーソドックスそのものと言った感じの話です。水準作ではあるものの、至って平凡すぎる点が、今まで収録されなかった理由でしょうか。今話で面白いのは、「のび太を寝たままで登校させる」と、のび太の怠け癖をドラが許容している所ですね。こういう点も低学年誌ならではのものだと思います。
ロボット福の神   FF1巻 15頁 小四70年7月号
 自分の少ない貯金を見てウンザリするのび太。と、そこに福の神のような姿をした小さなロボットが入ってきた。そのロボットの不気味な笑い声を聞いてのび太は気分が悪くなってしまい、部屋の外にいたドラえもんを殴ってしまう。慌ててドラえもんがロボットのスイッチを切るとのび太は元通りになり、ドラえもんはさらにロボットを調整して再び笑わせる。すると今度は笑い声を聞いたのび太はドラえもんに小遣いを上げようとしてしまう。これは「ロボット福の神」で、笑い声を聞いた人はスイッチをいれた人に親切にしたくなるのだが、これは中古なので調節しそこなうと先程のように相手を怒らせてしまうのだ。ドラえもんはきちんと直してから使うことにして部屋を出るが、のび太は勝手に使ってしまい、ママに自転車を買う約束を取り付けてしまう。喜ぶのび太だが福の神は勝手に外に出て行ってしまい、笑い声を聞いたいろんな人がのび太に物をあげにやってきてしまう。探しに行くのび太の下に今度はスネ夫が現れ、今までいじめたお詫びに万年筆を受け取るように言ってくる。仕方なく受け取ったのび太だが次にジャイアンに会ってしまい、ジャイアンは何でも命令を聞くと言い出す。のび太はようやく福の神がドブに落ちたことを突き止めるが、ジャイアンが勝手にドブに飛び込んで福の神を探してくれた。しかしスイッチを切った途端に効果が切れてジャイアンは怒り出し、再びスイッチを入れると今度は不快にさせる笑い声を発したために余計怒らせてしまう。だがのび太がつまづいて福の神を落とした拍子に笑い声が元に戻り、何とかみんなを退散させることに成功する。しかし今度はお金持ちが自分の財産をあげると言い出し、そこに泥棒や警官まで現れて大騒ぎになってしまう。その場をドラえもんに助けられたのび太は事情を話し、二人で福の神を探す。ついに国会がのび太に日本をあげることを決めてしまうような事態にまで発展してしまうが、ようやく福の神を見つけた二人はスイッチを切って騒ぎを静めた。万年筆を取り戻しに来たスネ夫にそれを返した二人は福の神のことを話し、ゴミ箱に捨ててしまう。それを見たスネ夫は自分で使おうとスイッチを入れるが、汲みたてのものをあげようとバキュームカーが近づいてきたので、スネ夫は仰天して逃げるのであった。  

 (解説)道具が原因で町全体の人まで巻き込んでしまうという点では「ペコペコバッタ」に近いものがありますね。泥棒や警官も登場しているし、偶然の一致なんでしょうか(笑)?今話は道具が巻き起こす騒動が中心ですが、ジャイスネの描写や石ノ森章太郎先生によく似た通行人など、随所で笑いをとっているシーンが見られ、抱腹絶倒系の話となっています。ラストのオチはちょっと現代ではわかりにくいかもしれませんね。
ロボット・カー   FF4巻、CC3巻 7頁 小三71年4月号(ロボットカー)
 親と一緒にドライブに行くスネ夫は、車が家になく、パパが免許を持っていないのび太に散々イヤミを行ってから出かけていく。怒るのび太はパパを逆恨みして睨みつけるが、それを諌めるドラえもんは車を出してやると言う。ドラえもんは「ロボット・カー」を出すが、あまり見た目が良くないのでのび太が文句を言うと、慌ててドラえもんが止めに入る。この車は感情を持っているので悪口を言うと機嫌を悪くするのだ。のび太がお世辞を言うことでそれは解決し、地図で目的地に印をつけ、それを車の鼻の中に入れるとひとりでに目的地に走ってくれるのだ。だが道順を書かなかったので無茶苦茶なルートを通ってしまい、道筋を書いて改めて出発する。途中でしずかも誘って二人は出かけ、渋滞で止まっているスネ夫の車を尻目に、車の上をジャンプしながら移動していくロボット・カー。しかしある車を見かけたロボット・カーは急にその車を追いかけ始めた。その車のことが好きになってしまったらしい。ドラえもんの説得で何とか諦めてもらうがその間にスネ夫の車が追い抜いてしまい、負けん気の強いロボット・カーは猛スピードで追いかけ、スネ夫の方も負けじと速度を上げる。しかし警官がやってきてスピード違反の注意を受けてしまう。ところがのび太達の方は車が勝手に走っていたので警官は車に説教するが、次第に集まってきた野次馬に笑われてしまったので、説教を止めてしまうのであった。  

 (解説)意志を持つ車という設定を巧みに生かした物語展開になっており、道具中心の話としては水準作です。他の車に惚れてしまったり、道順を覚えていない時にドロボウを轢いてしまうなど、芸コマな部分も光ります。ちょっとオチに強烈なインパクトがないので小品という印象がありますが、安心して読める一編ですね。
ロボット雪だるま   FF9巻 8頁 小二77年2月号(うごくゆきだるま)
 雪が積もったので早速のび太は雪だるまを作ることにし、寒いので外に出るのを嫌がるドラえもんを残して、一人で空き地に向かう。のび太は早速雪だるまを作り始めるが、作っている最中に疲れてしまったので小さい雪だるまを作って終わらせる。しかしその小さな雪だるまをジャイアン達にバカにされたため、のび太はどうにかして欲しいとドラえもんに頼む。そこでドラえもんは「ロボットのもと」を出し、これを雪だるまに入れてロボットにし、その雪だるまに大きな雪だるまを作らせることを提案する。しかしその時ドラえもんが出した道具は壊れていたので、新しい道具をのび太は借りる。先程の小さな雪だるまに入れると雪だるまがロボットになったので、のび太はその雪だるまにドラえもんの形をした大きな雪だるまを作ってもらう。これもロボットにしたいと考えたのび太は小さな雪だるまにロボットのもとを取ってくるよう頼むが、雪だるまは先程ドラえもんが捨てた、壊れている方の道具を持ってきてしまう。その頃ジャイアン達は大きな雪だるまに腹を立てて壊そうとしていたが、小さな雪だるまが道具をセットしたので大きな雪だるまは動き出し、二人をやっつけてしまう。しかし大きな雪だるまは今度はのび太に乱暴をし始めた。家に帰ってドラえもんに聞くと、壊れた機械を入れると雪だるまは暴れだしてしまうのだと言う。雪だるまは家に上がりこんで冷蔵庫をあさり始め、ロボットのもとを取ることも出来ず、居間に陣取った雪だるまはごちそうを持ってくるよう命令する。ところが三人が食べ物を持っていくと、雪だるまはコタツにあたって溶けてしまっていたのだった。  

 (解説)今話を振り返る上で忘れてならないのは、やはり今話のアニメ版でしょう。アニメではラストがまったく異なり、暴れる雪だるまを生み出してしまった小さな雪だるまが責任を感じ、居間にいる大きな雪だるまをストーブに押し付け、自分の体と一緒に溶かしてしまいます。2つの雪だるまがいなくなったことを知ったのび太は外に出て寂しそうに雪の降る空を見上げると、そこに仲良く手を振る2つの雪だるまが浮かび上がる、というものでした。つまり原作でのギャグ系話を感動系話に変えてしまったわけです。原作という素材を上手く料理し、原作とは違うテーマのオチへと昇華させた好例です。「原作のアニメ化」という作業において一つの完成系と言うべきものを見出した今話の存在意義を認識しておくべきでしょう。


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