ドラえもんプラス1巻


グルメテーブルかけ   FF30巻、CC6巻 9頁 小二81年3月号
 ママは今日も忙しく動き回っていた。部屋を散らかしっぱなしをのび太を叱り、部屋の掃除や洗濯に追われながらも、何も知らないのび太達はお腹がすいたと催促する。そんな日々の忙しさを顧みたママは、もし自分がいなかったらこの家はどうなってしまうのかと、不安な思いに駆られる。
 果たしてその不安は的中し、ママの母親が急病で倒れてしまったとの連絡が入ったので、ママは家のことを気にかけながらも出かけてしまった。
 家に残ったパパは何とかしてご飯を作ろうと悪戦苦闘するが、うまくいくはずもなく、出前に頼ることになった。しかしこんな時に限ってどこの店も休んでしまっており、パパは諦めて1人で寝入ってしまう。空腹で苦しむドラえもんは、ふとあるものを思い出し、ポケットから「グルメテーブルかけ」を取り出した。食べたいものを注文すれば、このテーブルかけから何でも出てくるのだ。試しにかつ丼とカレーライスを出したドラえもんはのび太やパパと一緒にご飯を食べ、さらにデザートまで出して食べつくしてしまう。
 のび太はもっとこの道具で色々な料理を食べたがるが、とても1人で食べきることは出来ないので、みんなにご馳走することにして出かけていく。外ではスネ夫が一流料理店でフランス料理を食べたことを、しずかやジャイアンに自慢していた。それを聞いたのび太はスネ夫の食べた料理をみんなにご馳走することにし、道具を使うことにする。聞いたこともない名前の料理ばかりなので、のび太は少し不安がるものの、出ないものはないとドラえもんが豪語したとおり、テーブルかけからはすべての料理が出てきた。しかもそのどれもが最高に美味だったので、さすがのスネ夫も舌を巻いてしまう。
 夜ご飯も道具を使って済ますのび太たち。一方のママは、母親の病気が軽いものだったので一安心していたが、遅いから泊まっていけばいいと言う誘いも断り、雨の中、家族のために家路を急ぐ。しかし家では満腹ののび太達3人が出迎えたため、ママはすっかりむくれてしまい、のび太達は理由がさっぱりわからずに困惑の表情を浮かべるのであった。  

 (解説)今話は名前だけは現在でも結構知られている道具の初登場話ですが、それ以上に注目すべきなのは、ママの描き方でしょう。母親でも女性でもなく、「主婦」としてのママを描いているのは、今話だけではないでしょうか。話自体は道具を中心とした展開になっているのですが、そんな話の中にさり気なくママの本音や立場を盛り込み、それ自体をラストのオチへの伏線にしていると言う構成の巧みさは、やはり今更ながらに脱帽してしまいますね。それでいて細かいギャグ(のび太がフランス料理の名前を覚えきれず、スネ夫にメモしてもらうシーンは最高!)も冴え渡っており、てんコミ未収録なのが返す返すも残念に思われる、隠れた佳作です。
 ちなみにスネ夫が食べたフランス料理は、「エスカルゴ・ブルゴーニュ風」「トリュフのスープ」「フィエットチーネ」「アマダイのシャンパン蒸し」「フィレステーキ」「編笠茸入りクリームソース」です。
コチョコチョ手袋   FF9巻 6頁 小二74年4月号(コチョコチョ手ぶくろ)
 鍋を持ちながらゆっくりと歩くのび太。ジャイアン達が聞いてみるとのび太は豆腐を買ってきたので割らないようにゆっくり歩いているのだと言う。そこでいたずらを思いついた2人は適当な理屈をつけて豆腐を頭に乗せて運ばせ、それに乗じてのび太を2人でくすぐり始めた。必死に逃げるのび太は逃げるうちに豆腐を落っことしてしまう。
 話を聞いたドラえもんは怒り、のび太に力を貸そうと「コチョコチョ手袋」を出した。これをはめれば離れた所からでも狙った相手をくすぐることが出来るのだ。のび太は試しに何気なく指を動かしてみるが、すると前を歩いていた女性の抱いていたネコがくすぐったがってしまい、暴れて女性を引っかいてしまった。
 早速のび太は道を歩いているジャイアンをくすぐり、ジャイアンはのび太を疑う余裕もなく、目の前を歩いていた学生が自分の顔を笑われたと勘違いしたためにジャイアンは袋叩きにあってしまう。
 次にしずかの家で礼儀正しくしているスネ夫を見つけたのび太はスネ夫をくすぐり、スネ夫はくすぐったさで飲み物を吹き出すばかりか、笑いすぎておもらしまでしてしまった。
 喜んで帰ってきたのび太だが、家に帰ると豆腐のことでママが怒り始めたので、今度はママをくすぐって笑わせてしまうのであった。  

 (解説)今話の最大の難点は登場した道具自体にありました。「相手をくすぐる」ためだけの道具ではやはり個性に欠けてしまいます。この道具を中心にするとしても相手をくすぐる行為に限定されてしまうので話の展開自体が制限されてしまうわけですね。そこが難点でありました。ただ笑いまくっておもらしをするスネ夫や変な言いがかりをつける変な顔の学生など、ギャグのツボはしっかりと押さえています。
ぼくを止めるのび太   FF5巻 10頁 小六77年12月号(あとの後悔さきにたたず)(ボクを止めるのび太(FF))
 ジャイアン達の持っているポルシェ935ターボのプラモをうらやましがるのび太だが、のび太の部屋には10個ものカップめんが広がっていた。これをすべて平らげることがのび太の以前からの夢だったのだ。しかし5個目で早々にダウンしてしまい、のび太はカップめんを買った己の行為を後悔する。ドラえもんが事情を聞いてみるとおじさんから小遣いをもらったので、以前から欲しかったプラモと以前からの夢であるラーメン10個のどちらを取るか考え、カップめんの方を選んでしまったのだ。説教するドラえもんだがのび太はあまり反省していない。何とのび太はタイムマシンで過去の世界に行って運命を変えようと言うのだ。それを聞いたドラえもんは、過去を勝手に変えると歴史が混乱してしまう、歴史には勢いがあってちょっとやそっとでは変えられないという理由から反対するが、のび太は構わずに1時間前の世界に向かう。
 おじさんから小遣いをもらった1時間前ののび太はカップめんを買うことにするが、現在ののび太がプラモを買うように進言したので1時間前ののび太もプラモを買うことに決める。しかし現在ののび太が現在に帰ってきても一向にプラモが出てこない。のび太は再び過去へ行って模型店のほうに向かうが、スネ夫から更にもう一人ののび太が現れて言い合いの末スーパーに行ったと言うことを聞いて早速そちらへ向かう。するとそこでは2人ののび太がカップめんを購入していた。それは1時間前ののび太と現在ののび太から更に1時間後ののび太で、1時間後ののび太はプラモを作ったらメチャメチャになってしまったのでカップめんを買うようにやってきたのだと言う。そのことで現在ののび太と1時間後ののび太は口論を始めてしまい、1時間前ののび太は痺れを切らしてしまうが、とうとう自分同士のケンカにまで発展してしまう。しかしそこにケンカを終わらせてボロボロになった状態の3人ののび太が現れたので、ケンカを中止する。
 しかし3人入り乱れてケンカをしたためか、誰がどの時間に戻るべきなのかがわからなくなってしまっていた。ドラえもんもこれだけこじれてしまっては完全に元に戻すことも出来ず、のび太はやっとのことでとりあえず通常の時間軸に落ち着くが、結局大して面白くもないカップめんのプラモを作ることになってしまい、その様子をドラえもんはにこやかな顔で見つめるのであった。  

 (解説)「ドラえもんだらけ」と双極を成すであろう、タイムパラドックスギャグの最高峰に位置している作品です。それくらいの魅力に溢れた快(怪?)作です。3人ののび太がケンカするシーンや、中盤の盛り上がりぶりとは打って変わって静的なラストのオチなど見所はたくさんあるのですが、現在ののび太に2人ののび太が現れたことを説明し、なおかつ現在ののび太を見て不思議がるスネ夫の描写をはさむなど、細かい面でも笑いの要素がつまっています。プラス発刊により、久々に日の目を見ることのできた作品ですね。
代用シール   CC6巻 8頁 小二82年3月号
 のび太の家の前で、貸したマンガの返却を求めてくるジャイアンとスネ夫。ところがのび太はそのマンガをなくしてしまっていた。困っているのび太を見かねたドラえもんは、「代用シール」を出してやり、のび太に電話帳を持ってこさせると、「スネ夫のマンガ」と書いたシールを電話帳に貼り付ける。それをスネ夫に見せてみると、なぜかスネ夫は電話帳を自分のマンガと思い込んでしまった。このシールを貼った物は、シールに書き込んだ内容の代用品になってしまうのだ。
 続いてのび太はママからテストの答案を見せるようにせがまれるが、例によって0点だったため、広告のチラシにシールを貼って何とかごまかす。しかしのび太はシールを使っていたずらをしようと考え、止めようとしたドラえもんにもシールを貼って、郵便ポストにしてしまった。
 しずかに出会ったのび太は遊びに誘うが、しずかは隣町までお使いの途中だったので、シールを使って目的地の家の代わりを作り、強引にお使いを終わらせてしまう。
 その頃ジャイアン達は電話帳のからくりに気づき、ドラえもんもシールが剥がれたので元に戻ることが出来た。さらにしずかのお使い先も代用品だったことがばれてしまい、のび太はみんなに追い掛け回されてしまう。仕方なくのび太は近くにあった本物の郵便ポストを自分に見立て、うまくみんなをごまかした。
 ところがドラえもんはシールの存在に気づかなかったため、ポストをそのまま家へ連れ帰ってしまう。夜になって家に戻っても鍵がかかっていて入れないのび太が見たものは、食卓に座らされている郵便ポストの姿であった。  

 (解説)なんと言っても代用品に対しての各人の様々な対応の仕方が面白いですね。オチでのポストに対するパパママの言葉を始め、元に戻って飲み込んでいた?ハガキを撒き散らすドラや、電話帳をそれと気づかずに読みつつちっとも面白くないと怒るジャイアンなど、おかしな光景が満載です。これら不条理な描写をビジュアルも含めて楽しむのが、今話の正しい読み方でしょうね。
半分おでかけ雲   10頁 小四87年4月号
 学校帰りにこれからみどりが丘へ遊びに行く事にしたのび太たち。しかしのび太はママに勉強を強要され、出かけられなくなってしまう。
 なぜかドラえもんも家にいないので、頼ることも出来ずに困り果てるのび太だが、その時部屋の隅にある雲のようなものからドラえもんの足だけが突き出しているのを見つけた。くすぐってみると雲の中からなんとドラえもんが出てきた。これは「半分おでかけ雲」で、機械を使って雲を作り、雲を2つに分けて片方に首を入れるともう片方の雲から出てくるのだ。頭半分が移動しても足はそこに残ったままなので、のび太はこれを使ってみどりが丘に行く事にする。
 するとすぐにママがやってくるが、ドラえもんの合図でのび太は部屋に戻ったので事なきを得る。のび太はすぐにしずか達に追いつき、みんなでみどりが丘に到着して景色を堪能する。
 ジュースを欲しがるみんなのためにのび太は家からジュースを持っていくが、みんなが裸足になって草を踏むのを見て、のび太は我慢できずにとうとう全身をみどりが丘の方に出してしまった。その間に部屋にやって来たママは雲を見つけ、怒って雲を窓から捨ててしまい、雲は風にのって飛んでいってしまった。
 一方みんなは帰ることにし、のび太は雲を通って家に帰ることにするが、もう一方の雲は公園の池の上にまで流れてしまっていたため、のび太は池に落っこちてしまうのであった。  

 (解説)道具を使ってママをごまかすという展開も今までにたくさんありましたが、「ヤカンレコーダー」とか「山びこ山」に比べるとちょっとインパクトが弱いですね。ただ、別にケンカをするでもなく、いつもの4人が最後まで仲良く遊んでいる姿を見ると、読んでいるこちらも楽しくなってしまいますね。
ココロチョコ   8頁 小五80年5月号
 ジャイアンの乱暴にうんざりしたみんなは、スネ夫の提案でジャイアンを相手にしないことにする。しかしのび太以外のみんなはジャイアンに脅されて早々に止めてしまい、更にスネ夫がそのことをのび太のせいにしてしまったため、のび太はジャイアンに殴られてしまう。
 話を聞いて怒ったドラえもんは、分けて食べることで心を一つに出来る「ココロチョコ」を出し、のび太はそれをみんなに配って食べさせる。するとスネ夫達を始めとしてチョコをもらった人たちは、のび太の意思どおりにみんなジャイアンをのけ者にしてしまった。
 上機嫌でそのことをしずかに話すのび太だが、しずかは大勢が一つのことを考えるのは気持ち悪いと話し、更にのび太の考えと同調して大勢の人たちがしずかの家にやってきてしまったため、慌てて家に帰るのび太。その時にチョコを自宅の居間に落としてしまう。
 ドラえもんから効き目は明朝までと聞いて安心したのび太は昼寝するが、ママもチョコを食べてしまっていたために、夕食も作らずに昼寝をしてしまうのであった。  

 (解説)ある意味「心を一つに」という理想主義の考えを逆手に取った、アイロニカルな話ともとれますが、やはりみんな同じ考えをするようになっては、うまくいかないことが多いことを言っているのでしょう。その点では「ビョードーばくだん」の系譜に連なる作品です。
おいかけテレビ   FF1巻 15頁 小四70年4月号
 家にかかってきた電話に出るドラえもんだが、声の主はいきなりテレビをつけろと言うのでドラえもんもその通りにつけてみる。するとそこには「ジャリッ子のどじまん」に出演しているスネ夫が映し出されていた。これを知らせたくてスネ夫が電話をかけてきたのだ。
 一気に子供達の有名人になったスネ夫だが、ドラえもんは面白くない。だがのび太にハッパをかけてみても恥ずかしがるのでどうしようもなく、ドラえもんは自分の力でのび太をテレビ出演させることを宣言する。
 しかしドラえもんは間違えて電気屋に催促に行ってしまい、のび太に教えられてテレビ局のオーディション会場に行く。しかしのび太はあがってしまって何も言う事が出来ずに落選してしまい、落ち込むのび太にみんながテレビのことを聞きに来るが、ドラえもんはなんと全部のチャンネルにのび太が映ると言い出し、「おいかけテレビ」を出した。カメラにタッチするとタッチした人間をどこまでも追いかけて周囲のテレビに受像するのだ。
 だが映し出されるのはのび太の昼寝姿だけで、カメラのことを知ったのび太は逃げ回ってしまう。それを羨んだスネ夫はカメラが自分を映すように仕向け、ドラえもんが取り戻すためにスネ夫のママに相談しても、今度はママまでカメラに映りだしてしまい、取り返すことが出来ない。スネ夫達はわざと特上寿司を注文し、さらに店の宣伝をしたからと言って料金まで踏み倒すが、みんなはつまらなくなったので外に遊びに出かけてしまった。
 その事を知ったスネ夫はカメラを捨ててしまうが、カメラはそれでもスネ夫を追いかけ回す。ママは逃げてしまい、スネ夫はカメラに向かって助けを求める。のび太達が行ってみるとスネ夫はトイレに入るところを映されたくないようで、必死にカメラをトイレから追い出す姿を見て、もう少し放っておくことにするのび太とドラえもんであった。  

 (解説)今回はドタバタギャグの真骨頂全開ですね。のび太をテレビに出そうとして電気屋に行ったり、スネ夫と一緒になってテレビに映りたがるスネ夫のままなど、キャラが暴走してはいますが生き生きと描かれています。しかしいくらなんでもスネ夫のサインをもらおうとするのび太って…(笑)。
集中力増強シャボンヘルメット   8頁 小三86年5月号
 帰りが遅くなってしまったのび太はママに見つからないように庭から家に入るが、庭ではパパが休日返上で穴掘りをしていた。しかし硬くてなかなか掘り進めないらしい。
 のび太から宿題を忘れて残されたということを聞いたドラえもんは、今日はきちんと宿題をするように言うが、のび太は余計な事ばかり考えて勉強に身が入らない。そこでドラえもんは「集中力増強シャボンヘルメット」を出した。何かをやっている最中にこのヘルメットをかぶると、夢中になっていつまでも続けることができるのだ。早速ヘルメットをかぶって宿題を始めたのび太はドラえもんやママの言葉にさえも耳を貸さず、ついに宿題を終わらせる。そこでドラえもんがヘルメットを割って我に帰ったのび太は喜び、道具を役立てようと出かけていく。
 まず穴掘りをしているパパにヘルメットをかぶせたのび太は空き地へ向かうが、そこにいたジャイアン達にヘルメットを取られそうになってしまう。しかしその時偶然大きな虫を運んでいるアリに見入った2人のスキをついてのび太はヘルメットをかぶせ、2人はアリを見るのに夢中になってしまう。
 それからもセーターを完成させたいというしずかを始め、いろいろな人にヘルメットをかぶせたのび太は夜になってようやく家に帰る。しかしその横ではジャイアンとスネ夫の母親が、まだ子供が帰ってこない事を心配していた。
 なんとこのヘルメットは最後に専用の針で壊さないといつまでもやり続けてしまうのだと言う。そのためにジャイアン達はアリの巣穴をじっと見続け、しずかはセーターを編み続け、パパは穴を掘り続けてしまっているのであった。  

 (解説)後に出てくる「つづきをヨロシク」と似て非なる道具ですね。ヘルメットをかぶって集中している時のみんなの無表情な顔が面白く、特にジャイアンの顔は必見です。他にも今話では道具を見た時に「取り上げてやる」とやけにストレートにのたまわったり、「アリさん」とかわいらしく呼んだりするジャイスネが非常に魅力的です。
おこのみフォト・プリンター   10頁 小四86年6月号
 この前ハイキングに行ってきた時の写真をみんなに見せるスネ夫。しかしのび太の写っている写真は一枚しかなく、他の二人の分もほとんどがスネ夫中心に写っているものばかりだった。あまりにもひどい仕打ちに泣いて悔しがるのび太に同情したドラえもんは「おこのみフォト・プリンター」を出した。これを使うと写真を自由に修正する事が出来るのだ。早速自分のもらった写真を直したのび太はしずかから写真を借りてきて、アングルを変えたり時間を巻き戻したりして写真を修正していく。
 そのうち写真に双眼鏡が出てきた時、一度も触らせてくれなかった事を思い出したのび太はまた悔しがるので、ドラえもんは双眼鏡で見ていたものをプリントし始める。するとスネ夫の見ていたものの中にしずかのスカートの中があったので二人は憤慨する。さらにしずかとの写真もプリントして満足したのび太だが、この後ににわか雨が降って大きな虹が出たことをドラえもんに話す。
 大変な作業ではあったが、ドラえもんは何とかその時の画面を作ってプリントした。満足するのび太だが、その写真の中にスネ夫の双眼鏡を見つける。どうやらハイキングの時に忘れていってしまったらしい。どこでもドアで取りに行った二人はスネ夫の家に届けに行くが、ちょうどスネ夫の家ではママに詰問されてスネ夫が白を切っている所であった。  

 (解説)作者本人がカメラ好きだったと言う事もあってか、こういった「写真修正」の道具もちらほらと登場していますね。同系統の道具が複数あるにも関わらず、それぞれにちゃんと個性を持たせているところはさすがです。スネ夫の自己顕示欲の強さもさすがと言うべきか何なのか(笑)。
ゾウ印口べに   FF12巻 7頁 小二75年7月号(ぞうじるし口べに)
 しずかのリボンを奪い取ってからかうジャイアンとスネ夫。それを見たのび太はここで自分が助ければしずかに感謝されると考えて注意しようとするが、ジャイアン達の剣幕に負けてあっさり引き下がってしまい、しずかからも軽蔑されてしまう。
 しずかから相談を受けたドラえもんは「ゾウ印口べに」を出した。これを唇に塗って心の中で伸びろと思うだけで、唇がゾウのように伸びるのだ。
 一方ののび太は情けない自分を反省し、ドラえもんに相談して今度は逃げないようにしようとするが、相談する前に女の子達にその事を話してしまったため、自分達の遊び場を取ってしまったジャイアン達をすぐにやっつけるように頼まれてしまう。しかし当然のび太一人では叶うはずもなく、ボロボロにやられてしまう。そこにやってきたしずかはゾウ印口べにを使ってジャイアン達をやっつけた。
 一応助けられたものの、女の子に助けられるという失態を演じてしまったのび太は自分も口べにを借りようとするが、ゾウ印口べには一つしかないと言う。それでもポケットを探ると口べにが出てきたのでのび太はこれで助けてあげると女の子達に宣言するが、これはタコのようにスミを出すことができる「タコ印口べに」だったので、口からスミを噴射して女の子達に引っかけてしまうのであった。  

 (解説)ジャイスネがしずかをからかうという珍しい導入から始まって、しずかがドラに道具の催促をしてくると言う、変則づくしの話になっています。ドラもしずかに対しては甘いようで、すぐに道具を渡していますね(笑)。オチは伏線がないので少し強引な気もしますが、面白いので良しとしましょう。
ろく音フラワー   FF5巻 8頁 小五75年8月号
 道を歩きながら真面目な顔で何か悩んでいるスネ夫。のび太が聞いてみるとスネ夫はしずかへの誕生日プレゼントのことで悩んでいたのだった。のび太は適当な理屈をつけて安いもので済ませれば良いというが、スネ夫がいなくなってから慌てて部屋に駆け込む。誕生日のことをすっかり忘れていたのでプレゼントも準備していなかったのだ。
 話を聞いたドラえもんは「ろく音フラワー」の種を出す。ステレオデッキの前に種を植えた植木ばちを置き、音楽を聞かせるとなんと芽が出てきた。この花は音楽を養分として育ち、花が開くと花の中からそれまでに聴いた音が流れ出すのだ。ところがそこへママが現れたので少し雑音が入ってしまい、しかものび太は宿題をするよう言われたので、仕方なく部屋に戻って宿題を始めるが、すぐに眠ってしまう。
 つぼみができるまで3時間はかかるが、さすがにドラえもんも飽きたのでステレオをラジオに切り替えてその場を離れてしまう。その間に植木ばちを見つけたパパはのび太の物だと思ってのび太の部屋に植木ばちを持ってきてしまった。
 そこへジャイアンが訪ねてきたのでのび太は部屋に上げるが、寝ぼけているので植木ばちのことに気がつかず、スネ夫と同様にプレゼントの相談をされて、「金をかけるのはバカらしいこと」などと適当なことを言ってしまう。のび太はジャイアンを追い返すために外まで誘導するが、その間にドラえもんがステレオの前に植木ばちを持っていき、その時点でようやくつぼみがついた。パーティ会場で花が開くように静かにすることにし、ちょうど誕生パーティが始まった時に花が開いた。
 ちょっとママの声が入ったもののしずかは喜び、自分だけいい物を持ってきたとジャイアン達は怒る。ところが音の内容が次第にのび太の部屋のものに変わっていき、ドラえもんから植木が自分の部屋にあったことを聞かされたのび太は自分の発言を思い出して必死に音を止めようとし、2人でお祝いの歌を歌ってごまかすのであった。  

 (解説)自分だけ手間暇かけてプレゼントを準備したものの、結局最後には一番金のかかっていない「歌」ですます羽目になるという、ちょっと皮肉めいた感じのオチが秀逸です。しかししずかが好きだから点数を稼いでおきたいなどと、ジャイスネの発言はおよそ小学生のするものじゃないな(笑)。で、結局ジャイアンは絵、スネ夫は風鈴ということになりましたが、ジャイアンの自画像をプレゼントされて喜ぶのか?
しん気ろうそく立て   7頁 小二84年7月号
 夏も盛りのある日、暑さに耐えかねて海へ行きたいと愚痴をこぼすしずか達を見て、自分ならどこでもドアですぐに行けると、珍しくのび太が自慢をする。海に連れて行って欲しいと頼む3人に、のび太は調子に乗って自分への感謝の言葉を言わせ、さらにおやつを持ってくるように強要する。
 帰宅したのび太が早速ドラえもんに頼み込もうとすると、部屋には既にどこでもドアが置きっぱなしになっていた。のび太が喜ぶのも束の間、突然ドアを突き破ってドラえもんが飛び出してきた。何でも南極へ涼みに行っていたが、ドアが開かなくなってしまったので、無理をしてやっと戻ってきたと言うのだ。ドアが壊れてしまっては海へ行くことが出来なくなる。
 話を聞いたドラえもんはのび太の軽率な約束に困りながらも、「しん気ろうそく立て」を取り出し、のび太にろうそくを持ってこさせ、自分は部屋の雨戸を全て閉める。ろうそくに火をつけ、ろうそく立てを握りながらドラえもんが先程行った南極の風景を思い浮かべると、なんとのび太の部屋が南極そのものになってしまった。これは蜃気楼のように幻を浮かび上がらせることが出来る道具なのだが、もちろん蜃気楼なので実際はのび太の部屋のままなのだ。のび太はこれを使って部屋に海岸の景色を映し出し、何とかしずか達をごまかすことにする。
 のび太の家にやってきたしずか達は、海を本物と思い込んで遊び始める。しかし空間自体はのび太の部屋なので、遠くまで泳ぐことも出来ず、仕方なく砂浜で食事をしたりスイカ割りをしたりして遊ぶが、ろうそくがなくなってしまったので蜃気楼も消え、海水浴はお開きとなった。
 しかしみんなが帰宅した後ののび太の部屋は、食べ散らかした後や、なぜかおしっこをした後まで残っていたりと、惨憺たる有様。困り果てる2人の後ろで、怖い顔で睨みつけるママであった。  

 (解説)「のび太の部屋」という日常空間を、一気に非日常の世界に変えてしまうのは、ドラ世界ならではの展開で楽しいですね。オチも同様の話で散々描かれてきたものとほぼ同じではありますが、わかっていても十分笑える、落語の小噺的な要素を湛えています。ちなみにこの種のオチで「おしっこをした跡」を描くことを絶対に忘れないのも、F先生ならではですね(笑)。
ハチにたのめば何とかなるさ   8頁 小三85年9月号(なんとかばち)
 野球をして泥だらけになって帰ってきたのび太はママに注意されてしまうが、ついでにお使いに行かされそうになったので、しずかと約束をしていたのび太はさっさと出かけてしまう。しかし野球に負けた事でジャイアン達に追いかけられてしまい、その際に水たまりを踏んでまた服を汚してしまった。
 今度はママも激しく怒り、お使いだけでなく庭の水撒きと空き箱捨てまで命じられてしまった。のび太はしずかの誘いも断ってお使いに向かうが、通りがかりの子供が持っていたキャンディーが服についてしまったために服がまた汚れてしまい、さらにジャイアン達に買い物カゴを取られてしまう。
 ずっとその様子を見ていたドラえもんはさすがにかわいそうに思い、困った時に何とかしてくれる「なんとかばち」を出した。のび太は突然現れたハチに驚いて逃げるが、その途中で水をまいていた人に水をかけられてしまう。その人はクリーニング屋だったので服を綺麗にしてくれる事になったが、その間は外に出ることが出来ないので用事を終わらせる事が出来ず、のび太は泣き出してしまう。
 一方買い物カゴを持ったジャイアン達もハチに追いかけられ、ちょうど八百屋に辿り着いてしまったために買い物をする羽目になってしまう。さらに2人はその後もハチに追いまわされ、のび太の家の庭に逃げ込んだ2人は家に買い物カゴを置き、ハチを追い払うために庭中に水を撒き散らす。だがそれでもハチは逃げないので2人は今度は置いてあった空き箱をかぶって逃げる事にし、2人が粗大ゴミ置き場にたどり着いたところでようやくハチはいなくなった。
 服が乾いたもののすっかり落ち込んで帰ってくるのび太だったが、すっかり用事が済んでさらにこづかいまでもらえるという状況に困惑してしまい、そんなのび太の横でドラえもんはニッコリと微笑むのであった。  

 (解説)今話でもおなじみの「こじつけギャグ」が使われていますが、今回は言葉のこじつけではなく行動のこじつけになっているところがいつもと異なっていますね。展開には少々強引さが残りますが、のびドラよりも出ずっぱりの道具大活躍編として、記憶に留めておくべきかもしれません(笑)。
未来ラジオ   FF6巻 5頁 小三76年9月号(みらいラジオ)
 居間で機械の中から聞こえてくる音声を聞いて笑いあうのび太とドラえもん。そこに入ってきたパパを見てニヤつく2人は、これから10分後にパパの身に恐ろしいことが起こると忠告して部屋を出た。するとちょうど10分後、パパが内緒で買ったゴルフセットを見つけたママが猛烈な勢いで居間に入ってくる。その時の言葉は先程の機械から聞こえてきたものとまったく同じだった。
 さっきの機械はドラえもんが出した「未来ラジオ」と言い、未来の音声を聞くことが出来るこの機械で、2人は10分後の音を聞いていたのだ。このケンカがどうなるか気になった2人は30分後の未来をラジオで聞くことにするが、そこではパパ達は仲直りして映画を見に行こうとしていた。それを聞いたのび太は自分も連れて行ってもらおうとするが、今はまだケンカの最中なのでそれどころではない。
 のび太は自分の部屋の15分後の音声を聞いてみると、しずかが訪ねて来る音が聞こえた。時間通りに来たしずかを迎え入れた2人はさらに10分後の音を聞くが、聞こえてきたのはなんと強盗の声と拳銃の銃声だった。慌てて2人はパパ達に知らせようとするが、パパ達は既に映画を身に出かけており、しずかも逃げ出してしまう。そして警察に電話する間もなく玄関に何者かが現れた。
 しかしやってきたのはスネ夫で、さっきの音声はスネ夫が持ってきた携帯テレビから流れる音声だったのだ。事実を知ってゲンナリとした表情を見せるのび太とドラえもんであった。  

 (解説)導入部分があまりにも強引なのは、ページ数の都合上仕方のない部分でしょう。やはり今話の最大の見所はラストのコマで見せるのびドラの表情でしょうね。特にドラのおっさん臭いような顔は必見です。逆を言えばそれしか見所がない気も…(笑)。
ふろしきタクシー   FF8巻 8頁 小四74年9月号
 のび太が本山くんからマンガをたくさん借りてきてくれるというので楽しみに待つドラえもん。しかしのび太はあまりの暑さで行く気もしないというので、ドラえもんはその情けなさを叱るが、マンガを読みたい気持ちには勝てないのでドラえもんは「ふろしきタクシー」を出した。
 ドラえもんがこれに乗っかるとあっという間にふろしきに包まれ、するとそれを見たのび太は自然に体が動いてドラえもんを抱えてしまう。こうすることで持った人を運転手にし、乗っている人の指示通りに乗っている人を運んでいかなければならないのだ。ドラえもんはとりあえず玄関まで行き、のび太も早速使ってみることにするが、現れたのがしずかだったのでのび太は止めさせる。だが次に来た人はおしっこを我慢しており、なかなか適当な人材が現れない。そこにジャイアンが通りかかったのでのび太はジャイアンを運転手にしてしまい、調子に乗ってジャイアンをグルグル走らせてしまう。
 ようやく本山くんの家についたのび太だが、のび太を降ろした瞬間にのび太から解放されたジャイアンはのび太をギタギタにしてしまった。すると今度は道に落ちたままのふろしきに男の人が乗ってしまい、それを見たのび太は運転手になってしまう。男は山本という人の家を探していたため、のび太が探す羽目になる。
 夜になっても帰ってこないのび太を心配するドラえもんだが、そこに当の本山くんがマンガを持ってやって来た。いくら待ってものび太が来ないので届けにきたと言う。ドラえもんが探しに行ってみると、のび太は先程から山本さんの家を見つけることが出来ずにずっと歩き回っているのだった。  

 (解説)とても22世紀の道具とは思えない、迷惑極まりない道具ですね(笑)。今回は話自体は平凡ですが、怒り狂ってのび太を「シッチャカメッチャカ」にするジャイアンや、家が見つからないのにふろしきから降りようとしないエキストラキャラの男など、要所要所で光るギャグが存在しています。ちなみに今話登場の「本山(もとやま)くん」は「ショージキデンパ」登場の「本山(ほんやま)くん」とは別人です。
スリルチケット   7頁 小二86年8月号
 暑い夏。涼しさを求めてお化け屋敷へ行ってみたものの、どれも子供だましで笑ってしまったと自慢するジャイアン。それを聞いたのび太は「怖いと涼しくなる」感覚を味わってみるため、ドラえもんにお化け屋敷を出すよう頼む。さすがにお化け屋敷は出せないものの、代わりにドラえもんは「スリルチケット」を取り出した。それぞれのチケットをちぎって所持しているだけで、チケットに書いてある言葉どおりの体験をすることが出来るのだ。
 のび太が試しに「ヒヤリ券」をちぎってみると、ママが廊下に落ちていた0点の答案を見つけてしまった。思わずヒヤッとするのび太だが、幸いママはメガネをかけていなかったので、その隙にのび太は急いで回収する。
 道具の効果を知ったのび太は遊びに出かけ、しずかに「ゾ〜券」を渡す。するとしずかの背中に毛虫がくっつき、気味悪さにしずかもゾーッとなってしまう。
 次に空地でラジコン飛行機を飛ばしていたスネ夫に「ドキドキ券」を渡すのび太。するとすぐさまラジコン飛行機は、ちょうど通りがかったジャイアンの頭にぶつかってしまい、スネ夫は慌てて隠れるが、ラジコンはそのままスネ夫の隠れた木に引っかかって音を立て始めたので、ジャイアンはそちらに近づき、スネ夫は恐怖におののく羽目になる。
 しかし近くにのび太を見つけたジャイアンはのび太のせいかと疑い、のび太は話をそらすため、ジャイアンに「ギックリ券」のチケットを渡す。
 ジャイアンは恐れることなく悠々と帰宅するが、なんと家から先生と母ちゃんが現れ、先生からは退学、母ちゃんからは勘当を言い渡されて追い出されてしまう。あまりのことに思わず泣き出してしまうジャイアンだが、そこへ「ギックリカメラ」の札を持った人が現れる。実はこれはテレビ番組の企画であり、先生も母ちゃんも芝居をしていただけだったのだ。唖然とするジャイアンをおかしそうに眺めるのび太とドラえもんであった。  

 (解説)それぞれのチケットに対して発生する事件がバラエティーに富んでおり、是非もっと長いページ数で見てみたかった話ですね。ラストのオチはちょっといつものドラとは異なる感じを受けますが、掲載当時の子供間での流行り物を敏感に取り入れるのが低学年誌掲載作の特徴なので、これはこれで良いかと思います。
不運はのび太のツヨーイ味方!?   8頁 小五85年10月号
 今日は下校中、車にぶつかりそうになったり、水溜りに足を突っ込んだり、電柱にぶつかったり、空き缶で滑って工事の穴に落ち、さらに百円玉を落としてしまったりと、いつも以上に不幸な目にばかりあってしまったのび太。ここまでくると、怖くて表を歩くことが出来ないと言うのび太に、ドラえもんは不注意な性格を直すべきだと説教するが、根負けしたので仕方なく「空中シューズ」を出してやる。これを履くと空中を歩けるようになるのだ。大喜びするのび太を見て、便利な道具を出したことを少し後悔するドラえもん。
 案の定のび太は空をのんびり歩いて、出木杉やスネ夫をからかったり、入浴中のしずかを覗いたり、ジャイアンをバカにしたりとやりたい放題だが、この道具でのび太が余計に怠けてしまうことを危惧したドラえもんは、「連発型不運光線銃」をのび太に当てる。
 するとのび太はヘリコプターやラジコンにぶつかりそうになったり、昇っていたたこの糸に絡まったり、打ち上げられた野球ボールを股間にぶつけたり、頭の毛が三本の変なオバケと空中衝突したりと、散々な目にあってしまう。
 傷だらけになって帰ってきたのび太にドラえもんは注意力をきちんと育てていくことを諭すが、いまいち釈然としない表情を見せるのび太であった。  

 (解説)今までありそうでなかった「空中を歩く」道具ですが、今話は道具よりもむしろ、のび太の不幸ぶりを見て大いに笑うべきでしょう。いろいろありますが、やはり白眉はQ太郎との共演?ですかね。この時期は頻繁に他作品のキャラが越境してきますね。足に絡まった凧のイラストで、パーマンもゲスト出演してるし(笑)。
強いペットがほしい   9頁 小二79年10月号
 のび太とジャイアンが歩いているところに、飼っているイヌを散歩させている友達が通りがかり、コンクールで優勝するほどのイヌだということを聞いたジャイアンは、珍しくお世辞を言ってイヌをほめる。しかしそれは、イヌや主人である友達の悪口を言うと噛みつかれそうになるからであった。
 事実を知ったのび太は強いペットをほしがり、ドラえもんにどこでもドアと桃太郎印のきびだんごを出してくれるよう頼む。のび太はアフリカへ行ってライオンを飼おうというのだ。話を聞いて仰天したドラえもんは猛反対するが、結局スモールライトで小さくして飼うという条件をつけて承諾する。ドアをくぐってアフリカへ行くと、なんとすぐ目の前にライオンが現れた。動転した2人は慌てて逃げてしまうが、きびだんごや猛獣ならし手袋も見つからず、やっとスモールライトを取り出して小さくし、ライオンを捕まえることに成功する。
 だがライオンは小さくてもやはり猛獣であり、のび太は指をかまれてしまう。部屋に連れて帰った2人は、天井裏でライオンを飼うことにし、「クリーナーロケット」で天井裏を掃除し、「ミニ植物」の種をまいたり「人工太陽」を上げたりして、アフリカとまったく同じ環境を作り上げた。一仕事終えたドラえもんはライオンのことは絶対に口外してはいけないとのび太に話すが、自慢したいのび太にしてみれば物足りない。例のイヌと出会った時にも思わずライオンのことを口走りそうになってしまう。
 ライオンを飼い始めてしばらく経ったある日の夜、いつになくライオンが騒ぐので天井裏を見てみると、なんとライオンはネズミに追いかけられていた。止むを得ずライトでライオンを元の大きさに戻し、ライオンはネズミを簡単に追い払う。そしてライオンはのび太になついてきた。いつしかライオンはのび太を友達だと思うようになっていたのだ。
 ライオンをアフリカに返すことにした2人は、最後に一度だけ一緒に夜の街を散歩するが、例のイヌが偶然その姿を見てしまったため、後日イヌはのび太の姿を見てすっかり怯えてしまい、それを見て一同は不思議がるのであった。  

 (解説)どこでもドアで簡単にアフリカにまで行ったり、天井裏にアフリカそっくりの世界を作り上げたり、ライオンと仲良くしたりと、ドラ世界を形成する「夢」の概念がこれでもかと詰め込まれた、盛り沢山の一編になっています。逆を言えばそのために突出した部分がないので、小ぢんまりした印象を与えることにもなってしまっていますが、ライオンから逃げたり捕まえたりする時の動的なシーンも含めて、見所の多い話になっていますね。
虫の声を聞こう   FF6巻 6頁 小五74年9月号
 夜、みんなに耳をすますように言うパパ。耳をすまして聞いてみるとかすかにすず虫の声が聞こえてきた。珍しがったのび太とドラえもんは取りに出かけるが、空き地へ行ってみると既にたくさんの人が虫を捕まえに来ており、人がいなくなった頃には虫は一匹も残っていなかった。
 帰路に着きながらそのことで愚痴を言う2人だが、そこに虫を空き地に放したという老人が現れる。老人の家に行った2人は、虫や花といった自然の物を自然の物として楽しむことが出来ない、貧しい心しか持たない人々の事を聞かされ、自身に振り返って身がちぢむ思いになる。
 2人はもう一度やってみることを提案し、残っているわずかな幼虫を育てるべくドラえもんは栄養剤の「アットグングン」を振り掛ける。2人は空き地に虫を話すが早くも虫を狙っている人間の視線を感じ、これ以上荒らされないためにと大量にアットグングンを振り掛けた。
 2人がいなくなるとすぐにジャイアン達が現れて虫を取ろうとするが、現れた虫は人間サイズの大きさにまで巨大化しており、仰天した2人は「安全地帯」と書かれた所へ逃げ込む。
 今度はなかなか虫の声がやまない。虫を捕まえに行った人たちは虫かごのような「安全地帯」に入って、ゆっくりと虫の声を聞く羽目になっていたのであった。  

 (解説)前半と後半でこのギャップは何(笑)?前半は「自然を大切にしよう」みたいな話だったのに、後半になって突然登場した巨大すず虫。虫を巨大化させた作品は数あれど、すず虫を巨大化させたのはドラが史上初ではないか(笑)?虫かごのような物の中で虫の声を聞くというオチがシュールでいいですね。あんなにでかいと音がうるさくてしょうがないだろ、という野暮な突っ込みはしないで下さいね。
ルームガードセット   8頁 小五84年3月号
 いつものように下校してきたのび太だが、玄関先で殺気を感じたために鍵穴から中を覗いてみると、ものすごい形相でママが待ち構えていた。タケコプターで部屋に入り、ドラえもんから事情を聞くと、机に隠しておいた0点の答案をママが見つけてしまったのだと言う。
 人のいない間に勝手に部屋を覗くというママの態度に怒ったのび太は、ドラえもんから強引に「ルームガードセット」を借りてしまう。レーダー、X線探知機、パスワード識別ロックと電撃銃を仕掛け、「ひらけドア」というパスワードをセットする。
 二階の様子に気づいたママがドアを開けようとするがドアは開かず、10分以内にパスワードを言うことができなかったために、ママは電撃を浴びてしまった。
 だがすっかり気を良くしたのび太は勉強せずに昼寝を始め、ジャイアン達をわざと呼び寄せて電撃を浴びせ、さらにはドラえもんが部屋を出て行ったスキにパスワードを変えてドラえもんまでも追い出してしまう。
 しかしトイレに行きたくなったのび太は仕方なく公園のトイレに行くが、帰ってきた時に早口言葉のパスワードをうまく言うことが出来ず、時間切れになって電撃を浴びてしまうのであった。  

 (解説)話の筋としては今までにも何度も登場した単純なパターンなのですが、今回はやけに「ハイテク」という言葉がぴったり来る道具が登場しているのが特徴ですね。自分の部屋を守るのにそこまでしなくてはいけないのか(笑)?勝手に部屋を覗いたママはともかく、何もしていないジャイアン達を呼び寄せて電撃を浴びせてしまうなんて、のび太もひどいことをしていますが、その分しっぺ返しもきちんと受けているわけで、オチにもカタルシスが感じられます。
きらいなテストにガ〜ンバ…   8頁 小五85年12月号
 明日のテストのために今日は必ず勉強すると誓うのび太。しかし試しにドラえもんがちょっと目を離してみると、例の如く昼寝を始めてしまう。
 教科書の内容の多さにウンザリしているのび太にドラえもんは「千里一歩はねぼうき」を使って、一ページを残してページを消してしまう。一ページ分を勉強したら次のページが現れる仕組みになっているのだ。だが改めて勉強を始めたものの、のび太はすぐに飽きてしまい、「元気の出るばくだん」を使ってみてものび太には効果なく、ついにドラえもんも見放してしまう。
 のび太が慌てて言い訳すると、今度は「心つきだししゅ木」を取り出して、のび太の「がんばり心」と「なまけ心」をつきだした。白の「がんばり心」が勝てばがんばり人間になることが出来、それは白の勝利を願うことで叶うのだ。しかしのび太の一瞬の心のスキに乗じて、黒の「なまけ心」が勝ってしまい、のび太は遊びに行ってしまう。
 完全に怒ったドラえもんだったが、負けても健気に勉強するがんばり心を見て、少しだけ和やかな気分になるのであった。  

 (解説)随分すごい道具ばかりが出てきますが(笑)、今話のテーマは「人間の二面性」ではないでしょうか。人間は誰でも「がんばり心」と「なまけ心」を持っており、どちらか一方だけになることは出来ない。でも、両方存在していると言うことは、そのどちらにでもなることが出来る。ラスト、一人で勉強をするがんばり心には、のび太にもまだ希望があるということを暗示しているのでしょう。そういう意味では今話のアニメ版は、少しありきたりではあったものの、原作の先の展開を描いたという点で良く仕上がっていると思います。



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