ドラえもんプラス2巻


変心うちわ   FF7巻 8頁 小五75年7月号
 ドラえもんとオセロに興じるのび太だが、ママはテスト勉強をするようにと注意する。しかしのび太が生意気な態度を取ったためにママも怒ってオセロの台をひっくり返してしまい、のび太も怒って意地になってしまう。ママはパパにも事情を話して二人で叱ろうとするがのび太も強情になって勉強をしないと言い張る。慌てたドラえもんはポケットからうちわを取り出してのび太を仰ぐと、のび太は途端に勉強を始めた。その姿を見て驚くママ。このうちわは「変心うちわ」と言って、これで扇がれるとコロッと気が変わってしまうのだ。
 再び扇がれたのび太は勉強をやめてうちわを持って出かけようとし、止めるドラえもんを扇いで気を変えてしまい、パパやママも扇いでしまう。のび太はスネ夫やしずかを誘って遊ぼうとするがみんな勉強をしているので、うちわで扇いで気を変えさせてしまった。
 空き地に集まった4人でのび太はかくれんぼをしようと言うが、みんなが反対するのでうちわで扇いでかくれんぼに同意させる。ところが隠れたみんなをのび太は見つけることが出来ず、あまりの暑さに思わずうちわで自分を扇いでしまったのでかくれんぼを止めてしまう。
 家に帰ってトイレに入ろうとするのび太だが、その際にも扇いでしまったのでトイレに入る気がなくなってしまう。のび太はママやドラえもんとスイカを食べるがおしっこを我慢できずに暴れまわるのび太を見て怪訝に思うドラえもん。すると今度はママがうちわで扇いでしまったので勉強のことを思い出し、さらにのび太が一人で帰ってしまったのでジャイアン達が怒って野比家に現れ、当ののび太はおしっこを漏らしてしまう。ムチャクチャになった結末に困惑するドラえもんであった。  

 (解説)たいして表情を変えずにどんどん扇いでみんなの気分を変えさせるのび太の姿は何か怖いですね。ラストの下ネタはもちろんですが、トイレに入る気がないにも関わらずおしっこは我慢できないので暴れまわるという姿がおかしくて笑えました。しかしママもあんなふうに怒ってはのび太が意地になるのも無理はないだろうな(笑)。
バッジどろぼう   FF2巻 10頁 小四73年7月号
 帰りが遅くなったので急いで家に帰るのび太。と言っても居残りさせられていたわけではなく、図書室で読書をしていたためである。部屋に入るとドラえもんはお菓子の空き箱で作った手製のカメラで庭の小鳥を撮影していたが、カメラを借りたのび太が窓から遠くを見てみると、空き地にみんなが集まって何かをしている。空き地へ行って聞いてみると、なんと友達がここに埋めておいたバッジが盗まれたのだと言う。
 興味津々ののび太だが、のび太の頭では良い知恵が出るはずもない。そこへジャイアンがムクを連れてやってきた。匂いをかがせて犯人を割り出そうと言うのだ。するとムクはなぜかのび太に向かって吠えかかってくる。ムクはいつものび太に吠えてくるのだが、今の状況では誰も信じてくれず、さらにその場に現れた他の友達が、先程のび太が慌てて空き地から飛び出していったと言い出したので、ますますのび太の立場は危うくなってしまう。
 そこへやってきたドラえもんは話を聞いて、事件が起きたと思われる4時ごろに取っていた写真を調べることにする。すると空き地で何かをしている人影が写されていた。だがそれを引き伸ばして見てみると、何とそれはバッジを掘り出しているドラえもん本人の姿であった。もちろん無実を主張するが誰にも信じてもらえない。
 そこで2人はタイムマシンに乗って犯人を捕まえに行くことにした。4時前頃について空き地を見張ることにするが、バッジがあるかを確認するためにドラえもんは一旦バッジを掘り出してみる。その時の様子がカメラに写されたのだ。それからしばらく見張っていたが、ドラえもんが急に大声を出して空き地を飛び出していったのでのび太も慌てて追いかける。この時の姿を友達に見られたのだ。だがドラえもんはドブネズミを見て飛び出しただけだったので、2人が空き地に戻ると、なんとムクがバッジを掘り出していた。
 証拠の写真を撮ってジャイアンに見せるがジャイアンは信用しない。しかしムクが靴をとっていくのを見かけた3人が後を追うと、ムクは別の場所にバッジや靴など色々な所から取ってきたものを貯めこんでいた。それぞれ自分のものを取り返したみんなが喜ぶ傍らで、ムクを叱りつけるジャイアンであった。  

 (解説)この手のタイムパラドックスネタでは、「過去に戻ったのびドラがとって行ってしまったから、現在で物がなくなった」という展開になることが多いのですが、今話ではそういう展開ではなく、純粋な犯人探しになっています。のび太が図書室にいたために帰りが遅くなったり、ドラが作ったカメラで犯人の証拠写真を撮ったりと、細かい所で伏線がきいているのも好印象ですね。
ゾクゾク線香   FF10巻、CC3巻 6頁 小三74年8月号(こわあい!ゾクゾク線こう)
 夏の夜、庭でパパから怪談話を聞かされたのび太とドラえもんは怖がって靴を履いたまま家に逃げ込んでしまう。パパに笑われた2人は仕返ししようと「ゾクゾク線香」を出した。この煙をかぐとむやみに怖くてたまらなくなり、些細なことでも必要以上に怖がってしまうようになるのだ。
 しかしその煙を浴びせてもパパはまったく動じず、逆にうちわで扇がれて2人が煙をかぶってしまう。するとどこからか生臭い風が吹いてきて、のび太は人魂らしき光を見つけるがそれはお巡りさんの懐中電灯だった。しっかりするようドラえもんは言うが、そのドラえもんもネズミを見て驚いてしまい、さらにテレビから聞こえてきた幽霊の声に仰天した2人はまた靴を履いたままで駆け上がってしまう。
 まったく動じないパパを見て降参した2人はスイカを食べた後に寝る事にする。そして夜中、どこからか聞こえる話し声で目を覚ました2人は一階に降りてみる。そこではママが雨が降ってきたにも関わらずまだ外にいたパパを呼んでいたが、実はパパは先程から腰が抜けてしまい、動くことが出来なかったのだった。  

 (解説)全体的に見所がなく、こじんまりとした印象を受けますね。ラストのオチは笑えると言えば笑えますが、ちょっと意味がわかりにくいのが難点でしょうか。強いて見所を挙げるとすれば、のびドラの驚きっぷりでしょうかね。
身代わりテレビ   10頁 小四90年7月号
 夏休みが近いある日、例によって四畳半島のスネ夫の別荘へ連れて行ってもらえないのび太だが、しずかがかばってくれたのでのび太もめでたく一緒に行く事が出来るようになった。喜ぶのび太はその日を心待ちにするが、当日になってのび太はなんと高熱を出してしまい、旅行に行けなくなってしまった。
 さすがに不憫に思ったドラえもんは出発しようとするしずかに「身代わりテレビA」を渡し、のび太に「身代わりテレビB」をかぶせる。するとAの方にのび太の顔が繋がり、みんなを見る事が出来るようになった。
 別荘についたしずか達は水着に着替え始めるが、ドラえもんに叱られたのび太はしずかの着替えをのぞかず、しずか達3人は海で遊び始める。それをうらやましがるのび太のためにドラえもんがBの方のボタンを押すと、Aの方に手足が生えて自由に動けるようになった。しかし本人が泳げないのでやはり泳げず、超伝導推進でようやく泳げるようになった。
 競走を始めた3人を見たのび太はしずかを海中から後押ししてものすごいスピードを出させ、ジャイアン達だけでなくしずか自身も驚かせてしまう。
 その後ものんびりとリゾート気分を満喫するが、スネ夫の両親が急用で帰ってしまったためにジャイアンが勝手に遊びだし、さらにはリサイタルまでやり始めた。しずかやスネ夫に同情したのび太はちょうどジャイアンの母ちゃんが家の前に来ている事を知って、母ちゃんにBのテレビをかぶってもらう。Aのテレビから聞こえてきた母ちゃんの声に震え上がるジャイアンであった。  

 (解説)ラストのオチ自体は非常にお約束で、大山ドラ末期のアニメにでも使われそうなものですが、それでもこの充実感の違いは一体なんでしょう(笑)?優しいしずかと不幸なのび太はもちろんの事、しずかと宿題をやろうとする優等生ぶりを久々に発揮するスネ夫や、逆にジャイアンは傍若無人ぶりを発揮していたりと、各人の個性をきちんと描いているが故の事でしょうね。それにしても、40度も熱を出していたのにのび太は元気だねえ(笑)。
ドロン巻き物   FF6巻 4頁 小三76年5月号(ドロンまきもの)
 何か熱心に議論しているのび太とママ。そんな2人の様子を見たドラえもんは、よほど重大なことで議論しているのだと推察する。ところがのび太の屁理屈にとうとうママが怒り出してしまい、のび太は庭の茂みに隠れてしまう。
 ドラえもんが理由を聞いてみると、2人はなんとお風呂に入るべきか否かでもめていたのだと言う。のび太の風呂嫌いに呆れてしまうドラえもんだが、のび太にしてみれば、親だからと言って何でも子供に言うことを聞かせようとする態度が気に食わないらしい。だから捕まらないための道具を出してもらおうとし、ドラえもんは仕方なく「ドロン巻き物」を出した。この中から出る煙を浴びると姿が消えるのだ。
 透明になったのび太は早速ママにいたずらをして風呂に入らないことを告げるが、その時ドラえもんと偶然ぶつかってしまい、落とした弾みで持っていた巻き物が壊れてしまい、煙が大量に噴出してしまった。何も見えなくなって3人は混乱するが、そのうち誰か1人がどこかに落ちてしまう。煙の効き目が消えたので周囲を見るとのび太は水を張った浴槽に落ちてしまっており、こうなるなら始めから入っていれば良かったと呟くドラえもんであった。  

 (解説)今話の注目点はのび太の意外なガンコさと言う所でしょうか。「風呂嫌い」という設定は今話限りのものですが、今回ののび太はかなり強硬にママに反発しており、その気持ちの強さが伺えます。「親が子供を言い聞かせる」とか言う理屈はのび太お得意の理由転嫁だと思いますが(笑)。反面、道具があまり目立っていないのが残念でした。
なぐられたってへっちゃらだい   FF13巻 9頁 小一77年3月号
 ジャイアンが大声で泣き喚きながら歩いてきた。一体誰がジャイアンをあれほどまでに泣かしたのか不思議がるみんなだが、そこにその当人である「げんこつげんごろう」が現れた。スネ夫によると隣町のすごい暴れん坊で、その力は土管も粉々にしてしまうほどだ。
 早速食べ物を持ってくるように命令されたのび太たちだが、ドラえもんは逆にやっつけてしまおうと「がんじょう」を出した。これを飲むと体が鉄のように固くなるのだ。試しにバットで叩いてみても逆にバットが折れてしまい、調子に乗ったのび太はパパの大工仕事を手伝って釘を打ち込んでみるが、途中で体が元に戻ってしまう。薬の効き目は10分だけなのだ。
 薬の数が少ないのでムダに飲まないようにドラえもんは注意するが、スネ夫に会ったのび太は、その力を自慢するために早速一個飲んでしまい、空き地に到着する寸前に改めて薬を飲もうとする。ところが誤って薬を落としてしまい、見つけることが出来ないので仕方なく最後の一個を飲むことにする。
 しかし空き地に行ってみるとげんごろうはのび太を探しに出かけてしまっており、薬の効き目が切れる前にとみんなはげんごろうを探す。しかしその甲斐もなく効き目は切れてしまい、すっかり弱気になって逃げ帰るのび太の前にげんごろうが現れる。
 逃げるのび太だが石につまづいて転んでしまい、絶体絶命のピンチに陥ってしまうが、その時先程落とした薬を見つけ、げんごろうに殴られる寸前に薬を飲んだのでげんごろうの方が逆に痛がってしまい、泣きながら帰っていくのであった。  

 (解説)最初期にも登場している「がんじょう」の再登場バージョンです。ストーリー構成は「空手ドリンク」や「ジークフリート」とほぼ同じものなのですが、制限時間の設定と伏線を用いた展開のために、動きのある展開になっています。オチに意外性がないのがちょっと残念ですが、あまり問題になるようなことではないですね(じゃあ書くなっての)。
光ファイバーつた   10頁 小六86年6月号
 ママの目を盗んでしずかの家へ行ったのび太だがしずかは留守だったため、仕方なく昼寝しようと裏山へ向かうも、以前からの悪天候の影響で地面がぬかるんでおり、とても昼寝どころではない。本屋も閉まっていたり空地ではジャイアンが暴れていたりと、他に落ち着ける場所もなく、さらにとばっちりを受け、のび太もジャイアンに殴られてしまう。
 疲れ果てて帰宅したのび太は、家にいながら目的地の様子を探れる方法はないかとドラえもんに相談し、ドラえもんはそれに応えて「光ファイバーつた」を出してやる。チャンネルプレートをどこかに貼ると、そこまで光ファイバーで出来たつたが伸びて、カメラのようにそこを映し出すことが出来るのだ。早速色々な所に付けに行くのび太だが、ドラえもんは何故か複雑な表情を見せる。
 空地や友達の家にチャンネルシールを貼って戻ってきたのび太はママに叱られてしまい、慌てて宿題をするために出木杉の机の上を映すが、もう既に出木杉はいなかった。しかし情報を記録できる球根の力で過去の映像を映し出し、どうにか宿題を見ることが出来たのび太だったが、今日に限って説教も注意もせず、やけに協力的な態度を取るドラえもんを不思議がる。しかしドラえもんはのび太のその疑問をうまくかわすだけだった。
 宿題を終えたのび太はしずかの家へ遊びに行くが、その時ママが部屋にやってきた。実はママはドラえもんにのび太の居場所が分かる道具を出すよう頼んでおり、ドラえもんはそのために光ファイバーつたを出したのだ。ママが突然しずかの家に電話してきたことを聞いて、気味悪がるのび太であった。  

 (解説)今話の特徴は、ママが積極的にドラの道具を利用しようとし、ドラもそれを承知の上でのび太に協力しているところですね。「光ファイバー」という当時最新の技術を早くも採用しているところもさすがです。
いやな目メーター   FF4巻 6頁 小五74年5月号
 今日もまたママから長いお説教を受けてしまったのび太はその愚痴をドラえもんに話そうとするが、ドラえもんはなぜか邪険な態度を取ってくるので、のび太はさすがに怒り出してしまう。その時ドラえもんはすかさずポケットから小さな機械を取り出して、その上で自分を怒るようのび太に言う。のび太が怒るとそのたびに機械が音を立てるが、次第に怒る気が失せたのび太は怒るのを止めてしまう。
 がっかりした様子で機械の中からお金を取り出したドラえもんはドラやきを買いに行こうとするが、のび太に道具の事を聞かれたので「いやな目メーター」の説明をする。持ち主が嫌な目にあうとそれに応じた金額が出てきて持ち主を慰めてくれるのだ。のび太は早速借りたがるので、ドラえもんは壊れやすいので注意するよう言った上で貸してやる。
 ところがドラえもんは理由もなくのび太を怒るはずもなく、ママやジャイアンに怒られようとしてもなぜかこういう時に限って機嫌が良い。そこでジャイアン達をモデルにした落書きを描くが、先に落書きを描いた塀の家の人にぶたれてしまう。早速メーターを確かめようとするのび太だが、ぶたれた弾みで落とした際に壊れてしまっていた。
 更にそれからジャイアン達が落書きを見つけて怒り出し、メーターが壊れたと知って怒るドラえもんを見て、壊れる前に怒ってほしかったとのび太はぼやくのであった。  

 (解説)のび太の不運さが全開になっている話です(笑)。道具を貸す時にドラも壊れやすいとは言っていましたが、まさかこれがストレートに伏線になるとは思いませんでした。劇中では「落としたために壊れた」という明確な描写はありませんが、落としたくらいで壊れるんなら大した機械じゃないですね(笑)。道具としては「お年玉ぶくろセット」に近いですね。
地球脱出計画   FF6巻 10頁 小五77年5月号
 部屋で慌てながら荷物をまとめているのび太。ドラえもんが聞いてみると、のび太は引っ越しをすると言って一冊の本を差し出した。それは「滅亡する地球」という本で、地球環境の激変によって地球は滅びるという衝撃的な内容が書かれていた。のび太はそれで逃げようとしていたのだが、逃げ場自体がないことに気づいて落ち込んでしまう。
 ドラえもんはそんなのび太の杞憂を払うように明るくとりなすが、それでものび太は逃げ場だけでも準備しておこうと提案し、ドラえもんは適当に星を選んで住めるように改造することにする。
 どこでもドアで早速行こうとするが、星には空気がないため2人は思わず吸い込まれそうになってしまったので、ドラえもんは「固形空気」を星に投げ入れる。固形空気が溶けた頃を見計らって星に行ってみるが、その星は直径300メートルほどの小さな星だった。2人は一回りしてみることにするが、のび太が何気なくジャンプすると重力が小さいために星を飛び出しそうになってしまう。
 早速2人は星の改造に取り掛かり、家から水を引いて小さな海を作り、それに伴う二つの大陸を作り上げた。「ミニブルドーザー」を使って丘を作ったり小川を作ったりするが、その時急に辺りが暗くなってきた。自転速度が速いので3時間ほどで一日が経ってしまうのだ。家から電気を引くことにして、さらに空き地から木や雑草を持ってくる。とりあえず星の環境を整えた2人は朝日の下でラーメンを食べようと家からガスを引いてくるが、騒ぎを聞きつけたママが見てみると2人は土足で家を歩き回ったので部屋中が泥だらけになっていた。
 ラーメンを食べる2人だが、なぜか次第に暑くなってきた。太陽を見てみるとどんどん星の方に近づいてくる。この星は極端な楕円軌道で太陽の周りを公転しており、そのため太陽に近づくとものすごい熱さになってしまうのだ。草が燃え始めてきたので2人は慌ててどこでもドアで逃げる。しかし家に戻ると家を汚したことでママに叱られてしまい、怖がった2人はどこかへ引っ越そうと荷物を持って逃げるのであった。  

 (解説)F先生の豊富な科学知識に裏打ちされて作られた佳編です。ですが「しあわせのお星さま」と比べると展開に波がないので地味に見えてしまいます。そこらへんが未収録になった要因でしょう。「星に引っ越す」という壮大なテーマが最後には「ママから逃げるために引っ越す」というミニマムなものになってしまうというオチは面白いですけどね。
命れいじゅう   8頁 小二83年4月号(めいれいじゅう)
 突然取り出した銃をのび太に突きつけるドラえもん。冗談と思いつつも慌てて逃げるのび太だが、ドラえもんは構わずに銃を撃ってしまう。すると撃たれたのび太は急にやりたくもない宿題をやり始めてしまった。ドラえもんの使った銃は「めいれいじゅう」であり、誰かに何かをさせたい時、命令を書いた紙を込めた弾を撃ち、当たった人間はその命令を忠実に実行してしまうのだ。
 どうにか宿題を終えたのび太は一度だけと言う約束で道具を借りるが、道具をのび太にやるという命令をドラえもんに実行させ、強引に道具をもらってしまう。
 その後ものび太は頼まれた草むしりを無理やりママにやらせたり、強引にしずかを遊ばせたり、そこらのイヌやネコにダンスを踊らせたりするが、しずかは強引な方法を嫌って帰ってしまう。
 懲りないのび太は続いてジャイアン達に無理やり謝らせて楽しむが、ドラえもんからママがカンカンに怒っていることを聞き、さらにジャイアン達に草むしりをやらせようと企む。しかし2人を狙って撃った弾はそれて通りがかった先生に当たってしまい、先生が草むしりをする羽目になってしまうのであった。  

 (解説)今話のナイスキャラは間違いなく先生で決まり(笑)。ラストで唐突に現れて、おいしいところを完全に持っていってしまいました。その後の展開を敢えて描いていないところも、読者に想像させる楽しみを与えていて好感が持てますね。
ユメかんとくいす   10頁 小四86年4月号
 登校途中、みんなに元気よく挨拶するスネ夫。あまりの元気の良さにのび太達は不思議がるが、スネ夫は毎晩いい夢を見るので朝は気分がいいと話す。その夢の内容があまりに自分勝手なのでのび太達は怒るが、他人の夢のことなので文句も言えず、それでも何とかしたいとドラえもんに相談する。ドラえもんも最初は相手にしなかったが、スネ夫が自分の事まで夢に見ていたということを聞いて怒り出し、「ユメかんとくいす」を出した。これに座ると人のユメに干渉することが出来るようになるのだ。
 夜になって「ユメスクリーン」を張り、「ユメプロジェクター」を調節してドラえもんはスネ夫の夢を映し出した。夢の中ではスネ夫が人が乗れるほどのラジコンを作り上げ、しずかだけを乗せてのび太を乗せないでいた。そこで早速カットしてのび太がラジコンを作った事にするが、スネ夫は1秒で別のラジコンを作って後を追いかける。しかも夢ののび太が余計な事を考えてしまったために、ラジコンは無人島に墜落してしまった。そこへカッコよくスネ夫が駆けつけたので、これもカットしてのび太をその役にするが、またのび太が余計な事を言ったために一気に怖い島へと変貌してしまい、現れたゴリラに驚いた夢ののび太はスクリーンから飛び出して逃げてしまう。
 その後を追いかけるドラえもんだがその間にもスネ夫はターザンになってゴリラと戦いだした。ドラえもんは夢ののび太に「ターザンパンツ」を貸すが、2人が戻ってくるととっくにスネ夫がゴリラを倒しており、しずかと一緒に島から脱出した後だった。夢と現実、二つの世界で困り果てる二人ののび太を前に、呆れて物も言えないドラえもんであった。  

 (解説)大筋は「ゆめはしご」と一緒なのであまり新味はないのですが、夢ののび太が現実世界に飛び出してくるあたりのナンセンス性はいかにもドラ世界らしいものでしょう。ちなみにスネ夫が見た都合のいい夢とは、いじめられるのび太を助ける、プロ野球選手になる、アイドルタレントになる、壊れたロボット(ドラ)を修理する、と言ったものです。個人的には壊れたドラの姿が笑えますね。
全体復元液   10頁 小三89年11月号
 うら山の道路工事のあとの崖を掘って見つけたという化石をのび太達に見せる出木杉。出木杉はもしかしたら今まで見つかっていない恐竜の化石かもしれないと話し、また掘りに行くと言うが、のび太は反対するも一応掘りに行く事にする。
 家ではドラえもんがお客用のドラやきを食べてしまってママに叱られていた。そこでドラえもんは「全体復元液」を出してドラやきのかけらに液をかける。するとドラやきは完全に元の形に戻ってしまった。驚いたのび太もマンガやおもちゃを復元してもらい、さらに名案を思いついて出木杉の家に向かう。のび太は出木杉に再び見せてもらった化石をわざと落として、欠けた破片に液をかけてジェットモグラを使って裏山に埋めてしまう。こうする事で化石を丸ごと掘り出そうというのだ。
 一旦家に帰った2人は庭掃除を言いつけられ落ち葉焚きを始めるが、よく燃えないのでママから広告のチラシをもらい、ついでにのび太は0点の答案も燃やしてしまう。ところがママはパパからの電話でチラシの裏に大事なメモがあったことを聞いて慌てて火を消すが、既にほとんど燃えてしまっていた。そこでのび太は液を灰にかけてすべて元に戻すが、同時に0点の答案も元に戻ってしまったので夜まで叱られる羽目になってしまった。
 化石掘りは翌日に行く事にしたのび太だが、テレビのニュースを見るとなんと出木杉が化石を発見したというニュースが流れており、のび太は泣いて悔しがるが、元々出木杉の化石だったのだからしょうがないと諌めるドラえもんであった。  

 (解説)全体としては以前にも何度か見かけたことのあるパターンの話なのですが、ラストの展開にはやはり作者の夢がこめられているのでしょうね。他にはドラやきを復元したシーンでさり気なく来訪しているお客の事も描いており、なかなか丁寧な作りになっています。のび太が灰に液をかけてしまったときのドラの慌てた表情が面白いですね。
スーパージャイアン   FF21巻 7頁 小三79年4月号(もしもジャイアンがスーパーマンになったら)
 物干しにマントが干してあるのを見つけたのび太は、スーパーマンになれるマントだと思い込み、着てみることにするが、ドラえもんに取り上げられる。それでものび太はすぐにマントを取り返してドラえもんから逃げるが、そこに現れたジャイアンにマントを着られてしまう。
 だがドラえもんはこのマントは安物なので強くなることは出来ず、笛を使わないと空を飛ぶことも出来ないと説明する。それでもスーパーマンになれたと上機嫌のジャイアンは、みんなに笛を配って用事があれば呼ぶようにと言って去っていった。悔しがるのび太だがドラえもんはうらやましがる事はないと話す。
 2人はみんなに笛を配るが、何も事件がないので誰もジャイアンを呼ばず、のび太は電話でジャイアンに怒られてしまう。慌てて外に飛び出すと今度はそのことで同じく文句を言われたスネ夫がのび太を逆恨みして文句を言いに来たので、のび太は笛を吹いてジャイアンを呼び寄せ、スネ夫をやっつけてもらう。それからみんなもせっせとジャイアンを呼ぶようになり、とりあえず安心するのび太だが、ドラえもんはそのうちウンザリしてくると話す。笛を吹かれると自分が何をしていても飛んでいってしまい、しかも百回仕事をこなすまではマントを脱ぐことが出来ないのだ。
 その通りにジャイアンは食事中やお風呂に入っている時、雨の降っている中にも呼ばれてしまい、そろそろ文句を言いに来る頃だとドラえもんは察しをつける。その通りにジャイアンは2人に文句を言いに来たので、ドラえもんは慌てて笛を吹くとジャイアンは一回飛び上がって「スーパーマン」として降りてきた。2人はジャイアンをやっつけるよう頼み、「スーパーマン」は「ジャイアン」でもある自分を殴り始めてしまう。その様子を見て2人はこの後どうするべきか悩むのであった。  

 (解説)未来道具の持っている性能そのもののために迷惑をこうむるという、「百苦タイマー」のような話ですね。厳密に言うとこれはスーパーマンではなく、ただの便利屋に成り下がっているところがまたおかしいですね。ラストのオチもナンセンス性が溢れていて面白いです。
夢中機を探せ   FF5巻 6頁 小二74年11月号(「むちゅうき」をさがせ)
 またママに宿題のことで注意されたのび太は渋々宿題を始めるが、すぐにわからなくなって飽きてしまう。それでも参考書で調べようとするがまだ読んでいないマンガを見つけてそちらに夢中になってしまい、またママに叱られてしまう。次に何気なくほじった鼻くそを電球に投げてみると命中したので、のび太は「鼻くそダーツ」の練習を始めてしまい、更にきつく叱られてしまった。
 事情を聞いたドラえもんは一つのことに集中しなければいけないと言って、どんなことにでも夢中になれる「夢中機」を出してやることにする。ところがどこにしまったかわからないので探すのに手間取ってしまい、ようやく出したと思ったらそれは「じゃんけん練習機」だった。その名の通りじゃんけんを練習する機械でドラえもんはジャンケンを始めてしまい、道具探しを中断してしまう。
 改めて夢中樹を探すがどうしても見つからず、ポケットから出した道具で部屋は一杯になり、更にのび太にも道具を持ってもらった上に頭にまで道具を乗せてしまう。
 その時ドラえもんは偶然「空気クレヨン」を取り出した。ずっと以前に遊んだことのあるこの道具を思い出したドラえもんはのび太のことをすっかり忘れて外に遊びに行ってしまい、しずか達と一緒に楽しく遊ぶ。
 すっかり陽も暮れた頃に帰ってきたドラえもんは晩御飯を食べるが、その時ママに聞かれてようやくのび太のことを思い出し、慌てて部屋に駆け込む。まだ道具を持ったまま立ちっぱなしだったのび太は『夢中機が出てきたらドラえもんが使え』と言って泣き叫ぶのであった。  

 (解説)目的の道具が出てこない話として有名な今話ですが、それ以外にも初出時ではドラがじゃんけん練習機で普通に(手をパーやチョキにして)じゃんけんをしていたというところも結構知られていますね。のび太にえらそうに説教しながらも、実はドラはのび太と同レベルだったという展開が面白いですが、ラストののび太は結構悲惨なので素直に笑えませんね(笑)。後年の某百科で一世を風靡?する「鼻くそダーツ」の原典としても記憶しておくべきかもしれません(笑)。
呼びつけブザー   FF5巻 8頁 小五76年10月号(よびつけブザー)
 部屋でオセロをするのび太とドラえもんだが、そんな時一階からママがのび太を呼び出した。夢中になっているのび太はママが来るようにと言うが、ママの方が怒り出してしまったので仕方なくママの所に向かう。しかしママの用事とは今日の曜日を確かめるだけという下らないものだった。あまりにもつまらない用で人を呼びつけることに文句を言う2人。
 そこへまたママが呼びつけてきたため、ドラえもんは「呼びつけブザー」を出し、スイッチを押しながらママを呼んだ。するとママが部屋にやってきて晩のおかずは何がいいかと聞いてきた。このブザーを使うとどこで何をしていても呼ぶことが出来るのだ。のび太はもう一度今度は遊びでママを呼びつけて笑い、ママがパパに晩のおかずの事を聞こうとしているのを知ったのび太はパパをブザーで呼んでしまう。
 ドラえもんに必要な時以外は使うなと注意されるが、それでもすぐにしずかを呼んでしまう。だが勉強中ということでしずかは帰ってしまい、残念がるのび太はもう一度しずかを呼んでトランプをすることにし、人数を集めるためにジャイアンとスネ夫も呼ぶが、ジャイアンは食事中、スネ夫は入浴中だった。その上3人にブザーの事を知られたのび太はジャイアン達にブザーを取り上げられてしまう。
 ブザーで呼ばれたら逆らうことが出来ないのでのび太は呼ばれるままに連れて行かれ、うまく誘導されて工事中の穴に落っこちてしまう。今度は夜中に呼びつけるというので、仕方なくドラえもんはのび太の動きを封じるために布団でぐるぐる巻きにするのであった。  

 (解説)「ドラえもんに休日を!」に登場しているせいで名前だけはやけに知られている「呼びつけブザー」ですが、ここまで理不尽な道具だとは思いませんでした(笑)。能力的には「出前電話」と同じようなものですが、「出前〜」の方と比べると強烈なシーンなどがないので見劣りしてしまいますね。ただ「布団でぐるぐる巻き」というやけに原始的な方法を取って対抗するラストのオチは個人的に好きですね。
大きくなってジャイアンをやっつけろ   FF5巻 10頁 小四73年2月号
 ジャイアンと口論になってしまったのび太は謝罪を強要されて思わず謝ろうとするが、そばにいたドラえもんが割り込んでジャイアンを非難したのでジャイアンは怒り出してしまう。とりあえず逃げ帰ってきた2人だが、ドラえもんは以前に使った「けんかマシン」を出すことにする。しかし出てくるのは「自動はなくそとり機」だの「しゃっくりどめびっくり箱」だの「夜間ふとんの中からおしっこできるホース」だのと関係ないものばかり出てきて結局見つからず、やむなく「きずぐすりつき自動まきほうたい」などを出す始末。諦めたのび太は謝りに行こうとするが、ドラえもんは男ならケンカするくらいの勇気を持つように激励する。しかし情けないのび太は自分は女などと言うので、ドラえもんは一計を案じる。未来の世界へ行って中学生ののび太を連れてきてケンカしてもらおうというのだ。
 3年後の世界につくとそこは真っ暗だったが、新しい机を買ったようで古い机は物置に入れられていたのだ。部屋に行って中学生ののび太と出会った2人は早速相談するが、中学生ののび太も何か困っているらしく、2人の相談を相手にしない。さらに姿をくらましてしまったので2人は仕方なく現代に帰る。ジャイアンはのび太を殴れないので苛ついていたが、のび太は遂に決心して負ける覚悟でジャイアンの下へ向かう。するとそこには中学生ののび太がいた。3年後の世界に行くつもりで間違えて3年前の世界に来たらしいが、これ幸いと2人はジャイアンをやっつけてもらうことにする。しかしそこに現れたのはジャイアンが大きくなったかのような大人だった。大学生になった自分を連れて来たと考えた二人はとにかく中学生ののび太にケンカしてもらうことにするが、ぶつかった時に押された弾みで吹っ飛んでしまう。
 中学のび太は帰るが、とりあえず決着はついたと安心する2人。しかしそこにジャイアンが現れのび太を殴ろうとする。さっきの大人はジャイアンの従兄弟だったのだ。また3年後に向かう2人だが、そこでは中学のび太が中学ジャイアンとのケンカに勝つために大学生ののび太を連れて来ているところであった。  

 (解説)「何年経ってものび太は変わらない」というテーマの基本みたいな話ですが、基本すぎて突出したシーンがないために地味な雰囲気になってしまっているのが残念ですね。それでも「ペタンコアイロン」などに出演しているジャイアンの従兄弟が初登場(別人かも?)したり、のび太をやたらめったら情けなく描いたりと、笑えるツボは押さえていると思います。
月給騒動   FF2巻 10頁 小六73年10月号
 朝から何かを懸命に探しているパパとママ。話を聞いて見ると、なんとパパが月給袋を落としてしまったと言う。のび太達も慌てるがパパはなぜかのび太達に袋を預けた気がすると言いだし、このままでは埒が明かないので警察に届けることにする。
 2人は昨晩のパパの行動を調べるためにタイムマシンで夕べに向かい、パパが課長と酒を飲んだガード下のおでん屋を見張る。だがパパ達はいつまでもおでん屋から出ようとしないので2人は寒くなってしまい、体を暖めるためにマラソンをした時に犬の尻尾を踏んでしまったので2人は犬に追いかけられてしまう。
 2人が戻ってみると既にパパ達はいなくなっており、さっきの犬が再び誰かを追いかけているのを横目にしながらパパを追う。だがパパは更に居酒屋を回ろうとするのでドラえもんはママの顔をテレビ中継してパパに見せ、仰天したパパは飛んで帰っていく。
 しかしもう既に月給は持っていなかったので、2人はもう一度タイムマシンで過去に戻って、今度はパパから月給を預かることにする。しかしパパに怪しまれたので慌てて逃げた拍子にまた犬の尻尾を踏んでしまい、慌てて逃げる最中に月給袋を落としてしまった。
 だがそれは偶然そばにいた警官が拾っていたので、警察に行ったパパは無事に月給を取り戻したのだが、落としたのが2人らしいということを聞いて首を捻るのだった。  

 (解説)これまたタイムパラドックスの定石のような話ですが、その代わりに今話は突出した面白みがないのが残念でした。「月給袋」というネタが時代を感じさせますね。なんとなくですが、この話がてんコミに収録されなかった理由がわかるような気がします。
人間プログラミングほくろ   8頁 小三86年1月号
 なにやら机に座って計算しているのび太を見て、宿題でもしているのかと考えるドラえもんだが、のび太はいろんな予定に費やす時間を計算していたのだ。しかしまったく時間が足りないということがわかってのび太は困り果ててしまい、挙句にのび太は一切をやめて遊びに行ってしまう。途中でのび太はしずかに出会うがしずかはスネ夫の家に行く途中だった。3時ピッタリに来れば面白いものを見せると言われたらしい。
 のび太も一緒に行く事にして3時ちょうどに入ってみると、中からは小さなロボットが出てきてしずかを中に案内した。のび太はラジコンではないかと考えるが、しずかはこのロボットは命令をプログラミングされて動いているのだと説明する。それをうらやましがったのび太は早速ドラえもんに頼み込み、ドラえもんは「人間プログラミングほくろ」を出した。これを使うと人間を命令通りに動かす事ができるのだ。
 早速のび太は宿題、お使い、草むしりの用事を行う事にするが、さすがに一人にすべてを任せるのは大変だと考え、「かたづけラッカー」で姿を消してジャイアンに草むしり、スネ夫にお使い、出木杉に宿題、そしてしずかと自分は一緒に遊べるようにほくろをつけた。しかし夜中にみんながやってくるとのび太はほくろをつけ間違えたようで、ジャイアンが宿題、のび太がお使い、スネ夫が草むしり、出木杉としずかが遊ぶようになってしまった。やがて仕事も終わってみんなは帰り、のび太もヘトヘトになって帰ってきた。
 しかし翌朝目覚めたのび太はしずかと遊んだと思い込んでおり、当人がそう思っているなら別にいいだろうと秘密にしておく事にするドラえもんであった。  

 (解説)終盤の展開は十分予測できてしまうんですが、それでも笑えてしまうのはやはりF先生の筆致によるものなんでしょうね。のびドラの表情や動作の随所に魅力が感じられる一編です。のび太がロボットを動かしたいと頼んだ時に、自分もロボットであるドラが自分の事を自慢するところも、別に大した部分ではないのですが笑えてしまいますね。
ピンチランナー   10頁 小五、六90年1月号
 今日も遅刻しそうになったのび太は持っていたタケコプターを使うが、そのタケコプターが電池切れのために止まってしまい、のび太は落っこちてしまう。
 ずるをしてはいけないと説教するドラえもんだが、のび太に泣いて頼まれたので仕方なく「ピンチランナー」を出してやるが、その時に入れ物を逆さにして出したために、道具が散らばってしまった。全部集めた所でドラえもんは改めて道具の使い方を教え、のび太の靴につけてのび太の身代わりを作る。道具のついた靴を動かして先に行かせ、のび太もモニター画面を持ってその後を追う。靴は先に教室に入り、のび太はピンチランナーを通して出席の返事をし、何とか先生をごまかす事に成功した。しかしジャイアンとスネ夫は、後から教室に侵入してきたのび太を怪しむ。
 翌日、のび太はまた遅刻しそうになってしまうが、昨日散らばった際に密かに手に入れておいたピンチランナーを使って、また靴を先に行かせてしまう。だが今度はジャイアンに見つかってのび太は先生に叱られてしまい、先生は家庭訪問をすることにしてしまう。ドラえもんにも相談できずに悩むのび太はウソをついてママとドラえもんを家から追い出し、さらに道具を使ってジャイアン達に仕返しをしてしまう。
 だがやって来た先生はママの帰りを待ち始め、さすがにのび太も参ってしまった。一方、ウソだと知ったドラえもん達は衛星テレビでのび太の様子を調べ、怒った2人はピンチランナーをママに靴につけ、仕方なく帰ろうとしていた先生を引き止めるのであった。  

 (解説)もうこの時期になると、のび太がタケコプターを持っているのも日常的なことになっており、それを前提とした物語作りがなされています。伏線の張り方も今までに比べるとあからさまに表現されていますが、無理なく消化されています。ママたちが出かけたアパートの名前で「小羽急」なんて名前を使ってくれるところが、オールドファンには嬉しい所ですね。
ペットペン   8頁 小三84年1月号
 またペットを飼うことをママに断られてしまったのび太。ドラえもんは断られたのはこれで100回目だと茶化すが、のび太を慰めるために「ペットペン」を出してやる。紙に動物を描くとそれがそのままペットになるのだ。早速のび太はイヌを描くが、元々下手くそなので失敗してしまい、すいとり紙で消してから今度は図鑑を見つつコリーを描き上げる。
 甘えるイヌにエサをあげようとするのび太だが、のび太の絵が下手なのでドッグフードのつもりで描いた絵も石ころになってしまい、当然イヌはそれを食べようとはしない。そこで仕方なくドラえもんが骨付き肉を描いて食べさせてやる。部屋にやってきたママも紙だということでさすがに買うことを承諾するが、イヌは飼い主ののび太に似てグータラで、しかもおしっこを家の中でしたりママを追いかけ回したりして、家中で騒ぎを起こしてしまう。
 それでものび太は訓練して芸を覚えさせようと外に連れて行ってボールを取らせるが、イヌはボールを見失ってしまう。しかもネコにいじめられたイヌは怖がって家に帰り、そのまますいとり紙に入ってしまった。ダメなペットになってしまった原因をペンのせいにするのび太はペンをしずか達に貸してみるが、みんなの描いた動物は大変よく飼い主になついているので、それを見たのび太は泣いて悔しがるのであった。  

 (解説)今話でものび太の変わらぬ間抜けぶりを見ることが出来て楽しいですね(笑)。のび太も動物に好かれる時は好かれるのですが、嫌われる時はとことん嫌われてしまうようで、話としては「はいどう手づな」に雰囲気が似ています。イヌ(ラッシーと言う名です)のおしっこがサインペンで描かれたのと同じものと言う設定が芸コマですね。
タイムピストルで”じゃま者”は消せ   10頁 小三、四90年3月号(タイムピストルでじゃま者は消せ)
 年に何度かののび太大反省の日がまたやってきた。その瞳の輝きを信じたドラえもんは邪魔にならないように外へ行く。しかしやはりすぐにのび太はマンガを読み始めてしまう。戻ってきたドラえもんとも口論になり、怒ったドラえもんはまた飛び出して行ってしまった。
 そして再び、マンガの中の暗殺者のような格好をしてやって来たドラえもんは持っている銃で、お菓子やマンガ、さらにはママやしずかまで消してしまう。あまりのことに仰天しつつも、ドラえもんに脅され慌てて宿題をやり始めるのび太。そして宿題が終わると同時に、消えていたお菓子やマンガが戻ってきた。ドラえもんの持っていた銃は「タイムピストル」で、当たったものを「3」のつく時間分、未来に送ることが出来るのだ。
 タイムピストルを取ったのび太はしずかの家にいた出木杉を消し、ドラえもんの追撃もかわして、空き地にいるジャイアンや、スネ夫のラジコンもバンバン消してしまう。
 気分よく家に帰ったのび太からピストルを取り戻そうとするドラえもん。その時テーブルのご飯に光線が当たってしまい、みんなは三時間も食事を待つ羽目になってしまうのであった。  

 (解説)タイムピストルでバンバン消していってしまうドラは、何故かすごく怖い(笑)。で、調子に乗ってバンバン消していくのび太もなんか怖い。笑いながら消していってしまうというのも、ある意味ナンセンスな世界ですね。消して不条理マンガではありませんが。しかしもうここまでくると、のび太の反省ももはや年中行事になっています(笑)。短編連載・最後期作でもこれですからねえ…。



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