ドラえもんプラス3巻


サウンドカメラ   CC1巻 7頁 小二78年9月号(サウンドバカチョン、CC時「サウンド・バカチョン」)
 しずかやジャイアンたちと一緒にキャンプに出かけるスネ夫だが、またいつもの如くのび太だけが仲間外れにされてしまい、のび太はまた悔しがって帰ってきた。話を聞いたドラえもんはこっちも写真を撮って見せてやればいいと、「サウンドバカチョン」を取り出す。試しに近くの木に止まっているセミを写し、写真下部にある赤い丸を押すと、なんと写真からセミの鳴き声が聞こえてきた。このカメラは画像だけでなく、音も一緒に写すことが出来るのだ。
 早速どこでもドアでスネ夫達の行ったキャンプ場へ向かった2人は、隠れてスネ夫達を写真に収め、声を聞いてみる。するとスネ夫は今まさに、のび太に自慢するための写真を撮ろうとしている最中だった。
 2人は虫や鳥、景色など色々なものを写真に収めていき、川で立小便をしているスネ夫まで写真に撮ってしまった。2人は昼ご飯もキャンプ場に持ち込んで、おいしそうに食べている姿を写真に収める。一方のスネ夫達も昼食を食べ始めたが、せっかくキャンプで作ったご飯だと言うのに、なぜかスネ夫は手をつけようとせず、缶詰食品ばかりを食べていた。
 後日、ジャイアンやしずかはサウンドバカチョンで撮ったのび太の写真ばかり見てしまい、スネ夫が撮った写真をまったく見ようとしない。そんな時スネ夫の立小便の写真が見つかったので、試しにその時の音を聞いてみると、なんとスネ夫はしずかが米を研いでいた川の川上で立小便をしてしまっており、そのことを黙っていようと呟いている独り言が聞こえてきた。怒った2人に殴られるスネ夫を見て、サウンドバカチョンを持ってくれば良かったと呟くのび太であった。  

 (解説)序盤からはよくあるオーソドックスな話運びで進んでいくのですが、終盤で下ネタオチが発覚し、その落差の大きさがなんとも言えないショッキングなイメージを生み出しています。しずかまで泣きながらスネ夫を追いかけているという図を描きながら、最後はのび太の冷静な言葉で締めるという、なんとも不思議な味わいを残す終わり方に仕上がっていますね。
きもだめしめがね   10頁 小四85年9月号
 パパは、今スーパーが建っている辺りは昔は墓場で、子供の頃は肝試しをしたという思い出話をのび太とドラえもんに話す。今は肝試しが出来ないと安心するのび太にドラえもんは「きもだめしめがね」を出した。かけると周囲が怖く見えるようになってしまうと言うこのめがねをのび太がかけてみると、廊下が消えて薄暗い道になり、目の前にはお化けダヌキが立っていた。それを聞いてタヌキに見られていたドラえもんは怒るが、嫌がったのび太もめがねを放り出して外へ行く。
 のび太は道具の事は絶対ジャイアンに教えない事を誓うが、のび太の不審な様子を早速ジャイアンとスネ夫に怪しまれてしまい、スネ夫はドラえもんにカマをかけてめがねを借りてしまう。
 メガネを手に入れたジャイアンの提案で結局肝試しをすることになってしまい、困り果てるのび太。くじで一番最初に回ることになってしまったのび太は、人間のお化けやタバコの火の火の玉に驚くが、「かくれマント」をかぶってついてきたドラえもんのアドバイスを受けて、何とか乗り切ることに成功する。
 次にスネ夫が挑戦するが、途中で出会った太めの少年が「デブガッパ」に見えたのでつい口に出して言ってしまい、怒った相手に殴られてめがねを外してしまう。
 最後に挑戦するジャイアンはまったく怖がらずに進むが、ふとスネ夫が元から怖いものを見せたらどうなるのかと考え、3人で怪物のマスクをつけてみる事にする。するとジャイアンには3人とも一番怖い存在である母ちゃんに見えてしまい、仰天して大声をあげるのであった。  

 (解説)平凡ないつもの街を魅力溢れる遊びの世界に変えてしまうというのはドラ世界の十八番の一つですね。今話でもそう言った魅力が十二分に発揮されています。大きな池に見える水たまりをのび太がまたぐ時に足が怪物くんのように伸びたり、ドラのタヌキがやけにリアルだったりと、ビジュアル面でも笑いどころが満載です。ラストのオチもまた良ろし。
ドラえもんがいなくてもだいじょうぶ!?   10頁 小五、六90年7月号
 未来から送られてきた「原料ライト」をゴミ箱に捨てるドラえもん。のび太が聞くと、これは未来デパートから送られてきた試供品だと言う。興味を持ったのび太は試供品を全部集めて使ってみることにし、試しに原料ライトでドラやきを原料にしてしまい、ドラえもんを怒らせる。
 しずかの家に行くと、しずかは古い新聞や雑誌を捨てるところだった。のび太がライトを使うと紙はパルプ、そして木になってしまう。環境保全のため、この木をどこかに植え替えることにした2人は、試供品の中から「道すじカットボード」を使って、一瞬で高井山まで移動する。
 自分でなんでも出来るようになったと喜ぶのび太は木を植え替え、さらに10年後も木が残っているかどうかを調べるために、「タイムトンネル」で10年後に向かう。木や自然が無事なことに安心する2人だが、道すじカットボードが使えなくなっている事に気付く。なんと試供品は一回限りの使い捨てだったため、現代に戻ることもできなくなってしまった。現代のドラえもんも慌てるが探しようがない。
 「スグナオールとテスト用パン」や「テルテルコート」で当座をしのぐのび太達だが、そこにドラえもんと共にのび太がもう1人現れた。こののび太は翌日ののび太で、ドラえもんは翌日に行って事情を聞いてきたのだ。だがタイムパラドックスの疑問について3人は議論を始めてしまい、苛ついたしずかは思わず声を荒げてしまうのであった。  

 (解説)系譜としては「四次元くずかご」のような話になりますが、こちらは「一回限り」という限定がつき、さらにオチにタイムパラドックスを盛り込んだりと、結構豪華な話になっています。試供品とは言え、たくさん道具が出てくるのも嬉しいですね。さて、のび太達が行った10年後の世界では『10年前よりもみどりがふえて』いる世界でした。この作品の掲載年から10年以上過ぎている現在、どのような状況になっているのでしょうか?
みせかけモテモテバッジで大さわぎ   FF34巻 10頁 小六80年7月号
 学校からの帰り道、のび太はしずかと話をしようとするが、しずかは一緒に帰っている出木杉と話してばかりで、のび太とは話が盛り上がらない。のび太はその事をドラえもんに相談するが、ドラえもんは友達が仲良くするのは当然だと諭して納得させようとする。しかしのび太は納得できず、さらに自分がしずかの前で他の女の子と仲良くし、しずかに焼きもちを焼かせようなどと、いかにも子供じみた考えを思いついた。
 ドラえもんは仕方なく「みせかけモテモテバッジ」を出した。これにターゲットを記憶させてからバッジをつけ、その状態でターゲットのそばに行くとモテモテ電波が発射され、一時的に女の子にモテるようになるのだ。なんとも「みじめな道具」ではあるものの、バッジをつけたのび太は早速道路でしずかを見かけ、それに応じて女の子も寄ってきたが、しずかはすぐに走り去ってしまったので道具の効力もすぐに切れてしまう。
 しずかはスネ夫と一緒に公園でスケッチをしており、のび太は今度こそ見せつけようとするが、このバッジには年齢制限がないので、公園に来ていた大勢の幼稚園児がのび太にまとわりついてしまう。その後もおばあさんに出会ったりしてしずかの前に行くことが出来ないのび太だが、ようやく誰もいなくなった所で遠くから駆けつけてきたらしい女の子が寄ってくる。しかし当のしずかは関心を示さず、代わりにスネ夫が興味を持ってくる。だがそこに女の子のボーイフレンドが現れ、怒ったボーイフレンドがのび太を殴り始めたので、ドラえもんは急いでしずかをその場から連れ出し、バッジの効力を失わせる。
 殴られた事を天罰と解釈したのび太は反省するが、そこに先程の殴られている様子を見ていたしずかが心配して家までやってきてくれた。しずかの優しさに喜ぶのび太だが、まだバッジをつけっぱなしだったため、近くにいたママがのび太のそばにやってきてしまい、ドラえもんは慌ててバッジを窓から外に投げ捨てる。
 だがしずかが帰る時と一緒にパパが帰ってきて、その胸にバッジがついているのを見てドラえもんは仰天する。落ちていたバッジをパパが拾ってしまったようで、ドラえもんは急いでしずかをパパから遠ざけようとするが時既に遅く、たくさんの女性が野比家に向かってやって来ているのだった。  

 (解説)導入部分は最高学年誌掲載作品らしい展開ですが、メインはオーソドックスな道具を中心とした話になっています。全体的にのびドラの二人が動き回って騒動を起こしている感が強く、そういう意味では初期のドタバタ色を継承していると言えなくもありません。ラストの未完オチは怖いですね。あの後パパとママがどうなったか、想像してみるのも楽しいかもしれません(笑)。
そのときどこにいた   10頁 小三89年7月号
 良い天気の日曜日、いいことがありそうだと期待するのび太はしずかとボール遊びをしに出かけようとするが、誤ってボールをインク瓶にぶつけ、家計簿をぐちゃぐちゃに汚してしまう。謝ろうとするのび太だがママはパパと一緒に、酔ってしまってパパが無くしたという大事な書類を探しており、とてもそれどころではない。仕方なくのび太はドラえもんに助けを求め、ドラえもんは「そのときどこにいた」を出した。これを使うとある物がある時間にどこにあったのかを調べる事が出来、ドラえもんは試しに居間のゴミ箱の中のゴミをまき散らしてからすべての物を15分前にあった場所に戻してしまい、一緒にインク瓶も元通りになった。
 喜ぶのび太だがしずかの声が聞こえてきたので外に出てみると、またしずかのカナリヤが逃げてしまったらしい。そこでのび太は道具を使ってカナリヤを一時間前にいた場所に戻すが、鳥かごはしずかが持ってきていたので、急いでしずかの家に行き、ちょうどかごの止まり木がある場所にいるカナリヤを無事にかごの中に入れる。
 しずかにも感謝されて2人はいい気分で帰宅するが、その途中で2人は迷子を見つける。道具を使おうにも子供は小さいので時間を聞く事が出来ず、ドラえもんは道具を時間逆行連続サーチモードにして子供の来た道を逆に辿らせ、さらに3倍速にしてスピードアップし、ようやく子供は母親と再会することが出来た。
 パパ達はまだ書類が見つからずに困っているようで、2人はパパの靴を使って道具を時間逆行モードにして、パパの足取りを調べ始める。よその家の庭を抜けたり犬に吼えられたりしながらも、靴は夜に屋台のラーメン屋があるはずの場所で止まった。するとその横のゴミバケツの上に書類が置きっぱなしになっており、書類を見つけたのび太はパパとママに感謝され、のび太にとって良い一日となったのであった。  

 (解説)非常に心地よい読後感を得る事が出来る話ですね。ラストのオチに関連した冒頭ののび太のシーンは伏線と呼ぶには少しストレートすぎる気もしますが、人助けをメインにしている展開なのであまり気にはならないでしょう。居間にゴミをばら撒くドラがやけに楽しそうなのは笑えますね。
お化けツヅラ   FF22巻、CC5巻 10頁 小四79年9月号(オ化ケツヅラ)
 のび太達はお化け屋敷へ遊びにいったが、のび太以外の3人は全く怖がらないものの、のび太は1人で怖がってしまったので笑われてしまう。何とかみんなを怖がらせたいとのび太に頼まれたドラえもんは「お化けツヅラ」を出した。この中にいるお化けはロボットで、どんな方法を使っても相手を怖がらせようとするのだ。
 2人はママがいないうちに家をお化け屋敷にし、みんなを呼び寄せる。家は「ホームメイロ」の力で迷路になっており、しずか達はどんどん奥に進んでいくが肝心ののび太が怖がって入らない。そこで匂いのあるうちはお化けがよってこない「化けよけスプレー」をかけてもらい、さらに通りぬけフープで迷路を抜けて、立体映画で作った肝試しコースを進む。
 お化けはのび太には近寄らないが、ジャイアンやスネ夫は鬼火やろくろ首におどかされていた。のび太はしずかを助けようとするがスプレーの効果が消え、しかも幽霊にフープを取られてしまう。どうやらツヅラのコンピューターが故障したらしいのだが、フープがないのでツヅラのある場所に戻る事が出来ず、みんなはお化けから逃げ惑う羽目になってしまう。
 しかしそこに帰ってきたママが騒ぎを聞いて一喝し、それを聞いたお化けは慌ててツヅラに逃げ込んでしまい、ママはお化けより怖いと感心してしまうのび太とドラえもんであった。  

 (解説)中盤までは際立った印象がないのですが、それだけにラストのオチが一層光りますね。ママがお化けより怖いと言うネタは今までにも使われていますが、今回はそれを最大限に生かした佳作になっています。新規、既存ともに道具がたくさん出てくるのもファンにはうれしいところですね。でも、ホームメイロで作った迷路はフープでは抜けられないような気がするんですが…(笑)。
一発逆転ばくだん   10頁 小四84年7月号
 テレビを見ながらどんどん機嫌を悪くしていくパパ。ジャイアンツが大差で負けているためだ。このままではとばっちりを受けてしまうのでドラえもんは「一発逆転ばくだん」を出し、それをパパとテレビの間に投げつけて爆発させた。するとジャイアンツが連続ホームランで逆転し、すっかり機嫌を良くしたパパはドラえもん達に小遣いまでくれた。二つの間でばくだんを爆発させると、立場が入れ替わってしまうのだ。ばくだんを欲しがるのび太の頼みを断るドラえもんだが、それでも1個だけもらったのび太がそれを爆発させると、ネズミが出てきてドラえもんは仰天し、のび太に追い払ってもらう代わりにばくだんを全部渡してしまう。
 のび太は手始めにいつも噛み付いてくるイヌを怒らせ、追いかけられている最中に爆発させてみると、なぜかのび太が犬に噛みついてしまった。思い出してみると、のび太がつまずいた拍子にイヌがのび太にぶつかって飛び越え、倒れこんだ所でのび太が噛み付いてしまったのだ。のび太はしずかの家に行くが勉強しているというので断られてしまい、爆弾を爆発させると、怪しい男が家を覗いていると言うのでのびたは家にあがらせてもらう事になってしまった。
 しずかのママが帰ってきたのでのび太は家を出、今度は空き地でラジコンヘリを飛ばしているスネ夫の所に向かう。もちろんスネ夫は貸してくれないが、爆弾を使うとラジコンが神成さんの家に飛び込んでしまい、スネ夫はプロポをのび太に渡して逃げてしまう。のび太はあらかじめばくだんを爆発させてから神成さんの家に行くと、偶然ドロボウを発見したのでのび太は神成さんに感謝され、ラジコンも返してもらった。楽しく遊ぶのび太だったがそこにジャイアンが現れ、ラジコンを奪おうとして追いかけられてしまい、そこでばくだんを使うと二人はいつの間にかさっきのドロボウに追いついてしまい、追いかけてきたと勘違いしたドロボウはジャイアンを殴り飛ばしてしまった。その間にのび太は警官を呼んでドロボウを捕まえてもらう。
 残り1個になった爆弾をとっておくことにしたのび太だが、テレビの「宇宙戦士サラバ」のことを思い出して急いで家に戻る。居間に駆け込むのび太だがその時つまずいた弾みでばくだんを放り投げ、テレビの前で爆発させてしまったので、そのために敵役の宇宙怪物が勝ってしまった。そのために番組は急遽最終回になってしまい、ドラえもんは泣いて怒るのであった。  

 (解説)テンポが早くてノリは非常にいいのですが、残念なのはやはり導入部とオチが既存の作品とほぼ同じだということでしょう。序盤はともかくオチに新鮮味が感じられないのがとても残念でした。その分演出は凝っているようで、のび太が犬に噛み付いた時の様子を回想形式で再現するなど、遊び心も生かされています。ネズミから逃げてのび太の頭にしがみつくドラの姿が情けなくていいですね(笑)。
アリガターヤ   FF4巻 12頁 小四71年8月号
 学校からの帰り際に野球をするジャイアン達のカバンを家に届けるよう頼まれたのび太は、断わることも出来ずに引き受けてしまう。スネ夫の弟やイヌに手伝ってもらおうとするが誰も聞いてくれない。
 のび太の帰りが遅いことを心配したドラえもんが様子を見に行くと、川べりにのび太は座り込んでいた。誰も自分の言うことを聞いてくれないのに自分は他人の言うことを何でも聞いてしまう、そんな自分に嫌気が差して身投げしようかとも思ったが、泳げないので止めたのだと言う。そこでドラえもんは天使の輪っかのようなものを取り出した。それは「アリガターヤ」と言う道具で、これをつけて言った言葉はなんでもありがたい言葉に聞こえて誰でも言うことを聞くようになるのだ。
 早速ドラえもんに試してみると紫の霞がわき起こり、花びらも舞い始めた。ドラえもんは喜んでカバン運びを引き受けるが、その態度があまりにもわざとらしかったため、さすがののび太も疑ってしまう。家に帰るとママも同じようになってしまったので、ママに宿題をさせることにし、道具の効果が本物であることを知ったのび太は喜んで出かける。しかしのび太が調子に乗ることを恐れたドラえもんは道具を取ってしまうが、のび太におだてられたので仕方なく貸すことにした。
 のび太を追いかけるイヌをからかったのび太は、次に野球しているジャイアン達のそばに行き、キャッチャーやバッターを勝手にやってしまい、さらにはつまらないからと野球そのものを止めてしまう。神様のように威張っているのび太を見たドラえもんは道具を取り返そうとするが、その効果にはさすがに逆らえない。しかし突風が吹いてアリガターヤをどこかに飛ばしていってしまい、それがイヌの頭にくっついてしまった。
 またものび太の帰りが遅いのでドラえもんが見に行くと、のび太はイヌに命令されるままにイヌのおしっこのポーズを取っているのだった。  

 (解説)道具中心の話だとは思うのですが展開そのものはギャグそのものという、初期作の手本のような話ですね。のび太に対するそれぞれのリアクションがあまりにもオーバーに描かれていて愉快なものになっています。やはり個人的にはジャイスネの涙ドバーですかね(笑)。序盤の「身投げ」についての会話シーンも落語の会話のようで楽しいです。
室内世界旅行セット   7頁 小二85年10月号
 1年前にパリへ行ってきた時の自慢話を未だにスネ夫は繰り返していた。のび太もさすがにそのことを突っ込むが、逆にスネ夫の方が怒り出し、悔しかったらパリへ行ってみろとまで言われてしまったので、のび太もどこでもドアでパリへ行こうと宣言する。宿題が終わってから行くというしずかと別れたのび太は帰宅し、そのことをドラえもんに伝えるが、ドラえもんはなぜかいい顔をしない。
 のび太は先にドアでパリへ行こうとするが、ドアの出口はなぜかセーヌ川の中に繋がってしまい、水が大量に流れ込んでしまった。ドアは故障してしまっていたのだ。のび太に泣きつかれたドラえもんは仕方なく「室内世界旅行セット」を取り出す。スクリーンとつなげた装置の針を、見たい場所の地図に刺すと、その場所を実際にリアルタイムで投影することができ、しかも見る角度まで調節することができるのだ。試しにエジプトのピラミッドを見てみた2人は、スクリーンに移った景色を背景にして、記念写真を撮ってみる。
 世界中の色々な場所を見てみた2人は、しずかが来るのを楽しみに待つが、来るのが遅いので地図を使ってしずかの様子を見てみることにする。案の定しずかはお風呂に入っており、2人はお風呂場の様子を投影してしまうが、そこへママからゴミを捨ててくるように言われ、仕方なく急いで飛び出す。
 その間にやってきたしずかは、自宅の風呂場がスクリーンに映りっぱなしになっているのを見て怒り出し、戻ってきた2人は困り果ててしまうのであった。  

 (解説)オチ自体は大体想像がつきそうではあるのですが、やはり面白いですね。同じような道具で同じようなオチの「断層ビジョン」では、オチに絡むキャラをのびドラだけに絞るという変則的なものでしたが、今話ではしずか本人を登場させて、オーソドックスなまとめ方をしています。道具そのものにはあまり新味がない、と言うのが少々残念な部分でしょうか。
正義のパトカー   FF5巻、CC2巻 6頁 小二74年10月号(「正ぎのみかた」のパトカー)
 ジャイアンは今日も町中で傍若無人に振舞い、子供達も困り果てていた。のび太はジャイアンからみんなを守ってくれる正義の味方を出して欲しいとドラえもんに頼むが、ドラえもんは出すのを躊躇する。しかしのび太は自分達は悪いことをしないから大丈夫だと言うので、仕方なくドラえもんは「正義のパトカー」を出した。
 すると早速パトカーは走り出していじめているジャイアンの下に向かい、警棒を使ってジャイアンをやっつけた。その様子を見て安心するのび太だが、帰り道で10円を拾ったのび太はネコババしようとしたためにパトカーに殴られてしまう。どんな小さな悪事でも見逃さないパトカーは、一度出したらしまうことも出来ないのだ。
 さらに家に帰ってきた時に「ただいま」と言わなかったり、宿題をしたとウソをついたために殴られ、さらにお使いを断わっても殴られてしまうので、嫌になったのび太はパトカーを壊そうとする。
 ところがパトカーに気づかれたために2人は逃げる羽目になってしまい、その様子を見たジャイアンはパトカーを恐れて電柱に登って逃げようとするが、手が滑って落ちてしまう。しかしその時にパトカーを踏み潰したためにパトカーは壊れ、それを見た2人はジャイアンを正義の味方だと言って感謝するのであった。  

 (解説)正義と言うのも難しいもんです(笑)。と言ったら昨今流行りの哲学論になってしまいそうですが、見方によっては今話はそう言った独断的な言論をはね付けてしまうほどの痛快感を備えているのかもしれません。…ウソですよ(笑)。いや、骨子は「ばっ金箱」と同じだな、ということくらいしか書く事があまりないので、よくわからんことを書いて字幅を埋めたわけです、ハイ。そんなわけで終わり。
トビレットペーパー   7頁 小二84年10月号
 いつになく憂鬱な顔をしているのび太。ドラえもんが話を聞くと、明日みんなとハイキングに行くことになったが、のび太が途中でへたばっても、待たずに先へ行くとジャイアン達に言われたというのだ。へたばる自信のあるのび太は大げさに騒ぎ出し、ドラえもんも仕方なく「トビレットペーパー」を出してやった。ちぎると空に浮かぶこの紙を体に巻いて、山登りをさせようと言うのだ。
 そして翌日、ドラえもんもハイキングに参加することにして、5人は元気に山を登っていくが、トビレットペーパーを服の下やポケットの中につけているのび太やドラえもんは、一向に疲れることなく山を登っていく。先にしずかが疲れだしてしまったので、のび太はジャイアン達に内緒でしずかのリュックにペーパーを入れ、3人で先にどんどん登っていってしまう。
 途中分かれ道に出た3人は、後から来るスネ夫の言葉に従って左の道を行くが、それはスネ夫の嘘であり、そちらへ行くとひどく遠回りになってしまうのだ。しばらく進んでそのことに気づいたのび太達は、ペーパーを天女の羽衣のように体に巻きつけ、簡単に頂上に到達してしまう。
 疲れながらももうすぐ頂上と言うところまで来たジャイアンとスネ夫だったが、そこへ折鶴のような鳥が現れ、2人は思わず追いかけだす。しかしそれは2人を待ちくたびれたのび太達がペーパーで作った折鶴であり、最後に走ったジャイアン達はヘトヘトに疲れ果ててしまうのであった。  

 (解説)まず驚かされるのは、そのネーミングセンス。天女の羽衣というと優雅なイメージを思い浮かべますが、そんな羽衣のようにも使うことの出来る道具の元ネタが、トイレットペーパーから来るとは。これは目の付け所の勝利でしょうね。話そのものは平板ではありますが、ラストはジャイスネをやり込めてエンドではなく、折鶴を作るという行為でほのぼのした雰囲気を盛り込んでおり、同種のオチを持つ諸作品との差別化が行われています。
あやつりそっくりふうせん   7頁 小二81年1月号
 頭にミラーつきのバンドをつけて、部屋の中でなにやらもそもそと動いているドラえもん。のび太がそれを不思議そうに見つめていると、なんと部屋の中にドラえもんがもう1人入ってきた。ドラえもんが頭のてっぺんについていた栓を抜くと、もう1人のほうは風船のようにしぼんでいってしまう。これは「あやつりそっくりふうせん」と言う道具で、風船を膨らませると、膨らませた本人そっくりの姿になり、ドラえもんがかぶっていたミラーつきのバンドをかぶることで、自分が動いたとおりに風船を動かすことが出来るようになるのだ。
 ドラえもんはこれを使ってドラやきを買ってきたということを聞き、のび太も早速自分の風船を作って動かしてみる。外へ出ようとすると、寒いのに外で遊ぶのはいいことだとママがほめてくれた。外へ出たら今度は先生に会っていつもの如く小言を聞く羽目になるが、操っているのび太本人には声はまったく聞こえていないので、先生もすっかり疲れてしまう。
 空地へ行くと、ジャイアンがスネ夫のマンガを取り上げていたところだったので、のび太は風船を操ってマンガを取り返す。怒ったジャイアンはのび太に殴りかかるが、もちろん殴られているのは風船なのでのび太は痛くもかゆくもなく、逆に風船相手に暴れて疲れ果てたジャイアンをやっつけてしまった。
 のび太はお礼にとスネ夫と一緒にマンガを読ませてもらうが、おしっこがしたくなったので部屋を出て行く。しかしその際にバンドをはずさなかったので風船も同じように行動してしまい、偶然通りがかったしずかの目の前でおしっこをする形になってしまった。しずかの驚く顔をミラーで確認したのび太はすっかり慌ててしまい、おしっこをしているままでトイレから飛び出してしまうのであった。  

 (解説)お下劣オチと言うのは、他のタイプのオチと違って伏線がまったくないだけに、余計に強烈ですねえ(笑)。こういう何の変哲もない道具を使っていて、なんでお下劣オチになってしまうのか。作者はおしっこと言うものに並々ならぬこだわりでもあったんでしょうかね?しずかの目の前、というかすぐそばで、無表情でズボンのファスナーを下ろす風船のび太の図は、客観的に見てかなりすごいものがあります。今話はこのオチのためだけにあったといっても過言ではないかもしれませんね(笑)。
一時あずけカード   8頁 小五86年1月号
 プリンを作ったと言うことでしずかに招待されたのび太は急いで帰宅しようとするが、ママに用事を頼まれないよう、家に帰らないことにしようとする。しかし野球に行くというジャイアンとスネ夫にランドセルを押しつけられてしまった。
 のび太の泣き声を聞きつけたドラえもんは「一時あずけカード」を出し、三角の部分をランドセルに貼ってジャイアンに預けてしまう。シールの効力で断ることが出来なくなっているためだ。しずかの家で楽しんだ2人は、四角い方のカードでジャイアンの居場所を突き止め、ランドセルを返してもらう。
 カードを借りたのび太はランドセルをドラえもんに預けて本屋に向かうが、行く先々でママやその他色々な人から預かり物を受けてしまい、のび太はその都度、カードを使って見知らぬ人に預けてしまう。しかし当の本屋は休みだった。
 ドラえもんと共に預けた物を取りに行くが、買い物かごを預かった人はだいぶ遠くに住んでいたために、行くまでに疲れてしまい、お茶の先生から受け取った花びんを取りに行こうとした時に雨が降ってきたため、先に傘を預けた人の所へ向かう2人。だが2人は、傘を預かった人が青森行きの特急列車に乗っていることを知らない・・・・・・。  

 (解説)道具の特性を上手く利用した話の展開が面白いですね。ラストのオチが文章のみで語られてしまうのは、テレビ版「イエオン」…ではなく(笑)、「イデ○ン」みたいでちょっと不満ですが、8ページという総ページ数を考えると、それも仕方ないことかも知れません。
ばくはつこしょう   CC1巻 8頁 小一77年11月号(くしゃみでとおくへとんでいけ)
 今朝も寝坊してしまったのび太。その時ドラえもんがポケットに手を入れたのを見て、何か道具を出してくれるのかと期待するが、ドラえもんは鼻をかむためのちり紙を出しただけだった。ドラえもんはのび太を助けず厳しく接しようとするが、しつこく頼み込んでくるのび太に根負けしてしまい、仕方なく「ばくはつこしょう」を出してやる。行き先を言いながらそばにいる人にこしょうを振りかけると、その人のくしゃみの勢いによって行き先へ飛んでいく事ができるのだ。のび太は早速ドラえもんにくしゃみをさせて学校へ飛び、遅刻を免れる。
 放課後、のび太はこしょうのことをしずか達に自慢するが、それを聞いたジャイアンが奪おうとしてきたので、のび太はジャイアンにくしゃみをさせて逃げてしまう。もっと道具を使って遊びたいのび太だが、こういう時に限ってママもパパも用事がない。一方どうしても道具が欲しいジャイアンは、スネ夫と組んでのび太を誘い出す事にした。
 スネ夫からの誘いを受けたのび太は、ドラえもんから再びこしょうを借り、ママにくしゃみをさせて飛んでいく。しかし着地地点にはジャイアンが待ち構えており、それに気づいたのび太は寸出のところでネコにくしゃみをさせて逃げようとするが、ネコのくしゃみでは弱いためにうまく飛ぶ事が出来ず、結局こしょうは追いついたジャイアンに取られてしまった。ドラえもんはのび太に怠け癖がつく前に取られて良かったと安心するが、ジャイアンはスネ夫を始めいろんな友達にくしゃみをさせて飛び回っていた。
 夜になってようやくジャイアンは家に帰るが、そこでジャイアンの持つこしょうを見た母ちゃんが、普通のこしょうと間違えて夕食の乗っているちゃぶ台にこしょうを振りかけてしまい、飛び散ったこしょうを浴びて放ったジャイアン一家全員のくしゃみでちゃぶ台が吹っ飛んでしまう。慌てて知らせに来たジャイアンに、行き先を言わなかったためにいつまでも降りてこないのだとドラえもんが説明する中、料理を乗せたちゃぶ台は空をいつまでも飛び回るのであった。  

 (解説)ドラの出した飛行道具は数あれど、ここまでバカらしい理屈に基づく飛行道具があったでしょうか(笑)?話の骨子そのものはものすごく単純なのですが、くしゃみをさせられた連中がみんな一様に鼻水まで思いっきり垂らしていたり、なぜだかパパがパチンコでタバコを山のように当てるなど、ビジュアル面での面白さが群を抜いています。ラストのドラのやたらのん気なセリフも含め、中期以降の「ナンセンスギャグ」というドラ世界をよく現している好編だと思います。
ホログラ機   7頁 小二84年5月号
 今日もまたジャイアンとスネ夫にいじめられたのび太はドラえもんに助けを求める。ドラえもんは機械に頼るよりも自分自身を鍛えるべきと諭すが、のび太は今からそんなことをしても間に合わないと泣くばかり。
 仕方なくドラえもんは「ホログラ機」を取り出した。この道具から出る光を5分間浴びると、自分の体を立体映像のような幻に変えることが出来るのだ。気が進まないながらもドラえもんはのび太にライトを浴びせ、のび太の体は幻同様となり、ドラえもんが触ろうとしても突き抜け、部屋のドアもそのまま突き抜けてしまった。のび太は思わずママをからかってしまうが、すぐにジャイアン達の下へ仕返しに向かう。
 早速殴りかかってくるジャイアン達だが、当然のび太に触ることが出来ずに、誤ってスネ夫が殴られてしまい、ジャイアンものび太を追いかけて壁に激突してしまった。
 仕返しが済んだのを見て元に戻そうとするドラえもんだが、のび太は幻の便利さに気をよくしたため、ずっとこのままでいると言ってドラえもんから逃げ出し、出木杉やしずかの家で色々と騒ぎを起こし始めてしまう。
 たっぷり遊んだのび太は帰宅しておやつを食べようとするが、なぜかおやつを食べることが出来ず、ドラえもんに食べさせてもらおうとしても、口を通り抜けてしまう。のび太は幻の状態になっているので、食べ物にさえ触れることが出来なくなっていたのだ。元に戻してと泣いて懇願するのび太だが、先程の「ずっとこのままでいる」というのび太の言葉を引き合いに、そ知らぬ顔を見せるドラえもんであった。  

 (解説)一部の絵が明らかにF先生のものとは違うのですが、ある程度のペン入れはアシスタントの方が行っていたのでしょうか?それはさておき、「いないいないシャワー」など立体映像をモチーフとした道具はそれなりにありますが、まさか自分自身を幻にしてしまう破天荒な道具が出てくるとは。のび太のいたずらについては、同工異曲のシチュエーションが「四次元若葉マーク」にありますが、あちらの話のほうがオチが派手な分、こちらの方が若干見栄えは劣ってしまっている感はあります。
スピード増感ゴーグル   11頁 小四90年1月号
 大きな爆音を立てながら家の前を走り去るバイクを見てうるさがるのび太は、何故そんなに急ぐのかという事を考え出し、のろまと言われてバカにされている自分の事を顧みて、飼っているカメののんびりした姿を見て心を和ませる。
 そこにやってきたドラえもんが、パパとママが言いあいをしていることを知らせてきた。パパはジョギングを始めようとしていろいろ道具を買い揃えたのだが、面倒がってもうジョギングを止めてしまったのでその事で口論になっているらしい。ドラえもんはパパをジョギングでスカッとさせるために「スピード増感ゴーグル」を出し、それをパパにかけさせてからジョギングをさせる。するとゴーグルをつけているパパにだけはものすごいスピードで走っているように感じられ、パパは満足してジョギングを終える。
 ゴーグルを貸そうとするドラえもんの行為を断るのび太だが、先程のバイクの運転手や子ども用の電動カートを捨てていたスネ夫にバカにされたために、自分も付けてみることにする。早速走り出すとものすごいスピードになったのでのび太も興奮するがその時目の前にしずかが現れ、高速で走っていると思い込んでいるのび太は避けきれずにしずかにつっこんでしまうった。次にのび太は空を飛ぶ事にするが、あまりにも速いので前後不覚に陥ってしまい、しまいには墜落してしまう。
 のび太が落ちた場所にはあのバイクの運転手がいた。彼はスピードの出しすぎで事故を起こしてしまい、ケガをしてバイクに乗れなくなってしまっていたのだ。そんな彼に同情したのび太はスネ夫の電動カートとゴーグルを渡して運転させる。すると彼にだけはものすごいスピードが感じられるようになるので、青年も満足する。
 さらにのび太はゴーグルをつけたままで小さくなってラジコンに乗る事を思いつくが、その前にカメにもスピード感を味わってもらおうと小さくしたゴーグルをカメにかけた。しかしあまりのスピードに驚いたカメは甲羅に閉じこもってしまい、『自分のペースでくらすのが一番なんだ。』とドラえもんは諭すのであった。  

 (解説)毎度の事ながら伏線の張り方は実に巧妙です。今話限りのペットカメの設定はともかく、そのカメやオートバイ、スネ夫の捨てた電動カートなどが伏線として無理なく話の中に組み込まれて連動しています。問題なのはこれらの伏線があるにも関わらず、オチにあまりインパクトがないということですね。怖がって閉じこもるカメの姿は可愛らしいのですが、それだけではちょっと物足りない気がします。スピード感溢れる景色はかつての「のび太が九州まで走った!!」に通じるものがあって好きです。
苦手つくり機   FF32巻 8頁 小五79年5月号(にがてつくり機)
 昼寝をしていたのび太はスネ夫から、ジャイアンが用事があると聞かされて空き地へ向かう。ところがしばらく経って、のび太は怖れおののいた様子で帰ってきた。いきなり毛虫をかけられて怖がり、それをみんなに笑われたという。
 苦手は克服すべきと諭すドラえもんに、ネズミの話を持ち出して脅かしたのび太は何とか仕返しがしたいと頼み、ドラえもんは「苦手つくり機」を出した。一方のボードに人名、もう一方のボードに苦手にしたいものの名前を書くと、それがその人物にとって苦手な物になるのだ。
 試しにのび太をドラやき嫌いにしてみたドラえもんは、ジャイアンを子犬嫌いにし、みんなの前でジャイアンを怖がらせる。事実を知ったジャイアンはのび太に対して怒り狂うが、今度はのび太自身を苦手にすることで何とか切り抜ける。
 満足したのび太は帰宅するや否や再び昼寝を始めてしまうが、ドラえもんが昼寝を苦手と設定したために、のび太は昼寝を怖がり、恐怖のあまり気絶して寝込んでしまう。しかしこれも結局寝ているのと同じことなので、どうしても寝てしまうと呆れ返るドラえもんであった。  

 (解説)「○×恐怖症」とはまた違ったテイストの話で、特にのび太とジャイアンの恐がりようは必見です。ラストのオチもいかにものび太らしくて良いですね。ただ、ラストページでのび太がまだ昼寝をしていない時にも、もうすでに機械には「のび太」「ひるね」と書かれているのが気になります。ミスでしょうか?
ペッター   7頁 小二86年5月号
 飼っているネコに仕込んだ数々の芸をみんなの前で披露するスネ夫。それを見たのびたは例によってうらやましがり、自分も何かに芸を仕込みたいと考え込むが、そのためにはまず動物を飼わなければならない。ママに頼んでみたところで無駄だということはわかっているので、ドラえもんに泣いて頼み込むのび太。
 ドラえもんはのび太に動物を世話する根性があるかどうかを改めて問いただし、それから「ペッター」というエサを取り出した。これを用いることで、掃除機をペットのように飼うことが出来るようになるのだ。ためしにドラえもんが掃除機に向かってチンチンをするように命令し、掃除機はもちろん動かないのでドラえもんがそのポーズを作ってやり、ご褒美としてペッターを食べさせた。その姿を見たのび太は早速バカバカしいと止めてしまうが、ドラえもんに怒られて仕方なく続ける。
 その後もずっと同じ事を続けるのび太がいいかげんウンザリしてきた頃、なんと掃除機が自分1人で動いてチンチンをやってみせた。喜ぶのび太はそれからもソージーと名づけた掃除機に色々な芸を仕込み、それをみんなの前で披露する。しずかやジャイアンは驚きながらも感心するが、スネ夫だけが文句を言ってきたので、怒ったソージーが追い返してしまう。
 家に戻ったのび太はソージーを玄関で寝かせるが、ソージーは家にやってきたお客を勘違いして追い返してしまったのでママに怒られてしまう。のび太の注意を受けたソージーはお詫びに家中を掃除するが、今度は読みかけの新聞や雑誌がなくなってしまい、これもソージーのせいだと考えたママは、ソージーを捨ててくるようのび太に言いつける。
 ところがその会話をソージーは聞いてしまっており、1人で黙って家出してしまった。そのことを知ったのび太はショックを受け、張り紙まで貼ってソージーを探すのであった。  

 (解説)無機物を動物のように扱う話はよく登場していますが、今回はなぜ掃除機と限定されているのでしょうか(笑)?掃除機に芸を仕込むシーンのナンセンス性は、ドラ世界の真骨頂とも言うべきもので、一種イレギュラー的雰囲気さえ醸し出しています。反面、オチに明確な区切りが設定されていないために、完結感が少し弱いのがマイナスでしょうか。
シャラガム   FF4巻 10頁 小六76年3月号(のび太の決心)
 なにやら勇んだ様子で家に帰って来たのび太。ドラえもんが将棋をしようと誘っても断わり、おやつまでも断わって3時間みっちり勉強すると言う。そのやたら自信たっぷりな態度から年に何度かの「のび太大反省」の発作が始まったのだと直感するドラえもんとママ。
 のび太は近く中学生になる自分を振り返り、真剣に人生に取り組むことにしたのだ。しかし勉強を始めても元々わからないのですぐに止まってしまう。のび太は教えてもらうためにしずかの家に向かうが、それから30分経ってものび太が来ないとしずかから電話があったのでドラえもんが様子を見に行くと、のび太は空き地で友達に誘われるままに遊んでいた。
 その様子を見てさすがに呆れ返ったドラえもんは説教する気も失せるが、のび太は泣いてすがったかと思うと今度はすぐに道具を当てにし始める。仕方なくドラえもんは「シャラガム」を出した。これを食べると何をするにもガムシャラになるのだという。早速それを食べたのび太は時間制限を決めてしずかの家に向かうが、途中でスネ夫からマンガを読むかと誘われてしまう。マンガの誘惑を振り切ってしずかの家についたのび太は勉強を教えてもらうが、今度はしずかが遊んでいかないかと誘ってくる。自分との葛藤の末に家に帰ることにしたのび太だが、その帰路ではなんとジャイアンがのび太を殴ろうと待ち構えていた。それでもガムシャラに突き進んだのび太は殴られながらもやっとのことで家に到着する。
 死に物狂いで一つのことを成し遂げたのび太に、ドラえもんは先程のガムは実はただのガムであり、今回のことはのび太自身の力でやりぬいたのだということを話す。ところがそれに安心したのび太はすぐに昼寝を始めてしまい、また心細くなってしまうドラえもんであった。  

 (解説)「夢中機を探せ」、「ウルトラよろい」と並んで秘密道具の出てこない話として有名な今話ですが、話のテーマ的には「くろうみそ」に近いものがありますね。のび太にも自分自身の力で困難を突破できることを証明している一方で、オチではお約束通りにいつもの怠けたのび太に戻ってしまう。パターンと言えばそれまでですが、愛すべきメインキャラクターを多面的に描いている良作だと思います。
筋肉コントローラー   FF19巻 8頁 小五78年3月号
 空き地で野球の練習をしているのび太たちだが、ドブに落ちた野球ボールを拾わされたり、怖そうな高校生にぶつけてしまったボールを取りに行かされたりと、のび太は相変わらずろくな目にあわない。
 ドラえもんはもっとしっかりするようのび太に言うが、もちろん言ったところでムダなこともわかっているので、「筋肉コントローラー」と「受信機発射ガン」を出してやった。受信機を相手に射ち込み、コントローラーを使うと相手の体を自分と同じに動かすことが出来るのだ。試しにドラえもんはのび太に受信機を射ち込んで思いのままに動かしてみる。
 早速のび太はジャイアンとスネ夫に受信機を射ち込み、手始めにスネ夫を操ってジャイアンをバカにさせ、ジャイアンに殴らせる。その後もジャイアンにブタの真似をさせたり2人にバレエの踊りをさせたり、わざと走らせて壁に激突させたりとやりたい放題ののび太。
 その時友達が持っていたボールがドブの中に落ちてしまい、のび太はジャイアン達を使ってボールを取らせようとするが、よそ見をしているスキに自分もドブに落っこちてしまい、のび太もジャイアンもスネ夫ももがき苦しんでしまうのであった。  

 (解説)ネタ的には新味は余りありませんが、やっぱりラストの間抜けなオチがいいですね。3人揃って苦しむ様子を不思議がってみている友達(安雄?)の姿がおかしさを倍増させています。話には関係ないですが、土管の陰から受信機をジャイスネに命中させるのび太の射撃の腕もすごいもんがありますね(笑)。
ゴキブリカバー   FF30巻 8頁 小五77年11月号
 突然ママの悲鳴が聞こえたので駆けつけようとするのび太だが、ドラえもんは「ゴキブリが出た」と言うだけでそっけない。ドラえもんは「キャー」という悲鳴の微妙な違いで気づいたと言うが実際その通りで、ママは2人にゴキブリコイコイを買ってくるように頼む。しかし2人は面倒がって互いに行きたがらず、ドラえもんは「ゴキブリシーバー」を出して家中のゴキブリを集め、ゴキブリに協力してもらうことにする。ゴキブリを「ゴキブリカバー」に入れて、それをお使いに行かせてしまった。シーバーから出る放射能が、ゴキブリを一時的に進化させているのだ。
 ドラえもんはゴキブリ達にゴキブリコイコイのことを注意し、ゴキブリの人形はそれからもたくさん働いてみんなから感謝される。便利なものが出来たのでドラえもんはしばらく未来に帰ることにするが、翌日のび太は遅刻しそうになったので、増やさないために一つしかあげてはいけないエサをたくさんゴキブリに与えて増やし、大きくなったロボットに学校まで運んでもらう。さらに自分をいじめようとするジャイアンを倒すためにゴキブリをもっと増やしてしまい、のび太は調子に乗ってどんどんエサをあげたためにゴキブリの数は異様に増えてしまった。
 ゴキブリの人形は暴れ始めるがどうすることも出来ず、戻ってきたドラえもんも困り果てる。そしてドラえもんは思案の結果、ゴキブリ達を三億年以上前の石炭紀へ送り込んだ。ドラえもんは、もしかしたらあれがゴキブリの先祖になるのかもしれないと話すのであった。  

 (解説)SF短編の「うちの石炭紀」と言い、藤子F先生はゴキブリが好きだったのでしょうか(笑)?ゴキブリカバーと中身のゴキブリとのギャップが面白いですね。ゴキブリだから夜はくずかごの中で寝るなんていう設定も細かいです。さらに今回はドラが「キャー」の微妙な発音違いで内容を理解するという「ターザンパンツ」のような芸も披露され、無茶苦茶なタイムパラドックスがオチになったりと、違った意味で「少し不思議」な話です(笑)。



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