ドラえもんプラス4巻


百万ボルトひとみ   FF25巻 7頁 小三78年12月号(きみのひとみは100万ボルト)
 しずかと一緒に宿題をしようとするのび太だが、のび太はいつも宿題を写してばかりだからとしずかは断り、スネ夫と行うことにしてしまう。
 家に帰ったのび太は鏡に映った自分の顔をじっと見つめ、それを見たドラえもんの軽口を聞くやいなや、急に不満を爆発させてドラえもんを殴ってしまう。のび太はしずかに断られたのは自分の顔が悪いからだと思い込んでいたのだ。本当はのび太がきちんと宿題をしないからなのだが、今ののび太はドラえもんの言葉にも耳を貸そうとしない。仕方がないのでドラえもんは「百万ボルトひとみ」を出してやる。メガネにこれをくっつけて瞬きさせると相手に電流を流し、相手を自分に「シビれさせる」事が出来るのだ。
 早速しずかに使おうと出かけるのび太だが、ジャイアンに話しかけられたので用のないのび太は逃げ出してしまい、その態度がジャイアンを怒らせてしまう。のび太はジャイアンにつかまってしまうが、ひとみの瞬きを見た瞬間にジャイアンはのび太にメロメロになってしまい、のび太の後を付きまとうようになってしまった。
 それでもしずかの家についたのび太だが、今度は応対に来たスネ夫もひとみの電気を浴びてしまい、のび太を巡ってジャイアンとケンカになってしまう。そのスキにのび太はしずかに電気を浴びせ、しずかを家へ誘うことに成功する。
 ようやく我に返ったジャイアン達はひとみの秘密に気づき、のび太を追いかけて目を見ないようにしながらのび太をギタギタにしてしまい、さらにひとみのついたメガネを取り上げてしまった。道具の効力が切れたしずかものび太の行為を卑怯だと詰り、打ちのめされたのび太は家に帰ろうとするが、メガネがないのでしっかり歩くことが出来ない。それを見かねたしずかが肩を貸してくれ、のび太はしずかの優しさに感謝するのだった。
 その頃メガネをはめたジャイアンは交通ミラーで自分の顔を見てみるが、その時に電気を流してしまったために自分自身でミラーに惚れこんでしまい、夜になって母ちゃんが来てもミラーから離れようとしないのであった。  

 (解説)モロに時代風俗を感じさせる道具のネーミングがイカしてますね(笑)。しかしのび太のことを「愛してるんだ」とか言いながらケンカするジャイスネの姿は、素直に笑っていいのか何なのか、複雑な気分にさせられます(笑)。いつものドラとは違ったアブノーマルな感覚を味わいたい人にはオススメ?のび太の行為を許したわけではないけど、困っているのび太を放っておけないしずかの優しさも嬉しいですね。
「チャンスカメラ」で特ダネ写真を…   10頁 小六82年1月号
 赤ん坊がアパートの屋上から落ちる瞬間の写真が新聞に掲載された。赤ん坊は無事だったが、その写真を撮影したのはスネ夫だったと知って驚く一同。バカにされたのび太はまたも張り合って、「もっとすごい写真を撮ってくる」と宣言してしまう。
 話を聞いたドラえもんは、事件が起こりそうな時にあらかじめその場所へ連れていってくれる「チャンスカメラ」を出す。早速ママが転んで、持っていたバケツの水をかぶる所を撮ったり、ジャイアンがガラスを割る所を撮ったりするが、もっと大事件を撮りたいというのび太のために、カメラのレベルを「社会的レベル」にまで引き上げる。
 早速とある団地に来た2人は、予知ボタンで何が写るかを知り、ベランダから落ちる女性を止めようとして、代わりに植木鉢を落としてしまったために怒られてしまった。次の家でも起こる予定のガス爆発を止めてしまうが、写真が撮れないと怒るのび太。のび太には事故が起きる未来を知っていて見過ごすことなど、とても出来なかったのだ。
 仕方なくドラえもんはレバーを「インチキレベル」に切り替える。そこで写したのは夫婦ゲンカのワンシーンと、滑って公園の池に落ち、右腕を突き上げて浮き上がってくるジャイアンの姿という、他愛のない物だった。しかしそれをスネ夫達は、夫婦ゲンカで投げられた皿がUFOに見え、ジャイアンの影がネッシーと受け取ってしまった。驚いているスネ夫達を見て、当ののび太達も驚くのであった。  

 (解説)決定的瞬間をつかむためにいつもポケットカメラを持ち歩くというスネ夫はすごいです(笑)。他の話でもこんな事言ってるな。未来の悲劇を知っていて見過ごすことは出来ないという、のび太の優しさも改めて描かれています。神成さん似のおじいさんはジャイアンの本名まで既に知っているようですね。オチには「人間の目はいいかげん」という観点も含まれているように思います。
みせかけ落書きペン   10頁 小四86年1月号
 ふとした弾みで、居間に置いてあったツボを割ってしまったのび太。さり気なくママにツボのことを聞いてみると、とんでもなく高価な代物である事がわかり、のび太は大慌てでドラえもんに助けを求める。
 しかしなぜかドラえもんはまったく返事をしてくれず、触ろうとするとすり抜けてしまう。戻ってきたドラえもんによるとこれは「みせかけ落書きペン」で書いたものであり、専用のレンズで見ると線で囲った中に名前が書いてあるだけだった。
 試しに「ドラやき」と書いて遊ぶのび太だが、ツボのことを思い出してドラえもんに話し、復元光線を出してもらう事にするが、故障していたために直すことが出来ない。とりあえず落書きペンを使ってママの眼をごまかしたが、いつまでもごまかす事は出来ない。
 ドラえもんは次にタイムふろしきを使おうとするが、ふろしきはのび太が1日10円でスネ夫に貸してしまっていたため、慌てて取りに行く。が、途中でジャイアンに絡まれてしまい、落書きペンで自分の偽物を作ってごまかす。だがふろしきはスネ夫のママが借りていってしまっており、しかたなくのびたは家に帰るが、そこではママがツボを拭こうとしていたので慌てて止める。しかし今度はパパとツボの持ち主が帰ってきてしまったため、のび太は門の所にブロック塀の落書きを書いて、玄関が見つからないようにした。
 だがとうとうママにツボの破片が見つかってしまい、万事休すののび太であったが、寸出のところで復元光線を直したドラえもんが光線を当て、ツボを直すことに成功する。
 2人は安心して落書きを消すが、塀に見せかけた落書きを消さなかったためにパパ達は夜になっても家に入れずに歩き回る羽目になるのであった。  

 (解説)久々にのび太がアクティブに走り回っており、そのために展開そのものも動きのあるものになっています。道具が間に合うのかどうか、さらに複数の道具を登場させる事で何の道具が解決アイテムになるのかを最後まで不明にしている事で、終盤までの展開をスリリングなものにしていますね。他には落書きを律儀に殴り続けるジャイアンやのび太の仰天顔も注目ですかね。「タイムふろしき」以降、骨川親子はすっかりあの道具がお気に入りになってしまったようですね(笑)。
ミニサンタ   7頁 小一79年1月号
 季節はクリスマス。のび太はサンタからラジコン飛行機をもらうのを楽しみにしていたが、あまり高いものはプレゼントしたくないパパは、偉い人の本にすればいいと勝手に決めてしまう。それでもラジコンを欲しがるのび太にドラえもんは、プレゼントは朝、枕下にあるから楽しいと言って「ミニサンタ」を出した。煙突に欲しいものを書いた紙を入れて時間をあわせると、ミニサンタロボットが出てミニサイズのプレゼントをくれるのだ。試しにミニマンガをもらったのび太は虫めがねを使って楽しみ、ラジコンを夜12時にもらえるようにセットする。
 さらにしずかにもプレゼントをあげようと、しずかの下へ聞きに行き、欲しいものはラジカセだと言う事を知る。しかしそこでジャイアンに見つかり、ミニカー100個と言うプレゼントを強引にせがまれてしまった。
 そして夜になり、のび太は気になって寝ることができないが、夜12時になると同時にサンタが出てきてラジコン飛行機をくれた。続いてサンタはしずかの家に行ってラジカセを置き、のび太は試しに鳴らしてしずかを驚かせてしまう。それからジャイアンの家へ向かうと、ジャイアンは寒い中を外で待っていたが、出されたプレゼントはごまつぶのようなミニミニカーが100台だった。怒るジャイアンだがその時弾みでくしゃみをしてしまい、プレゼントが全部どこかへ飛んでいってしまうのであった。  

 (解説)クリスマスネタももはや定番ですので、ストーリーそのものに新鮮味はないのですが、プレゼントをミニサイズとしている事で、類似作品とは異なる個性を付加していますね。なぜか普段着のままで布団に入っているのび太や、ラストで慌てているジャイアンをまったく無視して歩き去るのびドラの姿なんかがポイントです。
宝さがしペーパー   7頁 小二85年1月号(たからさがしペーパー)
 お正月。晴天に恵まれたその日、ドラえもんは遊びに行こうとのび太を誘うが、のび太はお年玉をまだもらってないと言って出かけようとしない。今年に限ってなかなかくれないことをドラえもんも疑問に思い、2人でパパに聞いてみると、なんとパパはお年玉をしまった場所を忘れてしまっていたのだ。
 お年玉を見つけるため、ドラえもんは「宝さがしペーパー」を取り出した。紙を少しちぎり、それを探しているものを問いかけながら熱してあぶり出しを行うと、そのありかを示す文章が浮かび上がってくるのだ。文章の謎かけを解けば、ありかを見つけることができると言う仕組みなのである。2人は苦労しながらも何とかその謎を解き明かし、無事お年玉を見つけることに成功した。
 2人は安心して空地へ出かけ、楽しいひと時を過ごして帰宅する。すると家ではパパ達が、のび郎おじさんの到着が遅いことを心配していた。おじさんのくれるお年玉目当てで探すことにした2人は、ペーパーを使っておじさんの居場所を調べ始める。しかし今回の謎かけは容易には解けず、2人も四苦八苦する。
 それでもふとしたきっかけでやっと暗号を解き明かし、無事におじさんを見つけた2人は、おじさんからのお年玉を喜んで受け取るのであった。  

 (解説)謎かけを元に真実を探すと言う意味では、「シャーロックホームズセット」や「連想式推理虫メガネ」がありますが、今回はストレートに文章と言う形になっているため、より純粋に知的遊戯を楽しむことができますね。のびドラの行動理念が常に「お年玉」優先になっているのも、いかにも子供らしい思考で微笑ましいものがあります。
 ちなみに話の中で登場した謎かけは以下の2つです。

 「あたたかい池の近くにあるふたごの家にかくしてある」
 「日のしずむ所白い川を右にまがり黒い森を左にさばくのむこうにねむっている」

 後者の方は未読の人が解くには難しいですね(笑)。
風の子バンド   FF9巻 7頁 小二75年1月号
 寒い冬の日、のび太はドラえもんを凧揚げに誘うが、寒がりやのドラえもんは外に出るのを嫌がる。しかしのび太に激励されて発奮したドラえもんは、寒さに強くなるために「風の子バンド」を出した。これをかぶって「寒い」とか「冷たい」と言うと、バンドが頭を締めつけるのだ。
 外に出かけた2人は風が吹く中で凧揚げを始めるが、ドラえもんはやはり寒くてしょうがない。それでもバンドに締めつけられないために、暖かくなろうと必死に走り回るが、水たまりで転んでしまい、危うく「寒い」と言いそうになってしまう。
 そこへしずかがやって来たが、なぜかしずかが「寒い」と言うとバンドがドラえもんの頭を締めつけた。どうやらバンドには本人と他人との区別がつかないらしい。のび太はしずかに事情を説明し、ドラえもんはバンドをはずそうとするが、大頭に無理してはめたために取ることが出来ない。さらに周りの言葉に反応して頭を締めつけてくるので、2人は家に帰ってバンドを暖め、伸びたところを取ることにする。
 家に帰ったのび太はママに事情を話し、居間にストーブを置いてドラえもん一人だけにしておくことにする。すっかり暖まったドラえもんは眠くなったので「眠い」と言うと、いきなり頭を締めつけられた。バンドが「眠い」と「寒い」を聞き間違えてしまったのであった。  

 (解説)「ケロンパス」なんかと考えるとのびドラの立場がまったく逆転している所が面白いですね。融通が利かないと言うか、変な道具のせいでドラえもん自身が苦しむと言う展開は、かの「スケジュールどけい」を彷彿とさせますね。ただ今話は内容云々よりも、頭を締めつけられたドラの姿で笑うのが一番いいでしょう。さりげなくたこあげが出来るようになっているのび太も要チェックです。
チューケンパー   FF3巻 10頁 小六76年10月号
 しずかの部屋でなにやら気分良さげに話をするのび太。しかし話が一方的な上に内容があまりにも幼稚なので、しずかは内心飽き飽きしている様子。そこへスネ夫が顕微鏡を買ったと言ってきたので、しずかはそちらの方に行ってしまい、のび太は帰る羽目になってしまう。
 機嫌の悪いのび太は石ころを蹴っ飛ばすが、それがジャイアンに当たってしまったので大きな石を蹴り返されてしまう。
 いつものように泣いて帰って来たのび太から話を聞くドラえもんだが、ドラえもんがのび太の幼稚さを指摘するとのび太は調子のいい理屈を言って、自分のためだけの友達がほしいなどと言い出す。そこで仕方なくドラえもんは犬型ロボットの「チューケンパー」を出した。自分に向けてスイッチを入れると、理屈抜きで忠実な友達になってくれるのだ。だがそれでもドラえもんはこんな道具に頼らず、もっと自分自身を成長させるべきだと説教するが、それを煙たがったのび太の気持ちを理解したチューケンパーがドラえもんを追い払ってしまう。
 チューケンパーは更にのび太の役に立ちたいようで、のび太が昼寝しようとするとすぐさま布団を出してしまう。だが昼寝をしている所を怒ったママを襲う姿を見てさすがに困ったのび太は出かけることにする。
 池のほとりでプランクトンを集めているスネ夫に会うが、スネ夫が邪険な態度をとったのでチューケンパーが襲い掛かろうとしてしまい、のび太はスネ夫に事情を話して普通に会話を進める。しかしのび太が顕微鏡をうらやましがるとチューケンパーがスネ夫の家から顕微鏡を持ってきてしまったので、慌ててその場を退散した。
 さすがにでしゃばりすぎに困るのび太だが、偶然出会ったジャイアンをコテンパンにやっつけてしまうにつけ、いよいよ困り果ててしまう。さらに通りかかったしずかを憧れの目つきで見たためにチューケンパーが強引に連れて来てしまい、しずかにも嫌われてしまった。思わず「死にたくなった」と叫んでしまうのび太だが、それに従ってチューケンパーは縄を持ってきてしまうので、のび太は思わず逃げ出すのであった。  

 (解説)自分の考えをごり押ししないで、他人と協調することも大事だよ、と言うことでしょうかね?ラストのオチでチューケンパーが縄を持ってくる(ちゃんとわっかを結ってある)のは、結構ブラックな気もします。「融通の利かないロボット」という点では「ロボ子が愛してる」とか「ロボット背後霊」に通じるものがありますね。個人的には完結感の低いオチが作品自体の完成度の足を引っ張っている気がします。
雪男のアルバイト   FF11巻 12頁 てれびくん79年11月号(雪男でたぞ!)
 矢麻奥山にいると言われている幻の怪獣・ヤマゴンらしきものが写った写真を見せて自慢するスネ夫。ところがのび太はその写真に文句を言ったためにもっと鮮明な写真をとってくる羽目になってしまう。部屋ではドラえもんがドラやきを食べようとしていたがのび太がやってきたので慌てて隠す。ヤマゴンの話を聞いたドラえもんはいるはずないと一笑に付すが、それでもとせがまれて二人で出かけることにする。とりあえず現地ではのび太が一人で探すことにし、ドラえもんはどこでもドアの入り口でドラやきを食べようとするが、ヤマゴン目当ての観光客が現れたのでまた食べる機会を逸してしまう。すると本当にヤマゴンが現れた。驚くドラえもんだがのび太と一緒に接近してみることにする。だがそれはなんと村の人が着ていた被り物であり、ヤマゴンはインチキだったのだ。ドラえもんは笑って帰ろうとするが、スッキリしないのび太は今度はヒマラヤの雪男を探すなどと言い出した。無理だというドラえもんの説得も聞かずにヒマラヤに向かうのび太だが、ドアを開けるとすぐ目の前に雪男が現れた。二人は仰天して逃げ出してしまうが、雪男がドアをかじり始めたのでドラえもんはほんやくコンニャクを使って話し合うことにする。どうやら雪男は腹が減っているようなので仕方なくドラえもんはドラやきを差しだし、食べた雪男はおいしいので喜ぶ。何とか戻って来た二人だがカメラを矢麻奥山に忘れてきたというので、二人はカメラを取りに行く。するとその近くでは村の代表者が集まって話し合いをしていた。二人がウソをついた理由を聞くと、祭りの芝居で行うヒヒの役の稽古をしている所を偶然目撃され、それ以来ヤマゴン目当ての観光客が大挙して訪れるようになったので、つい欲が出てしまったのだと言う。その話を聞いて同情した二人は再びヒマラヤに行き、お礼にドラやきを村の人に出してもらう代わりに、どこでもドアを通って時々山のほうに姿を見せて欲しいと雪男に頼み込む。雪男は快く引き受け、テレビに映される「ヤマゴン」の姿を見ながら微笑むのび太とドラえもんであった。  

 (解説)ネッシーネタは数あれど、雪男が登場するネタは珍しいので返って新鮮に感じられますね。雪男と会話をしてアルバイトをさせるなど、ドラ世界の基調であるナンセンスギャグの要素を存分に盛り込んでいます。ドラやきに関連した伏線の張り方も実に巧妙ですね。過疎の村の実情をさりげなく織り込んでいる所もさすがと唸らされます。ドラ世界を構成するたくさんの魅力が散りばめられた良作ですね。
テレテレホン   7頁 小二84年12月号
 長電話をしているママを見ていらつくのび太。のび太は宿題でわからない箇所を出木杉に聞きたかったのだ。事情が事情なのでドラえもんも手助けすることにし、「テレテレホン」を出してやる。これをテレビにくっつけると、テレビがそのままテレビ電話となるのだ。
 早速これで出木杉に電話をかけたのび太は、出木杉にカメラに向かって宿題のノートを広げてもらい、それをそのまま書き写してしまった。喜ぶのび太を尻目にドラえもんは道具をしまおうとするが、のび太は面白がってしずかに電話をかけ、続けてジャイアンにも電話をかけてからかいだす。
 怒って道具をしまおうとするドラえもんを制し、のび太は最後に一回だけ電話をかけようとするが、その時逆にどこかから電話がかかってきた。電話に出るとなんとそれは誘拐犯人からの脅迫電話で、犯人は番号を間違えてのび太の家にかけてきたのだ。2人は犯人を捕まえるため、あらかじめビデオに録画しておいたテレビ電話の映像を再生し、犯人のアジトと思われる部屋の窓に映し出されている景色から、東京タワーの周辺にアジトがあると予測し、タワーに急行する。
 タワーに到着した2人は、タワーと夕日の方角から犯人のアジトを探し、遂に同じ窓のある家を発見する。そして警官と共に犯人のアジトに乗り込むのであった。  

 (解説)当時としても(現代でも)最先端の機器だったテレビ電話を材に取った道具です。道具の効果だけ見るとあまり発展性が感じられないのですが、その道具をメインとして1つの話を纏め上げてしまうストーリーテリングぶりはさすがと言うべきでしょう。ラストでは明確に犯人を捕まえてはいないのですが、「犯人を(これから)捕まえる」「女の子を助け出す」といった複数の情報を、すべてラストのコマ1つに集約させている演出には唸らされますね。
イメージガム   7頁 小二83年12月号
 空地で遊んでいるみんなにスネ夫は風船ガムを手渡すが、例によってのび太だけ仲間外れにされてしまい、悔しがって帰宅したのび太は自分も風船ガムが欲しいと泣きつくと、ドラえもんは大して興味もなさげにガムを手渡した。
 のび太もごく普通にガムをかみ始め、ドラえもんの読んでいるマンガ「パーマン」のことを考えながら、何気なくガムを膨らませる。すると膨らませたガムの形が、みるみるうちにパーマンの姿に変わっていく。ドラえもんの出したガムは「イメージガム」といい、何かの形を考えながら膨らますと、30分間だけその形に膨れ上がるのだ。
 早速ガムを見せびらかすことにして家を飛び出したのび太は、途中で見かけたジャイアン達を驚かせるため、ガムを怪獣の形に膨らませ、それを見たジャイアンとスネ夫は慌てて逃げ出してしまった。
 しずかの家に到着したのび太は、ガムをしずかそっくりに膨らませて道具の効能を説明し、しずかは試しに自分が住んでみたいお城をイメージして膨らませる。さすがに息が続かないために2人が入れる程度の大きさにしかならなかったものの、立派なお城が出来上がった。これに感化されたのび太は続いて巨大ロボのデブラムそっくりにガムを膨らませ、ガムの上に乗り、タケコプターをガムにつけて遊覧飛行を行う。
 それを見かけたジャイアン達は取り上げようと後を追いかけるが、肝心のガムの制限時間が迫っていたためのび太達も空地に着陸する。現れたジャイアン達にあっさりロボットを渡すのび太だが、ちょうどその時に時間が切れてしまい、ガムのカスまみれになってしまうジャイアンとスネ夫であった。  

 (解説)骨子は今までたくさん見てきた内容ですが、ガムというありきたりのものが発端になっているためか、全体的にほのぼのとした作りになっていますね。ラストでガムまみれになるジャイスネの姿も、決して不快感を与えるものではなく、あくまで愉快な仕上がりです。個人的にはガムが欲しいと催促した時、振り向きもせずに『ほれ』とだけ言ってガムを差し出すドラの後ろ姿が好きです(笑)。ところで「デブラム」ってやっぱり「ダグラム」のもじりでしょうか?その割にはイエオンのように元ネタからは程遠いデザインになっていますね。
災難予報機   FF26巻 10頁 小四80年7月号
 部屋で一人慌てふためくのび太。ジャイアンから野球の催促を受けているのだが、まだ宿題が終わっていないので出かけることができないのだ。ジャイアンに連絡をとろうとしても電話はママが使っており、しかたなく昼寝しているドラえもんのポケットを探ると、電話らしき物が引っ張り出された。しかしそれには番号ボタンもなく、ジャイアンの名前を言うと文字の書かれたテープが出てくるだけだった。やむを得ずママの目を盗んでジャイアンの家に出かけるのび太だが、そこではジャイアンが先程のテープに書かれていた通り、のしかかってきた母ちゃんに押しつぶされてしまった。家に帰ってドラえもんに聞いてみると、これは「災難予報機」という機械で、何時間以内にどんな災難に遭うかを教えてくれるのだ。早速自分の災難を知りたがるのび太だが、これで災難を知ってもそれを防ぐことは出来ないとドラえもんは話す。怖くなったのび太は試しにスネ夫の災難を調べてみると、「プールで溺れる」と出たので忠告に行くが、もちろんスネ夫は聞く耳を持たない。しかし道の車を避けた弾みで子供用のビニールプールに落ちてしまった。そこでのび太はしずかの災難を知ってしずかを守ろうとするが、出てきた予報は「ゴキブリに蹴飛ばされる」という珍妙なものだった。それでも二人はしずかの家に行くが相手にされないので、「石ころぼうし」を使って家に上がり、ゴキブリを探してみるがどこにもいない。二人はしずかのそばにいる事にするが、気配を感じるしずかはどうも落ち着かない。入浴も普通に済ませて二人はますます不思議がるが、そのとき家に駆け込んできたゴキブリの衣装を着た男にのび太が蹴飛ばされてしまう。この人は裏の空き地でゴキブリ退治のコマーシャルを撮影している人で、トイレを我慢できずに上がりこんできたのであった。  

 (解説)ラストのオチは「こじつけギャグ」になっていて愉快なのですが、全体的にはちょっと散漫な出来になってしまっていますね。未来を変えることが出来ないという道具の矛盾や、宿題の件がすっかり忘れられている所など、欠点が少し目立ってしまっています。風呂場の前でののびドラ問答など、笑えるシーンもちゃんとありますが。のび太がママの事を「ママゴン」と呼ぶ辺りに時代を感じますね。
動物くんれん屋   FF27巻、CC1巻 10頁 小四78年8月号(もも太郎印きびだんご)
 しずかに手乗りのインコを見せてもらったのび太は、ヒナから育てれば手乗りにすることができると聞いて、普通の卵を抱えて布団に潜り込み、手乗りニワトリを作ろうとする。それを聞いてドラえもんが大笑いしたためにのび太は落ち込んでしまい、仕方なくドラえもんは「もも太郎印きびだんご」を出した。これを食べた動物は30分間なら何でも言うことを聞くようになるのだ。早速ハトやスズメを手乗りにしたのび太は調子に乗って「動物くんれん屋」なるものを開業してしまう。これで金儲けをする魂胆なのだ。
 早速ジャイアンがムクに芸を仕込みたいと言ってきたり、スネ夫が家のネコにネズミを取らせたいと言ってきて、評判は上々だ。尋ねてきた友達全員にきびだんごを渡したところで、のび太は近くに住んでいるナマ子という女に頼まれて、彼女が飼っているイヌにきびだんごを食べさせる。ところがナマ子は大変な怠け者で、犬に買い物やら庭掃除やらをやらせ、挙句には皿洗いまで任せてしまう。
 しかし当然イヌに皿洗いなどできるはずもなく、イヌは皿を落として割ってしまった。そこへ怒った母親がやってきたので、どうにかするよう頼まれたのび太は動物の一種である人間にも道具は効くはずと考え、母親にだんごを食べさせてしまう。母親は一旦おとなしくなったものの、効き目が切れた後の事をナマ子に詰問され、ドラえもんと一緒に困り果ててしまうのび太であった。  

 (解説)正直言って今話は僕は嫌いです。その理由はただ一つ、話をかき回すのが今話限りのエキストラキャラ(ゲストキャラではない)からです。第三者の理不尽な横暴によってのびドラが困惑させられると言う展開はこれ以外にも存在しますが、今話については何の説明もなく登場してきて、場当たり的な印象を受けてしまいます。明確な敵役に設定されているわけでもない今回のエキストラが大手を振って暴れている姿を見ると、なんか読んでいるこっちとしては不愉快になってきてしまうんですね。そんなだから、話自体にもあまりいい印象はありません。オリジンの「きびだんご」に比べると数段劣ってしまっているように思われます。見所と言えば大笑いしているドラの目と、立って皿洗いをするイヌの姿でしょうか。
でんしょひこうき   8頁 小二82年8月号
 パパからの電話で、会社まで忘れ物を届けに行くことになったママ。そんなママをドラえもんが制し、「でんしょひこうき」を取り出した。その紙で作った紙飛行機は、送り先の相手の匂いをかぎ分けて荷物を運んでくれるのだ。パパのハンカチから匂いを覚えた飛行機は書類を載せて飛び立ち、紙飛行機はあっという間にパパのところに到達した。
 戻ってきた飛行機を使ってのび太はしずかに借りた本を返すことにし、飛行機は無事に本を届け、代わりにしずかは飛行機に新しい本を載せる。しかしのび太のところに戻る途中、飛行機はジャイアン達の野球ボールと衝突し、墜落してしまった。
 果たしてのび太のところに戻ってきた飛行機には、しずかの書いたものとは思えない内容の手紙が載せられていた。調査のためにドラえもんはスピーカーをつけた新たな紙飛行機を用意し、手紙の犯人を捜させる。するとやはり犯人はジャイアンとスネ夫だった。
 ドラえもんとのび太はスピーカーを使って2人が泥棒だと騒ぎ、聞きつけたジャイアンの母ちゃんから逃げるように2人は飛び出すが、飛行機はまだ2人を追いかけ回し、飛行機を落とそうとして投げた石は、運悪く怖そうなおじさんとその飼い犬に当たってしまい、隠れても飛行機が居場所をばらしてしまうので、ジャイアン達はさらに逃げ惑う羽目になってしまうのであった。  

 (解説)自動的に荷物を届けるとなると、「空飛ぶ荷札」系のちょっと無茶苦茶な道具が連想されますが、今回は紙飛行機なだけに、話全体もおとなしい印象のものになっています。ですが例によって汚らしいのび太の文章や、唐突に現れる通りがかりのおっさんと飼い犬(顔がそっくり)の存在など、笑いの要素は存分に織り込まれていますね。
交通ひょうしきステッカー   7頁 小二85年8月号
 今日はジャイアンの機嫌がひどく悪いらしく、家でじっとしていた方がいいとのび太に忠告するスネ夫。しかしせっかく好天に恵まれている日なのに、ジャイアンのために家に引っ込んでいることはできないと、のび太は構わず出かけようとするが、すぐさまジャイアンに会って追い回され、慌てて家に逃げ込む。
 仕方なく昼寝をすることにしたのび太だったが、なぜかどうやっても自分の部屋に入ることができない。そこへドラえもんが現れ、ドアに貼られていた「進入禁止」を示す交通標識のシールをはがす。これは「交通ひょうしきステッカー」の内の1つで、裏に名前を書かれた人は、その標識に強制的に従うようになってしまうのだ。ドラえもんはドラやきを守るためにのび太を部屋に入れないようにしていたのだが、一計を案じたのび太はドラえもんからシールを受け取り、裏にジャイアンの名前を書き、それを町のあちこちに貼り付け、その上でスネ夫たちも誘い空地で遊び始める。
 予想通りにジャイアンは空地に駆けつけるが、そこには「警笛鳴らせ」のステッカーが貼られていたため、ジャイアンは思わず大声を張り上げ、それによって襲来を察知したのび太は、ジャイアンをからかいながら誘い出す。ジャイアンも必死にのび太を追いかけるが、「矢印の方にだけ進め」「徐行」「駐車禁止」などの様々なステッカーの効力により、どうしてものび太を捕まえることができない。しかしそれでもジャイアンは諦めようとはしなかった。面白がるのび太だが、とある男の子があちこちに貼られているステッカーを剥がして集めていることには気づかない。
 そうこうしているうちにのび太は道で転んでしまい、その隙を突いてとうとうジャイアンが迫っていた。そこへ件の男の子が通りがかるが、男の子は胸に「すべりやすい」「落石注意」「その他の危険」の標識ステッカーを貼っていたため、ジャイアンは転んでしまうわ、落下してきた野球ボールにぶつかるわ、母ちゃんや先生、凶暴なイヌに迫られるわと、散々な状況に追い込まれてしまうのであった。  

 (解説)子供の頃は道路標識にも結構興味を持つものだと思いますが、今話はそういった子供の興味・好奇心をうまく刺激する好編になっています。様々な標識と、それに対応してしまうジャイアンのリアクションの面白さはもちろんですが、ラストのコマは3つの災難が降りかかる様を1コマで見事に描出しており、さながら1コマ漫画の味わいまで感じられ、今話の持つ奥深さを堪能することができます。
エネルギーせつやく熱気球   7頁 小二84年2月号
 いつもの如く、スネ夫が自慢話をしにやってきた。さすがにのび太も関心を持たなかったがスネ夫に無理やり、これから熱気球に乗ってくると言う話を聞かされてしまう。話を聞いたドラえもんは毎度のことに呆れながらも、「エネルギーせつやく熱気球」を出した。気球と呼ぶにはあまりに小さいその道具にのび太も驚くが、この気球は通常の気球よりも遥かに少ないエネルギーで浮かび上がることが出来るのだ。
 試しにパパのライターを使って気球を浮かび上がらせた2人は、吹くことで推進力を生み出す「ブロージェット」を使って移動し、しずかの家の庭に着陸する。面白がったのび太は今度は自分で操縦しようとするが、さすがにこれにはドラえもんもいい顔をしない。それでものび太は強引にしずかと共に飛び立ってしまった。
 のび太は火の勢いを調節して急降下や急上昇を繰り返して、ジャイアンをからかったり高空まで上がったりして遊ぶが、そうしているうちにいつの間にか海上にまで飛んできてしまっていた。のび太は急いで帰ろうとするが、ライターのガスが無くなりはじめ、次第にサメがウヨウヨしている海面にまで降下してきてしまう。
 夜になっても帰ってこない2人を心配するドラえもんは、ようやく戻ってきた気球を発見する。2人は着ているものを少しずつ燃やし、そのエネルギーを使ってようやく帰ってきたのだが、そのせいで2人は素っ裸になってしまっているのであった。  

 (解説)今話はやはりラストのオチが全てなんでしょうが、これで一緒に乗っているのがドラやジャイスネだったらビジュアル的な面白さには繋がらないわけで、敢えてしずかを選んだのは正解だったと言えるでしょう(笑)。冒頭のスネ夫の強引さも笑えますが、「エネルギー節約」についての説明がなされていないのは、ちょっと物足りなかったですね。
ウラメシズキン   FF4巻 8頁 小四74年5月号
 見るからに不機嫌そうなジャイアンを見かけたのび太は慌てて逃げようとするがすぐに絡まれてしまい、言いがかりをつけられて殴られてしまう。話を聞いたドラえもんも怒り、「ウラメシズキン」を出す。これを頭に巻いてのび太がジャイアンのことを恨めしいと思うと、その恨みの念が具象化して幽霊が出来上がった。驚いて思わず逃げてしまうのび太だが、幽霊のび太は恨みを晴らしにジャイアンの家に向かう。しかしそそっかしい性格はのび太そっくりだったため、間違えてしずかの家に入ってしまう。
 改めてジャイアンの家にやって来た幽霊はジャイアンの部屋に入り込み、ジャイアンは幽霊を追い返そうとするが実体がないので殴ることも出来ない。放っておくことにするが幽霊はノートを覗き見たりラーメンに舌を突っ込んだりするので、さすがにジャイアンも怒ってラーメンを投げつけるが、それは母ちゃんに当たってしまったためにこっぴどく叱られてしまう。そして恨みを晴らした幽霊は消えていった。
 気分を良くしたのび太は更にスネ夫への恨みを晴らそうとして幽霊を生み出す。ところが家に現れた幽霊を見たスネ夫は逆に珍しがって、友達を呼んで見世物にしてしまった。幽霊は恥をかかせたのび太を逆恨みし、のび太の周りに付きまとうようになってしまうのであった。  

 (解説)のび太によって生み出された幽霊がのび太自身を逆恨みするという展開は、後年の「恐怖のたたりチンキ」と同じですね。そう言えば「おばけたん知機」でもラストはのび太が驚かされる展開でしたね。これも一種のパターンなのか(笑)?話自体はオーソドックスで特に目を引くシーンはないですが、初めてズキンを見た時にふんどしのように腰に巻こうとするのび太がいい味出してますね。
なかまバッジ   8頁 小二87年5月号
 のび太はしずかに一緒に遊ぼうと声をかけるが、しずかは出木杉と宿題をするところであり、のび太も参加しようとするものの、いつも宿題を写すだけではなく自分1人でやった方がいいと、断られてしまう。ふてくされて立ち去るのび太に、スネ夫のラジコンカーがぶつかってきた。どう見てもスネ夫の方が悪かったのだが、通りがかったジャイアンがスネ夫の味方についてしまったため、のび太は殴られてしまう。
 話を聞いたドラえもんはジャイアンに文句を言いに行くが、その最中、なぜか突然走り去ってしまい、のび太はまたも殴られてしまった。ドラえもんは身につけていた「なかまバッジ」の力により、いじめられているネコのミーちゃんを助けに行ったのだ。このバッジを互いにつけていると仲間関係となり、片方の仲間が困っている時はもう片方の仲間が強制的に助けに来るということを聞いたのび太は、早速バッジのセットをもらい、仲間を作ることにする。
 まずは先生につけようとするが、先生はこんなもので遊ぶなとバッジを捨ててしまう。しかしそのバッジを偶然にもジャイアンが拾い、身につけてしまっていた。バッジを探すのび太は不意にイヌに追いかけられてしまうが、そこへバッジをつけたジャイアンが駆けつけ、イヌを追い払ってくれた。喜ぶのび太は仲間であるジャイアンの力を借りて、スネ夫から強引にラジコンを借りて遊ぶ。
 続いてのび太は出木杉にバッジをつけ、宿題を写させてもらい、さらにしずかにもバッジをつけて一緒に遊ぼうとするが、その時急にバッジが作用し、のび太はいずこかへと走り出した。その頃ちょうどジャイアンが母ちゃんに追い掛け回されており、仲間であるのび太は強制的に呼びつけられてしまい、一緒に逃げ惑う羽目になってしまうのであった。  

 (解説)強制的に自分の仲間を作ると言うのは、「兄弟バッジ」や「みかたゆびわ」に通じるものがありますが、今話ではオチに道具の持つ機能故の融通の利かなさを持ってきており、決してのび太が道具を誤用したわけではないと言う点が、若干異なっていますね。バッジをジャイアンが偶然拾ってしまうという展開が強引と言えば強引ですが、そこはページ数の都合もあることですし、許容範囲でしょう。
人間用タイムスイッチ   FF13巻 9頁 小二75年11月号
 突然部屋で騒ぎ出したのび太。7時から見たいテレビ番組があったのだが、見るのを忘れてしまったのだと言う。その後ものび太はしずかと遊ぶ約束を忘れていてしずかに怒られたり、パパに頼まれた今日発売の記念切手を買うのを忘れてしまったり、宿題があるのを忘れていたりと、大事なことをたくさん忘れて慌ててしまう。それを見かねたドラえもんは「人間用タイムスイッチ」を出してスイッチを9時にあわせ、「のび太がへそ踊りをする」と吹き込んでからのび太の腕にはめさせる。すると9時になったらのび太は吹き込んだ通りにへそ踊りをやってしまった。タイムスイッチに予定を吹き込むとその通りに体が勝手に動くのだ。のび太は早速明日一日の予定を立ててタイムスイッチに吹き込み、それをつけて布団に入る。ところが夜中の2時になって、のび太はなぜか目を覚まして勉強を始めてしまった。我に返ったのび太は布団に戻ろうとするがそれも出来ない。午前と午後の時間を間違えて吹き込んでしまったのだ。ドラえもんを呼ぶことも出来ずにのび太は仕方なく勉強をし、3時になってしずかの家に出かけてしまう。途中でガムを買おうとするが当然店の主人には怒られ、何とかしてしずかの家に侵入したのび太は5時までずっとしずかの部屋に居座ることになってしまう。家に帰ると映っていないテレビを見たり冷たい風呂に入ったりして夕食となる朝食を食べる。そして予定通りにのび太は布団に入って寝ようとしだしたので、慌ててママが止めるのであった。  

 (解説)午前と午後を間違えて云々という展開は今話以外にも結構あり、今話はその予定通りに動かされるのび太をユーモラスに描いています。融通の利かない機械と言うのも相変わらずですが面白いですね。しずかの家に勝手に上がりこむとはのび太もすごいことをやってくれるもんだ(笑)。
万能グラス   FF25巻 10頁 小四80年2月号
 冬休み最後の日である今日一日、ずっと寝て過ごそうと決心したのび太。そんな時ママが庭で音がしたので様子を見てくるように言ってきたので、のび太はドラえもんに行かせようとするが、ドラえもんも対抗して動こうとしない。しかしのび太は勉強しているとウソをついたのでドラえもんが頼まれてしまい、仕方なくドラえもんは「万能グラス」を出して庭の様子を見ることにする。これをはめるとどんな遠い場所でも見ることが出来るのだ。見てみると風が吹いたので洗濯物が落ちてしまっていたのだが、今度はその洗濯物を拾うように言われたので結局ドラえもんは庭に行く羽目になってしまう。その時置いていったグラスをはめたのび太がドラえもんを見てみると、ドラえもんは飛んでいった洗濯物を取ろうとしてスネ夫とぶつかってしまっていた。スネ夫の持っているマンガに注目してみると、何とマンガの1ページまでもがきちんと読めるので、のび太はマンガを読みふける。そこへドラえもんが、ジャイアンから野球の誘いがあったことを知らせに来るが、のび太はグラスで雨雲が近くまで来ていることを知っていたのでそれを断り、いろんな人の生活を覗いて楽しむ。中に自分と同じようにゴロゴロしている人を見かけたが、のび太はおやつも食べずに観察を続ける。勉強しているしずかを見たのび太は自分も宿題をしていないことに気づき、答えを写すことにするが、しずかは途中でお風呂に入ってしまう。その様子を見たドラえもんはグラスを取り返そうとするが、のび太はどうしても返そうとせず、のび太は今度は遠い外国を見に行く。その時ママが洗濯物が足りないと言ってきた。先程の風でのび太のパンツが飛んでいってしまったようで、のび太がグラスで探すと、さっき見かけたゴロゴロしている男の部屋に引っかかっていた。慌ててアパートに取りに行くが、部屋に入るとなんと男は首吊り自殺をしようとしているところだった。のび太に止められた男は、借金だらけでどうすることも出来ないので死のうと考えたことを話す。するとそこに男のおじさんが現れ、借金は自分が返したと話し、子供の頃からゴロゴロ怠けていたからこういう事になると男を叱った。二人のやり取りを聞いていたのび太はふとわが身を振り返り、ドラえもんにグラスを返して勉強を始めるのであった。  

 (解説)道具の力でいい気になったのび太と、その反省を描いている作品です。オチに絡んでくる設定が「借金」というやけに現実的なものなので、のび太が受けたショックも大きかったのでしょう。ただストーリー自体は、状況がほとんどのび太のセリフによって説明されているために場面転換がほとんどなく、その割に注目すべきシーンなどもないので、ちょっと平板な印象を与えてしまっており、それが残念でした。
ドラえもんとドラミちゃん   18頁 コロコロ79年9月号
 いつものようにしずかや出木杉と一緒に下校するのび太だが、なぜかしずかが自分に対して冷たくなったような違和感を感じてしまう。しずかが出木杉のことを好きになってしまったらたまらないと、のび太はドラえもんに相談するべく、大慌てで帰宅する。
 すると部屋にはドラえもんの代わりにドラミがいた。定期点検整備で未来の世界へ帰ったドラえもんに代わり、のび太の世話をするためにやってきたのだと言う。しかしさすがにドラえもんより年下の、しかも女の子に色恋沙汰の相談をするわけにもいかず、のび太は止むを得ず自分で行動することにし、しずかを自宅へ誘う。しかししずかは出木杉の家に行くところだったため、簡単に断られてしまった。
 その話を聞いていたドラミは、しずかに家に来てほしいと言うのび太の気持ちを汲み取り、「カムカムキャット」を取り出して、しずかを家へつれてくることにする。出木杉の家に向かっていたしずかは、道具の力により、偶然野比家あての手紙を拾ったため、家まで届けることにする。
 そうとは知らないのび太は、しずかが出木杉と仲良くしている姿を妄想して1人悔しがるが、そこへ「よかん虫」に導かれ、やっとドラえもんが帰ってきた。だがのび太の困っている理由が単なるやきもちだったと知り、呆れながらも仕方なく「ゴーゴードッグ」を出してやる。これを使われると、対象の人物は家にいられなくなってしまうのだ。その通り、出木杉家の近くで道路工事が始まったため、騒音を避けて出木杉は家を出てしまう。
 その隙にのび太はしずかの家へ向かうが、入れ違いになる形でしずかが野比家に手紙を届けに現れ、そこにタイミングよく出木杉が通りがかったため、2人は結局一緒になってしまった。互いの道具のせいでこじれてしまったことを知ったドラえもんとドラミは、口論を始めてしまう。
 2人仲良くしずかの家に入っていくのを目撃したのび太は、またも悔しがりながら帰宅するが、部屋ではドラ兄妹がまだ口論していた。その時ドラミはネズミと嘘をついて強引にドラえもんを追い出し、その隙にのび太を連れ出してしまう。
 ドラミはしずかに何か欲しいものをプレゼントしてやることを提案し、「イメージ実体機」を取り出してしずかの家に向かう。部屋ではしずかが「馬に乗って広場を駆け回りたい」という夢を話しており、その話を真に受けたドラミは、道具で馬そのものを実体化させてしまう。しかし当然しずか達は仰天してしまい、仕方なくドラミはイメージを消す。
 そこへ現れたドラえもんは、次は自分の番とばかりに、選挙運動に使う「連呼マシン」を取り出し、しずかや出木杉の会話の中にのび太の名前を連呼させる。しかしここにきて今までの騒動がのび太達の仕業と知ったしずかが怒り出し、3人は慌てて逃げ出す。
 ドラミは改めてのび太としずかを2人きりにすることにし、ゴーゴードッグを使って野比家の他の人間を追い出してしまう。そして「ムードスタンド」を設置し、2人きりになるムードを整えたところで、カムカムキャットを使い、しずかを家へ誘い出す。しかしそのしずかと一緒に出木杉も野比家へ向かっていた。
 その時近所の家から電話がかかってきた。電話に出たのび太は話を聞いて仰天し、大慌てで飛び出していってしまう。ドラミも急いで後を追うが、誰もいなくなった家にしずか達がやってきてしまい、ムードスタンドを取り付けた部屋に入ってしまう。
 のび太の向かった家では、ドラえもんが倒れていた。空を飛んでいたら突然エネルギーポンプがおかしくなり、転落してしまったのだと言う。ドラえもんを背負い、急いで帰るのび太は、いつもつまらないことで世話を焼かせたためにこんなことになってしまったと、後悔の涙を流す。
 家ではすっかりいいムードになってしまったしずかと出木杉がおり、2人はさっさと帰ってしまうが、のび太は責任を感じるドラえもん達に、構わずに未来の工場へ行くよう勧める。大人になるまでにはきっと挽回してみせるというのび太の決意を聞き、ドラえもんも満面の笑みでエールを送るのであった。  

 (解説)今ではすっかり有名になった出木杉初登場のお話ですが、登場1コマ目からして、物語上の立場を明確に示している、その見せ方は実にうまいですね。今話での一連の騒動は「ロボットのガチャ子」にも通じるドタバタ劇ですが、ラストでのびドラの絆とのび太の強い一面もきっちり見せており、爽やかな読後感を与えてくれます。ネズミに仰天して逃げ出す時のドラの表情も絶品ですね。



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