ドラえもんプラス5巻


「スパルタ式にが手こくふく錠」&「にが手タッチバトン」 8頁 小五84年1月号
 お正月。年始ということもあって、いつになく晴れ晴れとした様子ののび太だが、何故かドラえもんは浮かない様子だ。今年は何かものすごいことがあるらしく、のび太が聞いてみるとドラえもんは恐れおののきながら、今年は「ネズミ年」だからだと説明した。
 それを聞いて大笑いするのび太を見て、ドラえもんは押入れに閉じこもってしまうが、いつも自分に言っていることを自分でも実践するようのび太に諭され、ドラえもんも自分で何とかしようと「にが手タッチバトン」を出す。しかし苦手を他人に移すだけの甘い道具はダメだと言われ、今度は「スパルタ式にが手こくふく錠」を出す。飲むと苦手なものが一層嫌いになり、そうすることで逆に嫌いなものに慣れさせていく道具なのだが、ためらうドラえもんにのび太は強引に薬を飲ませてしまう。ところがドラえもんはバトンですぐさま苦手をのび太に移してしまった。
 苦手を克服する覚悟を決めるのび太だが、ネズミ年のおじさんが来ただけで足がすくみ、顔を見ると逃げ出してしまう。さらに「根住」という名前の人やネズミ顔の人を見ただけで怖がってしまうのび太はしずかの家に逃げ込むが、しずかからハツカネズミを見せられて気絶してしまう。知らせを受けたドラえもんはのび太を連れて帰り、お互いに反省する。
 ドラえもんはのび太を押入れに隠して「ネズミ」の影響を与えないようにしていろいろ世話をするが、家に届いた年賀状に描かれてあるネズミのイラストを見て、のび太はまた仰天して大きな悲鳴をあげるのであった。  

 (解説)今話はとにかくのび太やドラのネズミに対する怖がり方が尋常ではありません。ものすごい形相と大声で悲鳴をあげるのび太の姿はこの上なくおかしいです。なぜこんな面白い作品が未収録なのかが納得いきませんね。「ネズミ年」だということで緊張したり、その理由をのび太に話す時の劇画チックな雰囲気など、ドラの方も魅力たっぷりに描かれています。
ユメコーダー   FF2巻 8頁 小六74年3月号
 空き地でしずかがどちらを好きかと言うことで口論するのび太とスネ夫は、しずかがどちらを好きなのか確かめることにする。
 しずかが紙飛行機に呼び出されて空き地へ行ってみると、のび太とスネ夫がそれぞれ空き地の端からしずかに声をかけてくる。どちらの方に寄ってくるかで、しずかの好きな相手を判断しようという2人の考えなのだが、知るべくもないしずかは困惑するばかり。しかし近くで同じようなことを犬にやっている親子を見て、2人の意図を理解したしずかは怒って帰ってしまった。
 話を聞いたドラえもんはくだらないと笑うがのび太にとっては重大なことであり、のび太はしずかと2人きりで暮らすという将来の夢を語る。その時ドラえもんが何か道具を出してのび太に向けた。ドラえもんが本体のテープを巻き戻して再生すると、何か画面が壁に映し出され、そこでは結婚したのび太としずかが一日中一緒にいる姿が映っていた。これはのび太が語っていた夢そのものなのだが、あまりに子供じみた内容にドラえもんも呆れてしまう。この道具は「ユメコーダー」という道具で、人の夢を録画することができるのだ。
 これを使ってしずかの夢を録画することにしたのび太はしずかの家に向かうが、途中でスネ夫に会ったのでスネ夫の夢を録画して再生してみる。そこにはしずかと結婚した大金持ちのスネ夫と、スネ夫に仕えるのび太が映し出されたのでのび太は怒り出してしまう。
 気を取り直してしずかの家に向かうが、ドラえもんは結果が悪い場合を考えて忠告する。それでもしずかの夢を録画した2人が家に帰って早速見てみると、そこにはキザなセリフを言うものの、顔が真っ白な男が映されていた。つまり、しずかが思い描く生涯の伴侶はまだ決まっておらず、白い部分にのび太の顔を入れるためにはもっと好かれるように努力しなければならないと、ドラえもんは諭す。
 しかし何もわかっていないのび太は映った男と同じように、白粉で顔を真っ白にしてしまい、それを見てドラえもんは更に呆れるのであった。  

 (解説)小六掲載ということもあって、「しずかは誰が好きなのか」というちょっと大人っぽい話が展開するのに対し、のび太たちの見る夢や取る行動があまりにも子供っぽいので笑えます。つまりしずかは今の所、子供っぽい周りの連中にはまったく興味がないという事で(笑)。あまり説教臭はないものの初の「小六3月号掲載作品」ということで、やんわりと卒業生に対してエールを贈っている作品です。
ないしょ話…   8頁 小三85年12月号
 空き地でみんなが集まって話をしているようなのでのび太が近寄ってみると、みんなは話を止めてすぐに帰ってしまった。のび太はみんなが自分の悪口を言っているのではと不安になってしまう。ところが相談しようにもドラえもんは夜になるまで帰ってこなかった。
 ドラえもんは「ミミダケ」を取りに高井山に行っていたと言う。ドラえもんはあまりのび太の話には耳を貸さずに、とってきたミミダケを「シャベリップ」の上に乗せる。するとそこから高井山の自然の音が聞こえてきた。ミミダケは音を栄養にして育ち、シャベリップの上に乗せると聞いた音を再生してくれるのだ。ドラえもんがそちらの音に夢中になっている間に、のび太はミミダケの菌糸を空き地の木の上に植えた。これでみんなの会話の内容を調べようと言うのだ。
 翌日、いつものように空き地で話をしているみんなの前を素通りしたのび太は、まわりこんでから通りぬけフープを使ってミミダケを回収した。シャベリップで聞いてみると、みんなはわざとないしょ話をしているように見せかけて、のび太をからかっていたのだ。
 さすがに怒ったドラえもんはないしょ話が出来ないようにと、ジャイスネに「あけっぴろげガス」を吹き付ける。すると2人は何でも大声で話すようになり、隠し事が出来なくなってしまうのであった。  

 (解説)この時期は子供たちの間で今までとは違う陰湿ないじめが問題になっていたせいか、ドラ世界でもこのようなテーマを扱った作品がいくつか描かれています。同様のテーマとしては「無視虫」がありますが、無視虫のほうに比べるとテーマ性は若干低いように思います。ですが、そう言ったいじめに近い行為を働く連中を、道具を使ってあざやかにやっつけるという痛快さをメインにしている点は同じですね。あけっぴろげガスの容器に「PERAPERA」と書かれているところが細かいですね。
エアコンフォト   10頁 小四89年3月号
 春が近いというのに寒い日が続く中、のび太は毛布に包まって昼寝をしていたがそこにジャイアンがやってくる。ジャイアンは昨年度のジャイアンズの成績が最下位であったため、根性を鍛えるためにシャツ一枚でトレーニングをしようと言い出したのだ。そこでドラえもんは「エアコンフォト」を出してのび太の写真を撮る。そして写真を毛布にくるむとのび太もなぜか暖かくなってきた。本人がどこへ行っても、周りの空気を写真のある場所と一緒にすることができるのだ。
 早速空き地に向かったのび太は調子に乗ってみんなの前でシャツまで抜いてしまい、ジャイアン達も負けじとシャツを脱いでマラソンを始めるが、雪が降ってきたのでさすがに中止になった。
 のび太はしずかに見せに行こうとするが、ママが毛布をクリーニングに出したときに写真が外に落ちてしまい、一気に寒くなってしまった。いくら暖かくしても暖まらないので、のび太はどこでもドアでしずかのお風呂の中に入るがそれでも暖まらない。帰ってきたドラえもんと一緒に写真を探すのび太だが、写真はジャイ子に踏まれたり車に轢かれたりしてしまい、さらにのび太の体から異臭が漂ってきた。その事から写真はごみ捨て場にあると察知した2人は急行するが、写真は風に巻き上げられてしまう。
 2人が空き地でたき火をしている横を通り過ぎた時、だんだんのび太は暖かくなってきた。しかし急に焼けるような熱さになったので、ドラえもんがたき火の中からようやく写真を見つけ出す。のび太は足の先が少し焦げてしまい、それでもそれだけで済んで良かったと安堵するのび太とドラえもんであった。  

 (解説)写真を求めてのびドラが走り回りながらも、のび太が何らかの被害をこうむってしまうと言う、どことなく前期のドタバタギャグ路線のテイストが感じられる話ですね。道具のネタ的には「のろいのカメラ」と同じようなものですが、こちらはさすがに最後期作ということもあって、毒気は控えられています。今回の道具が最後期の「カメラ道具」である事も記憶しておくべきでしょう。
人気歌手翼ちゃんの秘密   10頁 小六86年1月号
 人気タレントの伊藤翼に恋人がいるらしく、しかものび太の町の近所に住んでいるらしい。デートの現場を撮って週刊誌に売り込もうとするスネ夫だが、そんな話をしているうちに突然ジャイアンが怒り出す。歌手を名乗っているジャイアンにとっては、他の歌手ばかり話題に上るのは面白くないのだ。ジャイアンは自分の写真を週刊誌に売り込むようスネ夫に迫り、一応スネ夫もジャイアンの写真を撮ってはいたが、それはあまりにも恥ずかしい内容だったので破り捨てられスネ夫もギタギタにされてしまう。
 話を聞いたドラえもんは翼に会いたいがため、「特定人物レーダー」を使って翼専用のレーダーを設置する。その時のび太は妙な男を見かけた。通りがかったジャイアンが話しかけると、その男は週刊誌の記者と名乗ったため、ジャイアンはスネ夫やしずかに頼んで自分を売り込もうとするが、軽くあしらわれてしまう。
 一方翼を見つけた2人はその場所へ向かうが、その近くには先ほどの記者が近づいてきた。だがそこへ偶然ジャイアンが現れたために、翼も気づいて事なきを得る。
 翼の前に姿を現した2人は、サインをもらうことを条件に、どこでもドアで翼を目的の場所へ連れていく。すると翼が会おうとしていたその相手は、小学生時代の恩師であった。成長した今でも色々相談に乗ってもらっており、恩師に迷惑をかけないため、毎回ひそかに会いに来ているのだと言う。
 その頃先程の記者は翼の車を発見し、今度は木の上から周囲を調べるが、ジャイアンの歌に驚いて落っこちてしまい、翼の秘密は発見されずに済んだ。
 そして翼は2人にお礼を言って帰り、そんな翼をのび太とドラえもんは笑顔で見送るのであった。  

 (解説)これが事実上の「翼ちゃんシリーズ」完結編です(笑)。何故これが未収録なのかはよくわかりません。タレントという非日常的な世界に住む少女にひとときの安らぎを与えているとともに、話とは無関係に動き回るジャイアンをうまく本筋に絡めています。スネ夫がギタギタにされるところの「間」の間隔は絶妙で、爆笑必至です。
流れ星ゆうどうがさ   10頁 小三90年12月号
 夜、流れ星を見るたびに何かを言おうとするのび太。不思議に思ったドラえもんが聞いてみると、新しい電子ゲームが欲しいと願おうとしているのだが、言い終わる前に流れ星が消えてしまって困っているのだという。それを聞いたドラえもんは大笑いしてしまうがのび太は怒り出してしまったので、ドラえもんは流れ星を手元にもってくることができる「流れ星ゆうどうがさ」を出した。アンテナを空に向けて流れ星を見つけると点滅するので、ボタンを押して誘導し、傘の部分でつかまえるのだと言う。
 のび太もやってみるが最初の星は小さすぎて途中で燃え尽きてしまい、次は大きすぎたので慌てて誘導を解除する。飽きたドラえもんは先に部屋に戻るが、のび太はついに星をつかまえた。早速祈ろうとするがなんとその星から助けを求める声が聞こえてきた。これはSOSカプセルで、どこかの宇宙人が助けを求めていると言うのだ。
 早速2人は宇宙救命ボートで救出に向かい、宇宙人と出会った2人は星へ連絡して迎えをよこしてもらう。さらに宇宙人は別れ際にお礼として、立体体感電子ゲームをのび太にくれた。
 後日、話を聞いたジャイアンとスネ夫は早速かさを借り、獅子座の方角から降り注ぐ流星群を集めようとするが、一度にたくさんの星が降ってきたので2人は星に当たって痛がるのであった。  

 (解説)最初はオーソドックスな展開が続くかと思いきや、いきなり宇宙規模の話が登場して、宇宙の漂流者を助けてしまうという、ドラえもんらしいナンセンスな世界が登場しています。舞台のほとんどが野比家の屋根の上だったりするので、結構移動の激しい後期作の中では珍しい作品でもありますね。助けを求めた宇宙人がチンプイに似ているのはご愛嬌でしょうか?
イイナリキャップ   FF2巻 13頁 小五73年12月号
 ゴミ捨て場に大きな箱が捨てられているのを見つけたのび太が開けてみると、出てきたのはなんとジャイアンが飼っているムクであった。ジャイアンは言うことを聞かないので捨てたのだと言う。落ち込むムクに同情した2人は何か訓練してやろうと「イイナリキャップ」を出す。矢印のついている方のキャップをのび太がかぶり、もう片方をムクにつけると、のび太の命令にはどんなことでも逆らえなくなるのだ。のび太は早速犬が行う一般的な芸をやらせてみるが、ムクは意外にもそれをあっさりこなし、道具の力で話せるようになったムクは、ジャイアンは無理なことばかり言って自分を困らせるが、自分を小さい頃から育ててくれたジャイアンが今でも大好きだと言う。ドラえもんはジャイアンを説得することにしてムクと一緒に出かけ、別れたのび太はキャップでもっと他の動物を操ってみたいと思うが、そんな時のび太は空き地でライオンを発見した。
 にわかにはその事実を認めないのび太だが、現にライオンはそこにいる。追いかけられた際にキャップをライオンにくっつけたのび太は、ライオンを使ってみんなに芸を見せるが、みんなはぬいぐるみだと言って信用しない。そうしているうちにキャップが取れてしまったので慌ててくっつけるが、間違えて矢印のキャップの方をライオンにつけてしまったので逆らうことが出来なくなってしまう。言われるままに家に戻るのび太だがママはメガネを外していたために気づいてくれない。しかも一旦家に戻ったドラえもんも再びムクと出かけてしまい、のび太はライオンの所に食べ物を持って行くが、ライオンは更にのび太を食べようとする。だがライオンはケチャップがないと食べられないと言うのでのび太はケチャップを買いに行く。
 その時偶然ジャイアンがキャップを取って自分につけてしまったため、ジャイアンがライオンの下に行ってしまう。ジャイアンを食べようとするライオンだが、そこに現れたムクが必死に抵抗し、そのスキにドラえもんがスモールライトで小さくした。警官も来て騒ぎとなるが、そこに現れたライオンの飼い主は無責任なことを言ったので警察に連れて行かれる。そして身を呈して自分を守ってくれたムクに感謝するジャイアンは、ムクと一緒に家に帰っていくのであった。  

 (解説)中盤ののび太とライオンのやり取りは結構面白いですね。ライオンのことを知らせたいのに誰にも教えられないところがスリリングな雰囲気を出しています。ジャイアンとムクに関しても、ラストでライオンの飼い主を登場させることでうまく対比の関係を作っています。しかしママも、家の中におししが入ってきた時点で怪しいと思えよ(笑)。
そうなる貝セット   8頁 小二86年1月号
 難しい宿題をどっさり出され、辟易気味のジャイアン達。のび太はしずかと一緒に頑張って宿題をやろうと、珍しくやる気を出していたが、ジャイアンとスネ夫に茶々を入れられ、すぐさまやる気をなくしてしまった。
 帰宅して部屋でふて寝するのび太だが、その時ストーブもないのに部屋の中が暖かいことに気づく。それはドラえもんが背中に「アタタ貝」という貝をつけているためだった。これは「そうなる貝セット」という道具セットの1つで、様々な種類の貝を体につけると、その名前通りの行動を取るようになるのだ。ドラえもんがのび太に「やり貝」をつけると、のび太はみるみるやる気が出てきて、あっという間に宿題を終わらせてしまう。
 喜んだのび太はしずかにやり貝を貸そうと出かけるが、途中で出会ったジャイアンに貝のことをベラベラ話してしまったために、取り上げられてしまう。怒ったドラえもんは懲らしめるために「とり貝っこ」をすることにし、かたづけラッカーで姿を消して、ジャイアンの出かけたスネ夫の家に忍び込み、ジャイアンのつけていたやり貝を「マチ貝」と取り替える。するとジャイアンのやっていた宿題は間違いだらけになり、さらにスネ夫につけた「オタ貝」の影響で、スネ夫の宿題も間違いだらけになってしまった。
 頭を冷やすために空地でキャッチボールを始める2人だが、ここでもジャイアンの貝を「ヤッ貝」と取り替えたために、神成さんの家の窓ガラスを割ってしまう。2人は慌てて逃げるが「ジコショー貝」をつけられたため、ジャイアンは正直に神成さんに名前を名乗る羽目になってしまった。気の済んだのび太は改めてやり貝をしずかに渡しに行くことにし、ジャイアン達の仕返しを懸念したドラえもんは、のび太にある貝を2つ渡す。
 貝のからくりに気づいたジャイアン達は予想通りのび太を追いかけるが、ドラえもんに渡された貝をのび太が貼り付けると、なぜか2人は競争を始めてしまう。いつまでも走り続ける2人を不思議に思うのび太に、ドラえもんはあの貝の名前が「ウンドー貝」だと、笑顔で応えるのであった。  

 (解説)「かい」という言葉に引っ掛けた、言葉遊びの応酬が楽しいですね。個人的には「運動会」まではやりすぎではないかとも思いますが、それぞれの貝によって引き起こされる出来事と、それに対しての各人のリアクションが笑える一編になっています。
三月の雪   11頁 小四76年3月号
 スキー板を買ってもらったのに、スキーが出来ないうちに春が来てしまったとがっかりするしずか。そこでのび太はしずかのために、ドラえもんに頼んで「お天気ボックス」で雪を降らせようとする。
 気乗りしないもののドラえもんは道具を出して操作するが、どうやら機械は壊れているようで、うまく動かない。ドラえもんは諦めて立ち去ってしまうが諦めきれないのび太は家のテレビと同じように叩いてみる。するとなんと雪が降ってきた。これにはさすがのドラえもんも舌を巻き、のび太に賛辞を送らないわけにはいかなかった。
 翌日、積もった雪の中を空き地へ向かうのび太だが、空き地ではしずかや他のみんなが既に遊んでおり、のび太が雪を降らせたとは知らないみんなはのび太を邪魔者扱いしてしまう。怒ったのび太は雪を止ませることにするが、今度は機械をどういじっても雪が止まない。直してもらおうにもドラえもんもおらず、途方にくれるのび太。
 さらに雪が降ったためにいろいろ困っている人たちを見かけたのび太は責任を感じ、自らすすんで雪かきを始める。それを見たスネ夫達は図々しくも自宅の雪かきをのび太に頼むが、全て自分の責任だと思い込んでいるのび太はそれも引き受けた。
 しかしさすがにくたびれ果ててしまい、部屋に帰ってくるもドラえもんはまだ戻ってきていない。焦るのび太だがそこにようやくドラえもんが戻ってきた。
 話を聞いたドラえもんは機械を修理しようとするが、実は機械は元から壊れており、雪は自然に降ったものだったことがわかる。安心した2人はもうすぐ雪が止むというニュースを聞きながら遊びに出かけ、ジャイアン達の雪かきの催促も断って、雪だるまを作って遊ぶのであった。  

 (解説)新しい道具を登場させていないことからもわかるように、今話はストーリー重視の話です。と言っても特に見所といったシーンもなく、際立ったギャグが出るでもなく、終始おとなしい感じの作品になっていますが、同時に読後は暖かい気分にさせられる話です。その理由は、一人で雪かきを淡々と続けるのび太の姿に集約されているのかもしれません。この時期ではいつになく非情?なしずか達三人の姿が、良い対比となっています。
まほうの地図   FF6巻 9頁 小二71年4月号
 朝っぱらから何事かで大騒ぎするパパ。出張で大阪へ行く予定だったが、寝坊して電車に乗り遅れてしまったのだ。
 そこでドラえもんは1分で大阪へ連れて行くと言ってパパを廊下へ連れ出すが、不思議に思ったのび太が行ってみると2人の姿が消えていた。と思うと突然空中から丸まった紙が落ちてきて、中からドラえもんが出てくる。その紙は「まほうの地図」で、行きたい所に印をつけて体に巻くと、目的の場所へすぐに行くことが出来るのだと言う。パパもこれで送ったのだ。早速のび太はどこかへ行こうとするが、外国のような遠い所に行くのを怖がって結局スネ夫の所に行くことにしてしまう。
 スネ夫の家ではスネ夫が遊びに来ていたしずかにシュークリームをあげるところだった。うまいものがあるとドラえもんが来るので早く食べさせようとしているところにドラえもんの声が聞こえてきたので、スネ夫は仕方なくドアを開けるが、2人は洋服ダンスの中から出てきたので驚いてしまう。
 4人はおやつを食べながらテレビのお花見中継を見るが、スネ夫が花見のことを自慢したので2人は10分で行くと言って出て行ってしまう。もちろんスネ夫達は信じないが、テレビ画面に2人が現れたのを見て仰天してしまった。地図を裏返して巻きつけることで帰ってきた2人はスネ夫の様子を見るが、スネ夫は2人が行ったと信じようとしない。
 そこで2人は次の中継地にも行ってテレビ画面に映ってしまったので、スネ夫は混乱してしまう。しかし2人が移動する所をスネ夫が目撃して一緒に来てしまった。テレビで3人のケンカが映されるのを見て驚くしずか。
 スネ夫は2人から地図を奪い取って適当な地図に印をつけて移動してしまう。しかしそれは地球の地図ではなかったため、どこかの星に移動してしまったのでスネ夫はまたまた仰天してしまうのであった。  

 (解説)これに限った話ではないですが、初期の秘密道具は「機械」ではなく文字通りの「道具」だったので、名前が「まほうの〜」となっている場合が多いですね。今回の話は初期作らしいドタバタ調に終始していますが、さりとて特に目を引くような所がないのが残念です。「うまいものがあるとドラえもんが来る」などというスネ夫の考え方は、初期作ならではのものですね。
いたわりロボット   FF4巻 8頁 小五75年10月号
 新しいあやとり「銀河」を完成させたのび太はパパに見せに行くが、その時弾みでパパにぶつかってしまい、茶碗を割ってしまう。これで一週間の間に3個も茶碗を割ってしまったのび太はこっぴどく叱られ、自分に対してすっかり自信を無くしてしまった。ドラえもんが慰めようとしても口がヘタなのでうまく行かず、ドラえもんは慰めるために「いたわりロボット」を出した。縁側で座り込むのび太の許にロボットがやって来て、茶碗を割ったことや女の遊びであるあやとりをすることなどをすべて正当化してのび太を元気づける。ドラえもんがスイッチを切るとロボットは小さくなって停止した。
 のび太は自分に自信を持ったように見えたが、ママの一言であっという間に自信を無くし、またロボットに慰めてもらいたいと言う。ロボットは勉強などせずに遊ぶことを優先しろともっともらしいことを言ってのび太を慰めるが、今度はのび太はロボットを持っていってしまう。しずか達にあやとりを披露するがそれをジャイアン達にバカにされ、またロボットに慰めてもらう。
 そんなのび太の様子を危惧したドラえもんは、このままの状態でのび太が大人になったらどうなるかをタイムテレビで見せる。するとそこには物乞いの姿に落ちぶれてしまった大人ののび太が映し出されていた。やはり人間の成長には厳しく叱ってくれる人も必要なのだ。驚愕したのび太は厳しいロボットを出すよう頼み、ドラえもんは「しごきロボット」を出すが、今度は問題300問を解かせようとするなどあまりにも厳しすぎるので、その極端さにのび太は困り果ててしまうのであった。  

 (解説)作品中でドラも言っていますが、「人間の成長には厳しく叱ってくれる人も必要だ」って事でしょうね。もちろん厳しいだけでは危険なのでいたわる方も重要になるんでしょうが、ドラの出すロボットは両極端なロボットが多いようで。自分に自信が持てないと言うのび太の悩みは同情できますけどね。個人的には扉絵の座り込んでるドラが一番面白いです(笑)。
架空通話アダプター   FF5巻 10頁 小六77年11月号
 電話の前で何やら考え事をしているのび太は、電話をかけようとするが出来ずに受話器を置くという行為を繰り返していた。ドラえもんが聞いてみるとジャイアンに貸した漫画を返してもらうために電話をしようとしているのだが、失敗すると永遠に返してもらえなくなるため、対応の仕方に困っていると言う。
 そこでドラえもんは「架空通話アダプター」を取り出した。機械が相手の代わりをして本物そっくりに応対してくれるのだ。早速ジャイアンにかけると機械相手なのにも関わらずのび太は緊張するが、ジャイアンがマンガを返しに家へ向かっているということを聞いて安心する。ところがやってきた本物のジャイアンに余計なことをベラベラと言ってしまったためにジャイアンを怒らせてしまい、マンガは再び持っていかれてしまった。
 ドラえもんは諦めずに何度も挑戦しろと説得し、のび太は泣き落としやおだてなどいろんな作戦で機械のジャイアンと話してみる。そしてついにのび太がケンカ腰でせめると、ジャイアンはマンガを返すことを約束してくれた。早速本物のジャイアンにも同じ方法を使うことにするが、テストの時とセリフが違ったためにジャイアンは余計怒ってしまう。
 マンガが返ってこないことに絶望して泣きわめくのび太を元気づけるため、ドラえもんはアダプターを使って歌手の河合可愛と話をすることを勧める。急いで家に帰る2人だが、家ではママがアダプターがついたままの電話を使って小学校時代の友人と会話をしていたので電話が使えない。しかしそこに当の友人が訪ねてきたため、ママが電話を離れたので、のび太は電話を使って河合可愛とたっぷり話をする。
 しずかも呼んで3人でいろんな人と話し、その様子をしずかはジャイアン達に話す。のび太は調子に乗って機械のジャイアンに対してケンカを吹っかけるが、そこに本物のジャイアンがやって来たので仰天してしまう。しかしジャイアンはマンガを返す代わりに河合可愛と話をさせて欲しいと頼み込んできたのであった。  

 (解説)マンガを取り返すためだけにのびドラが奮闘するという、いかにもドラ世界らしいミニマムな設定の下に発展している話です。例によってマンガを取り返そうとするのび太のオーバーアクションが面白いですね。難点と言えば中途でママが電話をしているシーンは展開上どのシーンとも連鎖していないので、単なるページ稼ぎのように見えてしまうところです。なおFFランド版はラスト1ページが丸々描きかえられているので、もしかしたら初出時と展開が多少異なっているかもしれません。
無視虫   8頁 小三86年2月号
 のび太を殴った事で母ちゃんに叱られてしまったジャイアンは、仕返しにまたのび太を殴ろうとするがそこへスネ夫が入れ知恵し、友人全員を含めてのび太を徹底的に無視する事にしてしまう。友達全員に無視されて悲しむのび太。
 その陰湿なやり口に激怒したドラえもんはジャイアンとスネ夫の下に向かうが、ドラえもんはなぜか無視する事を勧めた上で「無視虫」を取り出した。無視しようと決めた相手に構うと、取り付いたこの虫に刺されてしまうのだ。ドラえもんは2人に虫をたからせたところで、のび太にしつこく付きまとうよう指示する。
 早速後を追ったのび太に構った2人は虫に刺されてしまい、2人は別れて家に戻るがのび太は通りぬけフープを使って家に侵入し、最初にスネ夫のおやつを食べたり日記を読んだりして、怒ったスネ夫はまた虫に刺されてしまった。次にのび太は自宅のトイレでおしっこをしようとしていたジャイアンを覗いたので、ジャイアンは怒るがそのために虫に刺されてしまう。さらにのび太が0点の答案を見つけたので取り戻そうとして虫に刺され、その拍子におしっこを漏らしてしまった。
 困り果てた2人は虫を取ってくれるよう頼み込むが、そんな2人を思いっきり無視して歩くのび太とドラえもんであった。  

 (解説)「ないしょ話…」と同じくいじめをテーマにしている話ですが、別に重苦しい雰囲気になっているわけではなく、むしろ仕返しするのび太の姿を小気味良く描いています。虫が意外に可愛らしいデザインなのも特徴ですかね。いじめ問題と言うのは現在でも解決されていない問題ですが、今作でも明確な答えとか対処法が出ているわけではありません。しかし「無視」という相手の尊厳を踏みにじるような行為を働いた人間に対し、「そんなことをするやつは人間のくずだ!」とまでドラに言わせた原作者の思いは理解するべきではないでしょうか。
こうつうきせいタイマー   8頁 小二87年4月号
 のび太を外で遊ばせるため、自動的にバランスを取ってくれる「バランスローラースケート」を出すドラえもん。のび太も最初こそ半信半疑だったものの、転ばないことを確認し、安心して外に出かける。
 しかし道路では人や車の通りが激しいので遊ぶことが出来ず、仕方なく空地へ行っても、空地も一時的に工事の荷物置き場になってしまっており、どこでも遊べないのび太は家へ帰ろうとしてしまう。
 そこでドラえもんは「こうつうきせいタイマー」を取り出した。このタイマーを道路にセットしておくと、設定した時間の間だけ誰も通らなくなると言うのだ。試しにタイマーを一時間にして設定すると、早速その道路に車や人が近づいてきたが、人も車もそれぞれの理由で、道路を通ることなく走り去って行った。
 のび太達4人は思い思いのスタイルで遊びを満喫し、元気に走り回るみんなの姿を見て、ドラえもんも笑顔を見せる。一時間が経ったので道具を片付けようとするドラえもんだったが、のび太達に延長をせがまれ、しかたなく時間を延ばす。しかし次に1時間経ってもせがまれ、さらにまた延長しても時間が来たらせがまれてしまったので、さすがにドラえもんも怒って今日のところはこれで終わらせることにした。
 遊び終わって家に着いた2人が見たものは、家の前の道路の異様な混雑振りだった。みんなの遊んでいた道が通れないために、いつも以上に混み合う羽目になってしまったのだった。

 (解説)道路で思い切り遊ぶと言うのは、子供にとって身近な夢の1つではないかと思います。それを簡単に実現させる道具が登場するためか、今話のドラも自分から積極的に道具を出しているのが印象的ですね。あちこちが混み合っているために遊べなかったのび太達が、ラストのオチで自分達が混雑の原因になってしまっていたと言う、ちょっと捻ったオチもユーモア溢れるものになっています。
かんしゃく紙   7頁 小二80年10月号
 道を歩いていたのび太は、突然ジャイアンとスネ夫にかんしゃく玉を投げつけられ、仰天したのび太は慌てて靴も脱がずに家に駆け込み、ママに叱られてしまう。悔しがるのび太にドラえもんは仕方なく「かんしゃく紙」を出してやる。これをちぎって丸めれば、かんしゃく玉とまったく同じになるのだが、試しに使ってみればのび太が驚いてしまう始末で、やむを得ずドラえもんも仕返しを手伝うことになった。
 空地にいたジャイアン達に早速ぶつけようとするのび太だが、うっかり転んだ拍子に紙を落としてしまい、また自分で驚いてしまう。今度はドラえもんがかんしゃく紙で紙飛行機を作り、ジャイアン達に投げつけるが、風によってこちらに戻ってきてしまい、結局2人にぶつかってしまった。
 そうこうしているうちにジャイアン達は空き地を出てしまったので、ドラえもんは2人が通りそうな道に先回りして、紙をあらかじめ撒くことにした。しかし道端の10円玉に気をとられた2人は、紙の撒かれていない端を通ってしまい、さらにそこへしずかがやってきたので、止めようとしたのび太がまたもかんしゃく紙を踏んでしまった。
 今度こそと2人はジャイアンの家の玄関先に紙をばら撒くが、ちぎった紙がすべて風に乗って町中へ散らばってしまい、町の至る所でかんしゃく紙の騒ぎが起きてしまう。その話を聞いたママは激怒してかんしゃくを起こし、この爆発が一番すごいと呟く2人であった。  

 (解説)悪乗りしすぎてしっぺ返しを受ける、という定型的な話ではなく、仕返しも成功させていないのに道具のせいでひどい目にあうという、のび太にしてみれば救いのない話です(笑)。あの手この手で復讐しようとして失敗するのびドラの間抜けっぷりが最大の見所ですが、個人的には『野比さんとこのへんなロボットがばらまいてたよ。』という町の人のセリフも好きです。
「合体ノリ」でハイキング   FF3巻 10頁 小六76年8月号(合体のり)
 縁側に座り込むのび太の許に変な姿のイヌが現れ、いきなり人間の言葉で話し始めた。そのイヌに寝坊してハイキングに行けなかったことを悔しがっていると指摘されたのび太は、最初こそ強がりを言うものの、やはり悔しくて泣き出してしまう。
 その時イヌが震えだしたかと思うと、なんと普通のイヌとドラえもんとに分離した。ドラえもんは「合体のり」を使ってイヌと合体していたのだ。このノリで他の動物と合体することで、その動物の能力を自分の物として使うことが出来るようになるのである。
 2人はこれを使って伝書鳩を飼っている友達から鳩を借り、のりを使って鳩と合体し、みんなが行った山に向かう。突然現れた2人に驚くジャイアン達だが、とりあえず5人一緒にハイキングを開始する。
 だがすぐにのび太は疲れてしまったため、2人は近くにいた野ウサギと合体して頂上に向かい、偶然それを目撃したスネ夫は仰天してしまう。
 頂上に着いた5人は小川で泳ぐことにするが、のび太は泳げないので仲間外れにされてしまう。2人を無視してジャイアン達は泳ぎに行くが、そこに現れたのび太は猛スピードで泳ぎだし、追って来たジャイアン達を水の中に引きずり込んでしまう。のび太は魚と合体していたのだ。
 たくさん遊んで帰路につく5人だが、帰りのバスが来た時点で2人はお金を持ってきていないことに気づく。ジャイアン達は無視して先に行ってしまうが、2人は残ったしずかにあるお願いをする。それはのりで3人いっぺんに合体してほしいというもので、合体して現れた姿を見てジャイアン達も驚くのであった。  

 (解説)てんコミ収録版のものとは展開も道具の効能も違っていますね。てんコミ版ではドラ頭のヘビがインパクトありまくりでしたが、今話の方が「ドラ+のび+しず」などを始め、ビジュアル上のインパクトが大きいです。もしかしたらこのへんも未収録になった原因でしょうか?しかし3人いっぺんに合体したのに、「子ども一枚」はないだろう(笑)。
ペンシル・ミサイルと自動しかえしレーダー   FF35巻 10頁 小四82年10月号
 またジャイアン達にいじめられたのび太にドラえもんは「チャンピオングローブ」を貸そうとするが、のび太はいちいち出かけるのも面倒なので、いつでもどこでも簡単に仕返しできるものが欲しいなどと、図々しいことを言い出す。その態度にあきれ返ってしまうドラえもんだが、それでも「ペンシルミサイル」を出してやった。先端を引っ張ってセットし、あとはボタンを押すだけで目標に命中するのだ。早速空き地にいたジャイアン達を吹っ飛ばしたのび太は、さらにもっとたくさんのミサイルを設置する事にし、昼寝しているドラえもんのポケットから30個のミサイルと5個のボタンを取り出し、とりあえず20本セットした。
 のび太は早速悪さするジャイアン達を攻撃し、たまりかねた二人は家に帰ることにするが、のび太はジャイアンの後を追うことにする。しかしのび太を怪しんでいたスネ夫が一人でのび太の家に行ってみると、庭には余ったミサイルが置かれていたので全部盗んで裏山にセットしてしまう。それを聞かされたのび太はドラえもんに助けを求め、ドラえもんは空中を怪しいものが飛んでくるとすぐにキャッチして自動的にミサイルを発射する「自動しかえしレーダー」をミサイルに取り付ける。
 しかしそれを見ていたジャイアンとスネ夫もこっそりとレーダーを持ち去ってしまった。ドラえもんはレーダーを取り付けたことを二人に宣告するが、ジャイアン達もそれを取り付けたことを話し、どちらが発射してもただではすまないことを悟った4人はケンカを止めることにし、ボタンを捨てて野球で遊び始める。
 しかしジャイアンの打ったフライの球をレーダーがキャッチし、4人の頭上に合計26発のミサイルが迫ってくるのだった…。  

 (解説)なんかケンカというよりはまるっきり戦争の構図ですね。あちらが強力になったからこちらも軍備を整える。そう言ったいたちごっこを巧みに揶揄しているような感じがしなくもありません。そしてそう言った行為のしっぺ返しとして訪れるラストの結末。最後まで描いていないが故に不気味さが際立っており、後期作品の中でも異彩を放つ話になっています。
強力ウルトラスーパーデラックス錠   10頁 小三89年9月号
 またまたジャイアンにぶん殴られてしまうスネ夫。スネ夫を心配するのび太だがスネ夫は逆にのび太に八つ当たりして殴ってしまった。怒ったのび太は自分よりも弱い人を見つけて自分も八つ当たりしようと考えてしまい、小さい子供が通りがかったのを見て思わず手を出しそうになった自分の思考を恥じる。その子はしずかの親戚の子供だったので安心するのび太だが、それでも強くなりたいという気持ちは消えない。そんな時に帰宅するとドラえもんが未来から来た押し売りを必死に断っていた。ドラえもんは見本においていった薬も捨ててしまうがのび太が拾ってみると、それは「強力ウルトラスーパーデラックス錠」と言って、飲めばウルトラスーパーデラックスマンのようなパワーを身につけることができるという薬だった。早速飲んでみたのび太は空を飛んでジャイアン達の下に向かうが、なぜか突然効き目が切れてしまい、コテンパンにやられてしまう。
 のび太が飲んだのは見本だったので効き目は3分間だけだったため、のび太は改めて製品を注文する。ところが薬が届く前にしずかがいなくなった子供を捜して欲しいと頼んできたので、仕方なく付き合うことになってしまう。さらにその間に当の子供がのび太の部屋に入り込んで、配達された薬を飲んでしまった。帰ってきたのび太は部屋がメチャメチャになっているのを見て驚き、空を飛ぶ子供を捕まえようとするが、軽くはらわれただけで裏山にまで吹き飛ばされてしまう。話を聞いたドラえもんと一緒に探すと子供はトラックを使って遊ぼうとしていたので、ドラえもんは普通の「ロリポップ」で子供をあやし、その間に効き目を消す薬を買いに行く。
 ところが飴がなくなると子供はまた不機嫌になってしまい、のび太はそこへやってきたしずかに子守唄を歌ってもらう事にする。しずかの子守唄で子供はうまく眠り始めるが、そこへ事情を知らないジャイアン達が大声で歌を歌おうとしてきたので、怒って我を忘れたのび太はなんと逆にジャイアン達をやっつけてしまうのであった。  

 (解説)冒頭の展開は「けんかマシン」に似ている部分がありますが、話自体は完全な別物になっています。テーマと言うか訴えたい部分としてはラストのドラのセリフの通り、「切羽詰まると信じられない力を出す事ができる」と言うものなんでしょうが、それ自体はメインになっているわけではなく、子供に振り回されるのびドラの方を中心に据えていますね。しかしこんなところで「ウルトラスーパーデラックスマン」の話を持ち出すとは、F先生恐るべしですな(笑)。
ざんげぼう   7頁 小二85年4月号
 空地を通りがかったのび太に、サッカーボールをぶつけようとするジャイアン。しかしボールはのび太をそれて、そのまま近所の家の窓ガラスを割ってしまう。ジャイアン達はのび太のせいにしてその場を立ち去り、そのためにのび太は家人に怒られる羽目になってしまった。
 話を聞いたドラえもんも怒り、「ざんげぼう」を取り出す。これをかぶった状態で自らの罪を10秒以内に認めないと、帽子から大量の水が噴出してくるのだ。水が出てくるだけと言う話を聞いて、効果を疑うのび太。そこへママが玄関のドアが開きっぱなしだと注意にやってきたので、のび太はとっさにドラえもんがやったと嘘をつく。ドラえもんはすぐに帽子をかぶせ、のび太は10秒経っても嘘を認めなかったため、帽子から噴出した大量の水を浴びてしまった。
 道具の効果を身をもって味わったのび太は、早速スネ夫に帽子をかぶせ、先ほどの罪を認めさせようとする。スネ夫はもちろん素直に認めるはずもなく、やがて10秒経って水をかぶることになり、そこに至ってようやくスネ夫は謝った。しかしスネ夫は先回りしてジャイアンに帽子のことを密告する。
 のび太は待ち構えていたジャイアンに帽子をかぶせようとするが、ジャイアンはバットで帽子を打ち返してしまう。あせるのび太達だが、帽子は自然にジャイアンの上にかぶさり、追い払おうとしても決して離れない。そこでジャイアンは空地の土管の中に逃げ込むが、10秒後に帽子はその土管の中に水を流し込み、ジャイアンは押し流されてしまうのだった。
 喜んで帰宅したのび太だが、ママから庭の水撒きを頼まれ、思わず宿題があると嘘をついてしまう。帽子をかぶせると脅かしたドラえもんの言葉に名案を思いついたのび太は、あえて帽子をかぶって水を出させ、自分は傘を差して濡れないようにしつつ庭を歩き、帽子から出てくる水で庭の水撒きを行ってしまうのであった。  

 (解説)当時の人気テレビ番組を繁栄している道具ですねえ(笑)。それはさておき、今話はのび太へのいじめ→仕返し→道具の意外な利用という、テンプレートどおりの展開になっており、それぞれのシーンを小気味よく描いています。意外性のないストーリーではありますが、キャラが生き生きと描写されているので素直に楽しむことができる一編になっています。
45年後・・・・・・   10頁 小六85年9月号
 年に二度か三度の、のび太大反省の日が再びやってきた。やる気満々で下校するのび太はジャイアン達からの野球の誘いも断るが、逆に2人にバカにされたために早々にやる気をなくしてしまう。
 家でいつも通りに昼寝をしようとするのび太だが、何故か昼寝用の座布団がすでに取り出されており、読みかけのマンガが机の上に置きっぱなしになっていた。さらにのび太のおやつも誰かに食べられてしまっており、機嫌を損ねたのび太は裏山へ行って心を落ち着かせようとするが、いつもの場所には見たこともない初老の男が寝そべっていた。のび太の名前をズバリ言い当てたその男は、何と自分が45年後の世界から来たのび太自身だと言う。
 そこへドラえもんが「入れかえロープ」を持ってやってきた。45年後ののび太は、遠い少年時代の雰囲気をもう一度味わいたくて、ドラえもんに無理を言ってこの時代までやって来たのだ。現代ののび太の姿と入れかわった45年後ののび太は、喜んで街中を散歩する。現代ののび太は自分が将来どんな人生を歩んでいくのか聞こうとするが、知るのを怖がって聞くのを止めてしまった。
 途中で野球に誘われたのび太は喜んで参加するが、45年経っても運動神経は鈍いままのようで、ヘマばかりやらかしてしまう。怒るジャイアンだが、のび太は「大人」の立場から2人に話しかけたために、ジャイアン達は調子を狂わされてしまう。次にしずかを見かけた45年後ののび太は涙を流して喜び、未来の彼らの息子であるノビスケがスペースシャトルで月へハネムーンに行ったことを話すが、わけのわからないしずかは困惑するばかり。
 帰宅したのび太は宿題をしていなかったためにママに叱られてしまうが、それさえも懐かしんだ45年後ののび太はまたも泣いて喜び、帰宅したパパと会っても喜び、お袋の味に舌鼓をならす。
 一日が終わり、未来に帰ることにした45年後ののび太は、お礼に宿題を手伝おうとするが、現代ののび太はそれを断った。それを見て感心した45年後ののび太は、これからの人生でどんなに大変な目にあってつまずいても、そのたびに立ち直ることが出来る強さをのび太自身が持っているということを話し、未来に帰っていった。それを聞いて少し未来に希望を持ったのび太は、進んで宿題を始めるのであった。  

 (解説)今までにも「大人ののび太」が出てくることは多々ありましたが、ここまで高齢ののび太が出てきたのは最初で最後です。今話は初老の域に差しかかったのび太が昔を懐かしむというノスタルジックな面を強調していますが、やはりそれ以上に伝えたかったことは、のび太という少年のある意味での「成長物語」の決着だったのではないでしょうか。もちろんこれからのび太がどんな人生を歩むかはまったくわかりません。しかし、どんな人生を歩んでもそれに立ち向かっていける強い心をずっと持ち続けている事が出来る。そういう人間にのび太は成長したのです。思えば初めてドラがやって来た時、のび太の運命は悲惨なものでした。それを変えたのはドラの介添えもあるのでしょうが、一番の理由はのび太自身の内なる成長だったと思います。目には見えない、しかし確実な成長を具現化した存在として、「45年後ののび太」は描かれたのではないでしょうか。紆余曲折はあったにせよ、ささやかな幸せを得ることが出来た45年後ののび太。それは言いかえれば、どんな人でも必ずささやかな幸せを手にすることが出来るという、作者からの優しいメッセージだったのかもしれません。



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