のび太と雲の王国

☆ストーリー概略

 天国の存在を信じるのび太はいっそ自分で天国を作ろうと、ドラえもん達と協力して雲の王国を作り始める。そんな中、のび太達は雲の上に住む天上人と遭遇し、さらに彼らが汚れた地球環境を改善すべく、地表すべてを洗い流す「ノア計画」を実行しようとしていることを知る。頼みのドラえもんが故障してしまって窮地に陥るが、回復したドラえもんは天上人の計画を止めるべく、雲もどしガスを使った脅迫を行う。しかしそれを悪人にのっとられてしまったために、ドラえもんは責任を取るべくガスの入ったタンクに特攻。その後、のび太とドラえもんが今まで助けてきたたくさんの動物や仲間たちの援助もあって、ノア計画は回避されるのであった。

☆予告編 (ビデオに収録されているものを参考にした)

 極めてオーソドックスな予告編。ほとんど本編映像が使われているが一部オリジナルもあり。絶滅動物の登場シーンでは名前が字幕で紹介されている。なおビデオには収録されていないが、本編映像バージョンが完成する前の予告編では天上界に関する童話の1シーンがアニメになって挿入されていた。その時のナレーターは小林清志氏。

☆原作と映画の違い (原作はてんとう虫コミックス版を参考とした。コロコロ連載時を参考とする場合はその都度説明する)

 ・東宝マークが出る時、今回は東宝創立60周年のロゴが入る。
 ・映画の一番最初に、「製作総指揮 藤子・F・不二雄」のテロップが入る。
 ・冒頭の天上人達の無人島調査の時、映画ではコンピューターによるスキャニングのシーンも描かれている。
 ・タガロの祖父が天上人の円盤から警告を受けた時、原作ではタガロ達が驚いている祖父の所に戻ってくるが、映画では祖父は砂浜まで自分で走って行く。
 ・オープニングは雲の王国で遊ぶドラの様子が全編フルCGで描かれている。
 ・映画ではドラが帰りの遅いのび太の様子を心配した時、しずかに電話で聞いている。
 ・天国は存在しないとドラに宣言された時、原作ではがっかりするのび太を通りがかったジャイアン達がバカにするが、映画では冒頭のジャイアン達のセリフを思い返すだけにとどまっている。
 ・雲を固めて一日目の時のジャイアン達との会話は映画では行われず、代わりに翌日の朝に会話が行われている。
 ・王国作りの二日目、原作では二人はおやつを食べるために家に帰るのだが、映画では帰らない。
 ・湖で泳ごうとするシーンは映画ではなし。
 ・洪水にあった島を調べる時、映画ではドラはテキオー灯を使わない。
 ・原作ではパパの友達が直接家を訪ねてきて株式の話題をするが、映画ではパパが話すだけである。
 ・映画ではみんなを王国の株主にした後、みんなで設計図を書くシーンがない。
 ・アマゾンでの天上人行動シーンは映画ではカットされている。
 ・完成した雲の王国を廻る時、BGMとして「雲がゆくのは…」がかかる。
 ・映画ではのびドラがレストランに出前を頼むシーンはない。
 ・映画ではスネ夫が王国でテニスをする時、テニスルックになっている。育ちの良さをさりげなく表現しているヒトコマ。
 ・タガロが王国からいなくなった時、ジャイアン以外がタガロを探すシーンはアニメでは描写されない。
 ・映画ではのび太がみんなを大臣に任命するシーンはない。
 ・天上界に5人が泊まる時、原作ではスネ夫はテレビを見せてもらうために部屋を出ようとするが、映画ではおしっこが理由となっている。
 ・一連の回想シーンはすべてテレビ版からの流用。かつての名シーンを見て懐かしんだオールドファンも多かったのでは?
 ・映画では中央空港シーンでは、どこかで見たような宇宙人がいる(笑)。
 ・映画版でのミュージカルはナレーターが格調高いものに変わっており、青の王の代わりに緑の王が登場。ストーリーの細部も原作とは異なっている。
 ・天上界でタガロとのび太達が再会した時、原作ではタガロの家で指輪の話をするのだが、映画ではのび太がアホウドリに乗る時に話す。
 ・原作と同様、映画でもアホウドリに乗っているシーンで「雲がゆくのは…」かかかる。歌自体は二番のみ。
 ・大洪水の翌日、映画ではのび太はママ達と離れ離れになってしまう夢を見る。
 ・議会のシーンは、映画ではフロンガスや木の伐採など、具体的な自然破壊を絵入りで説明するシーンがある。
 ・大統領と植物星大使(キー坊)の会話のシーンは原作と映画で挿入されるシーンが異なり、映画では議会の直前に挿入されている。
 ・雲もどしガスのアイデアを思いついた時、ドラは「ドラやきを見ながら思いついた」と、ドラやきの「アン(案)」を見ながら話す。緊張感を和らげるためのギャグか。
 ・悪人が王冠の秘密に気づくのは、映画では天上人との交渉当日。
 ・映画では天上人が実際に王国を攻撃している。
 ・雲もどしガスを悪用された責任をとるために覚悟の特攻を敢行するドラの描写は、原作、映画ともに大差ない。ドラ映画史上類を見ない壮烈なクライマックスに、当時の観客は度肝を抜かれたことだろう。
 ・主題歌「雲がゆくのは…」は。パルパルの乗った円盤が飛び去ってからかかり、キャストロールのバックは、時間を調整してのび太の部屋に戻ってきた5人と、様々な視点から「雲」を見つめるシーン、そしてのびドラが、小さな苗木が大木にまで育つのを見つめるシーンで構成され、ラストカットは地球の全景。歌自体は繰り返しがない。

☆主要ゲスト&声優紹介

パルパル(CV・伊藤美紀)
 絶滅動物保護区に駐留して、地上世界から連れてきた絶滅動物の監視や世話をしている天上人の女性。大多数の天上人と同じく地上人を敵視しているが、実際に地上人と接触したことは無かったらしく、純粋な心を持っているしずか達と知り合うことで偏見を解いて行き、さらに自分達の仕様としている行為に疑問を抱き始める。のび太たちの王国を見て「素敵」と喜ぶあたり、普通の女の子らしい性格である。議会での質疑応答ではしずか達の側に立って弁護をしてくれた。歴代のゲストヒロインに比べるとちょっと個性が弱いか。
 伊藤氏は「ドラゴンボールZ」の人造人間18号や「機動戦士Zガンダム」のミネバ、「プリンセスミネルバ」のミネルバなどを演じています。総じて明るい活発な女性を演じることが多いようですね。

クリオ(CV・村山明)
 パルパルと同じく絶滅動物保護区で働いている天上人。パルパルと違って職務には忠実であり、のび太達地上人を最初から敵視している。行方不明になったのび太とドラを探し続けていた。「地上人はどうして逃げたがるんだ」と言っているが、知らない所に閉じ込められれば誰だって逃げ出すだろう。
 村山氏は爽やかな好青年を想起させる声が特徴の声優さんで、「UFO戦士ダイアポロン」のタケシ、「キャプテン翼」のアナウンサー、「うる星やつら」のパーマなどがあります。藤子ファンとしては「パラソルへんべえ」のパパ、そして「エスパー魔美」の水谷先生役も記憶しておくべきでしょう。

タガロ(CV・高乃麗)
 南方に住んでいる少年で、恐らく両親と祖父を入れた4人家族父親や祖父と一緒に漁に出た時に船が難破してしまい、無人島に流れ着いて生活していたが、天上人のノア計画の一端で島を沈没させられてしまい、その際に天上人に拾われて天井界の絶滅動物保護区に住むようになった。だが天上人を信用することが出来なかったため、雲が山の頂上に近づいたところを見計らってグリプトドンの背中に乗って脱出し、寒さで気絶したところをのび太達に救出された。ホイとも知り合いでのび太から一緒に脱出するよう誘われるが、監視用の指輪をつけているという理由で断った。
 タガロを演じた高乃氏は、「伝説の勇者ダ・ガーン」のヤンチャーや「魔神英雄伝ワタル2」の海火子など、少年役が多い方です。が、最近では「サクラ大戦」シリーズのマリア役で人気声優となっています。

タガロの父(CV・池水通洋)
 タガロの父親で職業は漁師。家にただ一人残っている妻のことを心配している。
 池水氏の出演作品は、最近のアニメでは「機動警察パトレイバー」の大田巡査くらいしか思いつかないのですが、かつてテアトルエコーに所属していた頃は、「仮面ライダー」を始めとした様々な怪人の声を担当し、「変身忍者嵐」では嵐の声を担当していました。

タガロの祖父(CV・松岡文雄)
 タガロの祖父で結構な年齢にもかかわらず、現役で漁を行っている。天上人の警告を始めて聞いた人物でもあり、それゆえ彼等を神様と信じて疑わない。
 演じた松岡氏は中堅派の声優で、「装甲騎兵ボトムズ」や「剣風伝奇ベルセルク」に出演されていました。「エスパー魔美」にも出演したことがあるらしいのですが、ちょっと詳しくは分かりませんでした。

ホイ(CV・松尾佳子)
 地球上に昔から生息していた小人族の少年。人間たち大人族が自分達の村であるドンジャラ村を破壊してしまったため、安心して住める場所を探そうと旅をしていたところでのび太たちと出会い、のびドラの手助けで家族や仲間と一緒にアマゾンの奥地へ移住した。しかしその後、その奥地にまでも開発の手が伸びてきたため、天上人によって天上界に連れて行かれる。自分達を救ってくれたのび太達に今でも感謝の念を持っており、今回は万能たづなをのび太に貸して、天上界から脱出させた。後に議会にも証人として出席し、のび太たちを弁護してくれた。
 テレビ「ドンジャラ村のホイ」でもホイを演じられていた松尾さんの代表作としては、「無敵超人ザンボット3」の神北恵子、「母をたずねて三千里」のマルコ、「ふしぎの島のフローネ」のフローネなどがあります。

ホイの父(CV・山崎たくみ)
 ホイの父親。かつてのび太達にドンジャラ村の活気ぶりを話したこともある。彼ものび太たちへの感謝の念を忘れてはおらず、のび太達との再会を祝した歓迎会で代表としてお礼の言葉を述べた。
 さすがにテレビ版のほうは山崎氏ではないでしょう。優男っぽいキャラを演じることが多く、「機動武闘伝Gガンダム」のジョルジュや「機動新世紀ガンダムX」のロアビィ、「マクロスプラス」のイサムなどがあります。テレビ版ドラにも結構出演してますね。

ホイの母(CV・速見圭)
 ホイの母親…なのだが、筆者にはどこでしゃべったのか分からなかった。情報求む(笑)。
 声優さんについても現時点では代表作や出演作が分かりませんでした。申しわけありません。

植物星大使(キー坊)(CV・丸山詠二)
 進化して知性を持った植物達が暮らす星・植物星からやってきた親善大使。だが実はかつてのび太達が「植物自動化液」で知性を与えたキー坊の成長した姿であり、自然を愛するのび太の優しい心を知っているため、天上人たちにノア計画の中止を進言した。意識不明のドラえもんを、緑の光線で目覚めさせてもくれた。
 丸山氏もベテランの声優さんで、「美少女戦士セーラームーンR」のワイズマンや「鬼神童子ZENKI」の寿海和尚などを演じていました。ジャンル的には「超人バロム1」や「秘密戦隊ゴレンジャー」の怪人の声役で有名ですね。丸山氏も既に故人となられています。

大統領(CV・屋良有作)
 天上界の大統領。議会では議長も勤めていた。争いを好まない性格のようだが、天上界の危機を救うためにやむを得ずノア計画を実行することにする。計画開始のボタンは彼の部屋の中にセットされている。
 演じた屋良氏は「ちびまる子ちゃん」でのまる子のパパや「キテレツ大百科」でのパパ役など、最近は父親役が多くなってますね。分かりづらいですが、「ゲゲゲの鬼太郎(第三作)」のぬりかべの声はこの人でした。ナレーターとしてもご活躍中で、アニメでは「銀河英雄伝説」を抜きには語れないでしょうが、ジャンル的には「ウルトラマン80」のナレーターを忘れてはいけないでしょう。

代表A、B(CV・岸野一彦、藤本譲)
 議会に参加していた天上人。地上人が今まで犯してきた環境破壊を厳しく糾弾し、様々な証拠や証人を連れてきて地上人の罪を訴える。だがしずかの必死の説得を「地上人は平気で嘘をつく」という偏見丸出しの考えで突っぱねるなど、議会参加者として不適当な一面も見受けられた。
 お2人ともベテランの中堅声優で、岸野氏は「キン肉マン」のキン肉大王や「伝説の勇者ダ・ガーン」での高杉光一郎があり、テレビ版ドラでは校長先生を演じたこともあるようです。藤本氏は「新機動戦記ガンダムW」のプロフェッサーGなどがありますが、僕個人としては「アイドル忍者タートルズ(BS放送バージョン)」のスプリンターを挙げたいですね。あれ好きだったんです(笑)。

ポリス(CV・飛田展男)
 天上界の中央州に存在している警察官。ここでのポリスは恐らく密猟者達が脱走した時に、それを通信で知らせていた人物のことであろう。
 演じる飛田氏は、最近はスパロボシリーズの影響ですっかり「機動戦士Zガンダム」のカミーユ・ビダン役が有名になってしまいました。その他には「キャプテン翼」の若島津、「ちびまる子ちゃん」の丸尾くん、「小さな巨人 ミクロマン」のエジソンなどがあります。

TVアナウンサー(CV・こおろぎさとみ)
 天国が存在しないことをのび太に教えるためにドラえもんが見せたテレビの天気予報で、天気図を解説していたアナウンサー。劇中では姿は見せず、声のみの登場であった。
 こおろぎ氏はどちらかと言うといかにも子供っぽい子供を演じることが多く、「クレヨンしんちゃん」のひまわりや「ママは小学四年生」の水木なつみ、「ミラクル・ジャイアンツ童夢くん」のかおりなどがあります。

地上人A、B(CV・小林清志、島香裕)
 アフリカのジャングルで象牙を密売するために象を密猟しようとしていた悪人達。天上人の計画に巻き込まれて偶然天上に連れて行かれてしまい、何とか脱出してのび太たちの王国に到着するも、今度は雲もどしガスを使って天井界を混乱させ、絶滅動物を全部手に入れようと企む。
 小林氏と言えば忘れてならないのは「ルパン三世」の次元大介でしょう。低く渋い声をお持ちの小林氏は総じてニヒルな役を演じることが多く、「妖怪人間ベム」のベムや「機動戦士ガンダム0083」のエギーユ・デラーズなどもあります。ジャンル的には「超人バロム・1」の木戸刑事役や「仮面ライダーBLACK」のナレーターも忘れてはいけません。島香氏は「勇者指令ダグオン」の校長先生、「新オバケのQ太郎」の先生役などがあります。

案内の女(CV・岩坪理江)
 恐らくしずか達がミュージカルを見に行った時に応対した案内係の女性と思われる。
 岩坪氏は「絶対無敵ライジンオー」の飛鳥や「メダロット」のコウタといった少年役から、「太陽の勇者ファイバード」のハルカ、「魔法少女プリティサミー」のほのかなど、少女役もこなせる方です。そう言えば「ライジンオー」の中でもクッキー役をやってたよな…。

☆原作出典

 今作「雲の王国」には、これまで「自然保護」を訴えてきたドラ世界の集大成作品である。そのため、これまでに原作で登場したゲストキャラクターが再度登場して集大成の感覚を強めている。そこで、映画にゲスト出演したキャラクターが、現在のコミックスのどの話で登場したのか、少し説明していこうと思う。

ホイ(初登場『ドンジャラ村のホイ』、てんとう虫コミックス35巻収録) 作品紹介はこちら
 ある日のび太が見つけた「エリマキガエル」。それは人間達の自然破壊によって故郷のドンジャラ村を追われた小人族の少年・ホイが万能たづなを着けたものだった。のび太とドラえもんは彼に協力してばらばらになった彼の家族や仲間を見つける旅に出る。そして小人族の窮状を知った二人はホイ達をアマゾンのジャングル奥地にまで連れて行き、そこで新たに生活してもらうのであった。

モアやドードー鳥(初登場『モアよドードーよ、永遠に』、てんとう虫コミックス17巻収録) 作品紹介はこちら
 テレビ番組を見て絶滅動物に関心を持ったのび太は、ドラえもんの出した「タイムホールとタイムトリモチ」を使って、絶滅した動物を現代につれてこようとする。しかし些細なことから街中で大騒ぎになってしまい、二人は動物たちの楽園を作るために、誰も寄りつかない遠い海に無人島を作り、そこに動物達を放してやるのであった。

キー坊(初登場『さらばキー坊』、てんとう虫コミックス33巻収録) 作品紹介はこちら
 裏山からのび太が持ってきた小さな苗木。ドラえもんはこれに「植物自動化液」をかけて人間のように動くことが出きるようにし、のび太は弟のようにキー坊と名づけた木をかわいがる。しかし宇宙では地球の環境破壊を憂えた植物型宇宙人が地球のすべての植物を宇宙に持ち出す計画を実行に移そうとしていた。ドラえもんとのび太は必死に止めようとするが、そこへキー坊が現れて宇宙人を説得し、宇宙人は計画を取りやめることにし、キー坊は進化した植物世界で勉強をするために一緒に宇宙へ旅立って行ったのであった。

☆映画主題歌

 雲がゆくのは… 作詞・武田鉄矢 作曲・深野義和 編曲・山中紀昌 歌・武田鉄矢
 今作の主題歌は「アニマル惑星」での主題歌・「天までとどけ」に続く「人間賛歌」的な意味合いを持つ歌である。武田氏、と言うよりは海援隊が得意とするフォークソング調の曲が、他人のために尽くすことができる人間の優しさを叙情感たっぷりに歌い上げている。「誰かのためになるなら冷たい雨に濡れてもいい」という詞は、天上界のために自分を犠牲にして特攻したドラの姿とどこか重なる。作品のキーワードである「雲」をテーマに歌い上げている点もさすがである。
 ところで、この主題歌は公開当時は「雲がゆくのは…」なのだが、現在では「雲がゆくのは」になっている。どちらが正しいのだろうか?

☆自分勝手な感想

 ご存知のように「環境保護」というテーマは、中期以降のドラえもん世界でずっと描かれてきたテーマです。今作はそれらのテーマをもった数々の作品の集大成として製作されています。
 ですが、今作での問題は今までの作品のように安易に解決することは出来ませんでした。これは、現実の環境問題もそう簡単に改善できるものではないというシビアな現実を例えていたのではないでしょうか。自然を守るためにはもしかしたら誰かがその身を犠牲にしなければならないのかもしれない。決して楽観的に語ることの出来ない環境問題というテーマの重さを、クライマックスでその身を犠牲にして特攻するドラに重ねているような気がします。
 それでは我々はどうすればいいのか。それは、今までのび太たちの小さな善意によって命を助けられた様々な自然の代弁者が現れ、ドラえもんを回復させるというシーンに集約されていると思います。個人個人に出来ることなど微々たるものですが、それら一つ一つに真摯に取り組んで行けば、そして、のび太のようなほんの少しの優しさがあれば、きっとその問題もいつか解決できる。人間の持つ優しさと可能性を信じてきた藤子・F・不二雄先生ならではの思いが集約された、まさに「集大成」と言うべき作品でしょう。その想いは、ラストシーンで遠い空に浮かぶ雲を眺め、小さな苗木が巨木に生長するまでを笑顔で見つめるドラえもんとのび太の姿に凝縮されていると思います。



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