のび太と銀河超特急

☆ストーリー概略

 ドラえもんが22世紀で手に入れたミステリートレインのチケット。これを使って銀河超特急に乗り込んだ五人は最果ての星にある遊園地、ドリーマーズランドで楽しいひとときを過ごす。だが、銀河系支配を目論み、人間の体にとりついて意のままに操ることが出来る頭脳だけの生命体・「ヤドリ」の一団が襲来。五人は力を合わせ、彼らの弱点を暴き、銀河系から追い出すことに成功する。

☆予告編 (ビデオに収録されているものを参考にした)

 本編映像と予告のみのオリジナル映像とで構成されている。一部、「雲の王国」の主題歌「雲がゆくのは」のアレンジBGMが使用されている。ナレーターは天帝役で出演もされている内海賢二氏。ラストのドラの言葉、「え?キップ?なくても大丈夫。夢見る心があれば…。」が心に染みる。

☆原作と映画の違い (原作はてんとう虫コミックス版を参考とした。コロコロ連載時を参考とする場合はその都度説明する)

 ・映画のオープニングは、のび太がドラの行方を三人に聞いたあと、「ネコを探しています」のポスターを見つめ、そこでのび太が「ドラえもーん!」と叫んで始まる。
 ・オープニング主題歌のバックはもちろんCG。CGとセル画を巧みに組み合わせて、効果を上げている。「アンアンアン」以降は二回繰り返し。
 ・原作でのび太が飲むのは「宇宙カプセル」だが、映画では「宇宙ドリンク」になっている。
 ・映画では、列車が小惑星帯を通る描写はない。よって、のび太が個室で小惑星を目撃する描写ももちろんない。
 ・映画ではのびドラの、土星に関する会話はカット。
 ・「宇宙カプセル」を飲んだための睡眠圧縮の説明も、映画ではむろん存在しない。
 ・バーチャル映像「大銀河の誕生」は、映画では解説が簡略化されている。
 ・映画ではどこでもドアの超空間バリアにぶつかった時、波紋が広がる描写がある。
 ・映画でシャドウ団を迎え撃つためにのびドラが屋根に上がる時、「空気がないためにタケコプターが使えない」という描写が入る。
 ・列車が入場する時のドリーマーズランドは、フルCGで表現されている。
 ・原作と映画では、ヤドリ円盤の形状が若干異なる。
 ・映画では5人がどの惑星に行くかを話している時に、BGMとして「私のなかの銀河」がかかる。
 ・映画版によると、スネ夫は「メルヘンの星」へ行きたかったらしい(笑)。
 ・映画では宇宙空間に、それぞれの惑星への案内板がおいてある。
 ・ガンスモークシティ市長の名前は、映画では「クリントン・イースト・ウード」となっている。元ネタがすぐわかる(笑)。
 ・映画では「OK牧場へ迎え」と言われたのび太が「OK!」と返すシーンがある。映画らしいヒトコマ。
 ・映画でのび太が悪役ロボットを倒す時、のび太は横に一回転しつつ弾を放ち、一瞬で相手を倒す。
 ・映画でアストンたちがメルヘンの星に行った時、彼らと話す妖精は佐倉魔美と同じ髪型をしている。いや、「のび枝」と言った方がいいのか(笑)?
 ・原作では忍者の星でジャイアン達が自分達がこれまでしてきた修行を思い出すシーンがあるが、映画では全くない。
 ・原作ではアストンに乗り移ったヤドリは「008(パー)」と名乗っているが、映画では「008(はち)」である。さすがに「パー」はまずかったか。
 ・映画での恐竜の星・係員の顔は、「小池さん」である。
 ・恐竜の星を五人が周る時、BGMとして「ぼくドラえもん2112」がかかる。
 ・ジャイアンがブラキオザウルスを見つけた時、原作では「ガリバーと小人」と引き合いに出すが、映画では「アリとイヌ」になっている。もしかして「小人」という表現がまずいのか?
 ・映画での恐竜は比較的体色が派手。
 ・原作では「タキオン」と呼ばれているのだが、映画では何故か「タキシオン」と呼ばれている。
 ・のび太と天帝の対決シーンでは、作曲者・菊池氏十八番のマカロニウエスタン調音楽がかかる。この曲は西部の星でかかったものと同一。
 ・映画のラストではドリーマーズランドスタッフと5人の会話、アストンたちとの和解のシーンがある。
 ・エンディングテーマ「私のなかの銀河」は、車掌の「まもなく地球ー、地球ー」の言葉と共にかかる。バック映像は銀河超特急が地球に到着し、5人が下車、飛び去る列車とそれを見送る5人を描写している。最後に汽笛が鳴るのもまた良い。歌自体は二番が省略されている。

☆主要ゲスト&声優紹介

 アストン(CV・真殿光昭)
 22世紀の少年で、連れ立っている三人組の中ではリーダー格。大富豪の父親を持ち、そのためかそのことを鼻にかけることも多い。イヤミな性格で、そういう意味ではスネ夫に性格が似ていなくもない?最初にヤドリに乗り移られてしまい、それからはヤドリの先兵として行動するが、真空ソープをかけられて正気に戻った。のび太たちを「むかしもん」と呼んでバカにしていたが、最後には和解した。
 真殿氏は、「爆れつハンター」のマロン・グラッセでのスマートな役もありますが、「Bビーダマン爆外伝」のきいろボンや「機動戦艦ナデシコ」の天空ケンなど、一風変わった役も多い方ですね(笑)。なんでもこなすことが出来る声には定評があります。

ドン(CV・菅原淳一)
 アストンの友人。一緒にドリーマーズランドまでやってくるが、ヤドリに乗り移られたアストンによって、ジェーン共々小惑星に置き去りにされてしまう。射撃の腕はあまり良くないようだ。作品中で、彼だけが自分の行きたいところを言っていなかったので、個人的には気になる(笑)。
 演じた菅原氏は「平成狸合戦ぽんぽこ」や「機動戦士ガンダム 第08MS小隊・ミラーズリポート」に出演されているそうですが、代表作についてはわかりませんでした。情報求む(笑)。

ジェーン(CV・丹下桜)
 アストンの友人。メルヘンの星で白雪姫の役をやろうとするが、順番待ちが長いため、興ざめして引き上げてしまった。終盤はのび太たちと協力して、ドンと共にヤドリと戦った。
 演じた丹下氏は、「カードキャプターさくら」のさくらや、「MAZE☆爆熱時空」のミルと言った、「少し年齢が低めの、妹みたいな少女」役が多い方です(笑)。ジャンル的には忘れてならない、「ときめきメモリアル・ドラマシリーズ」での秋穂みのり役があるでしょう。最近も「無限のリヴァイアス」に出演されています。

ヤドリ(CV・秋元洋介、石田広志、中村大樹)
 銀河系征服を企む、頭脳だけの生命体。体となるべき部分は持っていないものの、高度な文明レベルを保持し、自分達の宇宙船を使って銀河系に侵攻し、ドリーマーズランドの人間に乗り移って、征服のための足がかりを作ろうとした。真空ソープで本体を固められると動けなくなるという弱点をつかれ、大敗を喫し、星系の外へと逃げ帰っていった。
 秋元氏はアニメから洋画の吹き替えまでこなす中堅派ですが、近年は「機動武闘伝Gガンダム」でのマスターアジアがすっかり有名になってしまいましたね(笑)。中村氏は「勇者特急マイトガイン」でのマイトガインを始めとしてヒーロー役が多く、現在も「ビーストウォーズメタルス」に出演されています。特撮ものにも出演する機会が多く、去年の戦隊「救急戦隊ゴーゴーファイブ」にも出演されていました。

ボーム(CV・塩沢兼人)
 22世紀の新聞「コスモタイムズ」社会部の記者で、今回のツアーには休暇旅行として参加していた。だがヤドリの襲撃に巻き込まれ、車掌に助けられて間一髪脱出、ドラたちと共に戦いを開始する。どんな時でも冷静な、理想的な性格の持ち主で、新聞記者としても、かなり優秀らしいことが園長との会話で読みとれる。
 塩沢氏はご存じ、「キザな男をやらせたら日本一」の声優さんで、代表作はそれこそ枚挙にいとまがありません。「キザ」という観点では「戦国真神ゴーショーグン」のブンドルが極致でしょう。他にも「機動戦士ガンダム」でのマ・クベや、「銀河旋風ブライガー」などの、いわゆる「J9シリーズ」での主役連も印象深いですね。

車掌(CV・伊倉一恵)
 5人の乗ったミステリートレインの車掌。愛くるしいその容姿と話し方から誤解されるかも知れないが、車掌としての勤めはきちんとこなしている、優秀な車掌である。高性能ロボットであるためかヤドリに操られることもなく、五人と共にヤドリと戦った。
 伊倉氏は「キャプテン翼」の来生哲平や「三つ目がとおる」の写楽保介といった少年役が多く、女性役でも「シティーハンター」の牧村香や「サクラ大戦2」のレニといった、男性的な女性の役が多いですね。今回の車掌は「三つ目が〜」の保介のような感じですね。

市長(CV・中庸助)
 ガンスモークシティの市長。のび太たちお客に射撃大会などについての説明を行った。
 中氏はもちろん「二代目のび太のパパ」です。ジャンル別でいえば「仮面(スカイ)ライダー」の魔人提督や「大戦隊ゴーグルファイブ」のデスマルク大元帥など、悪役を結構演じています。今関東で再放送している「西部警察」にもゲストで出ていたとか…。

係員(CV・矢田稔)
 ドリーマーズランドの係員。彼だけ独立したテロップで表示されているところから見て、恐らくコントロールタワーを占拠するためにヤドリに乗り移られた係員であろう。
 演じた矢田氏は、「2112年ドラえもん誕生」にも出演されていたらしいのですが、それ以外の出演作はわかりませんでした。

園長(CV・田中亮一)
 ドリーマーズランドの園長。ハテノハテ星群の生き残りをかけた大事業であるドリーマーズランドをぜひとも成功させるべく、新聞記者であるボームに良い記事を書いてくれるようにと懇願する。
 田中氏は言うまでもなく、「のび太の先生」です。今の声だけを聞くと、とてもこの人が昔「デビルマン」で不動明ことデビルマンを演じていたとは思いませんね。最新作の「ゲゲゲの鬼太郎」では、結構ゲスト出演していました。

忍者の先生(CV・北村弘一)
 忍者の星でお客に忍術を教えるロボット。忍者の星の人気のなさを残念がりながらも、ジャイアン達に「仮免許皆伝」を授けた。これが後々五人を救うことになるのだから、運命というものはわからない。
 演じた北村氏は「老人役」の多い方ですが、ちょっと代表作が思いつきません。有名どころは「無敵鋼人ダイターン3」のギャリソン時田ですかね。

園内センサー(CV・佐久間レイ)
 ドリーマーズランドのコンピューターの音声。この「センサー」というのはコントロールタワーのセンサーだと思うのだが、ちょっと定かでない。
 佐久間氏は「ブリキの迷宮」に続いての登場となりました。たぶん「宇宙ドリンク」の解説や、佐倉魔美似の妖精も佐久間さんだと思うのですが、ちょっとわかりませんでした。

映像ナレーション(CV・江森浩子)
 列車内のバーチャル映像「大銀河の誕生」のナレーションだと思われる。映画は原作よりもナレーションが少なかったので、判断しづらかった。
 江森氏は「青き流星S・P・Tレイズナー」でのアンナのような美少女から、戸田恵子版「ゲゲゲの鬼太郎」での砂かけばばあのような老人役まで、文字通りなんでもこなせる方です。最近ではナレーションの方で活躍されています。

ランドのガイド(CV・天野由梨)
 ドリーマーズランドのロボットガイド。レンタ・ロケットを借りに言ったのび太たちに小惑星のこと、そして禁断の星についての説明を行った。
 演じた天野氏は「機動武闘伝Gガンダム」でのレインや、「美少女戦士セーラームーンR」のベルチェなど、正当派美少女、または美女が得意な方です。そういや「マイトガイン」にも出てたな…。

ガイドカード(CV・まるたまり)
 恐竜の星でのび太たち五人が携帯したガイドカードの音声。
 まるた氏の声は最近はあまり聞きませんが、「絶対無敵ライジンオー」や「激走戦隊カーレンジャー」等の出演作があります。演じるキャラの共通点は、「子供っぽくて元気がいい」という所でしょうか。

王子(CV・菊池正美)
 メルヘンの星の「白雪姫」に登場する王子ロボット。混雑しているために7人も白雪姫を相手にしなければならずに困惑するが、しずかを選んだために他の客から文句を言われてしまう。
 菊池氏は今作品のような「どこか頼りない男」の役が多いですね(笑)。代表作としては、何人もの美少女に囲まれて生活するという、似たような話の主人公役である「ああっ女神さま」と「天地無用」ですかね。

係員(CV・森川智之、中博史)
 ここでの係員は、恐らく恐竜の星で五人に説明した「小池さん」顔の人と、メルヘンの星でジェーンに応対した人だと思われる。
 森川氏は「宇宙の騎士テッカマンブレード」で一気に有名になった声優さんですが、その後は、結構キザな役どころが多く、今回のようなとぼけた役は珍しいのでは?

ガンマン(CV・桜井敏治)
 西部の星で活躍している悪役ロボットのうちの一体。凄腕の持ち主だが、それをさらに上回る腕の持ち主であるのび太には叶わなかった。
 桜井氏もいちいち代表作を挙げなくてもいいほど有名な方ですが、役の共通点としては「キャラが太っている」ということでしょうか。いつだったか、ラジオ番組でご自身がそうおっしゃっていたので、まず間違いありません(笑)。

乗客(CV・石川和之、土井俊明、関根章恵、今井由香)
 ミステリートレインに参加した乗客たち。ヤドリによって眠らされ、客室に閉じこめられるが、幸いなことに一人も犠牲が出ることはなかった。
 この中では今井由香さんしか知らないのですが、彼女もいつ知ったのか覚えてません(笑)。「愛少女伝説ウエディングピーチ」や「VS騎士ラムネ&40炎(ファイヤー)」など、女の子役が主ですが、「セイバーマリオネットJ」では江戸っ子少年・小樽を元気良く演じていました。「セイバーマリオネットR」のJrも男だっけ?

天帝(CV・内海賢二)
 ヤドリ軍団を統制するリーダー。自らを「天帝」と名乗ってはいるが、あまり他のヤドリと、能力的な違いはないようだ。終盤、巨大ロボットにとりついてドラたちに襲いかかるが、油断からのび太の前にその本体をさらしてしまい、のび太の早撃ちによる真空ソープ噴射であえなく倒された。もしかしたら「機械を動かす」というのが特殊能力だったのか?
 内海氏についても今更言うことはないでしょう。恐らくアニメを見たことのある人なら、一度はその声を聞いたことがあるくらい有名な方であり、大ベテランでもあります。ドラえもんでは次作「ねじ巻き都市冒険記」にも出演されています。

☆映画使用楽曲

 メンデルスゾーン「真夏の夜の夢」
 録音監督の浦上靖夫氏の発案により、今作では初めてクラシック音楽がBGMとして使用されることになった。それがメンデルスゾーン作曲「真夏の夜の夢」である。映画では銀河超特急が飛び立ち、銀河を進むシーンに使用されており、銀河の雄大さとミステリアスな雰囲気を上手く表現していた。
 メンデルスゾーン(1809〜1847)は、系統としてはドイツ系前期ロマン派に分類され、明るく快活な曲が多い。ほぼすべてのジャンルの曲を作曲したことがあり、「真夏の夜の夢」は「序曲」にあたる。この場合の序曲とは、ベートーヴェンによって創始された「演奏会用序曲」という、他の作品を伴わない序曲作品のことである。「真夏の夜の夢」はシェークスピアの作品で、この作品のために作られた序曲(前奏曲といっても差し支えない)である。

☆映画主題歌

 私のなかの銀河 作詞・武田鉄矢 作曲・千葉和臣 編曲・林有三 歌・海援隊
 現時点での武田鉄矢作詞の最後の作品であるこの歌は、自分の大切な人との別れ、そしてそこからより強く成長していく人間の姿を描いた、「アニマル惑星」以降お馴染みの「人間賛歌」的テーマを持つ歌となっている。大切な人ともいつかは別れなくてはならない時が来る。それでも、その人との思い出、そしてその人の想いが自分の心の中に生きていれば、それは寂しいことではないと、逆説的に「友情」に関して言っているような気がする。暗にドラえもんとのび太の別れを意識しているかのように。この歌が世に発表されて約半年後、僕たちにとって「大切な人」が「星より遠い人」になってしまったのは、運命の皮肉なのか…。

☆自分勝手な感想

 この作品は言うまでもなく、藤子・F・不二雄先生が最後まで手がけた最後の作品です。その今作は、ドリーマーズランドの描写に代表されるように、とにかく楽しい遊び感覚溢れる話に仕上がりました。明確なテーマ云々よりも、見て素直に楽しめる話となっています。それは、先生が生涯求め続けた、自分のマンガの世界だったのかも知れません。
 この作品では大長編の永遠のテーマというべき、「友情」というものが改めて描かれています。それだけではなく、「勇気」「心」といった、大長編に込められた「人間に大切なもの」を改めてきちんと描いています。それは、もしかしたらご自身に残された時間を悟ってのことだったのかも知れません。人間に大切なもの。相手を思いやる優しい心。困難に立ち向かう勇気。そして自由に遊ぶこと。先生の人間観がすべて込められた今作品は、ドラえもんという作品を見返す時も、「藤子・F・不二雄」という漫画家を振り返る時も、忘れてはならない作品であることは間違いないでしょう。


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