のび太の魔界大冒険

☆ストーリー概略

 魔法に憧れるのび太はもしもボックスを使って魔法世界を生み出してしまうが、現実と同様になかなかうまく行かず、さらにもしもボックスが捨てられたために元の世界に戻れなくなってしまう。さらに宇宙から地球を支配するために悪魔達が襲来することを知り、運命に選ばれたのび太達5人は美夜子とともに魔界へ向かう。一旦は離れ離れになってしまうがドラミの救援もあって窮地を突破。大魔王を倒して地球を救うのだった。

☆予告編 (ビデオに収録されているものを参考にした)

 1.本編映像と予告オリジナル映像を混ぜた構成になっている。ナレーターは若山弦蔵氏だが、声のトーンが低すぎて子供には怖い印象を与えてしまうかもしれない。
 2.本編と前回の予告オリジナル映像を混ぜた内容だが、若干尺が長い。BGMは映画予告にしては珍しくテレビ主題歌を使用している。ナレーターも前回と同じだが、以前の物よりはソフトな雰囲気になっている。

☆原作と映画の違い (原作はてんとう虫コミックス版を参考とした。コロコロ連載時を参考とする場合はその都度説明する)

 ・冒頭の夢のシーン、「そくせき魔法ぼう」を渡すのは映画ではドラミになっている。
 ・映画のOPはのび太がホウキに「チンカラホイ!」と叫んでから始まる。映画ドラ史上初めてCGが使われており、それによるイメージをバックにドラとホウキが映される。ドラの絵は随分単純化されている。
 ・原作にように、ドラが捨てようとしているじゅうたんをのび太が魔法のじゅうたんに見立てるシーンはない。
 ・野球のシーンは、原作ではのび太の空想ではバットが意志を持っているが、映画ではなし。更に映画ではのび太の守備のシーンがない。
 ・出木杉がのび太に魔法の説明をする時、映画では「魔界辞典」という本を使っているが、その中身はどう見ても英文である。
 ・のび太がもしもボックスのアイデアを出す時、原作ではその前段階で二度ほどのび太は目を覚ましているが、映画ではいきなり目を覚まして思いついている。
 ・映画では劇中コマーシャルが流れる前に、パーマンの番組終了シーンが映る。つまり、パーマンの番組が終了してからコマーシャルが流れ始めたと言うわけ。
 ・ドラがのび太の様子を見に学校へ行く時、映画ではホウキに乗った暴走族に出会っている。
 ・のび太が魔法修業をしている時、映画ではドラは扇子を二つ持って応援している。前作「海底鬼岩城」でも同様のシーンがあったが、真似てるのか?
 ・美夜子と初めて出会った時、のび太が見とれて背負っているスネ夫を落としてしまうシーンが映画にはある。
 ・のびドラがケンカした夜、原作では2人がテレビを見ようとし、ニュースで台風のことを聞くが、映画ではカットされている。
 ・魔法の世界に入って二日めの展開は原作と映画でまったく異なる。原作では2人は二日めに仲直りし、満月博士の家に向かってそこで初めてネコの美夜子と出会い、その後先生の家で意見を聞いて、のび太が本格的に浮遊術を使えるようになり、台風に関する話も出てくるのだが、映画では一日目の夜、魔物に満月博士達が襲われてからすぐにネコの美夜子が2人の家に現れ、二日めにはしずか達に事情を話すシーンになっている。コロコロ掲載時にはなかったシーンなのだろうか?
 ・パパが雨戸をくぎ付けにしているシーンも映画にはない。
 ・のび太の置手紙、原作ではおなじみの「のび犬」表記があるが、映画では最初から「のび太」となっている。原作より若干頭が良くなっているらしい(笑)。
 ・美夜子が作る結界は、原作ではチョークで書いているがアニメでは木の枝を使っている。
 ・魔界への道程は原作では一ヶ月、映画では一週間である。
 ・魔界に入る直前、映画では美夜子がナルニアデスの末路について語るシーンは挿入されない。
 ・海を渡る時、原作では6人は人魚の歌に抗いながらもひとりでに連れて行かれてしまうが、映画では美夜子以外は既に術中にはまってしまっていた。
 ・森を抜けた時、映画ではその場所で既に魔王の城を目視確認することが出来た。
 ・ドラミのもしもボックスは映画では花柄入り。
 ・悪魔が料理を作ろうとする時、原作に出てくる三ツ星の悪魔は映画には未登場。美夜子が料理される寸前にまで追い込まれるシーンもなし。
 ・クライマックスシーンは原作ではしずか、ジャイアン、スネ夫もショックガンや空気砲を使って星に対抗しているが、映画では念力を使っている。個人的には原作版のほうが良かったと思うが。なお、映画版では星との戦いシーン自体の演出があっさり処理されており、原作のような緊張感は希薄である。
 ・映画では戦勝記念?のバーベキューのシーンはない。
 ・エンディングは最初に地球の全景が映り、後はその地球の円の中に本編のダイジェストが流れる。

☆ゲスト&声優紹介

美夜子(CV・小山茉美)
 満月博士の娘で自身も高い魔法力を有し、じゅうたんの運転も巧み。レーサーになるのが夢らしい。予知能力を使って地球を救う運命の勇士を選び、ドラ達と一緒に魔界に乗り込む。大長編としては「鬼岩城」のエルに続く「年上のメインゲスト」であり、劇中ではネコの姿にされたり悪魔に捕まったりと結構な受難にあうが、本人は明るい性格であり、同時に使命感の強い女性でもある。
 小山氏は「魔法のプリンセス ミンキーモモ」のモモや「Drスランプ アラレちゃん」のアラレのような少女キャラから、ミンキーモモで見せた様々な大人の姿、「機動戦士ガンダム」のキシリアと言った大人の女性も演じられる方です。

満月博士(CV・中村正)
 魔界世界の魔学博士で美夜子の父。博士と言うだけあって高度な魔法を使うことが出来、屋敷周辺には意志を持つ石像や木を配置して警護に当たらせている。魔界星の接近に気づいて「魔界接近説」を発表するが、あまりに突飛な学説のために誰にも信用されなかった。天文関係にも精通しているようで、大魔王の心臓の居場所を瞬時に推測した。
 中村氏はナレーターとしての仕事が多い方で、声優としてはOVA版「ジャイアントロボ」の諸葛亮公明などがあります。

メジューサ(CV・上田敏也)
 大魔王配下の魔物で、念力で相手を石に変えてしまう能力を持つ。大魔王の命を受けて追撃の手を逃れたのびドラを追いかけ、時空間も越えて過去の世界にまでやってくる。そして逃げる2人を石に変えてしまうが、その後の消息は不明。
 演じた上田氏は中堅派の声優さんで、たくさんのアニメや映画などで脇役の声を担当されています。

悪魔隊長(CV・仁内達之)
 6人が魔界に潜入した時、燃え尽きたじゅうたんの調査にやってきた一団の隊長。階級は二ツ星。燃え尽きたじゅうたんと南極という周りの環境を見て、乗組員が生きているはずはないと解釈していた。
 仁内氏はアニメ出演作では「紅の豚」くらいしか思いつかないのですが、第二期ライダーシリーズでは怪人の声を数多く努め、最近では「電磁戦隊メガレンジャー」で敵幹部・ギレーヌを演じていました。

使い魔(CV・千葉繁)
 地球にやってきた一ツ星の悪魔に仕えている魔物。外見はサルに似ているが非常に凶暴な性格で魔法を使うことも出来、ジャイアン達を襲ってホウキを燃やしたりもした。
 演じた千葉氏は今は知らぬ人がいないと思われるほど大活躍されている声優さんで、その役も「ゲゲゲの鬼太郎(第四期)」のねずみ男のような三枚目キャラから、「ドラゴンボールZ」のラディッツのようなクールなキャラまで縦横にこなしています。藤子作品ではリメイク版「パーマン」のサブ役がおなじみですね。最近では「六門天外モンコレナイト」に出演されていますね。

悪魔(CV・加藤治、玄田哲章、山田俊司、広瀬正志)
 魔界星に住む悪魔達。かつては地球にも存在していたが、元々はこの星から地球にやって来ていたエイリアンであり、今回、本格的に地球を制圧するために惑星ごと地球に接近してきた。
 演じている方々は、今さら語る必要もない方達なので演じたことのあるキャラクターは紹介しません。一つ言うと、山田俊司氏は後のキートン山田氏です。

少年(CV・川島千代子、間嶋里美)
 恐らく序盤でのび太たちが野球をしていた時に登場していた少年達。
 川島氏は「UFOロボ グレンダイザー」の牧場ひかるや「美少女戦士セーラームーン」シリーズの春奈先生、セーラープルートのような正統派の女性キャラから、「あさりちゃん」のタタミと言った破天荒極まりないキャラまで演じておられる方です。間嶋氏は「ゲームセンターあらし」のあらしや「無敵ロボ トライダーG7」の竹尾ワッ太などがありますが、現在は引退されています。

大魔王(CV・若山弦蔵)
 地球征服を狙う悪魔軍団のボス。デマオンという名前を持ち、通常の悪魔より数倍大きな体で威圧する。笑い声だけで強力な衝撃波を生み出すことも可能な、強大な魔力を持っている。唯一の弱点は自分の心臓に銀色のダーツを射こまれることだが、心臓は自分の体の中にはなく、デモン座のアルファ星として偽装されていた。ジャイアンが放った最後の一発を受けて絶命し、同時に心臓は魔界星に突っ込んで大爆発を起こした。
 若山氏は独特の低い声を持つベテラン声優さんで、「ひょっこりひょうたん島」などでも演じていらっしゃいますが、やはり「007」シリーズを始めとするショーン・コネリーの吹き替えが一番有名でしょうね。

☆映画主題歌

 風のマジカル 作詞・湯川れい子 作曲・NOBODY 歌・小泉今日子
 今回の主題歌は映画ドラ史上としては初めてアイドル歌手を登用して制作された歌である。歌うは当時のトップアイドル・小泉今日子。出来上がった歌は当然ではあるが映画本編とはまったく関係のない、アイドルソングとなっている。ただ曲自体はテンポが早くてノリもよく、アクション重視?の本作のラストに聴くにはちょうどいい曲である。一番で「グリーン」が連呼されているのは、公開当時の「グリーンキャンペーン」を意識しているのだろうか?
 なお、マニア諸氏の方ならご存知だと思うが、この歌は現在は著作権上の問題で「魔界大冒険の主題歌」としては使用することが出来なくなっている。そのために現在発売されているビデオにはエンディングに「大魔境」の主題歌「だからみんなで」が挿入されており、「風のマジカル」のテロップ自体も削除されている。「だから…」もいい曲ではあるが、今作のエンディング曲としては少々不適当な気も…。

☆自分勝手な感想

 数ある「映画ドラえもん」の中の一つにあなたが「最高傑作」の称号を与えるとしたら、それはどの作品になるでしょうか?もちろんこれには個人の主観が絡んできますし、その時々の思い入れも重要なものとなるでしょう。しかし大多数のドラファンから愛され、傑作と評価されている作品と言えば、やはりこの「魔界大冒険」なのではないでしょうか。
 「日常と非日常を決して遊離させない」という大長編の基本理念、様々に張られた伏線がクライマックスに向けて一気に収束していく完璧な物語構成、敵味方双方の魅力を余す所なく描く丁寧な描写、見ている人さえも混乱させる遊び心、そして見ている人に伝えるメッセージ。今作ではそれら全てが完璧なまでに作品の中に取り込まれています。ここで大長編ドラ、そして映画ドラは一つの頂点を極めたと言っても過言ではないでしょう。
 今作は今までの映画に取り入れていたことを当たり前に取り入れているだけです。ドラたちのおかしな行動に笑い、不思議な世界が出てきて驚き、ゲストキャラとの交流に感動し、そして小さな勇気を奮い立たせて困難に立ち向かうのび太の姿に共感する。これら当たり前のことこそが大長編、映画の基本であり、忘れてならない大切な事項なのです。そしてこれらの要素を「行き当たりばったり」の手法を用いながら完璧にまとめ上げた藤子・F・不二雄先生の力に、改めて敬服するわけなのです。



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