のび太の宇宙小戦争

☆ストーリー概略

 ある日のび太達が出会った、親指ほどの小さい宇宙人・パピ。彼は反乱が起きたために宇宙に逃れてきたピリカ星の大統領だった。連れ去られたパピを救出すべく、スモールライトで小さくなった状態のままでありながらもピリカ星へ旅立つドラえもん達。独裁者・ギルモア将軍を倒すために奮闘する5人だが、ついに捕らえられてしまう。だがその時、スモールライトの効き目が切れて形勢は逆転、見事に勝利を収めた5人はパピ達との友情を誓い合って、地球に帰っていくのだった。

☆予告編 (ビデオに収録されているものを参考にした)

 1・ナレーションはなんと英語。「リトル・スターウォーズ」という横文字を意識したか?映像は一部本編にも使われており(すでにある程度本編映像が出来ていた?)、ラストには「やる事がオーバーだ」とドラのツッコミが入る(笑)。
 2・ナレーターは恐らく小林清志氏だと思うが、詳細は不明。タイトルにはドラの言葉が入る。BGMは「少年期」。本編映像と前の予告編の映像が一部使われている。

☆原作と映画の違い (原作はてんとう虫コミックス版を参考とした。コロコロ連載時を参考とする場合はその都度説明する)

 ・冒頭、映画では宇宙船がピリカ星に向かっていく描写あり。予告編でも使われているので、馴染んでいた人も多かっただろう。
 ・パピのピリカ脱出までは原作、映画共に大差ないが、軍隊の攻撃シーンはBGMもあいまって、映画のほうが迫力がある。
 ・映画ではパピの脱出用ロケットに大気圏離脱用ブースターがついており、分離のシーンもある。
 ・メインタイトル前、ジャイアンが中心になって、映画の配給マークのような映像になる。映画ならではのお遊び。
 ・オープニングアニメは「リトル・スターウォーズ」と言う英語タイトルを意識してか、新旧の外国製SF映画をパロった映像になっている。列挙すると、「未知との遭遇」「スターウォーズ」「フランケンシュタイン」「スーパーマン」「キングコング」「E.T.」。主題歌は「アン アン アン」以降2回繰り返し。
 ・原作ではしずかたちと一緒にうら山に行く前に、のび太がスネ夫の所に行くシーンがあるが、映画では無し。よって出木杉がスネ夫達にアドバイスするシーンも無し。
 ・原作と映画では、若干ロボッターのデザインが異なる。
 ・映画ではのび太たちの撮る映画のタイトルは「ねむれぬ森のリリカ」。
 ・原作では人形に演技指導するのはドラのようだが、映画ではしずか。
 ・映画では愚痴を言うのび太の背後で、ロケットが墜落していく描写が加えられた。
 ・小さくなったのび太たちと人形とのダンスシーンで流れる音楽は調査不足につき不明。映画では「カンテイ?」というのび太に「カンテイないじゃない」とドラがかえす。
 ・原作ではのび太はメロンをスプーンで食べるが、映画ではメロンにかぶりついて食べている。
 ・PCIAの戦闘艦は原作ではうら山に着陸するが、映画では廃車置き場になっている。
 ・原作に存在していた、野比一家とパピの食事シーンや、ドラがパピのロケットを修理するシークエンスは、映画では一切なし。
 ・原作ではのび太がしずかの家へパピを連れて行くとき、そのまま外へ出ようとしてドラに止められ、ドラがどこでもドアを出すが、映画ではドラがいきなりどこでもドアを出し、単純化されている。
 ・探査球に向かってののび太のアカンベーは映画ではたくさんのモニターに一編に映り、余計笑いを誘う。公開当時、このシーンで爆笑が巻き起こった記憶あり。
 ・映画ではジャイアンのポケットに探査球が潜入する明確な描写がある。
 ・ドラ達の秘密基地探索からスモールライト発見までのドラコルルのセリフが映画では一切ない。
 ・原作では戦闘艦に攻め込むとき、ショックガンや空気砲を持ちこむが、映画ではそういう描写がない。
 ・戦闘艦の潜伏場所は映画では廃車置き場になっているため、原作にあった、「ラジコン戦車に驚く先生」のシーンはもちろんない。
 ・戦闘艦がしずかの部屋に侵入するとき、原作では超音波が視覚化されているが、映画では目に見えなくなっている。
 ・映画では原作よりも戦車のコクピット内が精密になっている。
 ・戦車の改造の提案をするのは原作ではスネ夫だが映画ではドラ。
 ・公園にパピが来る前のドラコルルと部下の会話は映画ではなく、さらにパピをカメラで探したり、しずかが牢屋につかまっている描写も映画ではない。
 ・ロケットのワープシーンは「スターウォーズ」のハイパードライブのよう(笑)。
 ・ロコロコがスネ夫におしゃべりをしているシーンの後、映画では再びジャイアンとしずかの描写が入り、その後にのびドラの会話となる。
 ・原作では結構重要なシーンだった、自由同盟の人数や、暴動の可能性をゲンブが話すシーンは、映画ではなぜかバッサリとカットされている。
 ・映画では自由同盟基地でスネ夫が戦車をメンテするシーンがなく、よってスネ夫が発信機を壊す描写もない。
 ・衛星基地が攻撃目標にされ、怖がるスネ夫と悲壮な決意を秘めて出動するしずかのシーンは原作、映画共に同一だが、映画では更にしずかの悲壮感が増しており、盛り上がる展開になっている。
 ・下水道を通ってアジトに行くとき、ピリカで「ネコ」と呼ばれるネズミがたくさん出てくる、映画オリジナルの描写がある。
 ・映画では地下アジトでメンバーの一人がギター弾き語りで「少年期」を歌うシーンが追加。のび太は疲れて眠ってしまう。
 ・処刑シーンのときのロコロコの話す内容が、原作と映画では随分違っている。
 ・映画では巨大化してからの5人の活躍は極力抑えられており、ドラコルルの戦艦もジャイアンが海に落とすだけで具体的な攻撃をしていない。「民衆が蜂起する」というシーンのための伏線?
 ・ドラコルルは映画ではギルモアの逃げ場所を知っていた。
 ・映画では5人がピリカを去るとき、たくさんの人達の声援を受けて出発している。
 ・エンディングアニメは5人とロコロコの行進と、大きくなった5人がそれぞれ何かをするシーンが交互に出てくる形で構成されている。少年期は2番は一部省略。

☆主要ゲスト&声優紹介

 パピ(CV・藩恵子)
 ピリカ星の若き大統領であるが、ギルモア将軍の反乱を抑えることが出来ず、外宇宙に逃亡して地球に流れ着く。どのような状況に追いこまれても毅然とした態度を崩さない、強い心の持ち主で、ピリカの考え方から言っても10歳程度の若さで大統領に選ばれたことから、かなり優秀な頭脳と、そしてカリスマ性を持っていることが伺える。
 担当した藩さんは、「機動戦士ガンダム」のララァや「聖闘士星矢」の沙織といった、正統派ヒロインの役で有名な方ですが、「美少女戦士セーラームーン」シリーズのルナといった、ギャグ役までこなす役幅の広い方です。男の子の役を演じるのは珍しく、そう言う意味ではこのパピ役は貴重かもしれません。

ロコロコ(CV・三ツ矢雄二)
 パピの愛犬のピリカの犬。自分では無口というが物すごいおしゃべりで、しばしばドラ達をうんざりさせていた。その演説のせいでピリカ潜入の際も見つかってしまうというミスを犯すが、彼がいなければ処刑を延ばすことも出来なかったので、ある意味影の功労者?
 演じる三ツ矢氏は「のび太の海底鬼岩城」での水中バギーに続く映画ドラ出演です。早口でおしゃべりなロコロコの役は、芸達者な三ツ矢氏にはぴったりの役柄でした。

ゲンブ(CV・金井大)
 自由同盟のリーダー。元の治安大臣だったがギルモアのクーデターによって失脚し、自由同盟のリーダーとなってメンバーを率いる。落ち着いた感じのある初老の男性だが、ロコロコの弁を借りると、「お酒を飲むとすぐに騒ぎ出してしまう」らしい。ドラ達5人に全幅の信頼を寄せている。
 金井氏に関しては残念ながらまったくわかりませんでした。申し訳ありません。情報求む(笑)。

ドラコルル(CV・屋良有作)
 ギルモアが作った情報機関・PCIAの長官で、冷酷で残忍な男。作戦遂行のためにはどんな手段も厭わない。原作では皮肉屋の一面も持つ冷静な策士だったが、映画では多少「どなり型上司」のテイストも混じっており、原作のような不気味さは感じられなかった。
 演じた屋良氏も「ちびまる子ちゃん」のまる子のパパをはじめとして代表作が多く、藤子作品では「キテレツ大百科」でキテレツのパパを長い間演じていらっしゃいました。

PCIA部下(CV・中尾隆聖)
 ドラコルルのそばにいつも仕えている忠実な部下のようだが、映画でははっきりとした全体像は不明だった。
 中尾氏の代表作といえば、なんと言っても近年のドラ世界を支える「ザ☆ドラえもんズ」のエル・マタドーラ役でしょう。他にも「アンパンマン」のばいきんまんとか、「ドラゴンボールZ」のフリーザといった、非人間の役も多い方です(笑)。ドラミ役のよこざわけい子さんやスネ夫役の肝付兼太氏と共に長い間「おかあさんといっしょ」内の「にこにこぷん」でぽろりを演じていました。

ギルモア将軍(CV・八名信夫)
 ピリカに軍事的圧力で君臨した独裁者。支配権を完全なものにするため、脱出したパピを捕らえようとする。見るからに悪いヤツそうな印象は原作、映画共に変わっていない。結局ドラ達5人と民衆たちの蜂起によって失脚した。
 演じた八名氏はご存知「悪役商会」の会長でもあるベテランの役者さんで、最近では「青汁」のCMでおなじみですね。ジャンル的には「秘密戦隊ゴレンジャー」の宿敵、黒十字総統を演じていらっしゃいました。

☆映画主題歌

 少年期 作詞・武田鉄矢 作曲・左考康夫 歌・武田鉄矢
 少年時代、誰でも持つであろう大人への憧れと戸惑いを優しく歌っている。「のび太の恐竜」から「鬼岩城」までの主題歌の作詞を担当してきた担当してきた武田氏が、今回歌唱に初挑戦した。前年の「魔界大冒険」での小泉今日子に続く、いやそれ以上のビッグネームの登場に、当時話題沸騰だったという。武田氏の情感あふれる歌詞と歌声、そして素朴な感じの左孝氏の作曲によって、歴代映画主題歌屈指の名曲に仕上がった。元来「ドラえもん」という作品の縦線的テーマとして「成長」というものが存在しており、そういう意味でもぴったりの歌であったと思う。作中で流れるアレンジBGMも素晴らしく、個人的には一番好きな映画主題歌である。

☆自分勝手な感想

 他の惑星でおきたクーデターを鎮圧する為に5人が戦うという、他に類を見ないシビアなストーリーは今なお色褪せていません。映画ではそのストーリーの完璧さの上に更に、幾多のヒーロー達の戦いを彩った菊池俊輔氏の音楽が加わり、嫌が上でもテンションが高まります。さらにいろんな場面に挿入される「少年期」のアレンジBGMがこの作品を地に足のついた作風に仕上げるのに一役買ってくれています。宇宙を越えた友情という、大長編世界永遠のテーマも高らかに歌い上げ、大長編、そして映画の黄金期ならではの大傑作といえるでしょう。もっとも難点を挙げるとすれば、映画では原作以上にスネ夫が損な役回りになっているような気が…(笑)。

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