必殺仕掛人

1972年9月2日〜1973年4月14日 全33回



☆オープニングナレーション
はらせぬ恨みをはらし 許せぬ人でなしを消す
いずれも人知れず 仕掛けて仕損じなし
人呼んで仕掛人
ただしこの稼業
江戸職業づくしには載っていない
(作:早坂暁 語り:睦五郎)


☆主題歌
「荒野の果てに」
作詞:山口あかり、作曲:平尾昌晃、歌:山下雄三


 当時の人気番組「木枯し紋次郎」に対抗すべく、時代小説の大家・池波正太郎の短編「仕掛人梅安」シリーズをベースに、朝日放送と松竹が製作した、必殺シリーズの記念すべき第一弾作品。
 スタッフは松竹出身だけでなく、当時若手だった東映の深作欣二、映画黄金期の大映時代劇の脚本を支えた三隅研次を始めとした新旧織り交ぜた監督、脚本家が多数参加、さらに劇伴音楽の担当者には平尾昌晃を起用。様々な観点から、従来の時代劇とは全く異なる新しい時代劇を作る事が目標とされていた。
 そして出来あがったストーリーは、金を受け取りながらも「世のため人のためにならない人間のみ殺す」という、一種の職業倫理を付与させた『殺人稼業』というコンセプトに基く秀作、傑作が連作され、仕掛仕事の遂行だけに着眼した作戦遂行編から、親子、あるいは男女の業と悲しみを丹念に描く人間ドラマまで、様々なテーマを内包する作品が縦横に描かれ、作品をバラエティ豊かなものにする事に成功している。
 さらに特筆すべきは、現代社会に起きた出来事や事件を、作品世界の中に巧みに取り込んでいることであろう。浅間山荘事件をモチーフとした「理想に仕掛けろ」などが好例である。
 他の魅力としては、主人公・藤枝梅安が行う針による急所刺しという奇抜な殺し技に代表される斬新な殺陣と、梅安や西村左内などの登場人物が織り成す、人間味溢れるキャラクター描写である。特にうまい飯と女が大好きで、仕掛けで稼いだ金を全部そちらにつぎ込んでしまう梅安のキャラクターは、演じる緒形拳氏の演技力もあって、第1作にして、シリーズ屈指の名キャラクターとなった。
 他にも俗に「光と影の映像美」と称される、陰影を強調した照明効果、ハンディカメラを利用しての臨場感溢れる映像など、全ての面で今までにない時代劇像を完成させた本作は、視聴者から絶大な支持を受け、その後の「必殺シリーズ」を作り出す源となったのである。


 ☆登場人物

 藤枝梅安(演・緒形拳)
 表稼業は鍼医者の、音羽屋配下の仕掛人。駿河の国は藤枝宿の出身で、幼い頃に父とは死別、母に捨てられてから親戚の家を転々とし、鍼医者の先生に拾われて育てられながら鍼治療を習う。しかし初めて愛した女に裏切られ、激情のままに殺してしまった事から裏稼業への道を歩む事となる。
 普段は腕の良い鍼医者として、患者からの人気も高いが、うまい飯と女が大好きという享楽家であり、稼いだ金は全てそちらの方に使ってしまう。
 殺しの際の得物は治療に使う針。針を額や延髄、心臓部分などの急所に刺し、一瞬で標的の息の根を止める。また格闘も得意のようで、チンピラ程度ならば軽くのしてしまうことも出来る。身も軽く、天井や床下などの死角部分から敵を攻撃する事も容易に行える。

 西村左内(演・林与一)
 故郷の藩を脱藩して、素浪人として暮らす音羽屋配下の仕掛人。元は辻斬り浪人だったが、第1話で半右衛門に薦められ、仕掛人稼業につくことになる。
 梅安とは正反対の生真面目な性格で、稼いだ金も、自分に万一の事があった場合に妻子に渡してくれるようにと、音羽屋の方に預けている。大変家族思いであり、その家族には剣道場の師範をしていると偽っている。
 殺し技は刀を使った必殺の剣技。初期数話では笹笛を吹きながら現れる事もあり、裏稼業の人間には珍しく、堂々と自分の名前を名乗る場合が多い事も特徴である。

 音羽屋半右衛門(演・山村聡)
 表稼業は口入れ屋で、街の人々から頼りにされている温厚な初老の人物だが、その裏では仕掛人の元締めを努め、自身もかつては仕掛人として活動していた。
 金のためなら誰でも殺すという外道には成り下がらず、「世のため人のためにならない奴だけを殺す」という、確固たる信念を持つ。殺しを行う事はないが、大人物との駆け引きにおいては一歩も引けを取らないという不敵さも持っている。
 島帰りの過去があり、そのため島帰りの人間をないがしろにするお上の体制には純粋な怒りを持っている。

 おくら(演・中村玉緒)
 半右衛門とは一回りも年が離れている半右衛門の妻で、夫の裏稼業の理解者であり協力者。そのため幾度か生命の危機に陥る事もあるが、夫へは全幅の信頼を寄せている。
 半右衛門と同様、島帰りの過去がある。

 岬の千蔵(演・津坂匡章)
 音羽屋配下の密偵でお調子者の性格。そのためか、梅安と行動を共にする事が多い。
 梅安に似て女好きだが、血を見るのが嫌いなため仕掛人にはならないらしい。

 櫓の万吉(演・太田博之)
 音羽屋配下の密偵で、千蔵の弟分。千蔵よりは真面目な性格のためか左内とウマが合うようで、中盤以降は結構行動をともにしている。
 探索から仕掛の補助まで縦横にこなす。

 お銀(演・野川由美子)
 梅安の愛人の芸者。1話で自分が世話になっていた大店の主人が梅安に殺されたために、芸者として生計を立てている。
 気の強い性格で、しょっちゅう千蔵あたりと口論を展開している。裏稼業については知る由もない。

 美代(演・松本留美)
 左内の妻。夫の裏稼業の事など知る由もなく、息子の彦次郎(岡本健)とともに、慎ましやかな生活を送っている。
 最終話で夫の口から裏稼業の事を聞かされ衝撃を受けるが、最後には夫と共に江戸を離れて行く。


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