翔べ!必殺うらごろし

1978年12月8日〜1979年5月11日 全23回



☆オープニングナレーション
二つのまなこを閉じてはならぬ
この世のものとも思われぬ
この世の出来事見るがいい
神の怒りか仏の慈悲か
恨みが呼んだか摩訶不思議
泣き顔見捨てておかりょうか
一太刀浴びせて一供養
二太刀浴びせて二供養
合点承知の必殺供養
    (作:早坂暁 語り:野島一郎(1話のみ)、藤田まこと)

☆エンディングナレーション
超自然現象
それを証明する多くの伝承が
古来より東西にわたって受け継がれている
この一行はこれからもこのような
未知の世界への旅を続けるであろう
たとえあなたが信じようと信じまいと
(作:野上龍雄 語り:野島一郎)

☆主題歌
「愛して」
作詞・作曲:浜田省吾、編曲:井上 鑑、歌:和田アキ子


 幽体離脱やポルターガイストといった、人知を越えた超自然現象を作品世界に大胆に盛り込み、その裏に隠された弱き者の声を聞いて超人的な力を持つ殺し屋が悪を始末するという、シリーズ第14弾にしてシリーズ最高の異色作。
 骨子こそ「虐げられた弱者の恨みを晴らす」という、シリーズ根底のテーマを持ってはいるものの、やはり今作の魅力は毎回登場する超自然現象、そしてそれに対処する主役連中の超人的な活躍だろう。それまでリアルな殺しを重視してきたシリーズであるが、新たな方向性を見出すためにあえて奇抜な設定を盛り込んだというわけである。また舞台を江戸近郊とし、後期「からくり人」シリーズとは異なった「さすらい」の要素を盛り込んでいるのも興味深い。事件も先々で起きる怪現象が発端となる事が多く、視聴者の興味を引くには十分であった。
 また、そう言った世界観に負けじと登場人物も一癖も二癖もありそうな個性的な面々ばかりであり、超人的な殺し技で悪党を葬るシーンは理屈抜きの爽快感を生み、従来通りのカタルシスを与えてもいた。
 だが、こういった設定の多くに今までのシリーズに親しんできた大半の視聴者が拒否反応を示したのも事実であり、結果的に視聴率は過去最低を記録し、シリーズを打ち切りの危機にまで追い込んでしまう事となった。しかしこれらの野心的な展開は決して否定されるものではなく、むしろ殺しの派手さについては後の仕事人シリーズにおける派手さの前段階と捉えられなくもない。試行錯誤の末に生み出された異端の作品ではあるが、決して本作の価値は低くはない。今作もまた立派な「必殺シリーズ」の1作品なのである。


 ☆登場人物

 先生(演・中村敦夫)
 太陽を信仰する修行僧。梵字が書かれた旗竿を持ちながら修行の旅を続けており、朝日を浴びる事で死者の魂と会話し、それによってすべての悪事を知ることが出来る。殺しの際も朝日を浴びる事で超人的能力を発揮し、高く跳躍したり高速で走るのはもちろん、屋根の上を身軽に飛び回ったり馬を駆ったりと縦横無尽に駆け回りながら、持っている旗竿で敵を突き刺す。
 世俗にはまったく関心を持たず、金に対する執着もないので頼み料ももらおうとしない。肉や魚なども口にせず、食べるものは野山で取れた草を調理したまずい汁。それゆえ、逆に肉や魚を食べると腹を壊してしまう事もある。薬草に関する知識もあり、また太陽の力を借りて傷を治癒する事もあった。
 長い間の修行のために普通の人間の感情というものを理解しきれない事もあり、そのたびに修行不足を実感していた。最後にはおばさんを弔ったのち、仲間と別れて再び修行の旅に出る。

 おばさん(演・市原悦子)
 かつては江戸近辺で殺し屋をしていたらしいが、4年前のある出来事以来記憶を喪失してしまい、今では自分の本名さえも忘れてしまっている女性。先生と出会って記憶の一部を蘇らせてもらった事から先生に着いてまわるようになる。
 表稼業は木綿針の行商だが、あまり商売には熱心ではないようだ。殺しの得物は匕首で、敵に近づいて隙を突いて刺し殺すのが基本。その際に悪党に対して必ず毒々しい捨てゼリフを言うのも特徴である。
 殺し屋としてのキャリアはそれなりなようで、正十がかつて江戸で殺し屋の手伝いをしていた事も知っていた。やがて記憶を取り戻し、同時に殺しの現場を自分の息子に見られ、その際のショックで記憶を無くしたという悲しい記憶も蘇る。そしてその子供には正体を明かさぬまま、子供の新しい家族を守るために悪党と戦い、先生に後を託して正十に背負われながら息絶えた。

 若(演・和田アキ子)
 男よりも大きい体格と怪力を持っており、服装も空手着風のものを着ているために男と思われがちだが、実は女性。男に見えるその容貌にコンプレックスを持っているが、ひと目見て真実を見抜いた先生に惚れこみ、共に行動するようになる。
 素性は一切不明で、殺し技も相手が死ぬまで殴り続けるという荒々しいもの。その力は強烈で、相手の首が180度回転してしまう事もある。だがその容貌とは裏腹に裁縫や料理と言った家事が得意で、自分を女性扱いしてくれる男には弱い一面も持つ。死に別れた弟がおり、そのために人一倍命を大切に考えており、命を粗末にする言動や行動に対しては激しい怒りを示す。
 後半では病を患ったために登場機会が減ってしまうが、最後にはおねむからおばさんの死を聞かされ、一人船に乗って旅立った。

 正十(演・火野正平)
 お調子者の風来坊で、金と女に目のない青年。主に情報収集を担当し、仕置時にアシストをした事もある。先生に着いてまわっているがそれ以前から江戸で殺し屋の補助をしていたようで、そのことはおばさんに知られていた。彼によく似た人物が江戸で「仕置人」として活動していたが、同一人物かは不明。
 先生が金にまったく執着しないので、頼み料を回収するのはもっぱら彼の役目。おねむに気があるのだが、結局最後まで何もできずじまいであった。最後はおばさんの死を看取り、おばさんを弔ったあとで皆と別れ、一人去っていった。

 おねむ(演・鮎川いずみ)
 熊野権現のお札を売り歩く流れ巫女。眠るのが一番好きと公言し、普段からボーっとしている様子で素性は一切不明。正十とはいいコンビであるが一線を越えてはおらず、かと言ってそちらの禁忌を意識しているわけでもないらしい。敵の所に潜入して調査する事も何度かあった。
 元々一人で行動していたようで、最終話ではおばさんが死んだ事を若に報告し、一人旅だっていった。



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