新必殺仕事人

1981年5月8日〜1982年6月25日 全55回



☆オープニングナレーション
世の中は行くな戻るな居座るな
寝るな起きるな立つな座るな
生麦生米生卵
どじょうニョロニョロ三ニョロニョロ
合わせてニョロニョロ六ニョロニョロ
しっぽ押さえりゃ頭が逃げる
頭押さえりゃしっぽが跳ねる
とかくこの世は悪党揃い
悪人ヒョコヒョコ三ヒョコヒョコ
四ヒョコ五ヒョコ六ヒョコ七ヒョコ
八ヒョコ九ヒョコ十ヒョコ…
ええい面倒くせえ 殺っちまえ!
(作:山内久司 語り:古今亭志ん朝)

☆主題歌
「想い出の糸車」
作詞、作曲:山本六介、編曲:竜崎孝路、歌:三田村邦彦


 主水シリーズの前作である「必殺仕事人」の世界観を完全に引き継いで制作されたシリーズ第17弾。
 物語のパターン化、若手仕事人・秀の人気などにより既に高い人気を博していた「仕事人」、そして良心的な作りで好評を得た16弾の「仕舞人」によって一般層における必殺ムーブメントは次第に高まっており、本作ではそれをさらに押し進めるための新機軸が盛り込まれる事になる。その最大のトピックスは中条きよし演じる三味線屋の勇次の参入である。秀とはまた異なるタイプの美青年仕事人が参入し、またその流麗な殺し技も相まって勇次というキャラクターはファン、とりわけ女性層からの絶大な支持を集め、必殺ムーブメントの活性化に一役買うことになる。
 さらに「仕事人」において人気を博した秀も残留して再びブラウン管に登場した。歴代のシリーズでは情報屋レベルのレギュラーが続投をすることこそあったものの、主役である仕置人側が続けて出演するというのは極めて異例の事であり、さらには主水の周りをとりまく仲間が今までは「美形と肉体派」であった(例外もあり)にも関わらず、今作においては2人の優男を主水が仕切るという、極めて異例のキャラシフトを呈している。さらに鮎川いずみ、山田五十鈴などおなじみの顔ぶれもまた同じ役、あるいは良く似た別の役で出演を果たし、今まで以上にアットホームな雰囲気をかもし出すことに成功している。それ以外にも主水の上司として中途から筆頭同心・田中も参入し、必殺後期仕事人シリーズの布陣はこの時点でほぼ完成したと言えるだろう。
 反面、ドラマ的厚みの消失は顕著にもなっており、クライマックスに展開される仕事人たちの殺しのシーンを華麗に描く事でビジュアル的な面白さを追求するようにもなっていく。物語自体は市井に生きる名もない一庶民の悲劇を描く事を主としており、「仕事人」に次ぐ長期放映でありながら、全体的に地味な印象は拭えない。
 しかし本作における秀と勇次のコンビ、そしてその間に立つ形となった主水のキャラなど、後の大人気を支える要因は既に今作で完成しており、ここから仕事人ブームが始まっていくのである。
 なお、当初は本作の最終回で秀が殉死する予定であった。それがファンの熱心な助命嘆願によって延命したというのはファンには有名な話であるが、その事が引き起こした功罪についてはともかく、秀が生き残ったという事実こそがこれ以降の必殺シリーズの方向性を決めたと言っても過言ではないのかもしれない。


 ☆登場人物

 中村主水(演・藤田まこと)
 「仕事人」最終回後は裏稼業から完全に足を洗っていたが、おりく・勇次親子との邂逅、そして想いを寄せていた女性の非業の死に直面して、再び裏稼業へと復帰する事になる。
 剣の腕前は相変わらずで、太刀による剣さばきを見せる事もあったが、今作からは小刀による隙をついての急所刺し、いわゆる「せこ突き」を多用する事になる。
 裏の仕事はあくまで稼業と割り切り、面倒な仕事には手を出さない素振りを見せて仲間から反感を買うこともあったが、かつてのような熱い心を忘れたわけでは決してない。今作では勇次が三味線の師匠として中村家にやってきており、勇次と主水を比較してのせん・りつの嫌味もエスカレートしているので困り果てている。
 だがいつしか因果な商売に疲れ果てたのか、最終話では自然に消滅するかのようにチームを解散、再び江戸に残った。

 秀(演・三田村邦彦)
 「仕事人」チーム解散後、しばらくは旅に出ていたが数ヶ月前に江戸に舞い戻っていた。しかしそれからも裏稼業に手を出す気はなかったが、仲間の加代、そして勇次と相対したこともあって裏稼業に復帰する。
 普段は飾り職人として簪作りを行っており、その簪は大店から注文がきたりするほどに人気が高い。裏の仕事においても自らが研ぎあげた鋭利な簪を標的の急所に刺して止めを出す。場合に応じて独自の体術を用いて敵を牽制したりもする。
 クールな職人気質を通すが年相応の明るさや熱さも普通に持ち合わせており、直情径行の気もある。新参者である勇次には少なからぬライバル心を抱いている様子だが、基本的に人当たりはいい。
 最終話では8年前に行った初めての殺しに目撃者がいた事が判明、その因果が巡ってチーム解散の引き金を引いてしまうことになる。

 勇次(演・中条きよし)
 母のおりくと共に三味線屋を開いている二枚目の青年。あまり感情を表に出さないクールな雰囲気を持っているが色男なので女性には人気が高い。
 しかし裏の顔は三味線糸の中でも一番細い「三の糸」を使って敵を絞め殺す非情の仕事人。糸を使って敵の首を締め上げるのが基本だが、後半以降における「糸でつり上げて殺す」というパターンが定番の方法となっている。悪人に対してはまったく容赦する事はなく、相手が助けを求めてもそれをさらりと受け流して止めを刺す冷酷さを持っている。
 普段は三味線張替えなどの仕事を行い、腕も確かな上に前述の通り色男なので女性客からの受けが非常に良い。本人も女嫌いというわけではないので、遊郭などで遊びに興じる事もある。せんとりつの三味線や小唄の師匠をしている事から中村家に出入りする事が多く、主水を辟易させている。
 おりくとは血のつながりはなく、しかも実の父親を殺した張本人なのでもあるが、血よりも深い絆で結ばれている。しかし仲間に対しては一定の距離を保って必要以上に接しようとせず、主水や秀から反感を買うことも多い。しかしその内に秘めた熱い心をたぎらせる事も少なからずあった。
 最終話では依頼人の処遇を巡って秀と対立する事になり、チームの解散を決定的にしてしまう。

 おりく(演・山田五十鈴)
 勇次の母親である女主人。気品と気丈さを兼ね備えた女性で、その裏の顔は凄腕の仕事人で、三味線の撥を用いて相手の頚動脈などの急所を一瞬で切り裂く。主水と初めて出会った時もその正体を知らないにも関わらず、相手のただならぬ雰囲気を瞬時に察知していた。
 勇次とは血のつながりはなく、勇次の父親とも裏稼業における仲間だったのだが、勇次の父が裏切り行為を働いたためにやむなく己の手で仕置していた。しかしその事実を知ってなお母親として自分を慕ってくれる勇次とは固い絆で結ばれている。
 裏表の関係なく人脈が広い事から、相当のキャリアをつんでいるものと思われるが、本人の過去についてはほとんど不明のままだった。幾度か旅に出たり江戸に戻ったりを繰り返していたが、奉行所の三味線屋狩りの余波を受けて旅に出、それ以降は旅先から勇次達を支援していた。

 加代(演・鮎川いずみ)
 以前は木更津の六蔵の下で働いていた仕事人の情報役だったが、チーム解散後は江戸を離れ、久々に江戸で主水と再会した時は乞食同然の姿であった。おりくと勇次の親子に興味を示した事から彼らの秘密を知り、同時に主水や秀をたきつけて裏稼業に復帰させる事になる。
 現在はどんな仕事でも請け負うという「なんでも屋」を開業して生計を立てており、以前より遥かに開けっぴろげで金に汚い性格になった。少々無鉄砲で軽率な面もあるものの、色仕掛けで情報を収集するなどここぞという時の役目はきっちりとこなす。
 最終回では拾った富くじで五百両もの大金を当ててしまい、他のメンバーを尻目に笑顔で江戸を離れて行った。

 筆頭同心・田中(演・山内敏男)
 13話より登場した主水の上司。主水よりも遥かに年下の若者でありながら筆頭同心になるほどのエリートなのだが、なぜか作品中では出世する事はなかった。昼行灯の主水を疎んじており、厳しい態度で接する事もあるが、次第に気安さを覚えていったようでもある。
 初登場時は普通の上司だったのだが、次第に甲高い声を張り上げるオカマチックなキャラクターへと変貌していく。

 中村りつ(演・白木万里)
 今作では勇次が小唄の師匠として家にやってきているため、色男の勇次に夢中になって主水をゲンナリさせる事が多かった。せんや主水と共に繰り広げる「中村家コント」も次第に定番化していくようになり、いびりもますますエスカレートしていくが、時折見せる人情深さも忘れがたい。

 中村せん(演・菅井きん)
 りつとともに主水をいびるのが主な役割だが、そのいわゆる「中村家コント」は後期主水シリーズのもう一つの名物となるまでに昇格していた。



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