必殺仕事人X旋風編

1986年11月7日〜1987年3月6日 全14回



☆オープニングナレーション
雪に白鷺 闇夜に鴉
紛れ隠れる悪い奴
正直者は阿呆鳥
これじゃあ理屈が合いません
世の中こんなもんだよと
あきらめないで来てくだせえ
どこにいようと探し出し
必ず仕留めてご覧にいれます
(作:山内久司 語り:中村梅之助)

☆主題歌
「愛は別離」
作詞:なかにし礼、作曲:浜圭介、編曲:桜庭伸幸、歌:川中美幸


 いわゆる「仕事人」シリーズの既成概念にとらわれない自由な作劇と、ファミコンゲームをモチーフにしている奇抜な設定などで、ファンに賛否両論を呼んだ前作「必殺まっしぐら!」に続いて、制作陣は再び中村主水を主役に据えた仕事人シリーズを世に送り出した。それがシリーズ第27弾「必殺仕事人X旋風編」である。
 「激闘編」において前期作のようなハードな雰囲気を再び取り戻した主水シリーズではあったが、中盤以降は従来の仕事人シリーズに倣ったバラエティ路線が大部分を占めるようになり、今作「旋風編」もそう言った流れを受けて、バラエティ性を前面に押し出した作風を取ることになる。さらにバラエティ面の強化策として、仕事人X以来の西順之助の再登場、サブタイトルに外来語やカタカナ語を積極的に織り交ぜて時事性を持たせるなどの手法が取られた。
 ドラマ面としては舞台を百軒長屋という限定された空間に絞ったことで、各仕事人と被害者や頼み人との接点に整合性をつけやすくしている。殺しの技も順之助の竹筒に代表されるようにビジュアル面の一層の強化を図っている。スタッフとしては「富嶽百景」以来久々に参加した安倍徹郎の存在を忘れてはならないだろう。ドラマ展開がルーティーンワークになった感のある後期作において、安倍の得意とする一捻り加えられた人物造形が描かれたことは返って新鮮であった。さらに新年には今までとは趣の異なるスペシャル「必殺忠臣蔵」も制作され、史実を織り交ぜながらも痛快さを前面に押し出した作風が好評を博した。
 だがやはりストーリーの流れ、殺しの技など必殺世界を構築する様々な要素は既に出尽くした感があるのも事実であり、さらに旧来の仕事人シリーズの作劇法を長く続けすぎたということもあってか、作品そのものに新味を感じられなくなってしまっていた。それが如実に影響したのか視聴率は一向に伸びることはなく、ついに主水シリーズとしては異例の14回打ち切りとなってしまった。結果としては遺憾ながらも、やはり今作には悪しきマンネリ感の存在は否めず、この事実は制作陣に、従来の仕事人シリーズの作劇法では視聴者に受け入れられなくなったということを認識させ、作品の新たな模索という命題を課すことになったのである。


 ☆登場人物

 中村主水(演・藤田まこと)
 「激闘編」、そして「裏か表か」での死闘を乗り越えた主水は、新たに整備された石川島百軒長屋の出張番屋詰に配属される。当然裏の仕事からも手を引いていたが、銀平の殺しを目撃、さらにお玉や順之助に出会ったことから、半ば状況に流される形で裏稼業を再開することになる。
 かつての仲間であった西順之助との再会を素直に喜ぶ一方で、殺しという裏稼業をあくまでビジネスライクに遂行していくという、熟達者としての姿勢がよりはっきり見えることが多かった。普段は主に長屋内で起きるいざこざや事件などを調査、仲裁するのが主で、奉行所では今までの田中様に加えて与力の鬼塚にまで叱られている毎日。
 最終話では地上げ屋の奸計にかかって百軒長屋が全焼し、その最中で仕置を敢行。結果として銀平と順之助を失う形になり、なし崩し的に裏稼業も休業状態に追い込まれてしまった。

 鍛冶屋の政(演・村上弘明)
 かつての主水の仲間である仕事人。真砂屋一味との死闘の後の消息は主水も知らなかったようだが、再び裏稼業を開始した主水と偶然に再会を果たし、以降仕事人としての活動を再開する。
 手槍を使っての鮮やかな殺しの腕前は健在で、その体を生かした格闘術も駆使して悪党を確実に葬り去る。女性とのロマンスを演じることも少なくはなかったが、結局最後に待っているものは悲劇のみだった。
 最終話での大火災の中、情を交わした女性の仇討ちとばかりに標的を仕留めるが、誤爆に巻き込まれて川に沈んだ順之助の姿を目の当たりにし、さらに銀平も救えなかったという痛恨を味わってしまう。

 夜鶴の銀平(演・出門英)
 お玉と共に裏稼業を行っていた仕事人。表稼業は船宿「磯春」の板前で、そこの船頭も兼ねているが、仕事の際には釣り糸に銀製の折鶴を括りつけた釣竿を用い、釣り糸を手足のように操りながら飛ばして標的の首に巻きつけ、折鶴の鋭利な嘴部分を喉の急所に刺しこんで仕留める。
 かつて上方の虎の下で働いていた仕事人であり、さらに以前は樵としても生活をしていたという。樵の頃から裏稼業に手を染めていたらしく、仕事人としては相応のキャリアを踏んでいる。基本的には静かな性格で、普段は仲間と一緒に行動することもない。
 最終話では無事に仕置こそ遂行したものの、順之助が持っていた火薬の誤爆に巻き込まれて川に落ち、助けようとする政を道連れにしないため、政の手を振り切ってそのまま暗い川の底に沈んで行った。

 西順之助(演・ひかる一平)
 かつて主水や秀、勇次らと共に裏稼業に参加していた「受験生殺し屋」。「X」最終話で皆と別れたままだったが、晴れて念願の医者となり、現在は百軒長屋で歯医者を開業している。
 殺しの得物には手製の巨大な竹筒を用い、そこからバズーカのように強力な弾丸を発射して敵を仕留める。また連続発射することで敵の撹乱をすることもあった。主水とは一番付き合いが長いことになるが、キャリアのことを踏まえてか、仲間達には常に敬語を使った口調で接していた。今作でもかつての玉助の如く、千代松(遠藤太津朗)とおりん(桃山みつる)の2人に可愛がられ、にぎやかな日々を送っている。
 最終話では仲間達と共に仕置を遂行するも、竹筒に使用するために所持していた大量の火薬に引火して誤爆を引き起こしてしまい、巻き込まれたまま川の中に没していった。後日、新任の南町奉行・奥田右京亮と仕事人達との戦いに参加していたようでもあるが、仔細は不明である。

 便利屋お玉(演・かとうかずこ)
 百軒長屋で便利屋を営む女性。長屋での商売はご法度ではあるが、それについて主水に注意されても一歩も引かない気の強さを持つ。実はかつて裏稼業を束ねていた上方の虎の娘であり、銀平と共に江戸で細々と裏稼業を続けていた。
 気の強い女性だが人当たりはよいので長屋内の知り合いも多く、裏稼業においても情報収集が主な役目である。時折人間離れした跳躍を見せることもあり、その卓越した能力も情報収集に役立っていたようである。
 最終話で順之助と銀平の死に様を目の当たりにし、具体的な描写こそないものの、その後すぐに旅に出たようである。

 筆頭同心・田中(演・山内としお)
 南町奉行所の筆頭同心であり、主水の直接の上司。主水が配置替えになったものの、結局は主水と顔を合わせることも多いので、そのたびに主水の怠慢ぶりを注意している。
 今作からは新たに田中の上司でもある鬼塚が加わったため、2人揃って主水を叱りとばしていた。

 与力・鬼塚(演・西田健)
 田中の上司の与力。かなり短気な性格のようで、ほとんどの登場シーンで主水を大声で叱責していた。
 田中と同様に同心としての能力はあまり高くないようで、もっぱら捕らえてきた下手人を厳しい拷問にかけ、自白を強要させることが多く見られた。

 小物・六平(演・妹尾友信)
 主水の部下。数少ない主水の八つ当たりの相手であるためか、長屋の番所の掃除などを押し付けられてしまうこともあるが、人がいいので結局引き受けてしまっていた。

 中村りつ、中村せん(演・白木万里、菅井きん)
 主水をいびるのは相変わらずの2人。サブタイトルにつけられる時事ネタについては、主にこの2人が物語とは無関係に絡んでくることが多かった。



必殺紹介に戻る