必殺メモリアル

ここでは必殺シリーズに関するエッセーを載せています。
ファン暦は長くないので読み応えがないかもしれませんが、
どうかお付き合いください。


ファンになる以前

 必殺シリーズのファンになる以前は、当然だが必殺シリーズなど見てはいなかった。よく考えればこれは仕方ない事だ。僕が生まれたのは1978年。物心ついた頃はもう既に「仕事人ブーム」も下火になる時代である。だから全然必殺などは見た事がなかった。ただ、どこかのテレビで見ていたのか、主演は藤田まことで、「骨はずし」という技があることは、いつの頃からか知っていた。
 だから僕が意識していたのは、時々放送されるテレビスペシャルと、中学生の頃にやっていた「必殺仕事人・激突!」ぐらいだった。しかも「激突!」の方も、例の「照蔵屋」の話だけしか見なかった。確かこの話は新聞で紹介されていたから見たのだったと思う。必殺については本当にそれくらいの認識しかなかった。こんな様子から、後々の事などは全く想像できないのは当然だ。


覚醒 〜高校三年の夏休み〜

 僕と必殺との、まさに運命的な出会いは高校三年生の夏休みだった。その年からテレビ東京系で「時代劇アワー」という、時代劇の再放送を行う番組が始まり、最初に「木枯し紋次郎」をやっていたので、何回か見たりしていたのだが、夏休みに入って1日中暇となり(受験勉強については無視、笑)、言ってみれば暇つぶしの感覚でその番組にチャンネルを合わせた。そこでやっていたのは「必殺仕切人」だった。もちろん当時はその作品に対するファンの一般的な見解など知るはずもないから、僕としては全く普通に楽しむ事が出来た。いわゆる「バラエティ必殺」全盛期の作品で、ストーリー的深さなんかお構いなしの、とにかく「許せぬ悪人を仕置する」事だけに重点を置いた、一種パワフルな作りに、単純にカッコイイと思った。これが必殺の面白さなのかと、そこに気づき始めていた。
 だがその後がまずかった。「仕切人」の終了後に始まったのはシリーズ第1作の「仕掛人」なのだ。今でこそわかることではあるが、第1作の「仕掛人」と第22作の「仕切人」とでは、いくらなんでも違いすぎる。事実第一回を見て、僕はいったん必殺を見るのを止めてしまった。今分析してみると、「仕切人」での、言ってみれば「ぬるい空気」に慣れてしまった段階で、いきなり「仕掛人」というハードでアナーキーな世界に触れたための拒否反応だったように思う。ちょうど夏休みも終わってしまった事もあり、いったん必殺から離れていった。


大爆発 〜受験と必殺、ハカリにかけりゃ…〜

 いったん醒めていた必殺への思いであったが、それでも「仕掛人」の最終回と、その次の「助け人」の第1回と第2回はタイマー録画して一応見た。その後見ることはなくなったのだが、やはり冬休みになってからはまた見始めるようになった。現金なヤツだ(笑)。だが、何気なく見続けていたら、必殺にドップリはまってしまう事になるすごい作品に遭遇してしまった。
 それは「助け人」の「悲痛大解散」と「逃亡大商売」である。前者の方は知っている方はご承知の通り、助け人の仲間の一人である為吉が奉行所に捕まってしまい、激しい拷問に苦しみながらも最後まで仲間を庇って死んでいくという、とんでもないハードな話だった。この話を見て何が一番驚いたかというと、「助け人」という作品は「仕掛人」と比べると少し「仕切人」的というか、ハードな描写が少し和らいだ感じの作風だった。そのために仕掛人よりもとっつき易かったという事もあったのだが、この話はそんな感じをいっぺんに吹き飛ばしてしまった。ショックを受けた時の僕の気持ちを察していただきたい。
 そして後者である。前回からの続きで、なんと助け人は解散状態のままで過ごしているのだ。今、全作品を見てみてもこのようなかつてないほどの設定を盛り込まれたのは「助け人」のみである。そしてこの話では解散状態になりながらも裏稼業の人間として生きていく事を決意するまでの主人公連の葛藤が鮮やかに描かれている名作なのだが、僕が完全にシビれた(死語)のは、終盤の文十郎の仕置シーン。これは言葉でいくら連ねてもその迫力は伝わらないと思うので省略するが、はっきり言って参った。今話を見て、僕は完全に必殺に転んでいった。それから、受験そっちのけで必殺に夢中になっていったのは言うまでもない。


めぐり合い 〜同人誌の世界〜

 そんなこんなで必殺ファンとしての入り口に立った僕だが、当たり前だが世の中には必殺関連の資料などほとんどない。情報に飢えていたそんな時、今は亡き「B−CLUB」という雑誌の同人誌コーナーの所に、「殺した奴をまた殺す」と言う必殺の同人誌が紹介されているのを発見した。しかも「仕切人」特集だと言う。僕は迷わず手紙を出して、その同人誌を購入した。
 驚いた。正直言って、ここまでの情報量を持つ冊子など、商業誌でもめったにお目にかかれる物ではなかった。各話ごとの詳細な解説と分析、作品総論、殺し技や劇判の分析、その他いろんな企画記事など、全てが必殺一色であり、そして必殺への愛であふれていた。正直ショックだった。同人誌なんて買ったことのない当時の僕にしてみれば、同人誌はパロディものしか存在していないと思いこんでいたのだ。僕のあまりにも狭い了見を根底から覆す事になったこの同人誌は、僕の宝物である。
 同時に、その同人誌を執筆している編集部の方達は、プロのライターの方達も多く、そのため文章がとても読みやすいのだ。僕が理想とする文章構成であり、僕がこのホームページを製作するに当たり、手本且つ目標としているのがこの同人誌なのである。
 ただ、今だに僕自身の作品論評文を送れていない(笑)。何とかしないとなあ…。


初体験 〜ハッとしてグー〜

 様々な事情でものの見事に受験を失敗した(笑)僕であったが、そんな事は気にも止めずに(止めろ)、97年3月から公開が始まった「必殺始末人」を見に行った。僕にとっては始めてのリアルタイム必殺という事になる。
 出来映えは何も言えない。その時点ではほとんどの必殺作品を見ていないのだから、評価のしようがないのだ。ただ、やはり田原のトシちゃんは違和感があった。お高くとまっている気がして、どうも好きになれないのだ。でも殺陣は以外と上手だったので、そこらへんは満足した。それ以外の始末人(特にリュウ)が目立っていないのは残念だったが。
 ともかくこれが僕が始めて見た「リアルタイム」の必殺なわけだが、…まあその評価については他のコンテンツで(笑)。


必殺音楽 〜サントラCD〜

 「始末人」を映画で見る頃には、一応それなりに書籍や雑誌を読んだりして、それなりの情報を手に入れていた。もちろんその中にはサントラの情報も含まれていたのだが、実際発売されたのは去年の「主水死す」の時期だから、さすがにどの店にも置いてあるという状況ではなかった。それでも必殺シリーズはLDを除いてはあまり映像ソフト化していないのも事実であり、とりあえずサントラCDだけでも集めたいと思うのは当然のことであった。
 最初に買ったのは始末人を観に行った時に買った「仕事屋・仕切人」のサントラである。何でいきなり5番目からにしたのかと言うと、単に最初に見たシリーズが仕切人だったからである(笑)。仕事屋のほうはまったく知らなかったので、ブックレットに書いてある解説文には情報の面で非常にお世話になった。読むたびに仕事屋の再放送も見ておけば良かったと後悔したものだ。
 サントラを買い始めた97年はちょうど浪人生だったのでそんなに資金的に潤沢ではなく、それでもバイトをしていくらか金はあったのでサントラCDは定期的に購入していった。「仕掛人」はいつ購入したのか忘れてしまったが、ちょうど4月からテレビ埼玉で再放送されたので、どの曲がどんなシーンで使われたのかすぐに頭に浮かばせることが出来た。「仕置人」は7月に「ジェダイの復讐」を見に行った時、ついでに買ってきた。映画館で待っている間、友人の持っていたCDウォークマンを借りて聴き入ってしまったものだ。「助け人」「仕留人」「仕置屋」はいつごろ買ったのか憶えていない。ただ「仕業人」「からくり人」のCDは翌年のお正月に買った記憶がある。ちょうどその頃には受験勉強に専念するためにバイトを止めていたので金を得ることが出来なくなり、以降CD購入はぱったりと途切れてしまうのだ。
 だが、めでたく大学に入学した98年の夏に「新仕置人」のCDは購入した。LD−BOXを買う際の予習として先にサントラを買っておいたのだ。今のところこれが最後に購入したサントラCDになってしまっている。いつか全部揃えたいとは思うけど、もうほとんど店頭から消えてしまっているし、そもそも金がないのである(笑)。


大ショック 〜最終回ビデオ〜

 順番が前後してしまうが、97年の頃はサントラと同時に本物の映像も何とかして観てみたかった。必殺シリーズの傑作選ビデオはビデオデッキが普及した当時に出たぐらいなので、ビデオを置いてあるレンタルショップを見つけるのにも苦労してしまった。そこで僕が映像ソフトとして頼ったのは「最終回ビデオシリーズ」である。これは「仕置人」から「剣劇人」までの最終回だけを集めたビデオシリーズであり、それなりに大きいレンタルショップなら大抵は置いてある。唯一「仕掛人」だけがないのだが、このビデオが発売した当時は「激突!」放送前だったのでシリーズは29作だった。ビデオ一本に2話構成で収録されているから1話分あまってしまうわけだ。仕掛人は傑作選ビデオシリーズがあったようだし、そもそも最終回は見たことあるのだからあまり気にしなかったけど(笑)。
 で、「仕置人」から順次見始めていった。一応話の流れやテーマとかは理解したつもりだけど、やっぱり最終回だけ見ても味気ないものだ。それでも必殺の作品に触れられるのだからと我慢して借り続けてきたが、ここにきてショックを受けるような作品に出会ってしまった。「新必殺仕置人」の最終回・「解散無用」である。
 前述の通り最終回だけ観ても、例えばここのキャラクターはどういった性格設定なのかとか言うことはすぐにはわからない。新仕置に関して言えば、巳代松は最終回ではほとんど話さずじまいなのだからどういった人物なのかわかるはずもない。しかし、しかし僕はこれを見てショックを受けた。予備知識などほとんどなくても衝撃を受けた。これほどすごいドラマが存在したのかと。なんかいろんな要素が絡んでいて、しかもそれを完璧に画面上で描ききっているその出来栄えに、当時の僕は驚嘆した。
 だがそこで早速後悔することになってしまった。恐らく新仕置を1話から観ていれば、この最終回をもっと違った視点で見ることが出来たろう。もっと楽しんで観ることが出来たろう。そう思うと最終回だけを先に見てしまったことがどうにも残念でならなかった。以来、最終回シリーズのビデオは借りていない。いつか全話を見て最終回を観ることが出来るようになる日のために、最終回だけ先に観ることを止めたのだ。


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