ウルトラマンG

1995年7月3日〜1995年9月25日(TBS系放送時) 全13回



☆主題歌
・オープニング
「ぼくらのグレート」
作詞:山川啓介 作・編曲:風戸慎介 歌:京本政樹、コーラス:森の木児童合唱団

・エンディング
「地球は君を待っていた」
作詞:山川啓介 作・編曲:風戸慎介 歌:京本政樹、コーラス:森の木児童合唱団



 81年の「ウルトラマン80」終了後、ウルトラマンシリーズの新作が生み出されることはなかったものの、逆にシリーズ全体を覆うファン間でのムーブメントは、むしろ深く浸透しつつあった。それにはビデオ、CD、LDと言った音声・映像におけるニューメディアが続々と登場し、過去の作品が次々とソフト化されたことで、歴代作品に触れる機会が以前よりも格段に向上したことが最大の要因である。
 さらに出版界においても子供向けの絵本が定期的に刊行されるだけでなく、マニア向けのムック本も頻繁に刊行されるようになり、他に従来よりも高年齢層を意識したホビー類、そんな流れを受けての「ウルトラマンZOFFY」や「ウルトラマン物語」と言った新作映画の公開、CM媒体でのイメージキャラクターとしての露出など、ウルトラマンを取り巻く環境は類を見ないほどに活気付いていた。「ウルトラマン」と言うキャラクターが一種のブランドとして世間に認知され始めたのは、ちょうどこの頃である。
 80年代末に入ってもその動きに衰えは見られず、解説者付きでの過去作品の再放送や、ハンナ・バーベラ社との合作で実現したアニメ映画「ウルトラマンUSA」の劇場公開、名場面だけを抜き出して再構成された5分間の帯番組「ウルトラ怪獣大百科」の放送、バンダイのSDキャラクターシリーズ「ウルトラマン倶楽部」、実相寺昭雄監督の円谷プロ時代の自伝風小説出版、NHK衛星放送でのリピート放映など、各メディアで積極的にウルトラが露出することになり、それは89年に池袋で行われたイベント「ウルトラマンフェスティバル」で1つの頂点を迎えることになる。喝采をもって迎えられたこのイベントは、全国各地でも順次開催され、そのどれもが盛況のうちに閉幕しており、各世代間におけるシリーズの浸透と人気の高さを決定的に裏付けた事実であった。
 この時流に乗って、いよいよ新作ウルトラマンの企画が開始される。先の「USA」の成功を受けて、海外との合作を前提に企画が立案され、結果として南オーストラリア州の全面的な協力と、オーストラリア在住のSFXマン、ポール・ニコラという逸材を得て、制作が開始されることになった作品が、本作「ウルトラマンG(グレート)」である。
 企画時より打ち出された本作の特色は、「原点回帰」と「話の連続性」である。第二期シリーズ以降、ウルトラマンはかなり人間に近い存在として描かれるようになったことを踏まえ、新ウルトラマンには初代ウルトラマンの如き、超人としての神秘性を前面に押し出して描かれることになった。これは初代ウルトラマンが人知を超越した謎の存在であったことを考えると、ウルトラマンと言う作品の基本理念に沿った方法論だろう。
 同時にゴーデスという共通の敵を据えることで、話に連続性を持たせることが目指された。これはかつての「エース」におけるヤプールのようなものだが、ゴーデスを最初から絶対悪として設定することで、ゴーデスに立ち向かう人類側の善性を際立たせ、さらにゴーデスによって生み出された怪獣側の悲劇をもドラマに盛り込むという意図が働いた故の設定でもあり、それはゴーデス編以降に登場する、環境破壊によって生み出された怪獣とそのドラマからも、容易に窺い知ることが出来る。
 本作はニューメディアによる戦略的展開の一端として、ビデオソフトによる公開という形を取り、90年9月25日に記念すべき第1巻が、字幕版と日本語吹き替え版の両バージョンで発売された。吹き替えには主人公のジャックに、特撮ヒーローマニアとして既に知られていた俳優の京本政樹氏を起用。さらに初代ウルトラマンでムラマツキャップを演じた小林昭二氏や、友情出演と言う形で柳沢慎吾氏が参加し、他にも実力派の声優を揃え、万全の布陣となっていた。
 様々な話題の渦中の中でリリースが開始された本作は、ビデオソフトとして安定した人気を保ちつつ、全巻の販売を終了。自然環境の保護と言うテーマを根底に持ちつつも、基本的にはオーソドックスな1話完結の娯楽作品として好評を博した。その成果として90年の冬には再編集した劇場版が公開され、91年にはNHK衛星放送でテレビ放映が実現、95年にはTBS系での放送も実現した。
 本作は作品そのものよりは、本作が制作されるまでの過程がかなり特殊であることから、そちらの情報ばかりが露出することが多い。しかし本作はウルトラマンシリーズの1作として、かなり高い完成度を誇っている。特にゴーデス編以降の話には全編に渡って、怪獣を誕生させた人類こそが悪いという主題を明確に打ち出してきており、その冷徹な視点は歴代シリーズと比較してみても、かなり独特な物である。また当時は一般的でなかったSFXパートのオープン(野外)撮影を積極的に行っていたのも、95年の「ガメラ」以降の日本特撮ドラマが積極的にオープン撮影を導入してきた事実を考えると、大変興味深いものがある。
 ドラマとしても高い完成度を持つ本作であるが、同時に今まで以上に「ウルトラマン」と言う作品が、海外に通用する「ソフト」であると言うことを一般に認知させた作品でもあり、この流れは後の「ウルトラマンパワード」、そして「ウルトラマンゼアス」の前身となった中国版ウルトラマンの企画へと繋がっていくのである。


☆ウルトラマングレート☆

 身長60メートル、体重5万8千トン。M78星雲出身の宇宙人であり、宇宙の平和を脅かす敵と戦い、宇宙の生命の進歩と育成を見守ることを使命とする、神秘に満ちた銀色の巨人。邪悪生命体ゴーデスを追って太陽系に来訪、火星での戦いで細胞単位に分裂したゴーデスを地球に取り逃がしてしまい、戦場に居合わせたジャック・シンドーと同化し、地球防衛のための戦いを開始する。有事の際にはジャックがデルタプラズマーを用いることで変身するが、平時においても彼の精神は渾然一体として存在しており、精神内でのジャックとの対話も可能。
 戦闘においては地球の拳法によく似た体技を披露し、それを攻撃に用いるだけでなく、受身のような型で敵の攻撃を防御することも可能。さらに地球人の常識を遥かに超える多様な超能力を有し、それを利用して打ち出される様々な光線技は、ゴーデスを始め幾多の敵を葬り去ってきた。M78星雲の人工太陽と同等のエネルギーを持つと言われる最大の必殺技、バーニング・プラズマを始め、マイクロブラックホールを生み出すことさえ可能なマグナムシュート、牽制から攻撃まで柔軟に使いこなせるナックルシューターなど、数々の必殺技を会得している。
 このような人知を超えた強さを見せる一方で、深い慈愛の心に満ち溢れた存在でもあり、ジャックを通じて地球環境の汚染や自然破壊への警鐘を幾度となく行い、救うことの出来る命ならば、例え怪獣であってもその命を守り続けた。同時に異郷の星・地球のために、深刻なダメージを負いながらも最後まで戦い続けるという、高潔な精神の持ち主でもある。まさに「救世主」と呼ぶにふさわしい存在ではあるが、地球では太陽エネルギーの不足や汚染された大気の影響により、3分間しかその巨体を維持することが出来ない。
 ジャックや地球人と協力してゴーデスを撃退した後も、人類を脅かす異生物や超常現象と戦い続けたが、自分自身を守るために地球自らが生み出したコダラーとの決戦で致命的なダメージを負い、さらに深刻な大気汚染の影響により、それ以上の地球滞在が不可能な状態にまで追い込まれてしまう。しかしそれでも最後まで地球のために戦い続け、2大怪獣との決着をつけた後、ジャックと分離して宇宙の彼方へと帰還して行った。


☆登場人物

 ジャック・シンドー隊員(演:ドーレ・クラウス、声:京本政樹)
 26歳の日系人で、元オーストラリア宇宙開発公団所属の惑星探査員。火星探査中に邪悪生命体ゴーデスとウルトラマングレートの戦闘に遭遇し、その余波で仲間を失い、地球への帰還手段も失ってしまうが、地球へと逃亡したゴーデスを共に殲滅するため、ウルトラマングレートと合体することによって、地球への帰還を果たした。その後紆余曲折を経て、UMAに加わることになる。グレートのカラータイマーと同型のペンダント・デルタプラズマーに精神を集中させることで、グレートの姿へと変身する。
 元アストロノーツの肩書きの通り、操縦技術には抜群の冴えを見せ、さらに冷静沈着な知性派。宇宙生命や未発見の資源についての好奇心も旺盛である。グレートと合体したことによって、その倫理観や理念はグレートのそれに近いものになっており、そのある種達観したかのような言動や行動に、周囲の人間が戸惑うこともあるが、本人は余りそれを気にしない。
 グレートとは深層心理化での対話が可能であり、時にはグレートの意思に反発することもあった。しかし互いの意識が互いに影響を与えることも確かなようで、かつての仲間であったスタンレーの変貌した姿であるバランガスを相手にする際には、ジャックの躊躇いがそのままグレートの行動に出てしまったこともある。
 当初はその理由によって、他の隊員と反りが合っていなかったが、ゴーデスとの戦いを通じて次第にメンバーの厚い信頼を得ることになる。特にジーンとはハイスクール時代からの付き合いであり、ゴーデスとの最終決戦を経て、良きパートナーとして行動を共にするようになった。
 グレートとの戦いの中で自分自身も強靭な精神力を身につけ、その強い心はゴーデスの甘言さえもはねのけるほど。地球を汚す人間を滅ぼすために地球が送り出したシラリー、コダラーとの最終決戦において、地球滞在の猶予を失ったグレートと分離、人類にやり直すチャンスを与えてくれた銀色の巨人を、万感の想いで見送った。

 ジーン・エコー隊員(演:ジーヤ・カリディス、声:榊原良子)
 オーストラリア宇宙開発公団に所属していた、元ジャックの同僚であり、ジャックとはハイスクールからの付き合い。彼の火星遭難を機に、UMAに参加した。
 公団でテストパイロットを務めていたこともあり、ハマーの操縦技術は隊内でも一、二を争うほどの腕前。しかし元々の分野は設計やエンジニアであり、その技量を生かしてバランガス事件では、スタンレーの所持していた光線銃が偽物であることを突き止めた。性格も理知的で温厚だが、しかし激情家の一面もあり、暴言を吐いたアイクに有無を言わさず鉄拳制裁を加えたこともある。
 ジャックに対しては以前から異性としての想いを抱いていたようで、当初その言動などで隊内でも浮いた存在になっていたジャックのただ1人の理解者となっていた。その絆はゴーデスとの最終決戦において、自分がゴーデス細胞に侵されるという窮状の中で、より確かなものとなる。

 アーサー・グラント隊長(演:ラルフ・コトリール、声:小林昭二)
 UMA南太平洋支部の隊長。「アーサー基金」と呼ばれる大資本を受け継ぐ富豪でもあり、南太平洋支部が資金面において潤沢なのは、彼の存在あってのものである。
 基本的には使命感の強い人物であるが、何よりも人命を第一に尊重しており、同時に気さくな一面も持ち合わせた好人物。だが頑固な面も持っており、一度決定したことは容易に覆そうとはしない。
 作戦行動の指揮は通常は基地内の司令室で行うが、非常時には自ら先頭に立って臨むこともある。その指揮能力も高く、立場上各界に知り合いも多いため、多方面から情報を入手することも可能と言う、まさに南太平洋支部になくてはならない人物。アーミーの利己的な活動には反発しているため、アーミーの人間とは反りが合わない。

 キム・シャオミン隊員(演:グレース・パー、声:平野文)
 様々なメカを使いこなす、行動的なUMA女性隊員。以前は海洋開発センターで潜水球の操縦を行っていたが、海洋汚染防止の観点からUMAに参加した。
 UMAのメインパイロットとして養成されただけに、ハマーやサルトップを始め、あらゆるメカにおいて高度な操縦技術を持っている。明朗な性格で同時に気も強いが、ストーン財団孤児院出身と言う身の上のためか、他人に対する配慮をすることの出来る人物でもあり、ゲルカドン事件の際に、ゴーデスに取り憑かれたジミー少年を救うために奮闘した姿からも、それは見て取れる。
 同性ということもあって、ジーンの良き相談相手でもあり、始めて地球に姿を現したグレートを人類の味方と認識した、最初の人物でもある。

 チャールズ・モルガン隊員(演:ロイド・モーリス、声:柳沢慎吾)
 その三枚目的な容姿や言動とは裏腹に、UMAの頭脳とも言うべき立場にいる隊員。生物学と考古学の専門家であり、これ以外にも様々な分野で博士号を獲得している天才肌の人物である。
 しかし前述の通り、その行動は多分に三枚目的であり、特にくだらないダジャレにかけては右に出るものはいない。軽口を叩いてはロイドやアーサーに注意を受ける姿がまま見られた。しかし意外にも女性より仕事を優先するタイプであり、そのために婚約を解消されてしまう一幕もあった。
 リュグロー事件の際には美貌の宇宙生命体に好意を抱くこともあったが、預かったデルタプラズマーをスタンレーに盗まれるなど、トラブルメイカー的な側面も持っている。また、その外見に似合わずかなりの大食漢であり、ジーンがゴーデス細胞に侵されるという緊急事態の中、1人で食事を摂ることもあった。

 ロイド・ワイルダー隊員(演:リック・アダムス、声:山寺宏一)
 UMA南太平洋支部の副隊長であり、戦闘時には現場において実質的な指揮を執る。
 過去に専門的な軍事訓練を受けている故のUMA入隊だが、そのためか平時の言動も軍隊調のものであったため、当初はアーサーに注意を受けることもあった。
 非常に生真面目で現実的な性格をしているので、ゴーデスや怪獣と言った超常現象を頭から否定する傾向があったが、ゴーデスとの戦いを経て、考え方はだいぶ軟化していったようだ。同様の理由で、形式にとらわれないジャックとも当初は反りが合わなかったが、デガンジャ事件を経て彼のやり方を認めるようになり、不測の事態が発生したとは言え、ジャックとトランプに興じるという姿を見せることもあった。

 スタンレー・ハガード(演:ジェイ・ハケット、声:津田英三)
 元オーストラリア宇宙開発公団のメンバーで、ジャックの同僚。ジャックと共に火星でゴーデスとグレートの戦闘を目撃し、戦闘を記録したビデオと共に地球へ帰還しようとするが、宇宙船ごとゴーデスに破壊されて死亡した。
 しかしその後、ゴーデス細胞に侵された状態で地球に舞い戻り、ギガザウルス事件において暗躍し、バランガス事件の際には甘言を用いてジャック以外のUMA隊員を見事に騙し、基地の機能を麻痺させることに成功した。しかし過去と決別したジャックの意思を汲み取ったグレートの攻撃によって、バランガスと化した彼の肉体は今度こそ滅び去った。

 アイク・ユベロス(演:デヴィッド・グリボウスキー、声:岸野一彦)
 アーミー情報部のチーフ。責任感の足りない、主体性のない人物。ギガザウルス事件ではスタンレーの暗躍を見抜けずに怪獣を蘇らせてしまったり、リュグロー事件の際にも混乱を余計に大きくさせたりと、任務遂行を円滑に行える才覚を持っているとは言いがたい人間である。
 部下に対しては威張り散らすが上官には逆らわないと言う腰巾着ぶりも発揮していたが、シラリー・コダラー事件の際、些細なミスから湾岸警備員に降格させられてしまう。しかしその際に危機打開の鍵となる円盤を取り戻したり、ゴーデスとの最終決戦においてブリューワー将軍を拘束したりと、いざと言う時の気概は持ち合わせているようである。

 ブリューワー将軍(演:ピーター・レイモンド・パウエル、声:飯塚昭三)
 アーミーに所属する将軍。ゴーデス再生という危機に際し、上層部からUMAの全権を委任され、司令室で指揮を行った。
 その指揮能力はアーサーと比べると数段劣り、情報よりも感情論で作戦を実行し、さらにはゴーデス相手に無謀な核攻撃を実行しようとするほどである。そのため最後にはアーサー達に拘束されてしまった。シラリー・コダラー事件においてもその性格は変わりなく、有効な作戦を立案することさえもできなかった。



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