ウルトラマンタロウ

1973年4月6日〜1974年4月5日 全53回



☆主題歌
「ウルトラマンタロウ」
作詞:阿久悠 作曲:川口真 歌:武村太郎、少年少女合唱団みずうみ



 1971年の「仮面ライダー」に端を発する第二次怪獣ブームは、これまでにない全国的な一大ムーブメントを生み出したことにより、同種の特撮ヒーロードラマが大量に生産されるという事態にまで発展した。そんな中、円谷プロダクションは創立10周年という節目の年である1973年を迎えるにあたり、記念作品と銘打って「ファイヤーマン」「ジャンボーグA」などの様々な新趣向を凝らしたヒーローを世に送り出した。そしてそれら円谷ブランドヒーローの決定版として製作されたのが、前年のAに続くウルトラマンシリーズの最新作である「ウルトラマンタロウ」である。本作は当初「ウルトラマンジャック」という名で企画が進行していたが、当時ハイジャック事件が社会問題化していた背景を考慮し、名称を変更したという逸話も残っている。
 本作「タロウ」で推し進められたのは、前作「エース」で登場した「ウルトラ兄弟」という設定の拡大である。前作に登場したウルトラの父だけでなく、今作ではウルトラの母をも登場させ、兄弟からさらに一歩踏み込んだ「ウルトラファミリー」という大きなコミュニティを形成させることで、ウルトラマンをより人間臭い、親しみやすいヒーローとして位置付けた。このウルトラマンの擬人化とも取れる方針については現代でもなお賛否両論であるが、これによって本作は複雑なテーマを作品世界に内包することから解放され、ひたすらに娯楽を追及する、娯楽作品の王道を進む作品となったことは明白である。それは新たなウルトラマンであるタロウや、主人公である東光太郎と彼を取り巻く周囲の人物設定を見ても一目瞭然である。さらに防衛組織ZATの備える超兵器群も歴代以上にゴージャスな装丁を施され、派手な特殊能力を備えた怪獣達を敵とすることで、これまで以上に爽快感溢れる作品世界が展開されることになる。
 こうして視聴者を楽しませることに特化した形で製作された本作は、全体の筋運びとしてはオーソドックスな1話完結形式をとるものの、物語の序盤である1クール時に前後編を2つも挿入させ、当初から視聴者にその派手さ、パワフルさを強烈に印象付けることに成功した。善悪双方の個性的なキャラクターが織り成す様々なドラマは、さながら現代のおとぎ話とも取れる、ある種寓話的な雰囲気まで醸し出し、作品世界に際立った個性を持たせることに貢献した。
 前述のウルトラファミリーについてもその関係性を最大限に発揮し、1話からウルトラ5兄弟とウルトラの母を登場させ、それからもコンスタントに母やウルトラ兄弟が登場、タロウと共闘を行った。11月の前後編では歴代の主役俳優が共演、5人の主役俳優がブラウン管に映し出される姿は、現役視聴者である子供にとって最大のサービスにもなった。
 番組放送中の間に第二次怪獣ブームの盛り上がりも下降線を辿るようになり、児童間における次の主役である巨大ロボットが活躍し始める中、娯楽に徹するという開始当初の路線をほぼ変更することなく、1年間の放送を乗り切ったことは特筆に価する。娯楽に徹しすぎたあまり、ドラマの質的な薄さを指摘する者も少なくはないが、実際はそれほどの変化はなく、陽性のカラーによって作品全体がオブラートに包まれたために質的な重さを感じないようになっており、それは怪獣のより直接的な破壊や殺戮描写、人間の醜い暗部を描写する際にも、一種の緩和剤として効果を発揮している。これは現在に至っても他の作品では見受けられない、本作独自の効能であり、重要な価値の1つともなっている。
 娯楽に徹することで、「娯楽性」という点においては頂点を極めたと言っても過言ではないほどの出来栄えを見せた本作は、最後にヒーローであった主人公を1人の市井の人間に戻し、ウルトラマンという枷から解放してやる。それは特別な力を得た1人の青年を主役に据えた、「ウルトラマンタロウ」というおとぎ話の当然の帰結だったのだろう。本作で「帰ってきたウルトラマン」以降打ち出されてきた様々なイベントも一旦の決算を迎え、制作陣は今作とはまた方向性を異にする新作を世に送り出すのである。


☆ウルトラマンタロウ☆

 身長53メートル、体重5万5千トン。ウルトラの星から新たにやってきたウルトラ六兄弟の六番目であり、ウルトラの父と母の実子である。アストロモンスによって殺された正義感溢れる若者・東光太郎と合体することで地球に滞在、有事の際には彼がウルトラバッジを使用してその姿を現す。
 内部的には完全に光太郎=タロウとなっており、光太郎の意志はそのままタロウの意志となる。そのため光太郎とまったく同様に優しく明るい心を持っており、数々の必殺技や超能力を持っているにも関わらず、敵を倒すことのみにこだわりはせず、出来うる限りの怪獣や宇宙人を倒さずに眠らせたり、宇宙に送り返したりしていた。
 しかしひとたび戦闘となれば、歴代ウルトラ戦士に勝るとも劣らない多種多様の技を披露。得意技のストリウム光線を始めとして、左腕に装着したタロウブレスレットを変形させてのタロウランサー、ウルトラホーンから放つブルーレーザー、他に蘇生光線のリライブ光線、タロウバリヤー、タロウファイヤー、シューティングビームなどを使用。格闘戦においても、その抜群の跳躍力を生かしてのスワローキックや、ウルトラスウィング、ボクサー・東光太郎の資質を生かしたアトミックパンチなど、強力な攻撃を次々に繰り出した。ウルトラの母からキングブレスレットを受け取ってからは、ブレスレットの力も使って数々の超能力を披露した。
 そのような素晴らしい力を持つ反面、5人の兄達に比べると精神面に若干弱い部分があり、その弱さは「甘さ」として敵につけこまれることが多かった。エネルギー源は歴代ウルトラ戦士と同じく太陽エネルギーであり、地球上での活動時間は3分間。故郷であるウルトラの星ではウルトララビドッグというペットも飼っており、ムルロア事件の際にはウルトラ6重合体を果たし、奇跡の鐘・ウルトラベルを手に入れることにも成功している。
 バルキー星人との戦いにおいて、自分自身の力で困難に立ち向かっていく事を健一に教えるべく、タロウへの変身能力を自ら放棄、彼は東光太郎として再び旅立って行った。


☆ウルトラの母☆

 身長50メートル、体重4万9千トン。M78星雲・ウルトラの星の銀十字軍団のリーダーであり、タロウの実の母でもある。かつて起こったエンペラ星人との戦いでは、負傷したウルトラの父を看護したこともある。
 すべてのウルトラ戦士に母の如く慕われ、戦士達を暖かく見守る太陽の如き存在。その深き慈愛と卓越した超能力は、タロウと光太郎を合体させたり、死亡したタロウやゾフィーを蘇生させるといった奇跡を生んだ。治癒能力を持つマザー光線を使うほか、強力な攻撃技であるマザー破壊光線を使用することも可能。
 地球では緑のおばさんとして行動し、光太郎はその姿に亡き母の面影を見出した。光太郎にウルトラバッジを託してからも常に彼のことを見守っており、最終的にはウルトラの力を捨てて人間として戦っていくという光太郎の決意を笑顔で容認した。


☆登場人物

 東光太郎隊員(演:篠田三郎)
 世界中を旅していた青年で、年齢は22歳。ボクサーとなることを志して日本に帰国したが、自身の持ち帰ったチグリスフラワーの球根からアストロモンスを生み出す結果になってしまったことに責任を感じ、単身怪獣に戦いを挑んでこれを追い払う。その後ウルトラの母が変身した緑のおばさんに諭され、一念発起してZATに入隊。アストロモンスとの戦いで死亡するも、ウルトラの命を得ることでウルトラ六番目の弟・ウルトラマンタロウの力を得た。左肩につけているウルトラバッジが変身の際に使用する道具であり、これを頭上高く、または目の前にかざすことでタロウへと変身する。
 明るく快活な性格で正義感も強いが、猪突猛進の一面も持つ愛すべき熱血漢である。ZATの隊員になってからもボクサーとしての活動は続けており、試合のために行った減量が元で、任務に支障をきたすこともあった。平時は旅の際に世話になった白鳥船長の家に下宿しており、家人である白鳥さおりとはガールフレンド、弟の健一とは息のあった親友同士の間柄である。
 子供好きで事件の渦中で知り合う子供ともすぐに仲良くなれる素直な心の持ち主だが、その純粋さを逆に宇宙人に利用されることもある。彼の意識はそのままウルトラマンタロウとしての意識でもあるために、光太郎の姿のままでも兄であるウルトラ5兄弟と、タロウとして会話を行うこともあった。
 平和を愛する熱い心と持ち前の情熱とで地球防衛という大任を立派に遂行していったが、バルキー星人の事件を契機に、ウルトラの力に頼らず人間・東光太郎として生きていく決意を固め、変身道具であるウルトラバッジを母に返し、星人を倒してからはZATも脱退し、再び1人旅立って行った。

 朝比奈勇太郎隊長(演:名古屋章)
 ZAT日本支部の隊長を務める42歳。普段は大らかな性格で、厳格に隊を統制することはせず、隊員の個性を尊重している理想的な隊長。しかし隊長と言う立場のためか常に激務に終われており、イライラしていることも多い。しかし個性派揃いの隊員達を束ねているだけのことはあって、規則にとらわれない柔軟な性格を持っており、昨晩にカレーを食べた人間をパトロールに出動させるという不思議な命令を出すこともあった。
 少女に化身したカタン星人の正体を見抜くなど、その洞察力は確かなもの。様々な怪獣の特性に合わせて臨機応変に作戦を立案、実行した。現場に直接赴くことは少なく、陣頭指揮は荒垣副隊長に任せ、本部の中から指示を出すことが多い。

 荒垣修平副隊長(演:東野孝彦(東野英心))
 ZAT日本支部の副隊長で、戦闘においては実質的に隊長格として指揮を取ることが多い。隊長の不在時においても本部内で的確な指示を出し、隊員達を束ねていた。テンペラー星人事件の折には、初代ウルトラマンが乗り移ったこともある。
 副隊長という立場ではあるが、メンバーとは非常に仲が良く、他の隊員にとっては良い兄貴分でもある。しばしばプライベートの時間でも隊員と一緒に行動することが多かった。行動派でもあり、オルフィ事件の際にはZATの正装を身につけて直接談判を行った事もある。
 リンドン事件を最後に宇宙ステーションへ転任したが、光太郎が旅立つ際、よろしく伝えるようにと隊長に伝言していた。

 二谷一美副隊長(演:三谷昇)
 荒垣の後任として派遣された二代目の副隊長。朝日奈隊長とは旧知の間柄で、それなりの年齢ではあるのだが負けん気が強い性格のため、本来なら免除されている体力テストに挑もうとしていた。そのために毎日早朝からトレーニングを行うこともあり、その奮闘振りには光太郎も驚いていた。
 その気の強さが仇となってドロボンにとらわれてしまい、新ウルトラマンのカラータイマーを奪われるという失態を演じてしまうこともあったが、タロウと協力してその窮地を乗り切った。光太郎が旅立つ際にも赴任して間もない立場でありながら、光太郎に激励の言葉を送っていた。

 南原忠男隊員(演:木村豊幸)
 九州出身のZAT隊員。自称「ZAT1の暴れん坊」だが、実際はおっちょこちょいな面が目立つことの多い、三枚目的な性格の持ち主。
 九州の実家には母・たかが存命中であり、シェルター事件の際には母の住む青山を戦場にしないがための大奮闘を見せた。リンドン事件の際にはその母が連れてきた許婚・珠子を失ってしまうが、ウルトラの父が起こした奇跡によって蘇生した珠子と無事に結婚を果たした。
 北島隊員、森山隊員と並んでZAT日本支部最古参のメンバーであり、光太郎が旅立つ際にも笑顔で見送った。テンペラー星人事件の際には新ウルトラマンが憑依したこともある。

 北島哲也隊員(演:津村秀祐)
 大変のんびりした性格のZAT隊員。カッとなりやすいという欠点も持っているが、気さくな性格でもあるので、入隊したばかりの光太郎ともすぐに打ち解け、入隊したばかりの頃は光太郎とともに行動することも多かった。
 どんな時でも場所さえ見つければ釣りが出来るようにと、携帯用の釣りセットを任務中でも持ち歩いている。家族についての詳細は不明だが、長男として育ったらしく、長男であるが故の辛さを敏感に感じ取ることもあった。
 行方不明になってしまった幼なじみの少女との思い出を大切にしてきた純朴な面も持つが、メモール事件の際に解決した幼なじみの少女が、実は宇宙人の侵略兵器として改造されていたという残酷な現実に直面。事件解決後、寂しげな顔を浮かべながらも過去の思い出と決別した姿が印象に残る。
 テンペラー星人事件の時にはウルトラセブンが憑依していた。

 西田次郎隊員(演:三ツ木清隆)
 光太郎と一番年齢の近いZAT隊員。とても人懐っこい性格なので、入隊したての光太郎ともすぐに対等の間柄になった。
 光太郎入隊後の日本支部メンバーの中では一番早く日本支部を離れ、ガンザ事件を最後に宇宙ステーションV9へ異動、シェルター事件の際にZATが行った演習を、ステーションからサポートしていた。

 上野孝隊員(演:西島昭彦)
 西田隊員の後任としてトンダイル事件よりZAT日本支部に配属された隊員。光太郎の良き後輩であり、2人でともに行動することが多かった。
 本人も光太郎に負けないほどの無鉄砲さを見せるが、同時に先輩である光太郎を慕っており、ムルロア事件で光太郎が死亡したと思われていた際には、敵討ちとばかりに大奮闘、AZ1974をムルロアの体に取り付けるという危険な任務をこなした。
 カタン星人事件を最後に日本支部から転任したようである。テンペラー星人事件の折には、ウルトラマンエースが乗り移っていた。

 森山いずみ隊員(演:松谷紀代子)
 ZAT日本支部のメインメンバーの中では、唯一の女性隊員。主に通信などのオペレーター業務をこなしているが、実戦も得意であり、特に戦闘機の操縦技能はかなりのもの。
 他のZAT隊員とはプライベートでも交流をとっており、光太郎に頼まれて、さおりが留守中の白鳥家を預かったこともある。実は光太郎に同僚以上の感情を抱いている節もあり、光太郎との結婚式を夢見る時もあった。

 白鳥さおり(演:浅加真由美・小野恵子)
 光太郎が世界を旅している時に世話になった白鳥船長の娘で、現在は大学生。学生という身でありながら、家を空けていることの多い親に代わって弟・健一の面倒を見ているしっかりした女性。それでいて清楚な優しさも湛えた理想的な女性であり、光太郎にほのかな思いを寄せているため、下宿人である光太郎の世話もかいがいしく行っている。
 ジレンマ事件では怪獣の好物の宝石を身につけたために怪獣に狙われたり、テンペラー星人事件では星人に憑依されたりと、災難に見舞われることもあった。

 白鳥健一(演:斎藤信也)
 白鳥家の長男でさおりの弟。下宿人である光太郎とは兄弟のように仲が良く、ZAT隊員でもある光太郎のことを尊敬もしている。ウルトラマンタロウに憧れる一般的な小学生らしい性格の持ち主だが、タロウに負けず劣らずの正義感も備えている。交友関係も広いようで、彼らの行動が事件解決の糸口に繋がった事もある。
 母親とは幼い頃に死別し、父親は外国航路の船長であるためになかなか会うことが出来ないが、その寂しさを表に出さない強い少年でもある。だが父親がサメクジラに殺されてしまった時、悲しみと怒りから一方的にタロウを非難、その姿を見た光太郎から光太郎の正体、そして自分自身の力で生きていくことの大切さを教えられ、最後は笑顔で旅立つ光太郎を見送った。



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