仮面ライダーX

1974年2月16日〜1974年10月12日 全35回



☆主題歌
・オープニング
「セタップ!仮面ライダーX」
作詞:石ノ森章太郎 作曲:菊池俊輔 歌:水木一郎


・エンディング
「おれはXカイゾーグ」
作詞:八手三郎 作曲:菊池俊輔 歌:水木一郎



 71年初頭より始まった第二次怪獣ブーム、いわゆる「変身ブーム」の牽引役として、長い間ブームの活性化を担ってきた仮面ライダーシリーズも、第2作「仮面ライダーV3」の放映終了によって、1つの区切りを迎えた。第1作「仮面ライダー」の放送から3年間の間に変身ブームも終焉を迎え、メインターゲットである子供達の興味は巨大ロボットアニメへと移行し、さらに第一次オイルショックによる社会全体の不景気が、特撮作品の予算の高騰化を招き、特撮ヒーロー作品そのものの数が減退するという事態に陥った。このような厳しい時代の中で、従来の世界観にとらわれることなく、内容を一新して新たな仮面ライダー像を打ち出すべく制作されたのが、第3作「仮面ライダーX」である。
 本作の第一のトピックスとしては、作品の基本世界を構築する上で重要となる1話、2話の脚本を、新たに参入した長坂秀佳が執筆したことである。氏の実績は同じ東映作品の「人造人間キカイダー」シリーズにおいて既に証明済みであり、これによって本作の初期世界観や方向性が定まったと言っても過言ではない。主人公である神敬介と、敬介を裏切った恋人の涼子、そして涼子に瓜二つの謎の女性である霧子。この3人が織りなしていくドラマを、従来通りの正義対悪の図式に当てはめながら描いていくという、前2作での単純な構成からさらに一歩抜きん出ることを目的としたかのような、極めて骨太なドラマ作りの構築が目指されたのである。
 また、ヒーローであるXライダーには、児童界でのロボットアニメのヒットに準じ、「メカニカルライダー」という新たな設定が導入され、Xの変身シーンや専用武器のライドル、後半に登場するGODの巨大ロボット・キングダークなどに反映された。さらに敵組織であるGODの描写は意図的に謎めいた雰囲気が醸し出され、スパイアクション的要素を交えた敵の暗躍やアクションシーンなどは、今日の視点で歴代作を俯瞰してみても異彩を放っている。毎回登場する作品のもう1つの顔たる怪人についても、既存の動植物態改造人間ではなく、ギリシャ神話から材をとった「神話怪人」と設定づけており、番組の個性化に一役買っている。
 そのような意欲的な要素を盛り込んで開始された本作であったが、本作の目指した方向性が、当時のメインターゲットである児童層に今一つ受け入れられることが出来ず、長坂秀佳が初期編で打ち出した独自の路線も、好敵手・アポロガイストの登場を置き土産にする形で終了し、以降は歴代作に沿った形の、オーソドックスな作劇が展開されることになる。また、当初の企画に盛り込まれていた「メカニック」のコンセプトも、作品内では十分に生かすことが出来ず、「エクソシスト」の大ヒットや終末論の横行と言った世相を反映して、どちらかと言えばオカルト的な要素が加えられることが多くなっていった。しかしキングダーク率いる悪人軍団の登場後は、RS装置を中心に据えた連作形式の形を取ることになり、Xライダーの強化改造や歴代ライダーの客演などのイベントも無理なく描かれ、本シリーズの新たな可能性の一端を切り開いたということもできるだろう。
 本作も前2作と同じく、初期段階の構想を一貫して描くことができなかったと言うのが今日的な分析であるが、同時に初期から中期、後期に渡るにつれて作品カラーが次々に変化し、それが結果的にではあるが視聴者の興味も引き、それは結果的に歴代作品の中でも特異な個性を本作に持たせる要因ともなっている。そして完全に同一の世界観を踏襲して描かれた前2作の呪縛から良い意味で解き放たれた本作の存在は、後のシリーズにおいてもより自由な作劇を許す土壌を作ることとなった。「仮面ライダー」というヒーローが、より広義の意味で解釈できるということを、本作は証明して見せたのである。そしてその様々な解釈による新たなライダーが、次作以降描かれることになるのである。


☆仮面ライダーX☆

 謎の秘密機関・GODによって重傷を負わされた神敬介が、父・啓太郎の手によって深海開発用改造人間・カイゾーグとして生まれ変わった姿。父の言葉に従い、世界の平和を守るために「仮面ライダー」として戦い抜くことを決意する。
 元来、深海という極限状況下での作業を意図されていたため、その頑健な肉体組織は胸のガードラングに代表されるように高い耐弾性や耐熱性を持ち、さらに約1万メートルもの水圧に耐えうることが可能である。その能力は地上においても何ら遜色なく発揮され、敬介自身の身体能力も相まって、柔道や空手などの格闘術、また棒術や剣術を用いての多彩な戦法を披露、さらには乗馬においても高い技能を披露している。さらにベルトには吸着マグネットが装備されており、これを靴底に装着することで、垂直の壁を上ることも可能。
 ベルトにはライドルと呼ばれる万能武器がセットされており、その磁性体配列を変換させることで、1メートル弱の細身の剣であるホイップ、1.5メートルの棒となるスティック、ベルトから高圧電流を伝導することも可能なロープ、最大10メートルまで伸び、中距離戦に用いることができるロングポールの4形態に変形させることができる。これを縦横に用いて戦闘を優位に展開、時には敵への止めとして使用されることもあった。また、スティックを高速回転させることで、敵の火炎攻撃を防ぐという戦法も披露している。
 最大70メートルという抜群の跳躍力と、ライドルスティックを用いての大回転を併用し、加速をつけて放つXキックが最大の必殺技であり、その威力で幾多の怪人を葬った。通常戦闘においても抜群の力を発揮し、白兵戦時には蹴り技を多様、ライドルをあくまで戦闘時のオプション兵装として扱い、敵への止めとしては己の肉体を用いての攻撃を使うことが多かった。後に仮面ライダーV3によってマーキュリー回路を内蔵し、従来を遥かに上回る凄まじいエネルギーをコントロールすることが可能となり、真空地獄車という新必殺技の会得に成功、より強大となったGOD怪人にも怯むことなく戦いを挑んでいく。
 愛車・クルーザーを駆ってのバイク戦もこなし、槍で体を貫通されてもなお行動可能な生命力も保持、顎部分に装着しているパーフェクターからほぼ無尽蔵にエネルギーが供給される、その肉体を滅ぼすことは不可能に近い。長い戦いの末にGODを壊滅させて使命を全うし、最後は仲間達と別れの言葉を交わすことなく、1人旅立って行った。


☆クルーザー☆

 神啓太郎教授がカイゾーグのために開発していた、超高性能オートバイ。神教授が自らの全人格をコンピューター化した海底秘密基地・ジンステーション内部に格納されていた。
 カイゾーグ用のマシンというだけあって、海上や海底でもその性能を遺憾なく発揮し、さらにクルーザー大回転に代表されるように、飛行能力さえ具有している万能マシンである。具体的な兵装こそ装備していないものの、最高時速700キロの超スピードから繰り出される体当たり攻撃・クルーザーアタックは、Xライダーの強力な必殺技となっている。
 変形機構は備えておらず、敬介の常用バイクとはまったく別の代物であるが、脳波による遠隔操縦が可能であるため、Xライダーの脳波を感知してどこへでもすぐに駆けつけることができ、時には救出した人質のみを搭乗させて、戦線離脱させることもあった。


☆主要登場人物

 神敬介・仮面ライダーX(演:速水亮)
 元は沖縄の水産大学に通っていた一介の大学生で、船乗りになるのが夢の、ごく普通の若者であった。休みを利用して父に会うために東京へ戻ってきたが、その際にGOD機関の怪人や工作員に襲われ、さらに恋人・水城涼子の裏切りにあい、工作員の銃撃を受けて死亡してしまう。しかし瀕死の父の手によって深海開発用改造人間としての改造手術を受け、仮面ライダーXとして蘇った。
 普段は真面目で理知的な静かなる熱血漢であるが、改造人間となったことで、包丁を素手で曲げてしまうほどの頑健な体を持つようになり、それ故に当初は人間でなくなった自分の存在意義に迷い、苦悩することも少なくなかった。しかし父親の「最後」の叱咤を胸に、人類の自由のため仮面ライダーとして戦い抜くことを決意する。「セタップ」のかけ声と共にレッドアイザーとパーフェクターを装着して変身し、後にマーキュリー回路を内蔵してからは、特定のポーズを取る「大変身」によって変身が可能となった。
 幼い頃から父に柔道や空手などの格闘術を教えられてきており、それを戦闘においても存分に発揮、さらにオートバイの操縦技術においても天才的な技量を見せる。強敵に敗れた際にもそのまま屈することを良しとせず、藤兵衛と協力しての強化特訓を積極的に行っており、そこには彼自身の秘められた熱い闘志が垣間見える。場合に応じて大胆とも取れる行動力を発揮することもあり、それが事件の解決に繋がる場合も多かった。
 父の助手を務めていた水城涼子とは相思相愛の間柄であっただけに、突然の彼女の裏切り行為を信じることが出来ず、その迷い故に危機に陥ることも少なくなかったが、真実を知り、悲しい結末を迎えてからは、戦士としての自覚をより深めていった。後に歴代ライダーとも邂逅を果たし、V3による強化手術を受けてからは、名実共に5人目の仮面ライダーとしてさらなる激しい戦いを展開することになる。
 様々な戦いを乗り切ってGOD機関を追い詰め、ついに悪人軍団の長・キングダークの体内に巣食っていたGOD総司令の正体・呪博士を、キングダークごと爆発させることに成功する。その後は仲間達との別れの寂しさを嫌ったのか、コーヒーショップに置き手紙を残し、1人いずこかへと旅立って行った。

 神啓太郎(演:田崎潤)
 城北大学の教授を務める科学者で、敬介の父親。人間工学に関する研究を行っているが、特異な分野を研究している故に、学内では孤立しており、現在では助手の水城涼子だけが唯一の理解者となっている。
 その高い学識をGODに狙われ、協力を強要されていたがそれを拒み、そのために命を狙われることになる。大変頑固な性格で、普段は敬介との口論も絶えないが、息子のことを誰よりも思っており、GODの魔の手が敬介にまで及んだことを知ると、敬介のために防弾チョッキを与えたりもした。
 敬介と共に銃で撃たれて重傷を負うが、敬介に望みを託して改造手術を行い、さらに密かに自分の全人格をコピーしたコンピューターを搭載している海底基地・神ステーションも活動させ、敬介の支援を行う。しかし己の存在意義を見出すことのできない敬介の依存心を断ち切るために、自ら自爆の道を選んだ。
 幼い頃の敬介に柔道などの指導を行ったのも彼であり、GOD総司令の正体である呪博士ともかつては親友の間柄であった。

 水城涼子(演:美山尚子)
 啓太郎の助手を務める城北大学生で、敬介とは将来を誓い合った中でもあった。しかし突然敬介たちを裏切って神親子暗殺の手引きを行い、以降はGODの秘密工作員として行動するようになる。
 迷いを断ち切れない敬介の心を逆手に取り、幾度となく敬介の命を狙ったが、実は国際秘密警察の調査員であり、敬介のことを妹の霧子に任せ、自らをサイボーグ化してGODに潜入していた。しかし鉄腕アトラス戦において、子供をかばったために致命傷を負い、敬介に真実を話した後、爆死した。

 水城霧子(演:美山尚子(二役))
 敬介がXとなった直後から敬介の前に姿を現すようになった謎の女性。自分のことに関しては一切説明しないが敬介の正体を知っており、GODとの戦いについて敬介に助言を行う。
 実は涼子の双子の妹であり、涼子がGODに潜入してからは敬介をフォローするため、敬介と行動を共にしていた。しかし鉄腕アトラス戦において敬介をかばって矢に射ぬかれ、死亡した。

 立花藤兵衛(演:小林昭二)
 元少年仮面ライダー隊の会長で、かつては4人の仮面ライダーに協力して、ゲルショッカーやデストロンと戦った。現在はコーヒーショップ「COL」の経営者兼マスターとして働いている。
 キクロプス事件の際に敬介の変身を目の当たりにし、彼を5人目の仮面ライダーとして認知してからは、様々な面で敬介をサポートする。優しく、時に厳しく接するその姿に、敬介は亡き父親の面影を重ねることもあった。
 マッハアキレス打倒のための特訓に付き合うなど、トレーナーとしての活躍ももちろんのこと、情報収集や人質救出などでも活躍、自分自身が人質となってしまうことも多いが、敬介への協力は惜しまない。グランプリレース制覇の夢も未だ健在で、敬介への指導もたびたび行っている。

 マコ(演:早田みゆき)
 城北大学に通う女子大生。偶然にGODの荷物を手に入れてしまったことから、友人のチコと共に死神クロノスに狙われてしまい、その際に敬介と知り合った縁で、COLで働くことになった。
 典型的な現代っ子という性格で、チコと共に藤兵衛を困らせることもあったが、時にはGODに捕らわれてしまうこともあった。今まで一度も病気にかかったことがないというのが自慢らしい。

 チコ(演:小坂チサ子)
 マコと同じく城北大学の学生で、マコの友人でもある。マコと共に死神クロノスに襲われたところを敬介に救われ、以降COLでアルバイトをするようになる。
 臆病ではあるが好奇心も旺盛で、意外と勘は鋭い。見た目とは裏腹に食欲も旺盛である。

 風見志郎・仮面ライダーV3(演:宮内洋)
 東京カラカラ作戦を阻止した後、個別に帰国した3人目の仮面ライダー。クモナポレオンの攻撃によってエネルギーを奪われた敬介を救うべく、マーキュリー回路の移植手術を行うと同時に、自らの血液を輸血した。
 その後もXライダーを支援すべく、ムカデヨウキヒ戦において帰国、Xや2号と協力して、RS装置の設計図を死守している。

 一文字隼人・仮面ライダー2号(演:佐々木剛)
 ショッカーやゲルショッカーと戦った2人目の仮面ライダー。東京カラカラ作戦を阻止するために一時帰国したが、その後RS装置の設計図争奪戦を繰り広げるXライダーに協力する形で帰国、ムカデヨウキヒによって窮地に立たされた藤兵衛を救った。
 その後もRS装置の設計図をもつ雨宮博士の情報を敬介に伝え、さらにあらかじめGOD内部に潜入し、完成したRS装置を破壊するという大役をこなした。



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