仮面ライダーZO

1993年4月17日公開



☆主題歌
「愛が止まらない」
作詞:大津あきら 作曲:川村栄二 歌:INFIX



 第1作以降、様々な形でブラウン管の中に登場しては様々な話題を振りまいてきた特撮アクションヒーロー番組「仮面ライダー」シリーズは、91年に迎えた生誕20周年を記念する形で、オリジナルビデオ作品「真・仮面ライダー序章」を発表。かつてのライダー世代向けに放たれたアダルティックな作風と、既存のライダーの概念を覆す主役のデザインは、かつてのようなムーブメントを生み出すことはかなわなかったものの、第1作から20年経ったからこそ描き出すことの出来る新たなライダー像を創造したと言う点で高い評価を得た。
 まずまずの成功と言う形で「真」を締めくくることが出来た原作者・石ノ森章太郎と東映は、次なる夢でもある「ライダーの劇場大作」の実現に着手する。既にこの時期は2頭身キャラ「仮面ライダーSD」が人気を博していたり、イベント「仮面ライダーワールド」が開催されるなど、ライダーを取り巻く状況は好調であり、これらの事例はライダーの存在が一般層にも深く浸透していることを証明していた。
 折りしも国産実写ヒーローの一翼を担う存在である「スーパー戦隊」シリーズが、91年の「鳥人戦隊ジェットマン」で高年齢層、翌92年の「恐竜戦隊ジュウレンジャー」で低年齢層と、それぞれの世代から絶大な人気を獲得したこともあり、再び実写ヒーローのジャンルが活性化し始めていた。そんな時流の後押しもあって、東映は玩具メーカーのバンダイと提携する形で、現行のヒーロー作品とオリジナル作品とを劇場用作品として製作することを決定。劇場用のオリジナルとして製作されることになった作品が「仮面ライダーZO」である。
 当初は「真」の続編や歴代ライダー登場のイベント編と言った案が出されたが、結局映画オリジナルの新ライダーを創造することになり、尚且つ仮面ライダーの原点に近づけるキャラクター設定や作劇を行うことも決定した。
 主要スタッフとしては「真」で変身コーディネイト、「ジェットマン」でメイン監督を担当し、そのデザインセンスと作家性が高い評価を得ていた雨宮慶太が監督に抜擢された。雨宮氏はライダーや敵怪物のデザインも担当し、今まで以上に作り手の個性が作品にストレートに反映される作品となった。主役俳優はオーディションによって選出され、新ライダーは「20」をもじって「ZO」と命名、現行のテレビヒーロー作品「五星戦隊ダイレンジャー」、「特捜ロボジャンパーソン」を併映作として、93年4月に映画公開が開始された。
 完成された作品にはライダーのアクションのみならず、ストップモーションアニメやCGを用いた意欲的なSFXも導入、さらに過去作品でヒーローを演じた俳優が特別出演すると言う遊びも盛り込まれ、主演の土門廣氏や共演陣の熱演もあって、好評をもって迎え入れられた。それは100万人の観客を動員し、5億円の売り上げを収めるという結果からも十分に見て取れる。惜しむらくは当初90分の予定で撮影していた作品を尺の都合で短縮してしまったため、かなり急ぎすぎている印象を与える内容になってしまったことだろう。
 しかし映画のライダーと言う通常と異なる方法論でのファンへのアプローチは、誕生から20年を経たライダーシリーズにまたも新たな風を吹き込む要因となり、そのムーブメントは次年度のオリジナル作品「仮面ライダーJ」を生み出す原動力となるのである。


☆仮面ライダーZO☆

 あらゆる生物を超えた完全生命体を創造するという悪魔の野望に取り憑かれた望月博士により、助手の麻生勝が改造された姿。人間を素体にしていることからもわかるとおり、まだ試作段階の改造人間であったが、改造直後の4年間、落雷に当たったショックもあって奥深い山中で眠りについていたことから、大自然のエネルギーを体中に取り込み、開発者の望月博士さえも想定し得なかった、潜在的な超パワーを手に入れている。
 バッタの遺伝子を移植されている彼の武器は、文字通り己の肉体のみであり、130メートルもの跳躍を実現する抜群の脚力を生かした俊敏な動作を使って敵を翻弄し、厚さ20センチの特殊合金をも破壊するパンチで敵を追い詰める。最大の必殺技であるZOキックはパンチの3倍の威力を誇り、さらに自身の体内に溢れるエネルギーを足先に収束させることで、爆発的な破壊力を生み出す。
 怒りが最高潮に達した際は、口の部分から鋭利な牙・クラッシャーが飛び出すと同時に、後頭部の通気孔から蒸気状の「気」を放出する。愛車・Zブリンガーの運転も巧みで、敵の追撃から人質奪還、敵への突撃など臨機応変に利用していた。
 一時はドラスの体内に取り込まれてしまうも、宏の声に応えて脱出、必殺のキックでドラスに止めを刺し、笑顔で宏と別れていった。その後の詳細は不明だが、後に誕生した別の仮面ライダーと共闘したとも伝えられる。


☆Zブリンガー☆

 ZOが駆る高性能オートバイ。勝が常用しているオートバイが変身に合わせて変形するようになっており、最高時速は1300キロで、それを用いてのジャンプ力は30メートルにも及ぶ。外装には耐熱・耐ショック性に優れた特殊な走行が使用されており、コンクリートの壁をも難なくぶち抜くことが出来る。
 そのボディは高所からの落下にも耐えうる頑強なもので、その能力を最大限に生かしての体当たり攻撃・Zブリンガーアタックは、ドラスを行動不能に追い込むほどの威力を発揮した。カウルの複眼部分はヘッドライトとして機能する。


☆主要登場人物

 麻生勝・仮面ライダーZO(演:土門廣)
 1968年2月7日生まれの25歳。望月博士の助手を務める青年科学者であったが、その頭脳と肉体を博士に見込まれてしまい、ネオ生命体創造のための実験体として博士に改造されてしまう。その後4年ほど、奥深い山の中で大地に抱かれながら眠り続けていたが、博士の息子である宏を守れとの謎のテレパシーを受け取り、再び覚醒した。
 一見するとぶっきらぼうでクールな印象を与えるが、その内面には優しさと激しさを同時に内包している好青年。自身が改造されたことで一度は博士を憎悪するも、自分の戦士としての使命を受け入れ、博士の生み出したネオ生命体ドラスを倒すことを決意する強い心の持ち主でもある。
 ZOへは基本的に感情の高ぶりに伴う形で変身、ドラスとの最終決戦の際には特定のポーズをとった。改造人間でもある彼の体は変身せずとも超人的な能力を発揮し、ドラスのマリキュレイザーの直撃を受けてなお耐えることが出来るほど。彼の覚醒時から周囲に付きまとっている、ミュータントと思われるバッタとは精神感応で会話をすることが可能で、さらに彼自身も壊れた懐中時計を念を込めることで起動させると言う、超能力のようなものを披露した。
 宏を守るためにドラス、そしてドラスの使役するモンスターと交戦、一時はドラスの中に吸収されてしまうも、苦戦の末にドラスを撃破。救出した宏に見送られながら、いずこかへと去っていった。

 望月宏(演:柴田翔平)
 望月博士の1人息子で、好奇心旺盛な小学生。2年前に消息を絶った父親の身を案じながら、普段はその感情を表に出さない気丈な性格の持ち主。母とは幼い頃に死別し、現在は父と祖父・清吉との3人で暮らしている。通っている道場の師範たちとも仲が良い。
 自身の完全体化を拒む望月博士に対する脅迫材料としてネオ生命体に付け狙われ、その逃走途中で勝と知り合ったが、当初は勝に対しても警戒心を崩さなかった。
 父からのプレゼントであるオルゴールつきの懐中時計を、壊れてからもずっと大事に所持しており、それが事件解決の遠因ともなった。父とは悲しい別れを経験することとなったが、最後には力強く生きていく決意をその表情に込め、万感の想いで「仮面ライダー」を見送った。

 望月清吉(演:犬塚弘)
 弘の祖父で自称「町の発明家」。しかし作るものはおよそ実用性に乏しいものばかりで、しかもほとんど失敗ばかりしている。しかしいざと言う時の行動力は確かなもので、コウモリ男に宏が捕まった際は、自ら電撃バットを持って駆けつけた。
 怪物に襲われたと言う宏の言葉も当初は信じていなかったが、息子の研究資料を調べた結果、ネオ生命体、そして勝の存在を知り、出会ったばかりのZOの正体を勝だと見抜いた。

 望月博士(演:佐々木功)
 臨床遺伝子工学の世界的権威で、宏の父親。感情に左右されることのない完全な生命体を作るという歪んだ野心に取りつかれ、実験体として助手の勝を、バッタの遺伝子を組み込んだ改造人間に仕立て、さらにはネオ生命体を創造した。
 しかし逆に自分の生んだネオ生命体によって捕らえられ、生体メカとして改造され、不完全な自分の体をさらに改造するよう強要され、その脅迫の材料として息子が狙われると知った時、眠り続ける勝にテレパシーを送り、宏を守るよう懇願した。
 廃工場でのZOとドラスの最終決戦において、ネオ生命体の命の源である培養プールを、自らの体を犠牲にして破壊。ZOの勝利に貢献するも、息子の無事を確認した後、静かに息を引き取った。

 道場の師範たち
 宏が通っている近所の道場「東松館」で、師範代を勤める青年たち。
 幹部格の空手家。黒田(演:大葉健二)を筆頭に、棒術使いの宮崎(演:山下優)、空手家の西村(演:榊原伊織)、紅一点で剣道の達人である玲子(演:森永奈緒美)が登場。当初はドラスに追われる宏がやってきてもまったく信じなかったが、コウモリ男、クモ女の襲来を立て続けに受け、ZOによる撃退後は気絶した宏の警護に当たった。
 宮崎はコウモリ男の化身した飛翔する大コウモリを棒で叩き落す技を見せた。宏を連れて逃げた玲子はクモ女の罠にかかって異空間に閉じ込められ、ZOに救出されている。



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