ウルトラマンレオ3話、4話



3話「涙よさよなら…」
(脚本:田口成光、監督:深沢清澄)

 夜も更けた頃、城南スポーツクラブで雲梯に励むトオル。そんなトオルを、大村やトオルの父親が横からやかましく応援してくるので、トオルは気が散ってしまったのか最初は失敗してしまう。それでもゲンが2人を注意し、みんなが静かに見守る中で、トオルは雲梯渡りにようやく成功した。家族全員で喜び合いながら帰っていくトオル達の姿を、眩しそうに見つめるゲン。
 トオルの成功を喜びながら上機嫌で夜道の帰路を歩く一家だが、そんな様子を金網のフェンスの上から見やる謎の人影。そしてその影は不意に飛びかかって来たかと思うと、トオルとカオルは父の自転車ごと突き飛ばされてしまい、同時に父親の悲鳴が響いた。トオルは気絶したふりをしながらその影を監視し、影はトオルのそばに金属のようなものを落としてから疾風の如く消え去った。そして金属片を手に取ったトオルの目に飛び込んできた物は、体を真っ二つに寸断された、父の惨殺死体だった。
 2人はスポーツクラブに戻ってくるが、あまりのショックに2人は大村の言葉に応える事すら出来ない。それでも2人の様子から父親に何かあった事を察したゲンが問い詰めると、トオルは憎々しげに持っていた金属片を床に叩きつけ踏みつける。その金属にはなんとウルトラマンレオの顔を模したレリーフが彫られていた。もちろん自分には覚えのないこと、何が起きているのか事態を理解する事も出来ず、ゲンも困惑の表情を浮かべる。
 それから3日後、ゲンはMACの鈴木隊員とともにトオル達の様子を見るためにスポーツクラブを訪れた。兄妹2人だけになってしまったトオルとカオルは住む家さえもなく、夕べは大村の家に泊まったのだが、環境の理由でいつまでも泊めることはできないと言う。そこで鈴木隊員が、2人を自分の家で引き取ることを提案した。トオル達も鈴木隊員の人柄に安心したのか、それを承諾する。しかし自動車での帰り道、再び謎の影が2人の前に現れて自動車を破壊、鈴木隊員を同じように真っ二つに切り裂いて、再びレオのレリーフを彫った金属を置いて逃走した。
 警察やMACも駆けつけ、ゲンは二度も凄惨な事件を体験したトオル達兄妹や、鈴木隊員の妻の心中を察して、やり場のない怒りを覚える。しかしそんなゲンにダンは、例の金属片が宇宙金属で出来ているものである事を指摘、一連の事件は地球侵略のためにやって来た宇宙人の仕業だと説明する。レリーフはレオに濡れ衣を着せるためのものだ。ところがダンは、相手の正体が不明である現段階では不用意に動いてはならないと、追跡しようとするゲンを制してしまった。
 それから幾日か経ち、定期パトロールから戻ってきたゲン。しかし本部内にダンの姿はなかった。ダンの座席を見てみると、今までに星人が起こした殺人事件の現場が書き込まれた地図が残されている。ダンは自ら囮役となって、星人をおびき出すべく深夜の町をパトロールしていたのだ。人っ子1人通らない町の中に、ダンの杖の乾いた音だけが響く。そんな中ついに星人は現れ、ダンと格闘戦を開始する。鉄を軽々と引き裂いてしまう剣を持つ星人にダンも追い詰められるが、そこにゲンが駆けつけた。しかしどうしたことか、ダンはゲンをわざと殴って気絶させ、その上で杖を使って星人に手傷を負わせ、星人は逃走した。
 翌朝、スポーツクラブで空手の稽古に取り組むトオルを見つめるダン。気絶したゲンは百子に看病されていたが、目を覚ましたゲンはダンに自分を殴った原因を問う。しかしダンはそんなゲンの短絡さを叱咤する。敵は両手を剣に変化させて攻撃してくるツルク星人であり、気絶させなければ星人の攻撃でゲンがやられるところだったと。そしてダンは何かにとりつかれたように練習に励むトオルを、故郷・L77星を失った時のゲンと同じだと指摘する。激しい憎しみに燃える少年の心を救うためにも、軽率に行動する事を戒めるダン。その時、星人がBX−104地区に出現したとの報が入る。
 ツルク星人は巨大化、さらに形態変化をして、等身大時とはまったく異なる姿となって暴れまわっていた。両手の剣によって建物もたやすく破壊され、MACが総力をあげて攻撃してもまったく歯が立たない。星人を倒すためにゲンはマッキー3号で立ち向かうが、マッキー1号で指揮を取るダンは全員に退却を命じる。
 基地に戻ってきたダンは全マッキーの速度が二倍になるよう、エンジンの交換を命令し、他の隊員を待機させる。しかしゲンは、敵を前にして退却したダンのやり方を激しく非難し、犠牲者の悲しみを訴える。だがダンはそんなゲンを冷徹にはねつける。ダンももちろんMACの力では星人に勝つことは出来ないことを察していた。ツルク星人を倒す事が出来る唯一の希望は、ウルトラマンレオのみなのだ。しかしダンは今のままのレオでは星人に勝てないと言い放つ。星人は剣を使っての二段攻撃で強襲してくるので、ゲンはそれを攻略するために、三段攻撃会得の特訓を開始する。
 ダンのアドバイスを受け、高速で攻撃をかわす際に必須となる脚力の強化を行うゲン。そんなゲンにダンは、多くの人間を犠牲にしないためにも必ず勝たねばならないと、さらなる叱咤を飛ばす。しかしゲンに厳しく当たる一方で、ダンも己の力のなさを悔いていた。基地で1人、破損したウルトラアイを見つめるダン。マグマ星人戦において右足を負傷し変身能力を失ったダンは、ウルトラセブンとなって自ら戦う事は出来ない。自分が変身できるのならば、ゲン1人に苦しみをおわせる事はなかったと、自分自身を呪っていた。そして自分を信じ、星人に勝つことが出来ると信じ込んでいる隊員たちにも複雑な思いを抱く。
 だがゲンの特訓の成果は上がらぬまま、ついにツルク星人は再度襲来する。MACが総動員で迎え撃つも、やはり星人を倒す事は出来ない。勝ち誇ったように暴れまわる星人を前に、ゲンはついにレオに変身して飛び出してしまう。そんなレオの戦いを見つめるトオル達。
 しかしダンの忠告通り、まだ技も未完成のままで飛び出したレオは、十分にツルク星人に対抗する事が出来ず、次第に追い詰められていく。それでもなおレオは果敢に挑むが、星人の思うがままに痛めつけられ、ついにカラータイマーが点滅を始めてしまう。そんなレオを見て悔しがるトオル。
 そしてエネルギーを失い、抗う力さえなくなったレオを襲うツルク星人の凶刃。致命傷を受けたレオはそのまま水中に没してしまう。その様子を、半ば呆然とした顔で見つめるダン。星人は去り、後には廃墟となった町が残るばかりであった。
 レオはこのまま死んでしまったのか?凶悪なツルク星人を倒す事は果たして出来るのであろうか?

 (解説)
 従来の世界観を引き継ぎながらも、まったく異質なテーマを内包して誕生した「ウルトラマンレオ」。その異色な世界に視聴者を抵抗感なく誘う方法として、全編の初期編たる1話と2話、そしてこの3話と4話を二部形式で制作するという方法論は、まったく的確であったと言うべきでしょう。
 さて、1話と2話で設定編、及びレオの過去編を描いた本作では、今話の3話と4話で地球を守るウルトラ戦士としてはまだまだ未熟のレオが、戦士としての自覚を抱くまでの段階を追っています。今まではあくまで私怨のために戦っていた感もあるレオが、自分のためではなく地球のために戦い、勝利する事が出来るのかどうかが、この前後編のメインテーマと言えるでしょう。
 しかしもちろんレオ=ゲンもいきなりそんな自覚を持てるはずはなく、そんなゲンを追い込むためにスタッフが用意した設定がまたすごい。ツルク星人による無差別通り魔殺人。ダンは劇中で「地球侵略のため」とか言ってますが、星人は単に殺人を楽しむためだけにきたような愉快犯として描かれており、同時に画面にはっきり描出する事こそ避けているものの、犠牲者が真っ二つに切られた死体が無残に横たわっていると言う強烈なビジュアルイメージを打ち出し、星人の非道性を際立たせ、同時に怒りを燃やすゲンに対して感情移入しやすくなっています。
 けれどそんなゲンを何度も制するダンの姿勢からは、ゲンがまだ戦士としてではなく、あくまで私怨のために戦おうとしている事を感じ取ったからのように思えます。だからこそダンはまさに「鬼」とも呼べるような非常な態度でゲンに接しますが、それだけで終わらせずに、まだまだ半人前のレオを戦士として戦わせなければならない一方で、自分は戦いたくても戦う事が出来ないダン=ウルトラセブンの葛藤もきちんと挿入しており、丁寧な話作りには感心させられます。ダンの感情をナレーションですべて語ってしまったと言うのは欠点と言えば欠点ですが、それは大目に見ましょう。
 そして力及ばず星人に倒されるレオ。1話と2話での戦いでは明確に描かれなかったレオの敗退(2話冒頭ではダンの援護が入りましたしね)を描く事で、視聴者にレオの未熟さを強烈に印象付ける事にも成功しました。そして興味は自然とレオが再起するであろう次の話へ向けられる事にもなり、無理がない、そして上手な物語構成には、今更ながらに感心させられますね。嫌が上でも次回に期待してしまうと言うものです。



4話「男と男の誓い」
(脚本:田口成光、監督:深沢清澄)

 ツルク星人に惨敗したレオは水中に没してしまった。レオの敗北を目の当たりにしたトオルは、目の前の星人が自分の父を殺した相手だと言う事をはっきりと認識した。
 なおも暴れるツルク星人を封じるべく、ダンはマッキー3号を駆って自ら戦いを挑み、うまく送電線に誘導することで星人を高圧電流に感電させる事に成功した。たまらず星人は逃亡するが、星人を倒せたわけではないため、ダンの顔は晴れない。だが顔の晴れない理由はそれだけではなかった。
 戦いの終わった夕暮れの海岸を、MAC隊員やトオル達はゲンを捜して回っていた。海岸を歩き回るダンの胸中には、ゲンへの複雑な思いが渦巻く。しかしゲンは見つからぬまま夜になり、MAC隊員は捜索を打ち切って引き上げてしまった。カオルや百子達も帰ろうとするが、トオルだけは探し続けると言い張る。父親に続いてゲンと言う大切な人を失う事が怖かったのだ。そんなトオルの気持ちを察し、猛も一緒に捜すことにする。
 ダンは1人、本部でゲンのことを案じていた。自分と同じ宇宙人として、愛する第二の故郷・地球のために共に戦ってくれたゲンを思い、次は自分の番と、自らの命を失う覚悟で星人を倒す事を決意する。しかしそんなダンに、ゲンが見つかったと言う朗報が入った。海を漂っていたゲンをトオル達がついに発見したのだ。
 長い間海を漂っていたので、冷え切ったゲンの体を暖める大村達。しかしそこに駆けつけたダンは、あえて厳しくゲンに接し、休む間も与えずにゲンを連れ出そうとする。だがゲンもダンの思いを十分理解しているので、ダンと共にとある山奥へ向かう。ダンは自分の命令を無視して変身した事を厳しく非難し、ゲンの心に甘えがあることを指摘する。ダンは小さな滝のある場所へゲンを連れて行き、その滝の水を切る事をゲンに命じる。これを会得する事が、星人以上のスピードで攻撃するために絶対必要な事なのだ。そんな時、再び星人出現の知らせが入り、ダン達MACにすべてを任せたゲンは、桜の花びらの舞う中で特訓を開始する。
 並み居る建築物を切り刻みながら進撃するツルク星人。MACは全滅覚悟で挑むものの、やはり星人を追い詰める事は出来ない。さらにツルク星人は先の戦いでの感電の際に電気を吸収して帯電体質となっており、鉄骨さえもその熱で溶かすことが出来るようになっていた。トオルはレオも敗れたと言う事実に憤り、自分が星人を倒すと飛び出してしまうが、連れ戻しにきた猛共々星人に狙われてしまい、それを目撃したダンは、変身能力を失った自分に残された最後の技・ウルトラ念力を敢行、その効果で星人は撤退するが、ダンも著しく体力を消耗してしまった。しかもウルトラ念力では星人を倒す事は出来ず、近いうちにまた星人が襲ってくる事は必至であった。
 一方のゲンは技を完成させる事が出来ず、自暴自棄になっていた。そんなゲンを激しく叱り飛ばすダン。地球を守ることが出来るのは、もはやウルトラマンレオしかいない、簡単にあきらめてしまう自分の不甲斐なさを恥ずかしく思えと。ダンからの厳しい激励を受けたゲンは再び特訓に入り、ダンは流れに目標を見つけろとのアドバイスを残し、再び星人との戦いに赴いた。
 星人とMACとの熾烈な戦いの中、水を切るための特訓を続けるゲン。しかしやはりMACの戦力では歯が立たず、ダンも時を稼ぐために単身ツルク星人に挑むが、ついに追い詰められてしまう。その時、水を流れる一片の桜の花びらを見つけたゲンは、それを目印にして見事水を切り裂くことに成功した!再びレオに変身し、星人に挑むゲン。
 レオの復活を見て喜ぶトオルとカオル。レオは両手を赤く発光させて敵の手刀攻撃さえも弾き、矢継ぎ早の攻撃で星人を追い詰めたところで、一瞬の早業を用いて星人の両腕を切り飛ばした。そしてキックで地面に倒れたところに自分の両腕の剣が突き刺さる。幾多の人々の幸せを奪った凶悪な星人は、自らの凶器で自滅したのだ。
 激しい戦いが終わり、トオルとカオルは百子と一緒に暮らす事になった。そんな2人の笑顔を見て、ゲンが2人の笑顔を守ったのだと、労いの言葉をかけるダン。それに笑顔で応え、ゲンはダンと共に桜の咲き乱れる下、去っていくのでった。

 (解説)
 さてさて、怒涛の完結編です。前話のような衝撃度は減少しているものの、今話は上質の根性ドラマとして完成しています。強敵を倒すために特訓する主人公が何度もくじけながらも、最後には特訓を成功させて敵を倒す。もはやセオリーとも言えるドラマ展開ですが、逆にそのオーソドックスな展開を丹念に描出している故に、筋金入りの輝きを放っているとも言えます。
 今話で注目すべきなのは、特訓するゲンを叱咤するダンの姿勢です。1話でゲンに厳しく当たるダンを目の当たりにして、かつての地球での活躍を知るファンは少なからず違和感を覚えた事でしょう。しかしダンは本質的には何も変わっておらず、すべてはゲンに一人前の戦士として成長して欲しいための行為であると言う事が、前話以上に浮き彫りにされています。今話でもダンの心中はナレーションで語られる場面もありますが、海岸でゲンを捜索するシーンなどでは夕陽の海を道具としてダンの複雑な心境を表現する演出を挿入し、ダンの胸中を視聴者に考えさせると言ううまい方法を使用してもいます。ゲンへの厳しすぎる態度を自分でも辛く思っている様子も見受けられ、決して一面だけではない人間の心と言うものをうまく描いていますね。
 しかしそれでも、ゲンが見つかれば心を鬼にしてゲンに特訓を命令し、さらにくじけそうになるゲンに対しても、そこに手を差し伸べる事はせず、あくまでゲン自身の力で再起させようとしています。前半でダンの心の葛藤をきちんと描いていたからこそ、このゲンに対する非情とも言える接し方にも説得力が生まれてくるわけです。かつてウルトラセブンは自分の命を犠牲にしようとしても、たった1人で地球を守り抜こうとしました。その決意をゲンが受動的にではなく、自分自身の力で手に入れてもらいたかったのでしょう。ダンの叱咤にはそんな思いが込められているようにさえ思えてしまいます。
 今話は言ってみれば、残虐な星人の存在をスパイスとした、2人の宇宙人の心の葛藤を描くドラマだったわけです。そしてまだまだ未成熟の戦士であるレオは、逆境の中で戦士として戦い抜く決意を身につけ、歴戦の勇士であるセブンは心中では誰よりもレオの事を大切に思いながらも、レオの成長のために心を鬼にして接していくことになります。しかしそれは同時にセブンがレオをかけがえのない戦友として認めた証でもあり、その感情はラストでゲンに向けられたダンの笑顔に集約されていると思います。
 他の演出面では、ゲンの特訓シーンにさり気なく桜の花を登場させて、さりげなくクライマックスへの伏線をはり、同時に花の咲き乱れる中で特訓をするというミスマッチな画を描いており、それがかえって構図的な面白さを引き出していました。ラストシーンに桜の花を映すという演出センスも抜群ですね。


登場怪獣

☆奇怪宇宙人ツルク星人☆

 身長2.4〜54メートル、体重50キロ〜2万トン。「宇宙の通り魔」とも呼ばれる。
 ダンの言葉を借りれば地球へは侵略のために来たらしいが、それらしい行動は一切せずに、ひたすら不特定多数の人間を殺傷する通り魔的犯行を繰り返す。両腕を変形させた巨大な刀を凶器とし、軽やかな身のこなしと鮮やかな剣術で標的を一瞬のうちに仕留める。その脅威の二段攻撃の前に、レオも一度は敗退した。
 なぜかレオの存在を知っていたようで、通り魔事件を繰り返すたびに宇宙金属でできたレオのレリーフを現場に残し、レオに罪をなすりつけるというずるがしこい面をもっている。
 巨大化してからはダンの攻撃で高圧電流を浴びせられ、一旦は撤退したものの、次に現れた時には帯電体質となってしまっており、体から電気を発して触れた鉄骨を溶かすことができるようになってしまっていた。
 その破壊活動はMACを全滅寸前にまで追い込む凄まじいものがあったが、星人よりも素早い動きを体得したレオの矢継ぎ早の攻撃によって両腕を切り裂かれ、その腕に自分自身が貫かれて絶命した。

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