ウルトラマンレオ38話、39話



38話「決闘!レオ兄弟対ウルトラ兄弟」
(脚本:若槻文三、監督:東条昭平)

 地球では平和な日々が続いていた。MACの隊員たちも定期パトロールをこなす程度で大した事件も発生せず、百子も飼っている小鳥にエサをやったりと、のんびりとした生活を送る。しかし、彼らのまったく知らないところで、地球全土を震撼させるほどの大事件が発生していようとは、この時誰も知らなかった。
 地球から300万光年離れた場所にあるM78星雲・ウルトラの星。全宇宙の平和を守るために戦うウルトラ戦士の故郷であるこの星では、巨大なウルトラタワーが平和を象徴するかのごとく、赤々と炎を燃やしていた。
 しかし、そこへ突如巨大な鎖分銅が伸びてきて、タワーに絡みついた。何者かがタワーを破壊しようとしている緊急事態に、ウルトラマンゾフィー、初代ウルトラマン、帰ってきたウルトラマン、ウルトラマンAのウルトラ兄弟が駆けつける。しかしそれも間に合わずに、タワーは完全に倒壊してしまった。以前からウルトラの星を狙っていた暗黒星人ババルウの仕業と断じた兄弟は、緊張を深める。
 果たしてタワー内部から、機械を制御しているウルトラキーを奪う影があった。その影に果敢につかみかかる初代マンだが、なんとその影の主はレオの弟・アストラであった。初代マンを退けたアストラは悠々と飛び去ってしまい、駆けつけた他の兄弟たちも、初代マンから事実を突きつけられて驚愕する。
 星の公転軌道を調節していたウルトラキーがなくなったために、ウルトラの星は軌道を外れてしまい、その影響による大地震などの天変地異が、ウルトラの星を襲う。星は小惑星と僅差ですれ違うほどの危険なコースを辿り、しかも軌道を外れた星は太陽系に向かっており、兄弟たちは裏切者アストラからキーを取り戻すべく、アストラを追うために星を飛び立つ。そして地球にいるウルトラセブン=ダンに向けてウルトラサインが放たれた。
 その頃MACでは、宇宙を監視するレーダー回線に異常をきたし、原因不明のままレーダーが故障してしまった。宇宙監視所にも連絡が取れずに困惑するMACメンバーだが、レーダースクリーンにかろうじて映ったその画面には、かすかにウルトラサインが浮かび上がっており、それを見たダンは動揺しながらも、隊員たちに原因究明を命じ、ゲンにアストラがキーを盗んで地球にやってくることを話す。だがもちろんゲンには弟がそのようなことをしたとは信じられなかった。ダンはサインでゲンを見張るよう命じられており、ダンはレオ自身の手でアストラからキーを取り戻さねばならないことを諭す。そしてダンは同時に、かつてウルトラの星に迫った悪魔の星・デモス一等星を脅威と見たウルトラの父が、ウルトラキーのエネルギーを照射して木っ端微塵に粉砕したという子供の頃の出来事を話し、ウルトラキーの危険性をゲンに伝える。ゲンを出動させたダンはコンピュータ室へ向かい、そこでウルトラの星が接近することで、地球が甚大な影響を受けるというコンピュータの計算結果を知り、愕然とする。
 同じ頃、宇宙の彼方にある暗黒星雲の中に、巨大な氷の塊が中空を漂っていた。だがもちろんこの事実はゲンもダンも知る由はない。
 コンピュータの予測どおり、ウルトラの星の接近の影響による天変地異が地球各地を襲い始めた。各地で暴風雨が吹き荒れ、火山は噴火し、百子も被害を受けてしまう。そんな中をゲンはアストラを求めて走り回っていた。ついに肉眼で確認できるほどに地球に接近してきたウルトラの星を見上げるゲン。地球ではさらに各地で地震や地割れ、津波が発生し、そしてコンピュータは7日後に星同士の衝突により、地球が消滅するとの結論を下した。被害の報告が本部に入る中、ダンは兄弟からのテレパシーを受けてゲンの下へ向かう。
 ダンはウルトラ念力でアストラの動きを封じている隙にキーを奪い返す事をゲンに提案するが、弟を信じるゲンはどうしてもアストラと話をしたかった。しかしもはや地球にもウルトラの星にも一刻の猶予もない。天変地異により世界各地は大混乱に陥っているのだ。
 そしてついにアストラが地球に降りたった。駆け寄ろうとするゲンを制止してウルトラ念力をかけるダン。しかし苦悶の声をあげ自分に助けを求める弟を前に、ゲンはレオに変身する事が出来ず、逆にダンの行為を止めてしまう。やがて4兄弟も地球に降り立ち、アストラからキーを奪い返すべく、戦いを開始する。
 ダンは再び念力でアストラの動きを止めるが、助けを求めるアストラを無視しておく事はゲンには到底できることではなく、ダンを再び止めたゲンはレオに変身、ダンの制止を無視して襲いくる兄弟を撃退する。そんなウルトラマン同士の戦いを宇宙の彼方から見ている何者かが不敵な笑い声を発していたが、レオの耳には届かない。そしてレオは兄弟に待ってくれるよう頼み、アストラに何故キーを盗んだのかを問うが、アストラはまったく答えようとしない。業を煮やした初代マンはアストラを殺す事を宣言し、レオの懇願にも耳を貸さない。そうしている間にも天変地異は激しくなる一方だった。
 初代マン、新マン、エースの3人がアストラに襲いかかるが、レオはアストラを守るために兄弟を相手に戦いを挑む。だが歴戦の勇者であるウルトラ兄弟を相手に孤軍奮闘しても叶うべくもなく、レオキックもエースにかわされてしまい、ゾフィーは最後の警告をレオに伝えるが、弟を守るというレオの決意は変わらない。ついに初代マンたちはそれぞれの光線を放ち、アストラをかばったレオはその光線を一身に浴びて倒れてしまった。
 依然起こり続けている天変地異によって、世界各地に甚大な被害が及んでいた。果たして地球とウルトラの星をすくう事はできるのか?暗黒星雲の中に浮かぶ巨大な氷塊の正体はなんなのであろうか?
 (解説)
 「レオ」の中で随一のイベント編の登場です。
 まずをもってあげなければならないことは、ウルトラ兄弟の登場でしょう。作品の基本コンセプトから言って、レオはかつてのエースやタロウのように、兄弟に助けられるウルトラマンではありませんので、そのような制約が前提として存在している中、どのように兄弟たちを登場させるべきか、当時のスタッフたちも悩んだと思われますが、結果として全シリーズを俯瞰しても例のないほどに斬新なアイデアが盛り込まれた話となりました。
 ウルトラキーの喪失によって地球とウルトラの星、両方が危機に晒されるという全地球規模の危機を描いていると同時に、ウルトラマン同士の対決を描くという、放映当時としてはかなりショッキングなシーンを挿入しています。平和を守るウルトラマン同士が戦うというのは、ある意味絶対に起こりうるはずのないシチュエーションであり、逆を言えばM78星雲のウルトラマンではないレオの世界観だからこそ、描く事が出来た話だと思います。それを成り立たせるために、ウルトラ兄弟の方をやや好戦的に描いている嫌いがなくもないですが(笑)。
 地球を襲う天変地異のシーンには、過去の作品からの流用が多々見られますが、それらをドラマの間に定期的にしつこく挿入する事により、地球に危機が迫っている切迫感を視聴者に与える事に成功しています。さらに特筆すべきなのは、この前編だけでは敵の正体がまだはっきりしていないということでしょうね。「ババルウ」という名前こそ出ているものの、あとは基本的に視聴者にも真相がわからないようにしているので(ある程度想像できるというツッコミは野暮)、次回への興味を繋がせるという点でも、今作は成功していると思いますね。



39話「レオ兄弟ウルトラ兄弟勝利の時」
(脚本:田口成光、監督:東条昭平)

 地球を襲う天変地異が激しくなる中、ウルトラ兄弟の合体光線によってレオは大ダメージを受けてしまい、その場に倒れ伏してしまう。ダンやゾフィーはレオの身を案じるが、アストラは何を思ったか、惑星さえも破壊する事ができるウルトラキーのエネルギーを発射しようと、キーを兄弟たちに向けた。ダンの絶叫も届かず、不気味な笑い声を上げながら引き金に手をかけるアストラ。
 だがアストラが発射する寸前、空から降り注いだ光がウルトラキーを弾き、キーは真っ二つに砕け散ってしまう。そしてそこに現れたのは伝説の超人・ウルトラマンキングであった。キングはレオを傷つけたウルトラ兄弟の軽率さを諌め、洗礼光線をアストラに浴びせかける。するとアストラはババルウ星人の正体を現した。すべてはババルウ星人の仕組んだ罠だったのだ。ババルウは逃走するが、キングは星を救うためにと兄弟たちをウルトラの星へ帰還させ、ダン=セブンも星へ帰るよう進言する。しかし地球を第二の故郷と決めたダンの決意は、地球人として、地球と共に殉じるというものだった。キングはレオも同様のことを考えていると察し、ダンにゲンのことを託して去って行った。
 しかしウルトラの星の進行は止まらず、世界各地での混乱は続いていた。MACでは微弱だが妙な電波を北極星の方角から感知していたが、目の前の危機に絶望しているMAC隊員はそれを無視する。しかしそれこそが、この未曾有の危機を打開する鍵だったのだが、MACのメンバーには分かるはずもない。
 ゲンは百子の看病の下、自宅で療養をとっていた。ダンは非常時にも関わらず冷静な百子の態度を不思議に思うが、百子は地球が滅ぶならゲンと共にいたいと素直な気持ちを吐露し、そんな姿を見たダンは複雑な思いにかられながら空を見上げる。しかしそんな個人の思いなどまったく届くはずもなく、刻一刻とウルトラの星は地球に接近していた。強風が吹き荒れて建物は倒壊し、逃げ惑う人々を見やりながらあざ笑うババルウ。
 MAC本部には高倉長官がやってきており、通信でダンにUN105X爆弾を星に発射するという上層部の最終決定を伝える。星を粉々にできるほどの威力を持つその爆弾を使えば、ウルトラの星は跡形もなく消滅してしまう。ショックを隠せないダンだが、夜空に浮かび上がるウルトラサインは、まだウルトラの星の軌道を変更できないことを伝えており、地球ではその歴史始まって以来の天変地異が依然として続いていた。
 高倉長官は地球に接近する星がウルトラの星ではないかという疑問に、それを確認する術がないこと、そして万一ウルトラの星であったとしても、破壊以外に地球を救う方法はないとして、爆弾使用を説得した。しかしそれでもダンは、地球をずっと守り続けてくれたウルトラマンの住む星を撃つことは出来ないと反論するが、あの星がウルトラの星である証拠を示すことはできない。それはすなわちダンがウルトラセブンである事を明かさなければならないからだ。もはやダンの力ではどうすることもできないが、高倉長官にとってもこれは苦渋の決断であり、長官の誠実な態度を目の当たりにしたダンは、地球人として沈黙することにする。
 そして地球最期の朝、地震によってゲンの部屋もメチャメチャになってしまうが、そんな時ゲンがついに目を覚ました。だがゲンは百子からウルトラの星へ爆弾を発射するという事実を聞かされ、百子の制止を振り切り急いでMAC本部に向かう。
 ダンは本部で1人待機していたが、どこからか妙な音が聞こえてくる事に気づく。それは北極星方向から観測された例の微弱な電波であり、ダンが調べてみると、なんとそれは本物のアストラのものだった。アストラはババルウの手によって氷漬けにされ、暗黒星雲に放逐されていたのだが、力を振り絞って地球に電波を発信し続けていたのだ。そこへ駆けつけたゲンはウルトラの星を破壊する決定を許したダンをなじるが、ダンは今の自分はセブンではなくモロボシダンであると、固い決意を示す。そしてゲンはダンからすべての事情を聞いた。アストラの正体はババルウであること、そして本物のアストラが今も助けを求めている事を。ゲンはすぐさまレオに変身して暗黒星雲に飛び、アストラを救出する。
 だがMACはすでに爆弾のカウントを開始しており、万一に備えて付近を警備していたダンたちは、宇宙監視所からレオ兄弟が地球にやってきていることを知らされて安堵する。何も知らずに1人で勝利の高笑いを発するババルウ星人だが、そこへ駆けつけたレオ兄弟のウルトラダブルスパークによって、折れたキーは復元された。作戦遂行のためにババルウは再び巨大化し、キーを巡ってレオ兄弟と激しい争奪戦を繰り広げる。キーを奪ったアストラを星へ向かわせようとするレオだが、しつこいババルウは鎖分銅まで用いてアストラの動きを封じ、アストラはダメージを受けてしまう。レオはババルウを止めるために1人で戦いを挑み、天変地異による大破壊が進む中で暗黒星人との戦いが展開される。そしてついにアストラはキーを奪って宇宙へ飛び立った。
 レオは今までの怒りをその拳にこめ、ババルウを圧倒的な力で追い詰める。そして青空にキーの到着が間に合ったことを示すウルトラサインが輝き、レオはそれを見届けてから渾身の力を込めてレオキックを放ち、悪辣な星人の野望は潰えたのだった。
 ウルトラの星の軌道は元に戻り、地球にもウルトラの星にも再び平和が戻った。そしてキングの進言により、今回の事件で活躍したレオ兄弟をウルトラ兄弟に加える事が正式に決定し、ゲンは旅立っていったアストラに向かってそのことを伝えようと大声で叫ぶ。そんなゲンの姿をウルトラの星から、ウルトラの父と母が温かく見守るのであった。
 (解説)
 怒涛の完結編は、ウルトラマンキングまで久々に登場して、まさにサービス精神満開のオールスター娯楽編といった感じになっています。
 前話からの引きに関してはキングが強引に終わらせてしまったために、レオとウルトラ兄弟の絡みが描かれることはほとんどなかったのですが、逆にそれを利用したのかどうかわかりませんが、今話は多種多様の人間ドラマが展開している点が見逃せません。
 まずはダン。M78星雲人ウルトラセブンでありながら、地球人モロボシダンとしてウルトラの星を攻撃することを決意する。自分だけはあの星が故郷の星であるということを知っているにも関わらず、それを口に出すこともできずに、地球人として困難に臨む姿は、まさに宇宙人でありながら地球のために命をかけるという、レオのテーマを背負った姿と言えるでしょう。地球のために星を破壊しなければならない、しかし自分の故郷である星を破壊する事もまたできない。相反する感情の生み出すジレンマを、あえてダンに何も語らせないことで痛烈に描き出している点はポイント高いです。
 あとはさり気ないながら百子の描写にも注目すべきものがありますね。負傷したゲンを看病しつつ、どうせ地球が滅びるならゲンと最期まで一緒にいたいと、36話に続いて恋愛感情をストレートに述べています。従来のシリーズでは主人公とヒロインの恋愛要素はどちらかと言うとコメディチックに、あくまで人物のメインの行動動機にはならないように描かれていることが多かったので、このように恋愛要素がストレートに表出してくるというのは、かなり異例のことです。今話でここまで描いたからこそ、次回である全滅劇にもある意味悲しみのカタルシスを感じることができるのかもしれません。
 高倉長官についても、かつて同様の状況になってウルトラ4兄弟や北斗を簡単に切り捨てようとした「A」での高倉司令官とは違い、さり気なく人情味をかもし出していました。セリフ倒れと言えばそれまでですが、それをそんなふうに思わせないのは、ひとえに演じた神田隆氏の存在感にあるのでしょう。やはり特撮ヒーロードラマにベテランは必要不可欠ですね。
 しかし物語の方はあくまで敵を倒すカタルシスを追い求めており、同時に終盤まで破壊シーンを随所に挿入して、キーが元に戻るまでの緊迫感を煽りまくり、ラストは今までの鬱憤を晴らすかのようにレオのパワフルなアクションで占めています。そして最後の最後にはウルトラの父と母もフィルム出演を果たすなど、この前後編はどこまでもサービス精神に満ちた作品となりました。


登場怪獣

☆暗黒星人ババルウ☆

 身長2〜56メートル、体重140キロ〜2万8千トン。ウルトラ兄弟から「暗黒星雲の支配者」と言われて警戒されていた凶悪な宇宙人。「ババルウ星人」と呼ばれることもある。
 ウルトラの星の破壊を目論み、星の軌道を制御するウルトラキーを奪うためにレオの弟・アストラに化身し、アストラに罪を着せる形でキーを奪い地球に逃走、レオとウルトラ兄弟を戦わせる。計画のうちにはウルトラマン同士を戦わせて共倒れを狙っていた節も窺えるが、詳細は不明。その際本物のアストラを氷漬けにし、北極星方向にある暗黒星雲に放逐していた。
 キングの洗礼光線を浴びて正体が露呈してからは等身大になって暗躍しつつ、混乱している地球と地球人の姿を見てあざ笑う。しかしキーが復元した事から、巨大化してレオ兄弟に戦いを挑んだ。
 卑劣な性格であることは容易に窺い知れるが、実戦に際しても右手首の仕込みカッターや左手首にセットしてある鎖分銅などの凶器を用い、なりふり構わぬ戦いぶりを披露する。しかし実際の格闘戦となるとまったくレオに歯が立たず、パンチの連打を浴びてグロッキーになったところにレオキックを食らい、あえなく爆死した。

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