「はあ、はあ、はあ、はあ」
馬車の座席で、アレンは両手で前を押さえて前屈みになっていた。
「オ、オシッコ・・・・もう、我慢が・・・・・!」
今は任務地に向けて、馬車で移動を繰り返している最中だった。
鉄道の通っていない場所なので、この移動手段を取るしかなかったのだ。
いつもであればきちんと御者をやってくれている探査班に声を掛けて止まってもらう
のだが、今回ばかりはそうもいかない。
何故なら外は大雪が吹き荒れていて、とても処理出来る状態ではないのだ。
無論出来ない事はないが、そこまでしなければならないほど切羽詰まっている事を
知られるのが恥ずかしかった。
そもそも寝坊してトイレに行きそびれたまま前の町を出発した自分が悪いのだし、
どうにか次の町まで我慢をと思っていたのだが、悪天候のため馬車の足は遅いし、
大雪のために冷え切った空気のせいで、欲求も増大されてしまった。
そのため、次の町までまだまだ距離があるというのに、アレンは車内で喘ぐ事に
なってしまった。
前を押さえている手で出口を圧迫しているのだが、身体はますます追い込まれていく。


オシッコしたい トイレ トイレ トイレ行きたいよぉ!

トイレ行きたい オシッコしたい したい したい

我慢が もう我慢が・・・・・・・・!!


下腹部は石を乗せられた様に苦しく、出口には絶え間なく水が打ち寄せてくる。
アレンは歯を食いしばった。


あ あ オシッコ オシッコしたい

漏れる 漏れるよ 漏れちゃう 漏れちゃう

オシッコが漏れる オシッコが オシッコが

オシッコが漏れちゃうよぉぉぉぉぉぉっ!!


アレンは窓から外を見た。
相変わらずの雪景色だ。


早く!早く町に着いて!!トイレ行きたい!オシッコしたい!!

トイレ トイレ オシッコ オシッコ!


アレンは御者席に通じる小窓を開けた。
「あ、あの・・・どうですか?町は見えました?」
「駄目ですねぇ、まだまだ掛かりそうですよ。不自由させてすみません、
ウォーカー殿」
「いえ・・・・僕は大丈夫ですから・・・・・・」
そう言いつつも絶望的な気分で小窓を閉め、カーテンを引く。
「・・・あ、あ、あ、はあ、はあ、はあ、はあ」
現実を認識してしまうと、身体の圧迫感は増大した。


も 漏れる!!オシッコが漏れる!!!

漏れる 漏れる 漏れちゃう

あ あ 出る 出る 出ちゃう 出ちゃう


その時だった。

ドックンッ!!!

ひと際強い欲求が、アレンに襲い掛かってきた。
「ひ・・・ひあああああっ!!あっあっあっあっあっ!!!」
両の手で死にものぐるいで入り口を押さえつけ、アレンは欲求を反らそうと身を
捩った。


オシッコ出る!オシッコ出る!!

もう駄目出るーーーーーーーーーーーっ!!!


だが、何とかその欲求は乗り切れた。
それでも身体に掛かる欲求は一層酷くなり、下腹部はもう鉛の様に重かった。


オシッコ オシッコさせて

もう駄目 今度アレが来たらもう我慢出来ない

漏れちゃう オシッコ漏らしちゃう


「は、は、は、は、は、は、は、は」
先ほどよりは小さな、だが強い欲求がまた始まった。


あ あ また またオシッコ出そう

漏れちゃう 漏れちゃう

出ちゃう 出ちゃう 出しちゃう

漏れる 漏れる 漏れる 漏れる

出る 出る 出る 出る

漏れる漏れる漏れる漏れる

出る出る出る出る出る出る出る出・・・・・・


ジョロロロロロロロ!!

「うっ・・・・・・・」
とうとうアレンは失禁してしまった。
「も、もう駄目、もう無理、我慢できない!」
アレンはとうとう団服のベルトを外し、ズボンのベルトを外した。
そして隣に置いておいたトランクを開ける。
「あんまりやりたくないんだけど無理、もう無理、オシッコ、オシッコが出る」
アレンが取り出したのは、少し大きめの紙袋にビニール袋を入れた、いわゆる
エチケット袋というものだ。
だが、アレンはこれを時々他の手段に利用していた。


あ!あ!オシッコ!オシッコ!もう駄目!!


アレンは焦りながらズボンの留め具を外してチャックを下ろし、羞恥を押し殺して
ズボンと下着を下ろした。
失禁で湿っている下着に赤くなりながらも急いで丈の高いブーツの口ギリギリまで
それらを下ろすと、たたんでいたエチケット袋を広げて中を押し広げる。


出る!出る!出る出る出るぅっ!!

駄目!駄目!今出ちゃダメーーーーーーーーーーーっ!!!


ジョロロ!ショロショロショロ!

「しまっ・・・・!」
我慢が出来ずに再び失禁してしまう。
下着を下ろしているので、雫が座席の濡らしたのが感触で判った。
「も、もうダメェェェェェェェッ!!!!」
アレンは転げるように座席を降り、床に膝を着いた。
そしてその膝を、下ろした衣服が邪魔する限界まで広げる。

ジョロショショショショ!ショロロロ・・・

その途端に一緒に広がった出口から雫が漏れだして来た。
アレンは真っ赤になりながらも前にエチケット袋を宛がった。
そして躊躇しながらも出口を開放する。


ジャジャジャジャーーーーーーーーーーーッ!!

 
だが、躊躇とは関係無しに放水は勢いよく始まった。
激流がエチケット袋の中に注ぎ込まれていく。
「はあ・・・ああ・・・・・・・・」
アレンの顔が羞恥ではなく、安堵と解放感から赤味が差す。
乗り物酔いとは無縁なアレンが大きなエチケット袋を持ち歩いているのは、実は
お漏らしを回避するための『最後の手段』だったのだ。
ここまでくれば、もう躊躇も羞恥も消えてしまう。
アレンは気が済むまで放水を続けた。
時間が掛かったが、残水も残らぬように全部を出し切った。
「・・・はあ・・・・すっきりした・・・・・・・」
大きく息を吐き出すと、大きな袋の半分以上を満たす水を零さぬように気を付けながら
袋の口を閉じると、トランクからビニール袋を3枚取り出し、それを重ねて3重にした
中に膨らんだエチケット袋を入れ、しっかりと縛る。そしてそれを縦向きにした
トランクにそっと入れて閉める。
「倒さない様に気を付けなくちゃ・・・・・・」
倒して万が一、中身があふれ出せば、中身は全滅だ。
だからアレンはこれを最後の手段としているのだ。
持ち歩くには危険が一杯だし、第一恥ずかしい。
そして雑巾を取り出して座席と床の雫を拭き取ってしまえば、排水の痕跡は綺麗に
消えてしまった。

「はあ、早く宿のトイレでこれ始末しないと・・・・」
そうぼやきながらも、アレンは楽になった身体に安堵して座席に座り直したのだった。