
-------------------------------------------------------------------------------- 闇の覇者・真王たる者・プロローグ編(1) 投稿者:on see(おんしー) 投稿日:06月16日(金)23時59分16秒 1.始まりの始まり ここに一冊の書物がある。これは魔界の様子を書いた物である。ここには魔界の 国々の事が書かれている。そう、デスピサロと名乗る者が勇者に討たれ、 魔界は人間界に侵攻する名目を失ってしまった。本当なら ここでピサロに代わり、魔界から人間界に侵攻する者がいても可笑しくなかった。 だが・・・・・リーダーを失った魔界はまさに混沌そのものだった。 天空人たちは魔界の国々をこう呼んでいた。 ・・・・・・・・・・「魔界国家群」と。そしてその魔界国家を治めていたのは 「高等魔族」と呼ばれる者達だった。彼らはそれぞれの国で力を蓄え その国家群のリーダーにならんとした。 「若き帝が治める「ライゼーラ帝国」の長、「海帝(シーロード)」シャリム。」 「獣たちの国「ギーガン」の王、「獣王(ビーストマスター)ガッシュ。」 「遥か南方の沙漠地帯を治める「ベルクファクス帝国」の帝、 「沙漠王(ザ・デザート)ギア」 「大魔王の後継者として、策士としても名高い「ガスタブルグ王国」の長 「魔皇(ダークロード)ギルモア」 その同盟国として、ギルモアと手を結んでいる「ジュダ王国」の長、 「剣王(ソードマスター)ザルトベルト」 と言った国々が覇を唱えんとした。 だが・・・・・まさに運命の車輪が動き始めようとしていた。 それがどうなるのか・・・誰もわからない・・・。 (続く) -------------------------------------------------------------------------------- 闇の覇者・真王たる者・プロローグ編(2) 投稿者:on see(おんしー) 投稿日:06月18日(日)09時50分23秒 1.始まりの始まり ゴオオオオオオオ・・・・・・家々の至る所で火が起き、家から逃げてきた人々が 容赦なく殺されている。 そしてイビル・マージらが放つ爆発呪文はより深紅の炎となって人々に襲いかかっていた。 「くそっ・・・・・・。どうして我々が・・・・・。」 イビル・マージの一人を斬り捨てた剣士が何とか家から逃げてくる人を守ろうと 自ら囮となって敵の目を引きつけていた。 そして・・・・どのくらい経ったであろうか・・・・・ 「さすがだな・・・・だが、お前の叔父はもう死んだぞ。」 彼を囲む兵隊の中から自分が良く知っている者が現れたとき、 彼の目は驚愕に目開いた。 「どうして・・・・貴方が・・・・。」 「どうして・・・・?それは私が言うセリフだ。何故、魔竜谷に住むグレイトドラゴン どもを仕留めてこなかった?あの女王竜パーンの首をどうして 取ってこない?私はそう命令したはずだぞ、ライ。」 「何故・・・って、あのグレイトドラゴン達は別に何の罪もしていない!! ギルモア様!!」 彼が叫んでいた相手は・・・そうあの魔皇と呼ばれ、人々から恐れられていた あの「ギルモア」であった。 「ふん・・・・私に忠誠を誓っていないではないか。それ自体が罪その物だ。 他に何か質問はあるか?」 「それが・・・・貴方の本性なのか・・・。だとしたら、許せん!! くらえ!!我が始祖から伝わる魔剣「タツムネ」の味を!!」 ライと呼ばれた青年はギルモアに飛び掛ってきた。 「行くぞ!!「鬼神斬」」 彼は先祖から伝わっている技を繰り出そうとしたが・・・・・飛びかかろうとした その瞬間。その剣戟を槍で受け止め、逆にライの剣を飛ばした者がいた。 そしてそのまま槍の柄の方でライを地面に叩きつける。 「くっ・・・誰だ!!」 「控えろ・・・・。殿の御前であるぞ・・・・・・。」 そこにはライオネックが立っていた。だが、立ち上るパワーは普通の者ではない。 「貴様・・・・・・四天王の・・・・・アルファス・・・・。」 「お前ごときが殿にため愚痴など十年早いわ・・・・・・。」 「ふっ・・・・そのへんで良いだろう・。さて、お前にかけられた嫌疑は 命令無視というものだが、今まで尽くしてきた礼としてお前を追放することにした。 さっ・・・どこへでも行くが良い。」ギルモアは呪文を唱え始めた。 「あ、あれは・・・・。」ライは剣を取って逃げ始めた。 「遅い・・・・。」ギルモアの右手に漆黒の塊が出来たと思ったその時、 ギルモアはライにそれを投げ付けた。 「お、おのれ・・・・・・・ギルモア!!この恨み・・・きっと・・・・・。」 そうしてライは時空の狭間へと消えて行った。 「さて・・・・どこまで終わっている?」 「はっ・・・あと少しで掃討は終わりです。」アルファスは頭を下げた。 「そうか・・・では退却する。」 ギルモアは腕を組みなおした。 (続く) -------------------------------------------------------------------------------- 闇の覇者・真王たる者・プロローグ編(3)・キャラクター紹介(1) 投稿者:on see(おんしー) 投稿日:06月18日(日)10時18分35秒 闇の覇者・真王たる者・第一部 キャラクター紹介。 ガスタブルグ編 ギルモア・・・・魔皇として魔界中に知れ渡っているガスタブルグ王国の王。 その知略や武勇は有名であり、ジュダ王国をはじめとする北部連合の長でもある。 ライ・タツムネ・・・・あのラークの子孫。ガスタブルグ剣士隊の隊長。キバオレ族の剣士。 日本刀のような剣を持ち、衝撃波のような技を持っている。 ガープ・・・・・ギルモア四天王の一人。ガーディアン族のパラディン。 幼少の頃、妹がいたが戦乱で失ってからそれがネックとなっている。 ライと剣の腕は互角である。 シャクス・・・・同じく四天王の一人。バルログという 種族である。魔法の腕は凄い物があるのだが、残忍で時には味方まで殺してしまう時がある。 アルファス・・・・四天王の一人。ライオネックという珍しい種族である。 冷静で槍の使い手。寡黙な性格で自分から 話そうとしない。だが、その槍術はライの武術を凌ぐ。 アガレス・・・・・四天王の一人で大魔道。だが、その正体はキングレオ城で 生体実験など繰り返してきた科学者でもある。昔よりギルモアに忠誠を誓っていた ため、魔界に戻った後でも参謀としてギルモアをサポートしている。 デリーン・・・・アンクルホーンの部隊長。のちにピサロとロザリーの子供である 「ネロ」を見つけた事からヘルバトラーに昇格される。 ゾイド・・・同じくアンクルホーンの部隊長。彼も同様にヘルバトラーへと昇格される。 だが、性格は・・・・デリーンやシャクスとは違い、ライと親交があった。 デュラハン・・・・ガスタブルグ王国第2騎士団団長。ライゼーラ帝国の侵攻を食い止め た功績により、悪魔の騎士団の団長として活躍する。あまりシャクスを良い目で見ていない。 女王竜パーン・・・・魔竜谷に住んでいるグレイトドラゴンの女王。ギルモアとは 対立関係にある。のちにガスタブルグ特殊潜行部隊によって暗殺される。 エリス・・・・・・・・のちに「竜姫」、「闘姫」として活躍することになる ガスタブルグの姫君。だが、その正体は・・・・ネロの幼馴染であり、 人間の少女「エリス」である。彼女はパーンの細胞との融合により 誕生した魔竜である。 (続く) -------------------------------------------------------------------------------- 闇の覇者・真王たる者・プロローグ編(4) 投稿者:on see(おんしー) 投稿日:06月18日(日)21時34分32秒 1.始まりの始まり 何もない荒野・・・・魔界の者でさえここを恐れて近づかない。 ここを魔界の者は「忘却の荒野」と呼んでいる。 何故なら・・・・ここには・・・狂暴な肉食の獣が住んでいる為 「何も無かった」ことになるのである。だから「忘却」なのである。 その荒野の一角で・・・・・。 魔界に住む一角ウサギたちが草を食んでいた時、突如空間が裂け、 そこから男性が落ちてきた。 だが、あまりにも高いところが裂けた為、男性はそのまま背中から落ちてしまった。 男性の顔が苦痛で歪む。 「うっく・・・・うっ・・・・くう・・・・おのれ・・・・ギルモアめ・・・。 だが・・・・ここはどこだ・・・・。」 男性は空を見上げていたがそこには暗い空があるだけである。 「くそっ・・・・ん?」ライは気がついた。周りを一角ウサギらが囲んでいるのを。 「何だよ・・・・お前達は・・・。」ライは剣を取って立ち上がったが 背中から血の染みがどんどん広がって行く。 「くそっ・・・・確か・・・ホイミの呪文を・・・・。」 ライは苦痛のため、うまく立ち上がることができない。 「イタッ・・・・どうやら・・・・ここまでか・・・・。こいつらにとって 死にかかっている者などちょうどいいご馳走なんだろうよ。」 ライは死を覚悟したが・・・ウサギの一匹がライの前に出てくると 小さい手で薬草を出した。 「・・・・?どういうつもりだ・・・・。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ベツニ。イヤナライインダゾ。」 ライはそれに手を伸ばそうとしたがひょいとそのウサギは手を引っ込めた。 「バーダー・・・・トイウイミヲシッテイルカ?」 「バーダー・・・・交換条件ということか。なんだ?」 「オマエ・・・・・ワレラヲマモル。ソノカワリ・・・・オマエ・・・・ナオルマデ ワレラノスミカツカエ。タシカ・・・ムコウニザイニンガツカッタイエアル。」 「・・・・・・・・わかった。随分サービスがいいんだな。」 「フン・・・・・・・コンナジョウキョウデヨクイエルナ。ツイテコイ。」 ウサギはヒョコヒョコ動き始めた。群れも同じようにリーダーとおぼしきウサギに 付いて行く。 「・・・・・・・くっ。」ライも何とか立ちあがるとそのままウサギに付いて行った。 (続く) -------------------------------------------------------------------------------- 闇の覇者・真王たる者・プロローグ編(5) 投稿者:on see(おんしー) 投稿日:06月19日(月)14時31分01秒 1.始まりの始まり 一方・・・・ガスタブルグ城の地下室では・・・・ ここには誰も入れない部屋がある。部屋にはカプセル状の物体が無数に 配置されており、真中の、一際大きいカプセルには何かの液体がなみなみと 注がれてあった。そしてその液体を手で掬っては、何かを確かめて いる男性がいた。だがその皺だらけの手や、雰囲気はどうみても魔界の者である。 「くっ、くっ・・・・ここに入るのは誰かな・・・。今まで美女や人間の子供を 生体実験に利用してきたが、どいつもこいつも失敗だった。 理論上は合っておるはずなのに・・・。」 マントを羽織っているこの男性の名前はアガレスと言う。 もともとキングレオ城で科学者として、魂の研究をしていたのだ。だが、 勇者ユーリルやその仲間であるライアン、あの姉妹の活躍でキングレオ城の 主が殺されてしまい、アガレスはそのまま魔界へと荷物をまとめて逃げてきたのである。 そして以前仕えていたギルモアに改めて忠誠を誓ったのである。 彼が今研究しているのは、魂はおろか、人間と魔界の生物との融合を目指すものであった。 例えば、動きの悪いバザックスやただ突っ込むだけのガネーシャなどに人間の知能が 加わればそれだけ「考えて動ける」はずである。彼はそう考えたのである。 だが、どれも失敗に終わった。出来損ないの「人間」らしき者は出来たのだが、 それは失敗作も同様でただ殺されるだけであった。 「それも・・・・あと少し・・・・わしの・・・・作品が・・・出来あがる。 最高作品がな・・・。くくっ。ギルモア様は最強の兵士を創れ、とお命じになられた。 あと少し・・・わしは・・・今までの失敗を記録し、さらなる高みへと変えようとした。 だからだ・・・・次の作品は絶対に成功する。そう、最強の魔竜であり、 ブラックドラゴンやキースドラゴン、ダースドラゴンの長であるグレイトドラゴンの 力を融合させれば・・・できる。誰にも負けぬ最強の・・兵士・・・できる、できるぞ・・・ くくく・・・・・わははははははは・・・・。」 研究室にアガレスの狂気なる笑いが木霊し、研究室にいた者を震えあがらせた。 ・・・・・・・・アガレスはのちに属性が「合う」少女を見つけるのである。 その少女の名を「エリス」と言う。 (続く) -------------------------------------------------------------------------------- 闇の覇者・真王たる者・プロローグ編(6) 投稿者:on see(おんしー) 投稿日:06月19日(月)20時29分56秒 1.始まりの始まり ガスタブルグ第2騎士団の待機所にて・・・・・・。 第2騎士団長のデュラハンは剣を磨いていた。こうして彼は剣を磨くのを 日課としていた。いや、むしろ趣味である。 「ふふふ・・・・まあ、このぐらいかな?」デュラハンは剣の剣先を ドアに向けた。そうして剣の歪みを見るのである。 「う〜む・・・・・もうちょいだな。ほら、お前達、そこおしゃべりするんじゃない。 全く・・・ギルモア様に剣を立てた身分であろう、失礼しても知らんぞ。」 デュラハンは彼の後ろで駄弁っていた騎士達を一喝した。 「申し訳有りません。デュラハン様。ただちに!!おい、鍛冶屋、早く剣を砥げ!!」 そう言いながら騎士達は剣をボストロールの鍛冶屋に向けた。 「へい、へい・・・分かっていますよ、皆さん方。」 「お前達、何言っているんだ!!お前達がそれを砥ぐのだ。今まで駄弁っていた罰だ。 やっておけ。それから鍛冶屋、お前はもう帰って良いぞ。それから これは奥さんに・・・・。」デュラハンはそっと手包みを渡した。 「これは・・・・?」ボストロールの鍛冶屋はしげしげとこれを見つめた。 「これは・・・・人間界で売っていたお菓子だ。」 ・・・・・・・魔界でも甘い物というのは中々手に入らない。中には手下の者を 使って人間の店へ行って買ってくる者もいる。それだけに人間のケーキや 簡単なお菓子は高等魔族たちには人気があるのである。 最も高等魔族にとって人気のあるお菓子というのは妖精族のエルフが作ったとされる 「迷いの森」産の「エルフの焼き菓子」が一番人気がある。まあ、一般の 魔族では手に入らない品物である。 「有難うございます。では。失礼します。」ボストロールの鍛冶屋はお辞儀をして 出て行った。 「ほら、お前達は作業を続けろ。」 デュラハンは剣を鞘に入れるとそのまま部屋を出ていった。 「おい、おい、聞いたか?」そんなデュラハンの後から話しかける者がいる。 デュラハンはその姿を見て、怪訝そうな顔をした。 怪訝させる持ち主は四天王シャクスであった。シャクスが背後から走ってきたのである。 「おっとそんなに睨むなよ。へへっ・・・。どうやらギルモア様が ライの野郎を追放したらしいぞ。」 「ライ・・・・?あの牙王とか名乗っているあれをか。」 「どうだ・・・・楽になったろう。あれさえ追放すればこっちはやりやすいぜ。」 「ふん・・・・私には関係無いな。」デュラハンはスタスタ歩いて行こうとした。 「おいおい、何言っているんだよ、今度パーンの所行くの、お前だぞ。 ギルモア様が御呼びだ、早く行けよ。」 「分かった・・・・騎士として本望ではないが・・・・。」 デュラハンは踵をかえしてギルモアの所に向かったのだった。 (続く) -------------------------------------------------------------------------------- 闇の覇者・真王たる者・プロローグ編(7) 投稿者:on see(おんしー) 投稿日:06月20日(火)20時59分53秒 1.始まりの始まり ギルモアは玉座に座り、考え事をしていた。まわりには誰もいない。 ただ静かな時間が過ぎるだけである。 「こうしていると・・・・あの子のことを思い出す。」 何もない天井を見上げていたギルモアはただそれだけを呟くだけであった。 ギルモアがまだ若き頃の時の話である。 彼は魔軍の青年将校であった。まだ若くガスタブルグもただの田舎の国でしかなかった。 その頃・・・彼は恋に落ちた。相手は・・・・敵対しているグレイトドラゴンの 女王であるパーンである。そして、彼らの間に子が出来た。 もちろんガスタブルグの父王も二人の結婚を認めたのだが・・・生まれてきた少女は 先天的な異常があったのだ。 ・・・・・・・少女は魔界でなければ生きられなかった。光溢れる世界に、 つまり人間界にでも出たら・・・・この子は消滅してしまうのである。 ギルモアも、その妻であるパーンもその事実を聞いて何も言えなくなってしまった。 パーンは閉じこもってしまい、そのドアからはすすり泣く声が夜どうし聞こえていた。 少女を必死に抱きしめる音も聞こえていた。 そうして、彼らの子は厳重に監視された部屋から一歩も出ることは無かった。 だが・・・・・あの事件が起きるまでは・・・・・。 誰かが・・・・・誰なのか分からないが・・・・神の悪戯なのか・・・ 人間界の絵本を持って来てしまった者がいたのだ・・・。 人間界の子供も、魔界の子供も・・・興味というのは簡単な感情で始まる。 まさか・・・・夜少女が城を抜け出すとは思いも寄らなかったのである。 朝になって・・・・・・ギルモアが少女のいる部屋をノックしたが誰もいなかった のが分かった時、彼はもう走り出していた。 ギルモアは全兵士に総動員命令をかけて少女の行き先を捜した。悪い予感が していたのだろう・・・・迷いの森を重点的に捜し始めた。 そして、ついに・・・見つけたのだ・・・少女の好きなバッグと リボンが・・・・。さらにその先にフリルのついた服を着ている少女が、いや ギルモアの娘が立っていた。少女の目の先には青々と繁る木々の先に、人間の集落が見える。 「待つんだ、止めるんだ、ミルル。お前が外に出たらどうなるのか分かっているのか!!」 ギルモアは無意識に叫んでいた。周りの兵士がただ驚いていた。ギルモアが 大声で叫ぶとは思わなかったのだ。 その声を聞いて少女は振りかえった。 その姿はまるでエリスのように、耳の後にそれぞれ三本の、計六本の竜角が生えていた。 「だって・・・この先には・・・人間の世界が待っています。わたくしは 行きたいのです!!お父様、行かせてください!!」 「駄目だ、死にたいのか!!」 「・・・・・・・・・・わたくしは・・・・人間として生を受けたかったのです。 光溢れる世界が・・・どんなものなのか・・・見てみたい・・・お父様・・・・ さようなら・・・・。」ミルルと呼ばれた少女は葉を手で退かして光溢れる世界へと 金色の竜の翼を出した。そして飛び立って行った・・・・。 「ミルルーーーーーーーー!!」 (あっ・・・・暖かい・・・マスタードラゴンの光の中で・・・暖かい・・・・。) ミルルは光の中で・・・・消えて行った。目には喜びの涙が浮かんでいた。 「ミルル・・・・・・。」ギルモアはただ項垂れるしかなかった。 だが・・・・ギルモアはのちに驚く事に成るのである。「ネロ」と共に来た少女が まさか・・・その竜姫「ミルル」の生まれかわりだと・・・ 思わなかったのである。 (続く) -------------------------------------------------------------------------------- 闇の覇者・真王たる者・プロローグ編(8) 投稿者:on see(おんしー) 投稿日:06月22日(木)23時17分19秒 1.始まりの始まり 可愛い娘を失った悲しみはパーンを次第に狂気へと走らせて行った。あらゆるものが、 ギルモアが憎く思え、食事を共にしない日が続いた後、国内にいるグレイトドラゴンたちを 集めて、勝手に国を名乗るようになってしまった。 最初、ギルモアは妻からの罰を甘んじて受けるつもりだった。 だが、次第に国内にいるドラゴンたちがガスタブルグからの分離独立を叫ぶようになると 鬱陶しさを感じるようになってしまった。 だが、彼らに罪はない。罰せられる理由というのが見つからなかったからである。 しかしこのまま両者の対立が進めば、おそらくそれを利用しようとして 他国が付け込んでくることは自明の理であった。 現に南方のベルクファクスのギアがパーン擁護に回ろうとしていた。 だが、地理的にみて南方では直接な影響はない。 そうして・・・・・ギルモアとパーンの争いは持久戦の様相を見せていた。 しかしお互い決め手が無い。攻めるに攻められない、それが本当の理由であった。 どのくらい時が経ったのだろうか・・・・ネロが拾われてガスタブルグに来るほんの十年前に、 打開策の一つとしてキバオレ族のライを差し向けたが変な騎士道精神など起こして 戦闘を離反してしまった。 これに怒り狂ったギルモアはキバオレ族の村を滅ぼし、ライの宝剣を取り上げた上で 第2騎士団のデュラハンに授け、参謀にアガレスを つけたのである。作戦の最終目的は女王竜の暗殺である。 だが、パーンの寝所に忍び込んだ第2騎士団が見たものは・・・・・・。 (続く) -------------------------------------------------------------------------------- 闇の覇者・真王たる者・プロローグ編(9) 投稿者:on see(おんしー) 投稿日:06月23日(金)21時02分56秒 1.始まりの始まり 第2騎士団はグレイトドラゴンの巣窟である「魔竜谷」に深く潜行していた。 だが、おかしい事が一つだけあった。 それはグレイトドラゴンを守るためだけにいる「竜戦士」たちが一人もいないことだった。 騎士の一人が立ちこめる霧に誰に言うわけでなく呟くように言った。 「おかしい・・・・竜戦士たちが出てこない。それにまるで気配というものがない。あと 少しで女王の寝所だというのに・・・護衛の竜戦士が出てこないというのは 何かの罠なのだろうか・・・・。」 「おい、そこ!!もし見つかったらどうするのだ!!静かにしろ。」 デュラハンは騎士に近づいて耳打ちした。 「しかし・・・・気になるのう・・・。誰かいるようでいて誰の気配も感じない。 誰なのだろうか・・・。」アガレスは辺りを見渡した。 ちょうど一行がいる所は両脇が断崖絶壁であり、普通の者では登るのも難しい。 そして遥か向こうに扉があり、そこにガスタブルグ内のグレイトドラゴンを支配している 「女王竜パーン」が鎮座しているのである。 騎士達は感じ取っていた。扉から溢れる夥しい竜の気配を。 ドラゴン・・・・・爬虫類を大型にしたような姿をもつモンスターの総称。 群を抜いた戦闘能力の持ち主であり最強の生物である。 (「ドラゴンクエスト・モンスターズ・1」より) そして・・・彼らは扉に辿りついた。それまで何の攻撃も、反撃も無かったのである。 騎士の一人が扉のノブに手をかけた。その時だった、中から声がした。 「開いています・・・・どうぞお入りください。」 中から美しい女性の声がして、ドアが勝手に開いた。 「今のは・・・・誰だ・・・。」騎士達は騒ぎ始めたが、アガレスだけはその声の持ち主を 知っていた。 「今のは・・・・パーンご本人だ・・・。失礼の無いようにな・・・。」 「えっ・・・・。」 一行はそのまま入って行った。 「あれが・・・・・パーン・・・・。」 「なんと美しい・・・・。」 「まるで・・・女神のようだ・・・・女王竜というのも頷ける。さすが神と等しき 力をもつエンシェント・ドラゴンの血筋を引くだけの事はある・・・。」 騎士達はふわふわとしたベッドに腰掛けている女性を見て感嘆の声を漏らした。 そこには・・・・人間の女性の姿をしているが耳の後ろには竜角が6本生えており、 髪の色は銀色、腰まである長い髪。そして・・・・慈愛を感じさせる雰囲気を醸し出していた。 まるで成長したエリスが座っているかのようである。 「我々がやってきた理由はご存知ですね。」アガレスは頭を下げた。 「ええ・・・・・。」 「なら・・・・ご決断を・・・。」 「もう・・・・私も疲れました。それに・・・・ミルルのところに行きたいと 思っていたところです。おかしいですか?」 「い、いえ・・・・でも・・・どうして・・・。」 「これを御覧なさい。」パーンは後の鏡台に置いてある一個の鉢植えを持ってきた。 「これは・・・?」 「これは・・・人間界の花です。私は・・・・この花をミルルだと想って育ててきました。 でも・・・・花は何も言いません。ゴフッ、ゲフッ・・・。」 パーンは口を慌てて塞いだが・・・指の隙間から血が出てきた。 「!!!!!!貴方・・・・もしかして死の病を・・・・それなら・・・・。」 「いいのです。もう・・・全てが終わろうとしているのです。だから・・・・ ゆっくりと死なせてください。昔ライという青年が来ましたが・・・私の希望を 断わってどこかに行ってしまいました。私はずっと私を殺してくれる人を 捜していたのです。だから・・・お願いです。私を・・・殺して下さい・・・ あの子のもとに行かせてください・・・。もう・・・私の身体は・・・・。」 パーンはそういいながら足をアガレスに見せた。 アガレスは・・・・顔を背けてしまった。 「もう・・・・ここまで進行しているのですか・・・・。」 「はい・・・・・・。あと幾許もありません・・・・。」 「他の者たちはどうしたのですか・・・・。」 「ジュダに行くようにいいました。今頃は・・・・ザルトベルト候は賢君と聞いております から・・・きっと・・・。」 「賢明なご判断です・・・・。では・・・・おい、誰かドラゴンキラーを持って来い。」 そこにドラゴンキラーを装備したデュラハンが立っていた。 (続く) -------------------------------------------------------------------------------- 闇の覇者・真王たる者・プロローグ(10) 投稿者:on see(おんしー) 投稿日:06月23日(金)23時41分16秒 1.始まりの始まり 扉から出てきた一行の足取りは重たい物だった。みな黙って、歩いている。 ・・・・・・・パーンは喜んで自ら死を受け入れた。そして・・・・・・ 安らかな笑顔を浮かべて死んで行った。みな敬礼をして、その女王の死を悼んだ。 だが・・・・アガレスだけは別だった。 「おい、それは何だ?」デュラハンはアガレスが持っているカプセルを指差した。 「うん・・・・これか?これは・・・まあ、良いではないか。これは・・・ちょっと ギルモア様に頼まれていた物だ。」 「ふん・・・あまり良い物ではないような気がするな。」 「そうだな・・・・。だが・・・決してお前達を利用しようとは思っていない。それだけは 信じてくれ。」 「・・・・・・・・・・・・。まあ、お前の言う事は間違いがない。信じてやろう。」 「・・・・すまんな。だが、その内分かる。それまで・・・。」 「わかった・・・・。」 それっきり彼らは話さなかった。 アガレスはカプセルを持ってきたのである。そう、彼の目的は別にあった。 そして女王の遺体から一番病に侵されていない健康な場所を摘出し、 カプセルに入れたのだ。だが、あまりに遺体の傷みが激しいため、 一人分しか確保できなかった。アガレスが健康な肉片を摘出したあと、それを待っているかの ように女王の身体はそのまま腐ってボロボロになっていった。 「しかし・・・・これで済むといいがな。」 アガレスはデュラハンに話かけた。 「どう言う意味だ・・・?」 「ベルクファクスが黙っていまい。あれが出てくると厄介だぞ。もしかしたら ライゼーラを誑かしてしまうかもしれんな。あの両国は領地問題で揉めている。 もしかしたら・・・・。」 「ふ〜む・・・・。」デュラハンは腕を組んで考えてしまった。 のちにアガレスは・・・・最強の「作品」を創ってしまうのである。 もっとも恐ろしい「竜」を・・・・。 (続く)