
-------------------------------------------------------------------------------- 闇の覇者・真王たる者・狂い(1) 投稿者:おんしー(on see) 投稿日:10月13日(金)00時59分28秒 16.狂い ボーゼルの死によって遺体は王都「黄鶴都」に運ばれ検分が行われた。 検分の結果、ボーゼル本人である事が確認され、ベルクファクスはレジスタンスである 「レコン・キスタ」に取り戻されたのである。 そして・・・・・玉座の間では・・・・・。 一人ヤゲローがいた。昔はここでマクシナスやヨアヒムと言った者たちと 建議をかもした場所であったが今はヤゲローがいるだけ。 「・・・・・・・・・。」ヤゲローは父ギアが座っていた玉座の背後にある カーテンをそっと退かした。そこには絵が飾ってあり、これだけはボーゼルにばれなかった ようだった。 そこには若い男女が描かれてあった。 「父上、母上・・・・ただいま戻りました。逆賊よりこの王都を奪還せしめた事、 父上と母上の助けがあってこそのこと。ただいま帰還致しました。」 ヤゲローは両親が描かれてある油絵に跪いた。 「ヤゲロー様。」そこへフラームとグザファン、それからバロールがやって来た。 「領内の民、安堵致しました。」バロールは抑揚のない声でヤゲローに言った。 「ヤゲロー殿下、お喜び申し上げます。」グザファンは頭を下げた。 「グザファン、フラーム、バロール・・・すまない。貴君らのお力でここまでこれた・・ 感謝致す。」ヤゲローは頭を下げた。 「それからヤゲロー殿下に申し上げる事があり申す。」バロールが ヤゲローに申し出た。 「わかった・・・至急兵士と将兵を集め、ここにて会議を執り行う。フラーム、 頼む。」 「御意。」フラームは部屋を出ていった。それと入れ替わるようにルシアが入ってきた。 「どうしたのですか、ルシア殿?」 「いえ・・・・・祝辞を申し上げようと思いまして・・・。」 「ありがとう・・・・。」 「ですが・・・ヤゲロー候、まだ敵はこの外在にいます。ギーガン国を不法に占拠し 勝手に皇都を名乗っているエスミル、それからライゼーラにいる・・・。」 「分かっています・・・あの売国奴には恨みがありますから。」 「それから・・・・ガスタブルグにはライがいます。」ルシアはヤゲローに言った。 「そうでしたね・・・ライがいましたね。」ヤゲローは一言呟いた。 「どの国がくみしやすしなのでしょうか?」グザファンはルシアに聞いた。 「一番王国復権を望んでいる者と組むのが良いと思います。 例えば・・・・マオさんの調べではキース候の母国が一番独立心が強いとか。 それでもライは攻められず悶々としていると聞いています。」 「今、魔竜谷を治めているのは誰だ?グザファン?」 「・・・・・・・・ミルル皇女です。」 「ミルル・・・・・あのギルモアの一人娘か。内心は穏やかではないだろうな・・・ 勝手に人の国に上がりこんで国を建国したのだからな。」 「それでも・・・皇帝に取り入る事でライから徹底的に税金を絞り込もうという作戦を とっています。さらにそれをライゼーラで野菜や肉を買い、武器を仕入れています。」 「なろほど・・・・・何もしなくても結局儲かるのはライゼーラと魔竜谷の 連中と言う事だな。考えたな・・・・。」 そして・・・会議が徴集されほとんどの文武官が集められた。 ヤゲローは玉座に座らず、前に立って勢揃いした官僚を見つめていた。 その中にはキースやマリエンと言った者達も集められていた。 もちろん、マオやルシアも。 「これから話すことは方針を決める事である。諸侯らの意見を聞こう。」 ヤゲローは厳かな声で話し始めたのだった。 (続く) -------------------------------------------------------------------------------- 闇の覇者・真王たる者・狂い(2) 投稿者:おんしー(on see) 投稿日:10月14日(土)18時14分07秒 16.狂い 一方・・・ここはエスミル帝国皇都「ギーム」。ここにライ、マクシナス、 ルナ、宰相・・・そして黄金と真珠をひきしめた玉座に一人の青年が腰掛けていた。 「お前達がここで憎しみあっても仕方がないと思わぬか?ライ、マクシナス。」 「はっ・・・・しかし・・・それは・・・ですが・・・。魔竜谷の者が・・・。」 「言い訳はいい!!魔竜谷は我との契約を約束違えることはしていない。 それにライ、魔竜谷の者のことは我が判断するべきことでお前達がどうこうする事ではない。 お前達には国を与えたはずだ。」 それを聞いていた宰相はくくくと笑った。だが、エスミルはそれを見逃さなかった。 「宰相。お前は我が帝国を立ち上げた当時からの臣であるな。だが、それを良い事に 部下たるライやマクシナスの言を遠ざけるとはどういう事だ?」 「それは・・・・・・・陛下の御身のことを考えて・・・・。最近お疲れぎみなので ・・・。」 「我のことは良いのだ。お前はこの国の宰相であるぞ。お前がしっかりしなければ この国自体が崩壊してしまうのだぞ。」 「・・・・・・・・申し訳ありません・・・。」 「良し・・・・・・・・。それではルナ、今の帝国の状況を頼む。」 エスミルは隣にいたルナに命じた。 「はああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い。いくわよ〜ん。これかな?」ルナは何か楽しそうな 声で魔法玉に写した。そこにはマップが現れていた。 帝国を表す赤の色が大陸を示しているが叛乱軍を示す蒼の色が示していた。 そうベルクファクスである。 「・・・・・・・・・・気に入らないな。ヤゲローめ。どうしたものか・・・・。」 エスミルはじっとマップを見ていた。 そこへルナが楽しそうに笑った。ルナはこの4年間で大きくなった。 魔法の腕もあがり、人はルナの事を「ギーガンの妖女」と呼ぶようになった。 「きゃははははははは・・・・・・それなら私の部隊を率いて皆殺しにしてあげる。 そうしたらライお兄ちゃんも喜ぶもんね。どう?エスミル様ああ〜。」 「・・・・・・・・・・・・ルナ。お前は待機だ。おまえの遊び場所は あとで必要になる。それまでここにいなさい。」エスミルはルナに言った。 「え〜・・・・でも良いわ。待ってあげる。そうしたらきっとよい事がまっているもんね。」 ルナは侍女に連れられ部屋を出ていった。 「そうだな・・・・・ベルクファクスには二方向から攻める事にする。 まずガイゾヅ将軍。」エスミルは近くにいた将軍の名を呼んだ。 「はっ・・・・お呼びでございますか?」ガイゾヅは跪いた。 「お前は30万の軍勢を率いて山脈を越え、ベルクファクスの黄鶴都を狙え。 そしてライ。お前は北側から20万の精鋭部隊を率い、北から進攻せよ。」 エスミルはそれぞれに命を発した。ライ、ガイゾヅは跪いた。 「ライ殿、頼みましたぞ。こちらはいくらでもいけますので。」 「はは・・・・頼もしいお言葉。それならヤゲローの首も早く取れるでしょう。」 ガイゾヅはライの言葉を聞いて笑った。 しかし・・・・・まさかの事が・・・・起きてしまうのである。 それはまたあとにしよう。 (続く) -------------------------------------------------------------------------------- 闇の覇者・真王たる者・狂い(3) 投稿者:おんしー(on see) 投稿日:10月14日(土)18時29分35秒 16.狂い ベルクファクス王廷では・・・・左右の武官や文官が勢揃いをし、ヤゲローの 言を待っていた。 そうヤゲローはじっと何も言わず黙って剣を地面に突き刺し待っていたのである。 そして皆揃うと話し始めた。 「おそらくギーガン国ではエスミスめが正規軍を派遣する為、軍令を発している頃 だろう。だが、準備するには一ヶ月かかることからこちらにも地の利はある。 あの山脈を越えるのは相当な苦労がかかるからな。 だが、一番恐れているのは北方にいるライだ。あの精鋭部隊が南下してくると するならば我々は全軍を北に進路を向け、返す刀で帝国軍を撃破しなければならない。」 「それについて不思議と言うのか何を考えているのか分からない事が あるのですが・・・・・。」バロールが不思議そうな顔をした。 「どうしたのです?バロール将軍。」 「どう見ても戦闘の初心者というのか、それらしき軍団が南下しております。 ただ、今まで来るまでに数人が命を落とし、何がしたいのかわかりません。」 「・・・・・・・・・・もしかしたら我々を牽制したい囮の部隊かもしれません。」 バロールはそう言ったが詰まる所・・・・邪覇隊の事を言っているのである。 ただどう見ても戦闘のプロとは言いがたくバロールは部隊の後列を歩いていた 数人の騎士を殺し、特殊部隊の者と入れ替わったのである。 それでも気がつかないというのでバロールも気になっていたのである。 「・・・・・・・・・・私一人で行こう。ちょうど身体を動かしてみたいしな。」 「えっ・・・・陛下が。もしかしたら敵が隠れているのかもしれません。そんな・・・。」 メリクリウスが珍しく声をあげた。 「ふふふ・・・「たまには」良いだろう。そういう者が来るのも一興というものだ。」 ヤゲローはそう言いながらルーラを唱えた。 そう彼ら「邪覇隊」の前に現れるために。 (続く) -------------------------------------------------------------------------------- 闇の覇者・真王たる者・狂い(4) 投稿者:おんしー(on see) 投稿日:10月14日(土)20時12分38秒 16.狂い ガルクはヤゲローの剣の腕など大した事ないと思っていた。ここにいる誰かと 同じくらいの強さだろうと思っていた。 「みんな、頑張れ!!あと少しで黄鶴都だ。そうしたらヤゲローと一対一の戦いを 申し込むから皆はそこで私の活躍を見ていろ!!」 「ああ。頼むぜ!!我々は栄光ある騎士。ヤゲローなど者の数ではない。しかし・・・ お前知っているか?あの「傾国」や「歌姫」と呼ばれる魔族は美しいと聞く。 もし捕らえれば・・・・。」仲間の一人がガルクに笑いかけた。 「ああ・・・そうしたら私は歌姫を妻に貰おうと思う。歌を歌うのだからきっと 私の心も慰められよう。」 「俺は・・・・・傾国だ。噂じゃ仮面の下は絶世の美人と聞くぞ。俺だったら 間違いなく・・・・。」他にも数人の騎士が傾国にプロポーズしたいと 言った。 「はははは・・・・・そうだな。あと少しだ、あと少しで・・・・。」 ガルクは歩き出した。 だが・・・・・・・・・・。 いきなりだった。光の柱がガルクたちの前に現れたのである。 そしてその中から一人の男性が出てきた。 男は大剣を背負い、ガルクたちの前に現れた。 「ふっ・・・・貴様は何者だ。我々を邪覇隊と知ってのことか。ああ、そうかお前 下働きがしたいのだな。そうだな、剣を研ぎ係でもやってもらおうか。」 ガルクのまわりにいた騎士達が大笑いをした。ヤゲローはそんな彼らを無視していた。 そして・・・。 「ここのガキどもの将は誰だ?」ヤゲローは辺りを見渡した。 「なっ・・・・・。」 「我々を・・・・・・・。」 「ガキ・・・・・だと・・・・。」 「舐めているんじゃねえぞ・・・・下手に出ればいい気になりやがって・・・。」 騎士達の声が次第に怒りを帯びてくる。ガルクはそんな彼をなだめながら 目の前の戦士に言った。 「申し訳ないが、我々はベルクファクスに巣食うレジスタンスらを殲滅する為 義憤にかられ、出撃した邪覇隊と申します。あなたの剣の腕がどのくらいか わかりませんがここは危険です。そうそうに立ち去ってください。」 「ほう・・・・・・。それでベルクファクスの王の戦士の腕というのは お前は知っているのか?しかも目の前にいる戦士がどのくらいの腕でどのくらいの 力を持っているのかも知らないとは・・・お前、もう一回剣術を学んで来い。」 「なにっ・・・・・・!!」ガルクは驚いていた。目の前にいる戦士にそんな事を 言われるとは思わなかったのである。 ガルクは怒りに刈られそうな自分を抑えながら戦士に言った。 「我々はガスタブルグの精鋭なのです。貴方こそこんな所にいたら・・・・。」 ガルクは言葉を続けようとした。 「・・・・・・・・・・まったくどうしようもないバカどもだな。お前達が 来る事ぐらい最初から分かっていたぞ。おい、もう良い、お前達は 即座に退却し、皇都にいるルシアの指示を仰げ。」 戦士は騎士隊の後方にいた数人の騎士に命を出した。 「はっ!!」騎士達は跪いて、すぐにルーラを唱えた。 「なっ・・・・・いつのまに・・・・。」ガルクは驚くしかなかった。 「彼らは元ライゼーラの特殊部隊さ。後方にいた騎士たちは皆彼らと摩り替わるために 殺したのさ。情報を得る為に。」 「そ、それでは・・・・貴方は・・・・・。」 「そうだな・・・・・私の名前はヤゲロー。君達の言うベルクファクスの王と 言う事になるな。」 「ふっ・・・・・・そう言う事ですか・・・なら遠慮は要りませんね。まあ、私達とて 情けはあります。命乞いをするなら・・・・!!」 ヤゲローの姿が一瞬にして消えた。だが、ガルクはそれについていけない。 騎士たちも追いかけようとするが目が追いつかない。そして・・・・ 数人の騎士がズタズタに斬り殺された。 「まずは・・・・・3匹。」ヤゲローはそれだけ言うとあっという間に 移動して一瞬隙を見せた騎士の目の前に立つ。 「あ、あああ・・・ああ・・・・・速い・・・・速すぎる・・・・・・ 俺達・・・・・・・・・。」騎士は剣を抜こうとしたが・・・。 「遅すぎる。4匹目。」斬撃は重く騎士の身体を真っ二つにしてしまった。 「ひいいいいいい・・・・・・。」 ヤゲローは騎士の兜ごと大剣で斬り捨てた。 「5匹目。」そして風を切るように凄いスピードで移動すると そこにいた数人の騎士の首、身体を図他袋のように斬り捨て、そのまま魔法で メラゾーマを数発数人の騎士に向けた。あっという間に騎士たちは黒い燃え滓になり 地面に転がったまま起き上がらなかった。 (続く) -------------------------------------------------------------------------------- 闇の覇者・真王たる者・狂い(5) 投稿者:おんしー(on see) 投稿日:10月15日(日)01時04分30秒 16.狂い 「やめろ・・・・・やめてくれ・・・・。」ガルクはそれしか言えなかった。 あまりにも力の差が歴然としている。そしてそのパワーについてこれず 騎士達はあっという間に斬り殺されるか、呪文で消し炭になるかのどちらかであった。 そして・・・・虐殺は終わった。ガルク一人残して・・・・。 「どうやらお前さんだけになってしまったな。どうする?」 「やめてくれ・・・・・どうして・・・・一体何を学んだらこんなに強くなれるんだ・・・。」 「ちなみに言っておいてやる・・・お前が欲しがっている歌姫だが・・・ お前よりもはるかに強い。お前など最初から目にしていない。まあ、お前が ここまで追いつくのにたぶん一生かかってもできないだろうな。」 「・・・・・・・お前は・・・・。」 「一流の戦士や剣士ともなれば相手の気配や力、そう言ったものがおのずと分かってくる。 だが、お前はまるでド素人なのかというぐらい動きも力も まるでついて来れなかった。」 ガルクははじめてみた。ヤゲローはあれだけ激しく動いたのに全然肩で息をしていない 事に。つまりスタミナや力といった物をセーブし上手く配分したと言う事である。 「・・・・・・・・・・。全然話にならなかったと言う事か・・・。」 「さてと・・・どうする・・?」 「私はこれでもライ様に服従を誓ったもの。いきます!!」 ガルクは剣を抜いてヤゲローとの距離を詰めた。だが・・・・・。 ひゅん。 ガルクの腹に鞘に収まっている大剣が炸裂した。しかも片手で。 「うご・・・・・・。」 「動きが悪いな。次。」そしてヤゲローはそのまま鞘に入った剣を顎に叩きつけた。 すぐに肩から叩きつけ、ガルクを剣だけで起こす。そして顎に剣を叩きつけ ガルクの戦意を喪失したあと、何度も攻撃をする。その間、彼は剣を抜かなかった。 まるで肩にも息をしていない。 「うごっ・・・げほっ・・・・・ぐふっ・・・・・げほっ・・・・。」 ドカバキドカメキ・・・・・ドサッ。 そしてガルクはそのまま肩から落ちた。 「どうした?坊ちゃん。私はまだ身体が暖まっていないのだが。」 白目をむいているガルクにヤゲローはにこやかに話しかけた。 「まったく・・・・師匠は何をしているんだ?そこにいるのは分かっている。 早く出てこないとこいつを殺すぞ。」ヤゲローはガルクの服を剣で小突いた。 「ふっ・・・・・お見通しと言う事か・・・・。」そこに現れたのはライであった。 「そうだな、気配の隠し方が下手なのかあるいはわざと隙を作ろうとしているのか どちらかだな。それともこいつが気になるか?」 「・・・・・・・・・そいつを放せ・・・・・・。」 「そうだな・・・・・まあ、今日はこんなものか。じゃあな、ライ国王。 自分で溺れないようにな。エスミルはお前など捨てようと思えば捨てているぞ。 気をつけることだ・・・・。ではさらばだ・・・・。」 そう言ってヤゲローは消えていった。 (続く) -------------------------------------------------------------------------------- 闇の覇者・真王たる者・狂い(6) 投稿者:おんしー(on see) 投稿日:10月15日(日)09時54分42秒 16.狂い ここはどこだろうか。二人の男性が旅を続けていた。 「はあ、はあ、はあ・・・・・・くそっ、どこまで続いているんだ?この砂漠は。」 「仕方あるまい。それよりも息が上がっているぞ。もう少し体力をつけて・・・。」 二人の男はそんな事を言い合っていた。 一人は魔族であるが差してある剣からするとかなりの腕前だろう、 隙が無かった。そしてもう一人は騎士らしいのだがこの男性よりは腕は上だろう。 ここはライゼーラとギーガン国の国境。ここにはベルクファクスとギーガン、あるいは ガスタブルグとに跨る砂漠地帯より小さいものだが 迷う人も多い。 「はあ、はあ・・・・くそっ、俺が気がついたらミルルはいなくなっているし、 俺だけ残されているというのはどう言う事だ・・・。」 「・・・・・・・おそらく竜族が・・・・だろうな。」 そう彼らはミルルの幼友達と守役だったエクリマとガープであった。 「だったらどうして竜族が関係しているんだよ!!可哀想にあいつ一人で泣いている に違いない!!」 「それはないだろうな・・・・お前は知らないだろうが姫様は魔族とは 似ているが似つかぬところがある。それに・・・・・パーン様の 心臓が融合しているからな・・・・魔力がもう無いだろうな。」 「どう言う事だ・・・・・魔力がないのというのはどう言う事だ? それならどうして・・・。」 「竜族というのは・・・お前でも知っていることだが自然の力の具現化したような 者達だからだ。それには禍禍しい力である魔力は邪魔でしかない。その代わり 火炎や吹雪を吐く事にかけては我々よりも凄い。」 「お前はそれで良いのかよ!!だってお前はミルルを可愛がっていたじゃねえか。」 「今となっては仕方あるまい。私とて探してあげたい所だが ミルル様がガスタブルグにお戻りになるという可能性は低いだろうな。 キースが生きている以上、もしかしたらキースと道を共に歩くかも知れぬ。」 「それはどういうことだ・・・・。つまりキースとミルルが結婚して 子供を作ると言うことかよ。それは無いだろう!!」 「だが、ガスタブルグはミルル様が生きている以上、ライから奪還された時には 唯一の後継者と言う事になる。そうしたら同じくフランツの子孫であるキースは 竜族の長の一人として竜族を導いていかなければならない。ミルルと同じように 邪竜族を纏め上げる使命を持っている。」 「そんな・・・・・・それじゃあ、俺達が入る余地がないというのかよ・・・。」 「そう言う事になるかな・・・だけどな、私とて・・・・うん?あれは何だ?」 ガープは砂漠の真中に何か見慣れぬ物があるのを見つけた。 そしてその物というのか、牢屋というのか、そう言う物の周りには大勢の 兵士達が囲み、警護していた。 「あれは・・・何だ?しかもあれはライゼーラの剣士隊じゃねえか。どうして・・・。」 エクリマは兵士たちをじっと見ていた。もちろん気配を完全に隠し 兵士たちの動向を覗っているが。 「ふ〜む・・・・・気になるな・・・あの中に何があるのか。しかも ライゼーラ・・・つまりマクシナスの部隊はこんな所で何をしているのだ? 何か厳重に守る物があるのか。」 ガープはゆっくりとその牢屋らしきところに近づいた。 「おい、どうするつもりだよ!!」 「決まっているだろう、見てみるのさ。あの中を。」 「しょうがねえなあ・・・。」 二人はそう言いながら牢屋に近づいていった。 (続く) -------------------------------------------------------------------------------- 闇の覇者・真王たる者・狂い(7) 投稿者:おんしー(on see) 投稿日:10月15日(日)11時50分57秒 16.狂い 牢屋の中では・・・・・兵士たちが二人が寝ている場所を厳重にガードしていた。 騎士の一人がネロを軽く小突いた。 「ふふふ・・・こいつら寝ていやがる。だけどどうしてマクシナス様はこの二人を怖がっている のだろうなあ。そんなに怖くないのに。」 「本当だぜ。俺なんてさ、こっちの女気になっているんだけどな。」 もう一人傍らにいた騎士が同じく寝ているアクリラに手を伸ばした。 だが、二人は目覚めない。 「おい、そろそろこいつらを移すぞ。これらをエスミル様の神殿にて 保管する事が決まっている。早くしろ!!」騎士団長がそこにいた騎士たちに 怒鳴った。 「へいへい・・・・じゃあ、そっちを持ってくれ。」 騎士が傍らにいたもう一人の騎士にベッドを持つように言った。 「分かった・・・しかしこいつらどうするんだろう?」 「さあな。親玉の考える事はわからねえ・・・。」 二人がベッドに触ろうとした瞬間!! ネロの目が開いた。そしてゆっくりと起きあがったのである。 「なにっ・・・目覚めるはずがないのに・・・どうして!!!」 騎士は慌てたのか、ベッドを降ろしてしまった。 「わっ・・・・ここは一体何処なんだ!!それにあれ?ライさんは・・ どこだ!!ここは!!」ネロは立ちあがろうとしたが寝ていたのか よろけてしまった。 「こいつ目覚めたようだ!!くそっ、こいつらどうするんだ!!ここで不始末を 起こしたらエスミル様に申し訳が立たぬ。こいつらを始末するんだ!!」 「はっ・・・。」体勢を立て直した騎士達は剣をひきぬくとネロに襲いかかった。 「うわっ・・・・・・・。」ネロは右手を出して呪文の詠唱をはじめた。 「呪文だ!!こいつに時間を与えるな!!」 「!!!!!メイルストロム!!」ネロは思わず新しい呪文を唱えてしまった。 だが・・・・・・・。 「何だ?何が起こったのだ?」牢屋に近づいていたガープとエクリマは 騎士たちが騒いでいるのに気がついた。 「わからねえ。だけど普通じゃねえということだ。ガープ、とにかく行こう。 それにこの気配・・・・覚えがある。誰か・・・。」 「ふっ・・・・とにかく突撃だな。」 ガープとエクリマは剣を片手に騎士たちに斬りかかった。 牢屋の中に入るとそこは騎士たちの無残な死体が広がっていた。騎士達は 容赦無く切り刻まれ肉片と化していた。 その中に一人・・・覚えのある少年と少女が立っていた。二人とも大きくなり ネロは髪を近くにあった騎士の剣で切っていた。 「あっ・・・・エクリマ・・・・・・?」ネロは思わず入ってきた二人に驚いた。 「エクリマ・・・・・さん?それにガープさん・・・・?生きていらしたのですね・・ 良かった・・・・・・。」アクリラはそのまま倒れてしまった。 「おい、おい、とにかく二人を連れていこう。そうだな・・・・「あそこ」に 連れていこう。」エクリマとガープは二人を抱きとめるとそのままルーラを 唱えた。 (続く) -------------------------------------------------------------------------------- 闇の覇者・真王たる者・狂い(8) 投稿者:おんしー(on see) 投稿日:10月15日(日)17時53分12秒 16.狂い ネロとアクリラはふと目を覚ました。だが身体が思うように動かない。 「無理だ・・・今動かすと筋肉がついていけない。じっとしていろ。」 側にいる誰かが言ったと思うのだが誰か分からない。 二人は目だけを動かしてみた。どこかで見たことがある風景だ。 そしてかまどのところには一人の女性がスープを作っているのか 良い匂いが立ち込めていた。 「ここは・・・・・どこ・・・・・。」ネロは言った。どこかで見たことがある。 「ここは荒野にあった廃屋を立て直した物だ。しばらくじっとしていろ。 お前たちは4年も寝ていたのだ、しばらくは無理だ。」 男の声がしているがネロとアクリラは振り向く事ができない。 だが、どこかで聞いた事がある。 「あなたは一体・・・・。」 「何を言っているのかと言いたい所だがたぶん記憶が錯綜しているのだろう、 俺はべゼル。全く分からないとはな・・・。ガープ様もエクリマ様も 困った物だな。」 べゼル・・・・そうあのべゼルである。なぜこんな場所にいるのかというと 彼は帝国のやり方についていくことが出来ず、そのまま逃亡したのである。 兄であるグロウはそのまま帝国に仕えベルクファクスに派遣されたが結果を出す事が できた。だが、弟のべゼルはその結果だけを追求してくる帝国のやり方についていけず ある任務の失敗でそのまま逃げたのである。そしてガープ達に 拾われたのである。 「しばらくは寝ていろ。そうこれは夢だ。まだお前さん達は身体をゆっくり休ませてから、 それから起きろ。」ベゼルは暖かい毛布をかけてやった。 二人はあっという間に寝てしまった。 「ふう。代わりましょうか、ニュクス様。」 後ろでスープを温めていた女性にベゼルは話しかけた。 「大丈夫ですよ。それよりも貴方も疲れたでしょう、ゆっくり横になっていなさいな。」 「では。お言葉に甘えて。奥の部屋で横になっています。何かあったら呼び鈴を。」 べゼルはそのまま引き上げていった。 そしてしばらくして・・・・・。 二人は暖かいスープを口に運んでいた。アクリラにも笑みが零れる。 ガープもエクリマも戻っていた。 「ここは・・・・確か・・・・。」ネロは辺りを見渡した。どこかで覚えがある。 「ここは昔ライさんが使っていた場所さ。お前もここに住んでいたんだろう。 俺達はここまで逃れてきたんだけど、デュラハンが敵を引き付けている 間にここまで来たんだ。」 「デュラハンさんは・・・・?」アクリラは尋ねた。だが周囲の表情は暗い。 アクリラはそれだけで分かってしまった。 「そうですか・・・・・。」 「でも、貴方達が無事で良かった・・・・。」ニュクスはクスクス笑っていた。 「それで・・・・どうなったのですか・・・・世界は・・・。」 「そうだな・・・私が話しておこう。」 ガープはゆっくりと話し始めたのだった。 (続く) -------------------------------------------------------------------------------- 闇の覇者・真王たる者・狂い(9) 投稿者:おんしー(on see) 投稿日:10月15日(日)21時09分41秒 16.狂い ガープは言葉を選びながら話しはじめた。 「そうだな・・・・まずは今の世界の状況を話していこうか。まずお前さんが寝ている 間にライゼーラ、ガスタブルグ、ベルクファクスの三国は揃って滅亡。 これだけは覚えてくれ。そしてお前さん達はライゼーラ帝国内の牢屋に収監されたんだ。 そこで眠りにつかされたのさ。無理矢理な。」 「滅亡・・・・・そんな・・・じゃあ、ギルモアもシャリムも・・・・ギアも・・・。」 ネロの言葉にアクリラがびくっと反応する。そのまま涙を流し始めた。 「ううう・・・・お父様・・・・そんな・・・・・。」アクリラはニュクスが貸した ハンカチに顔を埋めて泣き始めた。 「話は今度にしようか。その方がアクリラ様には刺激が強すぎる。」ガープが 一端話を打ち切ろうとした。 「良いんです・・・続けてください・・・。それからどうしたのです?」 「それから・・・ライゼーラにはマクシナスが、ガスタブルグにはライが、 ベルクファクスにはボーゼル、ギーガン国にルナとエスミルがそれぞれ 王として付いた。」 「ライさんが・・・・・ガスタブルグの王・・・嘘だ・・・・あれほど 倒したいと言っていたギルモアと同じ道をどうして・・・。」 「エスミルというのは・・・誰なんです?」涙声のアクリラが聞いた。 「エスミルというのは今この帝国を治めている魔王の名さ。黒ずくめの剣士 だったけどいつしかエスミルって呼ばれるようになった。 だけど・・・・本当の姿を誰も観た事が無いんだ。」エクリマが応えた。 「本当の姿・・・・・・ってミルル、いやエリス、それからマリエンは!! 死んだのですか!!」ネロは思い出したかのようにガープに聞いた。 「いや・・・死んでいないよ。ミルル・・いや君にとってはエリスだったね。 だけど今ではミルルのほうが普通になっているからここではミルルと呼ばせてもらうよ。 良いね?」 「・・・・・・・分かりました。」 「あの機械兵と戦って爆発するという時にどうやら竜族が二人を助けたらしいんだ。 だけど本当の目的はミルル姫様にあってエクリマ様は言い方が悪いがどうでも良かったんだ。」 「本当に遠慮というのが無いな、ガープさんは。」 「・・・・・・じゃあ・・・エリス、じゃなかった、ミルルは・・・。」 「今は魔竜谷というところで中立の立場を取っている。もともと竜族の姫君だからね、 彼女は。」 「どこにいるのですか?」 「ライのガスタブルグ王国の地方にあるよ、魔竜谷は。」 「じゃあ・・・・ライさんとミルルは喧嘩しているのですか?」 「う〜ん・・・・・ライは攻め滅ぼしたいんだろけど・・アクリラ姫、 竜族を怒らせたらどうなると思いますか?」 「・・・・・・・・自殺行為です。竜族はこの荒野の先にあると言われている 火山帯を作り、さらに先代の魔王であったナルゴス様を恐怖に陥れた化け物です。 そんな彼らを怒らせたら・・・!!」 「もう分かったみたいですね。」ガープは頷いた。 「・・・・・・・どう言う事・・・?」 「つまり・・・お前は知っていると思うけど竜族同士の戦いが勃発するかもしれない って言っているんだよ。いやそれレベル並みの戦いが起きたら帝国は全滅してしまう。 この大地がどこまでもつか・・・そっちの話になってしまう。」 「じゃあ・・・どうやって・・・・。」 「ミルル姫とエスミルは条約を締結して竜族に中立の立場を取らせたんだよ。そうすれば 彼らとて出て来れないというわけさ。その代わり、竜族はライのガスタブルグに 通行税やら関税を思いっきりかけたんだ。」 「でも・・・・どうして攻撃しないのですか?それは挑発しているのでは?」 「出来ないんだよ、ライさんでも。一歩でも攻撃を仕掛けたら帝国からは皇帝の命に 背いたと言う事で大軍を派遣されるだろうし、だと言って竜族を怒らせたら ライさんとて生きていない。だから堪えるしかないんだ。」 「そんな・・・・・。」 「それに・・・昔の君の友達だったミルルとは違い、今のミルル様はライの事 怨んでいるからね。徹底的にライから搾り取ろうとしているんだよ。」ガープは 付け加えた。 「どうして・・・・。」 「お前バカじゃないのか?ライさんが勝手に軍を率いて旧ガスタブルグ王国を 帝国の物だからお前達竜族や王族は出て行けと 言われたら祖国を奪われた連中はその帝国の手先を恨むさ、普通。」 「じゃあ・・・・・・ミルルはそれを知っていて・・・。」 「そうだな。まあ、お前より賢いな。お前の物分りの悪さは半端じゃないな。」 「何だよ、それって。」 ネロは思わず怒っていた。 (続く) -------------------------------------------------------------------------------- 闇の覇者・真王たる者・狂い(10) 投稿者:おんしー(on see) 投稿日:10月16日(月)22時53分13秒 16.狂い ベッドで寝ているネロにガープは付け加えるように言った。 「まあ、それだけではないけどね。ミルル様がライを憎む理由が。」 「えっ、国の事だけではないのですか?」 「お前・・・・俺とアクリラとミルルで面白おかしく話をしていた事が あっただろう、その中で気まずくさせた事があっただろ、あれだよ。」 「そんなこと・・・・あったかな?」 「ありました・・・・・そういえばあの時・・・4人で話をしていた時・・。」 アクリラは思い出したかのように話し始めた。 「きゃはははは・・あーおかしい。そんな事があったんだ。」 ミルルは笑っていた。 そうここは4年前のライゼーラのディープ・シー。ミルルがガスタブルグから 救い出され完全に竜族として生まれ変った時、ネロとエクリマは外が 大騒ぎになっているにも関わらず面白い話で盛り上がっていた。 その時の事であった。 ネロとエクリマは笑わせ、ミルルとアクリラはそれにつられて笑い出していた。 そして・・・・。 ネロはふと思い出したかのようにギルモアのことを話し始めた。それが まさかミルルの機嫌を損ねることになってしまうとは思わなかったのである。 「ギルモアの事なんだけど・・・・でも良かったよ、ミルルが、いやエリスが こうして僕の元へ来てくれた。僕はギルモアを憎んでいたんだ。 だって、君を竜族にしてそれでギルモアは自分の娘として可愛がっていた。 だからむしろこうして救い出したことに僕は嬉しいんだ。」 ぴくっとミルルが動いた。明らかに動揺をしている。 「そう、そう・・・・。あの〜それでギルモアお父様を殺したのは・・・ 誰なの・・私あまり見ていなくて・・・。」 「ライさんだよ。」ネロはこの時まだ知らなかった。ライが黒剣士の仲間として そしてネロ達を痛めつけネロとアクリラを封印することを。 むしろネロたちには心配をかけさせたくないとしてシャリムが教えなかったのかもしれない。 「もう僕も嬉しくて。だってさ、ライさんが倒したんだよ。ギルモアを。君も「お父様」 なんて呼ばなくて良いんだからね。」ネロは無邪気に笑ったが・・・エクリマは 感じ取っていた。 (ミルル・・・・・お前いらついている・・・・。焦っている?) 「そ、そう・・・・でも・・・・今日はもう帰る。疲れたし・・・。」 「えっ・・・・そうなんだ・・・・。」ミルルを送り出そうとして立ち上がった ネロにミルルは振り向いた。 「ネロ・・・貴方今面白い事を言ったわね。「ギルモアお父様と呼ばなくて言いからね。」 って・・・あれはどう言う意味なのかな?」 「うん・・・・だって君は人間なんだよ。だから・・・可哀想な君を・・・。」 ネロは話を続けようとした時ミルルはいきなりネロの首を右腕一本で締めた。 「調子に乗らないで欲しいわ。誰がお父様と呼ぶなですって・・・貴方にそんな 事言われたくないわね。貴方は憎むべき敵でしょうけど私にとっては ギルモアお父様は父以外何者でもないの。それになんですって? ライという輩がギルモアお父様を殺したですって・・・・。 私は・・・ミルル・ガスタブルグ。ガスタブルグの姫君。父を殺した愚か者に 殺すなんていう選択肢は甘すぎですわ。内臓という内臓を抉りだし そのライという男の四肢を切断して生き地獄を与えてやる。じわりじわりと 殺してやる。生きているという事が愚かだったと言う事を加えて。」 ネロは見た。そこには涙を一杯にしてネロを睨みつけているミルルがいた。 ネロにははじめてみせる表情だった。そう、それは憤怒であり、憎悪であり 赤い竜眼はまるでネロを射抜いている。 「ミルル・・・・君は・・・・・・。」 「良いのよ。私は私。だから貴方に束縛される言われはない。竜族として 裁断し竜族の罰を与えてやる。」そう言ってミルルは部屋を出ていった。 後に残されたネロとエクリマ、アクリラはミルルの言葉を聞いているしかなかった。 「どうして・・・・だって・・・・。」 「彼女に優しく接していたのはギルモアとニュクスだけだったからな。確かに 父じゃなかった。だが、そこにはお前が入りこむ事がない絆があるんだ。 お前ももう少し心というのを学んでみるのだな。」 エクリマはネロに言った。 (続く)