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闇の覇者・真王たる者・咎(1) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月25日(水)23時30分23秒 

                   18.咎

エスミルは一人いつものように瞑想をし、座禅を組んでいた。
そして・・・・どのくらい経っただろうか、思念を送ってきた者がいた。
そう16魔将である。
(ライ・・・どうやら精神状態がおかしくなり始めたようです。)
「くくくくく・・・・まさか竜族の怨念がここまでライを苦しめる事になるとは。
しかしげに恐ろしきだな・・・・「負なる感情」というのは・・・。」
(元はといえばそう言った物は魔族ではなく竜族が勝手にばら撒いたものですから。
あの怒竜と化した竜族に我々魔族は地べたを這いずり回りどうする事も
出来なかったのですから。怒りに我を忘れた竜族・・いえ、古竜族はお互いの
しもべ達を使い戦いを続けました。ですがそこには容赦という物はありませんでした。)
「ふふふ・・・しかしライがまさかあのピサロと同じような精神状態に
おかれるとは歴史とは何と虚実より面白いのだろうか。」
(左様で御座いますな・・・。)
「で、竜族の姫君はどうしている?」
(竜族の長であるキース皇子やミルル姫にはそう言った悪意という物や
「負」というのはあまり効果はありません。彼らの戦闘パターンは物質的な
攻撃には絶対とも言える防禦本能が働きますが悪意や負という魔族が
エネルギーと出来る物には竜族はあまり意味を為さないようです。)
「つまり・・・・効果無しという事か?」
(そうでございます。まあ、ちょっと気分が悪いかなというレベルです。)
「全く好い気な者だ・・・図体だけでかい分際で自分達がしかけた事すら
忘れ結局魔族たちに押し付けてしまった。」

まあこれが竜族の弱点と言えば弱点でもある。詰まる所キースやミルルといった竜族は
確かに物質的な戦闘能力なら最強とも言えるのだが相手の悪意や負なる感情
さらには魔法と言った物にはまるで効果が無いのか最初から分からないのである。
だからグレイトドランと戦うときベキラゴンのスペルやマヒャドのスペルの効きが
悪いのもその為である。

だからネロがのちに良く飲む事になる魔界にいる鮫のカクテルに
ミルルは飲めなかったのである。あまりにも不味い。それが理由であった。
その為かミルクをいれて飲んだのである。キースは飲もうともしなかった。

「ふふふふ・・・・・・ライ・・・・君は良き友人であり、志を共にする仲間であり
理解ある協力者でもあった。さあ・・・・お前の最後に残りし力、我の為に
使ってもらおう。その為にはお前の心が一番邪魔だ。そうだな・・・16魔将よ、
あの「失敗作」を消しておけ。ライを慕っているそうだが
今のライには邪魔な存在だ。死んでもらおう・・・。
そして・・・ライの絶望感はより我を強くさせる。竜族よりも・・・
高等魔族よりも・・・・そしてピサロ!!お前にはわが恨み受けてもらうぞ・・・
それをネロ、お前に取ってもらおう・・・。」
エスミルは不敵な笑みを浮かべていた。
魔将達は跪いたまま動かなかった。

ミルルはどうしているかというと・・・・・
サーラとともに温泉に入っていたのである。
「ふう・・・・やっぱり良いよね、温泉は。」
ミルルは何気なく笑った。
「本当で御座います。」湯船に褐色の肌を持ち竜角が4本しかない、
少女が入ってきた。
しかし二人が浸かっている温泉はゴボゴボと泡が立ち、どう見ても100℃はあるだろう、
彼女達はそう言った所で浸かっている。

そんな時だった。二人が入浴している時に一人の竜戦士が報告しに来た。
「ゴガゲロゲオア・・・(申し上げます。)
「ゴガオ。(どうしたのです?)」ミルルが応えた。
「ガオゲ。ドゲゴエガガゴエゴエオゴゴゴゴアゲオゲオガオオガゲ。
(はい。我々の領土を通ろうとしている魔族三人を見つけました。どうしましょう?)
「気になりますわ・・・。」サーラが呟いた。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・咎(2) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月27日(金)20時37分30秒 

                  18.咎

竜戦士がミルルたちに申し上げた
不審な「3人」というのは・・・そう、エクリマ、アクリラ、ネロの
事であった。3人は枯葉が積もり木々が生い茂る場所を歩いていた。
暗くて見えないがエクリマが持っている方位磁石は南を指していた。
「本当にこっちで良いの?エクリマ。第一「竜」の領土って言っても
どこからそうなのか分からないじゃないか。」
ネロはリュックを背負いながらエクリマに文句を言った。
しかし・・・・。
「てめえはバカか?」
「何だよ!!いきなりバカは無いだろう!!いきなり!!どうしてバカなんだよ。
バカって言う方がバカなんだよ!!」
「・・・・・・・・。」エクリマは怒鳴っているネロを無視してある魔界に生える木を
見てはちょっと上のほうを見つめていた。
「おい、エクリマ!!」ネロはエクリマの肩を掴もうとした。
だが・・・・・。
「見てみろ・・・・・・・・。」
エクリマにつられてアクリラ、ネロも上を見上げた。そこには葉に血の痕がついている。
「ひっ!!」アクリラは叫ぼうとしたがエクリマに口を塞がれた。
「これから言う事は命に関わる事だから良く聞け・・・・・・・
俺達はもうすでに「魔竜谷」の領土に入っている。さっきから葉についている血は
脅しの意味も含んでいる。近づけば容赦なく斬り捨てると。だから
我々はその最終防衛ラインギリギリのところを歩いている。
だからもし竜戦士が現れたら・・・いや、竜族が現れたら武器は捨てろ。
持っているだけで攻撃する意思ありと見なしてくるはずだ。その時の竜族は
恐ろしい・・・・。だからもしもの時は・・・・。」
「それじゃ・・・降伏しろと言うの!!ミルルだよ、相手は!!」
「お前は竜族の恐ろしさを知らない・・・あれは・・・容赦しない種族だ。
接近戦、あるいは物質的な肉弾戦にはとんでもない戦闘能力を発揮する。
しかもミルルだったら尚更だ。長たる資格を持っているミルルはここ、魔竜谷の竜族
では最強だろう。
もちろんキースもだ。たぶん竜族はキースが帰ってくるのを待っているはずだ。
それまで怪しいことはしないだろう。」
「そんな・・・・・・。」
「それに・・・・昔竜族の戦争が起きる前はここ魔界も少しは良かったそうだ。だが、
二つの種族が喧嘩を始めたせいで空気までも汚れてしまった。何故だと思う?
それは・・・竜族の怨念が「負なる感情」と言う物を呼び寄せてしまうからだ。
しかも自分達にはその自覚すらない。怒り狂った竜族の凄まじい怨念は
あっという間に空気を汚し、魔界には雷雲が立ち込めたと俺の祖父さんが
言っていた。一種の瘴気だよ・・・・。それも始末に悪い奴。」
エクリマはそんな事を言った。だがその目は何か遠くを見ているかのようであった。
エクリマは知っている。嫌な記憶。
自分の祖父もまたその瘴気に侵されあっという間に死んでいった。
だが、竜族はそんな事まるで意に介さないように立ち去っていった。
母親に抱かれていたエクリマはその光景を嫌でも覚えている。

「それに・・・・さっきなんだが一匹の竜戦士の気配が消えた。どうやら
報告にしに行ったようだな。」
それを聞いたネロとアクリラはあたりを見渡した。だが、誰もいない。
いや・・・・よく「観てみる」と・・・森全体がネロたちを完全に
「観ている」。しかも強暴な竜眼で。
「これは・・・・・なんと言う・・・・。」ネロはようやく事態を悟った。
そして剣をかけようとした。だが、エクリマはそれを叩き落とした。
「止めろ・・・・早く武器を捨てろ。もう囲まれている。」
エクリマは剣を捨て両手を上げた。アクリラもロッドを捨てエクリマと同じ事をした。
「くそっ・・・・分かったよ。」ネロも同じ事をした。
そして・・・・すぐに竜戦士たちが現れて、彼らに手錠をかけたのだった。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・咎(3) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月27日(金)21時17分18秒 

                 18.咎

「しかし・・・・これは無いんじゃないか・・・・。」吊るされた格好の3人は
竜戦士に連れられていた。そしてどのくらい歩いただろうか、
3人は森が開けた場所に出た。崖が遥か向こうに崖がありそこには横穴が無数にあり、
竜戦士やシュプリンガー、リザードマン、グリーンドラゴンと言った竜に属する眷属とも
言える竜族が住み、別の場所にはりゅうき兵というシュプリンガーの上級兵が
剣の練習をしていた。また別の場所には竜族の乗り物として
名高いフーガが何匹か屯していた。
「すげえ・・・・・これが竜族かよ・・・・。俺達はすげえ体験をしているんだな・・・。」
エクリマはしきりに感心していたが、後ろにいた二人は文句を言っていた。
「どうして・・・こんな扱いなんだよ。捕虜なんだからもう少し・・・。」
「そうですわ。だって私達別に攻撃する意思なんて無いのに・・・それに
女性には優しくというのが筋でしょう。どうしてこうなるんですか!!」
「ダマレ・・・・シニタイノカ・・・・・。」足元にいた先導役のフーガが
片言の魔族の言葉で話した。
「このトカゲ野郎!!」ネロは悪態をついたがフーガはその意味がわからない。
「トカゲヤロウトイウノハドウイウイミダ?」
「へえ・・・こいつら知らないんだ。自分達の姿がどう言うものか。こいつは良い・・・。」
ネロは含み笑いをするとありったけの悪口をアクリラと共にフーガに言った。
だが、フーガは首を傾げるだけで良く分かっていないようであった。
「悪乗りすると・・あとでおもっきり酷い目に遭うぞ・・・・その辺にしておけ。」
エクリマは後ろで言っている二人に言った。

実際あとでネロとアクリラは焦る事になるのである。
と言うのも二人に「悪口」を言われたフーガがそのままミルルにその事を伝えてしまい
ミルルは笑いながら二人にフーガ達の便所を掃除してきてくださいと言ったが
それは自業自得であろう。

そして・・・・・その奥・・・・巻き貝のような真珠色の建物が見えてきた。
とてもキラキラ輝いている。3人はその美しさに呆然となってしまった。
そう高等魔族「竜姫」ミルルの居城である。一行はその中に入っていった。
回りには人型の姿をした竜族がじっとエクリマ達を見ている。その中には
失笑している者もいる。
そして何人かの竜族は頭にターバンをし、伝統衣装を纏っている。
どうやらミルルに仕える将軍か武官なのだろう。近寄りがたい
雰囲気というのがあった。
「そこらで降ろしてやれ。」恰幅の良い男性が回りの竜戦士たちに命じた。
そして乱暴な音ともに3人は降ろされた。どうやら警備隊の部将なのだろう
何か怪しげな目で3人を見つめていた。
「くそ・・・いてててて・・・・もうちょっとだな、丁寧な応対というのは
無いのかよ・・・。」エクリマは尻をさすった。
「あんな所でウロウロしていれば守備隊に見つかるようなものだ。それと・・・
わざと見つかるようにするのはずいぶん疲れたろう。何が狙いだ、この
不審者め。」目の前にいる男性は竜眼で睨みつけた。
「あ〜あ・・・全部お見通しって訳かい。それなら話は早い。俺の名はエクリマ。
ザルトの息子だ。でこっちはアクリラ、元ライゼーラの第一息女だ。
こいつはネロ。まあ、俺のダチだな。」
「ほう・・・ザルトの・・・・で、お前はそんな所で何をうろついている?
何でもジュダ王国は今叛乱の真っ最中だと言うのに・・・。」
「国のことは良いんだよ、それよりもミルルに会わせてくれ。」
その途端部将はエクリマを殴った。
「ミルル様だ。お前はそうした儀礼に通じていないのか・・・情けない、
それでもお前は一国の皇子か?それに国の事はよいだと・・・ザルトも情けない
息子をもってさぞ嘆いている事だろう・・・。」
「くそ・・・どうやっても通さないつもりかよ・・。」
エクリマは口から出た血をぬぐった。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・咎(4) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月28日(土)08時48分39秒 

                   18.咎

一方ここはベルクファクス首都「黄鶴都」では・・・・・。
ベルクファクスとギーガン国に跨っていた要塞を陥落させ、帝国軍を
追い払ったベルクファクス軍は意気揚揚と王都に帰還した。
そして・・・・・ヤゲローの元に元王国の兵士や将兵が次々と
加わった。まずは地方で反帝国の兵を鍛え上げていた将の
ガズランとガロウが加わった。二人はすぐにヤゲローに
絶対的な忠誠を誓った。さらに
遠方のジュダ王国と同盟を締結することができた。
これはホルムの計であり「遠交近攻」という考えからであった。
それをヤゲローは取り入れ無事に同盟を締結させる事ができた。

ここは玉座の間・・・・ヤゲローは父ギアが座っていた玉座に腰掛けた。
今まで彼は回りのことを考え座るのは遠慮していたのだが
まわりからの強い要請により座る事になったのである。
ここにベルクファクス王国「武烈王」ヤゲローが誕生したのである。

そして・・・・ヤゲローは左右に並んだ将達を見た。頼もしさを感じていたが
もう一国同盟を締結させたほうが良いと考えていた。
ガスタブルグは敵国だがその中にある「魔竜谷」はライと反目を続けていると言う。
そこでヤゲローはマオに調査させたのだった。

「ほう・・・・そうなのか。ライはもう死にかけていると・・・あの負なる感情が・・。」
マオからの報告書を読んだこう漏らした。
「はっ・・・。そうなりますとガスタブルグの将兵はいまや死にかけ。
こちらから打って出ればすぐに降伏するでしょう。」マオが跪いて報告をしていた。
「ご苦労であった。下がって良い。」
「はっ。」マオは将たちの列に戻った。
「さて・・・・ホルムよ、お前ならどうする?竜族と手を結び、帝国との
決別を明確な物にするか?」
「う〜ん・・・・難しいですね。何しろ帝国も竜族を怒らせるのは得策では
ないと判断して同盟というのか特権をつけましたし・・それを懐柔するのは・・・
現代表者のミルル姫が何と言うのか・・・。」
「竜姫・・・・か。う〜ん・・・・こちらから接触する事が出来るか・・・。
内密にだ・・・。」
「・・・・・・・・・それならグザファン殿とガズラン候に行ってもらって・・。」
ホルムは言葉を続けようとした時、二人が名乗り出た。
「ちょっと待ってください!!」
「そうです、ちょっと待ってください。」
二人の声を聞いてヤゲローはその声の主を見た。
「お前達・・・どうした?」
声の主はマリエンとキースであった。
「私の幼馴染はあのミルルです。もちろん彼女に記憶が残っていれば私達の
言葉をきちんと聞いてくれるはずです。それなら私とキース卿が行けば・・・。」
「そうです、マリエン殿は魔族ですがミルル殿とは幼馴染。それに
私は竜族の長です。ここで我々が行けばきっと上手く行くはずです。
竜族は私の帰りを待っているはずです。それから行動を起こすと思います。
それなら早い内に・・・・。」
「どうだろう、ホルム?」
「良い手ではありますが・・・ライがどう出るか。それにガスタブルグは
今結界を張っているのでルーラからの侵入は無理です。」
「う〜ん・・・・。」
「お願いです、陛下。私達に行かせてください。」
「私からもお願いします。」二人は頭を下げた。
「分かった。ガズラン卿、お主は時間を稼げ。そうだな、ガスタブルグに展開してある
60万のうち精鋭を遊撃にあて敵国軍を封じこめよ。
そして戦地に行っているヨアヒムとガンドに協力し、その功を慰労せよ。
キースとマリエンはルーラで国境まで行くように。」
3人は頭を下げた。

これがまさかキースとマリエン、そしてミルル、ネロ、アクリラ、エクリマと
出会う事になるとはこの時は誰も分からなかった。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・咎(5) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月28日(土)10時27分46秒 

                   18.咎

病床のライはこのベルクファクスの動きを察して軍を南部に集中させたが
もともと兵の士気も低く、忠誠も低いものだったので
遊撃に出ているベルクファクス軍の動きに付いていく事が出来なかった。
さらにベルクファクスとジュダ王国が同盟を締結した事を密偵からの報告で
受けたライは再び復讐戦を受けようとしたが自分の身体が思うように動かない為
安静にしているしかなかった。
「くそ・・・・・悪魔神官よ、私に呪いをかけたのは誰だ!!」
ベッドで寝ているライは家臣の一人を呼んだ。
悪魔神官は跪いて水晶玉を覗きこんでいたが、返事はしなかった。
「おい・・・どうした・・・・。」
「かけた相手はわかっております。ですが・・・相手が悪すぎます・・・。」
「誰なんだ・・・・ミルルか・・それともヤゲローか・・・キースか・・・・。」
「竜姫のミルル殿でございます・・・・。ですがミルル殿はライ陛下にかけた
覚えは無いようです。ただ「憎んでいる」という理由だけで・・・。」
「くそ・・・・私はこんな所で死ぬわけにはいかぬ・・・。私は皇帝陛下に
お仕えしている者・・・ここで死んだら・・陛下に申し訳がたたぬ・・・・。」
ライはそれだけ言うと典医が持ってきた薬湯を飲んで眠りに落ちていった。

ルーラで飛んできたマリエン、キース、ガズラン
はガスタブルグとベルクファクス国境に展開している
ヨアヒムとガンドの歓迎を受けた。
「ガズラン候、よくぞご無事で。」ヨアヒムは久しぶりに会った武官に頭を下げた。
「すまぬ・・・お前達に迷惑をかけてしまって・・・本当なら陛下をお守り
しなければならないと言うのに・・私が・・・地方にいたばかりに・・・
だがこれからは粉骨砕身して陛下にお仕えしようと思う。よろしく頼むぞ
ヨアヒム、ガンド候。」
「いえ・・・・ご無事ならそれで良かったのです。それでは・・・。」
3人はヨアヒムとガンドの軍幕に入っていった。

「すでに精鋭は遊撃にまわし、敵をかく乱しております。今なら魔竜谷
に潜行する事は簡単でしょう。」ガンドはマップを見せながら
ガズラン候に説明した。
「なるほど・・・・。ではキース殿、マリエン殿、ここは我々に任せて
貴公らはすぐに潜入して頂きたい。護衛の忍びを2〜3人つけますので
ご安心して魔竜谷に行ってくだされ。」
ガズラン候はキースとマリエンに言った。
「かたじけない。では早速出立しよう。マリエン殿。」キースはすぐにテントを出ていったが
テントのすぐ脇にヨアヒムとメリクリウスが立っていた。
ここからでは二人の姿は見えないがキースとマリエンは二人に近づいた。
(・・・・・・・あとでガズラン候は殺したほうが良いですね。敵と内通している
可能性があります。)マリエンはそっとヨアヒムに耳打ちした。
そしてすぐにガンドも出てきた。どうやら先にガズラン候を酒席に招いたのだろう、
本人は警護の兵士と共に出ていった。
(ふっ・・・・・敵も帝国と内通していた者をこちらに派遣するとは・・・
あとはこちらにお任せを。それから敵の暗殺者らしき者達が潜伏していましたが
メリクリウス殿の働きですべて全滅致しました。我々はガズラン候に
毒を盛って・・・・。)

ヤゲローはそうして地方から出てきた二人の将のうち、ガズラン候が
敵と内通していた疑いがあった。ガスタブルグにいるライの元にどうも我々の
潜伏先が分かっていたという事がおかしいと思ったのである。
そしてガズランの家人を買収しスパイを尋問した所白状したので
彼を捕縛することにしたのである。
ガロウ将軍のほうは地方にいてもギアに忠誠を誓っていたためボーゼルに
幽閉されていたのである。その為救助されたときはかなり衰弱していたが
ここにきて復官したのである。

結果、ガズランは毒を盛られた毒酒を飲んでしまい死んでしまうのである。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・咎(6) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月28日(土)10時46分55秒 

                   18.咎

一方魔竜谷では・・・・。
部将とエクリマは槍と剣を引き抜いた。どうやら部将がエクリマの剣の腕を見てみたいと
挑発したのである。エクリマは手錠を解かれ、自分の剣を
渡された。
部将は槍を扱き、じっとエクリマを睨みつけた。
「私はこれでもミルル様にお仕えしているバギダと申す者。ここで大恩ある
ミルル殿に近づけさせぬ。さっさと帰るが良い。」
「へっ・・・オッサン、泣き入れさせてやるぜ・・・・。」
エクリマは剣を取って構えた。そして・・・すぐにフーガの泣き声がして
バギダが襲いかかった。
「速い!!くっ!!」エクリマは剣を水平に構え槍を受け止めた。
「ふふふ・・・・もう息が上がったのか?ちゃんと剣術の勉強をしてきたのか
お前は・・・。」
「くそう、バカにするな!!」剣の持ち手をかえて穂先を上へと押し上げた。
そしてエクリマの剣先がバギダの腹目掛けて捕らえた。
だが、バギダは姿勢を低くして反対のほうの柄の部分をエクリマの顎に当て
よろけさせた。
「くっ・・・・・。」
エクリマは防戦一方になってしまった。
「戦いなれている・・・・どうすれば・・・・。」エクリマはそんな事を考えていた。

・・・・・・・エクリマはふと昔のことを思い出した。
アルファスと修行にうちこんでいた時のことを・・・・。
(速いなあ・・・・どうすれば・・・・。)
(・・・・・・・・・・・・・・お前は槍の弱点というのがまるで分かっていない・・・。)
(弱点?)
(槍というのは・・・間合いに飛び込んでしまえば怖くないものなのだ。
もちろん手馴れた者なら只ではすまい。だが気をつけてよく穂先を見るのだ・・・・
そうすれば避ける事は出来る。そして必殺の突きを当てれば良い・・・
・・・・・・・・・槍を持っている手に。)
あまり話さないアルファスは少しずつ話した。
エクリマはそれを黙って聞いていた。

「そうだったな・・・・・アルファス・・・・すまんな、お前のこと忘れていたよ。」
エクリマは無言でバギダの間合いを詰めた。
「甘いな!!小僧!!」バギダは槍を繰り出したがエクリマはそれを
見切ると突きを繰り出した。槍を持っている手に。
「なにっ!!」体勢を崩してしまったバギダは身体を退けぞらしてしまった。
そして槍を弾き飛ばした。
「勝負ありだな。オッサン。」
「くそう・・・もう一回だ・・・。」槍を構えようとした時後ろから拍手があがった。
パチパチ・・・・・・。たった一つの拍手にそこにいた者は皆頭を下げた。
「へ〜エクリマって腕上げたね〜〜感心しちゃった。」
いつからそこにいたのだろう、六本の竜角をもつ少女がラフな格好で楽しそうに
その様子を見ていたのである。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・咎(7) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月28日(土)21時04分03秒 

                   18.咎

エクリマは背後にいる竜の少女をじっと睨みつけた。
「いつからそこに・・・いた?」
「うん、さっきだよ。エクリマが防戦一方になったところから。
でもバギダを倒すなんて凄いね。感心しちゃった。」
「ミルル・・・いやエリス。君の力を貸して欲しい。」
ネロはエクリマに代わって話しかけた。
「・・・・・・。」エリス、いやミルルは何か考えているようだ。
黙ってしまった。
「お願いです、ミルルさん。私達と共にダルドア城へ行って・・・・。」
アクリラがミルルに頼み込もうとした。
だが・・・・・。
「行ってどうするの?」牙が見える口が動いた。
「へっ・・・・・・・・?」ネロは呆気に取られてしまった。
「だから、行ってどうするのかって聞いているの。あそこにはライがいるんでしょ。
私はライを憎んでいる。でも貴方達はライに恩があるみたいでしょ。
そうしたら私は貴方の制止を振り切って止めを刺してしまうのかもしれないよ。
それでも良いの?」
「それは・・・・・・・。でも、君だって・・・・・。」ネロは言葉を捜したが
思うように見つからない。
「それに今は動かないほうが良いと思うよ。どう見ても帝国のエスミルは
ライを捨てようとしているみたいだし。そのまま放っておいても
ライは死ぬ。呪いで苦しんでいると言うのなら・・・・楽にしてあげた方が
良いしね。」
「そ、そんな・・・・・・でも救いたいんだ・・・ライさんは操られているだけだ。
それにもしかしたらライさんは僕達と一緒に戦うかもしれないだろ。だから
君の力を貸して欲しい。」ネロは笑みを浮かべたがミルルの表情は変わらない物だった。
「それじゃあ、私の出る幕は無いわ。だって貴方たちだけでも出来る事でしょ。
私達は今動けないのよ。エスミル皇帝陛下との約束もあるしね。ダブル・ブッキングは
出来ないのよ。まあ、今皇帝陛下とは詰の交渉に入っているけど
どうかしらね。」
「皇帝陛下・・・だって!!あのエスミルと手を結んでいるのか!!」
「当たり前でしょ。私達が生き残るにはそういう材料を最大限利用するというのが
ルールみたいなものじゃない。ネロ君、貴方もそういう事はきちんと学んだ方が
良いよ、戦いに綺麗も汚いも無いって。」
「くっ・・・・・。」

汚いという人もいるだろう。だが、平安時代の終わり、武士は安全パイを残す為
敵方について一族を守る必要があったのである。だから戦争の時、一族が
二つに分かれるなんて当たり前の事であった。それが常であり
そうしなければ滅亡の二文字が待っている。

「だから言っただろ、ミルルは昔とは違うんだって。」エクリマが剣を鞘に収めた。
「でも・・・・。」
「いい加減大人になれよ。お前はいくつだ?20歳だろう、ミルルはもう大人に
なっているんだぞ。お前達だけだ、なり切れていないのは・・・。」
「でも・・・・貴方たちの言う事も聞いても良いよ。昔の誼もあるし。
バギダ、彼らの手錠を解いてあげて。」
「ですが・・・危険で御座います。」ようやく立ち上がったバギダはミルルに言った。
「良いの。彼らは危険じゃないから。それに・・・・。」
「それに・・・・・?」
「とにかく解いてあげて。」
バギダはミルルの言う通り彼らの手錠を解いてやった。
自由になったネロとアクリラはバギダから武器を返してもらいミルルを見つめていた。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・咎(8) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月28日(土)21時22分58秒 

                 18.咎

「で、どうするのだ・・・・これで・・・。」ネロはフレイム・タンをじっと見ていた。
「う〜ん・・・・私と一度戦ってみない?模擬戦で良いから。それで私が
負けたら・・・話を聞きましょう。」
「・・・・・・・・分かった。」ネロは頷いた。
「なら、俺が最初だ。良いだろ、ミルル。手加減はしないからな。お前もさっさと
着替えて来い。」
「そう、じゃ、遠慮なく。着替えてきますね。」ミルルは後ろで控えていた
サーラと共に出ていった。
「やっぱり僕が一番のほうが・・・・。」
「ネロ、俺はあいつの腕を見てみたい。それに・・・・アイツ・・
強い。」
「えっ・・・・・・・。」アクリラが声をあげた。
「俺が気がつかないうちに背後に回っていた。しかも殺そうと思えば殺せる位置にいた。
あの時バギダがやられた時攻撃を仕掛けようと思えばできたはずだ。
でもしなかった。つまりバギダの名誉を尊重したんだろう。」
「そんなに強いのですか・・・・。」
「ああ、それだけ鍛錬を積んだと言う事だ。当たり前だよな、そうでなければ
一族をまとめきれないのだから。」

そうしているうちにミルルがやって来た。彼女は簡単な鎧を身に纏っていた。
そして右手には扇を持ち、バララと広げて見せた。
「じゃあ、良いですよ。行きましょう。」
ミルルはバギダがいた場所に立った。エクリマも同じように剣を構えた。
「ふん。俺だって鍛錬したんだぜ。」
「・・・・・エクリマ、あなたは実戦での練習はしたのですか?」
「ふっ・・・・したさ。まあ、俺にかかればお前なんぞ一撃で・・・。」
フーガの泣き声が鳴った。まわりにいた竜族も静かになる。
「行くぜ・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」お互い構えようとしたがミルルだけ構えていない。
「おい、どうした!!構えろよ。それとも怖いのか。」
「・・・・・・・・行きます・・・。」ミルルは静かに言った。
「おう、来い・・・・・・・何っ!!」エクリマは驚くしかなかった。
あっという間に間合いを詰めエクリマの右隣にいたのである。
「・・・・・・いつの間に・・・・・。」

トン。

ミルルの手刀がエクリマの首筋にヒットした。そのままエクリマは倒れてしまった。
「えっ・・・・どうして・・・・。」ネロは驚くしかなかった。
あまりにも戦闘センスが違いすぎる。
「だから・・・・行きますって言ったのです。だけど・・・次どうします?」
「・・・・・・・。」ネロは震えていた。どう見ても勝ち目はない。
だが・・・その時であった。
「ちょっと待て!!その勝負俺も参加させてもらうぜ!!」
「えっ・・・・誰!!」
ミルルとネロ、アクリラはその声に驚いて振りかえった。
そこにいたのは・・・・・・
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・咎(9) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月28日(土)23時43分23秒 

                  18.咎

その声がしてからすぐ竜族の兵士が駆け込んで来た。
「どうしたのです?そんなに慌てて・・・・。」
「あっ、あっ・・・・・あの・・・その・・・・・。」
「どうしたのです?落ち着きなさい・・・。」
ミルルは兵士を揺さぶっているがどうも良く分からない。
だが、ネロとアクリラは気がついた。

「この気配・・・どっかで・・・・。」
「ええ・・・・昔どこかでこれと戦った記憶があります。やたらに
格好付け屋で・・・それでいて憎めない・・・・。」
二人は話しているうちに向こうの方からざわざわと竜族の声が聞こえていた。
「どうしたの・・・一体・・・・ねえ、ネロ君、アクリラさん、今のは・・・。」
「・・・・・君でも知っている者だよ。」
「そう言えば・・・どっかで覚えがあるような無いような・・・。」
そうしているうちにアリテトが走ってきた。
「姫様、姫様・・・・お帰りになられました。」
「今の声・・・どっかで聞いた事があるような・・・・。」

「全く・・・・エクリマじゃねえか。こいつ何やっているんだ?こんな所で寝ていると
風邪を引くぜ。」いつの間に若い戦士だろうか、エクリマの背に回り
ふんと気合を入れた。
「う、う・・・・・・ここは・・・あれ?確か・・・。」
エクリマは気がついたようだ。背中にいた戦士はそのまますぐに隣にいるネロとアクリラに
気がついた。
「よう、どこかで会ったな。あの時は世話になったな。」
その戦士はピッと指を立てた。
「あ、貴方は・・・・・邪竜族の皇子・・・キース!!」ネロは驚くしかなかった。
「どうして・・・・・。」
「ふっ、まあ色々有ってな。今では反帝国の先頭にたって戦っているんだ。
しかしどうしてお前らがここにいるんだ?」
「ダルドア城に行きたくて・・それにミルルの了解を得たくて・・・一緒に
戦ってくれと言っても良い返事してくれないんだ・・・。」
「そいつに話す事なんて無いぜ!おい、キース貴様帝国に仕えていたのに
どうしてここにいるんだ。さてはミルルの命を狙っていたな・・・。」
気がついたエクリマがキースに食って掛かった。
「そいつはお門違いと言う者だ、お前全然人の話を聞いてねえだろ。」
「なんだと・・・・貴様・・・。」
キースは立ちあがるとじっとミルルを睨みつけた。
「な、何です・・・・私は・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・可愛くなったな、ミルル。」
「えっ!!な、何を・・・その何を言っている・・のか・・・・・。」
いきなりの事だった為ミルルは動揺して何を言っているのか分からないようだ。
「さてと・・・・・ネロと言ったな、お前ダルドア城に行くって言っていたけど
どうするんだ?そこへ行って?」キースも同じ事を聞いた。
「それは・・・・その・・・・ライさんを助けたいなあって・・・・。」
「・・・・・・・・・・・ライのことは諦めろ。第一、軍も
そうそういなくなっている。そう考えればお前の言っている事は
矛盾だらけだ。」
「そ、それは・・・・・。」

その時だった。ミルルが痺れを切らしたのか少し声を荒らげた。
「ねえ、どうするの!!キース!!貴方が戻っても一人だけじゃ・・・・。」
「私もいるんだけど・・・ミルル、いやエリス。貴方いい加減にしなさいよ。」
ネロはその声を聞いて驚くしかなかった。
ミルルも声の主を見て驚いている。だが、ミルルは覚えていないのかあまり言わない。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・咎(10) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月29日(日)09時41分52秒 

                  18.咎

「なんで・・・・私の昔の名前を知っているの・・・どうして・・・・。」
ミルルはその声を聞いて驚いた。

信じられない・・・・だって昔の名前を知っているのはここにいるキースと
エクリマとアクリラ、それからアガレス、ネロ、ガープぐらいなのに
どうして昔の名前を知っている人がいるの・・・。

ミルルの表情はそんな顔をしていた。そしてその事を言った人は
ちょうど宮殿の入り口あたりにいた。
「あ、あれ・・・・・・どうして・・・・。」
「あの人は・・・・・そうか・・・・あの人なら・・・。」
ネロとアクリラは納得した。この人ならミルルの事をエリスと呼べる。
気がついたエクリマも声のしたほうを見て納得した。
「なるほど・・・・・。ベルクファクスも考えたな・・・ミルルを説得するには
ちょうど良い適役だ。」
キースはミルルから離れて声の主に話しかけた。
「マリエン、もう入っても大丈夫だ。まあ、俺様がいたのだからここまで簡単に
これたんだぜ。」
「もう、貴方一人の功じゃないでしょ。ガンドさんが手配してくれたから
ここまでこれたのでしょ。」
「へーへー。と言うわけでミルル、おまえのことを一番良く知っている人物が
お前を説得するそうだ。」キースはネロたちの方に歩き出していた。
ゆっくりと歩いてくる。そしてミルルの前で止まった。
ミルルは声も出ない。ミルルはある少女と重ねていた。一番良く知っている少女。
「マリエン・・・・・無事だったんだね・・・良かった・・・・。」
ミルルは目に涙をためて話しかけた。
「うん・・・・・。私は魔族、貴方は竜族になっちゃったね。」
「・・・・・・・・・。昔のように遊べないのかな・・・・。」
「仕える相手が違うもの・・・・あなたは一族を率いて指導者となっている・・・
そして私はベルクファクス王ヤゲロー陛下にお仕えしている身分・・・。だけど
貴方がしている事は良い事じゃない。昔貴方に言ったでしょ、よく見なさいよって。
でないとあわてん坊の貴方は大切な物を見失うって。帝国と手を結ぶのも
良いけど、それなら私達ベルクファクスの王の話を聞くのも指導者としての
立場なんじゃないかな?」
「・・・・・・・・・・・・・・そうだけど・・・だって・・・・
そうしないと・・・・・だって・・・。」
「もう・・・・・・・しょうがないわね・・・・エリスは。また見ていなかったでしょ。
すみませんね、アリテトさん。この子、いつも大切なことを見ないときがあったから。」
「い、いえ・・・・・・貴方の事はよく聞いています。ですが・・・
帝国は我々のシンパなわけでして・・その辺のことはご理解願いたいのですが・・・
もちろん前向きに検討すると言う事を貴君の主、ヤゲロー殿にお伝え下さい。」
「もちろんですわ。ヤゲロー陛下は心の広い方、そのような無骨な真似は
致しませんわ。ご心配なく。ただ我々としては貴方と親身な間柄に
なりたいと申しているのです。無論竜族の地位は保証致します。」
「う〜ん・・・・・。」アリテトはネロとマリエンを秤にかけている。

マリエンはベルクファクス国の代表で来朝している。
それに比べてネロにはどうもバックボーンがない。それならマリエン殿の
弁の通りここはベルクファクスと手を組み信用が無くなりつつある帝国とは縁を
切って・・・・・。

「分かりました。これから12氏族と邪竜族13氏族を集め協議に入ります。
さあ、ミルル姫、キース皇子こちらに。」
「わかった・・・すまんな、アリテト。」
「う、うん。」ミルルとキースは連れられて向こうの部屋に行ってしまった。
「でも助かった・・。有難う御座います、マリエンさん。」ネロはお礼を言った。
だが・・・・・。
「ネロ君の場合・・・・竜族の信用がちょっと微妙な所ですね。」
「どう言う意味です・・・・?」
エクリマは気がついた。アリテトが協議に入る際、ネロではなくマリエンと言った事に。
「そうか・・・・そう言う事か・・・・。俺達では・・・信用が不充分だと・・。」
「どうして・・・・。」
「つまりバックボーンが無いって言っているんだよ。つまり「ネロ」と同盟を締結するのでは
なく「マリエン」が仕えている「ベルクファクス」と手を結ぶと言っているんだ。」
「どうして・・・・。」
「くそう・・・。」

そして・・・・・キースとミルル、それからフセン、アリテトが戻ってきた。
ミルルはマリエンの手を取ってこう言った。
「あなたの主人にこう伝えてください。我ら竜族は喜んで貴方と共に帝国を
倒します、と。」
「有難う御座います・・・・。」
「マリエン・・・・・ちゃん。涙もろいところは変わらないのね・・・。」
「貴方だって・・・・・。」
二人は泣きながら抱き合ったのだった。だがネロたちは複雑な表情を浮かべていた。
(続く)