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闇の覇者・真王たる者・咎(11) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月29日(日)20時37分53秒 

                   18.咎

マリエンとミルルはしばらく話しあったあと、アリテトが用意した部屋へと
消えていった。アリテトとその他の氏族はそのまま会議に入った。
だが、ネロの立場は微妙な物に変わりは無かった。
そんな時だった。エクリマがネロの所にやって来た。
「ネロ。お前これからどうするつもりだ?竜族の協力はもう無理だ。
ライさんを救い出してというのがお前の案だったようだがどうもベルクファクスの
ほうが先になったようだ。」
「ライさんを・・・救い出す方法は無いの・・・か。」ネロは半分泣き出していた。
だが、エクリマはそんな彼をただ見ているだけであった。
「お前は情けをかけてもらいたいのか。いつまでそこにいるつもりだ?
俺はこれから祖国に戻らなければならなくなった。お前はしっかりしないと
アクリラが泣いてしまうぞ。しっかりしろ!!」
「えっ・・・・だって・・・ライさんを・・・・救うんじゃ・・・。」
「悪いけどそう言うわけにはいかなくなった。ジュダ王国がピンチらしい。
ここで皇子の俺が戻らないとマズイ。さっきバギダさんが教えてくれた。
だから俺はここでサヨナラだ。だからこれからはお前がしっかりとアクリラと共に
歩いていかなければならない。」
「えっ・・・・・・それじゃ・・・・。」
「そうだ。ここで俺はジュダ方向へ行く。たぶんガープやべゼルが守っているだろう。
あとは有能な剣士隊がいるからしばらくは大丈夫だが、やはり俺が戻らないとな。」
エクリマはしっかりとネロの肩を掴んで揺さぶった。

そこへキースがやって来た。
「ネロとか言ったな。悪いけど俺もここに残る事にした。やはり部族のことも、
ミルルの事もある。何とか邪竜族を纏め上げ地方に散らばっている同志を集めなければ
ならない。もちろんマリエンは一息ついたら戻ると言っている。魔竜谷の付近まで
ベルクファクスの忍者達が警護しているようだからな。」
「別にお前のことなど聞いていねえ。」エクリマは睨みつけた。
「あっそ。それなら良いけどよ。ただネロ、お前これからどうするんだ?
本当に?」
「それは・・・・・ライさんを・・・・。」
「ライはもう死ぬよ。どうやら呪いがな・・・。竜族の呪いが・・・ライにかけられた。
それに竜族はどうやら南部に侵攻しベルクファクスと挟み撃ちにするつもりだろう。
お前はどうするか知らないがあまり南に行くのは得策ではないぞ。いつ敵と認識されて
攻撃されても知らないぞ。」
「・・・・・・・ライさん。やはり戦わないといけないのか・・・。」
「強制はしないさ。もしもうお前が戦いたくないというのならアクリラと結婚して
誰もいない・・・そうだな・・・あの小屋で過ごしたほうがいいぞ。
お前は剣を持つには・・・優しすぎるんだ・・・鬼にはなりきれない。」エクリマは
ネロに言った。だがその表情は冷たいものだった。
「・・・・・・・・・・。」
「どうする・・・・?昔聞いたよな、お前の両親、故郷は何処なんだと。それが
あるから竜族は身分の照合が出来なかったんだ。お前に。それに亡国の
皇女に一体何の期待をかければ良いんだ、という意味合いがあるのだろう。」
「そんな・・・・・エクリマさん!!それはないです!!」アクリラは涙ながらに
叫んでいた。
「だが事実は事実だ。いつまでも亡国の皇女が愛し合っている少年と一緒にいるのは
おかしい。それならどうして国を取り戻そうと思わないんだ?」
エクリマは畳み掛けるように言った。二人はしばらく黙っていた。

「・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」二人は黙ったまま何も言えなかった。
「お前達の人生だ。いつまでも俺やマリエン、ミルルに迷惑をかけちゃいけねえよ。
それにそこにいる奴(キース)の言う事にも一理ある。強制はしない。俺はすぐに
出立する。マリエンもすぐにベルクファクスに戻るそうだ。お前はここで
一晩考えてから決めろ。キースやミルルのご好意を無碍にするなよ。
じゃあな。生きていたら会おう。」そう言ってエクリマは宮殿から出ていった。
そしてすぐにマリエンも来た。
「じゃあね、ミルル。それからキース。もしもの時は必要になるかもしれないから
その時はよろしくね。」
「ああ。分かった。陛下によろしく言っておいてくれ。俺はいつまでも陛下のこと忘れない
って。その時は邪竜族を率いて陛下の為に戦うよ。俺は約束は守る。」
「じゃあね。じゃあ、ネロ君、アクリラさん。結婚したらぜひ呼んでね。スピーチでも
何でもしてあげるから。」マリエンもすぐ出ていった。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・咎(12) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月30日(月)00時29分04秒 

                  18.咎

「さてと・・・・これから忙しくなるな。こちらの戦力というのはどのくらいなのだ?」
キースがアリテトに聞いた。
すぐにミルルもやって来た。ネロ、アクリラを差し置いて。
その手にはいくつかの資料があった。ミルルはアリテトとキースの間に
入って説明を始めた。
その説明にキースは頷き、アリテトはさすがという表情を浮かべていた。
「・・・・・と言う事はりゅうき兵の武器補充がうまく行っていないと?」
「ええ、そうですね。フセンの報告では一部のシュプリンガーに
武器が行き届いていないと。」
「う〜ん・・・そうなると竜兵用の剣や槍が必要だな。一応ヤゲロー陛下に
武器支援の件を書いた手紙をマリエンに持ってもらったがやはり・・・だな。」
「武器自体はライゼーラの武器商人に頼んでありますがあれだけ巨大のものだと
移送も大変で・・・・。」
「ふ〜む・・・・厄介だな。あとはどうでるか、だな。いつまでも守勢というわけには
いかないが今は守って打って出る事は避けたほうが良いな。」
「そうですね・・・とりあえず兵の鍛錬を族長たちにお願いしてあります。あとは・・・。」
3人はそれぞれ話し始めた。だが、ネロとアクリラは何かカヤの外という
感じであった。
「あの〜僕達は・・・・?」ネロは申しないような、それでいて情けないような
表情でミルルに話しかけた。
ミルルは黙っていたが一匹のフーガが近づいてミルルに話しかけた。
「ヒメサマ・・・・・コノトカゲヤロウトイウノハドウイウイミデス?」
「蜥蜴野郎・・・・・?誰です、そんな事を言ったのは?」
「アソコ。」フーガはネロたちを指差した。
「ネロ君、貴方何か言った?」

「あっ・・・いや、その・・・・あの・・・・。」
「あははははは・・・・・冗談です、冗談。あはははは・・・。」
二人が冷や汗たっぷりに話すのでミルルはどうやら分かったようだった。
「あのね、この蜥蜴野郎というのは悪口よ。」
「エッ・・・・ソウナノカ。オノレ・・・・・。」
「大丈夫。私が仇討って上げる。ネロ君、アクリラさん、貴方達にやってもらいたい
事があります。」
「ははは・・・・・ごめん。」
「ごめんなさい・・・・・。」

「どうしてこうなるんだ・・・・・。」
「私達って不運ですよね・・・・・・・。」二人はデッキブラシを持って
フーガの便所を掃除していた。
「くそ・・・・臭い・・・・糞ぐらいきちんと掃除しろよ・・・。」
「ウルサイ・・・・・サッサトソウジシロ。オレハキサマタチノカントクヲ
カネテイルンダ・・・・・。」ちょっと高い所にさっきのフーガがいる。
「もう・・・・・やだあ・・・・・。」
二人の掃除は日が暮れるまで続いた。

そして二人が用意された部屋に帰ってきたのは日が暮れてからであった。
窓は暗く二人はようやくベッドに腰掛ける事ができた。
「手足がブラブラ・・・・・。」
「本当・・・・・・・・・・・。」
「結局・・・・二人っきりになっちゃったね。」
「ええ・・・・・・。私達って情けない者達だったのですね・・・・国も失い、
両親も失い・・・これからどうするのか分からない・・・・。
情けないですよね・・・。」アクリラは自虐的に笑っていたが次第に涙声に
なっていった。
「もう・・・・疲れたよ・・・僕は・・・・。」
「そうですね・・・・どうします・・・・?これから。」
「あの小屋に帰ってそれから考えるさ・・・・。」
「お供します・・・・。情けないですね・・・・・もう・・・疲れて・・・
眠くなってしまいました。」
本当は腹が減っているのだがさっきのエクリマの言葉が効いているのか
さっさと身体を拭くと二人ともベッドにもぐりこんでしまった。
しばらくして・・・・・。

「ねえ・・・・そっち行って良いですか・・・。寂しくて・・・。」
「良いよ・・・アクリラ。」
ごそごそという音がしてネロのベッドにアクリラが入ってきた。
「じゃあ・・・・僕はそっぽを向いているから・・・・・・。」
ネロは言葉を続けようとした時アクリラは目に涙を溜めてネロに抱きついた。
「このままで良いですから・・・夢見ている時ぐらいライゼーラの事を・・・。」
「分かった・・・・このままでいよう。」ネロとアクリラはしばらく抱き合っていた。
そうしているうちに二人はゆっくりと眠りについていった。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・咎(13) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月31日(火)00時16分17秒 

                  18.咎

朝を迎えた。魔竜谷、ガスタブルグ、ベルクファクス、ジュダ王国は
それぞれの朝を迎えた。ガスタブルグの兵の士気は低く、中には敵前逃亡する者も
多く、多くの民がベルクファクスへと逃亡していった。
さらにライの病状もよいとは言えず、不思議な事に少し落ち着いたのである。
それはミルルが仕掛けた(?)竜の呪いがマリエンやキース達が来朝した為
落ち着いたのであろう。
「はあ、はあ・・・・どうやら落ち着いたな。それでどうなっている?
ジュダの方は?それから魔竜谷のほうは?ベルクファクスの方は?」
ライはベッドから起きて家臣達に聞いた。だが、その表情は暗く
言ってよいのか戸惑っているかのように見えた。
「どうした・・・・?申してみよ。」
「はっ・・・・それでは・・・・・ジュダ王国ですがエクリマ殿下のお帰りによって
ジュダ王国軍が生き返りまして・・・ガスタブルグ軍は苦戦を強いられています。
それから・・・・魔竜谷の件ですが・・・竜族とベルクファクスが同盟を締結致しました。
その為、ガスタブルグは三国に囲まれ苦しい状態で御座います。
ベルクファクスは精鋭を遊撃にまわしあちこちに出没する為戦う事ができない
状態です。」
「おのれ・・・・三国がガスタブルグを・・・苦しめている・・・陛下は何と・・・?」
「何も・・・・・。」
「くそう・・・・・陛下は私のことを・・・・売るというのか・・・それが
帝国のやり方か・・・ふざけるな・・・・ふざけるなあああああああああ!!!!!!」
途端にライは苦しみ出した。そして・・・ライの傍らに置いてあった
タツムネから黒い霧のような物が噴出した。どう見ても
禍禍しき物のようだ。家臣たちは剣を取ろうとしたがライはそれをすばやく取って
構えた。
「これは陛下によって鍛えられたのだ・・・貴様ら・・・それを・・・・。
ぐっ・・・ぐああああ・・・・・・。」ライの身体が次第に・・・変質していく・・・・
家臣達はそれを見ているしかなかった。
そして・・・・・・。
ライの部屋から叫び声が響き、静かになった。
それ以来誰もダルドア城に行く者はいなくなった。只分かる事はそこへ行った者は
皆戻ってくる事はなかった。何があるのか・・・それはネロがダルドア城を制圧した
時に明らかになるのである。明らかに分かるのはダルドア城に
禍禍しき霧や雲が覆い、ライの気配がいつまでもしていると言う事である。
だが、それは乱暴な強暴な気配となっており部屋の中はどうなっているのか
わからない。

一方魔竜谷では・・・・・。
ネロとアクリラはベッドから起きた。部屋の中に何かストーブが
入れられ部屋を暖かくしていた。二人は抱き合ったまま起きた。
二人は無言で起きた。そしてパジャマから普通の服に着替えた。
そしてドアを黙って開けた。その時だった。ドアの隙間からパサッと
紙切れが落ちた。二人はそこに書いてある文字を読み始めた。

・・・・・・・・・・・ミルルからネロ、アクリラさんへ。
お二人には申し訳ない事になってしまいました。本当なら昔の好で、と
言いたい所ですが私にも背負う物があります。そこであなたの協力者に
なりうる人物をこちらでピックアップしました。
貴方達は朝餉を食べたらすぐにライゼーラに向かってください。
そこにジャイル・エコマというライゼーラ帝国の旧家臣がいます。彼はマクシナスに
歯向かい爵位を
取り上げられてシャリム帝の墓を守りつづけています。彼ならきっと貴方達の
力になるはずです。もしかしたら・・・・ライゼーラを復興できるかもしれません。
今帝国はガスタブルグ、ベルクファクス、魔竜谷、ジュダ王国に夢中で
ライゼーラの方をまるで見ていません。今なら帝国に忍びこめるはずです。
あとは貴方達次第です。私に出来る事はここまでです。成功を祈っています。

貴方の親友ミルルから。」

読み終わったネロとアクリラは・・・・何か見つけたように部屋を出ていった。
そしてすぐに二人はライゼーラに向けて出発するのである。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・咎(14) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月31日(火)18時42分09秒 

                  18.咎

ここはギーム。エスミルは玉座に座り誰も入れさせないようにして
指先に集まった光をじっと見詰めていた。
「くくくく・・・・「あの中」でこれが精製される。くくく・・・ライよ、
お前も嬉しいだろう、我に追いつこうとしていたのだから。
我の為に粉骨砕身して尽くすがよい。ふふふ・・・・。」
一人エスミルはニヤリと笑った。そこには誰もいない。

一方・・・魔竜谷では・・・・ネロとアクリラは朝餉(朝ご飯)を食べていた。
暖かいスープに、甘い蜂蜜をベースに練りこんだパン、そして大豆と肉、
それからいくつかの菜をトマトベースで煮込んだスープ、
そして蒸してキューブ状にした肉、さらに胡桃を混ぜた黒いパン、
そういった物が暖かい湯気を出してネロとアクリラを出迎えた。
それらの料理を前に5〜6人の竜族が座り、思い思いの会話を交わしていた。
「ほら、どうなされたお客人?朝餉は要らないのか?」
アリテトが話しかけた。
「あ、あの・・・・これは・・・・・?」
「朝ご飯だろう。貴君らは食べないと言うのかね?」フセンが蒸した肉を切り分けていた。
「良く言うではないか、腹が減っては戦はできぬと。」フセンがにこやかに笑った。
「で、では・・・・頂きます・・・・。あのミルルさんとキースさんは・・・?」
「それがな・・・どうも貴君らと会ったあと、気分が悪くなってな、
すぐに寝こんでしまわれた。何か体力が奪われたというのか、
そんな感じでな・・・・ミルル様が眠る前に君達に渡してくれという
手紙をドアの所に挟んでおいたが分かったかね?」
「ええ・・・・・で、どうなのですか?二人は・・・?」
「うん?もう元気な物だよ、起きてしまわれた。こういうときは我々は強いのだよ。
体力が無くなっても・・・一日であっという間に回復する。ささ、暖かいうちに
頂こうではないか。」
アリテトは食べ始めた。それに倣い、二人も食べ始めたのだった。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・咎(15) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月31日(火)20時45分46秒 

                  18.咎

一方・・・・ギームでは・・・エスミルの背後に控えていた
16魔将がテレパスを送ってきた。
(はあ、はあ、はあ・・・・ようやくこれだけ採取できました。
あの竜族は・・・まるでギガンデス並みの体力をスタミナを持っている者ですから
力を抜くのに相当苦労しました。)
「そうか・・・ご苦労だったな。」
(申し訳ありませんが・・・・もう一回は無理です。あとは・・あれの中に・・・。)
「すまぬ・・・。ではそうしておいてくれ。」
(はっ。)16魔将の気配が消えていった。
「まあ・・・仕方ない事だ・・・あの竜族、しかも長レベルの二人から
力を引きぬくなど、普通の魔族ならあっという間に死んでしまうのに・・・。」
エスミルはそう言って指先に集まっている光をどこかに飛ばしていった。
「あとは・・・これを精製すれば・・・・。」
エスミルは不敵な笑みを浮かべていた。

一方・・・・魔竜谷では・・・・。
「ミルル・・・・死んでしまったの・・・。」ネロはいつまでも来ないミルルに
心配していた。
「う〜ん・・・もしかして・・・かなり重体なのでは・・・。」
さすがにアリテトも心配し始めていた。
「昨日の晩あたりから目にクマが出来初めて・・それで寝こんでしまわれたのだ。
キースも同じようにな・・・。」フセンも心配したのだろう、
ふと会話に参加していないのにネロに言い始めた。
「そんな・・・・・。回復魔法をかけてやれば・・・・。」
「そんな事をしても彼らの病状は良くならないさ。それよりもせいのつく食べ物を
持っていったほうが良い。」
「そうですね・・・今は果物でも良いから・・・・。」
その時だった。アクリラが話そうとした時・・ドアが開いてミルルとキースが
入ってきた。
「おっはようーーーーーーーーー!!」
「おお、姫様、もうご病気の方はよろしいのですか?」
「うん。今日は珍しく寝坊しちゃって・・・ごめん。で、悪いんだけど・・・
アリテト叔父様、今日は政務休ませてもらえるかな・・・。」
そう言ってミルルはネロとアクリラの隣に腰掛けた。

食堂と言ってもここはこじんまりとした小さい部屋で座布団というのか
ふわりとした物が敷き詰めてあり、皆思い思いの話をしていた。
キースはしばらく黙っていた。
それに気がついたネロはキースに話しかけた。
「どうしたのですか・・・・?まだ身体が・・・・。」
「違うよ・・・俺低血圧なんだ・・・何しろ調子が出てくるのが遅くってな・・・。」
キースはサーラにあっさりとしたスープを頼んでいた。
「そう言えば・・・ミルルはいつもこうなのですか・・・?それに
いつも貴方方はこうやって楽しんでいるのですか?」
「こんな物ですよ。いつも。」
アリテトが話している間にもミルルは黒パンを千切って大豆のスープに入れ始めた。
「それだけは止めてください・・姫様・・・・。」フグマが頭を抱えていた。
彼も12氏族の一人である為、朝餉の会に出ているのである。
「美味しいのよ!!あ〜さてはお主知らんなあ?」
「知らなくて良いです・・・・。」フグマは頭を抱えていた。
それを笑う若い竜族の戦士もいれば黙ってスープを飲む女性もいた。

ネロとアクリラは驚くしかなかった。竜族といえば近接戦闘では化け物なみの
能力を発揮すると言うのにここではまるで一族が集まって思い思いの会話を
楽しんでいる。それにどう見ても彼らが食べている物には・・・魔力が感じられなかった
のである。
「どうして・・・・・・・。」
「だって朝ご飯は一日の基本だよ。こうして食べるだけでも皆良い気分で
過ごせるじゃない。それに朝から戦争だ、戦いだ、なんて言っていたら
こっちまで暗くなっちゃう。目覚めから暗い話は聞きたくないですから。」
隣にいたミルルはそうやって染み込んだスープを飲み始めた。
アリテトは蒸した肉を丁寧に野菜とパンに挟み、サンドイッチ風に食べ始めた。
そんな中でもフグマやサーラ、若い竜族の戦士は会話を楽しんでいた。

ネロとアクリラは・・・・暖かい食事と言うのか、何か心が救われる思いがした。
竜族の心配りに感謝していた。二人は何か心の霧が晴れたような気がし、
しばらくしてライゼーラに向けて旅立っていったのである。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・咎(16) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:11月 3日(金)00時56分42秒 

                   18.咎

一方マクシナス治めるライゼーラ帝国は・・・・マクシナスが指揮する計画経済に
よって繁栄していた。石と化したあのディープ・シーは打ち捨てられ、
隣に新しい都が出来ていた。
本当なら旧家臣たちが叛乱の兵を起こすのが筋なのだがマクシナスが
移民団やあちこちに密偵を派遣していた為、叛乱は未然に防がれていた。
しかも旧家臣たちも合わせて優遇していた為、叛乱を起こす口実が無かったのである。
一歩間違えてしまうとあっという間に民衆だけでなく移民団までも
敵に回してしまうため、土地を没収されたり滅ぼされてしまうのが関の山であった。
そうジャイルと呼ばれた旧家臣もその一人であった。
彼はマクシナスからその才を惜しまれ、家臣に加えようとしたが
礼節をもってシャリム帝に忠誠を誓った為、官位を取り上げ
墓守に命じたのであった。だが、それでもマクシナスはジャイルに
スパイを張りつかせ報告を欠かさずしていたという念の入れ様であった。

彼は畑仕事をしていた。土を耕し本を読み
身分に関係なく書を書いていると不思議と心が落ち着いていく・・・・。
彼は小さな庵のような建物を建て、目の前にはシャリムの墓とその妻の
墓が静かに鎮座してあった。
「今日は・・・陛下、何か良き事が起きそうな気が致します。昨日のことですが
年甲斐もなく夢を見ました。それも陛下が現れて何か話したのですが
残念ながら覚えておりません。会えば分かりますね・・・・。」
ジャイルはそのまま墓をじっと見ていた。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・咎(17) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:11月 3日(金)12時35分18秒 

                  18.咎

ベルクファクス王国首都「黄鶴都」では・・・・
新しく入隊した新兵の訓練が行われ、ヤゲローは近臣らと共に閲兵式に
望んでいた。
確かに兵は充分あるのだが北方のガスタブルグ王国のダルドア城が
不思議な事に結界と言うのか、誰も入れなくなり、ライと共にいた
家臣達も依然連絡がつかない状態だという忍者の報告があったからである。
それにジュダ王国で戦っていたガスタブルグ王国の精鋭20万もおかしな事に
ある一時を境に急に弱くなり、軍糧はあるのに軍内で餓死者が出ていると
ジュダ王国からの報告があった。
「何か・・・・あるな。一体何が起きているんだ?それにライの気配がしているのに
まるで表に出てこないと言うのはエスミルに特殊な兵器をライに与えたのだろうか。
その為に一時的に軍が乱れているというのか?そんな話聞いていない・・。」
だが、ライがいると思われる部屋は強力な結界が発生し誰も入れないでいた。しかも
部屋からは誰も出ていないのに気配だけがしている。そんな状況だったのである。

「どうした・・・・?マオ。」ヤゲローは不意にカーテンの後ろ側に現れた者に
話しかけた。
「はっ・・・・・残念な事にガズラン候、ヨアヒムらと合流を果たしたあとに
「ご逝去」なされました。原因はどうやら「心臓麻痺」のようです。」
「そうか・・・残念なことをしたな・・・・。」
マオは跪いていたがヤゲローは表面上気にしているようだった。
「ご家族には・・・・?」
「はっ。すでに親衛隊を向かわせました。」
「そうか・・・・「丁重」に「お出迎え」をするように。「容赦なく」な。」
「御意。」マオの気配が消えていった。

「愚かだったな・・・貴殿は。まるで時代が読めなかったばかりに
ライとつるむとは・・・キサマはベルクファクスの面汚しだ・・・・ガズラン。」

その結果、ガスラン候の領地は全て没収され、一族郎党は全て虐殺されたのだった。
後世の歴史家達はこのヤゲローの虐殺行為について論争が
あった。だが、これは因果応報と言えるだろう、勝手に国を売ればその分
代償があるのだから。

一方・・・・ギームでは・・・・。
エスミルは指先に灯っている光をじっと見ていた。
「ふふふふ・・・・・あとは・・・・あの小娘を・・・。そろそろ
出てきてもらおう、おい、16魔将が一人、「グプタ」よ、出ろ。お前にやってもらう、
あの小娘を・・・「殺して来い。」。」
そう言ったか、言わないうちにあっという間に黒き塊が表れエスミルの前に
跪いた。
「お呼びで・・・。」
「あのルナという小娘を殺して来い・・・。ライに絶望の悲しみと苦しみを与えるのだ。
そしてルナの髪を切ってライのところに持っていってやれ。さぞ
嬉しい絶叫を上げることだろう・・・・。」
「はっ。」グプタと呼ばれた黒き塊はあっという間に消えていった。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・咎(18) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:11月 3日(金)23時40分04秒 

                   18.咎

ルナは急にエスミルから玉座の間に来いという命令を受けた。
「何かしら・・・・皇帝陛下・・・もしかしたら今帝国を脅かしている
叛乱軍の討伐の件かしら・・・・。」ルナはしきりに考えてみたがどうも
思い浮かばない。そのうちルナは玉座の間のあるドアに着いた。だが、そこには
先客がいた。
「何?」ルナはぶっきらぼうに話しかけた。
「ずいぶんご挨拶だな。ところでお前はどうした?ギーガン国は良いのか?」
「良いのよ。皇帝陛下からのご命令とあらば行かなくてはまずいでしょ!!!
それよりも貴方こそ良いの?マクシナス。」
ルナはこのマクシナスという男が嫌いだった。と言うのはいつも何か先読みをしている
ような、それでいて飄々としているこの男の雰囲気というのが
気に入らなかった。しかもライはこのマクシナスを親友だとルナに
言っていたのである。
「貴方には関係ないことでしょ!!そこを退きなさいよ!!マクシナス!!」
「おお、怖い。ならここで失礼しよう。」マクシナスはどこかへ行ってしまった。
「全く・・・・・。失礼します、ルナ入ります。」
ルナは入っていった。

だが、そこにいたのは・・・・・・。
エスミルは兜を目深に被っているのか、ルナの方からはまるで見えない。
ルナは何とか見ようとしたのだが見えない。
「それで何のご用でしょうか〜。」
「うむ・・・・来てもらったのは・・・・・・。」エスミルは黙っている。
「????????」

しばらくして・・・・・・・・。

「お前に死んでもらう。」エスミルの右手に光が集中し始める。
「これは!!」ルナは驚くしかなかった。
「そうだ・・・・メイルストロム!!」呪文が発動した。
ズガガガガガガガ・・・・・・・・・。
エスミルの放ったスペルはネロが放ったメイルストロムの威力を簡単に凌いでいた。
ルナは何とか身を屈めて避けたが、ルナに付き従っていた侍女達が全員肉片となっていた。
「これが・・・・・・一体何のつもりですか!!陛下!!」
「理由などない・・・・お前に死んでもらうだけだ・・・・さあ、その身を捧げるのだ。
私の為に・・・・。」
エスミルは呪文を唱えた。ルナは動けない。
「くそっ・・・・こんな所で死んでたまるかあああああああああ!!!!!!!」
ルナは呪文を唱えようとしたが・・・エスミルのスペルの方が速かった。
「さらばだ!!メイルストロム!!」エスミルの新たなスペルが発動したが・・・
「きゃっ!」ルナは思わず屈めていたが・・・・。
ダメージを受けたのはエスミルの方であった。
「ぐああああああ・・・・き、貴様・・・・何のつもりだ・・マクシナス。」
「お前は・・陛下ではない。誰だ、貴様。事と場合によっては容赦はしない。」
そしてエスミルが被っていた兜が取れた。
「マクシナス・・・・どうして・・・。」
「何となくな。何かあると思っていた・・・。」
「宰相はどうしたの!!」ルナはエスミルに向かって指差した。
「宰相・・・・・?ふふふふふふ・・・くわああああああ・・・ぐあああああああ・・・。」
エスミルだった者は途端に狂ったように笑い出した。
そしてさっと動いたのは黒い塊だった。
「おまえは・・・誰だ!!」
「俺の名はグプタ。16魔将の一人・・・・・さて・・・宰相だったね・・・
あれは・・・食った。」
「何・・・・食っただと・・・。」マクシナスとルナは辺りを見渡した。
「!!!!!!!!!」
そこにいたのは宰相だった物が散らばっていた。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・咎(19) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:11月 4日(土)12時29分17秒 

                   18.咎

しかし、マクシナスも只ではすまなかった。あれほどの高位レベルのスペルを
マホターンで弾き返したのは良いが、マクシナスの右腕が傷だらけになってしまった。
その痛みに耐え切れず思わずマクシナスは膝をついてしまった。
「ぐうううう・・・・・・。咄嗟にマホターンで弾き返したのは良いが
今度同じスペルでやってきたらこっちはマジで危ない・・・。」
ルナはマクシナスの肩を担いで逃げ始めた。
「嫌いじゃなかったのか・・・?」
「しょうがないでしょ。貴方に助けてもらったから、その分を払っているだけ。
勘違いしないで・・・。」
ルナは逃げようとしたがグプタのバギの呪文が二人を叩きつけた。
「ぐう・・・。こいつ呪文の腕が俺達以上だ・・・・。」
「チキショウ・・・・・。」二人はグプタと向き直った。
「ほほう・・・・そうでないとつまらないからな。さて・・・・・。」
グプタは右腕を差し向けた。手には光が集まり出した。
そして・・・・・水系の最強呪文が発動した。
「これは・・・・!!」
「何これ!!こんなスペル知らない!!」

「コーラルレイン!!」二人のまわりに激流が魔法の力によって呼び出され
そして二人を覆い尽くした。
「ぐっ。」
「きゃあああ・・・・。」
二人は激流の中で何と耐えたが次の攻撃には耐えきれそうもない。
そして激流が流れ去ったあと二人は片膝をついて睨みつけるだけが精一杯だった。
「ふふふふ・・・・それじゃあ・・・さようなら、お二人さん。」
「くそう・・・・・いくぞ!!こうなったら!!」マクシナスは両手を掲げた。
その瞬間・・・空間が捩れ、幻魔が召還された。
「なにっ!!」グプタは思わず身を屈めてしまった。
「いくぞ!!パズウ!!」幻魔は魔力をぶつけたがグプタは不敵に笑うだけである。
「ふふふふふ・・・そんなチンケな物を用意して本物の魔族に勝てるつもりか、
マクシナス。」グプタは気を込めた。その瞬間、パズウの幻影が叫び声と共に
消滅した。
「どうだ・・・!!くそっ、あいつら逃げられた。」グプタは暗闇の中に
ある禍禍しい目は二人の姿が無い事に気がついた。
「逃げられたのか・・・グプタ。」背後から声がし、グプタは跪いた。
「申し訳ありません・・・・。」
「別に構わん。それにマクシナスもどうやら・・・・。」エスミルはそう言って
二人がいたところを見ていた。それにつられてグプタも見た。
そこには床にルナの首飾りとマクシナスの血だろうか、落ちていたのである。
「あれだけあれば・・・まあ、ライに絶望を与えるに十分だな。あれを持っていけ。」
「はっ。」グプタはそれを手に取ると消えていった。
エスミルはもう一人呼んだ。
「キャンサーよ。」
「はっ・・・・・・・。」何時からそこにいたのだろうか、今度は鎧武者の男性が
現れた。
「ネロとアクリラがジャイルと接触するのを妨害してくるのだ。良いな。」
「はっ。」キャンサーは消えていった。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・咎(20) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:11月 4日(土)18時18分14秒 

                   18.咎

グプタは血まみれになったルナの首飾りを持ってガスタブルグのダルドア城に来た。
この首飾りはライがルナにプレゼントした物であり、ライにとって想い出のある物
だった。
「これで・・・・くっくっ・・・・・竜族の力こもりし光、それからライの力、
これら全てエスミル様のお力になる。」グプタはそう言ってライがいるという部屋に
入っていった。

「終わりました。」グプタは何も無かった表情でエスミルの元へ帰参した。
「そうか。で、どうだった?」
「血の涙を流して喜んでいました。」
「そうか。あとは私のところにエネルギーが集まってくるのだな。」
「はっ。もう精神が壊れているライは私の言う事をきちんと聞いてくれました。
そしてライの首にかけておきました、首飾り。」
「ふふふふ・・・・・・・。あとはネロだな・・・・。
ベルクファクス・・・・魔竜谷、ジュダ・・・・・先が見えぬ愚か者は
どうなるか分かっていないのだな・・・・。」
エスミルは黒く染まった兜を取った。
「人間」なのだが・・・・・表情が邪悪に歪み不気味に笑った。
一体誰なのだろうか・・・・エスミルとは・・・・。

ジュダ王国では病床のザルトベルトに代わりエクリマが指揮をとって
精鋭部隊と戦っていた。だが、不思議なことに精鋭部隊の
士気が急に落ち、その為かジュダ王国の剣士隊に各個撃破されていった。
「これは一体どうしたことだ?まるで以前の強さが感じられない。どうして・・。」
最前線の砦に集まっているエクリマは高台からジュダ軍とガスタブルグ軍との
戦いを見ていた。
その後ろにはガープとべゼルが控えていたが二人とも同じ心情であった。
「よし、第二騎士団は左から迂回し敵軍の左側を突け。そして敵陣が乱れたら
一気に騎馬隊は右側の部隊を集中攻撃。」エクリマはそれぞれ控えている
将に命を下した。
(続く)