--------------------------------------------------------------------------------

闇の覇者・真王たる者・罠(1) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:11月 6日(月)00時29分02秒 

                  19.罠

キャンサーは親衛隊を率いてライゼーラとガスタブルグの国境付近で
ネロたちが来るのを待ち構えていた。
もちろん、ここに旅人が来る事は無いようにしていたが迷った者に対しては
容赦無い攻撃を加え、殺していた。
「ふん、どうして我があんな戦闘能力も半分しかないガキどもに
用心しなければならないのだ・・・。」キャンサーは剣を扱いた。

一方・・・・・ネロとアクリラは竜族が貸してくれたダッシュランという
猛スピードで走る竜に跨っていた。
「速い、速い・・・凄く速い。こんなの乗っているなんて竜族も酷いなあ・・・。」
ネロの呟きにダッシュランはカタカナまじりの魔族の言葉で応えた。
「カンチガイスルナ。ヒメサマガドウシテモトイウカラ。カンシャセヨ。」
「もう・・・・・でもありがとう。国境付近までで良いから・・・ミルル姫に
よろしく・・・。」
「ネロ・・・・・・。」アクリラは驚いていた。今までミルルのことをネロは
「エリス」と呼んでいたからである。それがどう言う事かわからないが
彼はミルル姫と呼んだのである。
「・・・・・・・・・・・・。」ネロは何も言わなかった。
アクリラはそんな彼の後姿を見ているしかなかった。

だが・・・・・。いきなりだった。アクリラが何か当たったのかダッシュランの背から
落ちてしまい、背中を強打してしまった。
「アクリラ!!」ネロはそのまま転げ落ちるように降り、アクリラに駆け寄った。
「大丈夫か!!」
「ごほっ、げほっ・・・・げほっ・・・大丈夫・・・・です。」
一時的だろうか、彼女は苦しそうに息をつくとネロに抱かれるように
立ちあがった。
「アクリラ・・・・・。」
「ネロ・・・・大丈夫・・・。」
お互い抱き合っていることに気がつくとそのまま離れた。だが、ネロの背中を
何か鞭のような物が当たった。
「ぐあっ・・・・。」ネロはそのまま近くの木にたたきつけられた。
「クッ・・・・・誰だ・・・・・僕に何の用だ・・・。」
ネロは何とか立ちあがると間髪いれずべギラゴンのスペルを詠唱無しで
唱え、鞭がした方向に発射した。
ゴオウ・・・・・・・・何か爆炎に近い炎がネロたちの視界を遮った。
だが、ネロとアクリラは感づいた。
「アクリラ!!」
「ネロ!!」二人はそのまま抱き合うようにそこから離れた。
殺気というのか、そう言う物が二人を囲もうとしていたからである。
二人とも放浪の旅を続けていたからか、そうした物に素早く反応できるように
なったのである。
「誰だ・・・・・・・ぐっ。」ネロは背後から来た鞭に首を締められた。
「ネロ!!きゃっ。」アクリラも同じように鞭が首に巻きつく。
「ふふふふ・・・・感は鋭いようだが・・・・まだまだだな。俺の名はキャンサー。
皇帝陛下にお仕えする16魔将が一人。」
「16・・・・・魔将・・・・・?」ネロは遠くなりそうになる意識を何とか持ちこたえ
じっと睨みつけた。
(続く)

--------------------------------------------------------------------------------

闇の覇者・真王たる者・罠(2) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:11月 6日(月)20時43分16秒 

                   19.罠

「そうさ・・・・・しかしお前のようにトロイ者が俺の相手をするのだ、
少しは楽しませてくれ。」鞭の呪縛から解けたネロはキャンサーと向き合った。
ネロは驚くしかなかった。彼は魔神の鎧という重武装の鎧に身を包んでいたのである。
しかも両腕に着いている蟹の鋏のような物が血で濡れていた。
どうやら数人殺してきたらしい。それでも彼の表情には笑みさえ零れているのを
見るとどうやら普通の神経をしているとは言えないようだ。
「さあて・・・・お前達はどこまでもつかな?」キャンサーは血で濡れた鋏のような
物を舐めた。その様子にアクリラは思わず鳥肌がたった。
「お前・・・・・ここまで来るのに数人「やったな」。」
ネロはキャンサーを睨みつけた。その目には黄金に輝く光が宿っていた。
「だとしたら・・・・どうする?」
「こうするんだ!!」ネロの姿が消えたと思ったときにはキャンサーの頬に
ネロの拳が炸裂していた。
「ぐお・・・・・・・・。」キャンサーはよろけそうになり、よろけた所を
すかさずネロの魔力が篭ったパンチを数発食らわした。
「どうかな?どうかな?そうやってバカにするからだ!!僕だって・・・。ぐっ。」
ネロは思わずしゃがみこんでしまった。
「そうだな・・・・お前がそこまでやるなんて思わなかったよ。」ネロの
腹には蟹の鋏のような物が抉るように当たっていた。
「ぐあああ、ごほっ・・・・。」思わず吐血してしまうネロに対し、キャンサーは
容赦無い猛攻を加えた。
だがそれでもネロは立ち上がって呪文を唱えた。
「べギラゴン!!」辺り一面を紅蓮の炎が包む。
ネロは口から出ている血を拭うときっと睨みつけたがそこにはキャンサーの姿が無い。
「どこだ!!!!!出て来い!!」ネロは辺りを見渡すが気配が感じられない。
心配になってアクリラと逃げていたダッシュランも近寄ったが気配がない。
「やったの・・・・・?」
「いや・・・・まだだ・・・・どこから来るんだ・・・。」
二人はあたりの気配を探ったが反応がない。
その時であった、アクリラがダッシュランに乗ろうとした時地面から巨大な鋏が
アクリラの右肩を捕らえた。そして・・・・嫌な音があたり一面に聞こえた。
ボギッ、バキッ、クジャ・・・・・・。
「きゃあああああああああああああ・・・・・・。」アクリラは右肩を押えたが
右肩だけガクッと下がったまま上がらない。そのまま痛みのため、アクリラはしゃがみこんだ
まま動こうとしない。
「くそっ・・・・・・どこだ!!出て来い!!」ネロは地面に目掛け、メラゾーマを
叩きこんだが反応が無い。
「そうだな・・・出て来てやろう・・・。」キャンサーは立っていた。
ネロの背後に。
「えっ・・・・・・。」
「遅い。」キャンサーの鋏がネロを叩きつけ木々が2〜3本折れた。
アクリラは何とか起きあがろうとしたが右肩が青く変色し、どんどん広がっている。
動かすといたみが走るのはどうやら骨折をしているようだ。
「ネロ・・・行くぞ。」キャンサーは走り出したがそれはまるで重戦車が
走っているかのようである。その直線上にいたアクリラはキャンサーの膝蹴りを食らい
高く舞い上げられた。
「アクリラ!!」ネロは傷だらけになった身体を起こしメラゾーマの呪文を唱えた。
だが・・・・・・。
「ほら。受け止めろ。」キャンサーはアクリラを捕まえるとそのままネロのメラゾーマに
投げ付けた。
「アクリラ!!」直撃を受けたアクリラはそのまま倒れこみ動かなくなった。
「くそう・・・!!」ネロの腹に鋏が炸裂した。
嫌な音が木々の間に木霊した。
(続く)

--------------------------------------------------------------------------------

闇の覇者・真王たる者・罠(3) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:11月 6日(月)21時09分07秒 

                   19.罠

ボキッ・・・グシャ・・・ボキッ・・・・。
ネロは何か骨が折れる音を聞きながら激痛に耐えていた。
「くそう・・・・・だったら!!」ネロはまじかにあるキャンサーの顔目掛けて
メラゾーマを唱えた。
「!!!!!!!」キャンサーは思わず怯んでしまった。その隙にネロは腹を抱えながら
相手との距離をとった。
「くそう・・・こいつ半端な強さではない。」
ネロの口の中に何か鉄の味がした。
「ホイミ・・・だけじゃ・・・・・!!」ネロは治療呪文を唱えようとしたが
目の前に顔に火傷を負ったキャンサーが爆裂拳を炸裂させていたのである。
あの大きな鋏を二つ使って・・・・。
「このガキィィィィィィィ・・・・・・図に乗っていれば好い気になりやがって!!」
ドカッ、バキッ、グシャ・・・メキッ、グシャ・・・・・。
それはネロが気を失うまで続いた。

そして・・・・・。
「止めだな・・・全く大した事無い奴がこういう無謀をするんだ、少なくとも
あのヤゲローとか、ミルルとかキースぐらいになれっつうの。」
二人の身体は骨が折れ、皮膚が青白く変色していた。さらに血が二人から出始めていた。
二人の周りだけ血の池が出来たようだ。
キャンサーは鋏を振り上げようとしたが途中で止めた。
「そうだった、そうだった・・・エスミル様は妨害しろと言っていたな。
と言う事はここで俺の任務は終わりと言う事だな。さて、食後の良い運動をしたし
これで終わりだな。じゃあな、ネロとアクリラ、今回だけは生かしておいてやる、
まあ、これに懲りてえらい奴に話しかける時は気をつけるんだな。」
キャンサーはそのまま消えていった。

一方・・・・・・・ジャイルのいる村では・・・・。
ゴオオオオオオ・・・・・・爆炎が家を襲い、炎を逃れてくる村人を親衛隊が
容赦無く殺していた。
「殺せ、殺せ、こいつらはライゼーラ帝国の残党どもだ。それだけでも万死に値するぞ!!
お前達の事だ、どうせネロとアクリラがここに来たら反逆の徒となって
王家を脅かそうとする。そういう計画を立てていたのだろう!!」
「そんな事・・・滅相も・・・・ぎゃっ。」近寄ってきた村の長老を
容赦無く斬り捨てると隊長は突撃の命を下した。
親衛隊の隊長はそう叫びながら逃げてきた村人を斬り捨てた。
親衛隊はまるで女、子供、老人も関係無く容赦無く殺し、家に火を放った。
数人の村人は戦ったがまるで話にならず、結局ジャイルが住んでいた村は焼け落ちたのだった。

「ジャイルは見つかったか・・・・?」焼け落ちた村の残骸に残っていた
親衛隊の隊長は捜索していた部下に話しかけた。
「いえ・・・・見つかっておりません。ただ我が方の兵士を斬り捨てた
者がいたとの報告はありましたがそれは村人達が最後の抵抗を見せた物でして・・・・。」
「痴れ者!!その中にジャイルがいたらどうするのだ!!」隊長は部下に
容赦無く鞭をくれた。
「全く・・・・・まあ良い、これで目的は達成した。今ごろはネロとアクリラも、
ぼろ雑巾のようになっているだろう。ひけっ、退却するのだ!!」
隊長の号令と共に勢揃いした親衛隊はそのまま引き上げていったのだった。
(続く)

--------------------------------------------------------------------------------

闇の覇者・真王たる者・罠(4) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:11月 7日(火)21時05分43秒 

                   19.罠

ネロは夢を見ていた・・・ここはどこだろうか・・・必死になって
気配を探ってみたがどうにも見つからない。
暗闇の中、彼は気配を探っているがその形すら見つからない。
だが・・・・不意に声がした。
彼はその声のした方に向かった。

そこは黒曜石のある玉座の前であった。声の主は老齢の王であった。
そして「彼」はその王の前で跪いている。
「皇孫よ(ピサロ)、お主・・・まだ何か隠しておるだろう?あのネルウィックの王の
・・・・。」
王は何かを言おうとした。だが、その口をピサロが慇懃無礼な態度で塞いだ。
「それはございません・・・。おじい様。私が隠す理由などありません。」
「・・・・・・・・本当に・・・違えてないな?」
「はい、御座いません。」妖魔は頭を垂れたがそこには挑戦的な態度が見え隠れしていた。
「そうか・・・なら良いかの。」ナルゴスは不敵に笑ったがどうやらそこには
二人だけしか分からない物が見え隠れしていた。
ピサロは・・・・金髪の美しいエルフをネルウィックの焼け落ちた館から
見つけていたのである。

(あれ・・・・どうして・・・僕はこの人を知っている。僕は・・・・
そうだ・・・僕は・・・・エスターク様の真の後継者であるナルゴス曾爺様の
血を引く者・・・そして僕は美しき祖父ニュイイの、ピサロの息子・・・あの
愚昧王エルフの・・・ネルウィックの血を併せ持つ者・・・・。)
ネロは・・・ようやく記憶・・・閉じられていた記憶を思い出していた。
だが、それはよりネロを茨の道へと誘う物であった。
そうエスミルはネロの「記憶」が戻る事を待っていたのである。

(だけど・・・・・・・ネロ・ナルゴスとして生きなければならないのか・・・
それとも・・・ネロ・ネルウィックとして・・・・生きなければならないのか・・・
半妖半魔・・・それが僕の宿命・・・・。だけど・・・そんなの嫌だ!!
僕はもっと人間と親しくなりたい・・そしてもっと勉強したいんだ・・・
ゾイド・・・父さん・・・・・ライ・・・・エクリマ・・・ミルル・・・・
マリエン・・・・・ガープ・・・・・・そして・・・・・アクリラ・・・・・。
助けて・・・くれ・・・よ。僕をもっと・・・見ていてくれ・・・でないと
宿命に押しつぶされそうになる・・・・助けて・・・くれ。)

目に見えぬネロが悩んでいる時、ナルゴスはその気配に気がついたのか
辺りを覗った。
「どうなされました?」ダクロスというカロンの者は尋ねたがナルゴスは
何か楽しそうな表情を浮かべた。
「いや・・・・何か我が一族の気配がしたが・・・・。」ナルゴスは楽しそうな
顔をしていたが・・・とたんに暗くなった。
「ダクロスよ・・・闇なる獣はすべて余に従い忠誠を立てた。だが・・・あの
竜族はなんだ?まるで余を下なる者にしか見ておらぬ・・・・くそっ、
忌々しき竜族め・・・。竜族の勇者・・・アリテト・・・・それに
対する邪竜族の長、アルデバラン・・・まるで余の部下達を・・ゲームのチェスの駒
のように面白半分で殺しよる・・・そんなに戦いが好きか・・あの天空にいる
竜の神が聞いたら嘆くぞ・・・。」
「ナルゴス様・・・・・・・。」ダクロスはそれしか言えなかった。

(アリテト・・・・どっかで聞いた事がある・・・・誰だったけ・・・。
そうか!!ミルルの叔父様だ!!)
ネロは一人納得していた。
(続く)

--------------------------------------------------------------------------------

闇の覇者・真王たる者・罠(5) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:11月 7日(火)22時13分12秒 

                   19.罠

一方・・・・ここは竜族が住んでいるという魔竜谷から離れた町。
魔界の者達は戦争が終わったと信じていた。ナルゴス様が見事に地方の豪族を
平定ならしめ魔界が一つに統一されたと信じていた。
しかし・・・・・・。

ぐじゃあああ・・・・・・竜の足が逃げ惑う魔界の生き物達・・・・そう
ボーンライダーの戦士やマドハンドの者ごと全てを踏み潰した。
だが、巨大な竜の者はまるでそんな事意に介さないようにただ歩くだけである。
そしてその背後には同じく竜の戦士が続いた。シュプリンガー、りゅうき兵、
竜戦士・・・ありとあらゆる竜達が町を破壊していた。
さらに戦意を失い降伏の意を表そうとした守備隊によろい竜という人間ほどの
大きさしかない者たちは殺すという返礼をしたのである。
「貴様達には・・・・降伏という返事が見えぬのか!!」カロン族の
隊長は罵ったが闘争本能だけで動いている者にそれはただの戯言に過ぎなかった。
「見えんな・・・・。そんなもん。」カロンの隊長を八つ裂きにした
竜族の若者はサッと手で合図を送った。途端に竜戦士や竜兵士たちが整列した。
「アリテト様。守備隊から降伏の使者が参ってきていますがどうしますか?」竜兵士が
アリテトの前で跪いた。
「誰の使者ぞ?」
「はい、ミアソフという者の使者だそうです。」
ミアソフ・・・・ピサロの異母兄弟に当たる魔界の皇子である。
のちにミアソフはジャコージュと結託しピサロの記憶を封じこめてしまうのである。
「・・・・・・・・・・・。」アリテトはしばらく考えていた。
だが・・・・・。
「殺して送り返せ。」
「はっ。」竜兵士は嬉しそうに頷いた。そして向こうでは・・・・アリテトを
罵る声がし、そのまま消えていった。
「我らの者は降伏などと言う戯言をする者などおらぬ。」
「殺せ、殺せ・・・・もともとここは竜族の地ぞ。そうだ、殺せ、殺せ、踏み潰せ、
我らこそが魔界を統べる者なのだ・・・くくくく・・・・・。」

・・・・・・・確かに魔界は統一されたが地方となるとまだ暴れていた者もいたのである。
例えばナルゴスをして王竜の勇者とも言われたアリテトや邪竜族の王、アルデバランなどは
まるでナルゴスの命など聞かず、魔族がエルフの地を攻めるといったときでも
興味が無く、ひたすら魔界の者を殺しまわっていたのである。しかも面白半分で。

「ふう・・・良い運動をしたぜ。退屈だったんだ・・・・ふはあああああああ・・。
おい、そこのライノソルジャー、お前面白いな、どこから血が出るんだ?」
アリテトは守備隊を皆殺しにしたあと燃え盛る椅子に座りゲームを見ていた。
ただ一人生き残ったライノソルジャーは奮闘していたが竜戦士の腕に敵わず
あっという間に貫かれた。ライノソルジャーが放っていた呪文は弾き返され、
あるいは剣や槍、それも竜装甲のまえには無用の物だった。
「きさまら!!!!狂っているぞ!!いつか、いつか・・・我らの無念、その身に
受ける事があるぞ!!!!!!」
「黙れよ。」アリテトの灼熱の炎はライノソルジャーを炭に変えた。
「さあてと・・・・俺の妹が待っているからな、さっさと帰るぞ、こんな辛気臭い場所に
いたんじゃ気分が滅入るぜ。」アリテトは引き上げていった。

ナルゴスは共の者を連れて居城から近いところに住む竜を尋ねた。
「ふう・・・・ここに来るのも久しぶりだ。」
ナルゴスはそう言って竜が住む館に入った。
「久しぶりだな、ジークフリート・・・・。」
ナルゴスは老いた身体を大切にするように友のベッドの脇に有る椅子に腰掛けた。
「・・・・・・・・・・・お主か。わしはもう・・・・。」
「最後に生き残った赤竜族の長はお主だけになってしまったな・・・。」
「もうこの老骨も・・・老いさばらえた・・・あとは天命に従うのみ・・・。」
「ここに来た理由もわかるだろう・・・・・。」
「また・・・アリテトか・・・・・・・。」
「そうだ・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「もう無理じゃ・・・・竜族・・いや古竜族の勢いは止まらぬ・・・・わしの命でもな・・。
邪竜族は・・・・・不穏な事を・・・アルデバランがさきほどここに来たぞ・・・。
戦闘許可を欲しがっていたが・・・・邪竜族と王竜族の争い・・・・いかに
お主でも止められそうもないのう・・・・。」
「わしが生きているうちに・・・・止めたいのじゃ・・・・・・・。友よ・・・。
お主は・・・我々との友誼に恩を感じ軍を率いて来てくれた・・・・
だが・・・・・今の竜族は・・・まるで・・・。」
「・・・・・・ごほっ、ごほっ・・・・・・。」
「大丈夫か・・・ジークフリート・・・・・。」
「ああ・・・・・・・。すまぬな・・・・・・・わしとて・・・以前のように
若ければ・・・・な。」
ナルゴスは口の中が乾いていくのを覚えた。
(続く)

--------------------------------------------------------------------------------

闇の覇者・真王たる者・罠(6) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:11月 9日(木)11時46分26秒 

                  19.罠

「いつからそこにいた?ピサロよ。」ナルゴスは背後に現れた可愛がっている皇孫の名を呼んだ。
「ついさきほど・・・。」ピサロは二人のこの老いぼれがどうして竜族を恐れているのか
分からなかった。若気の至りと言うのだろう。
「どうして・・・・たかだか蜥蜴の大きくなった物ではありませんか。
そんなに恐れてどうするのです。」ピサロの銀色の髪が揺れた。
だが、二人はそんなピサロを見て首を振った。

「ナルゴス・・・・よ。どうして竜族が暴れているか知っているか・・・。」
ピサロを無視してジークフリートは椅子に腰掛けているナルゴスに話しかけた。
「どうしてだ・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・「竜の狩り」・・・。」
「竜の狩り・・・・?何だそれは?」
「・・・・・・・・・竜族は竜の新兵を試すために悪戯を兼ねて魔族たちを試す。
それが竜の狩り。そうして兵士を鍛え上げる。」
「その為にこちらの兵士が死んでも良いというのか!!ふざけるな!!」
「・・・・・・・・ごほっ、ごほっ・・・・昔・・・の魔王達は
それを恐れ、竜たちに貢ぎ物をした。暴れないようにという保険をかけた。」
「それで・・・・どうしたのだ・・・。」ナルゴスの象牙色の髪が揺れた。
「それを・・・・・「竜の問い」という。」
「竜の問い・・・・・?」

この様子を見ていたのはピサロのほか、もう一人いた。そうネロである。
ネロはピサロの中にいたのである。ネロは・・・答えがわかっていた。
(・・・・・・・・竜の問い・・・それは魔族にとってやってはいけない物・・・
徹底的に絞り尽くされる・・・・・。竜族に・・・・。)

「昔・・・・私もそれをやった。ここではない王国で・・・やった。
王国はあっという間に滅亡していった。」
「・・・・・・・例えば・・・・・・。」ナルゴスは・・・恐怖を感じた。
「・・・・・・・・1年間につき5割の年貢を納め、2年後には6割と増やしていく方法だ。
そして答えられない場合、5つなら5個の都市を滅亡させ、6個なら6の都市を滅亡させる。
そうして・・・・徹底的に絞り尽くす・・・それが「竜の問い」。」
「もし・・・・毒など持った場合は・・・・・?」
「その時はまず魔族の王にとって最愛の者が竜族の前で食し毒見をさせる。娘でも
息子でも何でも良い。役に立てば良いのだから・・・・。竜族にとって。
もし・・・・毒が入っていたら竜族には口実が出来る。そしてさらに「問い」をかける。」
「・・・・・・・・・・どうすれば・・・・。」
「最初の問いは了承せよ。だが・・・その次は断れ。その次も・・・・。」
それを聞いたナルゴスは心胆肝を冷やした。こんなやり方をしていたら間違いなく
魔族は竜族の下に組み入れられてしまう。
「で・・・・・それは・・・・竜族の最初の問いは何を言ってくると思うのだ?
ジークフリート・・・。」
「ごほっ、ごほっ・・・・・わしが思うに・・・たぶん・・・・
この国の国家財政を鑑みて・・・・・・国の歳入の4割とそれと・・・・・・。」
「それと・・・・何だ・・・・それと・・・・?」
「ある魔族をよこせと言ってくる可能性がある・・・・。」
「誰だ・・・・・・。」
「お前の皇孫でニュイイの息子・・・美しき魔族ピサロ・・・・お前だ・・。」
「どうして・・・。」
「前にアルデバランが言っておった・・・・「奴隷のピサロを辱めて徹底的に
竜族のおもちゃにすればきっと王国は我らに従い忠誠を誓う。最初にピサロの両腕を
烏に与え、両足を地這う獣にやろう。」とな。」
それを聞いたピサロは屈辱のあまり顔が赤くなった。すぐにジークフリートに
にじり寄った。
「貴様・・・・それを黙って聞いていたのか!!私を誰だと思っている!!」
「分かっておる・・・・だからそれは無理だと言ったのじゃ。邪竜族は
それを止めたが・・・・・・どうでるか・・・・それにピサロ、お主邪竜族の
凄さを知る事になる。すぐにな・・・・。」
「どう言う事です・・・・それは・・・。うっ。」
(これは・・・・。)
ピサロの銀色の髪ごと黒き竜の爪が握っていたのである。
「ジークのオッサン、困るぜ、こういう下等な魔族と話していると
舌が穢れるぞ。」
「・・・・・・・・・ピサロ・・・自己紹介がまだだったな・・・後ろにいるのは・・
邪竜族の王、アルデバランじゃ・・・。」
「何時のまに・・・・・。」
「先ほどから見ていた。しかし俺達のゲームを邪魔してどうするんだ、お前は。」
アルデバランは腕に力を込めた。
「貴様が・・・・・・・邪竜族の王・・・・。」
ピサロは話しかけようとしたが無視してジークのベッドまで来た。
「おっさん、話したいことがあるんだけど。良いか?」
アルデバランは話し始めた。
(続く)

--------------------------------------------------------------------------------

闇の覇者・真王たる者・罠(7) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:11月 9日(木)15時02分58秒 

                   19.罠

「聞けば・・・王竜族のアリテトがニュイイと「竜の問い」をしたそうじゃないか。
それで王国財政の2割をせしめたと聞いたが
おっさん、王竜族にやって邪竜族に無しというのは不躾なことじゃないか。
おっさんから上手く言ってくれよ、こっちにも「問い」をさせろとな。」
アルデバランはジークを睨みつけた。
「お前・・・・我が友に向かってなんという口の聞き方だ!!病人に対して
そのような言動、許せるものではないぞ!!」側にいたナルゴスが怒鳴り返した。
「良いんだよ、俺には。それに魔族は魔族で、竜族には竜族のやり方というのが
ある。変な事するんだったらお前、殺すよ。」
「貴様・・・・・・。」
「それから俺達には呪縛や呪殺と言ったものは効かないぞ。ちなみに言っておくがな。
お前達はすぐ何かにつけて魔法とやらに頼って肉弾戦闘や近接戦闘となると
まるで話にならないぐらい弱くなる。それでキラーマシンや竜が相手になると
手も足も出なくなる。俺が頭を鷲掴みにしている小僧とかな。」
「それで・・・・お前の望みはなんだ?」
「おお、話が早いぜ、アリテトの氏族達はニュイイに取り入って問いをせしめた・・
と言う事は・・・もちろん分かっているよな・・・。」
「つまり・・・わしが出せと言う事か・・・。断れば・・・どうする?」
「そうだな・・・適当な王竜族がまだ手を出していない都市か町を攻めるさ。
南のほうはまだ手を出していないんだろう、だったらそこを攻める。
どうせすぐに王竜が気がついて攻める。なら邪竜族が先に攻めれば
王竜が来る事も無い。一石二鳥じゃないか。悪い話ではないだろう?俺達が
守ってやるんだぜ。」
「・・・・・・・・・・貴様・・・・我々はどうなる・・・絞り尽くされたら・・・
我々はどこに行けば良いのだ・・・・。」
「そんなもん、しらねえよ。食料が無くなったらそうだな、共食いでもしてろや。
食べる物が無くなったら砂糖でもお菓子でも食べれば良いだろ。頭悪いな、お前。」
「・・・・・・・・貴様・・・・情けという物の欠片も無いのか・・・。」
その時だった。ピサロが消えて竜の爪から逃れた。そして
構えなおした。
ネロは思った。
(駄目!!こいつには勝てない。だって背後に回っていたんだよ、こいつの強さは・・・
ピサロ父さん、止めるんだ!!本気を出してもアルデバランの戦闘能力は・・・
ピサロの・・・数倍はある・・・・・。)
ピサロはエルフの乳母を殺したように心臓を貫こうとした。だが、あっという間に見破られる
と片手で押えつけた。
「ふ〜ん・・・・・この程度か。困るんだよなあ、未熟なバカが言う事を聞かないと
こっちが「本気」を出さないといけなくなるんだから。」
「何だと・・・・・!!!!!」
一発だった。一瞬にして間合いを詰めるとピサロの美しい顔目掛けてパンチが数発
飛んできた。そして・・・・床に叩きつけられた。
「遅いよ、お前。さて・・・・ナルゴス王よ、良き答えを期待していますぞ。
そうそう悩んでいるというのなら一つ私がここから南の都市を
滅ぼしてきましょう。もう配置も終わっていますしね。さあ、ゲームの始まりですよ。
行きがけの駄賃に皆殺しといきましょう。」
「ま、待て・・・・・貴様・・・我々がどうなっても構わないというのか!!
それが魔界に生きる者のする事か!!エルフのようになれというのか!!」
「我々はもともと妖精族とは懇意にしていました。それを貴方方は奴隷にし、さらに
まぐわう事で力をつけた。我々としても・・・エンシャント・ドラゴンの者としても
許せる物じゃないんですよ、そういうの。だから我々が望んでいる物、それは
貴方方の全滅ですよ。我々だけの世界を創造し魔族などという下等なバカどもは
屠殺されるのです。アナグマのようにね。」
アルデバランは高笑いしながら去っていった。
(続く)

--------------------------------------------------------------------------------

闇の覇者・真王たる者・罠(8) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:11月 9日(木)15時50分30秒 

                    19.罠

ネロはピサロの心の中で分かっていた。このゲームのせいで邪竜族と王竜族は利害が対立
していくようになる事を・・・さらにジークフリートの死後、ナルゴス王に
両方の竜族は法外な葬儀代を出せ、と言ってきた。
ジークフリートは最後までその病身をおしてまでアリテトやアルデバランと交渉を
続けたがまるで話にならず門前払いとなる事もあった。
のちにミアソフとジャコージュの姦計にはまりナルゴスはピサロの能力を封印した上で
追放しているがこれは正解だったかもしれない。
ピサロという魔界の皇子が悲惨な目に会う事も無かったから。
と言うのも・・・ピサロが記憶を取り戻し戻ってきた時には魔界にある国家群はあまり
ニュイイの言う事を聞いていたとは言えなかったのだから。
例えば・・・オストラコンという若き将軍が国をすて皇子ギアを連れて東の地へと
移民を開始した事など。皆狂奔したと思っていたが・・・
さらに海で生きている魔族たちの動きがおかしいなど。

ネロにはその理由が分かっていた。しばらくしたら・・・・勇者がやってくる。
そう神・・・マスタードラゴン様が遣わした戦士達に魔族たちは
まるで太刀打ち出来無い事を。だからニュイイとピサロ・・・そしてジャコージュを
見捨てて自分達は関係ない素振りをしたんだ。
それでもピサロに付いていった者達は魔界では力を落とし、さらに部下に
裏切られてしまったんだ。
そうだ・・・・あの時ミアソフ皇子が益になると踏んだ「進化の秘法」が
他国では・・・・そうシャリムのいた国・・ライゼーラでは危険と判断して
ピサロから離れていったんだ・・・・・。

その時だった。誰かの声がした。
「さて・・・・遠い私の子孫よ、お前に見せる歴史はこれでおしまいだ・・・・・
お前は元の世界へと帰りなさい・・・・そうだ、私はジャコージュにうまく利用されていた
んだ・・・利用するつもりが・・・逆になっていたんだ・・・・。
竜族もシャリムも・・・・・皆・・・・わかっていたんだな・・・・・・・。」
何かがネロの身体から抜けたような気がした。そう目の前には父ピサロがいる。
「そうだ・・・・アクリラやジャイルが待っている・・・お前がどうするか・・・
それはお前が決めろ。魔界の王ネロ・ナルゴスか・・・それとも
偉大なるエルフの王ネルウィックの孫として生を・・・・それは・・お前が・・・
決めろ・・・。後悔しないようにな・・・私は後悔しても・・・出来なかった・・・。」
そうして・・・ネロは次第に「時代」から離れていった。

そして・・・・ネロは目を覚ました。
「あっ・・・気がついたみたいですよ!!」傍らには魔族の女性が看病していたらしく
ネロの額に冷えたタオルなどを載せていた。
「ここは・・・・・。」
「ここはシャリム廟の中です。でも驚きました。ダッシュランがいきなり村にやってきて
ピンチだ、ピンチだと言うから。行ってみたら血を流しているお二人が息も絶え絶えに
なっているし・・・。ザオラルをかけてようやく息を吹き返したんですよ。」
「そうだったんですか・・・・すみません・・・・。僕は・・・・。」
「知っていますよ、ネロさんでしょ、ピサロ様のご子息だと・・・・。」
「えっ・・・・・・どうして・・・・・。」
ネロは驚いていた。
(続く)

--------------------------------------------------------------------------------

闇の覇者・真王たる者・罠(9) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:11月 9日(木)18時41分12秒 

                   19.罠

「どうして・・・・・。シャリム廟って・・・・。」
ネロが看病してくれた女性に聞こうとした時、隣の部屋から筋肉ががっしりした
戦士が入ってきた。だが外見は老人だがついている筋肉は引き締まり
余分な肉はついていないようである。
「それは、ここシャリム廟というのはもともと避難場所としてシャリム帝が
お作りになられた所です。」
「シャリムさんが・・・・・?」
「そうで御座います。陛下は村が盗賊団や窃盗団に襲撃を受け、村の財宝や娘達、
老人や子供、負傷した者を守る為にこうした施設をあちこちにお作りになられたのです。」
「知らなかった・・・・。」
「それが名君と言われる所以なのです。先見の明があるからこそジャコージュの誘いにも
乗らず、後の世の魔界のことを考えておられたのです。」
「貴方は・・・・・・?」
「ジャイル・エコマと申します。私はもともと大恩あるシャリム様に
幼少の頃からお仕えしてきました。ですがあのライという者がシャリム様を
殺した時、私は民のことを考えそのままマクシナスに仕えたのです。
ですが私はシャリム様のご恩を忘れる事が出来なかったので
マクシナスに遠ざけられそのままこの村にてシャリム様の冥福を祈っていたのです。」
「・・・・・・・・・。」
「よく、シャリム様は申しおりました。アクリラ姫様の恋人は何か高貴な者の血を感じさせる
と。それに加えてどこかで会った事があると。」
「僕のこと・・・・・分かっていたのですか。」
「ええ・・・・・・先ほど我々も夢を見ました。あのナルゴス様の御世の時は
魔界も狂わんばかりに天界、人間界を欲しがりましたが今は魔界は静かになり
誰でもない時代になっています。人間の真似をしているわけではありませんが
彼らのような考え方が必要なのではないかと思っています。」
「どう言う事です・・・・?」
「つまり・・・・・・人間が言う所の信頼や愛情と言った心のことです。
波の様に静かになった時代にはむしろ必要なのかもしれませんね。皆、
疲れていますから・・・・戦乱に。もう不信や裏切りに疲れているんですよ。」
「夢というのは・・・・・?」
「ああ、そうでしたね。先ほどの事なのですが夢でピサロ様とシャリム様が現れて
この二人の世話を頼むと言っておられたのです。その時にお二人の素性がわかりました。
ただ・・・貴方は・・・・どうするか決めなければなりません。
理由はわかりますね。」
「ええ・・・・・・・僕は・・・・・。」
「我々は・・・・貴方に・・・・・・・ナルゴス様の再来を期待しております。そして
アクリラ様を娶りライゼーラ帝国の帝として・・・。」
「待ってください。僕は・・・貴方方が言うほどの・・・・。」
「貴方は何もわかっていないのですね・・・・あなたの戦闘能力はあの竜姫ミルル様や
竜皇子キース様、武烈王ヤゲロー陛下、傾国メリクリウスと良い勝負ですよ。」
「えっ・・・・・。」
「戦うという意思が無いと今の貴方の強さはエクリマ皇子以下になります。
貴方の心次第なのです。」
「戦う意思・・・・・・。」
「そう・・・・貴方はアクリラさまの想い人なのですよ。貴方が死んでしまったら
アクリラ様はきっと後追いをしてしまうかもしれません。もう心に決めてください・・・
我々は貴方に従い、忠誠を誓います・・・・。」
「・・・・・・・・。」ネロはしばらく考えていたが頷いた。
(続く)

--------------------------------------------------------------------------------

闇の覇者・真王たる者・罠(10) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:11月 9日(木)23時22分56秒 

                   19.罠

ネロはその日、暖かいベッドに入った。下からは炭を使ってベッドを暖められるように
なっておりベッドがホカホカになっていた。
ネロはすぐにベッドにもぐりこむとあっという間に眠りについた。
(そうだ・・・・・僕は・・・どっちで生きていけば・・・・・良いのかな・・・・。)
ネロは・・・・そんな事を考えていた。

ネロは一人椅子に座っている。
「あれ・・・・・ここは・・・・?」ネロは周りを見てみるがここがどこか分からない
ようだ。
「ここは夢の世界だ。しかしお前はそんな事でグダグダ考えていたのか?
情けねえ野郎だなあ・・・・。」ネロの前にライが現れた。
「あれ・・・・?ライさん。どうしたですか?」
「ああ・・・・情けねえ手前の姿を笑いに来たのさ。しかし、お前も
かわんねえなあ・・・・どうして・・・・。」
「でも・・・・僕には・・・・・・・。」
「やってみる、という気は無いのかよ。」
「それは・・・・・・・。」
「だから俺はお前が出て行くのを黙っていたつもりだったんだぜ。ドアの鍵を
外しておいたのもお前が礼だけ言って出て行くだろうと思っていた。
それでも俺はお前を止める事はしなかったと思う。理由はわかるよな?」
「・・・・・・・たぶん・・・何時までも・・・・僕は
自分で歩み出す事をしないといけないんだと・・・思う。」
「それだけわかっていれば充分だぜ。じゃあな。それからよ、お前と戦う事になっても
もしもの時は・・・容赦無く俺を斬れ。いつまでも古いのがいたら
おかしいからな。良いな。」
ライは消えていった。

ネロはまた座りなおした。そして・・・・今度は・・・・。
「ごほっ、ごほっ・・・・・・ほごほっ・・・・・・・・・。」
ネロの前で幼い人間の少女が吐血をし、心臓の辺りを押えている。
「ごほっ・・・・あれ・・・・・?」
「君は・・・・誰?」
「わたしのなまえは・・・マリエンって言うの。お兄ちゃん、どうしたの?」
「うん・・・・僕ね、これからどうしようかなって思っているんだ。
この世界の王となるのか、それともエルフ達の長となるのか・・・・どっちだと
思う?」
幼い少女はう〜んと指を顔にあてて考え始めた。
「・・・・・・・・わたしは・・・・・お兄ちゃんの好きで良いと思うよ。」
「でもそれじゃあ分からないんだ。」
ネロはその少女に話しかけるつもりだった。だが、そこにはいない。
代わって背後に4枚の羽根が生えているネロと同世代の少女が立っていた。
「でも・・・・僕はさ・・・。」
「・・・・・・・・・私はこうなる運命を受け入れたの。みんながいて、それで
楽しくやれればだと思っている・・・・それでも私は歩もうと思うの。
だから困ったら何も考えずにただ自分の運を信じる事、それが大切何だと思う。
「何も考えずに・・・・・ただ無我の境地で・・・考える・・・・。」
「そう、じゃあね。」翼が生えている少女もまた消えていった。」

(続く)