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闇の覇者・真王たる者・罠(11) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:11月11日(土)18時19分28秒 

                   19.罠

「僕には・・・何があるんだろう・・・エルフの王・・そして
帝王ナルゴスの血・・・・それらが僕に・・・・。」
(やってみろ・・・・お前なら。)
(後悔しないように無我の境地でやってみなさいよ。)
ライ、マリエンの二人の声が響いた。
「本当は・・・やってみたかったんだ・・・。だけど恐くて・・・
もしかしたらその力に溺れてしまうんじゃないかと思っていた。だから
迷っていた・・・・。」
ネロは手に力を込めてみた。そこには黄金のオーラが溢れ出していた。
「・・・・・・これは・・・・?一体・・・・。」
(これが・・・・お前の本当の力だ・・・・。)
「誰・・・・?」ネロは声のした方を見た。そこには灰色のローブを羽織り
顔は見えないが一人の老人が腰掛けていた。
「あなたは・・・・・?」
「わしは物這う翁(おきな)じゃ。こうしてお前が気がつくのをわしは待っておった。」
「お前は・・・誰だ!!」
「良いから・・・良く聞け。お前がこうして「心の封印」を解いた今、時代は刻一刻と
変わってきておる。その時に必要なのは柔軟性だ。物事をよく見、感じ、そして
思う・・・それが大切な事なのじゃ。お前は今まで様々なものを見てきた。
ライ・・・・マリエン・・・ミルル・・・エクリマ・・・・ガープ・・・・・
アガレス・・・・・・そしてヨアヒム・・・・皆、お主の事を
どっかで気にしている者たちじゃ。国を治めるという事はその者たちの
心を無碍にしてはいけないと言う事でもある。そして下々の者の意見を良く聞き、
この疲弊した魔界をどうするかはお主の双肩にかかっておる。」
「疲弊・・・魔界が?」
「そうだ・・・・・ナルゴスの時は魔界は大いに栄えた。だが、そうした魔界の繁栄に
シャリムやギアは危機感を持っておった。だからジャコージュやニュイイから
逃げたのじゃ。距離をとっての。あとはごらんの通りじゃ。勇者の来襲に
魔族はまるで太刀打ち出来ず、奴隷として生きていた妖精族を解放してしまった。
今の魔界はそうした状況にある。だから・・・お主が魔界を治め、
そして平和を作って欲しいのじゃ・・・。」
「魔界を・・・平和に・・・・?どうして・・・。」
「今の世を見ておくのじゃ・・・誰もが戦争など望んでおらん。竜族とて
妖精族の仇を討ちたいという願望があったこそ、魔族を絶滅寸前まで追い詰めてしまった。
ピサロとジャコージュがやろうとしていた進化の秘法も結局は人間だけでなく
魔族も・・・そして魔族の僕となってしまった人間すら苦しめる事になってしまった。
魔界は今・・・・疲弊しておるのじゃ・・・。」
「・・・・・・・・僕に・・・何が出来るのでしょうか・・・。」
「まずは・・・ライゼーラ・・・じゃ。それからガスタブルグのミルル・・・・・キース
そして・・・・・ベルクファクスのヤゲローに臣下の礼を尽くせ・・・・。」
「僕が・・・・臣下の礼を・・・・。」
「そうだ・・・・お前でもヤゲローには永遠に勝てぬ、これからも。それだけ強いのじゃ。
だからこそ・・・マリエンはお前ではなくヤゲローに仕えておるのじゃ・・・。」
「貴方は・・・・一体・・・・。」
「わしは物這う翁じゃ・・・。もうわしの「存在」も霞んできおったな・・・・。」
「えっ・・・・・・。」
「わしはな・・・・・・・・・・・・ギルモアの残留思念じゃよ。
ネロがまだ小さい頃、お主の魔力を確かめた時があった・・・その時にお主に
ある「封印」をかけたのじゃ・・・いつかお主に物心つくまでお主を守っておる
ようにな・・・だから・・お主はわしの魔力で守られておったのじゃ・・・
じゃが・・・・もうわしは消えねばならない・・・もうお主はこれから一人で・・
いや・・アクリラと一緒に生きなければならない・・・。見守っておるぞ・・・。
ギルモアとして・・・・。」物這う翁は消えていった。
「ギルモア・・・・結局・・・貴方には・・・敵わなかった・・・・。
そこまで見ていたなんて・・・・。でも貴方のお気持ち・・・わかりました・・・。」
ネロはそこで目が醒めた。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・罠(12) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:11月11日(土)18時40分52秒 

                   19.罠

「どうしたのです・・・・?ネロ。」ネロは懐かしい声を聞いた。
「アクリラ・・・・・。君はいつからそこに・・・?」
「ふふ・・・ずっと貴方の側にいました・・・・。」そう彼女はネロを抱いていたのである。
「僕は・・・・・。」ネロは何か言おうとしたがアクリラのキスでネロの口を
塞いだ。
「アクリラ・・・・・・。」
「私も貴方の夢・・・見たんですよ。私は・・・・・。」
「・・・・・・・・・僕はネロ。愚昧王・・いや、慈悲と高貴なるエルフの王、
そしてその娘ロザリーの・・・息子ネロ・・・・。
さらに夜烏の羽根をもち魔界の皇子にして美しきニュイイを父にもつ
ピサロの息子・・・ネロ。僕は・・・・・。」
その言葉にアクリラはうんうんと頷いている。目に沢山の涙をためて。
「・・・・・・僕は「ネロ・サムルラーン」・・・エルフと魔族の高貴なる血を
もつ者・・・そしてこの魔界を・・・平和へと導く者・・・。」
「ネロ様・・・・・。」
アクリラはベッドから離れて頭を垂れた。
「アクリラ・・・君は僕の・・・・・大切な人だから・・頭下げないで・・・。」
「でも・・・・。」
「僕は・・・・君に言いたかった事があるんだ・・・聞いて欲しい・・・。」
「・・・・・・・・。」
「何時か・・・魔界が平和になったら・・・僕と一緒に・・・いてほしいんだ・・・
いつか・・・・・そうしたら・・・人間界も悪くないと思うんだ・・・。
だから僕と・・・・一緒に・・・来て欲しい・・・僕と・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。人間だったらこう言うんでしょうね・・・・
「喜んでプロポーズお受けします。」・・・。」
「アクリラ・・・・・・。」
「ネロ・・・・・。」二人は抱き合った。

そして・・・・・・ベッドでさ迷う二人の手はしっかりと安心するかの
ようにお互いの手を握り締めた。
そう離れる事は無いぐらいに。

それから・・・・・。

二人は衣服を整えるとすぐに部屋から出ていった。もう二人には迷いは無い。
そうライゼーラ帝国ネロ帝、それから王妃アクリラがこうして復活したのである。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・罠(13) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:11月11日(土)20時26分48秒 

                   19.罠

「はあ、はあ・・・・・・。」マクシナスとルナは何とかギーム城から逃げ出していた。
マクシナスはグプタの攻撃を受けて召還した魔物を囮にして逃げ出す事ができたのである。
だが、そのグプタの攻撃は召還した魔物だけでなくマクシナスの身体をも傷つけて
しまったのである。
「くそう・・・・私達は最初からエスミルに良い様に操られていたみたいだな・・・。
ライも・・・・グロウも・・・そしてボーゼルも・・・。」
「何で・・・・・じゃあ・・・私があのカプセルから叩き起こされたのは・・・
わざと・・・・。アガレス父さんにし返ししようとして・・それを上手く利用された
だけ・・・・じゃあ・・・私の存在理由は何?マクシナス、答えてよ!!」
「傷が痛い・・・・はあ、はあ・・・とりあえず・・・ディープ・シーに
帰って対策を・・・って言いたい所だが・・・信頼できる民と家臣を集めないと
いけないな・・・。」
「どうして・・・・。」
「それは・・・・帰ってから話す。行くぞ!!」マクシナスはルーラを唱えた。

「どうしたのです!!陛下!!」
マクシナスはライゼーラの玉座に座ったあと、心配そうに話しかけてきた
家臣たちを押しのけると傷の治療をすぐに始めた。
(どうやら・・・おれもライと同じ運命をたどるようだな・・・だが、俺は
只では終わらん・・・もし・・・ネロとアクリラが生きていれば・・・。)
「マクシナス様・・・どうされたのです!!お顔の色が優れないようですが・・・。」
「この中で私と共に旅立つと言う者はおるか?」
「何言っておられるのです!!」家臣の一人が驚きの声をあげた。
「ライゼーラの旧家臣たちで未だにシャリム帝に忠誠を誓っておる者はいるか?」
「何言っておられる・・・!!!」
「今はどうこう言っている暇は無いのだ!!どうなのだ!!」
マクシナスの悲痛ともいえる叫び声を聞いた家臣達はわずかだが手を上げた。
「よし・・・お前達はすぐにジャイル公のところへ行ってそこにいるネロとアクリラに
忠誠を誓え。その後、準備できる飛空艇を用意せよ。何隻用意できる?」
「そうですね・・・・。50隻ほどなら・・・。」
「よし・・・・私に付いていくという者はいるか?」
「・・・・・・・・我々は帝国とは関係なく忠誠を誓っております。我らは
どこへでも参ります。」
「そうか・・・・すまぬな・・・・早くしないと我々は帝国に対する反逆者
になってしまう・・・・。」
「!!!!!!!!どういうことです!!」
「ライがそれに引っかかった・・・・どうやらもう・・・死んでいるだろう・・・
いや・・・・もう・・・・死んでいるに等しいかもしれんな・・・。」

一ヶ月もしないうちに準備が出来、マクシナスとルナ、彼らに
慕う民と将軍は北方の海へ向かって出発していった。彼らの行方はようとして
知らなかった。だが、記録によればマクシナスとルナの子孫が
ネロ治めるライゼーラに来朝したとある。だが、記録が欠損している為
どこから来たのか分かっていない。だが・・・それは新たなる舞台の幕開けとなるのだが
それはまた今度話すとしよう。

帝国はこのマクシナスの動きの速さに舌を巻いた。反逆者として処罰する為に
軍を派遣しようとしたがもうすでにマクシナスはディープ・シーを
捨て、そこにいた民と共に脱出した後だったのである。
そこにマクシナスの意地があったのかもしれない。「神童」という名前は伊達では
無かったということの証左でもあった。

エスミルはディープ・シーを制圧したが旧ライゼーラの将軍や武官たちはすでに
ジャイルのところ・・・・いやネロとアクリラの元へ行っていたのである。
だが、エスミルはそんなマクシナスとルナを笑うだけであった。

帝国軍はライゼーラの制圧を目指したがそれに合わせる様にベルクファクスが
制圧した要塞が北方へ動き始めたとの情報を得て軍を戻さなければならなくなったのである。
わずかな守備隊を残して・・・・・。
それがネロ達にとって最大のチャンスとなった。そうライゼーラの奪還という・・・・。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・罠(14) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:11月11日(土)22時29分07秒 

                   19.罠

一方・・・・魔竜谷では・・・・。
キースがシュプリンガーに新兵器であるビッグボウガンの説明をしていた。
「いいか、これがビッグボウガンだ。こいつの取り扱いに注意して欲しい。」
ビッグボウガンを説明し始めたキースにシュプリンガーの者は手にしている
ビッグボウガンを食い入るように見ては構えたり、あるいは仲間と
それを見せ合っていた。
「一歩でも間違えると・・・指を切断することになる。この弦の引く力は
相当凄いので気をつけてくれ。」キースは弦のところをピンと軽く引っ張った。
「ガガゲガガ・・・・ドガルアガ。(なるほど・・・こう使うのか。)」
一人のシュプリンガーが向こうにある的目掛けて発射させた。
ズドン!!
的は真っ二つになり岩壁に突き刺さった。
「凄い・・・・これなら火炎や氷のブレスを吐く事なくエネルギーを節約できますな。」
アリテトがレポートを見ながら呟いた。
「ああ・・・これで息切れというのは無くなったと思う。あとは扱い方だな。」
「それにボウガンの矢の装填時間が気になります。強弩隊を別に組織させ
突撃関係はよろい竜に任せるべきですな。」
「う〜ん・・・そうだな・・・この中で弓の扱いに長けた者をピックアップして
編成した方が良いな。」アリテトとキースは頷き合った。
「これであとは・・・どうするかですね。」
「まあな・・・・外交や経理はミルルのほうが長けていたし・・俺はこうして
兵士の練習をして鍛え上げなければならない。」
「もう・・・さすがに「竜の狩り」は出来ませんな・・・。」
「聞いた事がある・・・竜の新兵を鍛え上げる特訓だそうだな。」
「昔は良かったものです。これでも「王竜の勇者」と言えば泣く子も黙る竜の1氏族「ギ」の
勇者として恐れられたものです。」
「アリテト・・・お前相当暴れ者だったんだな・・・。」
「ええ・・・・それはもう容赦なくでしたから。ナルゴスをして
「お前には情けという欠片もないのか。」とさえ言っていましたから。」
「おお、こわ。」キースは笑いながら言った。

その時だった。向こうからミルルと邪竜の氏族の女性が走ってきた。
「ご飯ですよ〜〜〜〜〜出来ましたから叔父様どうぞ〜〜〜〜〜〜。」
「おお。かたじけない。では、お前達、特訓は午後にしよう。解散!!」
シュプリンガー達は思い思いの方向へ向かって行ってしまった。
「アリテト・・・・お前・・丸くなったなあ・・・。」
「そういうものですよ。年を取ると・・・。でもミルルやキース殿、フグマや
サーラを見ていると羨ましさを感じます。
老いは年の功が分かるが若きはできない事は無いと分かる。」
「うん・・・・なんだ、それは。」
「まあ、言わば引喩のようなものですよ。私も大剣を片手に戦っていました
・・・・並居る魔族を惨殺しさらには町に竜族を踏みこませ遊んだものです。」
「凄いな・・・・・。」
二人はそんな事言いながらミルルと邪竜族の女性が待つところへ行ってしまった。
魔界には珍しい長閑な風景であった。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・罠(15) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:11月12日(日)23時23分50秒 

                   19.罠

ギーム城では・・・・エスミルの元についに16魔将が揃った。
「エスミル様・・・ここに16魔将揃いました。これで・・・我らの悲願が
達せられるのですね・・・。」16魔将の一人が進み出た。
「そうだ・・・・・これで・・・この為にはガスタブルグのライは良くやってくれた。
もともとベルクファクスだろうか、ガスタブルグだろうかライゼーラだろうか
そんなものはくれて良かったのだ。」
「はっ。もともと・・・帝国とは名ばかり。あのライはよく我々の言う事を
聞いてくれました。」
「ふふふ・・・・最後のお仕事を与えてやれ。ここの守備という光栄ある仕事を
しておくのだ。その為にはライゼーラなどくれてやる。」
「ですが・・・これでは面白くないですね・・・。早いうちに芽は摘んでおく
のが妥当なのでは・・・。」
「そうだな・・・・よし、グプタ、それからキャンサーよ、お前達は
ライゼーラへ赴きネロとその仲間を抹殺してこい。」
「おお・・・・ようやく殺戮命令を・・・。」
「そうだ、出来るか、キャンサー。今度は遊びではないぞ。」
「分かっております。あの時は遊んでやりましたがすぐに強くなるとは
思えません。すぐにネロの首、持ってごらんにいれます。」
「グプタよ・・・。お主はライゼーラの生き残りであるアクリラ姫を殺すのだ。」
「はっ・・・キャンサーと共に赴きネロとアクリラの首とってごらんにいれます。」
二人はそのまま消えていった。

エスミルはネロの首は簡単に獲れると思っていた。だが、珍しいことに彼はここで
ミスをしてしまうのである。それはネロが16魔将と良い勝負を演じ
エスミルは計算がずれてしまったのである。それがまさか命取りになるとは
この時点ではわからなかった。

ネロとアクリラは広い部屋に出た。思わず明かりが灯り二人は顔に手をやった。
「ささっ・・・ネロ様、アクリラ様・・お待ちしておりました。」
二人はジャイルの厳かな声を聞いて顔を向けた。
そこには玉座の間があり、ジャイル、そしてマクシナスの元から逃げてきた
部将や武官、文官たちが頭を下げ跪いていた。
「これは・・・・・。」
「そうです・・・・・・ようやくライゼーラ帝国の帝がここにお戻りになられたのです。
さあ・・・我らに道をお示しくだされ・・・・。」
「でも・・・・僕は・・・・。」
そう言おうとしたネロは口を噤み、黙って玉座に座ると跪いている将たちを
一望した。
「では・・・・これから軍略に入る。ジャイル、これからの方策を示せ。」
ネロは毅然とした態度でジャイルを召した。
「はっ。これからの方策、いえ、軍略ですがライゼーラを奪還すると言う事が
第一の目標です。そして・・・南の大国であり、軍事国家のベルクファクスとの
同盟を締結する事が第二の目標となります。」
「なるほど・・・・北虜南倭という事だな・・・。帝国にしてみればこれほど
厄介な事は無いな。だが、あの時エスミルは16魔将と言う者を従えていた。
こいつらを何とかしないとエスミルに近づくことは出来ない。」
「だが、そうなると何時までも隠れている事は出来そうも有りません。」
頭を下げている武将が進み出てネロに申し上げた。
「そうだな・・・。そうなるとベルクファクスとの協調を、同盟をするのが
妥当な所だな・・・。」
ネロは腕を組んで頷いた。アクリラは隣に座っていた。
「あなた・・・・・・。」アクリラはぎゅっとネロの手を握った。ネロは
アクリラのほうを見ないで握った手を握り返した。
その手は暖かかった。
(続く)