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闇の覇者・真王たる者・夢(1) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月17日(火)19時03分25秒 

                    17.夢

皇都「ギーム」・・・・・・ここはギーガン国中央部にある巨大な
エスミルの居城。ここには帝国正規軍が控え、地方に恐怖と尊敬の象徴として
存在していた。
しかし城門を一つ突破するのに正規軍をいくつも相手にしなければならず
それだけでもライゼーラの、またはベルクファクスの築城法がいくつも
取られていた。その為かここは難攻不落の要塞としても作用していた。
その中に高い塔があった。ここにはエスミルが瞑想するための塔があった。

「まったく・・・・どいつもこいつも・・・ライもマクシナスもボーゼルも
ルナも・・・・私の・・・為す夢を壊す。
誰か私の夢を覚まさずに済ます者はいないのか・・・・。」
エスミルはじっと何も無い部屋で瞑想をしていた。
だが・・・・・・そこの背後に何者か現れた。
「お前達か・・・・・どうした?」
背後に控えている者たちは何も言わないが思念を送ってきた。
(ようやく見つけました・・・エスミル様。)
「ご苦労・・・・これで我らの悲願が達成されるのだな・・・・。」
(して・・・ライという輩はどう致しましょう・・・?)
「かまわん・・・・どうせあれは竜族に嬲り殺される。そう言う運命だからな。
だからミルル皇女に密約を結ばせたのだ。いざとなったらライを売り渡すとな。」
(見事で御座います。それでこそわが主。してピサロの子孫はどうしましょう?
ピサロは我々の目論見に気がつき最後の最後で我々を裏切り勇者ユーリルに
売り渡しました。ですが・・今はピサロはおりません。ましてやあのネロは
まだ未熟です。陛下の足元にも及びません。今なら・・・。我ら
16魔将、出陣できます。)
「ふっ・・・今は何もするな。そうだな、ライには死んでもらおうか。どうせ
死ぬ身だ・・・惨たらしく死ぬお前に私は笑顔で送ってやろう。くくくっ・・・・。」
黒いローブをまとい、黒ずくめの格好をしているエスミルは兜を取った。
そこには「人間」の姿をしている青年が座っていた。
(では・・・・我々はまだ潜伏し表に出ません。ですが・・・・。)
「ああ・・・・・我の為にその力見せてもらおう、16魔将よ。」
(ははっ・・・お任せを。)そうして背後に控えている者の気配が消えていった。
だが・・・・・エスミルの前にある水晶玉には「ライ」だった者が写っている。
それはあまりにも惨たらしく死んでいる。ネロやエクリマの叫びも聞こえず・・・。
そうこれは近い将来の夢である。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・夢(2) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月17日(火)23時36分57秒 

                   17.夢

話は変わってここはガスタブルグとベルクファクス国境。
ガスタブルグ軍は南部にある砂漠の王国ベルクファクスへの侵攻を開始しようとしていた。
そしてガスタブルグはベルクファクス国境まで接近していた。
目的はベルクファクスを奪い返す事であり、王弟ヤゲローの首を獲る事である。
その為にギーガン国からは正規軍の一部である30万の軍勢が
ベルクファクスへと侵攻を開始していた。
二方向からの同時攻撃ならベルクファクスでも耐えられないだろうという
作戦であったがギーガン国の帝国軍が砂漠戦に慣れていない為
わずかであるが遅れていた。
それに対し、ベルクファクス軍は二方向に高等魔族を分け、
八旗のうち四旗を北部に充て、半分を帝国軍に充てることにした。
そしてヤゲローはガイゾヅ将軍率いる帝国軍を壊滅し、返す刀で
ベルクファクスとギーガン国に跨る敵要塞を壊滅する事になった。
そして北部には副将であるフラーム、グザファン、キース、ヨアヒム、ガンドが担当し、
帝国軍にはメリクリウス、マリエン、バロール、ホルムら精鋭部隊が担当する事になった。
さらに「黄鶴都」上空に浮いている攻撃要塞2基が帝国軍を攻撃し、
北部には特別戦艦と残りの要塞が当たる事になった。
黄鶴都にはダール、ルシア、シルクそして守備隊10万が待機する事になった。

そして北部戦線では・・・・ガスタブルグの将であるウィヅ提督が南部侵攻の
将を務めることになった。ウィヅ率いる前衛部隊は20万のうち6万が先行する事になった。
軍は着実に侵攻をかけていたが・・・・。
砂漠の嵐が凄くなったので一時テントを張り、兵士達は休息を取っていた。
「うわ・・・凄いな、聞きしに勝る砂嵐だな。これでは侵攻は無理だな。」
突撃兵の一人が砂を払いながらもう一人の兵士に言った。
「そうだな。これだったらガネーシャにでも乗っていれば良かったよ。全く・・・。」
「だけどライ様はこちらに来ないのだろうか。いくら中央の命とはいえ・・・・。」
「ば、バカ、ここでそれを言ったら俺達牢屋行きだ!!口を慎め!!」
「ああ、分かったよ・・・。」
兵士が砂が落ち着いたので立ちあがろうとした瞬間・・・・。

ヒュン。何か音がした。

「おい、お前何か刺さっているぞ。」突撃兵が兵士に言った。
「おい、早くとって・・・・くれ・・・・・・よ・・・。」
そのまま兵士は倒れ事切れた。見ると背中には矢が刺さっている。
「うわああああああ!!敵襲、敵襲だあああ・・・・・!!」
そして砂漠が晴れた時そこにいたのは騎馬隊とともに駆けて来るグザファンの姿であった。
さらにその軍団の後ろからはキラーマシン数千機が迫っていた。そのまま突っ込んだ。
あっという間に前衛部隊は混乱状態になった。
「何だ・・・・!!どうした!!」ウィヅは慌ててテントから出てきたが
まさにそこに魔馬に跨ったグザファンのハルバードが迫っていた。
「大将とお見受け致す!!覚悟!!」
カキン!!グザファンの槍を受けるウィヅ。
「ほほう・・・やるな!!」グザファンは魔馬を上手く操って近くにいた兵士たちを
軒並み首を刎ね、敵の将軍達をあっという間に突き刺した。
「遅いんだよ、お前達は!!」グザファンは奇襲に慌てた将校らを次々と
刺し殺していった。
「引け!!挨拶はここまでだ!!撤収!!」軍鼓がなり、砂嵐と共に
ベルクファクス軍は退却していった。
・・・・・・・この戦闘でガスタブルグ軍は6万のうち4万の兵士を失ってしまった。
ガスタブルグは結果的に前衛部隊を失い、本隊の増援を待たなければ
ならない状態にまで追いこまれてしまったのである。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・夢(3) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月18日(水)21時41分16秒 

                   17.夢

ライはまさかのことを考え、前衛部隊からちょっと離れたところに
本隊を置いていた。だが、
逃げてきた兵士からの知らせを聞いて激怒した。何しろ満を期して出撃した部隊が
おめおめと敗北してきたからであった。
知らせを持ってきた兵士を乱暴に蹴飛ばすとライは部将たちを集め
会議に入った。この戦いは短期決戦であり、あまり長引かせる事は逆に
地方にあるエクリマの故郷、ジュダ王国を刺激する事になってしまうかもしれない
と言う事があった。
さらに不気味に沈黙を守っている魔竜谷にいるミルル皇女の動きも気になっていた。
あれから何も言ってこないと言う事がライに恐怖を感じさせていた。
それがあってか、ライは北方の魔竜谷周辺に20万の精鋭を置いて
竜族の動きをチェックさせていた。
そして・・・・・。

会議上では・・・部将達とライの作戦は続いていた。だが、ここでライがあげた
戦術がまさか逆になってしまうとはこの時は誰も予想しえなかった。
「では、ウィヅ提督の増援にはライ様自ら出陣すると言う事ですね。」
部将の一人がライに申し出た。
「そうだ。私が自ら叛乱軍に引導を渡し、ベルクファクスを奪い返す。」
「それでは何か妙案がありましたらぜひお聞かせ願いたいのですが。」
各将はライの言葉を待っていた。
「ふむ。それではこういう作戦はどうだろうか。まず我々60万の軍勢は
フラーム率いる部隊と対峙する。どうやら敵の数は100万ぐらいだろう。
万が一の事も考え本国にも増援を頼んである。そこで我々は一端ガスタブルグ
方面に退却する。だがこれは罠で二手に分けた我々の軍が追ってきたフラームの
軍を包囲しこれを殲滅する。」
「なるほど。まずは逃げの罠を仕掛け、そして二手に分けた部隊が前方にいる
フラームを包囲し、そして逃げている部隊が旋回をして
殲滅すると言う事ですね。見事です。」
「そうだ・・・そして私がフラームの背後を突く。ウィヅにそう申し伝えよ。」
「はっ。」伝令役の兵士がそのまま軍司令部のあるテントから出ていった。
「そうだ・・・・。これなら大丈夫だろう。では、出陣。」
そうしてライ達は全軍に指令をだした。
だが、ライのこの作戦はとんでもない事を招く事になってしまうのである。

そして・・・・ライ率いる本隊はフラームのベルクファクス軍と対峙していた。
「あれが・・ベルクファクスか。こうして昔戦ったがあの時とは全然違うな。
ヤゲローか。もう新しい力というのか、世代が来ているのかもしれんな。
だが、私とて牙王と呼ばれし男。ボーゼルの仇討ちもある。」
ライは前方に見えるベルクファクスの軍をじっくりと見ていた。
「ふふふ・・・・だが、こちらの作戦はお前達をじっくりといたぶる為の物だ。」
ライは作戦を部将に伝えた。

のちの歴史家たちはライをこう評している。
「確かに個人的な戦闘能力は凄いと言えよう。だが、戦術面は名軍師と謳われたホルムや
有能と言われたガンドには程遠いと。戦略は目を見張るのだが・・・。」
これがライ評であるがまさかこの通りになってしまうとは歴史とは
皮肉なものである。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・夢(4) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月18日(水)22時13分14秒 

                   17.夢

そしてライの部隊はゆっくりと撤退をはじめた。
それを見ていた兵士達はフラームとガンド、それからヨアヒム、キース、グザファンがいる
テントまで報告に来た。
「申し上げます。ライ率いるガスタブルグ軍、退却をはじめました。
目的は不明。どうやら本土決戦を狙っている模様。いかが致しましょうか?」
兵士は跪いてフラームの答えを待っていた。
「しかし・・・・・アイツ(ライ)というのはどうして一発でわかる事を
するのかね・・・・。部将の間で止める奴や反論する文官というのを
置いていないのか?」
フラームはそれだけを言った。ガンドははあと息を吐いた。どう見ても
呆れている。
「何か案あるか?ガンド候。」フラームは呆れながらもガンドに聞いた。
「とりあえず追いかけましょう。たしかにこの作戦は妙案ですが・・・
下の策です。しかしガスタブルグは本当に知略と言うものと程遠い国になりましたな。」

ライは剣を求めるあまりこうした文官や宰相と言った文で生活を成り立たせる
者達を極力遠ざけていた。その為、ライのまわりにはイエスマンだけが集まり
注進や警告を発する者がいなかったのである。
ギルモアの頃はアガレスという知略に優れた知将がいたが
ライの頃にはいなかったのである。その為他の国に流れてしまう者が数多くいた。

「ふふふ・・・追いかけてきたな。それではライ様にこちらの準備は整ったと
伝えておいてくれ。」砂漠からサバンナに変わった地形の中でウィヅは
兵士達の中にいた。
ウィヅ提督は伝令の兵士にこう告げた。そして
兵士は馬に跨りライが潜んでいる軍団へと走っていった。
だが、逃げている兵士達は本当の意味での作戦を理解していなかった。
つまり本国にて決戦をするものだと思ってしまったのである。
その為かどんなにウィヅ提督が停止命令を出してもそのまま退却を続けてしまった。
「あっ、こら、止まれ!!止まるのだ!!」ウィヅの部下達が
一生懸命制止させようとしても兵士たちは止まらない。
そしてそのまま退却を続ける兵士達に気がついたフラームは反転し
潜んでいるライに猛攻を加えたのである。あっという間に追い詰められるライ。
それに加え、二手に分けたフラームの軍がライの後ろを突いた。
そしてゆっくりと包囲してしまった。
ライははっきりとガープの嘲笑う声を聞いたような気がした。

・・・・・・・・・お前は騎士団長には向かないよ。お前には重荷だからな。
人の気持ちや国の為にどうしなければならないかとお前は全然理解していない・・・・。

ライははじめて自分の甘さに気がついたがもう遅かった。
そう戦術というのはライが考えている以上の物があったのだ。
だから知将と呼ばれる者達でさえ勉強をしどうしたら良いのかを
考えるのである。その為には将や主にも対立する事もある。
だが、ライはそれをしなかった。イエスマンだけを集め自分の意見を押し通す
方法・・・それだけでは駄目なのである。

その中で・・・・フラームはキースの申し出を受けた。
「すまないのだが・・・・リザードマンの部隊を貸してくれないか?フラーム候。
無理は承知の上で話している。」
「卿は何を考えているのだ?ライはもう追い詰められたのだぞ?」
「あれは逃げる。そういう男だ。確かに勝負はついている。だが、俺には・・・
まだやらないといけないことが残っている。それを終わらせないと
俺は死んでも死にきれない。」
キースはフラームをじっと見た。そこには以前のような我侭なキースではなく
王として竜族の王としてのキースがあった。
「ふふふ・・・・・・よくそこまで成長なされた。分かり申した、あなたに
リザードマンの部隊を貸しましょう。王らしくなられましたな、キース候。」
グザファンとフラーム、ガンドは笑みを浮かべていた。
ヨアヒムはただ腕を組んでいるだけである。だがそこには敵意というのは無かった。
「ありがとうございます、フラーム候。」
キースはそのままテントを出ていった。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・夢(5) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月19日(木)11時08分04秒 

                   17.夢

ライは苦戦を強いられていた。60万の軍勢を30万にした為にベルクファクス軍の
集中攻撃を受け、今では30万の軍勢が1万まで減っていた。
ライはそれでも敵軍を追い払い、古ぼけた古城に立てこもった。
ウィヅ軍は何とかライを救出しようとしたがヨアヒムとグザファンの両将が
戦術に沿った作戦を展開していた為、救出できないでいた。

古来の戦術には「進は易く、退は難し」というのがある。もし少しでも兵に動揺が
走るとそれだけでも瓦解してしまう。しかもウィヅがいたのは部隊の中央にいたため
兵士達はどのように行動して良いのかわからなかったのである。
そうした時の軍ほどなさけないものはない。

「くそ・・・・・私は・・・ここで負けるのか・・・・。」ライは古ぼけた古城の
一室でうめいていた。
密偵からの連絡ではガイゾヅ将軍の戦線も苦戦を強いられ、思うように
黄鶴都まで進軍できないでいるという。さらに黄鶴都には10万の軍勢が控え、
いつでもバックアップが出来るようになっている事も
密偵の知らせで分かっていた。
「これが・・・戦術というものなのか・・・。」
ライはそれだけを言った。

よく戦術と戦略を一緒にしてしまう人がいるが本当は違う。戦術というのは例として
諸葛孔明が作戦としてあげるものである。だが、戦略と言うのは
長期的に見た国家運営が主であってそれは長いスパンで見た財政や
計画、軍構成などそうした物があげられるのである。
ライは確かにそうした戦略には凄かったが戦術にはまるで子供並みだったと言う事である。
フラームが名将と言われる所以はそうした事にもきちんと目を通していたから
こそ、ギーガン、ベルクファクスと仕えることができたのである。

「ライ様。もうここも無理です。早く撤退を。」ガルクが跪いた。
「何を言っている。私は武人であるぞ。ここで退却などすれば末代までの恥だ!
絶対に退かないぞ・・・・。」ライは持っていたタツムネをぎゅっと握った。
「ライ様・・・・負ける事は恥じではありません。もう一度再起を図り
エスミル様に救援を願い出ては・・・。」
ライはそれを聞くとガルクの胸倉を掴んでドスの聞いた声で言った。
「貴様に何がわかる・・・・私が頭を下げればあの宰相めは私を嘲笑うに決まっている。
そうしたら・・・私はエスミル様に何と言えば良いのだ!!お前に何がわかる!!」
「しかし・・・・このままでは我々は全滅します。」
「くっ・・・・こうなったら全軍突撃だ。私も打って出る!!」
「なりません!!そんな事をしたら・・・・御身に怪我でもされたら兵士に動揺が
走ります!!」
「貴様・・・・私に意見するつもりか・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・陛下、御免!!」
ガルクは懐にあった短剣でライの腹を刺した。そして蹲るライの鎧を脱がすと
そのままガルクはそれを着込んだ。そして兜を目深に被るとそこにはライがいた。
「き、貴様・・・・何の真似だ・・・・。」
「陛下・・・・少しは部下の意見をお聞き下さい。おい、誰かいるか!!」
ガルクはライの声真似をして部下を呼び寄せた。
「はっ・・・・ってこれは一体!!」部屋に入ってきた部下達は蹲るライを見て
呆然となった。
「いいか良く聞け。ここにいる警護の兵士がベルクファクスの忍者
にやられて怪我をしてしまった。
もちろん忍者は私は倒したがここにいる兵士が腹を刺されやられてしまった。
そこでこの兵士にも母親がおろう。お前は100人の兵を率いて
国元に返すのだ。いいな?」ガルク、いや仮装したライはそう部下に告げた。
部下はそれがガルクだと分かっていたがガルクが死をもう決意した事に理解を示し、
諒承した。
「おい、ちょっと待て!!お前は私の部下なるぞ!!貴様、銃殺刑だ!!」
ライは血を出してガルクを指差していたが部下数人がライを連れて行ってしまった。
「ライ・・・・私は幸せでした。貴方にお仕えして。」ガルクはそのまま部屋を出ていった。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・夢(6) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月19日(木)11時54分03秒 

                  17.夢

一方ここは荒野にある小屋。ここにガープ、べゼル、エクリマ、ニュクス、ネロ、アクリラが
隠れ住んでいた。
ネロとアクリラはあれから少しずつ体力が戻り始めていた。
さすがに4年も眠りについていたのでは手足の筋肉が衰え、立てなくなるからである。
それでもネロとアクリラはガープ達の修行に耐えた。
今ではネロは走れるようになり、ガープやエクリマ、べゼルは彼に剣術や
格闘術を教えてようになっていった。
そんなある日の事・・・・べゼルは情報収集の為、街のほうへ行っていたが
いくつかの情報を持って帰ってきた。
そしてべゼルを囲んで話始めた。
「べゼルさん、何か中央でありましたか?」ネロは聞いた。
「良い知らせと悪い知らせがある。どっちが良いかな?」
「良い知らせから頼むよ。」ガープは言った。その顔には笑みは無い。
「そうだな・・・・じゃあ、良い知らせから。今まで帝国に抑えつけられていた
諸国がそろそろ立ちあがり始めている。例えばベルクファクス王国ではボーゼルが
討ち取られ、マクシナスの弟であるヤゲローが高等魔族たちを集め
反帝国の兵をあげた。」
「えっ・・・・ベルクファクス!!ヤゲローさんが・・・。」
「そうだ。あのヤゲローが兵をあげた。そして彼の下に有能な将や魔族たちが集まった。
例えば・・・「傾国」メリクリウス、「侍大将」ヨアヒム、「侍」ダール、「竜皇子」キース、
「歌姫」マリエン、「司祭」シルク・・・そして「武烈王」ヤゲロー。」
「えっ・・・・あのキースが!!」エクリマは声をあげた。
「どうして帝国の将だったキースが・・・。」
「ライゼーラ帝国が滅亡のさい、キースはエスミルにくってかかった。「これがお前の
やり方か。」と。そして逃げ出したんだ。あまりについてこれなくなったんだ。」
べゼルは思い出すように話し始めた。
「そうだったのか・・・・帝国の中にも人の気持ちや国のあり方を考えている者は
いたのだな・・・・。」ガープはしみじみと言った。
「そんな・・・・・それじゃ・・・。」エクリマは唸った。
「そうだ・・・今ではレコン・キスタの中核を占めている。」
「そうだ!!マリエンは!!だって彼女は戦闘の経験なんてないじゃないか!!どうやって
戦うんだよ!!」ネロは思わず叫んでいた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・彼ら7人はボーゼルの差し向けた
精鋭20万を一撃の上殲滅に追いこんだ。ネロ、お前が叫ぶのはわかるが
今のマリエンは相当研鑚を積んでお前よりずっと強くなっている。」
「そんな・・・・・人殺しなんて・・・・。」ネロはマリエンとミルル(エリス)が
遠い世界に行ってしまったような感じがした。あまりにも遠い世界。
一人は魔族として、もう一人は竜族として生を受け、戦っている。
それがネロには悲しいものだった。

「じゃあ、悪い情報は?」エクリマが雰囲気を察してべゼルに話しかけた。
「ガスタブルグ軍・・・つまりライの軍勢はベルクファクスに王都奪回の命を受け
進軍したが返り討ちにあって帝国軍も苦戦を強いられている。」
「ライさんが・・・・ベルクファクスと!!」エクリマは思わず叫んでいたが
すぐに複雑な顔になった。
「ライの部隊はベルクファクスの重囲を突破できず、古びた古城にて最後の交戦を続けている。
だが、時間の問題だろう。」
「すぐに助けに行こう!!」ネロは立ち上がった。
「で、行ってどうする。」ガープが止めた。
「決まっているだろ!!ライさんを助けるんだ!!」
「帝国のライをか。それとも師匠のライをか?どっちだ?」
「なっ・・・・・・・それは、それは・・・・・・・・・。」ネロは黙ってしまった。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・夢(7) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月19日(木)18時48分03秒 

                   17.夢

ネロは黙ってしまった。少なくともここにいる者たちは帝国を良いとは思っていない。
むしろ帝国から解放し民を救おうと考えている。
だが、ネロには分からない。ミルルもマリエンもどうしてそこまでするのか分からなかった。
「僕は・・・・どうしたら良いのか分からない。」
「別に無理に決めろとは言わないよ。エクリマはどうだ?」ガープは隣にいた
剣士に聞いた。
「・・・・・俺は帝国打倒で行くぜ。確かにライさんは尊敬する人かもしれないけど
それとこれとは関係無い。だったら俺は自分の信じる事をする。」
エクリマは立ち上がった。
「・・・・・・・・・・・・。」ネロは黙っていたが隣にいたアクリラは
にこっと笑って立ち上がった。
「私も・・・帝国打倒で行きます。だってそうしないと後悔するかもしれないから。
だって、私にはお父様やお母様がついています。今ここで逃したら私は
とても後悔すると思うんです。あの〜おかしいですか?」
「いえ。それで構わないと思います。私も同行します。べゼル、君は?」
「俺様は帝国を裏切った身だ。ここにいたいが噂では兄のグロウは死んだそうだ。」
「グロウが・・・・一体誰だ?」ガープは尋ねた。あのべガン兄弟の片割れを倒す
というのは信じられない事だったのだ。
「・・・・・・・・・傾国だよ。メリクリウス。しかも一撃で。」
「あの・・・・・・メリクリウスか。なら頷ける。だが、どうする?彼女に
何か言うか?」
「いや・・・・。確かに憎いが腕が違いすぎる。だが、グロウはそうした死に方しか
出来なかったと思う。だったらこれで良かったのかもしれん。」
「あっさりしているんだな。お前の兄弟は。」ガープは何か憎憎しげに言った。
「・・・・・まあな。だが俺にはそれしか出来ない。だから俺は行くぜ!!再び
帝国に立ち向かってやる。エスミルにまだ捨てたもんじゃねえと言う事を証明してやる。」
べゼルも立ち上がった。だが、ネロは何も言えなかった。
「どうして・・・・・だよ、どうしてミルルとマリエンは死ぬかもしれない事を
するんだよ。僕には分からない。僕は昔みたいに遊んでいれば良かったんだ。
それに僕にはあの二人は生きている者を殺しているなんて信じられないんだ!!
もう嫌だよ、そんな事をするなんて。」
ガープやべゼル、エクリマ、アクリラはそんな彼を見ているしかなかった。
ネロはじっと彼らを見ていた。だが・・・・・・。
「それならここにいろよ。ニュクス叔母さんと一緒によ。悪いけどお前に言ってやる
言葉は無いよ。それとも誰か言ってやるのを待っているのか。だったら
甘えるんじゃねえよ。ミルルが、マリエンがいつまでもお前の足元に置いている
わけねえだろ。いつかは自分の判断でやらなければならないことがあるんだ。
それをお前はただ逃げているだけにすぎない。それでお前が自分の世界で
篭っているなら構わない。」エクリマはネロに言った。
「自分の世界って・・・・・僕はマリエンとミルルに・・・・。」
「もう・・・・・あの二人は自分でする事を決めているよ。お前だけだ、
決めていないのは。いつまでも・・・仲良しというのは・・・無いんだよ。」
ガープはそれだけを言うとさっさと引き下がっていった。たぶん別部屋にある
剣を磨ぎに行ったのだろう。
「さあてと。俺様も武器のチェックをしてくるかな。まあ、お前さんはどうするか
決めろよ。」べゼルもどこかに行ってしまった。
「俺様も剣の磨ぎがあるからな。アクリラ、君はどうする?」
「わたしは魔法の勉強をしてきちんと致しますわ。だって皆さんに何かあったら回復する人
がいませんしね。だから行きますよ。」アクリラもまた部屋を出ていった。
そしてそこにはネロとニュクスだけが残された。
「しばらくして考えがまとまったら呼んでくださいね。私はお弁当を作りますから。
そうしたらここを閉鎖します。」
「貴方は・・・・何処に行くのですか?」
「私はザルトベルトの国に行きます。私がいたら皆さんの邪魔になるだけですから。
ガープさんに頼んであります。」
「僕は・・・・・一体・・・・・。」
「貴方の人生はあなたが決めるのです。あなたがライさんを救うのは勝手です。
でもアクリラさんは貴方とは違って目の前でお父様とお母様を失ったのですよ。
本当なら憎いって思うでしょうね。でも貴方の前でそんな事出来ないから
だから笑っているのですよ。マリエンさんでしたっけ、ミルルも
自分の生き方だから決めたのです。貴方は何ができますか?」
ニュクスはそう言って台所へ消えていった。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・夢(8) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月19日(木)19時19分36秒 

                   17.夢

ライは見逃してもらっていた。傷ついた兵士として100人ほどの傷病兵の
中に紛れ囲みを突破しようとしていた。
とにかくウィヅと連絡をして
退却しなければならない。だが、その頃にはウィヅはグザファンとの一騎討ちに敗れ
討ち取られていたのである。
「はあ、はあ・・・・・俺はなんて無様なんだ・・・・こうも違うのか・・・
情けないよな・・・・。」ライは腹の痛みに耐えながら馬を走らせていた。
そして囲みを抜けたライ達はウィヅが待っているとおぼしき場所に向かった。
だが、そこには誰もいなかった。いや・・・・・ガスタブルグの兵士たちの
死体とパチパチと木が燻りつづけていた。その中にはウィヅの死体もあった。
「これは・・・・・・。」ライとその部下たちはその様子を見ているしかなかった。
「どうやら反撃の機会も失ったようです・・・・。ここは急いで逃げないと
今度は我々があの倒れている味方と一緒になってしまいます。」
「・・・・・・・・許せ。俺が判断ミスをしたばかりに・・・・・。」
ライは頭を下げた。そして馬を走らせていた。

一方ガルクは・・・・・いや古城はもうすでに焼け落ち、一万いた兵士も300人程度まで
減っていた。それでも彼は死に物狂いで戦っていた。
「出て来い!!一対一の勝負だ!!それともこのライが怖いのか!!」
ガルクは一人高い丘の上で叫んでいた。
「良いだろう。お前の心意気に応えよう。」そう言って出てきたのはヨアヒムだった。
「お前は・・・誰だ?」
「私は侍大将ヨアヒム。ベルクファクスの侍を束ねる者として陛下よりご恩を頂いた者。」
そしてガルクの前まで歩いてくる。ガルクにははっきりと分かった。
(こいつ・・・・隙が無い。あのヤゲローよりは下だが邪覇隊の者達より
はるかに強い。くそう・・・負けてたまるか・・・。)
「ではお相手いたそう。ライ殿。」スラリと剣を抜いた。
「くそう・・・・・負けてたまるか!!」ガルクは剣を抜いてすぐに斬りかかった。

ライは馬を走らせていたが・・・・後ろでドドンという大音響の音を聞いた。
そしてライが被っていた一般兵士用の、ガルクが被っていた兜の緒が切れた。
「ガルク・・・・すまぬ。許してくれ・・・お前の心意気をまるで分からなかった
俺を許してくれ!!」ライはその時はじめて泣いた。
「陛下・・・・・・・・。」部下たちはそれしか言えなかった。
だが・・・・・。ライ達が小高い丘を越えようとした時・・・・立ち止まってしまった。
そこには・・・・・あのキースが立っていた。
まわりには3メートルぐらいの大きさを持つリザードマン達1000人ほどの部隊が
キースを囲むように立ちはだかっていた。
「お前は・・・・俺を笑いに来たのか・・・・。」
「・・・・・・・・・無様だな。ライ。」
ライは改めてキースを見た。そこには以前のようなバカキースと呼ばれた男ではなく
竜族の王として、ミルルと共に竜族を統べる王としてのキースが立っていた。
まさに王という雰囲気を醸し出しじっと見つめるキースにライは
萎縮をしていた。
「それで・・・・殺すのか。お前は・・・・。」
「そうだな。合戦にて通れば良かろう。」

・・・・・これが王という血なのか。俺は一族の代表者でしかなかった。
だが、あのヤゲローといい、このキースといい、ルシア、それからミルルは
皆王国再建の為に戦っている・・・だが・・・俺は・・・小さな部族の出身者。
これが王国の為に犠牲が必要というのはこういう意味だったのか・・・・・・。

「さて・・・・どうする?」
「・・・・・・・私は・・・・頼む、見逃してもらえないか。」ライは馬から降りた
そこで信じられない行動をしたのである。部下達も驚くしかなかった。
そう土下座をしたのである。
「ライ・・・・お前・・・・・。」
「見られい・・・・矢尽き刀折れ・・・もう何も無い。俺を見逃してもらえないか。」
部下たちも土下座をして頭を下げた。

「ぐげげが・・・・(さっさと斬り殺しましょう。)」リザードマンの兵士が剣を抜いた。
「がーげおけぜげつ(待て。引き上げるぞ!!)」キースは命を出した。
「げつ(それでは・・・・)。」
「がつげつらがうる・・・・・(かまわん。責任は俺がとる。)」
リザードマンの兵士たちはみな引き上げていった。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・夢(9) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月19日(木)21時29分25秒 

                    17.夢

キースは荒野の中歩いていた。と言ってもリザードマンの肩に乗せてもらっていたが。
ふとキースを肩に乗せているリザードマンがキースに尋ねた。
と言っても竜族の言葉であるが。
「ガゲガ、キースゲルガガ。(どうしたのです!キース卿。)」
「ギガガコゲルゲオ、フラームガキ、ガオゲルゲゲガ。
(フラーム公に何と言えば良いのです!!)」
「ゲリエウゲウルゲゴアガ。(責任は俺がとるからお前達には関係ない。だから安心
してくれ。)」
「ゲガルガ・・・・・(ですが・・・・。)」
「ガオゲ。(良いから。)」
キースはそれだけ言うと黙っていた。だがその表情は何か晴れた表情だった。
(ライ、マクシナス、じゃあな。もう俺はお前達とは別の道を行く。
いつかはお前達と共に帝国を打倒して、と思っていたがどうやら
お前達はもう時代が取り残した遺物でしかないと言う事か。
これからはミルルと共に竜族を盛り立てていく。それが俺の宿命らしいな。)
キースはしばらく黙っていた。不思議と笑みが零れ
リザードマンたちはどうしてキースが笑うのか分からなかった。

ライはしばらく馬に乗っていた。ここまで来るのに部下たちは山賊にあい、あるいは
部下達数人もライを見限って逃亡してしまい100人いた兵士も
10人ぐらいになっていた。
ライは黙っていた。
「はじめて分かる・・・人の情けか。これほどまでとは・・・私は・・・一番
この世で情けないことをしてしまったな。」
ライは項垂れたままこう呟いた。
「何を仰っているのです。再起は目前です。竜族に配置してある精鋭20万を
こちらにまわし、エスミル皇帝とマクシナス様から援軍を出してもらい
急ぎベルクファクスに侵攻致しましょう。」部将はわざと笑いながら
ライに言った。
「・・・・・・ふふふふ・・・・そうだな。まだ天命は俺を見捨てないと言う事か!!」
ライは大笑いをしたが・・・・確実に・・・ライの天命は尽きようとしていた。
「して・・・どうします?ベルクファクスはこちらに北上してくるのは必至。」
「各村から成年男子を徴集しベルクファクスに充てよ。そして
私は北部にある精鋭をこちらにまわす。そしてお前は皇帝に申し出て
兵を借りてきてくれ。」
「マクシナス様には申し出なくて良いのですか?」
「今までアイツに悪い事を押しつけてきた。だから・・・最後の決戦ぐらいは
自分でケリをつけたい。キース・・・・あいつから醸し出す王の気質というのか・・・
もう私の時代は終わろうとしているのだろう。キースのような若者や
真剣に国の事を考えている若者に王権を渡すのも時代の流れなのかも知れぬ。」
「ですが・・・・・・。」
「ふっ・・・・戯言だ。私は最後まで只では終わらせない。」
だが・・・・・・ライはそう思っていたがライの身体を病魔が蝕もうとしていたのである。
まだライはその事実に気がついていない。

キースはヨアヒム、グザファン、ガンド、フラームの前で頭を下げていた。
「では、昔の情にうたれライを見逃したというのですね。キース卿。」
フラームはキースを睨みつけた。
「ああ・・・・ちょっと昔世話になったんでな。それをちょいと思い出しちまって。
悪い。罰は受ける覚悟だ。」キースは大剣を地面に突き刺し、正座した。
そしてじっとフラームを見た。
「フラーム公、どうしますか?」ガンドはフラームに聞いた。
「私はキース卿がした行為というのは分かるような気がする。過去との決別を
したかったのだろう。」グザファンは腕を組みながら言った。
「ですが・・・罰を捻じ曲げてはそれでは他の兵に示しがつきません。」
ガンドは言った。
「私は若輩ゆえ、貴公らにお任せします。ですがと言うわけではありませんが
助命嘆願をお願いしたい。刑なら軽いもので今後は卿の働きにゆだねるというのは・・・。」
ヨアヒムは助命を申し出た。
「ふ〜む・・・・・相分かった。キース卿、刑としては
貴方を一昼夜牢獄にて過ごしてもらいます。よろしいですか?
今後は貴殿の働き如何によるという所でどうだ?」
「かまわねえよ。俺はもともと牢獄が好きなんだぜ。もうマニアと言っても良いね。」
「牢獄マニアか、お前は。」
ヨアヒムは呆れていた。だが皆ふふふと笑みをこぼしていた。
フラームはすぐに軍再編成に取りかかり明軍を退却させ帝国軍との戦いにまわすのだが
それはまた今度にしよう。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・夢(10) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月20日(金)21時00分00秒 

                   17.夢

だが、ライが帰国した時ダルドア城の守護隊を引き受けていた部将が
ライを見つけ走ってきた。
「はあ、はあ、ライ様・・・大変でございます!!」
「どうした!!」
「はあ、はあ、それが・・・・・・ジュダ王国が叛乱を起こし、軍が国境を越えました。
どうやらベルクファクスと裏で繋がっていた模様です。国境守備隊から応援の要請が
あり、至急兵を派遣して欲しいとの事です。」
「なにっ・・・・・・謀られたか・・・・くそっ、どうしてこうまで・・・・
で、相手は誰なのだ!!ザルトベルトを誑かした者は!!」
「それが・・・・ジュダに派遣してある密偵の話ではジュダにいる王竜族が
ミルル皇女に王位を継がせるのが妥当だとザルトベルト殿に吹き込んだらしいのです。」
「なんだと・・・・。王は私だぞ。それを・・・・。」
「それが・・・・どうも・・・・・ジュダでは・・・違うようで・・・・。」
「何だ言ってみろ・・・・。」
「賂を贈り、ミルル皇女に頭を下げているライは一体何処の国の王様か、と。
ああ、ミルルを支配しているガスタブルグの王様か。だったらどっちが王か分からない、と。」
「貴様・・・・・・!!」ライはその部将を蹴飛ばした。
「これはジュダ王国の子供でも歌っている歌です。いつまでもジュダに好い気にさせて良いの
ですか!!陛下!!魔竜谷にいる精鋭をジュダに充てましょう。」
蹴飛ばされた部将は跪きながら説明をした。
「うぬぬぬぬ・・・・・・分かった!!精鋭をそっちにまわし、各村から徴集した
男子を兵士に育て上げろ!!」
ライは次々と命を出した。
そして自ら玉座に座り、部将を集め再度ベルクファクスへの侵攻ルートの
確認をはじめた。
「あとはエスミル皇帝から援軍の要請だが・・・もうお耳に入られたかもしれんな。
そうなると・・こちらの部将を誰か派遣して・・・・。」
だが、ライはおかしな事に気がついた。目が霞み勢揃いしているはずの部将の
顔が、魔物たちの顔が見えなくなったのだ。
「あれ・・・・・何故だ・・・・。」
「陛下、どうなされました?何か・・・・?」
「いや・・・・何でも無い。気のせいだろう。」ライは一回目を軽く閉じ
見ているともとに戻っている。
「ふうむ・・・・まあ、気のせいか。さて・・・・ベルクファクスに
侵攻するルートの確認をするが・・まずベルクファクスの側面を突くという
作戦を主体として考え、さらに・・・・。」
ライが言おうとした時伝令の兵士が部屋に駆け込んできた。
「何事だ!!」部将が兵士を取り押さえようとした。
それでも兵士が何か言おうとしたので放してやった。
「どうしたのだ・・・・・?」
「申し上げます。魔竜谷に住みしシュプリンガー達20万の兵士が行進しております。
目的は不明。とにかくわずかに残った守備隊は恐れおののています。増援をお願いします。」

シュプリンガー・・・・竜に仕える戦士で体長は3メートルぐらいになる。
黄色の竜装甲を持ち、バギクロスと言った風のスペルを得意とする。
魔竜谷にはおよそ30万ほどが生活していると推測される。
竜戦士は4〜5メートルぐらいになるのだが、こっちは火炎や吹雪と言った
ブレスを吐く事が出来ない。槍術や剣術に長けている。

「何だと・・・・・攻めてくると言う気配は無いのか。」
「それが支配領域ギリギリなので何とも・・・・・。」
「くそっ・・・・バカにしやがって・・・・・・!!ゲホッ、ガハッ!!」
ライは思いっきり吐血し、玉座から滑り落ちるように倒れた。辺りの絨毯が
あっという間に血に染まっていった。
(続く)