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闇の覇者・真王たる者・夢(11) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月22日(日)11時19分32秒 

                   17.夢

ガープ、べゼルはニュクスを送り届けるからと言う理由で先にエクリマの祖国である
「ジュダ王国」に向けてルーラでニュクスと共に旅立っていった。
確かに帝国に叛乱を起こしてはいるが首都までは帝国軍は来ていない。
それならと言う事で先に行ったのである。

エクリマ、ネロ、アクリラの3人は話し合った結果、ガスタブルグに向かう事になった。
本当ならルーラでいけば良いのだが、ガスタブルグ王国に張られている結界を越える事が
出来ない為、徒歩で行くしかなかったのである。
小屋を出た所でエクリマがネロに話しかけた。
「良いのか?お前にとって悪い事になるかもしれないんだぞ。」
「・・・・・・。」ネロは無言で頷いた。
「そうか。」エクリマは黙って歩き出した。
「じゃあ、行きましょう。」アクリラはニコッと笑った。
「ああ。」ネロは何か吹っ切れた表情をしていた。そしてアクリラの後に続いた。
「・・・・・・・。」アクリラは黙っていたがふとネロの横に並ぶと
ぎゅっとネロの手を握った。
「アクリラ・・・・・さん?」
「今は呼び捨てで構いません。アクリラ、と呼んでください。」
「・・・・・・・・・・・・・・アクリラ・・・・。行こう。」
「はい!!」二人は冷やかしながら先を歩いているエクリマの後をついていった。

一方、ギームでは・・・・。
宰相がエスミルを探していた。どこを探しても見つからない。
「陛下、陛下。どこにいるのですか!!ガスタブルグから応援の要請、それから
ガイゾヅから応援の要請が来ているのですが!!陛下!!」
宰相は大理石の柱を抜けてあちこち探し回ったがエスミルが見つからない。
「どこに行ったのでしょうか・・・。」そんな事を呟きながら宰相は近臣や
ルナに頼んで探してもらっていた。だが、見つからない。

ここは魔竜谷。
ここに黒ずくめの格好をした剣士がパーンの宮殿の一室にある応接間にて
腰掛けていた。
そしてドアがノックして褐色の肌を持った竜少女が入ってきた。ミルルではない。
その証拠に6本ある竜角が4本しかない。どうやら邪竜族の一氏族なのだろう、
ミルルのような抑えつける竜気がまだ足りないようだった。
「お口に合いますかどうか。」竜少女は紅茶とお菓子を持ってきた。
「いや・・・・。すまんな、わざわざ・・・大した事ではないのだが・・・。」
黒剣士は珍しく頭を下げた。
「エスミル皇帝陛下がこちらに来て頂くのは何年ぶりでしょうか。」
竜少女は気さく笑いかけた。
「ふむ。パーンの娘も頑張っているようだな。して、あとどのくらいでこちらに来ると?」
「そうですね。今父フセンに聞いてまいります。」
「そうか。すまぬな。してお前の名前は?」
「サーラと申します。」サーラはそのまま会釈して部屋を出ていった。

どのくらい経っただろうか。ミルルが部屋に入ってきた。もちろんフセンとアリテトを
引きつれてだが。
「今日は何のご用でしょうか?皇帝陛下。」
「ふむ・・・・。そろそろ貴女の欲しいものを言って見てはどうかね?」
「どう言う意味でしょうか?」
「我としてはそろそろガスタブルグはきちんとしたギルモアという王の血筋を
活かすべきではないかと思ってね。それにジュダ王国の叛乱にしても、
皇女であるミルル殿が王位を継ぐのが妥当ではないかというのがあるらしいが
君としてはどうだ?こんな狭い場所では君の力も出ないだろう。
我としては君の力を買っている。これほどになるとは・・・・。」
「そうですね・・・。つまり私にベルクファクスと戦えと?」
「・・・・・・・どうだろう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・断ります。」
「何ッ・・・・・・・。」
「それでライを見捨てたのですね。いえ・・・・私に売ったのですね、ライを。
私との友誼のしるしとして・・・。そして私もいらなくなったら
ライと同じになるわけですね。」
「それは・・・・・・・・・・・。」
「まあ、皇帝陛下もいろいろおありのようですので前向きに検討致します。」
「分かった。よき返事を期待している。ではこれで。」エスミルはそう言って部屋を出ようと
した。
「ライはいくらで我々に?」背後からアリテトの声がした。
「そうだな・・・お前達の望む金額で構わん。」
エスミルはそう言って部屋を出ていった。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・夢(12) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月22日(日)21時05分38秒 

                  17.夢

そして・・・・・しばらくして・・・・魔竜谷では・・・。
「お許し下さい・・・お許しを・・・・ぐはっ・・・・げほっ・・・・・。」
ギリギリギリ・・・・・・。
若い魔族の青年をミルルの「手」が握り締めている。
「貴方・・・どこのスパイですか?よっぽど皇帝陛下は私を信用していない
ようですね。それなら別に構いませんが、その時はどうなるか
教えて差し上げましょう・・・。」
ミルルは「手」に力を込めた。絞められている青年からは血と反吐が混ざったものが
口から出、辺りを血に染めた。

ここは氏族たちが揃う玉座の間。ミルルは柔らかな布団のような座布団に腰掛け、
エスミル皇帝に付くかどうか審議をしていた。
だが、その時だった。ミルルの能力は叢に隠れている暗殺者を見つけた。
気がついた暗殺者は逃げようとしたがミルルにあっという間に抑えつけられ
玉座の間まで引っ張り出されたのである。
そして・・・暗殺者はミルルの「力」をまざまざと見てしまうことになってしまったのである。
先代の魔王、ナルゴスでさえ恐れさせた魔竜の力を・・・・。

ぐぎょごぎょごご・・・・・・。ミルルの右手は凄い勢いで変化していく。
右腕があっという間に竜の鱗に覆われ、さらに巨大化してゆく。
暗殺者はその右腕を見て動けない。
「ぐああああ・・・・・・。」そしてミルルは彼を握りつぶそうとした。
今竜族の氏族の前でその光景が行われているのだ。
だが、誰も顔を背ける者はいない。むしろ殺戮を楽しんでいるかのようである。
「言いなさい・・・それとも先ほど捕まえた暗殺者の皆さんと
友達になりたいようですね。」
「な・・・何だと・・・・・それじゃ・・・・・先に逃がした暗殺者は・・・・。」
「今ごろはシュプリンガーのご飯となっています。伝えておいてくれと
言っていましたよ、美味しかったと。」
「き、貴様・・・・化け物か・・・・・。」
「誉め言葉として受け取っておきます。ですが仮にも竜姫にむかって
化け物というのは失礼ですね。あっ・・・もう両手両足の骨がズタズタになりましたわ。
そろそろショック死でもなさいますか。」
ゴリゴリと・・・嫌な音がしている。その巨大とも言える手は暗殺者の両手両足を
完全にズタズタに破壊し、暗殺者は気絶していた。
「じゃあ、もう要らないですね。皇帝陛下にきちんと申し上げてくださいね、
生き残った、運の良い暗殺者の人、そこにいるのは分かっています。
だけど貴方は生かしておいてあげます。さっさと伝えなさい。そうそう
彼は要らないので、貴方に上げます。もう死んでいますけどね。」
ぽいとミルルは別の叢のほうへ放り投げてしまった。
向こうで何か叫び声がし、静かになった。
「姫様・・・少し力を押さえないと隠れていた暗殺者、
勢い良く投げた暗殺者に当たって首の骨が折れてしまったようです。」
別の氏族の長がミルルに申し出た。
「あら・・・ごめんなさい。ただあまりに気配の隠し方が下手なので、
気がついていないと思ってしまって。ふふふふ・・・・・。」
「駄目ですよ。これから気をつけましょう。」長は含み笑いをした。
「皇帝陛下はよほど我々を信用していないようですね。これからどうします?」
「もうしばらく様子を見ていたほうが良いと思います。確かに逃げていると
思われますが今叛乱軍(ベルクファクス)と帝国軍はまさに互角並みの
戦いをしています。ライゼーラでも蜂起した旧帝国軍人がいましたが
鎮圧されている所を見ると少し待ったほうが良いと思います。」
「そうですね。」フセンが同調した。フセンの感というのだろうか、戦いに
身を置いてきた竜族の将軍にはミルルの指摘は万の言葉よりも説得力があった。
「では・・・いつ頃・・・に?」
「あれがこちらの手に来た時です。あれが・・・です。皇帝陛下は軍を出さないと
言っておりました。ですが信用はしていません。皇帝も我々を信用していないでしょう。」
「・・・・・・・・・・ではもうすぐと・・・。」
「はい・・・もうすぐです。武器や防具の配布は終わっていますか、ヴィゼル卿?」
ミルルは左側にいた竜族の武官の名を呼んだ。
「竜姫様。武器の装備は終わっております。あとはサインさえ出れば・・・
キース卿をこちらに呼び寄せて・・・・。」
「では手順は貴方にお任せします。」ミルルとヴィゼルは目配せした。
「御意。」ヴィゼルは頭を下げた。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・夢(13) 投稿者:おんしー(on see)  投稿日:10月23日(月)19時03分44秒 

                   17.夢

エクリマ達3人は荒野を抜けるとある宿場町に泊った。ここはガスタブルグからの
街道とライゼーラからの街道がぶつかる、言わば交通の拠点でもあった。
「ふう・・・・これであとはガスタブルグに入るわけだが・・・・。」
エクリマは宿の個室で一息いれた。今までエクリマもそうだが
ネロもアクリラも気を抜くひまが無かったのである。
アクリラとネロは宿屋の一階に在る酒場で情報収集に当たっている。
二人とも酒の味を覚えてしまったのでちょっと飲みに行ったのだろう、
エクリマは別に気にしなかったが・・・。
「しかし・・・これからだな。この道中が一番気が張る。」
ライゼーラとガスタブルグの国境とはいえ、検問所はほとんど
フリーで通れる。だが、一応ということもある。
それにもう一つ問題がある。あの魔竜谷の領域の下の部分を通らなければ
ダルドア城に行けないと言う事だ。果たしてミルルが通してくれるかどうか・・・
昔の誼(よしみ)で通してくれるならこっちも都合が良いのだが・・・。」
その時だった。誰かがノックをした。
エクリマはドアの側に立ち、剣を構え外にいる気配の主を探った。
「僕だよ、ネロだよん。それにアクリラもいるよー。」
「わたし〜〜〜〜ですう。あけてくださ〜い。」二人とも酔った声がする。
どうやら相当飲んだらしい。
「全くしょうがないな。早く入れ。」
「「はあ〜い。」」二人は部屋に入った。
「で、どうだった?何か情報はあったか?」エクリマは聞いた。すると
ネロはポケットから紙切れを出した。
そこにはいくつかの情報が書かれてあった。

○ダルドア城の警備が手薄になっている事。魔竜谷を監視しているはずの警備隊
20万が北方のジュダ王国討伐に出向いた事。
ライは近隣の村の男子を徴兵しては兵士に育て上げようとしている。だけど
兵の士気は低くライは苛立ちを隠せない事。

○ガスタブルグ南方にはベルクファクスの将二人60万の軍勢を率いて
待機している。帝国は無干渉。

○ベルクファクスと帝国の戦争は膠着状態だったが北方の戦争から来た将二人の
活躍によってガイゾヅ将軍、討ち死に。その結果要塞は陥落。
帝国は兵を退き、ギームにて兵の再編成をしているとの噂。だけどガスタブルグに
まわす気は無しとの噂。

どうやら正気を保っていた時にネロが書いたようだ。
エクリマが読み終わると二人はもうベッドで眠りについていた。
(続く)

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闇の覇者・真王たる者・夢(14) 投稿者:メルトダウン  投稿日:10月25日(水)08時23分17秒 

                   17.夢

一方、こちらはガスタブルグのダルドア城

ライは家臣の諌めを聞かず、未だ国政に参加して、敵襲に備えていたが、その病状はすこぶる悪かった。
日に日に吐血を繰り返し、次第にやせ細っていった。
誰が見ても衰弱は明らかだった。

ライにとりついたのは一体何だったのか?

それは「負の感情」である。
ライがギルモアを殺害したため、ミルルは、ライに対し、ある感情を抱いていた。
「激しい憎悪」と「激しい殺意」である。
竜族の力は恐ろしい…
「念」や「思惑」の力さえも何らなの効果をもたらす。
長たるミルルなればなおさらだ。

もちろん、それだけではなかった。
それだけの「負の感情」が一箇所に集まれば、当然他の「思念」が集まってくる。
つまり、ライは魔界中の負の感情によって蝕まれているのだ。
当然、治療法は無い。ただ死を待つのみであった。

だが、このことがあるとんでもない事件を生み出すことになるとは誰も予想し得なかった。
ライも、そして「負の感情」の発生源となったミルルも…
そして、エスミルでさえも……

後に、帝位についたネロは次のように語っている。
「おもえば…あれが魔界の運命を大きく狂わせた…」
と

続く。