カセットビジョン広技苑

 

 

はじめに

 

これはファミコンが普及する以前の時期である1981年8月にエポック社から発売されたTVゲーム機カセットビジョンのソフト資料である。カセットビジョンは、ソフト交換式のTVゲーム機としては日本で最初にある程度のヒット商品となったマシンである。日本で最初に多数の家庭に普及した家庭用TVゲーム機ファミコンは、ソフト交換式TVゲーム機の世代としては第2世代機に属する。ファミコンの印象が強烈過ぎるため、日本ではファミコンより前の世代のマシンがあった事が忘れられる場合が多い。しかし世界的にはカセットビジョンと同世代のマシンがソフト交換式TVゲーム機の第1世代機である。アメリカでは第1世代機に属するVCSが多くの家庭に普及した。

日本では第1世代のTVゲーム機はそれ程普及しなかったが、しかしこの世代のマシンでも興味深い機種が存在していたし、性能の限界の中で非常に面白いゲームもあった。また後の世代とは比較にならないとはいえ、それなりに売れてもいた。日本ではVCSは値段や発売時期の問題で殆ど売れなかった。しかしカセットビジョンは、VCSに比べてすらはるかに劣る性能でありながら、ゲーム性の高いよく練られたソフトを幾つも出し、この世代のマシンではトップの公称70万台(実数は44万台という)を売った。ファミコンの公称1800万台とは全く比較にならないが、第1世代機は日本でもそれなりの存在だった。

決して誤解してはならないが、カセットビジョンはファミコンと競合したマシンではない。発売された時期がVCSよりファミコンの発売時期に近いし、廉価版のカセットビジョンJr.は確かにファミコンと競合しているが、カセットビジョン自体は紛れも無くファミコンより1世代前のマシンである。ファミコンが発売される頃にはその商品としての寿命はほぼ尽きていた。

但し日本では第2世代機と競合した第1世代機が多い事は注意する必要がある。世界的には第1世代機の代表はVCSで、アメリカでの発売は1977年12月である。しかしVCSの日本での本格的な発売は1983年5月のアタリ2800で、これはファミコン発売の僅か2ヶ月前である。アタリ2800の発売は第2世代機とまともにぶつかっている。第1世代のマシンがファミコンと競合しているのは他にもある。バンダイから発売されたアメリカ原産のVCS2番煎じマシンのアルカディアや、日本製ながら性能が1世代前の低さだった学研のTVボーイなどがアタリ2800と同様の状況になった。発売時期が第2世代機とぶつかる第1世代機が日本に多いのは、第1世代機の普及台数が非常に少なかったからである。本格的に売ろうとしてみたら、ファミコンの発売とぶつかってしまったのだろう。日本では第2世代機に属するファミコンが最初に多数の家庭に普及したTVゲーム機である。ファミコンと同時期に発売された第1世代機が多いため、第1世代機と第2世代機が区別されずに議論される場合があるが、やはり第1世代機と第2世代機の性能差は大きい。2つの世代はきっちり区別すべきである。

なお時々誤解されるが、カセットビジョンは、日本における最初のソフト交換式TVゲーム機という訳ではない。エポックは1975年9月に、テレビテニスという日本で最初のTVゲーム機(これはソフト一体型)を発売したメーカーだが、ソフト交換式TVゲーム機については日本最初ではない。日本最初のソフト交換式TVゲーム機は、タカトクトイスとティルドの合弁会社ジーエルから、1977年10月に発売されたビデオカセッティロックである。また世界最初のソフト交換式TVゲーム機は、フェアチャイルドのチャンネルFで、その発売は1976年8月である。殆んど知られていないがチャンネルFも日本で輸入販売されていた。ビデオカセッティロックの発売は、チャンネルFに遅れる事1年2ヶ月である。また国産のTVゲーム機では、バンダイのアドオン5000もカセットビジョンに先行している。輸入物も国産も含め、日本でも第1世代のソフト交換式TVゲーム機は幾つか発売されたが、価格や性能の問題でそれ程普及しなかった。ある程度のヒットと言えるのはカセットビジョンが最初である。カセットビジョンが日本最初のソフト交換式TVゲーム機と誤解される場合があるのは、最初のヒット商品だからという理由が大きいのであろう。

エポックは、日本で最初のTVゲーム機を発売し、日本で最初にソフト交換式TVゲーム機をヒットさせたメーカーであり、日本でTVゲームを普及させるのに功績が大きかった。そのためイノベーターによく見られる苦労もあったという。例えばゲーム機をテレビに接続する事である。一定年齢以下の人は知らないだろうが、当時のテレビは現在のようなビデオ入力は普通は付いていなかった。当時のテレビは放送される番組を見るためだけに使う道具で、それ以外にテレビ画面に映像を映し出す家庭用の機械は(極めて高価なものを除いて)存在しなかった。だからビデオ入力端子は普通の家庭では必要なかった。そのためゲーム機とテレビとの接続は、ゲーム機の信号を放送されている電波と同じ方式(RF出力)に変換し、アンテナからの入力とゲーム機からの入力を切り替えるRFスイッチボックスを使って接続していた。この接続法では、アンテナからの信号が弱くなるとか、ゲーム機用チャンネルの設定などテレビの調整も必要になるとか色々面倒な事が多かった。こういうトラブルを処理するため、エポックの社員は大変だったそうである。このような苦労話を聞くと、日本でのTVゲームの普及に果たしたエポックの大きな役割が伺われる。日本の第1世代のゲーム機でカセットビジョンが最も普及したのは、やはり偶然ではないのだろう。

ただカセットビジョンがファミコンの1世代前のマシンであるといっても、後の世代のマシンとは単純に比較出来ない部分がある。後の時代のTVゲーム機に比べてカセットビジョンが最も特異な点は、現在のゲーム機の様に本体にCPU(中央演算装置:コンピューターの頭脳)が入っているのではないという事である。CPUはROMと一体化してカセットに入っており、カセット自体が1チップマイコンになっている。カセットを分解して内部を見てみると、NEC製の一体型LSIが1個だけ入っている。CPUがカセットに内蔵されているため、カセットビジョン本体には電源供給と画像表示の機能しかなかった。マシン名に「コンピューター」とか入ってないのは、本体中にCPUがない以上、とてもコンピューターとは名乗れなかったからだろう。

実はこのような構造のマシンは、古いゲーム機にはかなり多い。先述のビデオカセッティロックやアドオン5000もそうである。カセットビジョンがこうした構造になったのは、技術的にCPUを完全に分離出来なかったためだという。またカセットビジョンのソフトには、バトルベーダーなどの様に、以前に単体売りしていたソフト内蔵式ゲーム機を移植?したものが多かったので、単体のTVゲーム機のソフトをカセットビジョン版に直すためにも、この様な形態が採られたのかもしれない。

CPUがカセットに内蔵されているので、カセットビジョンは理論上はプレステ2に搭載されている128ビットCPUをカセットに組み込む事すら出来る。理屈の上ではカセットビジョンは、現在の第5世代のゲーム機にも対応できる。勿論そんなソフトはとてつもなく値段が高くなるから現実に作られる可能性はない。また画像表示は本体にあるチャンネル表示用のICで行うので、そんなCPUを使っても宝の持ち腐れになってしまう。画像表示ICの性能の限界から、ポリゴンのようなものを動かすとモザイク状に見えるだろうと言われている。しかしカセットビジョン版の超荒いポリゴンというのも、一度は見てみたい気がする。

CPUが本体にないので、カセットビジョンは当時のTVゲーム機の中では格安の1万3500円という価格だった。中身を考えたら後のファミコンほどには褒められないが、機能の豪華さは実現している。操作系は多くの部分があり、左右にレバーが1つずつ、ボタンも2つずつ、そして何とパドルも左右に2つずつ計4個も装備している。但しファミコン以前の時代なので4方向キーが無く、そのため幾つかのゲームで操作が厄介になっている。スタートやセレクトはの操作は、ゲーム操作用のボタンで兼用ではなく専用のボタンがある。中央に5段階のレバーがあって、野球ゲームでの投球コース変更やレースゲーム用のモード切替(多分)が出来るようになっている。更に光線銃の端子もある。

比べる対象が悪いが、本体に付いた機能で比べるなら、カセットビジョンはバンダイのアドオン5000より遥かにお買い得である。アドオン5000は、カセットビジョンと同様でCPUを内蔵しないのに、価格は1万9800円もした。本体と別のコントローラーがあるという点はカセットビジョンより優れているが、パドルは装備されていない。全体としてはカセットビジョンよりかなり低コストだったと思われるのにこの貧弱な装備は、いかにもバンダイのゲーム機だった。

カセットビジョンは元々低価格だったが、ファミコンと同月の1983年7月に発売された廉価版のカセットビジョンJr.では、5000円という空前絶後の安さになった。エポックは既にこの時期には、第2世代機として発売されるスーパーカセットビジョンの開発を進めていたので、世代遅れとなるカセットビジョンは大幅に安くして次世代との共存を図ったものである。しかし現在ならわかる事だが、TVゲーム機の異なる世代は基本的には共存しない。レトロゲームマニアの如き人は別だが、普通の人には性能差が気になって古い世代のマシンは遊んでいられなくなる。そのためカセットビジョンJr.もファミコンとの競争に敗れる形で消えていった。

とはいっても現在(2002年)でもファミコンの海賊版が3〜5000円程度の価格である程度売れている。昔のゲーム機でも、昔を懐かしんだり、かえって新鮮に映ったりして楽しめる人は、少数ながら存在する。だからエポックの戦略は、発想としてはそう悪くはなかったと思う。しかしカセットビジョンの場合には、元々の普及率がファミコンとは比べ物にならなかったので、ファミコンのような形で細々と生き残る事は出来なかった。

カセットビジョンJr.の5000円という価格はかなり褒められるが、パドルや光線銃が使えなくなったのは残念である。なおカセットビジョンJr.にはこれらの機能は無いだけで、ソフトの起動は出来る。但し起動しても指を咥えて見ているしかない。

カセットビジョンのソフトは、ソフトにCPUが内蔵されているという構造の割には価格が低く、大部分のソフトが4980円(カセットビジョンJr.発売後の1本だけが3980円)という手頃な値段だった。これはかなり褒められるだろう。1チップマイコンという構造は、ゲーム機のようなものに使うコンピューターとしては製造コストが低くなるらしい。エポックが発売した単体のゲーム機の価格の低下に大いに貢献する技術だったという。またソフトの価格が低いのは、既に単体のソフト一体型のゲーム機として発売されていたゲームの再録が多かったからという理由もあるだろう。開発費などは単体のゲーム機で回収されており、カセットビジョン版ではコストはカセットの直接の製造費だけで済むからである。

この様に価格的にはカセットビジョンは悪いものではなかったが、やはり性能的にファミコンほど普及するまでにはいかなかった。理屈の上では第5世代ゲーム機にも対応できるといっても、実際に発売されたソフトはやはりファミコン以前のものだった。画像表示にチャンネル表示用のICを使っているため、面積でファミコンの16倍という巨大なドット(これは正確な数字ではないかもしれない)。10色程度(正確な数は知らない)という少ない色数(ファミコンは54色)。PSG1音相当(恐らく専用の音源チップや音源回路はない)だけの音声(ファミコンはPSG3音+ノイズ1音)。背景画を描くバックグラウンド表示機能がなく、キャラクターを動かすスプライト表示しかないため、黒い背景の中でしかプレイできない事。これらは同世代に属するVCSに比べても遥かに劣った性能である。このためゲーム画面がどうしても貧弱な印象を受けてしまう。当時のアーケードゲームの性能はファミコン並みと言っていいが、それでもカセットビジョンとは雲泥の差だった。そのためカセットビジョンにはファミコンのような「アーケードゲームが家庭で出来る」というほどのアピール力はなく、ファミコンの普及率にはとても及ばなかった。

カセットビジョンのソフトに内蔵されたCPUの性能は、敢えて現在のコンピューターと比較するなら、4ビット級というあたりになる。ビット数とは、CPUが同時に処理する信号の数の事で、取り敢えずこの数字が大きいほどコンピューターの性能は高いと言える。とはいえゲーム機の性能を決める要素は他にも数多くあり、ビット数だけで単純に性能を推し測るとマシンの性能を見誤る。16ビット機であるぴゅう太をスーパーファミコンと同じだと思ったら大間違いで、実際はゲーム機としてはファミコンよりはるかに劣ったマシンである。

性能面での比較だけをするなら、カセットビジョンはTVゲーム史上最初のヒット作であるポン(Pong)などのテニスゲームや、ポンの次の大ヒット作であるブロック崩し(英語タイトルはBreakout)などに近い水準のゲームが多い。この時期のゲーム機と同様の性能と考えると、カセットビジョンは4ビット級と言える。

当時実際にカセットビジョンを4ビット機とする報道があった。しかしこれは正確には間違いである。カセットビジョンは、現在主流のコンピューターとは異なる構造をしているため、第2世代以後によく話題にされるビット数での比較は出来ない。しかしビット数の考え方によっては、48ビット機という言い方が出来るそうである。実際にカセットビジョンは48ビット機という様な噂話が流れていたという。48ビット機という話をデマ扱いする人もいるが、これはデマとまでは言えない。実際CPUの処理速度は非常に速いという。しかし性能を同水準で比較するならやはり4ビット級である。

しかしエポックは性能の限界に挑戦するかのように、よく練られたゲーム性の高いソフトを幾つも発売した。最もよく売れた「ギャラクシアン」、カセットビジョンの最高傑作との呼び声も高い「きこりの与作」などは、現在でもマニアの間で評価が高い。実際に筆者もカセットビジョンのゲームには衝撃を受けた。これほど低い性能で、これだけ面白いゲームを作れるというのは驚きである。多くのレトロゲームマニアが同様の事を言っている。カセットビジョンは、ゲームは性能ではないという事を、最も説得力を持って感じさせるマシンと言えよう。性能の限界がきつく、視覚的演出などのゲーム性以外の要素を付加する余地が殆どなかったからこそ、純粋にゲーム性だけを追及できたのだと思う。カセットビジョンから見ると、ファミコンやセガマークIIIですらゲームに余計な要素を付け加えている事がわかる。純粋にゲームとしての面白さを突き詰めたという事では、カセットビジョンこそ究極のゲーム機の1つだろう。

カセットビジョンは、性能面だけでなく操作系もファミコン以前のものだった。全ての操作スイッチが本体に直付けである。それでもパドルが左右に2個づつ付いているのは凄いが、これは家族で楽しむテニスゲームなどが多かった時代の産物である。これ以外には不便な部分が多い。現在のゲーム機はコントローラーが着脱式だし、ファミコンでも着脱は出来なかったがコントローラーが本体とは別についていた。カセットビジョンの固定コントローラーは、今となっては極めてプレイしにくい。また単に操作系が本体固定というだけでなく、操作系の内容にも問題があった。カセットビジョンには、現在は不可欠の4方向のキー(いわゆる十字キー)がついておらず、画面上を自由に上下左右に移動出来なかった。このため上下左右の移動をするゲームの操作は、非常に変則的になっている。

十字キーの特許はゲームウォッチの頃に任天堂が取得しており、当然の如くファミコンにも採用された。そしてその後発売された任天堂以外のメーカーの全てのゲーム機が、十字キーとは形状が違うだけで本質的な操作方法は同じ操作系を採用した。十字キーを発明したのはかの横井軍平だが、ファミコン以後の全てのゲーム機に採用されたというところに、十字キーという発明の偉大さがわかる。同時にTVゲームにとっての4方向キーの必要性も理解できる。カセットビジョンと同世代のゲーム機でも、アタリのVCSは4方向スティックの付いたコントローラーを採用していた。だがカセットビジョンには、左右方向の移動が出来るレバーがついているだけなのである。上下の移動は、マシンの左右に2つづつ計4つあるボタンのどれかに上下方向を割り振って行わなければならなかった。これは実際に操作してみるとすぐわかるが極めて不便である。任天堂の特許を考慮したのかもしれないが、余りにも時代を感じさせる操作系である。

本体固定のコントローラーの操作が不便だし、また筆者が持っているカセットビジョンはボタンの接触が少し悪いので、本体を改造して着脱式のコントローラー端子を付けてみた。更にソフトによっては十字キー操作も出来る様にした。配線は次の通りである。本体左側の左右レバー用とボタン用の配線から並列で分岐して、レバーとボタンを外付けのコントローラーでもスイッチ動作出来るようにした。なお右側は端子を付けてない。カセットビジョンには対戦ゲームもあるが、いずれもパドルを使うものなので、外付けコントローラーを右側に付けても対戦出来ないからである。さすがに筆者も外付けパドルを付加する程の技術はない。まあ1人で遊ぶなら左側だけで十分である。本体の左右レバーは当然十字キーの左右に割り当て、本体の2つのボタンは、やはり外付けコントローラーに2つあるボタンに割り当てた。更に本体の2つのボタンは、本体内部で端子につなげる前に更に並列に分岐して、十字キーの上下にも割り当てた。この分岐は、カセットビジョン専用コントローラーをつくるなら、コントローラー内部で行なってもいい。しかし筆者はセガマークIII用コントローラーを使う事にしたので、本体内部で分岐する必要があった。このコントローラーは、上下左右の配線が端子の別々のピンにつながっているから、端子のピンの前に分岐する必要がある。

こうして外付けコントローラーで一応十字キー操作のできるカセットビジョンが出来た。但し上下方向の操作はソフトによって異なるので、全てのソフトに対応している訳ではない。全てのソフトに対応するためには、ソフトごとに異なるコントローラー端子をつけるか、切り替えスイッチで右側のボタンを使えるようにする必要がある。或いはコントローラー端子自体には、左右移動と4つのボタン全てをつなげて、プラグアダプターでソフトごとに変換するという手もある。このような改造はいつかやろうと考えている。

改造はまだ完璧ではないが、外付けコントローラーが付くだけでも、カセットビジョンの操作感覚は劇的に変わる。ようやく普通のゲーム機並みの操作になった。なお既に書いた通り、使用するコントローラーはセガマークIII用のものにした。自作プラグアダプターを付けたぴゅう太と同様で、コントロール用電源は配線してない。これも出来ない事はないと思うが、カセットビジョン用ソフトの内容を考えたら、連射パッド用の電源を付ける事もないし、また基盤を見てもぴゅう太の様に親切に電源の配線を書いていなかったので、不安が大きかったからでもある。

なおカセットビジョンの操作系の回路は、左右移動のレバーと2つセットのボタンのマイナス極(コモン)が別々になっていた。普通なら同じコントローラーの内部では十字キーとボタンのマイナス極は共通である。但し別々のコントローラーのマイナス極は当然共通にはしない。だからカセットビジョンでも、本体の左側と右側のマイナス極が違うのは当然なのだが、同じ側のレバーとボタンが別々のマイナス極につながっているのは意外だった。テスターで調べたところ、この2つのマイナス極は直接にはつながっていなかった。仕方ないので外付けコントローラーの配線ではまとめたが、もしかするとソフトによっては操作に異常が出るかもしれないし、最悪の場合には本体が壊れるかもしれない。今のところ大丈夫だが不安はある。(そういう訳なんで、くれぐれも改造や自作は自己責任で行なう事。改造に失敗したり、或いは本体を壊したりしても、決してこのサイトのせいにしてはいけない。)

またカセットビジョンは、コントローラーのスイッチが基盤に半田付けされている。そのためスイッチの接触面の掃除は殆んど不可能になっている。経年変化はどうしてもあるから、スイッチのメンテナンスが出来ないというのは非常に困った事である。カセットビジョンJr.の方は、ボタンが固定されておらず接触面が剥き出しなので、メンテナンスは容易である。また操作性については、カセットビジョンJr.の方が十字キー状のボタン配置がされていて、4方向に動かすソフト(つまりパクパクモンスター)の操作がしやすいし、小さいので本体を手に持ったままコントローラーのように使う事も可能である。一部使用不可のソフトがあるが、普通にゲームを楽しむだけならカセットビジョンJr.の方が何かと都合がいい。

勿論一番プレイしやすいのはコントローラー付加の改造を行う事だが、これは容易にできるものではない。いや本当はこの程度の改造は、理屈がわかれば猿にも…とは言わないが小学生にも出来る程度の事である。しかし何となく難しそうに思って手を出しかねている人が多いだけなのだ。でも改造に失敗して逆恨みされるのは嫌なので、難しそうに見せかけよう。でももしリクエストが多かったら、コントローラー付加の改造法をこのHPで公開するかもしれない。

カセットビジョンとカセットビジョンJr.のACアダプターの規格は、ファミコンのACアダプターとは全然違う。詳しい事は巻末の資料室に書いてある。さすがにカセットビジョンは本体にコンピューターが入っていないだけあって、消費電力は非常に少ない。ファミコンのACアダプターの流用など絶対にやってはいけない。

ここではやはり広技苑形式で、カセットビジョンのソフト紹介をする。発売中止を含めて僅か全14本なら、あいうえお順ではなく番号順で十分だが、意地になってこの方式を貫く。なおカセットビジョンのソフトを出したのは、ハードの発売元のエポックのみで、サードパーティーは存在しない。ソフトの形態はカートリッジのみである。

 

 

 

 

 

凡例

 

ソフト名  TITLE

値段(当然この時期は税別)/発売会社(エポック) 番号/

発売日/ジャンル/特記事項

紹介文

 

裏技名

裏技の内容

 

攻略

攻略法の一部(特に重要なものだけ)

 

話題

様々な話題

 

 

 

 

 

広技苑

 

 

〜あ〜

 

 

アストロコマンド  ASTRO COMMAND

 4,980円(別)/エポック 9/1983.8.3/シューティング/

当時アーケードで人気の「スクランブル」が元ネタの横シューティング。カセットビジョンの性能で横シューをよく出したものである。カセットビジョンJr.と同時発売されたソフト。カセットビジョンには上下のキーがないので、左右の移動のボタンで上下の移動をする。これは筆者の改造コントローラーでも同じだが、コントローラーを縦にしてプレイすれば何とかなる。前進はボタンで噴射という設定。操作系の問題はあるが、ゲーム自体は大変面白い。元ネタよりいいくらい。少なくともぴゅう太版スクランブルよりは遥かにいい。VCS版スクランブルとも比較してみたい。でも燃料タンクが来なくて墜落する事があるという欠点もあるけど…。

 

 

エレベーターパニック  ELEVAEOR PANIC

 3,980円(別)/エポック 12/1984.8.1/アクション/

モンスターマンションの続編。カセットビジョンJr.発売後のソフトで、他のソフトと違いがある。カセットが白くて、値段も1000円安い。スーパーカセットビジョンとの棲み分けを意識していた様だ。

性能の都合で、やはり建物は4階建てだが、今度はエレベーターがある屋敷。主人公は前作と同じタロウくんで、やはり前作と同じくハナコちゃんを助ける。エレベーターで移動しながら6つのチェックアイテムを取る。ゲームの出来はいいが、難易度は大幅に上がっている。

 

 

 

〜か〜

 

 

きこりの与作  YOSAKU

 4,980円(別)/エポック 1/1981.7.30/アクション/

カセットビジョン第1弾ソフトにして、現在でも高く評価される傑作アクション。版権は取ってないようだが、SNKのアーケードの与作からの移植である。与作は後にX68000シリーズというパソコンのソフトにも無断移植されていて、当然ながらそちらの方がアーケード版に近い。カセットビジョン版は、性能の限界からキャラが極端にデフォルメされている。

内容は、当時ヒットした北島三郎の演歌「与作」の歌詞そのままに、自キャラの与作が木を切ってゆくというもの。音楽も与作のメロディから「ヘイヘイホー」の部分を使っている。イノシシやマムシや鳥や木の枝の妨害をはねのけたりかわしたりしながら画面上に2本ある木を切り倒す。1ドット単位で当り判定が付いていて高速モードでは難易度が非常に高いが、やっていると白熱する。鳥の糞が木の幹に重なって落ちると非常に見にくいので注意。また一番速いモードでは、イノシシとマムシは倒すよりジャンプで逃げる方が楽。とても面白いゲームで、恐らくカセットビジョンの最高峰。

 

与作の空中浮揚

鳥の糞や木の枝に当たると与作はしばらく麻痺する。ところがジャンプ中に鳥の糞や木の枝に当たると、空中に浮いたまま麻痺する。この間にイノシシやマムシが与作の下を通っても、十分にスペースがあれば与作は無事。更に麻痺が終わってもジャンプは継続中で、もう1回鳥の糞や木の枝に当たると与作は再び麻痺して2段空中浮揚になる。

 

木の枝が落ちるタイミング

木の枝はランダムに落ちるのではなく、与作が斧で木を切る瞬間に落下が始まる。木が揺れて枝が落ちるという設定なのだろう。これを知っていると木の枝を避けやすい。それにしても当たると麻痺する木の枝や鳥の糞とは…サリンでも入っているのだろうか。

 

 

ギャラクシアン  GALAXIAN

 4,980円(別)/エポック 3/1981.8.10/シューティング/

タイトルはナムコの大ヒットシューティングと同じ。しかしゲーム内容は日本物産のアーケードのヒット作ムーンクレスタのアレンジ。結局ナムコに版権使用料を支払ったそうだが、内容より名前の方が重要という事か。

敵は弾を打たず、ロケットに変形したりして体当たりしてくる。敵の攻撃方法が違う3つの面をクリアし、隕石群をかいくぐってUFOの母船と合体する。合体に成功すれば残機が1UPして得点が倍近くになる。ゲーム1は幼児向けの簡単なバージョンだが、速度の速いゲーム2は現在プレイしても面白い大傑作。画面は粗っぽいが、ゲーム性はムーンクレスタをよく再現している。ゲーム機は性能ではないという見本の様なソフト。難易度は、本家ムーンクレスタよりやや高い。カセットビジョン最大の18万本という、当時としては空前のヒット作だった。実際カセットビジョンソフトとしては中古でよく見かける。なおムーンクレスタは、「ニチブツアーケードクラシックス」というタイトルでスーファミやプレステの復刻版が出ている。この時期のアーケードの性能がファミコン並だった事がわかるだろう。このギャラクシアンと比較すると面白い。

 

ムーンクレスタとの違い

オリジナリティを示すためか、意図的にムーンクレスタと僅かな違いが作られている。ドッキングは、ムーンクレスタが後退なのに対して、ギャラクシアンは前方に向かう。自機が敵機に衝突してゲームが再開される時、ムーンクレスタは敵機が生き残っているが、ギャラクシアンは敵機も死ぬ。

 

 

グランドチャンピオン  GRAND CHAMPION  (発売中止)

3,980円(別)(予定)/エポック 10/

発売中止/アクション・スポーツ・レース/

カセットビジョンの性能を使い切ってしまったためバグが出た。バグが発見されたため、発売日直前で発売が無期延期になり、結局ハードの寿命がきて発売されなかった。既にカセットの生産も終わっていたそうである。現在エポック社にもカセットは残ってないそうで、完全に幻のソフトである。

システムは、セガの「モナコGP」に似た上方向に進むレーシングゲーム。パンフレットの画面からは、かなり面白そうである。

 

バグの内容

ゴールできなくなるとか、ゴールした後もゲームが続くとかいうものだったという。

 

 

 

〜さ〜

 

 

システム10 (仮称、未発売)

 不明(4,980円か)(別)/エポック 番号不明/

 未発売/アクション・スポーツ/パドル使用の筈

単体売りしていたテニスゲーム機システム10のLSIが余っていたため、発売する計画があったという。試作品は出来ていた。但しタイトルは変わっていただろう。システム10の後継機のLSIを使ったビッグスポーツ12の番号が4だから、もしこれが発売されていたら相当初期のタイトルだった筈。システム10は完成度の高いテニスゲーム機だったので、発売されなかったのは残念。

 

 

 

〜た〜

 

(なし)

 

〜な〜

 

 

ニューベースボール  NEW BASEBALL

 4,980円(別)/エポック 7/1982.6.15/アクション/

ベースボールゲームのリメイク。前のゲームからあった2人モードの他に、1人モードもある。更に投球練習、守備練習、観戦の、計5つのゲームモードがある。ウォッチモードまであるのが凄い。バントやエラーもあり、より実際の野球らしくなっている。ホームインのときに手を上げる演出もついた。しかし今の基準で判断するゲームではない。

 

 

 

〜は〜

 

 

パクパクモンスター  PAK PAK MONSTER

 4,980円(別)/エポック 6/1982.7.13/アクション/

ドットの巨大なカセットビジョンにパックマンを移植するという難題への答え。当然フィールドは大変狭い。エサ8個、敵2匹という凄い単純化。パックマンのパクリなのは確かだが、訴訟を起こされる心配は全然ないだろう。カセットビジョンには4方向キーがないので、横方向に並んだ2人プレイ用のボタン計4つを使って上下左右を操作する。このため操作に慣れるのが大変。カセットビジョンJr.では、この4つのボタンは十字方向に配列された。食べるドットが少ないので、何回か通って消えるようにした。またパワーえさも3回まで食べられる。何故か音楽はクレイジークライマー。操作に慣れるまでは難しいが、慣れると簡単。改造して普通のコントローラーをつけると馬鹿みたいな筈だが、筆者の改造コントローラーではまともに動かないボタン設定だった…。

 

 

バトルベーダー  BATTLE VADER

 4,980円(別)/エポック 5/1982.3.3/シューティング/

インベーダーの移植。勿論版権は取ってない。カセットビジョンで出る前は、テレビベーダーという名称の単体のゲーム機だった。カセットビジョンの性能では、インベーダーの縦の列は1列しか表示出来ない。そのため最前列のインベーダーだけ表示され、後ろのインベーダーは隠れていて、前のインベーダーがやられると出現するという設定になっている。しかしプレイすると、インベーダーの色が変わって後ずさりする様にしか見えない。シェルターが色が変わって3回まで再生するとか、高得点になるとスコアの色が変わるとか、自機が被弾するとインベーダーが笑うとか、性能の低さを演出で補おうとしていた。しかしゲーム性ではなく演出に凝るしかない事からもわかる通りで、ゲーム自体はそれ程面白いものではない。難易度も高すぎるし。なお当然ながらナゴヤ撃ち、レインボー、化石といった本家インベーダーの裏技は存在しない。

 

 

ビッグスポーツ12  BIG SPORTS 12

 4,980円(別)/エポック 4/1981.10.20/

 アクション/パドル使用、光線銃対応

テニスゲームが8本(うち3本は的当てゲーム)、光線銃ゲームが4本入っている。人気を博したシステム10の後継機として企画されながらお蔵入りとなった単体ハードの復活版だそうである。プレイしてみると、テニスゲームよりも光線銃ゲームに力が入っている。テニスゲームは種類も少ないしやや手抜き。任天堂のテレビゲーム15の方が出来がいいというのは情けない。しかしサッカーとバレーボールはそれなりに面白い。筆者は光線銃を持ってないが、光線銃ゲームはかなり面白いらしい。的の動きはなかなか凝っている事は見ているだけでもわかる。なお光線銃を使うのはこのゲームだけ。パドル及び光線銃を使うので、カセットビジョンJr.では遊べない(動作はする)。

 

的当て

ゲームの6〜8は、この時期のテニスゲームによく付属していた的当てゲーム。弾は自動発射だが、発射された後でもパドルを動かすと、ラケットと連動して弾も上下に動く。よって発射後の弾をパドルで操作すれば、的に当てやすいし障害物もくぐり抜けやすい。的に当たる直前に素早くパドルを動かして、弾が的を横切るようにすると当てやすい。

 

 

ブロック崩し (仮称:未発売)

 不明(4,980円か)(別)/エポック 番号不明/

 未発売/アクション/パドル使用の筈

実はブロック崩しもカセットビジョンで発売される計画があり、開発も進んでいたという。しかし同時期に単体のブロック崩しゲーム機である「テレビブロック」が発売されており、そちらの人気が高くてLSIが足りず、カセットビジョン版が発売出来なかったという。パドルを左右に2つづつ装備というカセットビジョンの機能から考えると、ブロック崩しはとても期待できそうなソフトだった。非常に残念。

 

 

ベースボール  BASEBALL

 4,980円(別)/エポック 2/1981.7.30/アクション/パドル使用

2人プレイ専用の野球ゲーム。1978年に単体で発売されたTV野球ゲームと同じ。守備はほぼ自動で、外野のみ右側下のパドルで行う。外野の3人が左右方向のみ同時に動く。送球は自動。古い時代のゲームなので、ゲーム内で出来る事が少なくて今となってはつまらない。またパドル操作のためカセットビジョンJr.では遊べない。すぐにニューベースボールが出たので販売数が少なく、カセットビジョン用ソフトの中でもレアな品物。しかし内容はコレクターズアイテムという以上のものでは無い。

 

 

 

〜ま〜

 

 

モンスターブロック  MONSTER BLOCK

 4,980円(別)/エポック 11/1984.3.16/アクション・パズル/

ペンゴをもとにしたアクションパズルゲーム。コラムスに似た要素もある。数字を順番に並べると得点が上がるなど工夫されている。頭を使うので、パズルゲームが好きな人には面白い。

 

 

モンスターマンション  MONSTER MANSION

 4,980円(別)/エポック 8/1982.10.7/アクション/

ドンキーコングが元ネタで、本物の移植という様な噂が流れたらしい。本家ドンキーコングのアクション性の面白さとは違い、解き方を見付けるのを楽しむゲーム。しかし貧弱な性能を補うべく、ゲーム性はよく練り込まれている。遊ぶには楽しい。

内容は、梯子のある建物をタロウくんが登っていき、モンスターにとらわれたハナコちゃんを助けに行く。ドットが余りにも荒いので、マンションの高さは4階しかない。「おいかけモンスター」や「けとばしモンスター」の妨害をかわしながら進む。ゲームをクリアしてハナコちゃんを助け出すと、画面に「LOVE」という表示が出るのが笑える。やはり十字キーが無い事で、ボタンの上下移動の操作に慣れるのがやや面倒。改造コントローラーが欲しいところ。

 

 

 

〜や〜

 

(なし)

 

〜ら〜

 

(なし)

 

〜わ〜

 

(なし)

 

 

 

 

 

資料室

 

 

番号順ソフトリスト

No. タイトル

 

1   きこりの与作

2   ベースボール

3   ギャラクシアン

4   ビッグスポーツ12

5   バトルベーダー

6   パクパクモンスター

7   ニューベースボール

8   モンスターマンション

9   アストロコマンド

10  グランドチャンピオン (発売中止)

11  モンスターブロック

12  エレベーターパニック

 

参考  ブロック崩し (仮称:開発はされていた)

    システム10 (仮称:開発はされていた)

 

 

 

 

 

ACアダプターの規格

 

カセットビジョン、カセットビジョンJr.のACアダプター

・端子の形状や直径はファミコンのACアダプターと同じ(数値は知らない)

・端子の内側(センター)はマイナス(ファミコンと同じ)

・定格入力 AC100V、50/60Hz(日本国内用は全て共通)

・容量6VA、出力電圧6V、出力電流300mA

 

ファミコンのACアダプター

・端子の内側(センター)はマイナス

・定格入力 AC100V、50/60Hz(日本国内用は全て共通)

・容量18VA、出力電圧9V、出力電流850mA

 

ACアダプターの端子の規格や極性はファミコンと全く同じ。しかしさすがにカセットビジョンはコンピューターが入っていないだけあって、消費電力は非常に少ない。ACアダプターの規格もファミコンより電圧や電流が遥かに小さい。ACアダプターの流用など絶対にやってはいけない。

 

 

 

 

 

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