「忘れじのナウシカ・ゲーム」

ハード:MSX
メーカー・販売:テクノポリスソフト、徳間書店




1984年に当時話題の映画のゲーム化のMSX版として発売されたこの
「忘れじのナウシカ・ゲーム」。

しかし84年当時では原作をそのままゲームに取り込むのは難しく、
ゲーム自体はさして話題とならないまま埋もれていた一本だったようです。

しかし後年、とある都市伝説が語られ始め、
そのいささか珍妙なタイトルから人々の記憶に曖昧に残っていたためか、
このゲームはその都市伝説そのものを指すゲームとしてネット上で語られるようになってしまいました。

「ナウシカがガンシップ(メーヴェ)に乗って王蟲や蟲を虐殺するゲーム内容に
宮崎監督が激怒、以降ジブリのアニメ作品のゲーム化の許可は下りなくなった」

ウィキペディアにまでまるでそれが”真実”であるかのように書かれている
(現在は”実際にはこのような内容のゲームは存在しない。”と訂正)
この都市伝説は、果たして本当なのでしょうか?

結論から言えば、それはまったくの間違いでした。
「忘れじのナウシカ・ゲーム」は、
ゲームとしては確かに優れた作品であるとは言い難い内容の物ではありますが、
決して原作の内容を無視した暴力的なゲームではありませんでした。
それどころか一応は原作の内容(しかも映画版ではなく漫画版も取り込んでいる)にそった、
当時のシューティングゲームとしてはかなりストーリー重視のゲーム性だったのです。

以下にこの「忘れじのナウシカ・ゲーム」の内容紹介とクリア方法を記載いたします。


キャラクター


ガンシップ。
自機です。風の谷から空を飛び、発砲することもできます。
飛び続けるとFUELが減少するため、一定区間ごとに着陸してFUELを補充せねばなりません。
飛行ガメ・浮き砲台・腐海の森などに当たると1ミスとなります。
また、墜落や着陸時のミスによっても残機が減ります。



メーヴェ。
ガンシップからF1キーを押すことによって乗り移ります。
FUEL制限はなく(表示されているFUELは減少しますが)、
ガンシップとは違い、腐海の森の中を飛行することができます。
また、空中で静止することもできます。
ROUNDをクリアするためにはメーヴェに乗り替えることが必要です。



バージ。
風の谷に3機着陸しています。
ガンシップに連結して運搬することができ、また着陸時に切り離しと連結を行うことで
ガンシップのFUELを回復させることができます。



空を飛んでいる蟲たち。
蟲自体は動いたり襲って来たりすることはなく、ほとんど「置き物」扱いです。
撃ち落とす、といったことは出来ません。
ただし、ガンシップ、メーヴェで接触するとスコアが減ります。



浮き砲台。
映画版ではなく、漫画版のドルクの浮き砲台です。
風の谷へ向かって侵攻してきています。
浮き砲台が風の谷へつくとゲームオーバーになります。
また、浮き砲台をガンシップで撃ってもゲームオーバーとなります。



飛行ガメ。
浮き砲台の周辺から町までを多数飛行しています。
自機をサーチしてくるものもいるのでかなりやっかいな「敵」です。
ガンシップの発砲で撃ち落とすことができます(スコアが入ります)。



お月様(?)
夜になると現れる、謎すぎる物体。いや月ですが。
ガンシップで発砲すると「いてー」という顔になり、
画面全体が真っ暗になります。
しばらくすると画面は元に戻ります。



王蟲。
腐海の森の奥にひっそりと生存しています。
ガンシップで発砲すると怒って風の谷へ向かってきます。
王蟲が風の谷へついた時点でゲームオーバーとなります。
F2キーの「ストロボ光弾」を発射することによって、怒りを鎮めることができます。



腐海の果てにある町。
ゲーム序盤は風の谷からこの町まで飛び、「交渉」することが目的になります。


操作方法

十字キー:ガンシップ、メーヴェの移動

スペースキー:ガンシップ発砲

F1キー:メーヴェに乗り移る

F2キー:ストロボ光弾の発射

F3キー:バージの連結

F4キー:バージの切り離し

F5キー:交渉

この他、メーヴェで浮き砲台に近づきスペースキーを押すと、
浮き砲台に乗り込むことができます。


ちなみに重要な話ですが、このソフトが起動しない場合、
電源を入れる際にシフトキーを押しながら起動するとちゃんとゲームが始まります。
エミュレーターなどでも同様です。


ゲーム(ROUND)のクリアの仕方



ゲームはROUND構成になっており、ROUND002以降はループとなっています。

まずは風の谷に止まっているガンシップを右へ移動させ、バージを連結します。
その後滑走路を走って空中へ飛び上がります。
十字キーの左右でスピード調整できますので、好きなように飛びましょう。
画面上に「当たって」しまうと失速して墜落の危険性があるので注意。
また、ガンシップでは腐海の森に当たっても1ミスとなります。




ガンシップで飛んでいるとFUELがどんどん少なくなっていきます。
無くなり切る前に地面に滑走路が再び出てきますので、
スピードを出来るだけ落とし(あまり落としすぎると失速して墜落します)、
滑走路ギリギリにまで近寄ってから十字キーの左を押し続けてブレーキをかけ、停泊します。




この時にバージを切り離すとFUELが回復します。また、スコアが入ります。
再度バージを連結し、また空へ飛び上がります。

これを繰り返して腐海の果ての町を目指すのですが、途中で浮き砲台が現れます。
この浮き砲台に激突したり、ガンシップで発砲するとゲームオーバーになるので注意。
また浮き砲台が出たあたりから飛行ガメが多数飛んできます。
これは完全な「敵キャラ」ですので、ガンシップで撃ち落すなり(スコアが入ります)、
避けるなりして進んでいきます。
かなりいやらしい動きをしてくる飛行ガメもいるので注意が必要です。
ちなみにガンシップで1ミスすると風の谷に戻されてしまいます。
墜落や着陸時にミスっても同じです。




多数の飛行ガメをかわし、腐海の果ての町についたらF5キーを押して「交渉」(NEGOTIATE)します。
するとスコアが入ります。
ここまで済んだらF1キーでメーヴェに乗り移り、
途中ですれ違った浮き砲台を目指します。
なお、町には飛行ガメがうようよしている場合があるので、
メーヴェといえども旋回する時が非常に危険です。
町は画面に見えてさえいれば「交渉」できますので、十分に距離を取っておいてから
交渉し、メーヴェに乗り移って旋回、画面左へ進むのがいいでしょう。
なお、町での「交渉」はROUND中に1回しか出来ませんので、
「交渉」が済めば1ミスしても浮き砲台を目指せばいいと思います。




メーヴェで浮き砲台に近づきます。
これぐらいの位置で「スペースキー」を押します。すると…。




メーヴェが浮き砲台に取り付き、浮き砲台に乗り込んだ状態になります。
この状態でF5キーで「交渉」します。

するとメーヴェが浮き砲台から離れ、浮き砲台は画面右へと引き返していきます。

ちなみに、町で「交渉」していないと浮き砲台に乗り込むことはできません。




あとはメーヴェで風の谷へ戻り、着陸します。
そして上の画像のメッセージが出て、ROUNDクリアとなるのです。
(メーヴェが墜落して1ミスとなってもクリアになります)

ROUND2からもこのパターンの繰り返しです。
途中にいる王蟲の数が増えたりもしていますが…。


ゲームとしてはかなり難しく、飛行ガメの動きが厳し過ぎるので
ガンシップで進むと何度も風の谷へ戻されてしまいがちです。
攻略方法としては腐海の森ギリギリのところを発砲しながら飛んでいくのがいいでしょう。

また、メーヴェでも町で「交渉」できるので、最初からメーヴェで飛んでいくのもいいでしょう。
森の中を飛んでいけば飛行ガメと激突することはまずないです。
この方法ならば誰でもROUNDクリアできると思います。
ただし、スコアはほとんど入らないようです。


都市伝説について

上記の記事を見てもらえば、巷で噂されている都市伝説が間違いであることがわかると思います。

84年当時発売されたナウシカのゲームについては他に
PC-8801用の「風の谷のナウシカ」、PC-6001用の「ナウシカ危機一髪」があります。
このうち、PC-8801版のナウシカはアドベンチャーゲーム、
PC-6001版のナウシカはMSX版とよく似たシューティングゲームになっているようです。

もしかすると、
「ナウシカがガンシップ(メーヴェ)に乗って王蟲や蟲を虐殺するゲーム内容に
宮崎監督が激怒、以降ジブリのアニメ作品のゲーム化の許可は下りなくなった」
というのはPC-6001版のゲーム内容についてだったのかもしれません。
しかしながらMSX版の「忘れじのナウシカ・ゲーム」というタイトルにインパクトがあったため、
MSX版の内容と混同されてしまった、ということは考えられるかと思います。

ただし、MSX版がそうであったうように、PC-6001版のナウシカもそのような内容のゲームでないことは
十分に考えられます。

「宮崎アニメはなぜゲーム化されないのか?」この話のネタとして
MSX版のゲーム内容が誤解され、それを誰も真実を検証しないまま、
面白おかしく伝えられていく過程の果てにもはや真実であるかのように伝聞され、
ウィキペディアにまで記載されている、
というのは実際のゲーム内容からすると非常に残念な話です。
(ウィキペディアの記事は現在は修正されています。つか、ここのページもとにして記事書いてますね?笑)

発売本数も少なくかなりレアなゲームであり
(ヤフーオークションでたまにソフトのみで出品されたりしますが)、
またMSXというハード自体も現在でこそ様々な方法でプレイすることができますが
一時期はなかなか入手困難、または稼動するものが少ない状況であったことも
このゲームの内容が誤解されてしまった理由のひとつだと思われます。


この記事をもって「忘れじのナウシカ」に対する都市伝説が誤りであったことが
理解していただければ幸いです。


なお、ゲームのクリア方法については「きおな」様からの情報提供によるものです。
「きおな」様からの情報がなければ、私個人でクリア方法を解明するのはほとんど不可能な状況でした。
この場で多大な感謝とお礼を述べさせていただきます。
ありがとうございました。